(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連続する複数の時間セグメント値について、特定された前記少なくとも1つのオフ期間の各々の存続期間の間にて、150ミリ秒未満の変化が検出される場合、特定された前記少なくとも1つのオフ期間の存続期間は、ほぼ同じである、請求項10に記載の方法。
前記供給電圧及び前記モータと電気的に繋がるスイッチングデバイスの点弧角が閾値点弧角を下回ると、前記点弧角を調節する工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【背景技術】
【0006】
2.背景技術
【0007】
ポンプジャックは、油井(oil well)の下げ孔(downhole)に設置されたピストンポンプを往復運動させる地上の駆動装置である。ポンプジャックは、液体がそれ自身で地表面へ向けて流れる程十分な坑底圧(bottom hole pressure)がない場合、液体を井戸から機械的に持ち上げる。ポンプジャックは、大抵の場合、公共電力網(electric utility grid)から給電される電気モータで動く。ポンプジャックは、モータの回転機構を垂直往復運動に変換して、坑井内ホールポンプ(downhole pump)を駆動する。様々な設計のポンプジャックが存在しており、従来型、Lufkin Mark II型、ビームバランス(beam-balanced)型、エアーバランス(air-balanced)型、斜孔(slant hole)型や従来の可搬型があるが、これらに限られない。ポンプジャックは様々な供給業者から市販されており、Lufkin Industries社(テキサス州ラフキン)やCook Pump社(カンザス州コフィービル)が含まれる。
【0008】
ポンプジャックの電気モータは通常、一連のプーリーをギア機構又はギアトランスミッションに対して回転させる。次いで、ギア機構又はギアトランスミッションは、一対のクランク又はクランクアームを駆動する。典型的な従来型ポンプジャックの設計では、クランクは、レバー又はビームの一端を上げ下げする。このレバー又はビームは、「移動ビーム(walking beam)」として知られ、サンプソンポスト又はA字形フレーム上に枢支されている。「ホースヘッド(horse head)」として知られる湾曲した金属製ボックスが、移動ビームの他端に存在しており、クランクアームは、そこからビームと接続される。通常、カウンターウェイト又は往復質量が、クランクの一端に取り付けられる。通常、ピットマンアーム(pitman arm)が、カウンターウェイトと、ホースヘッドとは反対側の移動ビーム端部との間に架かっている。ケーブルが、ホースヘッドを垂直な研磨ロッド(polished rod)に接続している。研磨ロッドは、坑井内ポンプに及ぶ管又はサッカーロッド(sucker rods)の垂直な列に接続されている。
【0009】
カウンターウェイトは、モータがサッカーロッドの列又は管の列を持ち上げるのを助力する。モータがカウンターウェイトを持ち上げると、ホースヘッドは下方に移動し、サッカーロッド又は管の列を押し下げる。カウンターウェイトは、その回転の最上位置に達した後に、カウンターウェイトの運動量及び質量(運動エネルギー)によってスイングし、モータが移動ビームを反対方向に回転させるのを助力する。カウンターウェイトがその最上位置から下方へ自由落下する際、ホースヘッドは上方へ移動し、サッカーロッドの列を持ち上げる。米国特許第4,051,736号は、油井ポンプを往復運動させる改良型ポンプジャックを提案している。
【0010】
様々な抗井内ポンプの設計が存在するが、抗井内ポンプは従来より、プロダクションチュービングの端部付近に配置したポンプ胴内を往復運動するプランジャ又はピストンを含んでいる。通常、2つの独立したバルブがポンプ作用を達成する。スタンディング逆止バルブがピストンの下でポンプ胴に固定され、ピストンは、トラベリング逆止バルブを備えてよい。ピストンのアップストロークは、スタンディングバルブを開き、トラベリングバルブが閉じたままであると、流体をポンプ胴内に引き込む。ピストンのダウンストロークは、トラベリングバルブを開き、スタンディングバルブが閉じたままであると、流体をポンプ胴から押し上げる。米国特許第3,578,886号、米国特許第4,173,451号、及び米国特許第6,904,973号は、抗井内ポンプを提案している。
【0011】
電気モータがエネルギー発生動作モードに入り得ることがよく知られている。ポンプジャックに用いられる電気モータでは、エネルギー発生モードは、カウンターウェイトと管又はロッドの列とのバランスの状態に応じて、カウンターウェイト回転中の如何なる時でも起こり得る。バランスの状態は、各ストロークにおいてロッド列によって持ち上げられる流体の量及び組成に応じて、ポンプのストローク毎に変動し得る。研磨ロッド及び付属のサッカーロッド又は管の列は、エネルギー発生モードにおいて上下に移動し得る。
【0012】
井戸の所有者は、ポンプジャックのモータが消費する電力量に基づいて電気代を支払わなければならない。消費されたエネルギー量は、エネルギーメータによって測定される。これまで、消費電力量は、アナログ式電気メータによって測定されていた。現在、多くのデジタル式電気メータが使用されている。エネルギーメータは、アナログ設計又はデジタル設計に拘わらず、公益事業会社の裁量で、送電網(power grid)に戻るように供給される発生エネルギーを消費者に帰属させる、又はしないように設定できる。ポンプジャックシステムは、非効率的な発生機であって、発生するのに必要な消費エネルギー量は、発生エネルギーを大きく超える。従って、公益事業会社が発生エネルギーをクレジットするか否かに拘わらず、消費者がエネルギー発生を避けることは常に有益である。
【0013】
発生周期中、モータは、商用電力の線間電圧を超える電圧に達しようとし、これによって電流を反対方向に流す。送電系統によって与えられる負荷がブレーキとして機能し、そうでなければ生じていたであろうモータの加速を制限している。このモータのブレーキ作用は、ポンプジャックの落錘(falling weights)が、ポンプ作用を助力していたであろう更なる運動エネルギーを生じさせることを防止する。この変換された運動エネルギーは、送電系統からの電気エネルギーの代わりとして機能したかも知れない。
【0014】
これまで、技術者達は、発生周期を含んでいたであろうポンプジャックサイクルの一部の間に、ポンプジャックの電気モータをオフにすることによって、かなりのエネルギー量を節約しようとしてきたが、上手くいかなかった。これは、種々の機械スイッチ及びリレーにより試みられてきた。しかし、抗井内ポンプ及び井戸のパラメータが時間と共に変化するので、これらの機械的な解決策は上手くいかなかった。
【0015】
井戸内の流体の流れが、井戸が満ちるに従って変化して、その後「ポンプオフ(pumps off)」し得る。ある場合には、汲み上げられる流体の体積は、ストロークごとに変化し得る。汲み上げられるガス、油、水やスラリー等の物質及び/又は流体の体積、密度、粘度、重量や他の特性の変化は、ロッド列と流体のカラムとを合わせた重量を大きく変更し得る。これによって、システムのバランスとモータの負担に影響を及ぼす。一部の井戸では、管の列が何千フィートもの長さであり得る。異なる流体の井戸への流入は、モータの動作に多大な影響を及ぼすであろう。
【0016】
マイクロプロセッサの導入により、電流及び電圧を監視して電気モータをオフにすることが可能となった。しかしながら、電気モータをオンに戻す場合の問題が知られていた。これまで、様々な開ループの一定の時間遅延が試みられたが、抗井内ポンプと井戸のパラメータが時間と共に変化するので、これらの試みは上手くいかなかった。適切な時間でモータをオンに戻すことができないと、エネルギー節減を減少させるか、又はその他の望ましくない効果を引き起こすことがある。
【0017】
AC誘導モータの負荷が少ない場合、供給される電圧を減少することで、モータをより効率的に動作させてエネルギーが節約される。これは、特に、単相モータで明らかであり、より程度は低いが、三相モータの場合でも明らかである。大きな三相モータは、モータの定格負荷の約3分の1よりも大きいあらゆる負荷において、通常、自ずと効率的である。
【0018】
