(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基準放送波生成手段は、基準放送波の電波強度を、送信所が正常に稼働している時の受信放送波の電波強度と異なるように基準放送波を生成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の送信所特定装置。
前記特定手段によって送信所が特定された受信放送波の電波強度が閾値以下であるかを比較し、比較結果に応じて、送信所の稼働状況を検知する検知手段を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の送信所特定装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願発明は、送信所から送出された放送波と、送信所から送出される放送波と同一の内容のTS(Transport Stream)信号を送信所からの放送波と同一の変調をした基準となる基準放送波とに基づいて遅延プロファイルを生成し、この生成した遅延プロファイルに示される、基準放送波と受信放送波との間の遅延量に基づいて、受信放送波を送出した送信所を特定することを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴を詳細に説明するために、以下において、図面を参照して述べる。
【0014】
〈第1の実施の形態〉
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0015】
本願発明の放送システムは、単一周波数ネットワーク(SFN:Single Frequency Network)で構成されており、
図1に示す通り、送信所1と送信所特定装置2とを有する。
【0016】
送信所1は、放送局で生成されたTS(Transport Stream)信号を所定の変調方式で変調して、デジタル放送波(RF)として送出する送信所である。以下の説明ではOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調された放送波を送出するものとして説明するが、変調方式はOFDM以外であっても良い。また、以下の説明では、送信所1は送信所1Aと1Bとの2つ設けられている構成を用いて説明する。
【0017】
送信所特定装置2は、
図2に示す通り、受信部201、TMCC部202、変調部203、遅延プロファイル生成部204、遅延プロファイルパターン記憶部205、比較部206、特定部207、及びIF/RF変換部208を有する。
【0018】
受信部201は、送信所1から送出された放送波を受信する。
【0019】
TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)部202は、受信部201が受信した信号の、モードやガードインターバルやキャリア変調方式等の変調パラメータを検出する。
【0020】
変調部203には、受信部201が受信する放送波(送信所1から送信される放送波)と同一の内容のTS信号が入力される。そして、変調部203は、TMCC部202で検出された変調パラメータ及び基準クロックに従い、変調パラメータや、IFFTのサンプル周波数や、ガードインターバルの期間等が、受信部201で受信される放送波の変調パラメータや、IFFTのサンプル周波数や、ガードインターバルの期間等と同一になるように、入力されたTS信号を変調する。尚、信号レベルは、基準放送波と受信放送波とを区別しやすくなるレベル程度に制御するのが好ましい。
更に、変調部203は、内部メモリに蓄積する時間を調整し、受信部201で受信される放送波に対して、遅延量が“0”となる基準放送信号を生成する。
以下の説明では、基準放送波と送信所1Aから送出された放送波との間の遅延量は18μs、基準放送波と送信所1Bから送出された放送波との間の遅延量は35μsというように、各放送波間の遅延量が均等になるように基準放送波が生成される場合を用いて説明する。また、変調部203が生成する基準放送信号は、受信部201が受信する放送波と区別しやすくするため、送信所が正常に稼働している時の受信放送波の電波強度と異なる電波強度にするのが好ましく、以下の説明では基準放送波の電波強度が高くなるように生成される場合を用いて説明する。
【0021】
IF/RF変換部208は、基準クロックに従い、受信部201で受信される放送波と同一の周波数となるように、すなわち、受信部201で受信される放送波と同一のSFNの関係を維持できるように、変調部203から出力される基準放送信号をIFからRFに変換し、基準放送波を出力する。
【0022】
遅延プロファイル生成部204は、受信部201が受信した受信放送波と、IF/RF変換部208から出力された基準放送波とを解析して、遅延プロファイルを生成する。
【0023】
