(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
洗濯機は、洗濯水と洗剤を使って洗濯布から汚れを落とすための装置のことを意味する。洗濯水に溶解された洗剤による化学的作用を用いて汚れを分離でき、洗濯水の機械的作用や内槽又はドラムの駆動による機械的作用を用いて汚れを分離できる。
【0003】
一般に、洗濯機には洗濯水を加熱するための洗濯ヒーターが設けられている。洗濯水の加熱は、洗剤の活性化を促進し、高温により洗濯布の殺菌効果を高めるために行われる。
【0004】
最近では、エネルギー消耗を低減しながら高温の洗濯環境を作るためにスチームを供給できる洗濯機が多く普及されている。
【0005】
スチームは、沸騰点以上に水を加熱して生成してもよく、この場合には不可視的なスチームが発生するといえる。また、スチームは、沸騰点未満に水を加熱して生成してもよく、この場合には可視的なスチームが発生するといえる。
【0006】
一般に、洗濯機は、洗濯布の収容される内槽(ドラム)が水平軸を基準に駆動して洗濯が行われる水平軸洗濯機を含む。このような水平軸洗濯機は、ドラム駆動により洗濯布に機械的なエネルギーを加えて汚れを分離する。
【0007】
水平軸洗濯機の洗濯環境は、洗濯布が完全に洗濯水に浸っていない状態といえる。したがって、水平軸洗濯機における機械的作用の大部分は、洗濯布同士の摩擦、洗濯布とドラムとの摩擦、洗濯布に加えられる衝撃力などでり、これら機械的作用により洗濯が行われる。勿論、この場合、洗剤による化学的作用によっても洗濯が行われる。
【0008】
洗濯機は、洗濯布の収容される内槽(ドラム)が垂直軸を基準に回転したり、内槽内のパルセータが回転して洗濯が行われる垂直軸洗濯機を含む。垂直軸洗濯機も同様、内槽又はパルセータの駆動により洗濯布に機械的なエネルギーを加えて汚れを分離する。
【0009】
垂直軸洗濯機の洗濯環境は、洗濯布が完全に洗濯水に浸る状態であるといえる。したがって、垂直軸洗濯機における機械的作用の大部分は、水と洗濯布との摩擦や衝撃力などであり、これら機械的作用により洗濯が行われる。この場合にも同様、洗剤による化学的作用によっても洗濯が行われる。
【0010】
このように、垂直軸洗濯機と水平軸洗濯機は、使用する洗濯水の量と洗濯メカニズムにおいて相違している。
【0011】
このような相違にもかかわらず、水平軸洗濯機、垂直軸洗濯機とも、洗濯水を加熱するための洗濯ヒーターを備えている。洗濯水ヒーターを駆動して洗濯水の温度を設定温度まで上げることは周知である。ただし、エネルギーの観点から、多量の洗濯水を設定温度まで加熱することは好ましくないだろう。
【0012】
したがって、洗濯コースにおいて、洗濯水の加熱時点、加熱時点における洗濯水の量、加熱回数、加熱温度などを最適化する必要がある。すなわち、要求される洗濯効果の達成と共にエネルギー消耗の低減は、洗濯機分野における当面の課題といえる。
【0013】
近年、微細昆虫、例えば、家ダニにより発生するアレルギーに苦しんでいる人が多い。特に、乳児はこのようなダニに弱い。そのため、效果的にダニを殺虫できる方案が必要な実情である。
【0014】
このような家ダニは、一般のかびや細菌などとは違い、単に高温の環境のみでは除去し難い。したがって、このようなダニを効果的に除去できる洗濯機が要望されている。勿論、消耗されるエネルギーを最小化する必要がある。
【0015】
ダニを除去するためには一般に、本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水を供給した後、洗濯水を加熱する洗濯方法が用いられている。この場合には、洗濯水の加熱温度が相対的に非常に高くならざるをえず、非常に多いエネルギーが消耗される問題がある。
【0016】
勿論、ダニの除去の他、一般の殺菌洗濯においても同様の問題が発生することがある。
【0017】
したがって、殺菌、殺虫及び洗濯の効果を増大させながらも、エネルギー消耗を低減できる洗濯機及びその制御方法が要望されている。なお、既存洗濯機におけるハードウェアの大きな変更無しで、上記要望を達成できる洗濯機及びその制御方法も望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、基本的に、上述した従来の洗濯機における問題を解決することを目的とする。
【0019】
本発明の実施例により、従来の殺菌洗濯などに比べてエネルギー消耗を效果的に低減できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【0020】
本発明の実施例により、アレルギーを誘発する家ダニを効率よく且つ少ないエネルギーで殺虫できる洗濯機及びその制御方法を提供する。なお、このような効果を有する洗濯コースを使用者が直観的に且つ容易に選択できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【0021】
本発明の実施例により、少ないエネルギーを消耗するスチーム段階を実行できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【0022】
本発明の実施例により、スチームを用いて、洗濯初期に汚れ、洗濯布及び洗剤を効率よくふやかす段階を実行できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【0023】
本発明の実施例により、コースとスチームオプションを使用者が直観的に且つ容易に選択でき、便利に使用できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【0024】
本発明の実施例により、直観的、視覚的及び時間的にスチーム使用の有無を明確に区別できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【0025】
本発明の実施例により、スチーム発生のための洗濯水の水位と本洗いのための洗濯水の水位、スチーム発生のための洗濯水の水位と本洗いのための洗濯水の水位で加熱される洗濯水の温度、及びスチーム段階と本洗い段階、がそれぞれ明確に区別されるようにし、最大のスチーム効果を導出できる洗濯機及びその制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述した目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、洗濯水を加熱して洗濯コースを実行する洗濯機の制御方法において、前記内槽の底面よりは高く、本洗いのための洗濯水の水位よりは低い、スチーム発生のための洗濯水の水位に洗濯水を給水する、スチーム発生のための洗濯水供給段階と、前記内槽を収容する外槽に設けられた洗濯ヒーターを駆動して前記洗濯水を第1設定温度まで加熱し、前記洗濯水からスチームを発生させるスチーム段階と、前記本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水を給水する洗濯給水段階と、前記洗濯ヒーターを再駆動して前記第1設定温度よりは低い第2設定温度まで前記洗濯水を加熱する洗濯水ヒーティング段階と、を含む洗濯機の制御方法が提供される。
【0027】
ここで、前記スチーム発生のための洗濯水の水位は、内槽に収容された洗濯布の一部が洗濯水に濡れる水位であることが好ましい。
【0028】
また、前記第1設定温度は60℃以上であることが好ましい。そして、前記第1設定温度は70℃未満であることが好ましい。
【0029】
また、前記第2設定温度は50℃以上60℃以下であることが好ましい。
【0030】
したがって、前記第1設定温度と第2設定温度は、外部から提供される温水の温度よりは高く設定されることが好ましい。理論的には、外部から50度以上の温水が提供されることもあるが、一般的に、外部から提供される温水の温度は50℃未満の場合が多い。
【0031】
前記洗濯水ヒーティング段階の終了後に、パルセータを駆動して本洗い段階が行われることが好ましい。すなわち、本洗い段階は、スチーム段階と洗濯水ヒーティング段階が順次に行われて終了した後に実行されることが好ましい。
【0032】
前記第1設定温度と第2設定温度は、前記洗濯水ヒーティング段階終了時点の前後に、前記洗濯水の温度が55℃以上で10分以上維持されるように決定されることが好ましい。
【0033】
前記内槽の底面にパルセータが設けられ、前記洗濯水ヒーティング段階は、前記パルセータの駆動がない状態で行われることが好ましい。
【0034】
前記内槽の底面にパルセータが設けられ、前記洗濯水ヒーティング段階は、連続的に前記ヒーターが駆動されるヒーター駆動段階と、前記パルセータが駆動される撹はん段階とを含むことが好ましい。
【0035】