モータに印加された電圧と電流の間の位相角の変化は、モータが引き出す電力に対して反比例の関係にある。高い位相角は、軽負荷のモータを示し、低い位相角は、重装負荷モータを示す。
【0019】
大半のポンプジャックは、5馬力(HP)と同程度に小さい3相モータ、しかしながら、通常は、20馬力以上である3相モータを使用している。これらのモータは、5秒から12秒の範囲の期間で、周期的に変化する負荷を受ける。通常のポンプストロークの間、モータは、1回又は2回重い負荷と、1回又は2回軽い負荷とを受ける。ポンプジャックの形状とバランスに応じて、落錘(カウンターウェイト又はロッド列の何れか)は、その同期速度を超えてモータを駆動することができ、それにより、それをジェネレータとして機能させる。その時間の間、位相角は、90度を超える。
【0020】
米国特許第6,489,742号は、デジタル信号プロセッサを用いた誘導モータへの電力輸送を含むモータコントローラを提案しており、該デジタル信号プロセッサは、電源電圧(power supply and main voltage)からの現下のモータ負荷への電流供給を、制御要素によって計算及び最適化する。米国出願出願公開第2010/0117588は、AC誘導モータのエネルギーを負荷毎に節約するモータコントローラ及び方法を提案しており、モータが2又はそれより多い負荷ポイントで較正されて、制御ラインを確立し、その後、当該制御ラインが、モータコントローラの不揮発性のメモリにプログラムされる。
【0021】
米国特許出願公開第2009/0046490号は、IGBT/FETベースのエネルギー節約装置、システム及び方法を提案しており、公称線間電圧及び/又は公称家電電圧を下回る所定量の電圧が節約される。米国特許出願公開第2009/0051344号は、TRIAC/SCRベースのエネルギー節約装置、システム及び方法を提案しており、公称線間電圧及び/又は公称家電電圧を下回る所定量の電圧が節約される。米国特許出願公開第2009/0200981号は、AC電圧印加において一定負荷を与えるシステム及び方法を提案しており、変調正弦波(modulating sine wave)の少なくとも2分の1のサイクルの少なくとも1つのターンオン点(turn-on point)が決定され、変調正弦波の少なくとも2分の1のサイクルの少なくとも1つのターンオフ点(turn-off point)が決定され、そして少なくとも1つのターンオン点と少なくとも1つのターンオフ点との間に位置する少なくとも1つのスライス(slice)が除かれる。米国特許出願公開第2010/0033155号は、IGBT/FETドライバ用の電源を提案しており、各IGBT/FETドライバへ個々に絶縁電力(isolated power)を供給する。
【0022】
アルゴリズム及びフィードバック機構を制御するのに広く用いられる技術として、比例-積分-微分(PID)制御がある。一般的に呼ばれるPIDコントローラは、「誤差(error)」に基づいて値を計算する。通常、「誤差」は、測定されるプロセス変数と、所望の設定値又は目標値との差として計算される。PIDコントローラは、プロセス制御変数を調整することによって、誤差を最小にしようと試みる。基本的に、PIDコントローラは、比例、積分及び微分パラメータを有するデジタルフィルターである。比例値は電流誤差に対する応答を決定し、積分値は最新の誤差の和に基づく応答を決定し、そして微分値は誤差が変化してきたレートに基づく応答を決定する。
【0023】
上述の米国特許第3,578,886号、米国特許第4,051,736号、米国特許第4,173,451号、米国特許第6,489,742号、米国特許第6,904,973号、米国特許出願公開第2009/0046490号、米国特許出願公開第2009/0051344号、米国特許出願公開第2009/0200981号、米国特許出願公開第2010/0033155号及び米国特許出願公開第2010/0117588号は、あらゆる目的において、参照によってその全体が本明細書の一部となる。
【0024】
ポンプジャックの電気モータのエネルギー使用を、特にエネルギー発生モード中にて、効率的に管理する要望がある。可能であれば、エネルギー発生モードをほとんど取り除くことが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1に、デジタル信号プロセッサ(DSP)(1)、及びハードウェア入出力のブロック図を示す。DSP(1)は、モータの動作特性を監視し、閉ループ制御下で作動中のモータについて、二乗平均平方根(RMS)電圧の補正を行うことができる。ハードウェア入力(2)は、相ゼロクロス入力(phase zero crossing inputs)(36)、位相線間電圧(phase line voltage)(37)、相モータ電圧(phase motor voltage)(38)及び電流(9)を取り込んでおり、DSP(1)を通過して処理されて、電力制御装置出力(14)を介して電力制御装置に至る。
【0074】
図2に、DSPに基づくモータコントローラ(4)のシステム及び方法のブロック図を示す。先ず、モータコントローラ(4)は、A相、B相及びC相の各々の電圧(37)及び電流(9)を読み、ゼロクロス入力(36)を取り込む。この時点で、電圧(13)及び電流(9)は、コンバータ(62)を用いてアナログからデジタルに変換されてよい。次に、各相についてモータ位相角の計算値(63)が計算されて、監視位相角(5)がもたらされる。次に、予めプログラムされた制御ライン(6)から導かれた目標位相角(10)が、監視位相角(5)と比較される。目標位相角(10)と監視位相角(5)の差は、結果として位相誤差信号(11)(28)を生じさせ、位相誤差信号(11)(28)は、PIDコントローラ(12)によって処理される。PIDコントローラ(12)は、比例、積分及び微分要素を備える。PIDコントローラ(12)からの出力は、TRIAC、SCR、IGBT又はMOSFETなどの電力制御装置(33)を用いて得られるモータ(3)への新たな制御電圧(13)(29)となり、線間電圧(50)が供給されるRMSモータ電圧(13)の電力制御装置出力(14)を、各相についてエネルギー節約が最大となるようにもたらすことができる。
【0075】
この閉ループシステムにおいて、モータ(3)の各相の電圧(13)及び電流は、継続的に監視される。モータコントローラ(4)は、モータへの負荷に応じて、監視位相角(5)を較正制御ライン(6)上の点に導く。この時点で、最大のエネルギー節約が実現される。というのも、制御ライン(6)は、モータ(3)からの既知の較正データに基づくからである。モータコントローラ(4)は、技術者が手作業で電圧(13)を設定するかのように、モータ(3)を制御することができる。違っているのは、DSP(1)は、リアルタイムの負荷の変化に動的に対応し、サイクル単位でこれらの調整ができることである。
【0076】
図3を参照すると、三相システムにおいて、モータコントローラ(4)は、相回転を自動的に決定するのに使用される。線間電圧のゼロ-クロス検知器が、A相線間電圧ゼロクロス(15)とB相線間電圧ゼロクロス(16)との間の角度を正確に測定する。正の相回転(18)について、その角度は公称120度であり、負の相回転(19)について、その角度は公称60度である。
【0077】
図4に、相回転検知のフローチャートを示す。パワー-オン-リセット(POR)(20)の後、モータコントローラ(4)が正の相回転(18)及び負の相回転(19)を決定することは容易である。先ず、A相線間電圧ゼロクロスからB相線間電圧ゼロクロスまでの時間が測定される(39)。次に、その時間が90度よりも大きいか90度未満であるかが判定される(40)。時間が90度よりも大きい場合、ACB回転となる(42)。時間が90度未満である場合、ABC回転となる(41)。モータコントローラ(4)は、同じ基本ソフトウェア及びハードウェアアーキテクチャによって三相モータ又は単相モータを制御できる。三相の場合、モータコントローラ(4)は、相回転に応じて電力制御装置出力(14)を駆動できる。
【0078】
