特許第5844856号(P5844856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5844856雨樋固定金具、およびそれを利用した雨樋設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5844856
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】雨樋固定金具、およびそれを利用した雨樋設置方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/072 20060101AFI20151224BHJP
【FI】
   E04D13/072 502F
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-138415(P2014-138415)
(22)【出願日】2014年7月4日
【審査請求日】2015年6月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314006721
【氏名又は名称】今野 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】今 野 広 昭
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−172935(JP,U)
【文献】 実開昭51−058431(JP,U)
【文献】 実公昭49−000676(JP,Y1)
【文献】 実開昭58−045836(JP,U)
【文献】 特開2007−063801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略U字形の受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋に対し、組み込み可能とするよう当該樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部に係合可能となる位置夫々に設けた連結部が、両抱持帯同士を一体化し、各抱持帯の各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなるものとしたことを特徴とする雨樋固定金具。
【請求項2】
概略U字形の受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋に対し、組み込み可能とするよう当該樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯の何れか一方端寄りの箇所同士を一体化し、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に設けた補助連結部が、両抱持帯の何れか他方端寄りの箇所同士を一体化し、各抱持帯の各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなるものとしたことを特徴とする雨樋固定金具。
【請求項3】
金属棒か金属板を概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋に対し、組み込み可能とするよう当該樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯同士を一体化し、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に、互いに分離した一対の舌片部を対峙するよう突設し、各抱持帯の各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなるものとしたことを特徴とする雨樋固定金具。
【請求項4】
概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋を設け、各受け枠の各下面に、前記請求項1記載の雨樋固定金具の連結部を重ね合わせ、各一対の抱持帯相互間に受け枠を挟むよう配すると共に、各連結部の両端がわ縁を、夫々先端係合鈎および基部係合部に係合し、軒樋下面形状に沿うよう各一対の抱持帯を折曲した上、各繋着爪を軒樋の耳部を回り込むよう折曲し、樋受け金具受け枠と軒樋とを固定してなるものとした、前記請求項1記載の雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法
【請求項5】
概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋を設け、各受け枠の各下面に、前記請求項2記載の雨樋固定金具の主連結部を重ね合わせ、各一対の抱持帯相互間に受け枠を挟むよう配すると共に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に主連結部の対峙する端縁を係合し、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に、補助連結部の対峙する端縁を係合し、軒樋下面形状に沿うよう各一対の抱持帯を折曲した上、各繋着爪を軒樋の耳部を回り込むよう折曲し、樋受け金具受け枠と軒樋とを固定してなるものとした、前記請求項2記載の雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法
