(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。本発明の実施形態は、さまざまな他の形態に変形することができるものであり、本発明の技術的範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、本発明に係る技術分野の平均的な知識を持った者が本発明を理解し得るべく説明するために提供される。したがって、図面における構成要素の形状及び大きさなどは、説明を明確にすることを目的として誇張される場合がある。また、図面における同一の参照符号は同一の構成要素を示す。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体デバイス50の概略断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る半導体デバイス100は、発光構造物101、支持基板102、第1端子部103a、第2端子部103b及び絶縁体104を備える。
【0021】
発光構造物101は、第1伝導型半導体層203、活性層202及び第2伝導型半導体層201を有する。第1伝導型半導体層203及び第2伝導型半導体層201は、窒化物系半導体である。例えば、第1伝導型半導体層203及び第2伝導型半導体層201は、Al
xIn
yGa
1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成を有する。第1伝導型半導体層203及び第2伝導型半導体層201は、GaAs系半導体又はGaP系半導体であってもよい。
【0022】
第1伝導型半導体層203は、支持基板102上に設けられ、第1伝導型の不純物がドープされている。第1伝導型の不純物は、例えばp型の不純物である。一例として、第1伝導型半導体層203がGaNである場合に、第1伝導型半導体層203にはZn又はMgが不純物としてドープされている。
【0023】
第2伝導型半導体層201は、第1伝導型と反対の伝導型である第2伝導型の不純物がドープされている。第1伝導型がp型である場合には、第2伝導型はn型である。一例として、第2伝導型半導体層201がGaNである場合に、第2伝導型半導体層201にはSi、Ge又はSnが不純物としてドープされている。
【0024】
活性層202は、電子と正孔との再結合によって予め定められたエネルギーを持つ光Lを放出する。活性層202は、一例として、量子井戸層及び量子障壁層が交互に積層した多重量子井戸(MQW)構造を有する。多重量子井戸構造の場合、例えば、InGaN/GaNを使用することができる。一方、第1伝導型半導体層203、第2伝導型半導体層201及び活性層202は、公知のMOCVD法、MBE法又はHVPE法などの半導体層成長法を用いて形成される。
【0025】
本実施形態において、支持基板102は導電性基板である。支持基板102は、例えば、Au、Ni、Al、Cu、W、Si、Se、GaAs、GaN及びSiCのいずれかの物質を有する。支持基板102は、複数の当該物質を有してもよい。
【0026】
第1端子部103a及び第2端子部103bは、導電性が良好な金属などにより形成される。第1端子部103aは、第1伝導型半導体層203と電気的に結合されている。第2端子部103bは、第2伝導型半導体層201と電気的に結合されている。例えば、第1端子部103a及び第2端子部103bは、導電体を介して、それぞれ第1伝導型半導体層203及び第2伝導型半導体層201に接続される。支持基板102が導電性基板である場合には、第1端子部103aは、支持基板102を介して第1伝導型半導体層203と電気的に結合される。
【0027】
第1端子部103aの少なくとも一部の領域、及び、第2端子部103bの少なくとも一部の領域は、支持基板102に対して発光構造物101と反対の側において露出している。具体的には、支持基板102における発光構造物101に接する面を支持基板102の上面、支持基板102における発光構造物101に接していない面を支持基板102の下面とする場合に、第1端子部103a及び第2端子部103bは、支持基板102の下面の側に設けられている。例えば、第1端子部103aは、支持基板102の下面に接している。第2端子部103bは、支持基板102の下面に接する絶縁体104に接している。第1端子部103aは、支持基板102を介して発光構造物101と電気的に結合されている。
【0028】
第2端子部103bは、第2伝導型半導体層201から、支持基板102の下面まで延伸されている。一例として、第2伝導型半導体層201の表面から発光構造物101及び支持基板102の側面と並行に延伸された構造を有する。第2端子部103bは、第2伝導型半導体層201の表面の近傍及び支持基板102の下面の近傍において、屈曲していてもよい。
