(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車体フレームと、この車体フレームに上下方向に回動自在に取り付けられた荷台と、この荷台に設けられ、前記車体フレームに支持される支持構造体と、前記荷台が前記車体フレームに着座した状態で前記支持構造体と前記車体フレームとの間に挟まれて、前記支持構造体から前記車体フレームに荷重を伝達すると共に、前記車体フレームから前記支持構造体に反力を伝達する荷重伝達構造体と、を備え、
前記支持構造体は、前記車体フレームから反力を受ける方向に沿って設けられた複数の縦板と、これら複数の縦板に下方から当接する底板と、を有し、
前記底板は、前記複数の縦板と接触している領域を含む第1領域と、この第1領域以外の領域である第2領域とに区分けされ、
前記荷重伝達構造体は、前記第1領域に伝達する前記反力が前記第2領域に伝達する前記反力より大きくなるように前記車体フレームからの反力を前記底板に伝達する
ことを特徴とするダンプトラック。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るダンプトラックを実施するための形態を図に基づいて説明する。なお、以下の説明において「左右方向」とは、特に断らない限り、ダンプトラックを正面側(キャブ側)から見た場合における左右の方向という意味である。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るダンプトラックの側面図である。また、
図2は、
図1に示すダンプトラックの荷台を起立させた状態の要部の概略を示す斜視図である。
図1に示すように、第1実施形態に係るダンプトラック1は、車体フレーム2、一対の前輪3、一対の後輪4、および荷台5を備えている。一対の前輪3は、車体フレーム2の前部の左右両端に回転可能に取り付けられている。また、一対の後輪4は、車体フレーム2の後部の左右両端に回転可能に取り付けられている。さらに、荷台5は、土砂や砕石等の運搬対象物を積載する部分であって、車体フレーム2上に起伏可能に取り付けられている。
【0021】
車体フレーム2は、いわゆる車体であって、
図2に示すように、一対のフレーム材2aにて構成されている。これら一対のフレーム材2aは、前後方向に細長く延びたフレーム形状を成しており、荷台5が車体フレーム2に着座した状態では、荷台5の一対のレール12がちょうど一対のフレーム材2aに載置されるように構成されている。
【0022】
また、車体フレーム2の後部には、荷台5を起立又は倒伏させる(上下方向に回動させる)際の回転中心となるヒンジピン6が取り付けられている。この車体フレーム2のうちのヒンジピン6より前方には、この車体フレーム2と荷台5とを連結する油圧シリンダとしての一対のホイストシリンダ7が取り付けられている。これら一対のホイストシリンダ7は、車体フレーム2の前後方向の略中央部に取り付けられている。また、車体フレーム2の左側の前輪の上方には、オペレータが乗車する運転室であるキャブ8が設けられ、車体フレーム2の前部には、油圧機器が収容されたパワーユニット10が設けられている。
【0023】
よって、オペレータがキャブ8からホイストシリンダ7を駆動すると、荷台5は、ホイストシリンダ7の収縮動作に伴ってヒンジピン6を中心に下方に回動し、車体フレーム2に着座する倒伏姿勢となる。また、荷台5は、ホイストシリンダ7の伸長動作に伴ってヒンジピン6を中心に上方に回動し、運搬対象物を放出する起立姿勢(
図2参照)となる。
【0024】
なお、
図1の符号9は、荷台5が左右方向に移動することを防止するために車体フレーム2の側部と当接するガイドである。
【0025】
次に、荷台5の構造について説明する。荷台5は、底板(フロア)11a、前板(フロント)11b、および2つの側板(サイド)11cにより上方および後方が開放された略箱型の形状を成しており、その内部に運搬対象物を積載するための積載部11が形成されている。なお、底板11a、前板11b、および側板11cはそれぞれ溶接により接合されている。そして、荷台5は、その底板11aが前方にやや下り傾斜した状態で、車体フレーム2に着座している(
図1参照)。
【0026】
また、前板11bの上部には、略板状の天板(キャノピ)11dが取り付けられている。この天板11dは、前板11bの上部からダンプトラック1の前方上部を覆うように前方に突出させて取り付けられている。すなわち、この天板11dは、車体フレーム2上に荷台5が着座する倒伏状態で、この荷台5からの運搬対象物の落下によるキャブ8、パワーユニット10等の損傷を防止するために設けられている。
【0027】
次に、本発明の「支持構造体」に相当するレール12の詳細について説明する。第1実施形態では、
図2に示すように、一対のレール12が、荷台5の長手方向(車体フレーム2の前後方向)に沿うようにして、荷台5の底板11aに取り付けられている。一対のレール12は互いに略平行に配置されている。そして、荷台5が車体フレーム2に着座した状態において、一対のレール12が車体フレーム2の各フレーム材2aの上面に載置される。即ち、レール12は車体フレーム2に支持される。このとき、一対のレール12は車体フレーム2から反力を受けることになる。詳しくは後述するが、レール12が車体フレーム2から反力を受ける方向は、主に上下方向の上向きである(
図6参照)。
【0028】
レール12の形状について、
図3および
図4を用いて具体的に説明し、併せて車体フレーム2の形状について、
図3および
図5を用いて具体的に説明する。
図3はレール12とゴムパッド15と車体フレーム2の一部を示す斜視図であり、
図4は
図3に示すレール12とゴムパッド15と車体フレーム2とを縦方向に切断した縦断面図であり、
図5は、荷台5が車体フレーム2に着座した状態において、レール12とゴムパッド15と車体フレーム2とを縦方向に切断した縦断面図である。
【0029】
図3および
図4に示すように、レール12は、荷台5の底板11a(
図2参照)から左右方向に間隔を空けて下方に延びる2つのレール側板(縦板)12a,12bと、レール側板12a,12bの下端面に下方から当接するレール底板(底板)12cと、を有し、荷台5の底板11aとレール側板12a,12bとレール底板12cとによって内部に空間が形成された中空のボックス構造となっている。なお、レール側板12a,12bとレール底板12cとは溶接により一体化されている。
【0030】
そして、
図4に示すように、レール底板12cは、レール側板12aの下端面と接触している領域を含む左側の部分に第1領域が形成され、レール側板12bの下端面と接触している領域を含む右側の部分にも同じく第1領域が形成され、これら2つの第1領域に挟まれた中央の部分(第1領域以外の領域)に第2領域が形成されている。即ち、レール底板12cの左右両端側が第1領域であり、その中央部が第2領域である。
【0031】
一方、車体フレーム2は、
図3および
図5に示すように、左右方向に間隔を空けて配置された一対のフレーム側板(フレーム縦板)2a−1と、これら一対のフレーム側板2a−1の上端面に上方から当接するフレーム天板2a−2とを溶接により接合して形成される。そして、
図5に示すように、荷台5が車体フレーム2に着座した状態において、レール底板12cは、後述するゴムパッド15を介してフレーム天板2a−2に支持される。
【0032】
なお、詳しくは後述するが、車体フレーム2が荷台5から荷重を受ける方向は主に上下方向の下向き(
図6参照)であることから、フレーム側板2a−1は、荷台5から荷重を受ける方向に沿って設けられているということになる。より詳しくは、フレーム側板2a−1の側面が上下方向に対して略平行に向けられている。
【0033】
そして、
図5に示すように、フレーム天板2a−2は、その左右端部に、それぞれフレーム側板2a−1の上端面と接触している領域を含む第3領域が形成され、その中央部(第3領域以外の領域)に、第4領域が形成されている。即ち、フレーム天板2a−2の左右両端側が第3領域であり、その中央部が第4領域である。
【0034】
また、レール12の長手方向の中間部よりやや後ろ側の位置には、ヒンジピンブラケット13がそれぞれ取り付けられている。これらヒンジピンブラケット13には、ヒンジピン6が回転可能に挿通されている。すなわち、ヒンジピンブラケット13は、ヒンジピン6を回転可能に支持する。
【0035】
次に、本発明の「荷重伝達構造体」に相当するゴムパッド(パッド)15の詳細について、
図3および
図4を用いて説明する。ゴムパッド15は、弾性材料の一例であるゴムから成り、矩形状断面を有する直方体である。ゴムパッド15は、
図4に示すように、左右両側のサイドパッド(第1パッド)15a,15cと中央のセンターパッド(第2パッド)15bとが一体化された構造である。本実施形態では、サイドパッド15a,15c、およびセンターパッド15bは同じ材料で形成されているが、異なる材料で形成されるようにしても良い。
【0036】
なお、
図4において、ゴムパッド15に示した白色の一点鎖線は、サイドパッド15a,15cとセンターパッド15bとの境界を示す仮想線であり、実物にはそのような線は存在しない。
【0037】
さらに、ゴムパッド15は、左右両側のサイドパッド15a,15cが中実な弾性体であるのに対して、センターパッド15bには長手方向に貫通する複数の空孔20が設けられている。そのため、ゴムパッド15は、サイドパッド15a,15cの方が、センターパッド15bより剛性が高い。
【0038】
そして、
図4に示すように、ゴムパッド15は、サイドパッド15aがレール底板12cの左側の第1領域に、サイドパッド15cがレール底板12cの右側の第1領域に、センターパッド15bがレール底板12cの中央の第2領域にそれぞれ接触するようにして、レール底板12cの下面に強固に接着される。
【0039】
なお、ゴムパッド15の数は、1つのレール12に対して数個である(
図2参照)。これにより、荷台5は、車体フレーム2に着座したときの衝撃が緩和されると共に、ゴムパッド15と車体フレーム2との間の摩擦力により安定した姿勢で着座することができる。ただし、レール底板12cが車体フレーム2から受ける反力は、ゴムパッド15の剛性の違いから、第1領域と第2領域とで異なる大きさとなる。
【0040】
このことについて、
図6を用いて詳しく説明する。
図6は、車体フレーム2からの反力を受けてレール12がどのように変形するかを示した図である。上述したように、ゴムパッド15はサイドパッド15a,15cの方がセンターパッド15bより剛性が高いので、車体フレーム2からの反力を、ゴムパッド15を介してレール底板12cに伝達する場合、
図6に示す反力分布から明らかなように、サイドパッド15a,15cの部分からレール底板12cの第1領域に伝達する反力の方が、センターバッド15bの部分からレール底板12cの第2領域に伝達する反力より大きくなる。
【0041】
そのため、