【請求項6】
金属棒か金属板を概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋を設け、各受け枠の各下面に、前記請求項3記載の雨樋固定金具の主連結部を重ね合わせ、各一対の抱持帯相互間に受け枠を挟むよう配すると共に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に主連結部の対峙する端縁を係合し、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に、各一対の舌片部の対峙する端縁を係合し、軒樋下面形状に沿うよう各一対の抱持帯を折曲した上、各繋着爪を軒樋の耳部を回り込むよう折曲し、樋受け金具受け枠と軒樋とを固定してなるものとした、前記請求項3記載の雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物への雨樋設置技術に関連するものであり、特に、建築物屋根の軒先などに固着した樋受け金具に対し、軒樋を安全、確実、且つ迅速に固定可能な雨樋固定金具、およびそれを利用した雨樋設置方法を製造、提供する分野は勿論のこと、その輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
従前までの一般的な雨樋は、図9ないし図18に示すように、対象建築物軒先適所に沿って複数固定した樋受け金具5に軒樋4を掛け渡し状に設置するものであり、該樋受け金具5には、「打ち込み、正面打ち、つる打首、横打ち」など様々な形態のものが存在するが、例えば、「正面打ち」について示すと、亜鉛鍍金矩形鋼棒製の支持腕53を有し、同支持腕53基端がわに、対象建築物軒先の鼻隠などの適所に接合可能であって、ネジ結合などによって同対象建築物軒先鼻隠適所に固定可能な、亜鉛鍍金鋼板製帯状部品からなる固着機構6を組み込み可能とした定着部54を設け、同支持腕53の対象建築物軒先広小舞直下となる先端に、亜鉛鍍金矩形鋼棒製、概略U字形であって、先端に先端係合鈎51、基部に基部係合部52を有する受け枠50を一体化したものであり、該受け枠50上に軒樋4を載置し、図14ないし図18に示すように、銅線や塩ビ被覆鋼線、鍍金鋼線などの結束線7を、受け枠50先端係合鈎51と基部係合部52との間に、同軒樋4耳部40,40上を跨ぎ、巻掛けるよう掛け渡し、同結束線7の端部同士を捩り込んで縛り、軒樋4が上方に浮き上がるのを規制するよう、固定してなるものである。
【0003】
このように、複数の樋受け金具5毎に、結束線7を巻き付け固定する作業は、特に枠組足場などを設置しない場合など、脚立や梯子などを用いて対象建築物軒先の高所に登り、ペンチやプライヤーなどの工具類を用いて結束、固定し、軒先に沿って並ぶ各樋受け金具5毎、梯子類を降りて移動させ、再び登り、同様に工具を手に取り、結束線7を巻き付け、結束、固定するという煩雑な作業を繰り返さなければならず、危険で非常に困難な作業となり、作業者にとって大きな負担となるだけでなく、結束線7が、軒樋4を掃除する際に邪魔になり、風雨雪などの様々な外力によって変形・摩耗・金属疲労し易く、また、経年により、劣化や腐食し、破断し易いなど、耐久性に劣るものであった。
【0004】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)および1(2)に提案されているものに代表されるように、雨樋の軒樋上面に差し込まれた逆U字形の樋網の背面に接当しながら横架する帯板の両端を下方に折り返して、軒樋の耳部に係合する係合部を形成し、該帯板および係合部のバネ効果を利用し、係合部を受金に掛止するという簡単な動作で設置を完了できるものとした結束金具や、同特許文献1(3)に見られるような、樋受具本体の一端に、軒樋の耳部を抱持すべく折曲可能な弾性片と、線状体の一端を掛止すべく前方に突出する掛止片とを設け、弾性片により軒樋を保持させた上、線状体にて結束するよう作業を進めるようにして作業を迅速に行えるものとし、高所作業の安全性を高めた樋受具などが散見される。
【0005】
しかし、前者特許文献1(1)および1(2)に示されているような結束金具類は、雨樋の上部に掛け渡すものとなるから、雨水が結束金具の上面を伝い、雨樋の下面がわに流れ下り、滴下・流下してしまう虞があるという欠点を残すものであり、また、特許文献1(3)に代表する樋受具などは、折り曲げた弾性片が、軒樋の耳部を抱持するから、線状体による結束作業を補助して、作業性を高めたものとしているが、線状体を結束するのに、ペンチやプライヤーなどの工具類を用いなければならないのに変わりはなく、高所作業でペンチなどを用いて線状体端部を捩り、結束する作業の繁雑さを全て解消できるものとはならず、しかも同線状体は、軒樋を掃除する際に邪魔になり、風雨雪などの様々な外力によって劣化、破損し易いという致命的な欠点があった。
