【実施例】
【0026】
本実施例においては、特段断りがない限り「%」は「重量%」である。
コラーゲンペプチドの製造例
(1)鱗の洗浄乾燥
フィーレ加工する際にマダイ1匹づつ水流ジェット式鱗剥離機にかけて、養殖マダイの鱗をSUS製網カゴで捕集した。この鱗を綺麗に洗浄して天日乾燥した。なお、鱗組成は窒素分析と灰分よりの測定でコラーゲン42.1%、カルシウムアパタイトを主成分とする化合物57.9%であった。
【0027】
(2)酸脱灰
乾燥鱗100g(水分15%)に0.6モル塩酸1,500mLを加え、2時間攪拌した。100メッシュ網にてろ過(脱灰溶液pH1.5)、残渣を1Lの水にて入れて15分間攪拌した、この水洗/ろ過処理を3回繰り返し粗コラーゲンを得た(3回目のろ過溶液pH2.3)。105℃で3hr乾燥させた絶乾鱗の粗コラーゲン収率は50%、窒素17.4%、残カルシウム0.12%、残リン酸分0.37%であった。ここでコラーゲン含有量は窒素×5.55(コラーゲン定数)で計算した。
(3)希アルカリ処理
酸脱灰に引き続き湿潤状態の粗コラーゲンに0.1%苛性ソーダ溶液を重量比で10倍量加え、水温25℃で45分間攪拌処理した。処理物を100メッシュの網でろ過、その後固形分を重量比で10倍量の水にて水洗浄/ろ過、この操作を2回繰り返した。(2回目の水洗液のpH6.9)
【0028】
(4)コラーゲンの酵素分解
希アルカリ処理粗コラーゲンに重量比で10倍量の水を加えて、90℃にて2時間攪拌し、粗コラーゲン溶液を得た(溶液のpH8.5)。未溶解分を含む粗コラーゲン溶液を55℃に冷却後、プロテアーゼNアマノG酵素(天野エンザイム(株)、商品名)を添加し、攪拌しつつ加水分解した。経時的にサンプリングおよび分子量測定を行い、求める数平均分子量(Mn)(試料A:2200、試料B:1800、試料C:1000、試料D:900、試料E:700、試料F:600、試料G:500)となるまで加水分解を行った。その後、85℃×15分加熱して酵素を失活させた。酵素の添加割合や攪拌時間等の反応条件は、求める数平均分子量毎に異なり、酵素の添加割合(粗コラーゲン溶液に含まれる粗コラーゲン重量に対する割合)は0.025%〜5.0%の範囲で、攪拌時間は3〜24時間の範囲で調節した。
この加水分解処理された粗コラーゲン溶液に、活性炭(フタムラ化学社製(商標)太閤S)を粗コラーゲンに対して0.4%の割合で加え、40℃×30分間攪拌処理し、次いで、その溶液を室温まで冷却後、珪藻土「昭和化学社製(商標)ラジオライトNo.100」を粗コラーゲンに対して0.5%の割合で添加した後ボデーフィードし、5mmの珪藻土プレコート層を通して吸引ろ過した。ろ液に再度、同量の活性炭を加えて珪藻土ろ過した。精製したコラーゲンペプチドを含む溶液をロータリーエバポレーターにて固形分が20%になるまで真空濃縮した。濃縮液を凍結乾燥し、乳鉢にて素早く粉末に粉砕し評価用サンプルとした。
【0029】
分析方法
(1)平均分子量の測定
製造例で得られたコラーゲンペプチドの平均分子量を、パギイ法20−2「平均分子量」に準じて測定した。パギイ法20−2「平均分子量」とは、高速液体クロマトグラフィーを用いたゲル濾過法によって、コラーゲン水溶液のクロマトグラムを求め、分子量分布を測定する方法である。具体的な操作は以下のとおりである。
1) 試料0.2gを100mlメスフラスコに取り、溶離液(0.1mol/lリン酸二水素カリウム溶液と0.1mol/lリン酸水素二ナトリウム溶液の等量混合液)を加え、1時間膨潤させた後、40℃で60分間加温して溶かす。室温まで冷却したあと、溶離液を標線まで加える。
2) 得られた溶液を溶離液で正確に10倍希釈し、検液とする。
3) 検液を用い、ゲル濾過法によってクロマトグラムを求める。