【0029】
絶縁体104は、第2端子部103bと発光構造物101の側面との間を絶縁する。支持基板102が導電性基板である場合には、絶縁体104は、第2端子部103bと支持基板102の側面との間も絶縁する。絶縁体104は、例えば、シリコン酸化物又はシリコン窒化物である。
【0030】
第1伝導型半導体層203にp型不純物がドープされており、第2伝導型半導体層201にn型不純物がドープされている場合には、第1端子部103aの面積は、第2端子部103bの面積よりも大きいことが好ましい。半導体デバイス100が当該構成を有する場合には、第1端子部103aから発光構造物101に拡散する電流を大きくすることができるので、光取り出し効率を高めることができる。
【0031】
本実施形態に係る半導体デバイス100においては、第1端子部103a及び第2端子部103bが支持基板102の下面側に配置されているので、半導体デバイス100を表面実装工程(SMT)でPCB基板などに容易に実装することができる。
【0032】
図2は、他の実施形態に係る半導体デバイス100の概略断面図である。半導体デバイス100は、
図1に示した半導体デバイス50に対して、透光性ポリマー層105、光変換層106及びレンズ107をさらに備える。
【0033】
発光構造物101の上部には透光性ポリマー層105が設けられてもよい。透光性ポリマー層105は、シリコン樹脂又はエポキシ樹脂などを有し、透光性ポリマー層105の上方に配置された光変換層106との間で安定した接着構造を形成する。透光性ポリマー層105は、第2端子部103bの上部を覆い、光変換層106を形成する前に平坦な状態の面を形成することができる。透光性ポリマー層105は、光を反射又は屈折させる構造を側面又は光変換層106との界面に有することにより、レンズ107に向けて放出する光の指向角を調節してもよい。
【0034】
半導体デバイス100は、透光性ポリマー層105を備えなくてもよい。半導体デバイス100が透光性ポリマー層105を備えていない場合には、半導体デバイス100は、発光構造物101に接して光変換層106を備えてよい。
【0035】
光変換層106は、発光構造物101から放出された光の波長を変換する機能を有する蛍光体である。光変換層106は、量子点と同じ波長に変換する波長変換物質を有してよい。この場合、光変換層106は、波長変換物質から成るプレート構造(例えば、セラミック変換体)を有してもよく、シリコン樹脂などに分散したフィルム構造を有してもよい。
【0036】
波長変換物質が蛍光体であり、発光構造物101から青色光が放出される場合、赤色蛍光体ではMAlSiNx:Re(1≦x≦5)の窒化物蛍光体及びMD:Reの黄化物界蛍光体などがある。ここで、MはBa、Sr、Ca、Mgから選択された少なくとも一つであり、DはS、Se及びTeから選択された少なくとも一つであり、ReはEu、Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、F、Cl、Br及びIから選択された少なくとも一つである。
【0037】
緑色蛍光体はM
2SiO
4:Reの珪酸塩蛍光体、MA
2D
4:Reの黄化物蛍光体、β-SiAlON:Reの蛍光体、MA'
2O
4:Re'の酸化物蛍光体などである。MはBa、Sr、Ca、Mgから選択された少なくとも一つの元素である。AはGa、Al及びInから選択された少なくとも一つである。DはS、Se及びTeから選択された少なくとも一つである。
【0038】
A'はSc、Y、Gd、La、Lu、Al及びInから選択された少なくとも一つである。ReはEu、Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、F、Cl、Br及びIから選択された少なくとも一つである。Re'はCe、Nd、Pm、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、F、Cl、Br及びIから選択された少なくとも一つである。
【0039】
量子点はコア及びシェルから成るナノクリスタル粒子であり、コアのサイズが約100nm以上200nm以下の範囲にある。また、量子点は、コアのサイズを調節することで、青色(B)、黄色(Y)、緑色(G)、赤色(R)と同じさまざまな色を発光する蛍光物質において用いることができる。
【0040】