図6に示すように、従来のレール底板の変形と比較してレール底板12cの曲げモーメント(レール側板12a,12b間のトータル)が低下し、レール底板12cの曲げ変形量とレール底板12cとレール側板12a,12bとの接合部における曲げたわみ角が低下する。これにより、レール底板12cの中央部に負荷される曲げ応力と、レール底板12cとレール側板12a,12bの接合部にかかる曲げ応力を低下させることが可能となる。
【0042】
このことは、車体フレーム2についても同じことが言える。そこで、
図7を用いて車体フレーム2の変形について説明する。
図7は、車体フレーム2が荷台5からの荷重を受けてどのように変形するかを示した図である。上述したように、ゴムパッド15はサイドパッド15a,15cの方がセンターパッド15bより剛性が高いので、荷台5からの荷重を、ゴムパッド15を介してフレーム天板2a−2に伝達する場合、
図7に示す反力分布から明らかなように、サイドパッド15a,15cの部分からフレーム天板2a−2の第3領域に伝達する荷重の方が、センターバッド15bの部分からフレーム天板2a−2の第4領域に伝達する荷重より大きくなる。
【0043】
そのため、
図7に示すように、従来のフレーム天板の変形と比較してフレーム天板2a−2の曲げモーメント(フレーム側板2a−1間のトータル)が低下し、フレーム天板2a−2の曲げ変形量とフレーム天板2a−2とフレーム側板2a−1との接合部における曲げたわみ角が低下する。これにより、フレーム天板2a−2の中央部に負荷される曲げ応力と、フレーム天板2a−2とフレーム側板2a−1の接合部にかかる曲げ応力を低下させることが可能となる。
【0044】
ところで、第1実施形態に用いるゴムパッドは上記した構成に限らず、種々の変形が可能である。以下、ゴムパッドの変形例について説明する。
図8は、ゴムパッドの変形例を示す図である。
図8(a)は、上記した第1実施形態で用いたゴムパッド15を示している。繰り返しになるが、
図8(a)に示すゴムパッド15は、その中央部に複数の空孔20を長手方向に貫通させることにより、ゴムパッド15の空孔20が設けられている部分(第2パッドに相当)の剛性をそれ以外の部分(第1パッドに相当)の剛性に比べて低くしている。これにより、レール12と車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減できる。
【0045】
図8(b)に示す変形例1に係るゴムパッド15−1は、複数の空孔21をゴムパッド15−1の厚さ方向(高さ方向)に貫通させることにより、空孔21が設けられている部分(第2パッドに相当)の剛性をそれ以外の部分(第1パッドに相当)の剛性と比べて低くしている。
【0046】
この変形例1の構成によっても、レール底板12cに伝達する車体フレーム2からの反力を、レール側板12a,12bと接触する第1領域(
図6参照)になるべく偏らせるように伝達することができるから、レール底板12cの中央部に負荷される曲げ応力と、レール底板12cとレール側板12a,12bとの接合部にかかる曲げ応力を低減できる。
【0047】
また、変形例1の構成によれば、フレーム天板2a−2に伝達する荷台5からの荷重を、フレーム側板2a−1と接触する第3領域(
図7参照)になるべく偏らせるように伝達することができるから、フレーム天板2a−2の中央部に負荷される曲げ応力と、フレーム天板2a−2とフレーム側板2a−1との接合部にかかる曲げ応力を低減できる。
【0048】
図8(c)に示す変形例2に係るゴムパッド15−2は、中央部に球状の空孔22を複数個設けることにより、空孔22が設けられている部分(第2パッドに相当)の剛性をそれ以外の部分(第1パッドに相当)より低くしている。
【0049】
この変形例2の構成によっても、
図8の変形例1と同様に、レール底板12cに形成された第1領域に反力が偏って伝達され、フレーム天板2a−2に形成された第3領域に荷重が偏って伝達されるから、レール12および車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減することができる。
【0050】
なお、
図8(a)〜(c)に図示されている空孔20,21,22の形状は、断面が円形状であるが、これ以外に、楕円状、矩形状、三角形状、など任意の断面形状のものを採用することができる。
【0051】
図8(d)に示す変形例3に係るゴムパッド15−3は、中央部に空孔等を設けずに、両端部にゴムパッドよりも剛性の高い棒状の補強材23を長手方向に挿通させることによって、補強材23が挿通した両端部(第1パッドに相当)の剛性を、中央部(第2パッドに相当)の剛性より高くしている。即ち、
図8(a)〜(c)に示すゴムパッドは空孔を設けることによって剛性を低くする構成であったが、
図8(d)に示すゴムパッド15−3は、ゴムパッドの材質より剛性の高い補強材23によって剛性を高くする構成である。
【0052】
この変形例3の構成によっても、
図8の変形例1,2と同様に、レール底板12cに形成された第1領域に反力が偏って伝達され、フレーム天板2a−2に形成された第3領域に荷重が偏って伝達されるから、レール12および車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減することができる。
【0053】
図8(e)に示す変形例4に係るゴムパッド15−4は、両端部24と中央部25とでゴムの材質を異なるものにしている。より詳細には、両端部(第1パッドに相当)24のゴムの剛性を、中央部(第2パッドに相当)25のゴムの剛性より高くしている。
【0054】
この変形例4の構成によっても、
図8の変形例1〜3と同様に、レール底板12cに形成された第1領域に反力が偏って伝達され、フレーム天板2a−2に形成された第3領域に荷重が偏って伝達されるから、レール12および車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減することができる。なお、変形例4に係るゴムパッド15−4の中央部25を取り除き、両端部24のみが互いに間隔を空けて配置された構成のゴムパッドとしても良い(
図8(g)参照)。
【0055】
図8(f)に示す変形例5に係るゴムパッド15−5は、上面および下面に凹凸が形成された形状を成している。より具体的には、ゴムパッド15−5は、その上面の中央部に、長手方向に沿って凹部27が設けられ、その結果、凹部27の両端に長手方向に沿って平坦な凸部26が形成されて成る。下面についても同様である。
【0056】
このように形成されたゴムパッド15−5がレール12に取り付けられた状態を示したものが
図9である。
図9に示すように、ゴムパッド15−5は、凸部26がレール底板12cの第1領域と接触しているが、凹部27は、レール底板12cの第2領域と接触していない。即ち、レール底板12cとゴムパッド15−5との間には、凹部27の深さに相当する隙間が生じている。そのため、レール底板12cはゴムパッド15−5を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなり、反力分布で表すと
図6と同等となる。
【0057】
また、ゴムパッド15−5の下面にも凹部27が形成されているから、ゴムパッド15−5の下面がフレーム天板2a−2と接触する部分は凸部26のみである。即ち、フレーム天板2a−2の第3領域とだけゴムパッド15−5の下面は接触することになる。よって、フレーム天板2a−2に伝達される荷重も第3領域に偏ったものとなる。
【0058】
以上のことから、変形例5の構成によっても、
図8の変形例1〜4と同様に、レール底板12cに形成された第1領域に反力が偏って伝達され、フレーム天板2a−2に形成された第3領域に荷重が偏って伝達されるから、レール12および車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減することができる。
【0059】
ところで、上記した第1実施形態では、ゴムパッド15をレール底板12cに直接接着した例を説明したが、ゴムパッド15をレール底板12cに取り付ける方法はこの構成に限定されない。ゴムパッド15をレール底板12cに取り付ける方法のその他の例について、
図10を用いて説明する。
図10に示す例では、ゴムパッド15は板16に接着される。そして、ゴムパッド15が接着された板16をレール底板12cに取り付け、ボルト18とナット19で固定することにより、ゴムパッド15はレール12に取り付けられる。この構成によれば、ゴムパッド15の交換が容易である。なお、
図10における符号17は、レール底板12cと板16の間に挿入して、ゴムパッド15の取付け位置(高さ)を調整するために調整板である。この調整板17は必要に応じて取り付けられる。
【0060】
次に、調整板17の好ましい形状(変形例1−1〜1−6)について
図11〜
図17を用いて説明する。
図11〜
図16は、第1実施形態において適用可能な変形例1−1〜1−6に係る調整板の平面図、
図17は
図11に示す調整板を取り付けた状態のレール構造を示す外観斜視図である。
図11に示す変形例1−1に係る調整板17−1は、
図17に示すようにゴムパッド15が取り付けられた板16と、レール12のレール底板12cとの間に挿入される。調整板17−1の挿入方向は、
図11の矢印Aの方向である。なお、ゴムパット15が取り付けられた板16は両側縁に3つずつボルト穴が設けられており、1つの板16とレール底板12cとは、6つのボルト18およびナット19によって締結されている。
【0061】
変形例1−1に係る調整板17−1は、
図11に示すように、長方形の薄板に3本のスリット17−1aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成されている。このスリット17−1aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、調整板17−1を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている(
図17参照)。この調整板17−1を板16とレール底板12cとの間に挿入するためには、ナット19を緩めて板16とレール底板12cとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に調整板17−1を矢印Aの方向に挿入すれば、所定の位置に調整板17−1をセットすることができる。このように、調整板17−1を用いることにより、ボルト18およびナット19を完全に取り外して調整板を取り付ける場合に比べて、調整板の取付け作業の効率が向上するという利点がある。
【0062】
変形例1−2に係る調整板17−2は、
図12に示すように、長方形の薄板に3本のスリット17−2aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成され、さらに、スリット17−2aから矢印A方向と直交する矢印C方向(第2方向)に沿って溝17−2bが2つ設けられている。溝17−2bはボルト18が干渉することなく入り込むことができるように、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されている。勿論、スリット17−2aの幅もボルト18の直径よりやや大きい寸法である。