図5に、正駆動の回転用の電力制御装置出力を示す。モータコントローラは、A相線間電圧ゼロクロス(15)のターンオン時間中に、A相電力制御装置出力(14)とB相電力制御装置出力(14)を、楕円(22a)で示すように一緒に駆動する。同様に、モータコントローラは、B相のターンオン時間中に、B相電力制御装置出力(16)及びC相電力制御装置出力(14)を楕円(22b)で示すように一緒に駆動するように、電力制御装置を駆動する。最後に、モータコントローラ(4)は、C相電力制御装置出力(14)のターンオン時間中に、C相電力制御装置出力(17)及びA相電力制御装置出力(14)を、楕円(22c)で示すように一緒に駆動する。
図5及び
図6に示した例は、90度の点弧角/デューティサイクル(23)を表していることに留意すべきである。
【0079】
図6に、負の相回転のTRIAC駆動出力を示す。モータコントローラ(4)は、A相線間電圧ゼロクロス(15)のターンオン時間中に、A相電力制御装置出力(14)とC相電力制御装置出力(14)を、楕円(22c)で示すように一緒に駆動する。同様に、モータコントローラ(4)は、B相線間電圧ゼロクロス(16)のターンオン時間中に、B相電力制御装置出力(16)とA相電力制御装置出力(14)を、楕円(22a)で示すように一緒に駆動する。最後に、モータコントローラは、C相線間電圧ゼロクロス(17)のターンオン時間中に、C相電力制御装置出力(14)とB相電力制御装置出力(14)を、楕円(22b)で示すように一緒に駆動する。
【0080】
図7に、ウィンドウコンパレータのブロック図を示す。DSPベースのモータコントローラは、ウィンドウコンパレータ(88)を用いて、電流波形の正の半分と負の半分の双方のゼロ-クロスを検知する。RMSモータ電圧がモータコントローラによって下げられた場合、電流波形のゼロクロスを検知することは難しい。というのも、電流は、双方の半サイクルのほとんどの部分についてゼロであるからである。先ず、モータ電流が供給され(89)、正の電圧が基準として、正の半サイクル用に供給され(90)、基準として負の電圧が供給される(91)。次に、電流、正の電圧及び負の電圧は、2つのコンパレータ(92)へ与えられて、その後、オペレーション(OR)ゲート(93)を通され、コンポジットゼロ-クロスデジタル信号(94)が生じる。
【0081】
更に、
図8に、ウィンドウコンパレータ(88)の回路図を示す。モータ電流が供給され(89)、正の電圧が基準として、正の半サイクル用に供給され(90)、負の電圧が基準として供給される(91)。次に、正の電圧及び負の電圧として表される電流は、2つのコンパレータ(92)により処理され、その後、ORゲート(93)に渡されて、コンポジットゼロ-クロスデジタル信号(94)が生じる。
【0082】
更に、
図9に、電流波形(95)、正の電圧半サイクル(96)、負の電圧半サイクル(97)及びORファンクション(98)のグラフを示す。
【0083】
図10に、仮想中性点回路図を示す。仮想中性点回路は、三相電力がデルタモードでのみ使用でき、基準として使用するための中性点(neutral)がない状況で基準として使用され得る。仮想中性点回路は、3つの差動-シングルエンド(three differential-to-single-ended)増幅器(77)を備える。相間電圧が高いため、フィードバック抵抗器(80)及びグランド基準抵抗器(81)と共に入力抵抗器(78)が使用され、適切な減衰器(79)を形成する。欠相(loss of phase)の危険があるため、保護ダイオード(82)が使用されて、差動-シングルエンド増幅器(77)を保護する。差動-シングルエンド増幅器(77)は、DC阻止コンデンサ(84)、サミング抵抗器(85)、フィードバック抵抗器(80)を通って、サミングアンプ(83)に連結される。サミングアンプ(83)の出力は、アンプ(27)でブーストされており、これによって、中性点電位にある低インピーダンス出力を供給する。追加の抵抗器がサプライレール(supply rail)を分割するので、サミングアンプ(83)は、交互の正及び負の信号を処理することができる。代替の中性点接続用のジャンパーブロック(87)と共に中性点(86)が利用できる場合には、代替接続が利用できる。
【0084】
図11に、単相用途について電力制御装置出力(14)を示す。A相の出力(14)は、電圧ゼロ-クロス入力(15)から導かれた電力制御装置出力(14)に基づいて、各半サイクルでオンされる。B相線間電圧ゼロクロス及びC相線間電圧ゼロクロスの電力制御装置出力(14)は、DSP(1)で無効であり、そのハードウェアは無くてもよい。電力制御装置出力(14)は、三相の場合のように対にはならない。
【0085】
図12に、Y軸の監視位相角(5)で境界付けされるモータの動作空間(operating space)について、3次元制御ラインを図示する。電圧の低下を示す制御点弧角/デューティサイクル(23)がX軸に示され、モータのパーセント負荷(24)がZ軸に示されている。
【0086】
全てのモータは、動作空間内のパラメトリック制御ライン(25)に沿って動作する。例えば、モータが50%の負荷で、点弧角/デューティサイクル(23)が100度に設定される場合、約55度の位相角(5)が監視される。
【0087】
図12に示されるパラメトリック制御ライン(25)は、5つのパラメトリック動作点(parametric operating point)(26)により定義される。5つのパラメトリック動作点は、左上隅の負荷がかかった状況(44)から、右下隅の無負荷の状況(45)に及ぶ。更に、パラメトリック制御ライン(25)は、特別な意味を有する。というのも、モータができるだけ最小のエネルギーを使用している線であるからである。点弧角/デューティサイクル(23)が増大し、モータ電圧(13)が低下するならば、モータは減速し、ストール(stall)するかも知れない。同様な結果は、モータ(3)への負荷が増えると、みられるであろう。
【0088】
図13に図示するように、パラメトリック制御ライン(25)はパラメータで表されて、垂直方向の位相角(5)と、水平方向の点弧角/デューティサイクル(23)とで示される1平面上に投影され得る。
【0089】
更に、
図14に示すように、パラメトリック制御ライン(25)は、2次元グラフに表示され得る。X軸上での点弧角/デューティサイクル(23)の増大は、モータ電圧の低下とみなされてよい。これは、小さな点弧角/デューティサイクルは高電圧をもたらし、大きな点弧角/デューティサイクルは低電圧をもたらすからである。モータコントローラは、監視位相角(5)を、モータの現在の負荷に対応した制御ライン(25)上の点へ駆動する。これを達成するために、DSPは、電圧と電流との間の位相角(5)を計算する。
【0090】
図2のブロック図に戻ってこれを参照すると、DSP(1)は、RMS電圧(13)の現在値、即ち点弧角/デューティサイクルの現在値に基づいて、次の目標位相角(5)を計算する。監視位相角と目標位相角(10)との差が位相角誤差をもたらし、この誤差が、PIDコントローラ(12)又は類似の装置によって処理されて、新たな制御目標が生成される。この制御目標は、位相角誤差を最小にするような方法で電圧を変える。目標位相角(10)は動的であり、点弧角/デューティサイクルの関数として変化する。
【0091】
上述したように、モータコントローラ(4)は、監視位相角(5)を、モータ(3)の現在の負荷に対応した制御ライン(25)上の点に導く。この動作点(26)は、できるだけ最大のエネルギー節約をもたらす。というのも、制御ライン(25)は、制御されているモータ(3)から直接計算較正されるからである。
【0092】
この較正方法は、半自動較正と呼ばれる。半自動較正は、DSP(1)がモータの制御空間をスイープする(sweep)ことに基づいている。
図15に示すように、制御空間をスイープすることは、DSPが点弧角/デューティサイクル(23)を増加させて、電流(9)及び各相の点弧角/デューティサイクル(23)を、道に沿って離散した点にて記録することを意味する。従って、このようにして、モータのストール点(stall point)(21)の始まりを見ることができる。制御空間(7)をスイープすることで、監視較正データ曲線のはっきりとした直線部分が得られる。当該直線部分は、制御ライン(6)上の点を決定するために使用され、点弧角/デューティサイクル(23)がより低いところで一定の負の傾きを有する。点弧角/デューティサイクル(23)が増え続けるにつれ、電流(9)は横ばいになり(flatten out)始め、モータ(3)がスリップし始め、そしてストールし始めると、実際に増加し始める。これは「屈曲点(Knee)」(31)と呼ばれる。