【特許文献1】(1)特開平8−189156号公報 (2)実用新案登録第3017079号公報 (3)実開平6−32542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種雨樋用の受け金具類などは、何れも、軒樋の耳部間に掛け渡すよう装着する帯状部品や線状部品類が不可欠なものであり、特に、軒樋上に帯状部品を装着するものは、対象建築物軒先から軒樋に流れ込む雨水の一部を、軒樋の下面がわに回り込ませてしまい、円滑な排水の妨げとなってしまう虞があり、また、線状部品類にて結束するものは、ペンチ類などの工具を用いた高所作業が不可欠となり、しかもそれらは何れも軒樋を掃除する際に邪魔になり、風雨雪などの様々な外力によって劣化、破損し易く、耐久強度やメンテナンス性に課題を残すものであって、永年に亘り、雨樋の施工に携わる中で得た経験や、様々な顧客ニーズによって得られた知見などを踏まえ、従前までの技術を鑑みると、雨樋の排水性を損ねることなく、高所施工および保守・清掃作業における繁雑さを解消し、より迅速且つ安全に設置することができ、さらに耐久性およびメンテナンス性に秀れる雨樋設置に関する新技術開発の可能性を痛感するに至ったものである。
【0007】
(発明の目的)
そこで、この発明は、結束用線状部品の工具を用いた捩り作業を全く不要とし、設置作業性を高める上、軒樋の耳部上間に掛け渡す部品を無くし、軒樋の排水性能やメンテナンス作業性を高めることができ、しかも耐久性に秀れた新たな雨樋技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の雨樋固定金具、および、それを利用した新規な雨樋設置方法を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の雨樋固定金具は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、概略U字形の受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう、各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋に対し、組み込み可能とするよう、当該樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部に係合可能となる位置夫々に設けた連結部が、両抱持帯同士を一体化し、各抱持帯の各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなるものとした構成を要旨とする雨樋固定金具である。
【0009】
この基本的な構成からなる雨樋固定金具は、より具体的なものとして示すと、概略U字形の受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう、各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋に対し、組み込み可能とするよう、当該樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯の何れか一方端寄りの箇所同士を一体化し、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に設けた補助連結部が、両抱持帯の何れか他方端寄りの箇所同士を一体化し、各抱持帯の各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなるものとした構成からなる雨樋固定金具となる。
【0010】
さらに、表現を変えて示すならば、金属棒か金属板を概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう、各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋に対し、組み込み可能とするよう当該樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯同士を一体化し、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に、互いに分離した一対の舌片部を対峙するよう突設し、各抱持帯の各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなるものとした構成からなる雨樋固定金具となる。
【0011】
(関連する発明1)
上記した雨樋固定金具に関連し、この発明には、それを利用した雨樋設置方法も包含している。