カラム:Shodex Asahipak GS 620 7G を2本直列
溶離液の流速:1.0ml/min
カラムの温度:50℃
検出方法:測定波長230nmの吸光度
4)保存時間を横軸にとり、対応した230nmの吸光度値を縦軸にして、試料の分子分布曲線を作成し、平均分子量を算出する。
【0030】
(2)等イオン点の測定
製造例で得られたコラーゲンペプチドの等イオン点をパギイ法8「等イオン点」に準じて測定した。パギイ法8「等イオン点」とは、pH計を用い、イオン交換樹脂により脱塩した検液の水素イオン濃度を測定する方法である。具体的な操作は以下のとおりである。
1) アンバーライト IR−120B 5mlとアンバーライト IRA−410 10mlを混合する。
2)混合した樹脂を純水で2回洗浄後、純水を入れ35℃に保温する。
3)保温した樹脂の水を切り、検液100mlを加え、35℃で20分以上撹拌する。
4)デカンテーション法により、検液からイオン交換樹脂を除去する。
5)検液の液温を35℃にしてpHを測定する。得られたpH値を等イオン点とする。
6)測定値は小数点以下2位にまとめる。
【0031】
以下に製造例で作製したコラーゲンペプチドの分析結果を記載する。
【0032】
【表1】
【0033】
実験例1
コラーゲンペプチド2.5g、コンドロイチン6硫酸ナトリウム(シグマ社製)0.1gを純水に溶かし、50mlにメスアップした。その際、50mlにメスアップした時のpHが4になるよう10%クエン
酸を用いてpHを調節した。
濁りの有無を目視にて観察すると共に、720nmの吸光度を測定した。実験は何れも24℃〜25℃の室内の温度において行った。なおコラーゲンペプチドは製造例にて作製したものと市販品を用いた。
【0034】
【表2】
【0035】
表2に示した通り、Mn1500以下かつMw3000以下のコラーゲンペプチドは濁りを生じなかった。一方Mn1500以上かつMw3000以上のコラーゲンペプチドは濁りを生じた。また、Mn1500未満でも、Mw3000以上かつ等イオン点7.0以上のコラーゲンペプチドは少し濁りを生じた。
【0036】
実験例2
コラーゲンペプチド2.5g、ヒアルロン酸ナトリウム(Streptococcus
equi sp.由来 Fluka製)0.1gを純水に溶かし、50mlにメスアップ
した。その際、50mlにメスアップした時のpHが4になるよう10%クエン
酸を用いてpHを調節した。一晩冷蔵(設定温度4℃)後、沈殿の有無を観察した。
【0037】
【表3】
【0038】
表3に示した通り、Mn1500以下かつMw3000以下のコラーゲンペプチドは濁りも沈殿も生じなかった。一方Mn1500以上かつMw3000以上のコラーゲンペプチドは濁りまたは/および沈殿を生じた。また、Mn1500未満でも、Mw3000以上かつ等イオン点7.0以上のコラーゲンペプチドは沈殿を生じた。
【0039】
以上のように、酸性水溶液に酸性ムコ多糖類とコラーゲンペプチドを配合した場合、Mn1500以下かつMw3000以下のコラーゲンペプチドは濁りも沈殿も生じなかった。
【0040】
実験例3
前記製造例1で得られた各コラーゲンペプチドおよび市販品のコラーゲンペプチドとコンドロイチン6硫酸ナトリウムとを下記処方で配合したドリンク(pH3.8)を製造し、濁りの有無を観察した。
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
これらの結果から酸性ムコ多糖類とコラーゲンペプチドを含有した酸性飲料において、数平均分子量1500以下かつ重量平均分子量3000以下のコラーゲンペプチドを用いることにより、濁りを生じず、澄明で清涼感のあるドリンクが得られることが分かる。