【0093】
図16に示すように、次のスイープは、モータ電圧のより狭い範囲に向けられて、屈曲点を「ズームイン(zoom in)」することができる。モータコントローラ(4)は、統計的に正確なデータを得るために、複数回のスイープを必要とする。スイープの回数と制御ライン(25)の較正に要求される時間との間にはトレードオフがある。較正の質の度合いは、周知の統計プロセスを用いてDSP(1)によって維持することができ、必要に応じて、スイープを追加することができる。これは、DSP(1)は、最初のスイープにより、屈曲点(31)のおおよその位置を知っているので事実である。
【0094】
半自動スイープの間、ストールの危険性はほとんどない。というのも、セットアップ環境が制御されているためである。技術者又は操作者は、半自動較正の進行中、試験下のモータ(3)に負荷が突然にかからないようにする。
【0095】
制御空間をスイープするプロセスは、任意の一定負荷時に実行され得る。例えば、一旦モータ(3)に最大の負荷がかかっても、一旦モータ(3)が無負荷となっても、実行され得る。これらの2点は、制御ライン(25)を規定する2点となる。これらの2点において較正を実行する必要はない。DSP(1)は、必要に応じて、これらの2点を超えて制御ライン(25)を延ばす。
【0096】
多くの数値法があり、電流モータ電圧(23)のプロット中にストール点(21)を見つけるために適用することができる。
図17に示すように、「最小二乗」法を用いて、最初の5つのモータ電圧(23)から表にされた蓄積データに最もフィットする直線が計算される。
【0097】
この方法の続きを
図18に示す。先のデータ点を用いることで、電流(9)の値を予測できる。図では、DSP(1)は、予測された直線から正の方向に逸れた1又は複数の点をチェックしている。
【0098】
図19に示すように、DSP(1)は、曲線の屈曲点の始まりを探している。予測される制御ラインから逸れる最初の点は、屈曲点(31)の始まりであるかもしれないし、そうではないかもしれない。最初の点が正の誤差であるなら、それは単にノイズのデータ点であり得る。制御空間(7)をスイープして得られた監視較正データ曲線が向きを変えている(turning)ことを確認する唯一の方法は、スイープを追加して得られたデータを監視することである。
【0099】
半自動較正がフィールド(field)で実行されてよい。
図20を参照して、どのように半自動較正が実行されるかを示すフローチャートを示す。先ず、モータ(3)は、重い負荷のかかる設定に置かれる(44)。この設定は、最大定格負荷(fully rated load)の50%よりも大きいことが理想である。次に、モータコントローラ(4)の較正ボタン(32)が押されて、DSP(1)に最大負荷測定を実行するように命令する。DSP(1)は、較正を実行する(46)。モータ(3)の動作空間を調べて最大負荷点を決定するためには数秒を要する。モータコントローラ(4)は、LEDを光らせることによってこのステップが終了したことを示す。
【0100】
次に、モータ(3)は、無負荷の設定に置かれる(45)。この設定は、定格負荷の25%よりも小さいことが理想である。それからモータコントローラ(4)の較正ボタン(32)が押されて(47)、DSP(1)に無負荷測定を実行するように命令する。DSP(1)は、較正を実行して(46)、無負荷点を決定する。モータコントローラ(4)は、発光ダイオード(LED)を光らせることによって、制御ライン(25)の両端の較正(47)が終了したことを示す。DSP(1)は、2つの測定を用いて制御ラインを決定し(48)、モータ(3)を管理する場合に、この制御ラインを利用する。制御ライン(25)の値は、不揮発性メモリに記憶される(49)。
【0101】
図21は、半自動較正のより詳細なフローチャートを示す。先ず、第1較正スイープが最初のスイープであるのか、それとも以前にスイープが実行されたのかに応じて(106)、モータ電圧をある角度に設定して(51)、第1較正スイープが実行される(46)。そして、モータコントローラは、屈曲点を検知する(53)までモータを測定する(52)。屈曲点が検知された場合(53)、点弧角/デューティサイクルは2度ずつ減らされ(54)、位相角及びモータ電圧はメモリへ記録される(55)。このプロセスは、位相角及び点弧角/デューティサイクルの計算平均値を得るために(57)、少なくとも4回のスイープを得るように繰り返される(56)。計算スイープに沿う任意のステップ中、屈曲点が検知されなかった場合、点弧角/デューティサイクルは少なくとも1度ずつ増やされ(58)、次のステップが測定される(59)。
【0102】
較正のための代わりの方法は、手動較正と呼ばれる。
図22は手動較正のフローチャートを示す。先ず、モータがダイナモメータに置かれる(70)。次に、モータは手動制御のためのコンピュータに接続され(71)、当該コンピュータにより、モータを開ループモードで駆動し、AC誘導モータの点弧角/デューティサイクルを、任意の動作点(operating point)に手動で設定できる。その後、モータは、完全な無負荷設定に置かれる(45)。次に、モータがまさにストールしようとするまで、点弧角/デューティサイクルが大きくされ、RMSモータ電圧は下がる(72)。点弧角/デューティサイクル及び位相角は記録され、これが記録較正点となる(73)。その後、モータは、ドライブ要素が完全な状態で開始される(74)。そして、モータは最大の負荷設定に置かれる(44)。次に、モータがまさにストールしようとするまでモータコントローラによりRMSモータ電圧がチョップされるまで、点弧角/デューティサイクルは増えるか減る(75)。点弧角/デューティサイクルは記録され、これが、別の記録較正点となる(73)。最後に、その2つの測定点を用いて制御ラインが形成される(76)。
【0103】
プログラムされた一定電圧よりもRMS線間電圧が大きい場合、DSPコントローラは、その一定電圧でRMSモータ電圧をクランプするので、エネルギー節約は最大負荷時でさえも可能である。例えば、単相モータの場合において、115Vであるモータの銘板の電圧を電源電圧が超える場合、モータ電圧は115Vでクランプされる。モータ電圧をクランプするこの操作によって、モータが単相又は三相の用途において最大に負荷がかかった場合でさえ、モータコントローラはエネルギーを節約できる。
【0104】
図23は、一定電圧クランプのフローチャートを示す。先ず、位相誤差が計算される(64)。次に、電圧誤差が計算される(65)。それから、AC誘導モータのRMSモータ電圧が決定され、一定電圧閾値と比較される(66)。RMSモータ電圧が一定電圧閾値よりも大きい場合、制御目標がポジティブであるか否かが決定される(67)。制御目標がポジティブである場合、電圧制御ループが実行される(68)。AC誘導モータのRMSモータ電圧が一定電圧閾値よりも小さい場合、制御ライン閉ループが実行され(69)、全プロセスが繰り返される。制御目標がポジティブでないと決定された場合、制御ラインループが実行され(69)、全プロセスが再度繰り返される。
【0105】
幾つかの場合において、較正プロセス中にモータ(3)に最大の負荷をかけることができないことがあり得る。モータが、フィールドに設置される間において達成可能な最大負荷は約50%である。反対に、モータを完全に無負荷にすることができないこともあり得る。達成可能な最小負荷が、軽くても40%であることもあり得る。
【0106】
図24は、両負荷点が動作範囲の中央付近にある例である。制御ライン(25)の右の無負荷端(45)上で、DSP(1)は、電圧の一定電圧クランプ(60)を最小電圧(35)に設定する。モータへの負荷が増すと、DSP(1)は、制御ラインに従って、制御セグメント(61)まで、左に向けて移動する。この実施は保守的なアプローチであり、較正されていない空間で、モータ(3)が駆動することを防止する。
【0107】
図25に更に示すとおり、左の最大負荷端(44)上で、DSP(1)は、大きな負の傾きのある制御セグメント(61)を合成する。この実施は保守的なアプローチであり、電圧を最大で駆動する。
【0108】