即ち、概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋を設け、各受け枠の各下面に、この発明の基本をなす雨樋固定金具の連結部を重ね合わせ、各一対の抱持帯相互間に受け枠を挟むよう配すると共に、連結部の両端がわ縁を、夫々先端係合鈎および基部係合部に係合し、軒樋下面形状に沿うよう、各一対の抱持帯を折曲した上、各繋着爪を軒樋の耳部を回り込むよう折曲し、樋受け金具受け枠と軒樋とを固定してなるものとした、この発明の基本をなす雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法である。
【0012】
より具体的には、概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋を設け、各受け枠の各下面に、この発明の基本をなす雨樋固定金具の主連結部を重ね合わせ、各一対の抱持帯相互間に受け枠を挟むよう配すると共に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に主連結部の対峙する端縁を係合し、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に、補助連結部の対峙する端縁を係合し、軒樋下面形状に沿うよう、各一対の抱持帯を折曲した上、各繋着爪を軒樋の耳部を回り込むよう折曲し、樋受け金具受け枠と軒樋とを固定してなるものとした、この発明の基本をなす雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法となる。
【0013】
これを換言すれば、金属棒か金属板を概略U字形に折曲した受け枠を有し、該受け枠先端に先端係合鈎、同受け枠基部に基部係合部を設け、該受け枠の適所から支持腕を延伸し、該支持腕の基端がわに、該受け枠を対象建築物軒先適所に固定可能な固着機構を設けた樋受け金具の複数を、各受け枠が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔を隔てて配するよう各固着機構を介して固定し、各樋受け金具受け枠間上に掛け渡すよう軒樋を搭載した雨樋を設け、各受け枠の各下面に、この発明の基本をなす雨樋固定金具の主連結部を重ね合わせ、各一対の抱持帯相互間に受け枠を挟むよう配すると共に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に主連結部の対峙する端縁を係合し、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に、各一対の舌片部の対峙する端縁を係合し、軒樋下面形状に沿うよう各一対の抱持帯を折曲した上、各繋着爪を軒樋の耳部を回り込むよう折曲し、樋受け金具受け枠と軒樋とを固定してなるものとした、の発明の基本をなす雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法となる。
【発明の効果】
【0014】
以上のとおり、この発明の雨樋固定金具によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、樋受け金具受け枠に軒樋を掛け渡し設置する一般的な雨樋に、軒樋を固定するのに用いられてきた結束線に替えて組み込むだけで、危険な高所作業となる軒樋の固定作業が、工具などを用いることなく、位置決めして一対の抱持帯を軒樋下面に沿わせるよう曲げると共に、各繋着爪を、軒樋の耳部に回り込むよう折り曲げるだけで完了し、簡単且つ迅速に行えるものとすることができ、設置作業の安全性および作業効率を大幅に高めることができる上、巻掛けた銅線などの結束線を捩りあげて固定するものに比較し、摩耗や疲労、腐食による変形や破断などをより確実に防止でき、固定強度を大幅に高め、耐久寿命を格段に延命化できる上、軒樋の上部を覆わず、雨水の排水を円滑化でき、しかも軒樋掃除の邪魔にならず、メンテナンス作業性を格段に高めるという秀でた特徴が得られるものである。
【0015】
加えて、一対の抱持帯が、樋受け金具受け枠を挟み、連結部が、受け枠の先端係合鈎および基部係合部に係合可能としたものは、樋受け金具受け枠の先端係合鈎および基部係合部に対し、該連結部の両端縁が確りと係合し、位置決め固定することができるから、該連結部と、折り曲げた各繋着爪とにより、受け枠の先端係合鈎および基部係合部と、それに対応する軒樋耳部付近とを確り把持するよう固定することができるものとなる。
【0016】
また、主連結部および補助連結部を有するものは、一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、設置状態にて、樋受け金具受け枠の下面に接合し、各抱持帯が軒樋下面を上方に押し上げるのを規制するものとなり、同主連結部および同補助連結部との間の両抱持帯相互の対峙縁間に、樋受け金具受け枠を挟み、該主連結部が、受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合すると共に、該補助連結部が、受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合するように組み込むことにより、設置作業性を一段と高めた上、より正確な位置決めと、一層強固な固定とを実現化するものとなる。