【0063】
このように形成された調整板17−2を板16とレール底板12cとの間に挿入するには、まずナット19を緩めて板16とレール底板12cとの間に隙間を設ける。そして、調整板17−2を矢印Aの方向に挿入する。調整板17−2を矢印A方向に挿入していくと、最終的にはボルト18がスリット17−2aの端部に当たるので、その後調整板17−2を矢印C方向に移動させると、ボルト18が溝17−2bに収まる。その後、ナット19を締め付けると、調整板17−2の取付けは完了する。
【0064】
この構成では、ボルト18が溝17−2bに入り込んでいるため、ダンプトラック1の走行中に生じる振動でナット19が緩んだとしても、調整板17−2が矢印A方向と反対の方向(取り外し方向)に移動することを防止できる。即ち、変形例1−2に係る調整板17−2は、変形例1−1に係る調整板17−1と同様に取付け作業の効率化が見込めるうえ、抜け落ち防止効果も発揮できる点でも優れる。
【0065】
変形例1−3に係る調整板17−3は、
図13に示すように、長方形の薄板に3本のスリット17−3aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成され、さらに、スリット17−3aから矢印A方向と斜めに交わる方向である矢印D方向(第2方向)に沿って溝17−3bが2つ設けられている。溝17−3bはボルト18が干渉することなく入り込むことができるように、ボルト18の直径よりやや大きい幅で屈曲するように形成されている。勿論、スリット17−3aの幅もボルト18の直径よりやや大きい寸法である。
【0066】
このように形成された調整板17−3を板16とレール底板12cとの間に挿入するには、まずナット19を緩めて板16とレール底板12cとの間に隙間を設ける。そして、調整板17−3を矢印A方向に挿入する。調整板17−3を矢印A方向に挿入していくと、最終的にはボルト18がスリット17−3aの端部に当たるので、その後調整板17−3を矢印D方向に移動させた後に矢印B方向に移動させる。すると、ボルト18は溝17−3bに収まる。その後、ナット19を締め付けると、調整板17−3の取付けは完了する。この構成によっても、取付け作業の効率化および抜け落ち防止効果を発揮できる。
【0067】
変形例1−4に係る調整板17−4は、
図14に示すように、長方形の薄板に2本のスリット17−4aが挿入方向である矢印C方向(第1方向)に沿って直線状に形成されている。このスリット17−4aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、調整板17−4を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。この調整板17−4を用いた場合、ナット19を緩めて板16とレール底板12cとの間に隙間を設けた状態で当該隙間に調整板17−4を挿入することができるから、ボルト18およびナット19を完全に取り外して調整板を取り付ける場合に比べて、調整板の取付け作業の効率が向上するという利点がある。
【0068】
変形例1−5に係る調整板17−5は、
図15に示すように、長方形の薄板の左側に1本のスリット17−5aが挿入方向である矢印C方向(第1方向)に沿って直線状に形成され、さらに、スリット17−5aから矢印C方向と直交する矢印A方向(第2方向)に沿って溝17−5bが3つ設けられている。また、薄板の右側には、矢印A方向に沿って溝17−5cが3つ設けられている。なお、溝17−5bと溝17−5cとは同一直線状に配置されている。そして、溝17−5bおよび溝17−5cはボルト18が干渉することなく入り込むことができるように、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されている。勿論、スリット17−5aの幅もボルト18の直径よりやや大きい寸法である。
【0069】
このように形成された調整板17−5を板16とレール底板12cとの間に挿入するには、まずナット19を緩めて板16とレール底板12cとの間に隙間を設ける。そして、調整板17−5を矢印C方向に挿入する。調整板17−5を矢印C方向に挿入していくと、最終的にはボルト18がスリット17−5aの端部に当たるので、その後調整板17−5を矢印A方向に移動させると、ボルト18が溝17−5bおよび溝17−5cに収まる。その後、ナット19を締め付けると、調整板17−5の取付けは完了する。
【0070】
この構成では、ボルト18が溝17−5bおよび溝17−5cに入り込んでいるため、ダンプトラック1の走行中に生じる振動でナット19が緩んだとしても、調整板17−5が矢印C方向と反対の方向(取り外し方向)に移動することを防止できる。即ち、変形例5に係る調整板17−5は、取付け作業の効率化を図ることができ、抜け落ちも防止できる。
【0071】
変形例1−6に係る調整板17−6は、
図16に示すように、長方形の薄板の左側に1本のスリット17−6aが挿入方向である矢印C方向(第1方向)に沿って直線状に形成され、さらに、スリット17−6aから矢印C方向と斜めに交わる矢印E方向(第2方向)に沿って溝17−6bが3つ設けられている。また、薄板の右側には、矢印C方向と斜めに交わる矢印E方向に沿って溝17−6cが3つ設けられている。溝17−6bは、変形例1−3に係る調整板17−3(
図13参照)と同様に屈曲する形状からなる。溝17−6cは溝17−6bと同一形状からなり、両者は矢印C方向に同一間隔で配置されている。そして、溝17−6bおよび溝17−6cはボルト18が干渉することなく入り込むことができるように、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されている。勿論、スリット17−6aの幅もボルト18の直径よりやや大きい寸法である。
【0072】
このように形成された調整板17−6を板16とレール底板12cとの間に挿入するには、まずナット19を緩めて板16とレール底板12cとの間に隙間を設ける。そして、調整板17−6を矢印C方向に挿入する。調整板17−6を矢印C方向に挿入していくと、最終的にはボルト18がスリット17−6aの端部に当たるので、その後調整板17−6を矢印E方向に移動させた後に矢印C方向に移動させる。すると、ボルト18は溝17−6bおよび溝17−6cに収まる。その後、ナット19を締め付けると、調整板17−6の取付けは完了する。この構成によっても、取付け作業の効率化および抜け落ち防止効果を発揮できる。
【0073】
なお、スリットおよび溝の方向、幅、長さは、適宜設計することができることは勿論である。また、調整板は、板16とレール底板12cとの間に挿入することができれば、その形状に制限はない。
【0074】
また、上記した第1実施形態では、ゴムパッド15をレール底板12cに設けた構成を説明したが、ゴムパッド15を車体フレーム2のフレーム天板2a−2に設ける構成としても良い。
【0075】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るダンプトラックについて図を用いて説明する。第2実施形態では、本発明の「荷重伝達構造体」に相当する構成が第1実施形態と相違する。そこで、以下では、この相違点を中心に説明を行い、第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0076】
第2実施形態において、本発明の「荷重伝達構造体」に相当する構成は、ゴムパッド(パッド)115およびゴムパッド取付板(パッド取付板)120である。これらの構成を
図18および
図19に示す。
図18は、レール12、ゴムパッド115、ゴムパッド取付板120、および車体フレーム2の一部を示す斜視図であり、
図19は
図18に示すレール12、ゴムパッド115、ゴムパッド取付板120、および車体フレーム2を縦方向に切断した縦断面図である。
【0077】
図18および
図19に示すように、ゴムパッド115は、弾性材料の一例であるゴムから成り、矩形状断面を有する中実な直方体である。なお、ゴムパッド115は、第1実施形態に示すような空孔等は設けられていない。このゴムパッド115の上面は、ゴムパッド取付板120に接着剤によって強固に固定されている。なお、ゴムパッド115の数は、1つのレール12に対して数個である。これにより、荷台5は、車体フレーム2に着座したときの衝撃が緩和されると共に、ゴムパッド115と車体フレーム2との間の摩擦力により安定した姿勢で着座することができる。
【0078】
一方、ゴムパッド取付板120は、所定の板厚を有する鋼板から成り、その上面には凹凸が形成されている。具体的には、ゴムパッド取付板120は、その上面の中央部に、長手方向に沿って平坦な凹部122が設けられ、その結果、凹部122の両端に長手方向に沿って平坦な凸部121が形成されて成る。なお、ゴムパッド取付板120の両端部に設けられた複数の穴は、ボルト18挿入用の穴である。
【0079】
図19に示すように、ゴムパッド取付板120は、凸部121がレール底板12cの第1領域と接触しているが、凹部122は、レール底板12cの第2領域と接触していない。即ち、レール底板12cとゴムパッド取付板120との間には、凹部122の深さに相当する隙間が生じている。そのため、レール底板12cはゴムパッド115およびゴムパッド取付板120を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。
【0080】
この反力の偏りについて、
図20を用いて説明する。
図20は、レール底板12cが車体フレーム2から受ける反力の分布と、レール底板12cの変形の状態を示したものである。上述したように、レール底板12cは、車体フレーム2からの反力をゴムパッド取付板120の凸部121から受けるため、反力の分布は、
図20に示す通り、レール底板12cの第1領域に集中する。即ち、ゴムパッド取付板120によって、反力がレール底板12cとレール側板12a,12bとが接触している部分に偏って伝達される。
【0081】
その結果、
図20に示すように、レール底板12cは、従来のレール底板の変形と比較してレール底板12cの曲げモーメント(レール側板12a,12b間のトータル)が低下し、レール底板12cの曲げ変形量とレール底板12cとレール側板12a,12bとの接合部における曲げたわみ角が低下する。これにより、レール底板12cの中央部に負荷される曲げ応力と、レール底板12cとレール側板12a,12bの接合部にかかる曲げ応力を低下させることが可能となる。
【0082】
ところで、第2実施形態に用いるゴムパッド取付板とゴムパッドは上記した構成に限らず、種々の変形が可能である。以下、ゴムパッド取付板とゴムパッドの変形例について説明する。
図21は、ゴムパッド取付板とゴムパッドの変形例を示す図である。
図21(a)は、上記した第2実施形態で用いたゴムパッド取付板120とゴムパッド115を示している。繰り返しになるが、