前記ヒーター駆動段階では前記パルセータの駆動が停止し、前記撹はん段階では前記ヒーターの駆動が停止することが好ましい。
【0036】
前記ヒーター駆動段階と前記撹はん段階は順次的に且つ反復的に行われることが好ましい。
【0037】
前記洗濯機の制御方法は、複数個の洗濯コースから特定コースを選択するコース選択段階をさらに含み、前記複数個の洗濯コースは、前記各段階が順次に行われるコース(スチームコース)を含むことが好ましい。
【0038】
前記洗濯機の制御方法は、前記内槽に収容された洗濯布の量(布量)、及び前記コース選択段階で選択された洗濯コースに基づき、前記本洗いのための洗濯水の水位を決定する水位決定段階をさらに含んでもよい。
【0039】
前記スチーム発生のための洗濯水の水位は、前記布量及び前記選択された洗濯コースと関係なく、前記本洗いのための洗濯水の水位よりも常に低く設定されることが好ましい。
【0040】
前記内槽の底面にパルセータが設けられ、前記スチーム発生のための洗濯水の水位は、実質的に前記パルセータの上部まで浸かる水位であることが好ましい。
【0041】
前記洗濯水は前記内槽の上部から前記内槽の底面に向かって給水されることが好ましい。
【0042】
前記スチーム発生のための洗濯水供給段階は、前記内槽の回転と前記パルセータの駆動が停止した状態で行われることが好ましい。
【0043】
前記スチーム段階において前記内槽が回転することが好ましい。
【0044】
前記スチーム発生のための洗濯水供給段階と前記洗濯給水段階では、前記内槽に供給可能な最高水温の洗濯水が供給されることが好ましい。
【0045】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、洗濯水を加熱して洗濯コースを実行する洗濯機の制御方法において、内槽に収容された洗濯布の一部が洗濯水に濡れるように、前記内槽の底面よりは高く、本洗いのための洗濯水の水位よりは低い、スチーム発生のための洗濯水の水位に洗濯水を給水するスチーム発生のための洗濯水供給段階と、前記内槽を収容する外槽に設けられた洗濯ヒーターを駆動して前記洗濯水を第1設定温度まで加熱し、前記洗濯水からスチームを発生させるスチーム段階と、前記本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水を給水する洗濯給水段階と、前記洗濯ヒーターを再駆動して前記第1設定温度よりは低い第2設定温度まで前記洗濯水を加熱する洗濯水ヒーティング段階と、本洗い段階と、を含んでなり、前記洗濯水ヒーティング段階終了の前後に、前記洗濯水の温度が55℃以上で10分以上維持されるように、前記第1設定温度と第2設定温度が決定されることを特徴とする、洗濯機の制御方法が提供される。
【0046】
前記洗濯機の制御方法は、複数個の洗濯コースから特定コースを選択するコース選択段階をさらに含み、前記複数個の洗濯コースは、前記各段階が順次に行われるコース(スチームコース)を含むことが好ましい。
【0047】
前記洗濯機の制御方法は、前記内槽に収容された洗濯布の量(布量)、及び前記コース選択段階で選択された洗濯コースに基づき、前記本洗いのための洗濯水の水位を決定する水位決定段階を含んでもよい。
【0048】
前記スチーム発生のための洗濯水の水位は、前記布量と前記選択された洗濯コースと関係なく、前記本洗いのための洗濯水の水位よりも常に低く設定されるとよい。
【0049】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、洗濯水を加熱して洗濯コースを実行する洗濯機の制御方法において、複数個の洗濯コースから特定コースを選択するコース選択段階と、内槽に収容された洗濯布の量(布量)を感知して本洗いのための洗濯水の水位を決定する水位決定段階と、前記洗濯布の一部が洗濯水に濡れるように、前記内槽の底面よりは高く、前記本洗いのための洗濯水の水位よりは低い、スチーム発生のための洗濯水の水位に洗濯水を給水するスチーム発生のための洗濯水供給段階と、前記内槽を収容する外槽に設けられた洗濯ヒーターを駆動して前記洗濯水を第1設定温度まで加熱し、前記洗濯水からスチームを発生させるスチーム段階と、前記本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水を給水する洗濯給水段階と、本洗いを行う本洗い段階と、を含む、洗濯機の制御方法が提供される。
【0050】
前記洗濯水は、前記内槽の上部から前記内槽の底面に向かって給水されることが好ましい。すなわち、スチーム発生のための洗濯水供給段階及び洗濯給水段階の両方とも、内槽に収容された洗濯布に向って直接給水されることが好ましい。
【0051】
前記洗濯水は洗剤ボックスを通って前記内槽に供給されることが好ましい。したがって、スチーム段階の実行前に、スチーム発生のための洗濯水供給段階で洗濯水と洗剤が洗濯布に供給されることができる。
【0052】
これらの段階は順次に行われるとよい。すなわち、スチーム段階が本洗い段階前に行われることが好ましい。
【0053】
前記複数個の洗濯コースは、前記スチーム発生のための洗濯水供給段階とスチーム段階の実行を選択可能なコース(スチーム可能コース)を含むとよい。そして、前記スチーム発生のための洗濯水供給段階とスチーム段階は、前記スチーム可能コースの選択と共にスチームオプション選択により行われるとよい。すなわち、スチーム可能コースのみ選択されると、スチーム段階が実行されないあらかじめ設定されたコースが行われるとよい。そして、スチーム可能コースとスチームオプションが選択されると、スチーム段階が行われた後、あらかじめ設定されたコースが行われるとよい。
【0054】
前記複数個の洗濯コースは、前記スチーム発生のための洗濯水供給段階、前記スチーム段階及び前記スチームオプション選択が排除されるコース(スチーム排除コース)を含んでもよい。このようなスチーム排除コースは、いかなる場合にもスチーム段階が実行されないあらかじめ設定されたコースでよい。したがって、前記スチームオプションの選択もできないコースといえる。
【0055】
前記複数個の洗濯コースは、前記各段階が順次に行われるコース(スチームコース)を含んでもよい。すなわち、コース選択だけでも自動でスチーム段階が行われるコースを含んでもよい。このようなスチームコースも同様、スチーム段階が実行された後、本洗いが行われることが好ましい。
【0056】
したがって、本実施例に係る洗濯機では、コース選択、又はコース及びスチームオプションによりスチーム段階が行われるとよい。しかし、いずれの場合にもスチーム段階が本洗い段階の前に行われることが好ましい。
【0057】
このようなスチーム段階は、前記本洗い段階よりも先に行われるので、使用者は時間的にスチーム段階の実行有無が明確に把握できる。なお、スチーム段階と本洗い段階とが明確に区別されるとよく、これによっても、使用者はスチーム段階の実行有無が明確に把握できる。
【0058】
一方、前記スチーム段階は、本洗い段階に比べて、水位、及び内槽とパルセータの駆動パターンが顕著に異なっている。なお、前記スチーム段階では可視的なスチームが発生するから、本洗い段階と顕著に相違する。したがって、使用者は直観的にスチーム段階の実行有無が容易に把握できる。
【0059】
前記第1設定温度は60℃以上であってよい。前記第1設定温度は70℃未満であってよい。ここで、前記第1設定温度は、前記洗濯機に提供可能な最高水温の洗濯水温度よりは高いことが好ましい。一般に、温水の提供が可能な洗濯機設置環境で、温水の温度は50℃を上回らない。したがって、充分な量のスチームを発生させるためには、最高水温の洗濯水温度よりは高い温度に第1設定温度が設定されることが好ましい。
【0060】
前記内槽の底面にパルセータが設けられ、前記スチーム発生のための洗濯水の水位は実質的に前記パルセータの上部まで浸かる水位であることが好ましい。
【0061】
このようなスチーム発生のための洗濯水の水位において、内槽の最も底部に位置する洗濯布は洗濯水に浸される。しかし、大部分の洗濯布は、スチーム発生のための洗濯水の水位よりも上部に位置する。スチーム発生のための洗濯水の水位におけるスチーム発生は、洗濯布を迅速に濡らす一方で、洗濯布、汚れ及び洗剤のふやかしを促進する。
【0062】
前記スチーム発生のための洗濯水供給段階では、前記内槽に供給可能な最高水温の洗濯水が供給されることが好ましい。同様に、前記洗濯給水段階では、前記最高水温の洗濯水が供給されることが好ましい。
【0063】
前記スチーム段階は、前記パルセータ駆動がない状態で行われることが好ましい。これは、水位が非常に低いため、パルセータの駆動により洗濯布が損傷することがあるからである。しかし、パルセータ駆動がない状態は、内槽の回転が排除される状態を意味しない。すなわち、スチーム段階で内槽は一定時間回転できる。勿論、構造的に、内槽の回転は、パルセータと一体に回転することを意味できる。したがって、パルセータ駆動がない状態とは、パルセータのみ回転しない状態を意味できる。