一例として、量子点は、II−VI族の化合物半導体(ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、MgTeなど)、III−V族の化合物半導体(GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN,InP、InAsInSb、AlAs、AlP、AlSb、AlSなど)又はIV族半導体(Ge、Si、Pbなど)から少なくとも二つの種類の半導体を異種接合し、コア及びシェル構造を形成することにより生成される。
【0041】
光変換層106においては、シェル構造を形成することにより量子点が生成される場合には、当該シェルの表面原子を保護基でキャッピングしてもよい。量子点の凝集を抑制することにより、光変換層106が有するシリコン樹脂又はエポキシ合成樹脂等の内部における分散性を向上させてもよい。蛍光体機能を向上させるべく、光変換層106に、オレイン酸と同じ物質を利用した有機リガンド(Organic Ligand)を形成してもよい。
【0042】
レンズ107は、光の指向角を調節する。レンズ107は、発光構造物101の上方に設けられる。つまり、半導体デバイス100が光変換層106を備える場合には、レンズ107は光変換層106に接して設けられる。
【0043】
レンズ107は、一例として、個別チップで分離した状態で発光構造物101の上方に設けられるのではなく、ウェハーレベルで製造された発光構造物101及び支持基板102と共にダイシングされることによって製造される。この場合には、レンズ107は、発光構造物101の上方に設けられるとともに、発光構造物101の側面を覆わないように形成される。
【0044】
つまり、水平方向におけるレンズ107の長さは、水平方向における発光構造物101の長さ以下である。ここで、水平方向とは、発光構造物101及びレンズ107が積層されている方向と垂直な方向である。半導体デバイス100が上記の構成を有する場合には、半導体デバイス100の大きさが低減されるとともに、同一のウェハーにおいてさらに多くのチップを生成することができる。
【0045】
図3は、発光構造物101及び支持基板102の周辺を拡大した図である。半導体デバイス100は、発光構造物101と支持基板102との間に設けられたボンディング層108をさらに備えてもよい。ボンディング層108は、例えばAuSnなどの共晶金属又は導電性エポキシなどの導電性ポリマーである。
【0046】
ボンディング層108は、導電性物質でなくてもよく、非伝導性ボンディング物質であってよい。この場合には、第1端子部103aは、ボンディング層108を貫通するビアホールを介して第1伝導型半導体層203と接続される。
【0047】
また、半導体デバイス100は、発光構造物101と支持基板102との間に反射金属層をさらに備えてもよい。当該反射金属層は、発光構造物101が放出する光を半導体デバイス100の上部、すなわち、レンズ107方向に反射する。さらに、当該反射金属層は、第1伝導型半導体層203とオーミック接触してもよい。当該反射金属層は、例えばAg、Ni、Al、Rh、Pd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt又はAuを含む。
【0048】
図4は、他の実施形態に係るレンズ107'を拡大して示す断面図である。レンズ107'は表面に形成されたマイクロレンズアレイaを有してもよい。レンズ107'の表面にマイクロレンズアレイが形成されることによって光取り出し効率がより一層向上する。
【0049】
図5から
図10は本発明の一実施形態に係る半導体デバイス100の製造方法を概略的に表した各工程における半導体デバイス100の断面図である。
【0050】
まず、
図5に示すように、成長基板109に発光構造物101を形成する。成長基板109は、半導体結晶を成長させるための基底基板として使用される。成長基板109は、例えば、サファイア基板である。サファイアは、六角−ロンボ型(Hexa-Rhombo R3c)対称性を有する結晶体である。サファイアは、c軸及びa軸方向の格子定数がそれぞれ13.001Å及び4.758Åであり、C(0001)面、A(1120)面、R(1102)面などを有する。
【0051】
上記のC面においては窒化物薄膜の成長が比較的容易であり、窒化物薄膜の成長が高温で安定するので、サファイア基板は、窒化物系半導体を成長するための基底基板に適している。サファイア基板に代えて、成長基板109として、SiC、GaN、ZnO、MgAl
2O
4、MgO、LiAlO
2及びLIGaO
2等を有する基板を使用してもよい。
【0052】
発光構造物101を形成する場合、まず、成長基板109上に第2伝導型半導体層201を結晶成長させる。続いて、第2伝導型半導体層201上に活性層202を結晶成長させ、活性層202上に第1伝導型半導体層203を結晶成長させる。第1伝導型半導体層203、第2伝導型半導体層201及び活性層202は、MOCVD法、MBE法、HVPE法などの方法により、結晶成長させることができる。