【0017】
さらにまた、主連結部および一対の舌片部を設けたものは、同主連結部および一対の同舌片部との間の両抱持帯相互の対峙縁間に、樋受け金具受け枠を挟み、該主連結部が、受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合すると共に、それら一対の舌片部が、受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合するよう組み込むことによって、より正確な位置決めと取付け強度の向上を達成することができる上、該一対の舌片部が、互いに分離しているから、受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方への係合操作性を格段に高め、高所作業の安全性および作業効率を大幅に改善できるものとなる。
【0018】
そして、この発明の雨樋固定金具を利用した雨樋設置方法は、うの首横打、瓦下横打、正面打、打込みなど、様々な様式の樋受け金具を用いた新設、または既存のものなど、多様な条件下にて改造せず、そのまま設置・利用可能なものとなり、既設従来型の結束線が変形・破損した場合、既存の結束線を、この発明の雨樋固定金具と交換するだけで、雨樋の耐久強度を格段に高めたものとすることができ、しかも設置作業性が良く、高所作業の工数を大幅削減し、作業安全性を一段と高めることができるから、他の従来技術では不可能な程、格段に経済的に施工・利用・清掃およびメンテナンスすることができ、施工主も万全の対策を、短時間且つ経済的に施すことができ、高い満足感を得ることができるという大きな効果を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
抱持帯は、対象樋受け金具受け枠の両がわに沿い、同受け枠に搭載した軒樋の下面形状に沿うよう折曲可能であり、設置状態にあっては、軒樋の下面を抱持し、一対の抱持帯対峙縁中途部適所間に連結部を介し、両抱持帯同士が一体化する機能を担い、樋受け金具受け枠を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製とし、各両端からは、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪を延伸してなり、手指による操作で容易に塑性変形可能であり、しかも風雨などに曝され、樋受け金具受け枠および軒樋に加わる外力を受けても不用意に変形、離脱しない程度の厚み寸法および充分な強度を有するものとしなければならない。
【0020】
より具体的には、ステンレス鋼板、亜鉛鍍金鋼板、錫鍍金鋼板、銅板、アルミ板、または、その他の塑性変形可能な金属板製などとするのが望ましく、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯の何れか一方端寄りの箇所同士を一体化し、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に設けた補助連結部が、両抱持帯の何れか他方端寄りの箇所同士を一体化してなるものとすることができる外、後述する実施例に示すように、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯同士を一体化し、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に、互いに分離した一対の舌片部を対峙するよう突設してなるものとすることが可能である。
【0021】
連結部は、平行状配置状とした一対の抱持帯同士が、相互間に樋受け金具受け枠を挟み、両がわに配置可能とするよう同一対の抱持帯同士を連結可能とする機能を担い、一対の抱持帯同士を強固に一体化可能なものとしなければならず、一対の抱持帯が、樋受け金具受け枠、および、受け枠に搭載した軒樋に対し、所望の取付け位置に規制可能とする機能を担うものとすべきであり、例えば、後述する実施例に示すように、1枚の金属板から一対の抱持帯と共に、打ち抜き成形したものとすることが望ましく、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部に係合可能となる位置間に設けたものとすることが可能であり、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部、および、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に設けた補助連結部からなるものとし、設置状態にて、該主連結部が、樋受け金具受け枠の下面に接合し、各抱持帯が軒樋下面を上方に押し上げるのを規制可能なものとすることができる外、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部、および、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に、互いに分離・対峙するよう突設した一対の舌片部、に置き換えたものとすることが可能である。