【0064】
前記洗濯機の制御方法は、洗濯給水段階の終了後に、洗濯ヒーターを再駆動して前記洗濯水を第2設定温度まで加熱する洗濯水ヒーティング段階を含んでもよい。
【0065】
前記第2設定温度は前記第1設定温度よりも低いことが好ましい。
【0066】
前記洗濯水ヒーティング段階の終了後に前記本洗い段階が行われ、前記第1設定温度と第2設定温度は、前記洗濯水ヒーティング終了時点の前後に、前記洗濯水の温度が55℃以上で10分以上維持されるように決定されるとよい。
【0067】
前記第2設定温度は、50℃以上60℃以下でよい。
【0068】
前記洗濯水ヒーティング段階は、前記パルセータ駆動がない状態で行われるとよい。
【0069】
前記洗濯水ヒーティング段階は、連続的に前記ヒーターが駆動されるヒーター駆動段階と、前記パルセータが駆動される撹はん段階とを含むとよい。前記ヒーター駆動段階では前記パルセータの駆動が停止し、前記撹はん段階では前記ヒーターの駆動が停止するとよい。
【0070】
前記ヒーター駆動段階と前記撹はん段階は順次的に且つ反復的に行われることが好ましい。
【0071】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、洗濯水が貯水される外槽と、前記外槽内に設けられ、洗濯布を収容する内槽と、複数個の洗濯コースを選択するように設けられたコース選択部と、前記洗濯コースの細部オプションを選択するように設けられたオプション選択部と、洗濯水を加熱するように前記外槽に設けられた洗濯ヒーターと、前記内槽に洗濯水を直接供給するように設けられた給水手段と、前記内槽に収容された洗濯布の量(布量)と前記コース選択部で選択された特定洗濯コースに基づいて本洗いのための洗濯水の水位を決定し、前記本洗いのための洗濯水の水位まで給水されるように前記給水手段を制御して本洗いを行う制御部と、を備えており、前記制御部は、前記コース選択部の選択、又は前記コース選択部及び前記オプション選択部によりスチーム段階が行われるように選択される場合に、前記本洗いの前に、前記本洗いのための洗濯水の水位よりも低いスチーム発生のための洗濯水の水位まで給水されるように前記給水手段を制御し、前記洗濯水を第1設定温度まで加熱して前記洗濯水からスチームが発生するように前記洗濯ヒーターの駆動を制御することで前記スチーム段階を行うことを特徴とする洗濯機が提供される。
【0072】
前記コース選択部は、コース選択により前記スチーム段階が自動で行われるスチームコース、コース選択と共に前記スチーム段階を選択してもよいスチーム可能コース、及び前記スチーム段階が排除されるスチーム排除コースを含むとよい。
【0073】
前記スチームコースは、アレルギー誘発物質を除去するように設定されたアレルギーコースを含み、該アレルギーコースが選択されると、前記制御部は、前記本洗いのための洗濯水の水位まで給水した後、前記洗濯水を、前記第1設定温度よりも低い第2設定温度まで加熱するように前記洗濯ヒーターの駆動を制御することが好ましい。
【0074】
前記オプション選択部は、前記コース選択部でスチーム可能コースが選択される場合にのみスチーム段階の実行を選択できるスチーム選択部を含み、前記制御部は、前記スチーム可能コースとスチーム段階が選択されると、前記スチーム可能コースが前記スチーム段階の実行後に順次に行われるように制御することが好ましい。
【0075】
上記目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、洗濯水を加熱して洗濯コースを実行する洗濯機の制御方法において、コース選択、又はコース選択及びスチームオプション選択により、スチーム段階が行われるコースが選択される段階と、前記洗濯布の一部が洗濯水に濡れるように、前記内槽の底面よりは高く、前記本洗いのための洗濯水の水位よりは低い、スチーム発生のための洗濯水の水位に、洗濯水と共に洗剤を前記内槽の底面に向かって給水するスチーム発生のための洗濯水供給段階と、前記内槽を収容する外槽に設けられた洗濯ヒーターを駆動して前記洗濯水を第1設定温度まで加熱し、前記洗濯水からスチームを発生させるスチーム段階と、前記選択されたコースによってあらかじめ設定された本洗いのための洗濯水の水位、又は前記選択されたコースと内槽に収容された布量によって別々に設定される本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水を給水する洗濯給水段階と、前記本洗いのための洗濯水の水位でパルセータを駆動して本洗いを行う本洗い段階と、を含む洗濯機の制御方法が提供される。
【0076】
ここで、前記本洗いのための洗濯水の水位は、選択されるコースと内槽に収容された布量と関係なく、前記スチーム発生のための洗濯水の水位よりも常に高く設定されることが好ましい。
【0077】
また、前記スチーム段階は、選択されるコースと関係なく、常に本洗い段階の実行前に行われることが好ましい。すなわち、スチーム段階が行われた後、追加給水による本洗いが行われることが好ましい。
【0078】
以上実施例に関する具体的な特徴は、互いに矛盾したり排他的でない限り、他の実施例に複合的に具現されてもよい。
【発明の効果】
【0079】
本発明の実施例によれば、従来の殺菌洗濯などに比べてエネルギー消耗を効率よく低減できる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【0080】
本発明の実施例によれば、アレルギーを誘発する家ダニを効率よく且つ少ないエネルギーで殺虫できる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。なお、このような効果を有する洗濯コースを使用者が直観的に且つ容易に選択できる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【0081】
本発明の実施例によれば、少ないエネルギーを消耗するスチーム段階を実行できる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【0082】
本発明の実施例によれば、スチームを用いて、洗濯初期に汚れ、洗濯布及び洗剤を効率よくふやかすことができる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【0083】
本発明の実施例によれば、コースとスチームオプションを使用者が直観的に且つ容易に選択でき、便利に使用できる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【0084】
本発明の実施例によれば、直観的、視覚的及び時間的にスチーム使用の有無が明確に区別される洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【0085】
本発明の実施例によれば、スチーム発生のための洗濯水の水位と本洗いのための洗濯水の水位、スチーム発生のための洗濯水の水位と本洗いのための洗濯水の水位で加熱される洗濯水の温度、及びスチーム段階と本洗い段階、がそれぞれ明確に区別されるようにし、最大のスチーム効果を導出できる洗濯機及びその制御方法を提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0087】
以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例に係る洗濯機及びその制御方法について詳細に説明する。
【0088】
まず、
図1乃至
図3を参照して、本発明の実施例に適用可能な洗濯機の一例について詳しく説明する。同図には垂直軸洗濯機が示されているが、本実施例に係る洗濯機及びその制御方法は必ずしも垂直軸洗濯機に限定されない。
【0089】
図1及び
図2を参照すると、本発明の実施例に係る洗濯機は、外観を形成する筐1と、該筐1の下部に結合されたレッグアセンブリー10と、備えている。
【0090】
筐1は、上面と下面が開放されるようにして洗濯機の側面を構成しているサイドキャビネット2と、サイドキャビネット2の開放された上面を覆うように設けられたトップカバー3と、キャビネット2の開放された下面に設けられたベース5と、を備えている。
【0091】
キャビネット2内には、洗濯水が収容される外槽4と、外槽4の内側に配置され、洗濯布が収容される内槽6と、内槽6を駆動させるモーター8及びモーター8の駆動力を内槽6などに伝達するシャフト8aを含む駆動装置と、外槽4の内部に水を供給する給水手段30と、洗い又は脱水が完了した後、外槽4中の水を排水する排水アセンブリー20と、が配置されている。
【0092】