【0053】
次に、
図6に示すように、発光構造物101に支持体として支持基板102を付着させた後に、発光構造物101から成長基板109を分離する。一例として、成長基板109と発光構造物101の間の領域にレーザーを照射するレーザーリフトオフにより、成長基板109を分離する。レーザーリフトオフ以外の方法により、成長基板109を分離してもよい。例えば、化学的リフトオフにより、成長基板109を分離することができる。支持基板102は、成長基板109を除去する工程において、発光構造物101を支持する。
【0054】
支持基板102が導電性物質を含む場合には、支持基板102はメッキ法又は、ボンディング接合法などの方法により形成される。支持基板102は、アルミナ、AlN、不純物がドープされていないアンドープSiなどの非伝導性物質から成る基板であってもよい。この場合には、非導電性接着物質により、発光構造物101に支持基板102を付着させてよい。
【0055】
次に、
図7に示すように、発光構造物101及び支持基板102に貫通部Hを形成する。
図7においては、1個の貫通部Hが形成された例を示しているが、製造されるデバイスの数に応じて、2個以上の貫通部Hを形成してもよい。貫通部Hは、支持基板102を貫通し、第2伝導型半導体層201に達する。貫通部Hは、第2伝導型半導体層201を貫通してもよい。
【0056】
例えば、発光構造物101及び支持基板102を接合した後で、発光構造物101及び支持基板102を貫通する貫通部Hを形成する。発光構造物101及び支持基板102のそれぞれに貫通部Hを形成した後で、発光構造物101及び支持基板102を接合してもよい。その後、蒸着などの工程において、貫通部Hの内壁に絶縁体104を形成する。絶縁体104を貫通部Hの内壁だけでなく、支持基板102の下面に形成してもよい。
【0057】
次に、
図8に示すように、第1端子部103a及び第2端子部103bを形成する。第1端子部103a及び第2端子部103bは、貫通部Hに導電性材料を充填することにより形成される。第1端子部103a及び第2端子部103bの形成には、公知の蒸着法又はメッキ法を使用してよい。
【0058】
本実施形態においては、支持基板102の下面に第1端子部103aを形成し、導電性の支持基板102を介して発光構造物101と電気的に結合させる。第2端子部103bは発光構造物101の支持基板102に接する面の反対側の面から、貫通部Hを経由して支持基板102の下面に延伸されている。第2端子部103bは、支持基板102の下面の一部の領域を覆う絶縁体104に接する。続いて、
図9に示すように、発光構造物101上に透光性ポリマー層105及び光変換層106を形成する。
【0059】
次に、
図10に示すように、光変換層106の上方にレンズ107を設けることにより、半導体デバイスアレイを形成する。一例として、レンズ107は、あらかじめチップ単位で分離しないで、複数個のレンズが一体で形成された構造を有するレンズ、すなわち、ウェハーレベルレンズとして形成される。このようなウェハーレベルレンズを製作した後で、ウェハーレベルレンズを発光構造物101の上部に付着させてもよい。ウェハーレベルレンズを付着させた後に、個別レンズを整形してもよい。一例として、ウェハーレベルレンズは、ウェハーレベルレンズが有する複数のレンズの境界線の少なくとも一つが貫通部Hに重なるように設けられる。
【0060】
続いて、個別の半導体デバイス単位に分離するように、レンズ107が付着した構造物を
図10における矢印方向でダイシングする。つまり、第1端子部103aの中央部又は第2端子部103bの中央部を通る線に沿って、支持基板102、発光構造物101、透光性ポリマー層105、光変換層106及びウェハーレベルレンズを積層方向に切断する。第2端子部103bを切断する場合には、導電性材料が充填された貫通部Hを切断する。ダイシングをすることにより、
図10に示す実施形態においては、3個の半導体デバイス100を得ることができる。
【0061】
ダイシングされる前のウェハーレベルレンズが付着された状態の半導体デバイスアレイは、2個の個別レンズごとに第2端子部103bを備える。当該半導体デバイスは、第2端子部103bの間における支持基板102の表面に、第1端子部103aを備える。第2端子部103bは、個別レンズの境界位置を延長した面に対して対称な形状を有する。また、第1端子部103aは、個別レンズの境界位置を延長した面の左右で同一の長さを有する。ダイシングされる前の半導体デバイスが当該構成を有することにより、ダイシングにより得られる複数の半導体デバイス100が同じ形状を有する。
