特許第5844660号(P5844660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5844660
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】歩行型電動作業機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/58 20060101AFI20151224BHJP
   A01D 34/47 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   A01D34/58
   A01D34/47
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-40945(P2012-40945)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-176303(P2013-176303A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小池 範法
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−163573(JP,U)
【文献】 実開昭56−043321(JP,U)
【文献】 実開昭50−045262(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/58
A01D 34/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源と接続される電源コードを案内する電源コード案内装置を備える歩行型電動作業機において、前記電源コード案内装置は、前記歩行型電動作業機の左右方向に移動自在に装着される保持ブラケットと、前記保持ブラケットにその一端が回動自在に支持されるアームと、前記アームの端部に設けられ、前記電源コードを支持するコードガイドと、を備えることを特徴とする歩行型電動作業機。
【請求項2】
前記電源コード案内装置は、前記歩行型電動作業機に着脱自在に装着されることを特徴とする請求項1に記載の歩行型電動作業機。
【請求項3】
前記電源コード案内装置は、前記歩行型電動作業機のハンドル部に装着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の歩行型電動作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源で駆動される芝刈機や耕運機などの歩行型電動作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電源により駆動される歩行型電動作業機として芝刈機や耕運機などが公知である。これらは、外部電源である家庭用電源より電源コードを介して給電されているため、芝刈作業や耕運作業において、電源コードが作業の妨げとなっていた。
【0003】
このような問題に関し、例えば、下記特許文献1のように、芝刈機のハンドル部から左右方向に張り出す電源コード案内装置を装備して、電源コードを作業者と離間させることで作業の妨げとならないようにする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭60−74519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の構成のように、電源コード案内装置が芝刈機のハンドル部から左右方向に張り出すことで、保管時の収納スペースが大きくなるという問題があった。また、保管時に電源コード案内装置を取り外すことも考えられるが、取り外しに手工具が必要であり、その煩雑さからとても受け入れられるものではなかった。
【0006】
本発明は、上述した課題の存在に鑑みてなされたものであって、その目的は、保管時に収納スペースが大きくなることがなく、また、不使用時に簡単に取り外すことができる電源コード案内装置を備える歩行型電動作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る歩行型電動作業機は、外部電源と接続される電源コードを案内する電源コード案内装置を備える歩行型電動作業機において、前記電源コード案内装置は、前記歩行型電動作業機の左右方向に移動自在に装着される保持ブラケットと、前記保持ブラケットにその一端が回動自在に支持されるアームと、前記アームの端部に設けられ、前記電源コードを支持するコードガイドと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る歩行型電動作業機においては、前記電源コード案内装置は、前記歩行型電動作業機に着脱自在に装着されることとすることができる。
【0009】
また、本発明に係る歩行型電動作業機においては、前記電源コード案内装置は、前記歩行型電動作業機のハンドル部に装着されることとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、保管時の収納スペースが大きくなることがない電源コード案内装置を備える歩行型電動作業機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る芝刈機の斜視図である。
図2】本実施形態に係る芝刈機の右側面図である。
図3】本実施形態に係る芝刈機の背面図である。
図4図2における矢視Aを示す図である。
図5図4における断面B−Bを示す図である。
図6図4における断面C−Cを示す図である。
図7】本実施形態に係る芝刈機の背面図であり、電源コードが右側にある状態を示している。
図8】本実施形態に係る芝刈機の背面図であり、電源コードが左側にある状態を示している。
図9】本実施形態に係る芝刈機の背面図であり、電源コード案内装置の収納状態を示している。