給水手段30は、トップカバー3に設けられ、洗剤が一時貯蔵される洗剤ボックス32を備えている。洗剤ボックス32は、洗剤ボックスハウジング31内に収容されている。洗剤ボックス32は引出しの形態で洗剤ボックスハウジング31に着脱されるとよい。
【0093】
給水手段30は、給水弁12と給水ホース13を備えている。給水弁12は外部ホース11に連結され、該外部ホース11を通って外部給水源から洗濯水が供給されるようになっている。この時、外部給水源から供給される洗濯水は、淡水(freshwater)が好ましい。
【0094】
給水ホース13は、温水と冷水を供給できる外部給水源に連結されるとよい。すなわち、温水ホースと冷水ホースが別個に設けられているとよい。この場合、給水弁12も、別個に設けられる温水給水弁と冷水給水弁を含むとよい。
【0095】
したがって、給水弁12が開放されると、温水や冷水が個別に又は同時に洗剤ボックス32に供給可能となる。そして、供給された洗濯水は、洗剤と共に内槽6に供給される。
【0096】
洗剤ボックス32は、内槽6の開放された上部に対応するように配置されるとよい。そして、洗濯水は、内槽6の底面に向かって落下するように供給されるとよい。このように洗濯水が供給されると、内槽6に収容されている洗濯布が、落下する洗濯水にある程度濡れるようになる。勿論、洗剤を含有する洗濯水に洗濯布が濡れる。
【0097】
トップカバー3には、洗濯布を投入したり取り出したりするための布出入口3aが形成されている。トップカバー3には布出入口3aを開閉するためのドア40が取り付けられている。ドア40は、フレーム部40aと、フレーム部40aに嵌め込まれているガラス部40bと、を備えている。すなわち、ドア40は、内部が見えるように少なくとも一部がガラス(glass)になっていればよい。
【0098】
また、トップカバー3の一側には、洗濯機の作動を入力したり、洗濯機の作動状態を表示するためのコントロールパネル7が装着されている。すなわち、ユーザーインターフェースが設けられていればよい。
【0099】
外槽4は、キャビネット1の内側上部に複数個のサスペンション15により垂設されている。サスペンション15の一端は、キャビネット1の内側上部に結合され、他端は外槽4の下部に結合されるとよい。
【0100】
内槽6の底面には、外槽4に収容された水の渦流を形成するためのパルセータ9が設けられている。パルセータ9は内槽6と一体に形成され、モーター8の回転時に内槽6とパルセータ9とが共に回転するように構成されてもよい。また、パルセータ9が内槽6と別体として形成され、モーター8の回転時に個別に回転するように構成されてもよい。すなわち、パルセータ9のみが回転してもよく、パルセータ9と内槽6とが同時に回転してもよい。
【0101】
内槽6の上側には、布の偏りにより内槽6が不釣合いになることを防止するためのバランサー12が設けられている。バランサー12は、内部に塩水などの液体が充填された液体バランサーであってよい。
【0102】
外槽4の上側には、布の離脱や水の飛散を防止するための外槽カバー14が設けられている。
【0103】
図2を参照すると、排水アセンブリー20は、外槽4の下面に形成された排水孔26に連結された第1排水ホース21と、水をポンピングする排水ポンプを含む排水ポンプハウジング24と、排水ポンプハウジング24に連結され、排水ポンプによりポンピングされた水をキャビネット2の外部に排水する第2排水ホース25と、を備えている。排水ポンプハウジング24内には、排水ポンプを駆動させるための排水モーターが取り付けられている。排水アセンブリー20は外槽4とベース5との間に配置されている。
【0104】
図3は、
図2のA部分を拡大した図である。
【0105】
図3を参照すると、外槽4の下部には洗濯水を加熱するための洗濯ヒーター50と、ヒーター50の上側を覆うヒーターカバー60とが装着されている。
【0106】
具体的に、外槽4の下部には、洗濯ヒーター50が配置されるようにヒーター装着溝52が凹んで形成されている。ヒーター装着溝52は、外槽4において最も低い箇所に配置されている。そのため、内槽6に供給される洗濯水は、内槽6に形成された通孔を通ってヒーター装着溝52に流入する。なぜなら、内槽6の外周面の他、内槽6の底面にも通孔が形成されているからである。
【0107】
このような外槽4、内槽6及びヒーター装着溝52の位置及び構造から、内槽6に供給される洗濯水はまず最初にヒーター装着溝52に満たされ、次第に水位が上昇するようになる。
【0108】
ヒーター装着溝52の一側下部には排水孔26が形成され、洗濯ヒーター50は排水孔26の上側に配置されている。
【0109】
ヒーターカバー60は板状になっており、洗濯ヒーター50から発される熱に耐えられるように耐熱性を持つ金属材質で作られるとよい。
【0110】
ヒーターカバー60は、ヒーター装着溝52を覆い、外槽4の下面と面一に配置されるとよい。そして、外槽4の下面に洗濯ヒーター50が着座するようにヒーター装着溝52が形成されることで、外槽4の下面は段差が付いている。このようなヒーター装着溝52により、最小の洗濯水で洗濯ヒーター50を常に洗濯水に浸けることが可能になる。
【0111】
一方、外槽4の下面が段差付いている場合、アルファ水流が旨く形成されないことがある。ここで、アルファ水流とは、内槽6の高速回転により、内槽6と外槽4との間における洗濯水が内槽6と外槽4との間に沿って上昇し、再び内槽6の上部に供給される水流のことを意味する。
【0112】
ヒーター装着溝52の存在により、外槽4内に貯水された水の深さが異なり、アルファ水流が旨く形成されないわけである。
【0113】
このような理由で、ヒーターカバー60がヒーター装着溝52の上側を覆うように配置することが好ましい。このヒーターカバー60により、外槽4の下面が実質的に扁平になり得る。言い換えると、ヒーターカバー60により外槽4の下面の段差を解消することができる。
【0114】
ヒーターカバー60により外槽4の下面段差が解消されることによって、アルファ水流が円滑に形成され、洗濯性能の向上が可能となる。
【0115】
ヒーターカバー60は外槽4の下面に締結部材により締結固定可能である。そのために、ヒーターカバー60には複数個の締結孔が形成され、ボルト(図示せず)などの締結部材にて締結されるとよい。
【0116】
ヒーター50は、円筒状の棒が多重折曲した形状になっており、水平に長く配置されるとよい。
【0117】
ヒーターカバー60には洗濯ヒーター50から発する熱を発熱するとともに、洗濯水が供給されるためのヒーターカバー孔62が形成されている。
【0118】
ヒーターカバー孔62は、少なくとも一つが形成されるとよい。本実施例では2個のヒーターカバー孔が形成されているとして説明する。2個のヒーターカバー孔62は互いに異なった形状になっていてもよい。ここでは、ヒーターカバー孔62が楕円形と円形になっているとして説明する。ヒーターカバー孔62は排水孔26より大きい又は等しく形成されるとよい。
【0119】
ヒーターカバー孔62は、排水孔26と重ならない箇所に形成されている。排水孔26の上側が開放されていると、排水初期に排水孔26の上側から空気が流入し、水が流れない空気層による異常騒音が発生することがあるわけである。
【0120】
そのため、ヒーターカバー60は、排水孔26の垂直方向の上部全体を覆うように形成され、ヒーターカバー孔62が排水孔26と連通しないようにヒーターカバー孔62は排水孔26と重ならないようにして配置されるのが好ましい。すなわち、ヒーターカバー孔62の周縁は、排水孔26の周縁から垂直及び水平方向にそれぞれ所定間隔を置いた箇所に形成されるのが好ましい。
【0121】
排水ポンプが作動して排水が始まると、外槽4中の洗濯水が排水ポンプによりポンピングされる。ポンピングされた洗濯水は、排水孔26、第1排水ホース21、排水ポンプ、第2排水ホース25を順に通って外部に排水される。
【0122】
この時、外槽4中の洗濯水はヒーターカバー孔62やヒーター装着溝52を通って排水孔26の方に流入可能である。
【0123】
また、ヒーターカバー60が排水孔26の上側を覆っているため、排水孔26の垂直方向の上部は洗濯水で常に満たされる。
【0124】
したがって、排水初期や排水流量が少ない場合にも、排水孔26の上部に空気が流入する空間がなくなる。
【0125】
排水孔26の上部に空気が流入しないから、空気層による異常騒音の発生が防止され、洗濯機の静粛運転に寄与可能となる。また、空気流入の防止により、ポンピング性能も向上可能となる。
【0126】
図4は、本実施例に係る洗濯機のブロック図である。
【0127】
洗濯機の作動は制御部7aにより制御される。制御部7aは、
図1に示したコントロールパネル7内に組み込まれているとよい。
【0128】