【0022】
主連結部は、前記連結部の主要部分となり、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁を連結・一体化可能とすると共に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる機能を担い、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けたものとしなければならず、設置状態にて、樋受け金具受け枠の下面に接合し、各抱持帯が軒樋下面を上方に押し上げるのを規制可能な寸法・形状のものとすべきであり、後述する実施例に示すように、1枚の金属板から一対の抱持帯と共に、打ち抜き成形したものとするのが望ましい。
【0023】
補助連結部は、主連結部が、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁の中、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる場合に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となり、この発明の雨樋固定金具が、その主連結部と該補助連結部とによって、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の双方に係合可能とする機能を担い、後述する実施例に示すように、平行状配置とした一対の抱持帯相互の対峙縁同士を連結したものとすることができ、1枚の金属板から一対の抱持帯と共に、打ち抜き成形したものとするのが望ましい。
【0024】
舌片部は、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか一方に係合可能となる位置から、同先端係合鈎および基部係合部の何れか他方までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部が、両抱持帯同士を一体化してなるものの場合に、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合し、樋受け金具受け枠、および、受け枠に搭載した軒樋に対し、一対の抱持帯が、所望の取付け位置に規制可能とする機能を担い、後述する実施例に示すように、当該受け枠の先端係合鈎および基部係合部の何れか他方に係合可能となる位置に、互いに分離・対峙するよう突設してなるものとしなければならず、1枚の金属板から一対の抱持帯と共に、打ち抜き成形したものとするのが望ましい。
【0025】
繋着爪は、一対の抱持帯の各両端がわを手作業によって軒樋の耳部に回り込ませるよう係合させ、容易に固定可能とする機能を担い、樋受け金具受け枠に装着した場合の各抱持帯の各両端から、軒樋の耳部を回り込むよう折曲可能な長さとするよう延伸したものとしなければならず、手指による操作で容易に塑性変形可能であり、しかも風雨などに曝され、樋受け金具受け枠および軒樋に加わる外力を受けても不用意に変形、離脱しない程度の厚み寸法および充分な強度を有するものとしなければならず、軒樋の円滑な排水を妨げない程度の大きさに留めたものとすべきであり、1枚の金属板から一対の抱持帯と共に、打ち抜き成形したものとするのが望ましい。
【0026】
雨樋の樋受け金具は、対象建築物軒先に沿って軒樋を設置可能とする機能を担い、うの首横打、瓦下横打、正面打、打込みなど様々な型式のものを利用可能であり、この発明の雨樋固定金具を組み込み可能なものであれば良く、受け枠先端係合鈎は、軒樋用受け枠先端に、従来型結束線の結束用鈎状部分であり、受け枠基部係合部は、軒樋用受け枠基端がわの従来型結束線の結束用鈎状部分や、結束用となる支持腕屈曲状部分などとすることができ、定着部は、対象建築物軒先の各部分にネジ結合などによって固着可能となる部分であり、後述する実施例に示すように、樋受け金具とは別体の取付け金具類を、対象建築物軒先にネジ結合するなどし、該取付け金具を介して樋受け金具定着部を固着するようにしたものなどとすることができる外、ネジやフランジなどからなる固着機構を定着部に一体化してなるものとすることが可能である。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面は、この発明の雨樋固定金具、およびそれを利用した雨樋設置方法の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
図1】雨樋固定金具を示す平面図である。
図2】雨樋固定金具を利用して設置した雨樋を示す側面図である。
図3】雨樋固定金具を利用して設置した雨樋を示す下面図である。
図4】雨樋固定金具を利用して設置した雨樋を示す背面図である。
図5】雨樋固定金具を利用して設置した雨樋を示す正面図である。
図6】雨樋固定金具を利用して設置した雨樋を示す平面図である。