図21(a)に示すゴムパッド取付板120は、凸部121がレール底板12cの第1領域と接触しているが、凹部122は、レール底板12cの第2領域と接触していない。そのため、ゴムパッド取付板120によって、レール底板12cが受ける反力を第1領域に偏らせることができるから、レール12の高応力箇所にかかる応力を低減できる。
【0083】
図21(b)に示す変形例1に係るゴムパッド取付板120−1は、凹部122−1の面形状が同図(a)に示すものと異なっている。具体的には、変形例1の構成において、ゴムパッド取付板120−1の凹部122−1は、パイプを中心軸と平行に切断した後のパイプの内周面のような曲面で形成されている。
【0084】
この変形例1の構成によっても、レール底板12cに伝達する車体フレーム2からの反力を、レール側板12a,12bと接触する第1領域(
図20参照)に偏らせるように伝達することができるから、レール底板12cの中央部に負荷される曲げ応力と、レール底板12cとレール側板12a,12bとの接合部にかかる曲げ応力を低減できる。
【0085】
図21(c)に示す変形例2に係るゴムパッド取付板120−2は、ゴムパッド115−2が取り付けられる側の面(下面)にも凹凸が形成されている。即ち、凹部122の下面には、下方に突出する突出部123が形成される。一方、ゴムパッド115−2には突出部123が嵌まり込む陥没部が設けられている。そして、この突出部123がゴムパッド115−2の陥没部に嵌まり込むことにより、ゴムパッド115−2がゴムパッド取付板120−2により一層強固に固定される。
【0086】
この変形例2の構成によっても、
図21の変形例1と同様に、レール底板12cに形成された第1領域に反力が偏って伝達されるから、レール12および車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減することができる。また、変形例2では、ゴムパッド115−2とゴムパッド取付板120−2とが凹凸嵌合されているので、左右方向の力がかかってもゴムパッド115−2がゴムパッド取付板120−2から外れにくいといったメリットもある。
【0087】
図21(d)に示す変形例3に係るゴムパッド取付板120−3は、上面に変形例1と同様の曲面から成る凹部122−1が設けられている。さらに、ゴムパッド取付板120−3のゴムパッド115−3が取り付けられる側の面(下面)にも曲面から成る突出部123−1が形成されている。一方、ゴムパッド115−3には突出部123−1が嵌まり込む陥没部が設けられている。そして、この突出部123−1がゴムパッド115−3の陥没部に嵌まり込むことにより、ゴムパッド115−3がゴムパッド取付板120−3により一層強固に固定される。
【0088】
この変形例3の構成によっても、
図21の変形例1,2と同様に、レール底板12cに形成された第1領域に反力が偏って伝達されるから、レール12および車体フレーム2の高応力箇所にかかる応力を低減することができる。また、変形例3では、ゴムパッド115−3とゴムパッド取付板120−3とが凹凸嵌合されているので、左右方向の力がかかってもゴムパッド115−3がゴムパッド取付板120−3から外れにくいといったメリットもある。
【0089】
図21(e)に示す変形例4に係るゴムパッド取付板120−4は、同図(c)の変形例2に係るゴムパッド取付板120−2の構成に、さらに、凹部122に左右方向に延びる補強リブ124を複数設けて構成される。この補強リブ124は、ゴムパッド取付板120−4がレール底板12cに取り付けられた際にレール底板12cの第2領域と接触しないように、凹部122の深さより小さい高さで形成される。この変形例4の構成によれば、
図21の変形例2と同様の効果を奏する。さらに、変形例4の構成によれば、補強リブ124によってゴムパッド取付板120−4の剛性が高められるから、ゴムパッド取付板120−4が破損しにくくなる。
【0090】
図21(f)に示す変形例5に係るゴムパッド取付板120−5は、同図(a)〜(e)の何れかに示すゴムパッド取付板の凹部に充填材125を充填して、充填材125と凸部121とが面一となるように構成されたものである。充填材125は、ゴムパット取付板の凸部121と比べて剛性が低いものが用いられている。この変形例5の構成によれば、レール底板12cが受ける反力を第1領域になるべく偏らせることができるから、
図21の変形例1〜4と同様にレール12の高応力箇所にかかる応力を低減できる。なお、ゴムパッド取付板120−5の充填材125が充填されている部分が本発明の「第2パッド取付板」に相当し、凸部121の部分が本発明の「第1パッド取付板」に相当する。
【0091】
ところで、上記した第2実施形態では、ゴムパッド取付板120をレール底板12cに直接取り付けた例を説明したが、ゴムパッド取付板120をレール底板12cに取り付ける方法はこの構成に限定されない。ゴムパッド取付板120をレール底板12cに取り付ける方法のその他の例について、
図22を用いて説明する。
図22に示す例では、ゴムパッド115が接着されたゴムパッド取付板120は、調整板17を介してレール底板12cに取り付けられる。この構成によれば、レール底板12cに対するゴムパッド115の取付け位置(高さ)を調整することができる。勿論、この調整板17は必要に応じて取り付ければ良い。この際、調整板17として、上記した調整板17−1〜6(
図11〜
図16参照)を用いることができるのは勿論である。
【0092】
また、車体フレーム2のフレーム天板2a−2の高応力箇所にかかる応力を低減したい場合には、ゴムパッド115が取り付けられたゴムパッド取付板120を
図19に示す状態から逆さにして、車体フレーム2に取り付ければ良い。
図23は、車体フレーム2にゴムパッド取付板120を取り付けた例を示している。
図24は、
図23におけるフレーム天板2a−2の変形を示した図である。
図23に示すように、ゴムパッド取付板120の凸部121だけがフレーム天板2a−2の第3領域と接触している。そのため、荷台5からかかる荷重は、
図24に示すようにフレーム天板2a−2の第3領域だけに集中的にかかる。
【0093】
そのため、
図24に示すように、従来のフレーム天板の変形と比較してフレーム天板2a−2の曲げモーメント(フレーム側板2a−1間のトータル)が低下し、フレーム天板2a−2の曲げ変形量とフレーム天板2a−2とフレーム側板2a−1との接合部における曲げたわみ角が低下する。これにより、フレーム天板2a−2の中央部に負荷される曲げ応力と、フレーム天板2a−2とフレーム側板2a−1の接合部にかかる曲げ応力を低下させることが可能となる。
【0094】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るダンプトラックについて図を用いて説明する。第3実施形態では、本発明の「荷重伝達構造体」に相当する構成が第1実施形態および第2実施形態と相違する。そこで、以下では、この相違点を中心に説明を行い、第1実施形態または第2実施形態と同じ構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0095】
第3実施形態において、本発明の「荷重伝達構造体」に相当する構成は、ゴムパッド(パッド)215、ゴムパッド取付板(パッド取付板)220、および平板230である。これらの構成を
図25および
図26に示す。
図25は、レール12、ゴムパッド215、ゴムパッド取付板220、平板230、および車体フレーム2の一部を示す斜視図であり、
図26は
図25に示すレール12、ゴムパッド215、ゴムパッド取付板220、平板230、および車体フレーム2を縦方向に切断した縦断面図である。
【0096】
図25および
図26に示すように、ゴムパッド215は、弾性材料の一例であるゴムから成り、矩形状断面を有する中実な直方体である。なお、ゴムパッド215は、第1実施形態に示すような空孔等は設けられていない。このゴムパッド215の上面は、ゴムパッド取付板220に接着剤によって強固に固定されている。なお、ゴムパッド215の数は、1つのレール12に対して数個である。これにより、荷台5は、車体フレーム2に着座したときの衝撃が緩和されると共に、ゴムパッド215と車体フレーム2との間の摩擦力により安定した姿勢で着座することができる。
【0097】
一方、ゴムパッド取付板220は、所定の板厚を有し、表裏の両面が平らな鋼板から成り、その裏面にゴムパッド215が取り付けられる。なお、ゴムパッド取付板220の両端部に設けられた複数の穴は、ボルト18挿入用の穴である。
【0098】
第3実施形態では、ゴムパッド取付板220とレール底板12cの間に、複数枚の平板230が挿入されている。平板230は、鋼板を短冊状に切断して形成される。平板230の幅は、
図26に示すように、レール底板12cの第1領域と略同等である。そのため、レール底板12cにゴムパッド215、ゴムパッド取付板220、および平板230が取り付けられた状態では、
図26に示すように、第1領域は平板230と接触しているが、第2領域は平板230と接触しておらず、平板230の板厚分の隙間が生じている。そのため、レール底板12cはゴムパッド215、ゴムパッド取付板220、および平板230を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。
【0099】
この反力の偏りについて、
図27を用いて説明する。
図27は、レール底板12cが車体フレーム2から受ける反力の分布と、レール底板12cの変形の状態を示したものである。上述したように、レール底板12cは、車体フレーム2からの反力を平板230から受けるため、反力の分布は、
図27に示す通り、レール底板12cの第1領域に集中する。即ち、平板230によって、反力がレール底板12cとレール側板12a,12bとが接触している部分に偏って伝達される。
【0100】
その結果、
図27に示すように、レール底板12cは、従来のレール底板の変形と比較してレール底板12cの曲げモーメント(レール側板12a,12b間のトータル)が低下し、レール底板12cの曲げ変形量とレール底板12cとレール側板12a,12bとの接合部における曲げたわみ角が低下する。これにより、レール底板12cの中央部に負荷される曲げ応力と、レール底板12cとレール側板12a,12bの接合部にかかる曲げ応力を低下させることが可能となる。
【0101】
図28は、平板230の使用例を示している。
図28に示すように、第3実施形態に用いる平板230の数は何枚でも良い。例えば、
図28(a)に示すように、左右に1枚ずつ平板230をレール底板12cとゴムパッド取付板220との間に挿入しても良いし、同図(b)のように3枚の平板230を挿入しても良い。また、
図28(c)〜(f)に示すように、平板230と高さ調整用の調整板17を組み合わせて用いても良い。この場合、調整板17の形状は、ゴムパッド取付板220と略同等とするのが好ましい。ゴムパッド取付板220と調整板17を重ね合わせるのが容易だからである。
【0102】
また、詳しくは図示しないが、車体フレーム2のフレーム天板2a−2の高応力箇所にかかる応力を低減したい場合には、