図10】本実施形態に係る芝刈機の右側面図であり、保管状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、歩行型電動作業機である芝刈機を例に図1から10を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は本実施形態に係る芝刈機の斜視図である。図2は本実施形態に係る芝刈機の右側面図である。図3は本実施形態に係る芝刈機の背面図である。図4図2における矢視Aを示す図である。図5図4における断面B−Bを示す図である。図6図4における断面C−Cを示す図である。図7は本実施形態に係る芝刈機の背面図であり、電源コードが右側にある状態を示している。図8は本実施形態に係る芝刈機の背面図であり、電源コードが左側にある状態を示している。図9は本実施形態に係る芝刈機の背面図であり、電源コード案内装置の収納状態を示している。図10は本実施形態に係る芝刈機の右側面図であり、保管状態を示している。また、本明細書では、説明の便宜のために、芝刈機1の方向を図中に示すように定義した。すなわち、本実施形態の芝刈機1で作業者が芝刈作業を行うとき、作業者の進行方向に基づいて「前、後、左、右、上、下」を決定してある。
【0014】
図1から図3に示すように、本実施形態における芝刈機1は、本体部10と、本体部10に対して回動可能に支持されるハンドル部30と、本体部10の後方に着脱可能に装着されるグラスキャッチャ38とを備えている。本体部10は、樹脂で成形されたハウジング11と、芝刈刃であるリール刃21と、前方車輪61と、後方車輪62とを備えており、ハウジング11の後端部は、グラスキャッチャ38の装着部12が形成されている。なお、装着部12の後端面は、図2においては、地面に対して略垂直な面として形成されている。リール刃21は、不図示の駆動源であるモータとプーリやベルトなどで構成される駆動伝達部を介して連結されている。
【0015】
ハンドル部30は、作業者が把持する把持部31と、把持部31を把持した手指で操作できるスイッチ32とを備えており、スイッチ32を作業者がオン操作することで、モータによりリール刃21が回転駆動される。リール刃21の下方には、リール刃21に摺接する固定刃が備えられており、リール刃21と固定刃により芝草が刈り取られる。刈り取られた芝草は、本体部10の後方から排出され、グラスキャッチャ38に堆積される。なお、図1,3などにおいてはグラスキャッチャ38の図示を省略している。
【0016】
ハンドル部30は、ハンドル支持部33を介して、本体部10に対して回動可能に接続されており、芝刈作業を行う時の作業位置(図2参照)と、保管時の収納位置(図10参照)の2つの回動位置でロックできるようになっている。なお、ハンドル部30の芝刈作業を行う時の作業位置は、地面に対して45度程度の角度に設定されている。また、ハンドル部30は、ハンドル支持部33から延設される左右一対の大径パイプ34,34と、一端側に把持部31が接続され、他端側が大径パイプ34,34の内部に摺動可能に挿入される左右一対の小径パイプ35,35とを備えており、大径パイプ34,34への小径パイプ35,35の挿入量を調整することで伸縮可能となっている。大径パイプ34,34の先端側には固定機構36,36が設置されており、この固定機構36,36が大径パイプ34,34と小径パイプ35,35の重なる位置で2つのパイプを抱持する力を加えたり開放したりすることで、小径パイプ35,35を所望する挿入量で固定することができるようになっている。
【0017】
左右の固定機構36,36は、接続パイプ37で連結されており、これにより、左右の大径パイプ34,34の間の距離を規定するとともに、ハンドル部30の剛性を高めている。また、接続パイプ37には、後述する電源コード案内装置50が設置されている。なお、本実施形態においては、図5に示すように、接続パイプ37の断面形状は楕円に形成されている。
【0018】
把持部31は、図4に示されるように、左右方向に長い略長方形状をしており、主として作業者に把持される上側部材31aと、電源コードが配置される下側部材31bとを備えている。上側部材31aの左右方向中央部には、スイッチ32とロックボタン32aが備えられており、ロックボタン32aを押し込んだ状態でスイッチ32を押し込むことでモータが起動できるようになっている。また、下側部材31bには、外部電源と接続される電源コード41と、電源コード41とスイッチ32を介して接続され、本体部10への給電を行う給電コード42とが設置されている。電源コード41の先端部には、図7に示されるように、雌端子41aが備えられており、この雌端子41aに延長コード43を接続することで、外部電源の接続口から離れた位置での芝刈作業が可能となっている。なお、本発明では、電源コード41と延長コード43を総称して電源コードと称することとする。
【0019】
図4に示されるように、電源コード案内装置50は、接続パイプ37に装着される保持ブラケット51と、保持ブラケット51に回動自在に設置されるアーム55と、アーム55の先端部55bに設置されるコードガイド57とを備えている。保持ブラケット51は、樹脂で成形されており、接続パイプ37の外周面に遊嵌状態で装着される装着部52と、装着部52の左右方向中央部から紙面手前側に突設される支柱部53と、支柱部53の左右両側に形成される支持腕54,54とを備えている。アーム55は、金属製の線状部材で形成されており、その基端部55aと先端部55bは環状に曲げ加工がなされている。また、アーム55の長手方向寸法は、接続パイプ37の長手方向寸法より、わずかに短く設定されている。
【0020】
図5に示されるように、保持ブラケット51の装着部52は、紙面下側に開口した断面略C字形状に成形されており、接続パイプ37の楕円形状の外周面に遊嵌状態で装着されることで、接続パイプ37の長手方向に摺動自在であり、接続パイプ37の軸線周りには回動不能となっている。保持ブラケット51の接続パイプ37への取付けは、装着部52の開口部を接続パイプ37に押圧し、舌部52aを弾性変形させることで、簡単に行うことができるようになっている。また、保持ブラケット51の接続パイプ37からの取外しは、接続パイプ37に対して保持ブラケット51を紙面上側に引っぱり、舌部52aを弾性変形させることで、簡単に行うことができるようになっている。