制御部7aは、コントロールパネル7に設けられたコース選択部100及びオプション選択部140から入力される信号に基づいて洗濯機の作動を制御できる。すなわち、コース選択部100で選択されるコースとオプション選択部140で選択されるオプションに応じて、洗濯機が作動をする。
【0129】
選択されたコースとオプションに関する情報、時間情報、及び現在状態情報は、制御部7aの制御によってディスプレイ150に表示されてよい。
【0130】
制御部7aは給水弁33の駆動を制御できる。この給水弁33を制御することで、供給される洗濯水の量を制御できる。また、給水弁33は、温水給水弁及び冷水給水弁を含むとよく、この場合、給水弁33を制御することで、給水される洗濯水の温度を制御できる。
【0131】
制御部7aは、洗濯ヒーター50の駆動を制御できる。そのため、洗濯ヒーター50の過熱を防止でき、且つ、洗濯水が所望の温度まで到達するように洗濯ヒーター50を駆動させることができる。
【0132】
制御部7aは、モーター8の駆動を制御できる。したがって、モーター8を制御することで、モーターの駆動時点とモーターの駆動パターン(例えば、内槽の回転、パルセータの回転、内槽の脱水回転)を適切にすることができる。
【0133】
制御部7aは、排水ポンプ24の駆動を制御できる。これにより、排水が必要な時点に排水が可能となる。
【0134】
制御部7aは、水位センサー70と温度センサー71に常に信号接続されている。そのため、センサー70,71から特定時点に所望の水位情報と温度情報を受信することが可能になる。
【0135】
制御部7aは、水位センサー70から供給される水位情報に基づき、給水弁33の駆動を制御できる。そのため、目標の水位まで洗濯水を供給することが可能になる。
【0136】
制御部7aは、温度センサー71から供給される温度情報に基づき、給水弁33の駆動を制御できる。そのため、目標の温度を有する洗濯水を供給することが可能になる。
【0137】
また、制御部7aは、温度センサー71から供給される温度情報に基づき、洗濯ヒーター50の駆動を制御できる。そのため、供給された洗濯水の温度を目標の温度まで加熱することが可能になる。
【0138】
図5は、本実施例に係る洗濯機におけるコントロールパネル7の一例を示す図である。
【0139】
洗濯機は、様々な洗濯布を洗濯するべく、複数個の洗濯コースが選択されて行われるようになっている。また、洗濯の他、機能性を提供するために複数個の洗濯コースも選択されて行われるようになっている。したがって、使用者が複数個の洗濯コースから所望の洗濯コースを容易に選択できるようにすることが好ましい。
【0140】
本実施例に係る洗濯機は、洗濯水を加熱する洗濯ヒーター50を備えている。なお、洗濯ヒーター50を用いてスチームを発生させ、スチームが内槽6に供給されるようになっている。
【0141】
洗濯ヒーター50を用いたスチームの発生は、付加的なエネルギーの消耗につながる。そのため、使用者がスチーム使用の有無を明確に把握できるようにすることが好ましい。そこで、本実施例では、スチームに関連して様々なコースを提供する。
【0142】
コース選択部100が、複数個のコースの中から特定コースを選択するために設けられている。
【0143】
複数個のコースは、スチーム可能コース110を含んでいる。すなわち、スチームの使用が可能なコースを含んでいる。使用者がスチーム可能コース110からいずれかのコースを選択すると、選択されたコースが実行される。この場合、制御部7aは、プログラミングされた通りに、洗濯機がコースを実行するように制御できる。
【0144】
例えば、スチーム可能コース110は、一般(normal)コースを含むことがある。この一般コースのみを使用者が選択すると、プログラミングされた通りに、洗い、すすぎ、及び脱水といった一般コースが実行されるはずである。
【0145】
一方、使用者は、スチーム可能コース110の選択と共に、スチーム使用をさらに選択してもよい。すなわち、コースのオプションとしてスチームを選択できる。これはオプション選択部140で行われるとよい。具体的には、オプション選択部140は、スチーム使用を選択できるスチームオプション141を含んでいるとよい。
【0146】
例えば、使用者が一般コースとスチームオプションを選択すると、一般コースと共にスチーム段階が行われる。その詳細については後述する。
【0147】
複数個のコースは、スチーム排除コース130を含むこともある。すなわち、スチームの使用が不可能なコースを含んでもよい。スチーム排除コース130は、スチームが使用できないコースといえる。すなわち、コース自体にスチーム段階が含まれないようにプログラミングされるとよい。
【0148】
また、上記のスチームオプション140がスチーム排除コース130と共に選択されないようにしてもよい。したがって、スチーム排除コース130、例えば、ウールコースが選択される場合、使用者がスチームオプション141を選択できないようにオプション選択部140又はコントロールパネル7が制御されるとよい。
【0149】
複数個のコースはスチームコース120を含むこともある。すなわち、スチームが自動で使用されるコースを含んでもよい。すなわち、コース自体にスチーム段階が含まれるようにプログラミングされるとよい。
図5には、アレルギーコース121とタブ洗浄コース122がスチームコース120の一例として示されている。その詳細については後述する。
【0150】
図6及び
図7は、本実施例に係る洗濯機の制御方法を簡略に示すフローチャートである。
【0151】
図6は、スチーム可能コース及びスチームオプションが選択された場合を示しており、
図7は、スチームコースが選択された場合を示している。
【0152】
基本的に、洗濯機は、複数個の洗濯コースから特定コースが選択(S1)されることによって作動を開始できる。ここで、洗濯コースは、洗濯機に提供するコースを意味するもので、必ずしも洗濯布を洗濯するためのコースを意味しない。なお、洗濯コースは、開始から終了まであらかじめプログラミングされた順序に従って自動で行われる洗濯機の一連の動作を意味する。一般に、洗濯コースは、洗い行程、すすぎ行程、及び脱水行程を含み、これらの行程が自動で実行されて終了するようになっている。
【0153】
本実施例に係る洗濯機では、外槽4の下部に設けられている洗濯ヒーター50からスチームを発生するようになっている。なお、スチーム発生のための洗濯水の水位は、水洗い(洗濯水による洗濯)の水位とは異なるように設定され、制御されるとよい。また、スチーム段階は、水洗いとは実行時点を異なるように設定されるとよい。すなわち、両者が時間的に明確に分離されるように設定されるとよい。
【0154】
上述したように、タブ洗浄コース122以外のコースは基本的に、洗濯水を用いた洗濯がなされる。すなわち、水洗いが行われる。このような水洗いでは、充分な量の洗濯水が供給される必要がある。特に、水による洗濯メカニズムが行われる垂直軸洗濯機において、洗濯水の量は洗濯効果と密接な関係がある。
【0155】
したがって、水洗いをする洗濯コースでは、内槽又はドラムに収容された洗濯布の量(布量)を感知し、本洗いのための洗濯水の水位を決定する水位決定段階S2が行われるとよい。言い換えると、複数個の洗濯コースの中から特定コースを選択するコース選択段階S1の後に、布量に基づく本洗いのための洗濯水の水位が決定(S2)されるとよい。勿論、タブ洗浄コースのような場合では、S2段階は省略されてもよい。なぜなら、布量に関係なく本洗いのための洗濯水の水位があらかじめ設定されていいからである。
【0156】
ここで、本洗いと本洗いのための洗濯水の水位は、選択された特定コースのメイン洗濯行程とこれを行うための洗濯水の水位を意味する。すなわち、本洗い段階は、洗剤の化学作用、及び内槽、ドラム又はパルセータの駆動による機械的な作用により水洗いが本格的に行われる段階のことをいう。
【0157】
したがって、本洗い段階で最適の洗濯効果を得るには、洗濯布に基づく最適の洗濯水の量、すなわち、本洗いのための洗濯水の水位が決定されるのが好ましい。
【0158】
本実施例に係る洗濯機の制御方法によれば、本洗いを行う前にスチーム段階S4が行われることが好ましい。また、本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水が給水される前にスチーム段階S4が行われることが好ましい。すなわち、洗濯コースが選択され、本洗いのための洗濯水の水位が決定されると、本洗いの実行前にスチーム段階が行われることが好ましい。
【0159】
このようなスチーム段階と本洗いとの先後関係は、
図6及び