図7】連結部を有する雨樋固定金具を示す平面図である。
図8】主連結部および補助連結部を有する雨樋固定金具を示す平面図である。
図9】樋受け金具および軒樋を示す平面図である。
図10】樋受け金具および軒樋を示す側面図である。
図11】樋受け金具および軒樋を示す下面図である。
図12】樋受け金具および軒樋を示す背面図である。
図13】樋受け金具および軒樋を示す正面図である。
図14】従来型の結束線により固定して設置した雨樋を示す側面図である。
図15】従来型の結束線により固定して設置した雨樋を示す平面図である。
図16】従来型の結束線により固定して設置した雨樋を示す下面図である。
図17】従来型の結束線により固定して設置した雨樋を示す背面図である。
図18】従来型の結束線により固定して設置した雨樋を示す正面図である。
【実施例1】
【0028】
図1ないし図6に示してある事例は、樋受け金具5受け枠50上に軒樋4を搭載した雨樋部3に組み込み可能とするよう当該受け枠50を挟み、平行状配置可能な一対の抱持帯2,2を有し、それら抱持帯2,2相互間の、当該受け枠50の基部係合部52に係合可能となる位置から、同先端係合鈎51までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部22が、両抱持帯2,2同士を一体化し、当該先端係合鈎51に係合可能となる位置に、一対の舌片部23,23を対峙するよう突設し、各抱持帯2,2の各両端からは、軒樋4の耳部40,40を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪25,25を延伸してなるものとした、この発明の雨樋固定金具における代表的な一実施例を示すものである。
【0029】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の雨樋固定金具1は、その全体が、例えば、厚さ約0.6mmのステンレス鋼板をプレス加工したものや、鋼板をプレス加工し、亜鉛鍍金を施したものなどとした、全長約22cm、全幅約4.5cmの平板状であって、樋受け金具5受け枠50上に軒樋4を搭載した雨樋部3に対し、組み込み可能とするよう、当該樋受け金具5受け枠50を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯2,2を有し、各抱持帯2,2は、夫々幅約1.5cm、長さ約14cmとし、それら平行状配置とした一対の抱持帯2,2相互の対峙縁20,20の中、当該受け枠5基部係合部52に係合可能となる位置から、同先端係合鈎51までの距離の中間適所までの範囲間に設けた、幅約1.5cm、長さ約6.5cmの主連結部22が、両抱持帯2,2同士を一体化し、当該受け枠50の先端係合鈎51に係合可能となる位置に、互いに分離した、幅約1.5cm、突出長さ約7mmの一対の舌片部23,23を、約1mmの隙間をもって対峙するよう突設し、各抱持帯2,2の各両端からは、軒樋4の耳部40,40を回り込むよう折曲可能な幅約1.5cm、長さ約4cmの繋着爪25,25を延伸してなるものである。
【0030】
図7に示すとおり、この発明の雨樋固定金具1は、当該樋受け金具5受け枠50を挟み、その両側縁に沿うよう平行状配置可能な一対の塑性板製抱持帯2,2を有し、それら平行状配置とした一対の抱持帯2,2相互の対峙縁20,20の中、当該受け枠50の先端係合鈎51および基部係合部52に係合可能となる位置夫々に設けた連結部21,21が、両抱持帯2,2同士を一体化したものとすることができ、また、各連結部21,21間を一体に連続し、対峙縁20,20を無くしたものとすることができ、さらにまた、各連結部21,21間に、梯子状とするよう、1または複数の連結部(図示せず)を追加したものとすることが可能である。
【0031】
そして、図8に示しているように、この発明の雨樋固定金具1は、当該受け枠50の基部係合部52に係合可能となる位置から、同先端係合鈎51までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部22が、両抱持帯2,2の一方端寄りの箇所同士を一体化し、当該受け枠50の先端係合鈎51に係合可能となる位置に設けた補助連結部24が、両抱持帯2,2の他方端寄りの箇所同士を一体化するものとすることができ、同図8には、主連結部22が、補助連結部24よりも長く寸法設定したものとしてあるが、補助連結部24を主連結部22よりも長く寸法設定したものとすることができる。