図26を参照すると、DSPベースのモータコントローラは、モータがストールするのを防止する特別な手法を用いる。先ず、DSPは、モータへの負荷が増加したことを示す電流(99)の顕著な増加をアクティブに監視する。次に、顕著な増加が確認された場合(100)、DSPは、モータ電圧を最大にする(101)。次に、DSPは、制御へ戻るためにモータ電圧を下げることを試み(102)、DSPは電流の顕著な増加を積極的に監視することに戻る(99)。この技術は、DSPがその時点で知られていない電力要求を探知しようと試みることに代わって、保守的で安全である。
【0109】
図27に更に示すように、これはストール低減手法のグラフであり、モータへの負荷はX軸に表され、時間はY軸に表される。底の線はモータへの負荷を表し(103)、上の線は、DSPによりモータへ適用される電力を表す(104)。a点(105)より前では、DSPは一定の負荷でモータを動的に制御している。a点(105)とb点(30)の間で、モータへの負荷は突然増え、DSPはモータ電圧を最大にする。c点(34)にて、DSPはモータ電圧をd点(43)にまで下げる。
【0110】
図28において、ポンプジャック(30')は、井戸W付近の地上に配置されている。原動機、即ちモータ(6')は、ギア機構、即ちトランスミッション(8')を駆動ベルト(18')で駆動する。モータ(6')は、電力供給用の送電網と接続されてよい。カウンターウェイトアーム、即ちクランクアーム(10')の一端がギア機構(8')に配置されており、カウンターウェイトアーム(10')の他端は、カウンターウェイト、即ち回転質量(12')に配置されている。2本のカウンターウェイトアーム(10')が存在することが好ましく、その間にカウンターウェイト(12')が配置される。レバー、即ち移動ビーム(2')が、サンプソンポスト、即ちA字形フレーム(14')上で枢転する。ピットマンアーム、即ちビームアーム(16')の一端が、ビーム(2')の一端に回動自在に取り付けられており、ビームアーム(16')の他端は回転質量(12')及びカウンターウェイトアーム(10')の端部に回動自在に取り付けられている。ビーム突出部、即ちヘッド(4')は、井戸W付近にて、ビーム(2')の端部に配置されている。理解できるように、ポンプジャック(30')は、従来の設計を有する。
【0111】
ケーブル(20')の一端がビームヘッド(4')に取り付けられており、ケーブル(20')の他端は研磨ロッド、即ちロッド(22')に取り付けられている。ロッド(22')は、略垂直な管の列、つまりサッカーロッド(26')に配置され、サッカーロッド(26')は、抗井内ポンプ(28')に繋がるプロダクションチュービングを通って井戸W内に延在している。管の列は、サッカーロッド、パイプ、管状、又は、他の構成要素を含んでよく、それらは、ポンプジャック、又は他の類似の装置と共に使用されて、井戸から流体をポンプで汲み上げるか持ち上げるのに役立つ。モータ(6')は、水平軸回りにカウンターウェイトアーム(10')の端部を回転させることによってポンプジャック(30')を駆動する。カウンターウェイト(12')が上方に動くにつれ、ビーム(2')がA字形フレーム(14')上にて水平軸回りに枢転し、ビームヘッド(4')を下方に動かす。カウンターウェイト(12')は、その最上位置を通過すると、重力及びその運動量によって下方に自由落下し、ビーム(2')は、A字形フレーム(14')回りに枢転し、ビームヘッド(4')を上方に動かす。ビームヘッド(4')による管の列(26')の押し引きが、抗井内ポンプ(28')においてピストンを動作する。管の列(26')は、井戸W内において略垂直に往復移動する。
【0112】
モータ(6')は通常、エネルギー消費モードにある。しかし、モータ(6')は、落下質量(falling masses)(カウンターウェイト(12')、又はロッド若しくは管の列(26')の何れか)が自由落下するときにエネルギー発生モードにあることで、モータ(6')の同期速度(synchronous speed)を超えてモータ(6')を加速させる。速度は、発生電流により制限される。例示的な従来型のポンプジャック(30')が
図28に示されているが、様々な従来の設計、Lufkin Mark II設計、ビームバランス設計、及び従来のポータブル設計を含む、これらに限られない全てのポンプジャック設計が、本発明の実施形態に用いることができると考えられる。実施形態にはポンプジャックが示されるが、全ての実施形態は、回転質量又は往復質量を有するあらゆる装置に用いられると考えられる。
【0113】
図29を参照すると、開ループモードにあって、
図28のモータ(6')及びポンプジャック(30')のようなポンプジャックに取り付けられた電気モータについて、監視位相角が垂直軸(32')であり、時間が水平軸(34')であるプロット(36')が示されている。
図30乃至
図32Dにより以下に記載される本発明の実施形態は、電気モータに取り付けられていない。従って、モータは、開ループモードである。第2水平線(40')が、垂直軸(32')上の90度の監視位相角に引かれている。プロット(36')が、90度の監視位相角を超える第2水平線(40')よりも上のプロットの第1セグメント(42')にある場合、モータは、エネルギー発生モードにある。モータがエネルギーを消費するのではなく発生している場合、電流は、90度を超える位相角分、電圧に遅れている。発生中の位相角が大きくなる程、発生する電力は大きくなる。モータは、第1水平線(38')よりも下のプロット第2セグメント(44')において激しいエネルギー消費モードにある。第1水平線(38')は、垂直軸(32')上の90度未満の目標位相角に引かれている。目標位相角は、以下にて、
図30及び
図31を参照して詳細に議論される。
【0114】
図30において、閉ループモータコントローラ(50')が模式的に示されている。閉ループモータコントローラ(50')は、
図28のモータ(6')のような電気モータ(62')と接続されており、このモータ(62')は、
図28のポンプジャック(30')のようなポンプジャックと接続され得る。他のポンプジャック設計を、
図30に用いることもあり得る。モータコントローラ(50')はPIDコントローラであってよい。しかし、他の閉ループモータコントローラもあり得る。
図1及び
図2のデジタル信号プロセッサ(DSP)ベースのモータコントローラのような、DSPベースのモータコントローラがあり得る。しかし、他のタイプのDSPベースのモータコントローラもあり得る。閉ループモータコントローラ(50')は、
図1及び
図2に示すのと同じやり方で、モータ(6',62')と接続され得る。マイクロプロセッサベースコントローラも考えられる。ある実施形態では、閉ループコントローラシステムは、構成要素としてPIDコントローラを有してよい。閉ループコントローラシステム又はサーボシステム(48')において、コントローラ(50')は、モータ(62')に供給される電圧及び電流から監視位相角を計算し得る(52')。
【0115】
モータ(6',62')、ポンプジャック(30')又は抗井内ポンプ(28')に、センサが配置される必要がないのが有利である。更に、閉ループシステム(48')は、個々の抗井内ポンプ(28')毎に、そして、時間と共に変化するポンプ(28')及び井戸Wのパラメータ及び要求に適応し得る。変化するパラメータ及び要求には、ガス、油、水及びスラリー等の、ポンプで汲み上げられる物質及び/又は流体の、変化する体積、密度、速度、重量、及び他の特性が含まれるが、これらに限られない。システム(48')によって監視される電圧及び電流は、井戸の状態の指標として機能し、変化する井戸パラメータにシステムが適応することを可能にする。電圧及び電流をほぼ連続的に監視することで、井戸の状態をほぼ連続的に読むことができる。ポンプジャックシステムの既存の構成要素が、異なる特性を有する他の構成要素と取り換えられた場合、例えば、管の列を、異なる重量を有する異なる管の列と取り換えたり、又はカウンターウェイトを異なる大きさのカウンターウェイトと取り換えたような場合でも、閉ループシステム(48')は適応できるが、構成要素が置き換えられた後に機械系がリバランスされる(rebalanced)ことが条件となる。機械系のリバランス後に、本発明の実施形態は、エネルギー節約を再開できる。
【0116】