図26に示すゴムパッド215、ゴムパッド取付板220、および平板230を逆さにして、車体フレーム2に取り付ければ良い。
【0103】
次に、平板230の好ましい形状(変形例3−1〜3−4)について
図29〜
図32を用いて説明する。
図29〜
図32は、第3実施形態において適用可能な変形例3−1〜3−4に係る平板の平面図である。
図29〜
図32に示す平板230−1,2、230−3,4、230−5,6、230−7,8は、
図25に示す平板230の代わりに用いられる。
【0104】
変形例3−1に係る平板230−1は、
図29に示すように、長方形の薄板に3本のスリット230−1aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成されている。このスリット230−1aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板230−1を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。また、平板230−2も平板230−1と同様に、3本のスリット230−2aを備えて構成される。
【0105】
これら平板230−1,2を用いた場合、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設けた状態で当該隙間に平板230−1をレール側板12aの側方から矢印A方向に挿入し、平板230−2をレール側板12bの側方から矢印B方向に挿入することができるから、ボルト18およびナット19を完全に取り外して平板を取り付ける場合に比べて、平板の取付け作業の効率が向上するという利点がある。
【0106】
変形例3−2に係る平板230−3は、
図30に示すように、長方形の薄板に3本のスリット230−3aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成されている。このスリット230−3aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板230−3を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。また、平板230−4も平板230−3と同様に3本のスリット230−4aを備えて構成されるが、スリットの長さが平板230−3より短く形成されている。
【0107】
平板230−3を挿入するためには、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に平板230−3をレール側板12aの側方から矢印A方向に挿入すれば、レール側板12aのほぼ真下の位置に平板230−3がセットされる。一方、平板230−4は、レール12の前方または後方から前記隙間に差し入れた後、矢印A方向に移動させることにより、レール側板12bのほぼ真下の位置にセットされる。このように、平板230−3,4をレール底板12cの下側に取り付ける際に、ボルト18およびナット19を完全に取り外す必要はない。よって、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0108】
変形例3−3に係る平板230−5は、
図31に示すように、長方形の薄板に3本のスリット230−5aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成されている。このスリット230−5aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板230−5を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。また、平板230−6も平板230−5と同様に3本のスリット230−6aを備えて構成される。さらに、変形例3−3では、平板230−5と平板230−6とは連結部材235によって連結されている。この連結部材235は、例えば、ゴム、紐、バネ等の部材から成り、平板230−5および平板230−6に対して着脱自在である。
【0109】
これら平板230−5,6を用いた場合、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設けた状態で当該隙間に平板230−5をレール側板12aの側方から矢印A方向に挿入し、平板230−6をレール側板12bの側方から矢印B方向に挿入する。そして、連結部材235を用いて、平板230−5と平板230−6とを連結する。この構成によれば、ボルト18およびナット19を完全に取り外して平板を取り付ける場合に比べて、平板の取付け作業の効率が向上するという利点がある。加えて、連結部材235によって平板230−5と平板230−6とが連結されているので、ダンプトラック1の走行中に生じる振動によって平板230−5,230−6が落下することを防止できる。
【0110】
変形例3−4に係る平板230−7は、
図32に示すように、長方形の薄板に3本のスリット230−7aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成され、さらに、スリット230−7aの端部から矢印A方向と直交する矢印C方向(第2方向)に沿って溝230−7bが設けられている。溝230−7bはボルト18が干渉することなく入り込むことができるように、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されている。勿論、スリット230−7aの幅もボルト18の直径よりやや大きい寸法である。
【0111】
このように形成された平板230−7をゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に挿入するには、まずナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設ける。そして、平板230−7を矢印A方向に挿入する。平板230−7を矢印A方向に挿入していくと、最終的にはボルト18がスリット230−7aの端部に当たるので、その後平板230−7を矢印C方向に移動させると、ボルト18が溝230−7bに収まる。その後、ナット19を締め付けると、平板230−7の取付けは完了する。なお、平板230−8も平板230−7と同様に、3本のスリット230−8aと3つの溝230−8bとを備えて構成され、上述した平板230−7と同様の方法で取り付けられる。
【0112】
この構成では、ボルト18が溝230−7b,230−8bに入り込んでいるため、ダンプトラック1の走行中に生じる振動でナット19が緩んだとしても、平板230−7,230−8が矢印A方向と反対の方向(取り外し方向)に移動することを防止できる。即ち、変形例3−4に係る平板230−7,230−8は、変形例3−1に係る平板230−1,230−2と同様に取付け作業の効率化が見込めるうえ、抜け落ち防止効果も発揮できる点でも優れる。
【0113】
次に、平板の使用態様例について
図33を用いて説明する。
図33(a)は、平板230−1,230−2を1組用いた例を示している。また、
図33(b)に示すように、平板230−1,230−2を3組重ねて用いるようにしても良い。また、
図33(c)に示すように、1組の平板230−3,230−4と2組の調整板17−1(
図11参照)を組み合わせて用いることもできる。また、
図33(d)に示すように、1組の平板230−3,230−4と2枚の調整板17(
図28参照)とを重ねて用いるようにしても良い。また、
図33に示す使用態様例以外の組合せとすることもできる。
【0114】
なお、上記したスリットおよび溝の方向、幅、長さは、適宜設計することができることは勿論である。また、平板は、ゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に挿入することができれば、その形状に制限はない。
【0115】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るダンプトラックについて図を用いて説明する。第4実施形態では、本発明の「支持構造体」に相当する構成が第1〜第3実施形態と相違する。それに伴い、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板の形状が、第1〜第3実施形態で図示したものと相違する。そこで、以下では、これらの相違点を中心に説明を行い、第1〜第3実施形態と同じ構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0116】
図34は、第4実施形態に係るレール、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、平板、および車体フレームの一部を示す斜視図である。第4実施形態では、両レール側板12a,12bの両内壁面とレール底板12cの上面の3面と当接するように、補強板40がレール12の長手方向に所定の間隔を空けて設けられている。この補強板40は、レール12の剛性を高めるために設けられたものである。即ち、第4実施形態では、本発明の「支持構造体」として、剛性を高めるために、第1〜第3実施形態にて用いられたレール12に補強板40を設けた構成が採用されている。そのため、第4実施形態では、補強板40にも車体フレーム2から反力を受けることになる。なお、補強板40も車体フレーム2から反力を受ける方向に向けられたものであるから、本発明の「縦板」に相当する。
【0117】
そして、第4実施形態では、レール12の内部に補強板40が設けられたことにより、レール底板12cの第1領域と第2領域の区分けが、第1〜第3実施形態における区分けと異なるものとなっている。
図35は、レール底板12cを下側から見た図であり、レール底板12cの底面に第4実施形態における第1領域と第2領域の区分けを図示したものである。
図35に示すように、レール底板12cの底面には、補強板40と接触する部分と両レール側板12a,12bと接触する部分とを含んだ領域である第1領域と、この第1領域を除いた部分である第2領域とが形成されている。なお、第1領域は、略H型形状に区分けされた領域である。
【0118】
このように、第4実施形態では、第1領域が略H型形状になっているので、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、または平板が第1領域の形状に合うように形成されている。具体的には、
図36に示す通りである。
図36(a)は、第4実施形態に用いられるゴムパッド315の形状を示したものである。このゴムパッド315は、
図36(a)に示すように、上面に略H型形状の凸部316が形成され、凸部316以外の部分が凹部317となっている。また、下面は、長手方向に沿って凹部27が形成されている。
【0119】