【0062】
本実施形態のように、複数のレンズを有するウェハーレベルレンズを有する半導体デバイスアレイを製造した後に、それぞれのレンズに対応する大きさごとにダイシングして半導体デバイス100を製造することにより、半導体層をダイシングした後にレンズを付着する製造方法に比べて製造効率が向上し、製造コストが低減する。
【0063】
図11は、他の実施形態に係る半導体デバイス200の概略断面図である。本実施形態において、半導体デバイス200は、
図1に示した半導体デバイス100における支持基板102に代えて、電気絶縁性支持基板102'を備える。電気絶縁性支持基板102'は、例えば、アルミナ、AlN、アンドープSiなどの物質により形成されている。
【0064】
半導体デバイス200は、電気絶縁性支持基板102'を貫通する導電性ビアVを有する。第1端子部103aは、導電性ビアVを介して発光構造物101と接続される。半導体デバイス200においては、第2端子部103bは、電気絶縁性支持基板102'の発光構造物101に接する面と反対の面及び側面に接する。また、絶縁体104が、支持基板102'と第2端子部103bの間の領域には形成されていない。つまり、半導体デバイス200は、電気絶縁性支持基板102'及び発光構造物101の界面に対して発光構造物101の側に形成された絶縁体104を備える。
【0065】
図11に示した実施形態においては、第1端子部103aが導電性ビアVを介して発光構造物101と接続されているが、第1端子部103aが第2端子部103bと同様の形状を有することにより、導電性ビアVを介することなく発光構造物101と接続してもよい。つまり、第1端子部103aは、第1伝導型半導体層203から発光構造物101及び支持基板102'の側面に沿って、支持基板102'に対して発光構造物101と反対の側まで延伸されていてもよい。
【0066】
また、
図1及び
図11に示した実施形態においては、第1端子部103aが発光構造物101の下面に接続され、第2端子部103bが発光構造物101の上面に接続されていた。半導体デバイスは、第1端子部103a及び第2端子部103bのそれぞれが、発光構造物101の下面又は上面の同じ側の面に接続される構成を有してもよい。
【0067】
例えば、第1伝導型半導体層203の一部の領域が発光構造物101の上面に露出している場合には、第1端子部103aは、
図1及び
図11における第2端子部103bと同様に、発光構造物101の上面から、発光構造物101及び支持基板102の側面に沿って支持基板102の下面に延伸されてもよい。また、第2伝導型半導体層201の一部の領域が発光構造物101の下面に露出している場合には、第2端子部103bは、
図1における第1端子部103aと同様に、支持基板102の下面に接して形成されてもよい。第2端子部103bは、
図11における第1端子部103aと同様に、支持基板102'の下面に接して形成された後に、導電性ビアVを介して発光構造物101に接続されてもよい。
【0068】
図12は、他の実施形態に係る半導体デバイス300を概略的に表した断面図である。
図12に示すように、半導体デバイス300は、発光構造物301、支持基板302、第1端子部303a、第2端子部303b、光変換層306、レンズ307及びボンディング層308を有する。発光構造物301は、第1伝導型半導体層403、活性層402及び第2伝導型半導体層401を有する。半導体デバイス300は、発光構造物301と光変換層306との間に設けられた透光性ポリシリコンをさらに備えてもよい。
【0069】
ボンディング層308は、発光構造物301と支持基板302との間、又は、第1端子部303aと支持基板302との間に設けられている。ボンディング層308は、電気絶縁性物質により形成されている。ボンディング層308として使用することができる電気絶縁性物質として、シリコン樹脂又はエポキシ樹脂を例示することができる。当該物質を使用することにより、AuSnなどの導電性ボンディング物質を使う場合に比べて製造コストを低減することができる。
【0070】
支持基板302は、電気絶縁性の基板である。第1端子部303aは、支持基板302及びボンディング層308を貫通して、発光構造物301の第1伝導型半導体層403と接続する。第1端子部303aの下面は、外部に露出する。第1端子部303aは、支持基板302及びボンディング層308を貫通する導電性ビアを介して、第1伝導型半導体層403に接続されてもよい。第1端子部303aは、一例として、ボンディング層308と第1伝導型半導体層403との間において、ボンディング層308及び第1伝導型半導体層403の全面と接して、第1伝導型半導体層403とオーミック接触する。第1端子部303aは、活性層402が放出する光を反射する反射金属層を有してもよい。