コントローラ(50')に入力された目標位相角(58')が、計算された監視位相角(52')と比較され、誤差(60')即ち2値間の差がコントローラ(50')によって決定され得る。目標位相角(58')は約90度、又は90度を超えるか90度未満であり得ると考えられる。設定時に、使用中のモータにとって最適な結果をもたらす目標位相角(58')が選択され得る。目標位相角(58')は、全モータ負荷について、65度などのように一定であってよいが、他の一定な目標位相角(58')も考えられる。目標位相角(58')はまた、任意の時点におけるモータ負荷の可変関数であってよい。目標位相角(58')の設定は、可能な限り低い目標位相角であってよく、監視可能な十分な電流の流れを常に維持する一方で、全負荷時のモータの要求を満たすのに十分な電力を供給する。
【0117】
モータコントローラ(50')は、誤差信号(60')に基づいて、モータ(62')に印加される供給電圧(54')を制御し得る。開ループのエネルギー発生モードの周期中などのように、監視位相角が大きすぎるために誤差(60')が大きい場合には、コントローラ(50')は、監視位相角(52')が目標位相角(58')に下げるように、モータ(62')への供給電圧をより低い値に下げる。激しいエネルギー消費モード中などのように、監視位相角(52')が小さすぎるために誤差(60')が大きい場合には、コントローラ(50')は、監視位相角(52')が目標位相角(58')に移るように、モータ(62')への供給電圧(54')をより高い値に上げる。この閉ループシステム(48')において、電圧及び電流は、モータコントローラ(50')によって継続的に監視及び制御され得る。供給電圧(54')は、
図2に示すように、TRIAC、SCR、IGBT又はMOSFETなどの電力制御装置を用いて制御され得ると考えられる。また、コントローラ(50')は、タイマ及びパルス幅変調(PWM)技術を用いて供給電圧を制御する。このことは、
図32乃至
図32Dを参照して以下で詳細に議論される。また、他の技術も考えられる。
【0118】
図30に戻って、コントローラ(50')は、モータ(62')における各相の電圧及び電流を読んで、ゼロ-クロス点をキャプチャする。米国特許出願公開第2009/0046490号の
図5及び
図6は、考えられる電圧ゼロクロス点決定手段のオシログラム及び回路図を夫々提案している。他のタイプの電圧ゼロクロス点決定手段も考えられる。
図2に示すように、監視及び/又は制御のために、1又は複数のアナログ-デジタルコンバータを用いて、電圧及び電流がアナログからデジタルへ変換されてよい。コントローラ(50')は、モータ位相角の計算(52')を実行して、監視位相角を与え得る。コントローラ(50')は、監視位相角(52')を目標位相角(58')と比較して、それに応じてモータ供給電圧(54')を制御し得る。位相角は、1又は複数の相において監視され得る。コントローラ(50')は、相回転を自動的に決定するのに用いられ得る。位相サポート手段及び相回転決定手段の考えられる回路図は、米国特許出願公開第2009/0046490号の
図7に提案されており、複数相の操作が採用されている。
【0119】
更に、電圧は、相−相間で、又は相-中性点間で監視され得ると考えられる。考えられる仮想中性点回路図を
図10に示す。他の仮想中性点回路も考えられる。仮想中性点回路は、3相の電力がデルタモードにおいてのみ利用可能であり、基準として使用するための中性点が存在しない状況において、基準として用いられ得る。ウィンドウコンパレータが、電流波形の正の半分及び負の半分の双方のゼロクロスを検知するのに用いられ得ると考えられる。ウィンドウコンパレータを
図7及び
図8に示す。他のウィンドウコンパレータも考えられる。米国特許出願公開第2009/0046490号の
図8乃至
図10は、考えられる半サイクル識別手段の回路図及びオシログラムを夫々提案している。
【0120】
図31には、監視位相角が垂直軸(32')で、時間が水平軸(34')であるプロット(64')が、
図28のモータ(6')及びポンプジャック(30')のようなポンプジャックに取り付けられる閉ループモードの電気モータについて示されている。
図29に示したような、第1水平線(38')の90度に満たない目標位相角がある。
図29の場合とは異なり、
図31に表された電気モータ出力は、
図30に示すようにモータに配置された閉ループシステム(48')からのものである。
図31のプロットの第1セグメント(70')では、開ループモードにおいて監視位相角は目標位相角を超えているだろう。しかし、閉ループモードでは、プロットの第1セグメント(70')において、誤差信号(60')は、コントローラ(50')によって、モータへの供給電圧(54')を下げて目標位相角(38')を維持するように、制御の成果をもたらす。開ループモードにおいて監視位相角が90度を超えているであろう場合には、監視位相角の大きな値が、
図30の誤差信号(60')の大きな値をもたらす。
【0121】
プロットの第1セグメント(70')の間、モータは、PWM手法を用いて効率的にオフされるが、モータへの電力を実際に切ることはない。この間にもモータを流れる電流があり、これによってコントローラ(50')は、エネルギー消費モード中に必要とされるモータへの供給電圧を何時上げるべきかを知ることができる。電流の実成分は実質的にゼロに下げられ得るが、無効分はゼロを超えたままである。大部分が無効性の電流の流れを、電圧を下げているときに幾らか与えることによって、閉ループ制御システム(48')において負荷状態の指標として用いられる監視可能なフィードバックパラメータが与えられ、それに対してコントローラ(50')が応答して、エネルギー消費段階において必要とされる場合に電力を供給し得る。
【0122】
電流が無効性であるため、残りの電力のみが見掛けの性質(apparent nature)である。電流の流れにより、コントローラは、電流と電圧の間の位相角を継続的に監視することができる。
図29に示されるような開ループモードにおいては、監視位相角が90度を超える最大値であり得る場合、
図31のプロットのほぼ第1場所(66')で、最大のモータ電圧低下が生じる。
【0123】
閉ループモードにおいて、監視位相角が目標位相角を超えた場合、供給電圧は、監視位相角が目標位相角に達するまで、PWM手法を用いて下げられてよい。
図31のプロットの第1セグメント(70')の開始時に、モータコントローラ(50')は、開ループモードからの監視位相角を目標位相角にまで下げる。その後、コントローラ(50')は、監視位相角をほぼ目標位相角に維持する。監視位相角が目標位相角を下回る更なる低下は、負荷の増大として解釈されて、それに対してコントローラ(50')は、目標位相角に再度達するまで供給電圧(54')を大きくすることで応答し得る。モータへの供給電圧の最大の上昇は、監視位相角が目標位相角よりも下がった場合にプロット第2場所(68')にて生じる。カウンターウェイト又は往復質量がモータによって駆動される場合、監視位相角の値は通常、目標位相角よりも小さいので、コントローラ(50')は、モータへの供給電圧を上げるように制御効果をもたらす誤差信号を発生する。第1水平線(38')よりも下のプロットの第2セグメント(44')において、モータは、激しいエネルギー消費モードにある。
【0124】
図32には、受電線間電圧の波形プロット(200)が単相で図示されているが、三相電圧も考えられる。
図32Aでは、PWM手法が用いられて、電圧波形プロットのセグメント(204)をチョップする、又は除く一方、電圧波形プロットのセグメント(202)を残している。
図32Aは、供給電圧の激しいチョップを示しており、電圧波形の大きなセグメント(204)がチョップされている。
図32Bは、PWM手法による電圧波形の軽いチョップを図示しており、チョップされた電圧波形プロットのセグメント(206)は、
図32Aに示されるチョップされたセグメント(204)よりも小さい。
図32Bにおける残された波形プロットのセグメント(208)は、
図32Aにおける残された波形プロットのセグメント(202)よりも大きい。
【0125】
図32Aの激しいチョップは、
図31のプロットの第1場所(66')のような開ループエネルギー発生モードが生じ得る周期中に起こる。
図32Dには、激しいチョップ(210A)の周期が、プロットセグメント(210)に図示されている。