遅延プロファイルパターン記憶部205には、基準放送波と受信した放送波との遅延量の関係を示す遅延プロファイルパターンが記憶されている。この遅延プロファイルパターンは、基準放送波と各送信所からの放送波とから予め作成する。一例を
図3に示す。尚、上述した通り、基準放送波は送信所1Aから送出された放送波との間の遅延量を18μs、送信所1Bから送出された放送波との間の遅延量を35μsとなるように生成されるため、遅延プロファイルパターンも同量の遅延量で生成する。(a)は、基準放送波に基づいて生成した遅延プロファイルのパターンを示している。(b)は、基準放送波と送信所1Aから送出された放送波とに基づいて生成した遅延プロファイルのパターンを示している。(c)は、基準放送波と送信所1Bから送出された放送波とに基づいて生成した遅延プロファイルのパターンを示している。(d)は、基準放送波と送信所1Aから送出された放送波と送信所1Bから送出された放送波とに基づいて生成した遅延プロファイルのパターンを示している。
【0024】
比較部206は、遅延プロファイル生成部204で生成された遅延プロファイルと、遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶されている各パターンとを比較し、いずれのパターンと近いかを判別する。
【0025】
特定部207は、比較部206において、遅延プロファイル生成部204で生成された遅延プロファイルに近いと判別されたパターンに基づいて、受信部201が受信している放送波を送出している送信所を特定する。例えば、比較部206が
図3(a)に示されているパターンと近いと判別した場合、どちらの送信所からも放送波が送出されていないと認識する。比較部206が
図3(b)に示されているパターンと近いと判別した場合、送信所1Aからの放送波を受信していると特定する。比較部206が
図3(c)に示されているパターンと近いと判別した場合、送信所1Bからの放送波を受信していると特定する。比較部206が
図3(d)に示されているパターンと近いと判別した場合、送信所1A及び送信所1Bからの放送波を受信していると特定する。
【0026】
続いて、動作について
図4のフロー図を用いて説明する。尚、遅延プロファイルパターン記憶部205には、既に各パターンが記憶されているものとして説明する。
【0027】
受信部201が、放送波を受信する(ステップS401)。
【0028】
TMCC部202が、受信部201が受信した信号の変調パラメータを検出する(ステップS402)。
【0029】
変調部203は検出した変調パラメータ及び基準クロックに基づいてTS信号を変調し、IF/RF変換部208は基準クロックに基づいて受信部201で受信される放送波と同一周波数の基準放送波を出力する(ステップS403)。
【0030】
遅延プロファイル生成部204は、受信部201が受信した受信放送波と、変調部203で生成された基準放送波とを解析して、遅延プロファイルを生成する(ステップS404)。
【0031】
比較部206は、遅延プロファイル生成部204で生成された遅延プロファイルと、遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶されている各パターンとを比較する(ステップS405)。
【0032】
比較部206は、まず、パターン(a)と比較する(ステップS406)。比較の結果、比較部206がパターン(a)に近いと判定すると(ステップS406:YES)、特定部207は何れの送信所からも放送波が送出されていないと推定する(ステップS410)。一方、パターン(a)に近いと判定されなかった場合(ステップS406:NO)、比較部206はパターン(b)と比較する(ステップS407)。比較の結果、比較部206がパターン(b)に近いと判定すると(ステップS407:YES)、受信した放送波は送信所1Aからの放送波であると特定する(ステップS411)。
【0033】
また、パターン(b)に近いと判定されなかった場合(ステップS407:NO)、比較部206はパターン(c)と比較する(ステップS408)。比較の結果、比較部206がパターン(c)に近いと判定すると(ステップS408:YES)、受信した放送波は送信所1Bからの放送波であると特定する(ステップS412)。
【0034】
更に、パターン(c)に近いと判定されなかった場合(ステップS408:NO)、比較部206はパターン(d)と比較する(ステップS409)。比較の結果、比較部206がパターン(d)に近いと判定すると(ステップS409:YES)、受信した放送波は送信所1A及び1Bからの放送波であると特定する(ステップS413)。
【0035】
比較の結果、何れのパターンとも近いと判定されなかった場合(ステップS409:NO)、ステップS401に戻る。
【0036】