図7に示すように、スチームコースかスチーム可能コースかに関わらずに適用されることが好ましい。これは、スチーム段階により、少ないエネルギーの使用で殺菌効果と洗濯効果が顕著に増大できるからである。この先後関係は、タブ洗浄コース122にも適用可能である。タブ洗浄コースは布量と関係はないが、本洗いを含むことができ、この場合にも本洗いのための洗濯水の水位があらかじめ設定されるはずである。したがって、本洗いのための洗濯水の水位まで給水する前にスチーム段階が行われてもよい。
【0160】
以下では、スチームを発生させて供給するための一連の段階について詳しく説明する。
【0161】
まず、上述したように、コース選択部100を用いて、又はコース選択部100及びオプション選択部140を用いて、特定洗濯コースにおいてスチーム段階が行われるように選択される。すなわち、
図6に示すように、コース選択部100とオプション選択部140を用いてスチーム段階が選択されることもあり、
図7に示すように、コース選択部100を用いて選択されることもある。
【0162】
特定洗濯コースは、布量に従って複数の本洗いのための洗濯水の水位が別々に決定されることもあり、布量によらずに本洗いのための洗濯水の水位が決定されることもある。
【0163】
スチーム段階が含まれる特定洗濯コースを行うには、まず、スチーム発生のための洗濯水が供給(S3)されればよい。すなわち、スチームコースにおいて、本洗いのための給水ではなくスチーム発生のための給水がまず行われるとよい。また、スチーム可能コースにおいてスチームを使用する場合にも、本洗いのための給水ではなくスチーム発生のための給水がまず行われるとよい。
【0164】
スチーム発生のための給水は、スチーム発生のための洗濯水の水位まで行われるのが好ましい。ここで、スチーム発生のための洗濯水の水位は、洗濯布の一部が洗濯水に濡れるように、内槽6の底面よりは高く、本洗いのための洗濯水の水位よりは低い水位が好ましい。
【0165】
上述したように、垂直軸洗濯機において、本洗いのための洗濯水の水位は基本的に、洗濯布が洗濯水に完全に浸るような水位であればよい。したがって、スチーム発生のための洗濯水の水位は、コースや水位オプションで決定できる如何なる本洗いのための洗濯水の水位よりも低い水位が好ましい。洗濯水の量が増加するほど、特定温度まで加熱するのにエネルギー消耗が増加するわけである。
【0166】
図2には、B、C、Dといった3種類の水位が例示されている。
【0167】
B水位は、洗濯水が外槽4から内槽6に供給されるような水位を意味できる。すなわち、内槽6の底面までの水位をB水位ということができる。したがって、B水位よりも高い水位では、内槽6に収容された洗濯布が洗濯水に濡れることが可能になる。
【0168】
C水位は、パルセータ9の翼9aまで浸かる水位を意味し、D水位は、パルセータ9のキャップ9bまで浸かる水位を意味する。
【0169】
翼9aは、中央部から放射方向に複数枚が設けられており、内槽6の底面から所定距離だけ上方に突出して設けられている。また、キャップ9bは、複数の翼9aの中央において翼9aよりもさらに上方に突出して設けられている。したがって、基本的に、本洗いのための洗濯水の水位は、洗濯水流の形成及び洗濯メカニズムを実現するために、D水位よりも高いことが好ましい。これは、B水位からD水位までの洗濯水の水位では、洗濯布が洗濯水に完全に濡れないということを意味する。ごく微量の洗濯布を除けば、洗濯布の殆どは翼9aとキャップ9bの上部に位置せざる得ないからである。
【0170】
したがって、スチーム発生のための洗濯水の水位は、B水位より高く且つD水位以下であるのが好ましい。より具体的には、スチーム発生のための洗濯水の水位は、C水位とD水位との間で決定されることが好ましい。したがって、スチーム発生のための洗濯水の水位は、洗濯布の一部が洗濯水に濡れるような水位を意味できる。また、スチーム発生のための洗濯水の水位は、実質的にパルセータの上部まで洗濯水に浸かる水位を意味できる。
【0171】
このような洗濯水の水位は、水位センサー70で周波数からセンシング可能である。一般に、センシングされる周波数が低いほど高い水位となる。
【0172】
このようなスチーム発生のための洗濯水の水位とともに、本実施例によれば、洗濯水が内槽6の上部から内槽の底面に向かって給水されることが好ましい。すなわち、洗濯水が洗剤ボックス32を通過して洗剤と共に、内槽に収容された洗濯布に給水されることが好ましい。勿論、このような給水は、スチーム発生のための洗濯水の水位まで行われることが好ましい。
【0173】
内槽に収容された洗濯布は、給水される洗濯水と洗剤に濡れるし、給水された洗濯水と洗剤に再び濡れるようになる。勿論、場合によっては、洗濯布の一部は洗濯水と洗剤に濡れないこともある。しかし、スチーム段階S4が行われることによって、このようなスチーム発生のための洗濯水の水位及び/又は給水方法により効果的な洗濯効果が期待できる。
【0174】
一般に、洗濯効果を高めるために、洗濯布を洗濯水と洗剤につけ置く段階が行われることがある。すなわち、洗濯布についた汚れをふやかして容易に汚れが落ちるようにつけ置き段階が行われることがある。また、洗剤が洗濯水に充分に溶けて洗剤による洗濯効果がより向上するようにつけ置き段階が行われることもある。
【0175】
一方、このようなつけ置き段階は、高温の洗濯水を使用することがより効果的である。洗濯水の温度が高いほど、洗濯布、汚れ及び洗剤をふやかす効果がより向上するからである。
【0176】
しかし、一般に、洗濯布が洗濯水に浸された状態で行われるつけ置き段階は、長い時間がかかるという不都合がある。なお、多量の洗濯水を加熱することからエネルギーの消耗も多くなる。
【0177】
本実施例によれば、スチームを使ってこのようなつけ置き段階を短い時間且つ少ないエネルギー消耗で行うことができる。したがって、短い時間と少ないエネルギー消耗だけでも効率よく殺菌効果と洗濯効果を得ることができる。
【0178】
具体的に、スチーム発生のための洗濯水の水位、及びスチーム発生のための洗濯水の水位までの給水方法により、洗濯布の一部が洗濯水と洗剤に濡れるようになる。勿論、給水された洗濯水と洗剤に洗濯布の一部が濡れる。
【0179】
スチーム発生のための洗濯水の水位まで洗濯水が給水されるスチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)が行われると、スチーム段階(S4)が行われる。すなわち、洗濯ヒーターを駆動して洗濯水を加熱すればよい。そして、洗濯ヒーターの駆動は第1設定温度まで行うとよい。なお、洗濯ヒーターの駆動は、持続的で連続的に行われるとよい。言い換えると、洗濯ヒーターが駆動し始まると、第1設定温度に到達するまで持続的に駆動されるとよい。
【0180】
第1設定温度は、洗濯ヒーター50の近傍又は外槽4の底面に装着可能な温度センサー71からセンシングされるとよい。すなわち、洗濯水が加熱されるにつれて、温度センサー71に第1設定温度がセンシングされると、制御部7aは洗濯ヒーターの駆動を停止させる。
【0181】
第1設定温度は60℃以上に設定されるとよい。また、第1設定温度は水の沸騰点未満に設定されることが好ましい。すなわち、本実施例におけるスチームは、水の沸騰点以上で生成される不可視的なスチームではなく、水の沸騰点未満で生成される可視的なスチームが好ましい。
【0182】
上述したように、スチーム発生のための洗濯水の水位において、加熱された洗濯水は洗濯布と接するようになる。液体状態の水から伝達される熱量と気体状態の水から伝達される熱量には顕著な差がある。接触面積において顕著な差があるからである。
【0183】
したがって、過度な洗濯水の温度上昇は、洗濯布が熱損傷する恐れがあるため好ましくない。逆に、低すぎる洗濯水の温度上昇は、発生するスチーム量が非常に少ないため好ましくない。
【0184】
殺菌温度、スチーム量、エネルギー消耗量、加熱時間及び洗濯布の熱損傷などから、第1設定温度は60℃以上70℃未満に設定されることが好ましい。
【0185】
一方、このような第1設定温度は、供給される洗濯水の温度とも関連がある。外部給水源から冷水と温水が供給される環境もあり、この環境で使用される洗濯機では、洗濯水の温度を温度オプション142を用いて選択できる。
【0186】
このような温度オプションにより、冷水と温水との供給比率を適度に調節し、選択された洗濯水の温度に応じた洗濯水が供給できる。一般に、最低温度は、水道水のみが供給される時の温度であり、最高の温度は、温水のみが供給される時の温度である。
【0187】
このように冷水と温水の供給が可能な環境において、一般に温水の温度は50℃を越えない。勿論、その以上である場合もある。したがって、洗濯機自体でスチーム発生のために消耗されるエネルギーを最小化するために、スチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)では最高水温の洗濯水が供給されることが好ましい。すなわち、洗濯機の設置環境及び制御条件によって、供給可能な最高水温の洗濯水が供給されることが好ましい。単純には、スチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)では温水のみが給水されるように制御することが好ましい。