このゴムパッド315の凸部316がレール底板12cの第1領域に合致するようにゴムパッド315をレール底板12cに貼り付ければ、第1実施形態で説明したように、レール底板12cはゴムパッド315を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、ゴムパッド315を用いることにより、レール底板12cの曲げ変形を小さくでき、レール12の高応力箇所の応力を低減することができる。
【0120】
このように、ゴムパッド315は、第1実施形態に示すレール12の構造に代えて第4実施形態に示すレール12の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0121】
また、
図36(b)は、第4実施形態に用いられるゴムパッド取付板320の形状を示したものである。このゴムパッド取付板320は、
図36(b)に示すように、上面に略H型形状の凸部321が形成され、凸部321以外の部分が凹部322となっている。
【0122】
このゴムパッド取付板320の凸部321がレール底板12cの第1領域に合致するようにゴムパッド取付板320をレール底板12cにボルト18/ナット19で固定すれば、第2実施形態で説明したように、レール底板12cはゴムパッド取付板320の凸部321を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、ゴムパッド取付板320を用いることにより、レール底板12cの曲げ変形を小さくでき、レール12の高応力箇所の応力を低減することができる。
【0123】
このように、ゴムパッド取付板320は、第2実施形態に示すレール12の構造に代えて第4実施形態に示すレール12の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0124】
また、
図36(c)は、第4実施形態に用いられる平板330の形状を示したものである。この平板330は、
図34に示すように、ゴムパッド取付板220とレール底板12cの間に挿入される。平板330の形状は、
図36(c)に示す通り、略H型である。そのため、レール底板12cとゴムパッド取付板220の間の所定の位置に平板330が挿入されると、平板330がレール底板12cの第1領域と接触することにより、第3実施形態で説明したように、レール底板12cは平板330を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、平板330を用いることにより、レール底板12cの曲げ変形を小さくでき、レール12の高応力箇所の応力を低減することができる。
【0125】
このように、平板330は、第3実施形態に示すレール12の構造に代えて第4実施形態に示すレール12の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0126】
次に、平板330の好ましい形状(変形例4−1〜4−4)について
図37〜
図40を用いて説明する。
図37〜
図40は、第4実施形態において適用可能な変形例4−1〜4−4に係る平板の平面図である。
図37〜
図40に示す平板330−1,2、330−3,4、330−5,6、330−7は、
図34に示す平板330の代わりに用いられる。
【0127】
変形例4−1に係る平板330−1は、
図37に示すように、長方形の薄板に3本のスリット330−1aが挿入方向である矢印E方向(第1方向)に沿って斜めに延びている。このスリット330−1aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板330−1を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。さらに、平板330−1の中央には凸部330−1bが形成されている。また、平板330−2も平板330−1と同様に、3本のスリット330−2aと凸部330−2bとを備えて構成される。そして、平板330−1と平板330−2とを互いの凸部330−1b,330−2bを突き合わせるようにして並べると、2つの平板330−1,2で略H型の形状となる。即ち、
図36(c)に示す平板330を縦に2分割し、さらにスリットを設けたものが、平板330−1および平板330−2である
【0128】
これら平板330−1,2を用いた場合、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設けた状態で当該隙間に平板330−1をレール側板12aの側方から矢印E方向に挿入し、平板330−2をレール側板12bの側方から矢印F方向に挿入することができるから、ボルト18およびナット19を完全に取り外して平板を取り付ける場合に比べて、平板の取付け作業の効率が向上するという利点がある。
【0129】
変形例4−2に係る平板330−3は、
図38に示すように、長方形の薄板に3本のスリット330−3aが挿入方向である矢印E方向(第1方向)に沿って斜めに延びている。このスリット330−3aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板330−3を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。さらに、平板330−3の中央には凸部330−3bが形成されている。また、平板330−4も平板330−3と同様に、3本のスリット330−4aと凸部330−4bとを備えて構成されるが、スリット330−4aの長さはスリット330−3aより短く形成されている。そして、平板330−3と平板330−4とを互いの凸部330−3b,330−4bを突き合わせるようにして並べると、2つの平板330−3,4で略H型の形状となる。
【0130】
平板330−3を挿入するためには、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に平板330−3をレール側板12aの側方から矢印E方向に挿入すれば、レール側板12aのほぼ真下の位置に平板330−3がセットされる。一方、平板330−4は、レール12の前方または後方から前記隙間に差し入れた後、矢印E方向に移動させることにより、レール側板12bのほぼ真下の位置にセットされる。このように、平板330−3,4をレール底板12cの下側に取り付ける際に、ボルト18およびナット19を完全に取り外す必要はない。よって、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0131】
変形例4−3に係る平板330−5は、
図39に示すように、長方形の薄板に3本のスリット330−5aが挿入方向である矢印E方向(第1方向)に沿って斜めに延びている。このスリット330−5aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板330−5を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。さらに、平板330−5の中央には凸部330−5bが形成されている。また、平板330−6も平板330−5と同様に、3本のスリット330−6aを備えて構成されるが、スリット330−6aの長さはスリット330−5aより短く形成されている。なお、平板330−6には凸部は形成されていない。そして、平板330−5の凸部330−5bを平板330−6に突き合わせるようにして並べると、2つの平板330−5,6で略H型の形状となる。
【0132】
平板330−5を挿入するためには、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に平板330−5をレール側板12aの側方から矢印E方向に挿入すれば、レール側板12aのほぼ真下の位置に平板330−5がセットされる。一方、平板330−6は、レール12の前方または後方から前記隙間に差し入れた後、矢印E方向に移動させることにより、レール側板12bのほぼ真下の位置にセットされる。このように、平板330−5,6をレール底板12cの下側に取り付ける際に、ボルト18およびナット19を完全に取り外す必要はない。よって、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0133】
変形例4−4に係る平板330−7は、
図40に示すように、略H型の形状の薄板に3本のスリット330−7aと3本のスリット330−7bとが挿入方向である矢印E方向(第1方向)に沿って斜めに延びている。このスリット330−7a,7bは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板330−7を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。なお、スリット330−7aよりスリット330−7bの方が短い長さとなっている。
【0134】
平板330−7を挿入するためには、例えば、レール側板12b側のナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設け、かつ、レール側板12a側のボルト18を取り外す。この状態で当該隙間に平板330−7をレール側板12aの側方から矢印E方向に挿入する。そして、取り外したボルト18を再度取り付け、平板330−7を所定の位置にセットする。このように、平板330−7を用いても、取り外すボルト18は一部で済むので、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0135】
なお、上記したスリットの方向、幅、長さは、適宜設計することができることは勿論である。さらに、スリットに上記したような溝を設けるようにしても良い。また、平板は、ゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に挿入することができれば、その形状に制限はない。
【0136】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態に係るダンプトラックについて図を用いて説明する。第5実施形態では、本発明の「支持構造体」に相当する構成が第1〜第4実施形態と相違する。それに伴い、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板の形状が、第1〜第4実施形態で図示したものと相違する。そこで、以下では、これらの相違点を中心に説明を行い、第1〜第4実施形態と同じ構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0137】
図41は、第5実施形態に係るレール412と車体フレーム2との間に、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板を取り付けた状態の斜視図である。第5実施形態では、両レール側板12a,12bの代わりに、レール縦板12dが複数設けられた構成である。具体的には、
図41に示すように、レール縦板12dは、その長手方向がダンプトラックの左右方向と一致するようにして、前後方向に所定の間隔を空けて荷台5の底板11aに溶接されている。別言すれば、レール縦板12dは、その表裏面に直交する方向がダンプトラックの前後方向と平行となる向きで荷台5の底板11aに取り付けられている。