【0071】
第2端子部303bは、支持基板302、ボンディング層308、第1端子部303a、第1伝導型半導体層403及び活性層402を貫通して第2伝導型半導体層401に接続する。第2端子部303bの下面は、外部に露出する。第2端子部303bは、例えば貫通ビアを介して第2伝導型半導体層401に接続する。半導体デバイス300は、第2端子部303bと活性層402、第1伝導型半導体層403及び第1端子部303aとの間に絶縁体304を有することにより、第2端子部303bとボンディング層308、第1伝導型半導体層403及び活性層402との間での短絡を防止することができる。
【0072】
第2端子部303bが
図12に示す構造を有することによって、発光構造物301の表面に光の進行を邪魔する部分がなくなるので、光取り出し効率を向上することができる。また、第2端子部303bが第2伝導型半導体層401に接続される領域が第2伝導型半導体層401の内部にあるので、電流分散の点でも有利である。電流分散の点でさらに有利にするべく、第2端子部303bは、2個以上の導電性ビアを介して第2伝導型半導体層401に接続してもよい。
【0073】
図12に示した実施形態においては、一つの導電性ビアが支持基板302、ボンディング層308、第1端子部303a、第1伝導型半導体層403及び活性層402を貫通している。しかし、支持基板302、ボンディング層308、第1端子部303a、第1伝導型半導体層403及び活性層402のそれぞれを貫通し、空間的に分離された複数の導電性ビアが電気的に結合されていてもよい。
【0074】
図13は、他の実施形態に係る半導体デバイス400の概略断面図である。半導体デバイス400は、
図12に示した半導体デバイス300と異なり、導電性支持基板302'を備える。導電性支持基板302'は、例えば、Au、Ni、Al、Cu、W、Si、Se、GaAs、GaN、SiCなどのさまざまな物質のいずれかにより構成される。導電性支持基板302'は、当該物質が混合された物質から成る基板であってもよい。
【0075】
半導体デバイス400は、支持基板302'と第1端子部303a及び第2端子部303bとを絶縁するべく、支持基板302'と第1端子部303aとの間に絶縁体304aを有し、支持基板302'と第2端子部303bとの間に絶縁体304bを備える。絶縁体304bは、第2端子部303bの側面に沿って第2伝導型半導体層401に達するまで延伸され、第2端子部303bとボンディング層308、第1端子部303a、第1伝導型半導体層403及び活性層402との間を絶縁する。
【0076】
図14は、他の実施形態に係る半導体デバイス500の概略断面図である。半導体デバイス500は、導電性支持基板302'を有する。第1端子部303aは、第1伝導型半導体層403の活性層402に接する面の反対側の面に接する。第1端子部303aは、電気絶縁性のボンディング層308を貫通して支持基板302'と接続される。半導体デバイス500においては、第1端子部303aが外部に露出しないで、支持基板302'が端子部として機能する。
【0077】
図15は、他の実施形態に係る半導体デバイス600の概略断面図である。
図12、
図13及び
図14に示した半導体デバイス300、半導体デバイス400及び半導体デバイス500が、電気絶縁性ボンディング層308を有していたのに対して、半導体デバイス600は、導電性ボンディング層308'を有する。半導体デバイス600におけるボンディング層308'は、例えば、AuSnなどの共晶金属層又は導電性エポキシである。
【0078】
ボンディング層308'が導電性を有する場合には、半導体デバイス600は、絶縁体304cをさらに備える。絶縁体304cは、ボンディング層308'と第1端子部303aとの間に形成されている。絶縁体304cは、絶縁体304a及び絶縁体304bと接続され、絶縁体304a、絶縁体304b及び絶縁体304cは、一体の絶縁体となって第1端子部303a及び第2端子部303bを相互に絶縁する。
【0079】
以上説明した通り、本実施形態に係る半導体デバイスにおいては、支持基板及びボンディング層として、電気絶縁性物質及び導電性物質のいずれをも使用することができる。したがって、半導体デバイス内部の電気的結合構造及び絶縁構造をさまざまな形態に変形することができる。
【0080】
図12から
図15の実施形態に係る半導体デバイスは、
図5から
図10において説明した製造方法を変形して製造することができる。すなわち、