【0032】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおり、図1に示す構成からなるこの発明の雨樋固定金具1は、図2ないし図6に示すように、この発明の雨樋部3に組み込むことが可能となり、金属棒か金属板を概略U字形に折曲した受け枠50を有し、該受け枠50先端に先端係合鈎51、同受け枠50基部に基部係合部52を設け、該受け枠50の基部から支持腕53を延伸し、該支持腕53の基端がわ定着部54に、該受け枠50を図示しない対象建築物軒先適所に固定可能なネジ結合用の固着機構6を設けた樋受け金具5の複数を、各受け枠50,50,……が対象建築物軒先下に沿って適宜間隔(約90cm)を隔てて配するよう各固着機構6,6,……を介して固定し、各樋受け金具5,5,……受け枠50,50,……間上に掛け渡すよう軒樋4を搭載した雨樋部3を設け、各受け枠50,50,……の各下面に、雨樋固定金具1の主連結部22を重ね合わせ、各一対の抱持帯2,2相互間に受け枠50を挟むよう配すると共に、当該受け枠50の基部係合部52に主連結部22の対峙する端縁を係合し、同先端係合鈎51に、一対の対峙する舌片部23,23の対峙する端縁を係合する。
【0033】
一対の舌片部23,23は、互いに分離しているから、抱持帯2,2の先端同士を互いに引き離すよう厚み方向に僅かに変形させるだけで、先端係合鈎51への引っ掛かりを容易に回避し、速やかに装着することが可能となり、上述の如く、同先端係合鈎51に、一対の舌片部23,23の端縁を円滑に係合操作することができるものとなり、軒樋4下面形状に沿うよう各一対の抱持帯2,2を折曲した上、各繋着爪25,25,……を軒樋4の耳部40,40を回り込むよう折曲し、樋受け金具5受け枠50と軒樋4とを固定するようにしてなるものとする。
【0034】
図2ないし図6に示すように、主連結部22が、基部係合部52に係合し、一対の舌片部23,23が、先端係合鈎51に係合し、雨樋固定金具1抱持帯2,2の、受け枠50に沿う方向(軒樋4排水方向に直交する方向)へのズレ動きを阻止するよう規制し、抱持帯2,2対峙縁20,20が、受け枠50の一部を挟み込むよう配置し、雨樋固定金具1の、受け枠50に交叉する方向(軒樋4排水方向)へのズレ動きを規制可能なものとし、さらに、各繋着爪25,25,……が、軒樋4の耳部40,40に係合し、樋受け金具5受け枠50上に軒樋4を確りと抱持・固定するものとなる上、一対の抱持帯2,2および各繋着爪25,25,……が、軒樋4上を隠蔽せず、対象建築物軒先から流下・滴下する雨水を逃さず、軒樋4内に誘導可能なものとなり、しかも軒樋4に落ちた枯葉や埃などを除去する際に邪魔にならず、メンテナンス作業性を大幅に高めたものとなる。
【0035】
そして、図7および図8に示す、この発明の雨樋固定金具1は、何れも一対の舌片部23,23の替わりに、連結部21および補助連結部24の少なくとも何れか一方を設けたものとしてあるが、一対の舌片部23,23を設けたものよりも、僅かに装着操作性が劣るものとなるが、補助連結部24を設けた場合も、略同等の装着作業性、信頼性および耐久強度を達成可能なものとなり、図1のものと同様の軒樋4排水性能、および、メンテナンス作業性を得ることができる。
【0036】
(結 び)
叙述の如く、この発明の雨樋固定金具、およびそれを利用した雨樋設置方法は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前までの軒樋結束金具類や樋受具類などの技術に比較して大幅に固定強度および耐久強度を高め、軽量且つ低廉化して遥かに経済的なものとすることができる上に、高所施工の作業効率と作業安全性とを大幅に改善し得るものとなることから、従前まででは、結束線を巻掛け、工具類を用いて捩り上げ、固定するという煩雑な高所作業が大きな負担となっていた建築業界は固よりのこと、住宅のメンテナンスをより経済的に行いたいと希望する施工主や、従来型の雨樋金具類の耐久性および施工作業性を改善したいと考える住宅部品業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【符号の説明】
【0037】
1 雨樋固定金具
2 抱持帯
20 同 対峙縁
21 同 連結部
22 同 主連結部
23 同 舌片部
24 同 補助連結部
25 同 繋着爪
雨樋部
4 軒樋
40 同 耳部
5 樋受け金具
50 同 受け枠
51 同 先端係合鈎
52 同 基部係合部
53 同 支持腕
54 同 定着部
6 固着機構
7 結束線
【要約】      (修正有)
【課題】結束用線状部品の工具を用いた捩り作業を全く不要とし、設置作業性を高める上、軒樋の耳部上間に掛け渡す部品を無くし、軒樋の排水性能およびメンテナンス作業性を高め、しかも耐久性に秀れた新たな雨樋技術を提供する。
【解決手段】樋受け金具6受け枠50上に軒樋4を搭載した雨樋装置3に組み込み可能とするよう当該受け枠50を挟み、平行状配置可能な一対の抱持帯2,2を有し、それら抱持帯2,2相互間の、当該受け枠50の基部係合部52に係合可能となる位置から、同先端係合鈎51までの距離の中間適所までの範囲間に設けた主連結部22が、両抱持帯2,2同士を一体化し、当該先端係合鈎51に係合可能となる位置に、一対の舌片部23,23を対峙するよう突設し、各抱持帯2,2の各両端からは、軒樋4の耳部40,40を回り込むよう折曲可能な長さの繋着爪25,25を延伸してなる雨樋固定金具1である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18