図32Aに示す電圧の低下は、電流の実成分をほぼゼロに下げるが、無効分をゼロを超えたままとする。この周期では、モータが効率的にオフにされる一方で、電流は、位相角を監視する程十分なままとされる。
【0126】
図31のプロットの第2セグメント(44')に生じるような激しいエネルギー消費モードに、モータがある場合、電圧波形のセグメントはほとんど除かれず、モータ供給電圧は、ほとんど
図32に示すようになる。
図32Dにおいて、チョップがほとんどない周期(212A)がプロットセグメント(212)にて生じる。
【0127】
図32Dにおいて、DSPコントローラは、プロット場所(226,228)にて制御モードにある。これらの周期中、モータは、激しいエネルギー消費モードにあるのではなく、また、開ループエネルギー発生モードが生じ得る周期にあるのでもない。制御モードでは、モータ電圧を制御するために、
図32Bに示すような軽いチョップ(226A)が起こり得るか、
図32Cに示すような可変のチョップが起こり得る。これは、モータが軽く負荷をかけられたときに起こり、エネルギーを節約する一方で、モータはエネルギーを消費している。
図32Cにおける可変のチョップは、モータ電圧を制御するために、PWMを用いて大小様々の波形プロットのセグメント(214,216,218,220,222,224)をチョップする。
図32Cにおいてチョップされた電圧波形プロットのセグメント(214,216,218,220,222,224)の大きさは全て異なり、電圧波形プロットのセグメントも全て異なる大きさであってよい。
【0128】
モータコントローラは、軽いチョップ、激しいチョップ、可変なチョップ、又はチョップなし、のあらゆる組合せ又は並べ替え(permutation)を用いて、モータ供給電圧の監視位相角を目標位相角に制御し得ることが理解できるであろう。デジタル信号プロセッサ(DSP)又はモータコントローラは、実質的に一定な監視位相角を維持しようとし、そうするために必要な量をチョップする。DSPは、監視位相角に基づいてモータ電圧を制御する。供給電圧のチョップ量は変化し得る。
【0129】
開ループで動く電気モータがエネルギー発生モードにある場合、送電網で与えられる負荷は、モータへのブレーキとしての役割を効果的に果たし、これによってその速度を制限する。このことは、送電網で与えられる電圧を発生電圧が超えようとすることで生じ、これによって、電流が反対方向に流れるようにもたらされる。閉ループコントローラシステム及び方法が、
図30乃至
図32Dに示すように用いられる場合、このブレーキ作用は効果的に最小化されるか、除かれて、モータ及びシステムは通常、この間に加速するであろう。システムに蓄えられるこの付加的な運動エネルギーは、モータでエネルギーを消費することなしに、ポンプ動作の一部を実行するのに用いられる。エネルギー発生の最小化、又は実質的な防止は、ポンプサイクルの他の部分においてエネルギーを消費する必要性を排除して、これによってエネルギーを節約する。
【0130】
理解できるように、モータに供給される電力は、開ループにおいて生じるであろうエネルギー発生モードの間、「効果的に」オフにされる一方で、電圧及び電流のフィードバック信号を維持して、監視位相角が小さくなる場合に電気モータを何時オンに戻すべきか決定する。このシステム及び方法は、井戸において変化するパラメータに常に適応し、これまでなされ得なかったものである。1つの例として、モータ及びシステムは、異なる密度又は重量を有する2又は3以上の流体をその時々において汲み上げするように適応できる。システムによって監視される電圧及び電流は、井戸の状態の指標として機能し、これによってシステムは、変化する井戸パラメータに適応できる。エネルギー発生モードに入らないことによって、開ループエネルギー発生モードによってもたらされるブレーキ作用は、最小化され得るか除かれ得るので、システムにおいて加速の利点が得られる。別の方法ではシステムによって消費され得るエネルギーを、最小化又は除去することによって、エネルギー節約は、モータへの供給電圧の低下と、発生モード時のモータのブレーキ作用の最小化又は除去との双方に起因してよい。
【0131】
前述の本発明の異なる実施形態に、全ての種類及び設計の電気モータを用いることが考えられ、AC誘導モータ、及びAC同期モータを含むが、これらに限られない。前述の本発明の異なる実施形態に、全ての種類及び設計のポンプジャックを用いることが考えられ、従来設計であるLufkin Mark II設計、ビームバランス設計、及び従来のポータブル設計の全てを含むが、これらに限られない。実施形態がポンプジャックについて示されているが、前述の全ての実施形態は、回転質量又は往復質量を有するあらゆる装置に用いられ得ると考えられる。一部の実施形態は単相電圧及び電流について示されているが、本発明の全ての実施形態は、単相又は多相の電圧及び電流について考えられる。
【0132】
図33を参照すると、ターンオフ方法を実施するモータコントローラ(304)の設置の典型例が示されている。モータコントローラ(304)は、既に説明して、
図1及び
図2に示したように、PIDコントローラベースのDSPであってよいが、既に説明したように、その他の閉ループコントローラでも実施され得る。モータコントローラ(304)は、既存の電気制御パネル(302)と、ポンプジャック(308)を駆動する電気モータ(306)との間に、電気的に接続されて挿入される。電力供給は、需給計器(300)を通って、制御パネル(302)に至る。
【0133】
図34Aは、ポンプジャックを駆動する電気モータから測定された位相角の典型的な時間変化を示している。監視位相角が垂直軸(310)であり、時間が水平軸(明確性のために示さず)であるプロット(314)が、開ループモードでポンプジャックを駆動する電気モータについて示されている。第1水平ライン(312)は、垂直軸(310)上の90度の監視位相角にて引かれている。最初の1ポンプサイクル又はストロークが、最初の時間セグメント(316)の間で生じ、次のポンプサイクル又はストロークが、次の時間セグメント(318)の間で生じ、3番目のポンプサイクル又はストロークが、3番目の時間セグメント(320)の間で起こる。
【0134】
図34Aに示されるように、典型的なポンプストロークの間、ポンプジャックモータは1回又は2回重い負荷と、1回又は2回軽い負荷とを受ける。ポンプジャックの配置と釣り合いによって、落錘(カウンターウェイト又はロッド列の何れか)は、その同期速度を超えてモータを駆動することができ、それにより、それをジェネレータとして機能させる。その時間の間、位相角は、90度を超える。
【0135】
オン-オフ方法の実行を始めるために、一旦、初期化して、モータコントローラは、位相角を監視して、3つの状態の内の1つで作動してよい。
【0137】
オン-オフ方法のステージ1において、ポンプジャックによってモータが受ける負荷プロファイルが評価されて、モータをオフする機会があるか否かを決定して、その機会がある場合、ポンプストロークの間における適切なターンオン又はターンオフの時間を特定する。負荷プロファイルは、位相角の変化によって特徴づけられ得る。エネルギー発生時間の間に、モータをオフする場合、モータは加速して、それにより負荷プロファイルを変える。それ故に、この変化を特徴づけることが望ましい。これは、オン―オフプロセスの効果に近い近似として、モータに閉ループPID制御プロセス(「重いチョッピング(heavy chopping)」)を施すことによって実施される。
【0138】
図34Bは、モータへの閉ループPID制御プロセスの効果とその負荷プロファイルを示している。最初のプロットセグメント(322)の間、
図34に示すように、モータは、完全な未修正の供給線電圧が供給されて、その期間、位相角が監視される。位相角が、例えば、プロット位置(326)に示された70度といった、所定の閾値を越えていることが観測された場合、モータは、軽い負荷を受けており、エネルギー発生状態に入る寸前であると考えられる。この瞬間は、将来のポンプストロークにおいて、起こり得るターンオフ時間として特定される。閾値を越えると、閉ループPIDコントローラプロセスが駆動し、60度などの一定の目標位相角にて引かれた第2の水平ライン(313)で示されるように、モータ電圧を目標位相角になるように制御する。他の目標位相角も考えられる。目標位相角が、一定ではないこともあり得るが、それはモータの負荷の状態に依存して変化するであろう。