図7に示した発光構造物101を貫通する貫通部Hの代わりに、第1伝導型半導体層403及び活性層402を貫通して第2伝導型半導体層401に達する開口を形成し、当該開口に導電性材料を充填することにより、第2端子部303bと第2伝導型半導体層401とを電気的に結合する導電性ビアを形成することができる。
【0081】
また、
図5から
図10に示した実施形態においては、第2端子部103bが発光構造物101及び支持基板102の側面に形成されるので、ダイシングによって第2端子部103bが切断される。これに対して、
図12から
図15の実施形態の場合には、第1端子部303a及び第2端子部303bは、ダイシングによって切断されない。
【0082】
図16は、本発明の他の実施形態に係る照明装置700の概略断面図である。照明装置700は、半導体デバイス100、バルブ710、端子720、配線730及び基板740を備える。基板740は、複数の半導体デバイス100と複数の端子720とを接続する複数のスルーホール750を有する。
【0083】
照明装置700は、配線730、端子720及びスルーホール750を介して、商用電源から取得した電力を半導体デバイス100に供給する。半導体デバイス100は、電力の供給を受けてバルブ710に向けて発光する。
【0084】
基板740は、半導体デバイス100が設けられた面と同一の面上に、半導体デバイス100に流れる電流を調整する抵抗などの半導体デバイス100を駆動する回路を有してもよい。半導体デバイス100は、複数の電極が下面に露出しているので、半導体デバイス100を駆動する回路及び半導体デバイス100を容易にプリント基板の同一面に実装することができる。
【0085】
図17は、バックライト800の構成例を示す。バックライト800は、複数の半導体デバイス100が1次元または2次元に配列されたデバイスアレイ820と、導光板810とを備える。また、バックライト800は、導光板810の光射出面に対向する位置に設けられた、拡散シートおよびレンズシート等の光学シートを更に備えてよい。
【0086】
デバイスアレイ820は、導光板810の各長辺に対向して設けられてよい。それぞれの半導体デバイス100は、導光板810の側面から、導光板810の内部に光を射出する。導光板810は、入射された光を、所定の光射出面から射出する。また、デバイスアレイ820は、導光板810の光射出面とは逆側の面に対向して設けられてよい。つまり、バックライト800は、直下型であってもよい。当該バックライトは、テレビ等の液晶モニタ、携帯電話の液晶画面等に用いることができる。
【0087】
なお、
図1及び
図2に関連して説明した半導体デバイス50及び半導体デバイス100は、更に多様な用途に用いることができる。例えば半導体デバイス100は、自動二輪車、自動四輪車のヘッドライトの光源として使用することもできる。この場合、ヘッドライトは、1または複数の半導体デバイス100と、半導体デバイス100の射出光を車外に照射するレンズとを有する。
【0088】
また、半導体デバイス100は、蛍光灯の光源として使用することもできる。この場合、蛍光灯は、一次元に配列された複数の半導体デバイス100と、複数の半導体デバイス100を格納し、半導体デバイス100の射出光を外部に照射するチューブとを有する。
【0089】
また、半導体デバイス100は、情報表示装置の画素として使用することもできる。この場合、情報表示装置は、二次元に配列された複数の半導体デバイス100と、それぞれの半導体デバイス100を駆動する駆動回路とを有する。複数の半導体デバイス100には、緑色光、青色光または赤色光をそれぞれ射出する複数種類のデバイスが含まれてよい。
【0090】
また、半導体デバイス100は、信号機の光源として使用することもできる。信号機は、それぞれ異なる色を射出する少なくとも2種類の半導体デバイス100と、それぞれの半導体デバイス100を駆動する駆動回路とを有する。信号機は、色ごとに半導体デバイス100を複数有してよい。
【0091】
また、半導体デバイス100は、電気機器の動作状態を示す表示灯の光源として使用することもできる。表示灯は、例えばテレビまたはノートパソコンの電源の状態等を示す表示灯であって、半導体デバイス100と、半導体デバイス100を駆動する駆動回路とを有する。
【0092】
本発明の技術的範囲は、以上説明した実施形態及び添付された図面に限定されるものではなく、添付する特許請求の範囲によって定められる。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で本発明に係る技術分野の通常の知識を持った者により、さまざまな形態の置換、変形及び変更が可能であり、これらもまた本発明の範囲に属する。