【0188】
ここで、第1設定温度は、温水の供給環境を考慮して、少なくとも温水の最高水温よりは高く設定されることが好ましい。スチーム環境を作るには加熱時間がかかるからである。これは、充分な量のスチームを発生させ、発生したスチームが内槽の内部を高温多湿な環境に変化させるようにするためである。
【0189】
図1及び
図2に示すように、外槽4と内槽6は、ドア40によりある程度外部と遮断された密閉構造を有する。密閉度合は、粒子の大きい可視的なスチームがドア40から外部に漏れない程度であれば充分である。
【0190】
したがって、スチーム発生のための洗濯水の水位において洗濯水が第1設定温度まで加熱されることで、可視的なスチームは内槽6の内部空間を高温多湿な環境に作るようになる。すなわち、洗濯水の他、スチームによっても、洗剤、洗濯布及び内部空気まで加熱される。
【0191】
温度が上昇するほど、洗濯布はより多量の水分を吸収し、これにより、高温の環境で洗濯布、洗剤及び汚れをふやかすことが可能となる。
【0192】
まず、スチームは、液体状態の水に比べて表面積が広い。そのため、スチームが発生するにつれて洗濯布はより多量の水分を吸収できる。なお、液体の温度上昇は表面張力の低下を意味する。そのため、洗濯水自体もより円滑に洗濯布に吸収可能となる。
【0193】
したがって、スチーム発生のための洗濯水の水位での加熱により、液状の洗濯水の吸収もスチームの吸収も活発に進行可能となる。
【0194】
一方、スチーム段階S4では、内槽6が周期的又は反復的に回転することが好ましい。すなわち、パルセータ9のみ回転するのではなく、内槽6とパルセータ9とが一体に回転することが好ましい。すなわち、パルセータの駆動がない状態でスチーム段階S4が行われることが好ましい。パルセータの駆動とは、内槽6は停止している状態で、パルセータのみ回転することを意味するからである。
【0195】
このような内槽6の回転は、スチームを洗濯布に均一に供給させるために行われる。すなわち、可能な限り洗濯布を内槽6の底面に近接して広けるためである。そのために、内槽6は低速で回転することが好ましい。スチーム発生のための洗濯水の水位における過度な内槽の回転は洗濯布の損傷を招くことがあるからである。
【0196】
なお、内槽6の低速回転は、洗濯水の表面に微細振動を誘発し、空気と洗濯水の表面との接触面積を大きくすることができる。このような微細振動及び洗濯ヒーターの駆動が同時に行われることで、より効率よく可視的なスチームを発生させることができる。
【0197】
以下では、
図6を参照してスチーム可能コースについて詳細に説明する。
【0198】
上述したように、スチーム可能コースとは、スチーム段階の実行を使用者がオプションとして選択できるコースを意味できる。このようなスチーム可能コースは、スチーム段階によって洗濯布が損傷しないコースを意味することもできる。
【0199】
使用者がスチーム可能コースとスチームをオプションとして選択(S1)すると、上述したように、布量感知と本洗いのための洗濯水の水位決定(S2)、スチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)及びスチーム段階(S4)が順に実行される。その後、選択されたコースに従って後続の本洗いが実行される。言い換えると、あらかじめ設定されたコースに含まれる本洗いを行う前に、スチーム段階がまず実行される。
【0200】
すなわち、スチーム段階(S4)の完了後に、洗濯給水段階(S12)と本洗い段階(S13)が実行される。本洗い段階が完了すると、排水(S14)と簡易脱水(S15)が実行される。以後、すすぎと脱水が順次に実行され、コース実行が終了する。
【0201】
一方、使用者がスチームオプション無しでスチーム可能コースのみを選択(S1)すると、布量感知と本洗いのための洗濯水の水位決定(S2)が実行されるだけで、スチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)とスチーム段階(S4)は実行されない。すなわち、本洗いのための洗濯水の水位が決定(S2)されると、本洗いのための洗濯水の水位まで給水され(S12)、プログラミングされた通り、本洗い(S13)、すすぎ(S15)及び脱水(S15)の順に、選択されたコースが実行される。
【0202】
スチーム可能コースでは、スチームオプションを選択したか否かによって、洗濯機の初期動作パターンにおいて顕著な相違があることがわかる。すなわち、使用者は、スチームオプションを選択した場合と選択しなかった場合とにおける相違が明確に把握できる。スチーム段階は基本コースに先立って行われることが明確であるからである。なお、スチーム段階と後続する本洗い段階とでは、水位の相違、及び内槽やパルセータの駆動の相違も明確であるからである。
【0203】
スチーム段階をオプションとして選択することは、使用者がエネルギー消耗が多くなるということを認識していることを前提とする。多いエネルギー消耗にもかかわらず、使用者は意図的に、洗浄効果と殺菌効果などをより高めるために、スチーム段階をオプションとして選択するのである。
【0204】
スチーム段階は、スチーム可能コースの実行初期又は前に実行できる。そして、スチーム段階は、視覚的に且つ時期的に一般のスチーム可能コース(スチーム選択がない場合)と顕著に区別可能である。したがって、前述したスチーム段階の効果に加えて、使用者が直観的に且つ容易にスチーム使用を選択できるという効果も提供可能である。これにより、製品満足度、製品信頼性及び使用便宜性が増大できる。
【0205】
以下では、
図7を参照してスチームコースについて説明する。
【0206】
スチームコースは、コース選択だけでもスチームが自動で発生するコースを意味する。すなわち、スチームオプションの選択とは無関係にスチームが発生するコースである。
【0207】
図5には、スチームコースの一例としてタブ洗浄コース122が示されている。タブ洗浄コース122が選択されると、上述したように、スチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)とスチーム段階(S4)が実行され、内槽の他、外槽の内部も高温多湿なスチーム環境となる。その後、給水が実行され、後続する本洗いが実行されるとよい。同様に、タブ洗浄コース122でも、本洗いを行う前にスチーム段階が実行されるとよい。
【0208】
一方、スチームコースは、アレルギーコース121又はアレルギーケアコースを含むこともある。このようなスチームコースが選択されると、前述した水位決定段階(S2)、スチーム発生のための洗濯水供給段階(S3)、スチーム段階(S4)、及び本洗い段階が順次に行われることが好ましい。すなわち、スチームオプションが選択されなくても、スチームコースの選択だけで、上記の段階が順次に行われることが好ましい。
【0209】
以下では、スチームコースの一例であるアレルギーコース121について詳細に説明する。
【0210】
図7に示すように、アレルギーコース121が選択されると、第1設定温度まで洗濯水が加熱されるスチーム段階S4まで順次に実行できる。すなわち、スチーム段階S4までは、前述したスチーム可能コースとスチームオプションが共に選択される場合と同一であればよい。
【0211】
スチーム段階S4の後、水位決定段階S2で決定された本洗いのための洗濯水の水位まで洗濯水が給水される洗濯給水段階S5が行われることが好ましい。したがって、相対的に非常に多い量の洗濯水が追加に供給されることとなる。
【0212】
第1設定温度まで上昇した洗濯水の温度は、追加の給水、すなわち洗濯給水段階により低くなる。そのため、本洗いを行う前に、洗濯水を加熱する洗濯水ヒーティング段階(S6)が行われることが好ましい。なお、洗濯水ヒーティング段階(S6)におけるエネルギー消耗を低減するべく、洗濯給水段階では、最高水温の洗濯水が供給されるのが好ましい。
【0213】
一方、洗濯給水段階S5が完了した後、洗濯水ヒーティング段階S6が行われる前に、バランシング(S10)や撹はん(S11)が実行されるとよい。
【0214】
バランシング(S10)は、洗濯布が内槽6の特定箇所に偏在しないように、洗濯布を分散するために実行される。このようなバランシング(S10)は、内槽6を左右に回転させることによってなされる。このようなバランシング(S10)により、本洗いのための洗濯水の水位よりも高くに位置する洗濯布が洗濯水に浸されるようになる。
【0215】