【0138】
なお、第5実施形態においても、車体フレーム2から反力を受ける方向は主に上下方向であるから、レール縦板12dは、車体フレーム2から反力を受ける方向に沿って設けられているとも言える。即ち、レール縦板12は、本発明の「縦板」に相当することになる。
【0139】
このように、第5実施形態では、本発明の「支持構造体」として、レール縦板12dとレール底板12cとにより構成されたレール412が採用されている。そして、第5実施形態は、レール縦板12dとレール底板12cとによりレール412が構成されているから、レール底板12cの第1領域と第2領域の区分けが、第1〜第4実施形態における区分けと異なるものとなっている。
図42は、レール底板12cを下側から見た図であり、レール底板12cの底面に第5実施形態における第1領域と第2領域の区分けを図示したものである。
図42に示すように、レール底板12cの底面には、レール縦板12dと接触する部分を含んだ領域である第1領域と、この第1領域を除いた部分である第2領域とが形成されている。
【0140】
図43は、第5実施形態において好適なゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板の形状を示したものである。
図43(a)は、第5実施形態に用いられるゴムパッド415の形状を示したものである。このゴムパッド415は、
図43(a)に示すように、その上面に幅方向に沿って凹部417が形成され、その凹部417の両端に凸部416が形成されている。また、下面は、長手方向に沿って凹部27が形成されている。
【0141】
このゴムパッド415の凸部416がレール底板12cの第1領域に合致するようにゴムパッド415をレール底板12cに貼り付ければ、第1実施形態で説明したように、レール底板12cはゴムパッド415を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、ゴムパッド415を用いることにより、レール底板12cの曲げ変形を小さくでき、レール412の高応力箇所の応力を低減することができる。
【0142】
このように、ゴムパッド415は、第1実施形態に示すレール12の構造に代えて第5実施形態に示すレール412の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0143】
また、
図43(b)は、第5実施形態に用いられるゴムパッド取付板420の形状を示したものである。このゴムパッド取付板420は、
図43(b)に示すように、その上面に幅方向に沿って凹部422が形成され、その凹部422の両端に凸部421が形成されている。
【0144】
このゴムパッド取付板420の凸部421がレール底板12cの第1領域に合致するようにゴムパッド取付板420をレール底板12cにボルト18/ナット19で固定すれば、第2実施形態で説明したように、レール底板12cはゴムパッド取付板420の凸部421を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、ゴムパッド取付板420を用いることにより、レール底板12cの曲げ変形を小さくでき、レール412の高応力箇所の応力を低減することができる。
【0145】
このように、ゴムパッド取付板420は、第2実施形態に示すレール12の構造に代えて第5実施形態に示すレール412の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0146】
また、
図43(c)は、第5実施形態に用いられる平板430の形状を示したものである。この平板430は、
図41に示すように、ゴムパッド取付板220とレール底板12cの間に挿入される。平板430の形状は、
図43(c)に示す通り、短冊状である。そのため、レール底板12cとゴムパッド取付板220の間の所定の位置に平板430が挿入されると、平板430がレール底板12cの第1領域と接触することにより、第3実施形態で説明したように、レール底板12cは平板430を介して車体フレーム2からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、平板430を用いることにより、レール底板12cの曲げ変形を小さくでき、レール412の高応力箇所の応力を低減することができる。
【0147】
このように、平板430は、第3実施形態に示すレール12の構造に代えて第5実施形態に示すレール412の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0148】
次に、平板430の好ましい形状(変形例5−1〜5−2)について
図44〜
図45を用いて説明する。
図44〜
図45は、第5実施形態において適用可能な変形例5−1〜5−2に係る平板の平面図である。
図44〜
図45に示す平板430−1,2、430−3,4は、
図41に示す平板430の代わりに用いられる。
【0149】
変形例5−1に係る平板430−1は、
図44に示すように、長方形の薄板に3本のスリット430−1aが挿入方向である矢印A方向(第1方向)に沿って直線状に形成されている。このスリット430−1aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板430−1を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。また、平板430−2も平板430−1と同様に、3本のスリット430−2aを備えて構成されるが、スリット430−2aの長さはスリット430−3aより短く形成されている。
【0150】
平板430−1を挿入するためには、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に平板430−1をレール412の前方から矢印A方向に挿入すれば、レール縦板12dのほぼ真下の位置に平板430−1がセットされる。一方、平板430−2は、レール412の側方から前記隙間に差し入れた後、矢印A方向に移動させることにより、レール縦板12dのほぼ真下の位置にセットされる。このように、平板430−1,2をレール底板12cの下側に取り付ける際に、ボルト18およびナット19を完全に取り外す必要はない。よって、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0151】
変形例5−2に係る平板430−3は、
図45に示すように、長方形の薄板に1本のスリット430−3aが挿入方向である矢印C方向(第1方向)に沿って直線状に形成され、さらに、スリット430−3aの端部から矢印C方向と直交する矢印A方向(第2方向)に沿って溝430−3bが設けられている。溝430−3bはボルト18が干渉することなく入り込むことができるように、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されている。勿論、スリット430−3aの幅もボルト18の直径よりやや大きい寸法である。また、平板430−4も平板430−3と同様に、1本のスリット430−4aおよび3本の溝430−4bを備えて構成される。
【0152】
このように形成された平板430−3をゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に挿入するには、まずナット19を緩めてゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に隙間を設ける。そして、平板430−3を矢印C方向に挿入する。平板430−3を矢印C方向に挿入していくと、最終的にはボルト18がスリット430−3aの端部に当たるので、その後平板430−3を矢印A方向に移動させると、ボルト18が溝430−3bに収まる。その後、ナット19を締め付けると、平板430−3の取付けは完了する。なお、平板430−4も平板430−3と同様の方法で取り付ければ良い。
【0153】
この構成では、ボルト18が溝430−3b,430−4bに入り込んでいるため、ダンプトラック1の走行中に生じる振動でナット19が緩んだとしても、平板430−3,430−4が矢印C方向と反対の方向(取り外し方向)に移動することを防止できる。即ち、変形例5−2に係る平板430−3,430−4は、変形例5−1に係る平板430−1,430−2と同様に取付け作業の効率化が見込めるうえ、抜け落ち防止効果も発揮できる点でも優れる。
【0154】
なお、上記したスリットおよび溝の方向、幅、長さは、適宜設計することができることは勿論である。また、平板は、ゴムパッド取付板220とレール底板12cとの間に挿入することができれば、その形状に制限はない。
【0155】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態に係るダンプトラックについて図を用いて説明する。第6実施形態では、本発明の「支持構造体」に相当する構成が第1〜第5実施形態と相違する。それに伴い、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板の形状が、第1〜第5実施形態で図示したものと相違する。そこで、以下では、これらの相違点を中心に説明を行い、第1〜第5実施形態と同じ構成については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0156】
図46は、第6実施形態に係る荷台ブラケット512と台座部502との間に、ゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板を取り付けた状態の斜視図である。第6実施形態では、荷台5にレールを設ける代わりに荷台ブラケット512を設け、車体フレーム2に荷台ブラケット512を支持する台座部502を設けた構成が採用される。そして、荷台5が車体フレーム2に着座した際に、荷台ブラケット512が台座部502に着座することで、荷台ブラケット512からの荷重を台座部502で支える構造となっている。この荷台ブラケット512が本発明の「支持構造体」に相当するものである。なお、図示しないが、荷台ブラケット512は荷台5の前板11bに取り付けられ、台座部502は、車体フレーム2の前側で荷台ブラケット512に対応する位置に設けられている。
【0157】
荷台ブラケット512は、ブラケット底板512dの上に、4枚のブラケット板512a〜cを1枚ずつブラケット底板512dの各辺に沿って立設させて成る構造体である。なお、荷台ブラケット512の各部材は溶接により接合されている。一方、車体フレーム2に設けられる台座部502は、台座天板502a−2と、台座天板502a−2から下方に延びる2つの台座側板502a−1とを備えて構成される。台座部502の各部材も溶接により接合されている。
【0158】