【0021】
アーム55の基端部55aは、保持ブラケット51の支柱部53の先端側小径部に遊嵌状態で挿入されることで、支柱部53に対して回動自在に設置されている。また、支柱部53の先端には座金58を介してネジ59が螺入されており、これによりアーム55の脱落が防止されている。
【0022】
図6に示されるように、保持ブラケット51の支持腕54は、装着部52から紙面右側に突出して形成される腕部54aと、その先端部から紙面上側に突設して形成される壁部54bとを備えている。また、腕部54aの紙面上側は、アーム55が当接する当接面54cとして形成されている。
【0023】
コードガイド57は、アーム55の先端部55bにおいて延長コード43を支持する部材であり、図7に示されるように、本実施形態においては、アーム55の先端部55bに接続される環状部材57aと、環状部材57aに接続され、延長コードを挟持するクリップ57bとで構成されている。
【0024】
次に、上述の芝刈機1において、芝刈作業を行う場合について説明する。まず、作業者は、ハンドル部30の固定機構36,36により、大径パイプ34,34への小径パイプ35,35の挿入量を調整し、把持部31の地面からの高さを作業が容易な位置に調整する。
【0025】
次に、電源コードの接続を行う。電源コードの接続は、芝刈機1の電源コード41の雌端子41aに延長コード43の一端側を接続し、他端側を不図示の外部電源の接続口に接続する。そして、延長コード43の所定の位置をクリップ57bで挟持し、そのクリップ57bをアーム55の先端部55bに設置されている環状部材57aに接続する。この状態でクリップ57bによる挟持位置から電源コード41にかけて所定のたるみ量が発生するようにする。
【0026】
この状態で、作業者は把持部31を把持し、スイッチ32及びロックボタン32aを操作しリール刃21を起動させた上、把持部31を前方に押して芝刈機1を前進させることで芝刈作業を行う。
【0027】
芝刈作業においては、通常、芝刈機1を往復移動させて使用する。このため、進行方向に対して外部電源の接続口の位置が右側にある場合と左側にある場合が繰り返されることとなる。外部電源の接続口が進行方向右側にある場合、図7に示すように、電源コード案内装置50は、延長コード43による張力で接続パイプ37の右側に移動し、保持ブラケット51が右側の固定機構36に当接する。この状態でアーム55の先端部55bは、芝刈機1から右側に大きく突出しており、これにより、延長コード43と作業者とが大きく離間することで、延長コード43が芝刈作業の妨げとなることがない。なお、この時、アーム55は、右側の当接面54cに当接している。次に、図8に示すように、進行方向の反転により、外部電源の接続口が進行方向左側になった場合、電源コード案内装置50は、延長コード43による張力で接続パイプ37の左側に移動し、保持ブラケット51が左側の固定機構36に当接すると共に、アーム55も保持ブラケット51に対して左側に回動して左側の当接面54cに当接する。この状態でアーム55の先端部55bは、芝刈機1から左側に大きく突出しており、これにより、延長コード43と作業者との距離が大きく離間することで、延長コード43が芝刈作業の妨げとなることがない。なお、延長コード43による張力が不十分で、保持ブラケット51が接続パイプ37の左側(もしくは右側)に移動しない場合は、作業者が移動させることも可能である。同様に、延長コード43による張力が不十分で、アーム55が左側(もしくは右側)に回動しない場合は、作業者が回動させることも可能である。
【0028】
次に、電源コード案内装置50を装着した芝刈機1を保管する場合について説明する。保管する場合、まず、グラスキャッチャ38を装着部12から取り外す。次に、図10に示すように、ハンドル部30を収納位置まで回動させ、この状態で装着部12の端面を床面に接地させた状態で保管する。この際、図9に示されるように、電源コード案内装置50を、アーム55が芝刈機1の左右方向に突出しない位置に移動しておくことで、保管スペースが大きくなることがない。また、アーム55が芝刈機1の左右方向に突出していないことで、隣接して保管される部材に接触して損傷することがない。
【0029】
また、電源コード案内装置50を取り外す場合は、接続パイプ37に対して保持ブラケット51を取外し方向に引っぱり、舌部52aを弾性変形させることで、簡単に取り外すことができる。さらに、取付ける場合においても、接続パイプ37に対して保持ブラケット51を取付け方向に押圧して舌部52aを弾性変形させることで、簡単に取付けることができる。
【0030】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の技術的範囲に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々なる形態に変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、電源コード案内装置50はハンドル部30に装着したが、本体部10に装着することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 芝刈機、10 本体部、11 ハウジング、12 装着部、21 リール刃、30 ハンドル部、31 把持部、31a 上側部材、31b 下側部材、32 スイッチ、32a ロックボタン、33 ハンドル支持部、34 大径パイプ、35 小径パイプ、36 固定機構、37 接続パイプ、38 グラスキャッチャ、41 電源コード、41a 雌端子、42 給電コード、43 延長コード、50 電源コード案内装置、51 保持ブラケット、52 装着部、52a 舌部、53 支柱部、54 支持腕、54a 腕部、54b 壁部、54c 当接面、55 アーム、55a 基端部、55b 先端部、57 コードガイド、57a 環状部材、57b クリップ、58 座金、59 ネジ、61 前方車輪、62 後方車輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10