また、バランシング(S10)の後に撹はん(S11)を実行できる。撹はんは、パルセータ9が駆動されることによってなされる。撹はんにより水流が形成され、洗濯水に浸された洗濯布が流動可能となる。このような撹はん段階により、洗濯布が全体的に洗濯水に濡れることとなる。
【0216】
ここで、アレルギーコース121は、洗濯効果に加えて、殺虫効果をも極大化するためのコースを意味できる。すなわち、アレルギーを誘発する家ダニを効率よく殺虫するために特に設けられたコースといえる。
【0217】
このような家ダニの効果的な殺虫のために、家ダニが露出される温度と露出される時間といった2ファクターが同時に満たされるのが好ましい。実質的に家ダニが100%殺虫される条件として、家ダニが55℃以上の温度で10分以上露出されることが知られている。このような条件を便宜上、殺虫条件という。
【0218】
問題は、このような殺虫条件を最小のエネルギー消耗で達成できるかにある。このような殺虫条件は、洗濯布と洗濯水の温度の他、洗濯水と洗濯水が貯水される内槽と外槽の温度にも大きく影響を受けるからである。
【0219】
しかし、本実施例では、上述したように、スチーム段階(S4)によりスチーム環境が作られたことから、内槽と外槽も充分に温度が上昇している状態であるといえる。したがって、洗濯給水が行われた後、外槽と内槽の温度が大幅に低下することはないだろう。これにより、追加給水が行われても相対的に少ないエネルギーにより、上記の殺虫条件を満たすことが可能となる。なお、供給可能な最高水温の洗濯水をさらに供給できるため、温度の低下幅を最小化することができる。
【0220】
具体的に、洗濯水ヒーティング段階(S6)では、第2設定温度まで洗濯水を加熱できる。すなわち、洗濯水のヒーティング段階は、第2設定温度に至るまで実行されるとよい。
【0221】
第2設定温度は、50℃以上60℃以下が好ましい。より具体的には、第2設定温度は第1設定温度よりも低いのが好ましい。言い換えると、第1設定温度が第2設定温度よりも高いのが好ましい。すなわち、相対的に多量の洗濯水を加熱する時の設定温度がより低いのが好ましい。こうすると、その逆の場合に比べて、消耗されるエネルギー量を顕著に低減できる。なお、より容易に第2設定温度まで到達することもできる。
【0222】
この洗濯水ヒーティング段階(S6)での内槽又はパルセータの駆動は、前述したスチーム段階(S4)におけると同一であればよい。すなわち、同様の理由で、パルセータ駆動がない状態で洗濯水ヒーティング段階(S6)が行われることが好ましい。
【0223】
洗濯水ヒーティング段階S6が終了すると、本洗い段階(S7)が行われる。すなわち、パルセータの駆動により本格的な洗いが行われる。本洗い段階(S7)が終了すると、排水(S8)後に簡易脱水(S9)が行われるとよい。その後、図示してはいないが、すすぎと脱水を経てコースの実行が終了すればよい。
【0224】
ここで、上述したように、少ないエネルギー消耗で殺虫条件を満たすための、第1設定温度と第2設定温度との関係は重要である。もちろん、このような温度は、前述したスチーム発生のための洗濯水の水位と本洗いのための洗濯水の水位を前提とすればよい。
【0225】
具体的に、第1設定温度と第2設定温度は、洗濯水ヒーティング終了時点の前後に、洗濯水の温度が殺虫条件を満たすように決定されることが好ましい。
【0226】
まず、上述したように、第1設定温度が第2設定温度よりも高いことが好ましい。したがって、実質的に殺虫条件を満たすために第2設定温度が重要である。
【0227】
洗濯水がヒーティングされるにつれて洗濯水の温度は持続的に上昇する。しかし、洗濯水のヒーティングが停止すると、外部に熱が伝達され、洗濯水の温度は低くなる。したがって、熱伝逹量は温度差に比例する。例えば、洗濯水と洗濯水の収容される外部環境、すなわち、内槽及び外槽との温度差が少ないほど、熱伝逹量は低減する。すなわち、前記温度差が少ないほど、洗濯水のヒーティングが停止した後、洗濯水の温度下降は遅くなる。
【0228】
実質的に、アレルギーコース121実行のためのスチーム段階S4は、このような外部環境を効率よく加熱する段階であるといえる。なお、加熱した洗濯水の熱が、洗濯布の他、内槽と外槽まで充分に伝達されるように、洗濯ヒーターの作動は休止期間を含むことが好ましい。すなわち、洗濯水ヒーティング段階(S6)において洗濯ヒーター50は相対的に短い休止期間を有するように駆動されることが好ましい。このような休止期間に内槽及び外槽まで充分の熱が伝達可能となる。
【0229】
一方、上記休止期間においてパルセータが駆動される撹はん段階が行われることが好ましい。この撹はんは、加熱された洗濯水を洗濯布に全体的に供給するためである。なお、部分的に洗濯水に濡れていない洗濯布を完全に濡らすためでもある。
【0230】
したがって、洗濯水ヒーティング段階は、連続的にヒーターが駆動されるヒーター駆動段階と、パルセータが駆動される撹はん段階を含むことが好ましい。なお、このヒーター駆動段階と撹はん段階は交互に行われることが好ましい。
【0231】
上述したように、ヒーター駆動段階ではパルセータの駆動が停止し、撹はん段階ではパルセータは駆動し、洗濯ヒーターの駆動は停止することが好ましい。
【0232】
このようなヒーター駆動段階と撹はん段階は順次的に且つ反復的に行われるとよい。そして、ヒーター駆動段階を最後に、洗濯水ヒーティング段階S6が終了するのが好ましい。
【0233】
上述したように、洗濯水ヒーティング段階は第2設定温度まで実行されるとよい。ここで、第2設定温度は、前述した殺虫条件を満たす温度よりは高く設定されるのが好ましい。ただし、第2設定温度は、60℃より低い温度に設定されてもよい。例えば、57℃に設定されるとよい。
【0234】
第2設定温度が55℃以上の場合に、洗濯水ヒーティング段階(S6)において該第2設定温度に達するまで一定時間の間に当然、洗濯水の温度は55℃以上の条件を満たす。以降、ヒーティング段階(S6)が終了すると、洗濯水の温度は漸次下り55℃未満に下降する。ただし、このヒーティング段階終了後にも、洗濯水の温度は55℃で一定時間維持される。このように、前述のスチーム段階S4と洗濯水ヒーティング段階S6における設定温度の相違と水位の相違により、少ないエネルギー消耗だけでも殺虫条件を満たすことが可能になる。
【0235】
図8には、スチームコース、特に、アレルギーコースにおける洗濯水の温度推移を示している。
【0236】
スチーム段階S4は、洗濯水の温度が第1設定温度(例えば、70℃)に到達するまで実行される。スチーム段階(S4)の終了後に、温水が追加給水(S5)されるから、洗濯水温度の低下幅は大きくないだろう。
【0237】
しかし、洗濯水の量が相対的に格段に多くなるから、スチーム段階(S4)よりは相対的に長い時間洗濯水ヒーティング段階(S6)が行われる。勿論、洗濯水ヒーティング段階(S6)では複数回の休止期間を含むとよい。
【0238】
洗濯水ヒーティング段階(S6)が行われる間に、洗濯水の温度は漸次上昇する。そして、洗濯水ヒーティング段階(S6)は、洗濯水の温度が第2設定温度(例えば、57℃)に到達するまで行われる。
【0239】
そのため、洗濯水ヒーティング段階S6の終了時点の前後に、連続して殺虫条件を満たす温度区間が存在することとなる。
【0240】
勿論、第2設定温度をさらに増加させ、殺虫条件を満たす区間をより増やすことも可能である。しかし、エネルギー消耗の側面から、第2設定温度をより高く設定することは好ましくない場合もある。
【0241】
一方、スチームコースは、必ずしもこのような殺虫条件を満たさなくてもよい。すなわち、アレルギーケアではなく、一般の殺菌コースを含む場合もある。いずれの場合であれ、実質的に熱伝達媒介物を別々にすればよい。すなわち、スチーム段階では実質的にスチームにより内槽中の環境を高温多湿にさせるとよい。そして、洗濯水ヒーティング段階では、実質的に洗濯水により内槽中の環境を高温にさせるとよい。
【0242】
スチーム段階と洗濯水ヒーティング段階の先後関係、設定温度の相違、水位の相違及び熱伝達媒介物の相違により、より効率よい洗濯効果と殺菌効果の増進が期待でき、相対的にエネルギー消耗を低減することが可能になる。
【0243】
本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者とって本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態が実施できるということが理解される。したがって、以上に記述した実施例はいずれの面においても例示的なもので、限定的なものと理解してはならない。また、本発明の範囲は、上記の詳細な説明ではなく添付した特許請求の範囲によって定められるべきである。したがって、特許請求の範囲及びその均等範囲から導出されるいかなる変更や変形も本発明の範囲に含まれるものとして解釈すべきである。