なお、第6実施形態においても、車体フレーム2から反力を受ける方向は主に上下方向であるから、ブラケット板512a〜cは、何れも車体フレーム2から反力を受ける方向に沿って設けられていると言うことになる。よって、ブラケット板512a〜cは、本発明の「縦板」に相当する。また、ブラケット底板512dは、ブラケット512a〜cに下方から当接しているから、本発明の「底板」に相当する。
【0159】
このように、第6実施形態では、本発明の「支持構造体」として、ブラケット板512a〜cとブラケット底板512dとにより構成された荷台ブラケット512が採用されている。そして、第6実施形態は、ブラケット板512a〜cとブラケット底板512dとにより荷台ブラケット512が構成されているから、ブラケット底板512dの第1領域と第2領域の区分けが、第1〜第5実施形態における区分けと異なるものとなっている。
図47は、ブラケット底板512dを下側から見た図であり、ブラケット底板512dの底面に第6実施形態における第1領域と第2領域の区分けを図示したものである。
図47に示すように、ブラケット底板512dの底面には、4枚のブラケット板512a〜cと接触する部分を含んだ領域である第1領域と、この第1領域を除いた部分である第2領域とが形成されている。より具体的には、ブラケット底板512dの中央部に矩形状に区分けされた領域が第2領域、この中央部を除いた略矩形枠状の領域が第1領域である。
【0160】
図48は、第6実施形態において好適なゴムパッド、ゴムパッド取付板、および平板の形状を示したものである。
図48(a)は、第6実施形態に用いられるゴムパッド515の形状を示したものである。このゴムパッド515は、
図48(a)に示すように、その上面の中央部に矩形状の凹部517が形成され、その凹部517の周囲に凸部516が形成されている。また、下面は、長手方向に沿って凹部527が形成されている。ここで、凸部516の形状は、第1領域と略同じであり、凹部527の幅は、一対の台座側板502a−1間の幅より若干狭くなっている。
【0161】
ゴムパッド515の凸部516がブラケット底板512dの第1領域に合致するようにゴムパッド515をブラケット底板512dに貼り付ければ、第1実施形態で説明したように、ブラケット512dはゴムパッド515を介して台座部502からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、ゴムパッド515を用いることにより、ブラケット底板512dの曲げ変形を小さくでき、荷台ブラケット512の高応力箇所の応力を低減することができる。このように、ゴムパッド515は、第6実施形態に示す荷台ブラケット512の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0162】
また、
図48(b)は、第6実施形態に用いられるゴムパッド取付板520の形状を示したものである。このゴムパッド取付板520は、
図48(b)に示すように、その上面の中央部に矩形状の凹部522が形成され、その凹部522の周囲に凸部521が形成されている。ここで、凸部521の形状は、第1領域と略同じである。
【0163】
このゴムパッド取付板520の凸部521がブラケット底板512dの第1領域に合致するようにゴムパッド取付板520をブラケット底板512dにボルト18/ナット19で固定すれば、第2実施形態で説明したように、ブラケット底板512dはゴムパッド取付板520の凸部521を介して台座部502からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、ゴムパッド取付板520を用いることにより、ブラケット底板512dの曲げ変形を小さくでき、荷台ブラケット512の高応力箇所の応力を低減することができる。このように、ゴムパッド取付板520は、第6実施形態に示す荷台ブラケット512の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0164】
また、
図48(c)は、第6実施形態に用いられる平板530の形状を示したものである。この平板530は、
図46に示すように、ゴムパッド取付板220とブラケット底板512dの間に挿入される。平板530の形状は、
図48(c)に示す通り、矩形枠状である。そのため、ブラケット底板512dとゴムパッド取付板220の間の所定の位置に平板530が挿入されると、平板530がブラケット底板512dの第1領域と接触することにより、第3実施形態で説明したように、ブラケット底板512dは平板530を介して台座部502からの反力を受けるが、その反力は、第1領域に偏ったものとなる。つまり、反力は、第1領域の方が第2領域より大きくなる。よって、平板530を用いることにより、ブラケット底板512dの曲げ変形を小さくでき、荷台ブラケット512の高応力箇所の応力を低減することができる。このように、平板530は、第6実施形態に示す荷台ブラケット512の構造が採用された場合に好適な形態である。
【0165】
次に、平板530の好ましい形状(変形例6−1〜6−3)について
図49〜
図51を用いて説明する。
図49〜
図51は、第6実施形態において適用可能な変形例6−1〜6−3に係る平板の平面図である。
図49〜
図51に示す平板530−1、530−2,3、530−4,5は、
図46に示す平板530の代わりに用いられる。
【0166】
変形例6−1に係る平板530−1は、
図49に示すように、長方形の薄板に2本のスリット530−1aが挿入方向である矢印C方向(第1方向)に沿って形成されている。このスリット530−1aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板530−1を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。さらに、平板530−1の中央には長方形状の開口530−1bが形成されている。
【0167】
この平板530−1を用いた場合、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とブラケット底板512dとの間に隙間を設けた状態で当該隙間に平板530−1を矢印C方向に挿入することができるから、ボルト18およびナット19を完全に取り外して平板を取り付ける場合に比べて、平板の取付け作業の効率が向上するという利点がある。
【0168】
変形例6−2に係る平板530−2は、
図50に示すように、長方形の薄板に3本のスリット530−2aが挿入方向である矢印E方向(第1方向)に沿って斜めに延びている。このスリット530−2aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板530−2を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。さらに、平板530−2の中央には凹部530−2bが形成されている。また、平板530−3も平板530−2と同様に、3本のスリット530−3aと凹部530−3bとを備えて構成されるが、スリット530−3aの長さはスリット530−2aより短く形成されている。そして、平板530−2と平板530−3とを互いの凹部530−2b,530−3bを突き合わせるようにして並べると、2つの平板530−2,3で中央部がくり抜かれた矩形枠状を成す。
【0169】
平板530−2を挿入するためには、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とブラケット底板512dとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に平板530−2を矢印E方向に挿入すれば、ブラケット板512a〜cのほぼ真下の位置に平板530−2がセットされる。一方、平板530−3は、荷台ブラケット512の前方から前記隙間に差し入れた後、矢印E方向に移動させることにより、ブラケット板512a〜cのほぼ真下の位置にセットされる。このように、平板530−2,3をブラケット底板512dの下側に取り付ける際に、ボルト18およびナット19を完全に取り外す必要はない。よって、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0170】
変形例6−3に係る平板530−4は、
図51に示すように、長方形の薄板に3本のスリット530−4aが挿入方向である矢印E方向に沿って斜めに延びている。このスリット530−4aは、ボルト18の直径よりやや大きい幅で形成されており、平板530−4を挿入する際にボルト18との干渉がないように構成されている。さらに、平板530−4の中央には凹部530−4bが形成されている。また、平板530−5も平板530−4と同様に、3本のスリット530−5aと凹部530−5bとを備えて構成される。そして、平板530−4と平板530−5とを互いの凹部530−4b,530−5bを突き合わせるようにして並べると、2つの平板530−4,5で中央部がくり抜かれた矩形枠状を成す。なお、変形例6−2に係る平板530−2と平板530−3とは縦方向に分割されるが、変形例6−3に係る平板530−4と平板530−5とは略横方向に分割される点において両者は相違する。
【0171】
平板530−4を挿入するためには、ナット19を緩めてゴムパッド取付板220とブラケット底板512dとの間に隙間を設ける。この状態で当該隙間に平板530−4を矢印E方向に挿入すれば、ブラケット板512a〜cのほぼ真下の位置に平板530−4がセットされる。一方、平板530−5は、荷台ブラケット512の前方から前記隙間に差し入れた後、矢印E方向に移動させることにより、ブラケット板512a〜cのほぼ真下の位置にセットされる。このように、平板530−4,5をブラケット底板512dの下側に取り付ける際に、ボルト18およびナット19を完全に取り外す必要はない。よって、平板の取付け作業の効率が向上する。
【0172】
なお、上記したスリットの方向、幅、長さは、適宜設計することができることは勿論である。さらに、スリットに上記したような溝を設けるようにしても良い。また、平板は、ゴムパッド取付板220とブラケット底板512dとの間に挿入することができれば、その形状に制限はない。
【0173】
以上説明したように、上記した各実施形態によれば、荷台や車体フレームの大幅な改造や表面処理を行わずに、消耗品であるゴムパッド、ゴムパッド取付板、平板等の構造を変更することで、荷台と車体フレームの当接位置で発生する反力によるレール(あるいは荷台ブラケット)の底板、および車体フレーム(あるいは台座部)の天板にかかる曲げモーメントや、底板(あるいは天板)と側板との付根部にかかる曲げたわみ角を抑え、かかる部位の応力を低減することが可能となる。これにより、実働中に発生するピーク応力と応力変動を同時に低減することができ、荷台および車体フレームの寿命を延ばすことが可能となる。また、現地組立におけるゴムパッドの面圧分布調整誤差に起因する評価部位の応力変動も抑えることができ、高ロバスト設計が可能となる。
【0174】
なお、上述した実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。