【0139】
閉ループPID制御プロセスの間、十分な電流が維持されて、閉ループ制御システムに監視可能なフィードバックが提供される。負荷の増加が、プロット位置(328)に示すような特定の閾値以上の供給電圧の増加を伴うまで、閉ループPID制御プロセスは動作状態のままにされる。これは、TRIAC、SCR、IGBT又はMOSFET等のスイッチングデバイスを制御するために用いられる点弧角において、90度のような所定の閾値を下回る低下によって特定されてよい。この瞬間は、将来のポンプストロークの起こり得るターンオン時間として特定される。この閾値点弧角を超えると、プロット配置(330)に示された軽い負荷状態が再び特定されるまで、完全に未修正の線間電圧が、モータへ戻されてよい。
【0140】
上記の測定が一貫していることを保証するために、上記のプロセスは、4ストロークなどの数回のポンプストロークが繰り返されてよい。変更されたポンプストロークの期間と、ストローク中の特定されたターンオフ時間及びターンオン時間とが、繰り返されるストロークの間で比較されてよい。監視された幾つかのストロークの全ての測定において、近い又は繰り返しの相関関係が観測された場合、システムは、開ループオン−オフ状態に入るのに適していると考えられ得る。近い相関関係又は基準は、ポンプストロークの期間において200ミリ秒(ms)を超えない変化であると考えられ得る。他の相関又は基準は、ターンオン時間及びターンオフ時間において150msを超えない変化であると考えられ得る。その他の相関又は基準も考えられる。相関要件が満たされない場合は、システムは、ステージ1のままであり、必要とされる相関関係が観測されるまで、閉ループPID制御プロセスが用いられ続ける。
【0141】
典型的なポンプジャックのポンプストロークは、通常、モータがオフにされ得る又は2つの期間を有する。これらの2つの期間は、タイミングと存続期間において、夫々が異なるように取り扱われてよい。2つの期間の内の何れか一方又は両方は、オン−オフ状態に入るための基準に一致し得る。シングルポンプストロークにおける軽い負荷又は発生モードの3以上の期間があってよいが、2つの最も長い期間だけが、何らかの意味のあるエネルギー節約を提供すると考えられている。追加の期間は、通常、モータが「ポンプオフ(pumped-off)」状態のときに、短く生じるだけである。最小オフ時間の設定又は必要要件が維持されて、この目標を超える2つのオフ時間の最大値を支持する。より多いオフ時間を支持する実施も考えられる。追加の発生条件が監視される場合、システムは、これらの時間の間、閉ループPIDを作動する。
【0143】
オン−オフ状態になると、各ポンプストロークの間、位相角が監視されて、ステージ1の間に予期された時間に、確立されたターンオフ閾値を超えることを確実にしてよい。位相角が(上述したような合理的な所定のマージン内で)予想したタイミングと一致しない場合、そのタイミングは、閉ループPID制御状態の間に確立されているので、負荷プロファイルを変更することが考えられ得る。制御システムは、ステージ1に戻って、その測定が繰り返されてよい。
【0144】
予期されたタイミングが満たされる場合、モータに印加された電圧が、
図34Cに示されるようにほぼ即時に、且つ完全にオフにされてよい。ステージ1の間に計算された存続期間の間、オフのままにされてよい。プロット場所(324)のように、オン状態に戻った後、ほぼ即時に監視位相角が評価されて、所定の理想位相角値と比較されてよい。この理想位相角は、オン状態に戻った後で、モータが、エネルギーを発生せず、或いは、即座に過度のエネルギーを消費しないことを保証する。この理想とする位相角値は、75度であるが、他の値も考えられる。
【0145】
監視された値が、この理想値を超える場合、電圧がより長い間、オフのままにできていたと考えられる。監視された位相角値がこの値よりも小さい場合は、電圧がより早くオンにできていたであろう。オフの存続期間が調節されて、次のストロークにおける動作を最適化してよい。モータに印加された電圧は、次の予期されたオフ時間まで、完全にオンのままにされてよい。オン-オフ状態は、監視できる位相角で表されて、
図34Cに示される。供給がオフにされると電流がないので、これらの期間の間に監視できる位相角は存在しない。
【0147】
負荷プロファイルの時間に渡った段階的なドリフト(drift)を許容するために、コントロールシステムは、周期的に、ステージ1に戻り、閉ループPID制御プロセスを再評価してよい。これは、2分毎に行われてよい。他の時間も考慮されてよい。1回のポンプストロークの後で、閉ループPID制御方法において、変化がほとんど発見されないか、全くない場合、時間要件に僅かな調節が行われ、制御システムは、更なるオン-オフストロークのために、ステージ2に戻ってよい。タイミングに大きな変化が発見された場合、上記で説明したように、一致したタイミングパターンが、数回の連続したポンプストロークに渡って発見され得るまで、システムは、閉ループPID制御状態を維持されてよい。
【0148】
図35は、所定の期間において、供給電圧をオフにして、それをオンに戻す方法のステップの要約版である。更なるステップ、又はより少ないステップも考えられる。その他のステップもあり得る。第1ブロック(330)において、システムが初期化されて、ポンプジャックモータの位相角が監視される。ステージ1に対応する第2ブロック(332)において、閉ループPID制御へのモータの応答が、幾つかのポンプストロークに渡って評価される。モータをオフすることが実行可能なポンプストロークの期間が特定される。第3ブロック(334)において、数回のストロークに渡る測定の一貫性が評価される。ステージ2に対応する第4のブロック(336)において、各ポンプストロークが、ステージ1の閉ループPID制御プロセスの間に予期されたほぼ同様の振る舞いを示す場合、モータは、連続するポンプストロークの所定の期間の間に、オフにされる。ステージ3に対応する第5ブロック(338)において、システムの任意の変化を調節する所定期間の後、システムは、ステージ1の閉ループPID制御プロセスに戻る。
【0149】
理解できるように、オン−オフ方法は、監視位相角に基づいてポンプジャックモータの負荷の予期される変化を監視して特徴づける手段を提供する。一旦、負荷が特徴づけられると、方法は、各ストロークの部分の間に、モータをオフすることによって、エネルギーを節約するための機会が存在するかどうかを決定する。この方法は、この機会が連続するポンプストロークの間にていつ起こるべきかを予測して、モータをオフにして、それを再びオンする条件として、連続するポンプストローク内で満たすべき基準を規定する。本システムと方法は、ポンプジャックの振る舞いにおける段階的な変化に順応的に適合するアルゴリズムを実施し、この振る舞いにおける突然の大きな変化を認識して反応するための保護を行う。
【0150】
本システムと方法は、ポンプジャック用途におけるモータの、負荷の高周期的な変化に有利である。本システムと方法は、モータへの電力が完全にオフにされ得る場合、ポンプストロークの間にてこれらの時間に加えて、電力が再印加される適切な時間を正確に予期する。モータへの電力を完全にオフすることは、より優れたエネルギー節約をもたらすことになる。
【0151】
本システムと方法は、印加電圧と消費電流の間の監視位相角に基づいて、ポンプジャックの負荷の周期的な変化を監視し特徴づける手段を提供する。一旦負荷が特徴づけられると、各ストロークの期間に、モータをオフすることによって、エネルギーを節約する機会が存在するかの決定を行う。本システムと方法は、連続するポンプストロークにおいて、この機会が起こるべき時を予測して、モータをオフして、再びそれをオンする条件として、連続するポンプストロークにおいて満たされるべき基準を決定する。本システムと方法は、ポンプジャックの振る舞いにおける段階的な変化に順応的に適合するアルゴリズムを実施し、この振る舞いにおける突然の大きな変化を認識して反応するための保護を行う。
【0152】
本発明の前述の開示及び記載は、本発明の説明のためのものであり、図示した装置及びシステム、並びに動作の構造及び方法の詳細において、本発明の精神から逸脱しない限り、種々の変更がなされ得る。