尚、上記実施の形態では、遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶されている各パターンと比較することにより送信所を特定していたが、他の方法であってもよい。一例を説明する。予め、各送信所から送信される放送波の遅延量を送信所毎に遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶させておく。そして、遅延プロファイル生成部204で作成された遅延プロファイルに基づいて、受信した放送波と基準放送波との間の遅延差を算出する。この算出した遅延差と、遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶されている遅延量とを比較することにより、受信した放送波を送出した送信所を特定してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態では、TMCC部202は変調パラメータを毎回検出し、この検出した変調パラメータに基づいてTS信号を変調する構成を用いて説明したが、初動時又は定期的に検出した変調パラメータに基づいてTS信号を変調する構成であってもよい。
【0038】
また、上記実施の形態では、IF/RF変換部208がIFからRFに変換した基準放送波を遅延プロファイル生成部204に入力する構成を用いて説明したが、RFに変換した基準放送波を受信部201で受信放送波と混合して受信される構成であってもよい。
【0039】
また、上記実施の形態において、遅延プロファイルパターン記憶部205が、基準放送波と受信した放送波との遅延量の関係を示す遅延プロファイルパターンを、基準放送波と各送信所からの放送波とから予め作成する方法として、例えば、遅延プロファイル生成部204で解析した遅延波のイベントリストを基にして比較用のデータを作成することも出来る。
【0040】
上記実施の形態によると、受信した放送波の遅延プロファイルを用いて、送信所を特定することができる。
【0041】
〈第2の実施の形態〉
続いて、第2の実施の形態について説明する。尚、上記実施の形態と同様の構成については同一番号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】
本実施の形態の比較部206は、上記第1の実施の形態の動作に加えて、受信した放送波の電波強度を監視し、閾値より低いか否かを判定する。以下に、一例をあげて本実施の形態の比較部206の詳細について説明する。尚、閾値を−20dBとした場合を用いて説明する。
【0043】
例えば、
図5(A)に示すような遅延プロファイルが遅延プロファイル生成部204によって生成されたとする。すると、比較部206は、まず何れのパターンに近いかを判定する。
図5(A)に示されているパターンの場合、比較部206は、基準放送波と受信放送波との間の遅延差が18μsであるため、
図3に示されているパターン(b)に近いと判定する。更に、比較部206は受信放送波の電波強度が閾値より低いか否かを判定する。
図5(A)に示す例では、受信放送波の電波強度が閾値“−20dB”よりも低いため、比較部206は、遅延プロファイル生成部204によって生成された遅延プロファイルはパターン(b)に近い旨と電波強度が閾値より低い旨を特定部207に通知する。特定部207は、この通知を受けて、受信した放送波は送信所1Aからであり、且つ、送信所1Aにおいて何かしらのトラブルが発生しているために、電波強度が下がっていることを認識する。
【0044】
また、例えば、
図5(B)に示すような遅延プロファイルが遅延プロファイル生成部204によって生成されたとする。すると、比較部206は、まず何れのパターンに近いかを判定する。比較部206は、基準放送波と受信放送波との間の遅延差が18μsと35μsであるため、パターン(d)に近いと判定する。比較部206は、更に各受信放送波の電波強度が閾値より低いか否かを判定する。
図5(B)に示す例では、遅延差が18μsである受信放送波の電波強度が閾値“−20dB”よりも低いため、比較部206は、遅延プロファイル生成部204によって生成された遅延プロファイルはパターン(d)に近い旨と遅延差が18μsである放送波の電波強度が閾値より低い旨を特定部207に通知する。特定部207は、この通知を受けて、受信した放送波は送信所1A及び1Bからであり、且つ、送信所1Aにおいて何かしらのトラブルが発生しているために、電波強度が下がっていることを認識する。
【0045】
また、比較部206は、遅延プロファイル生成部204によって生成された遅延
プロファイルが
図3(a)に近いと判定すると、特定部208は何れの送信所からも放送波が送出されていないとして、送信所1A及び1B共に何かしらのトラブルが発生していると認識する。
【0046】
続いて、本実施の形態の動作について、
図6のフロー図を用いて説明する。尚、ステップS405までは、上記実施の形態と同じであるため、S406から説明する。
【0047】
比較部206は、パターン(a)と比較する(ステップS406)。比較の結果、比較部206がパターン(a)に近いと判定すると(ステップS406:YES)、特定部207は何れの送信所からも放送波が送出されていないと推定する(ステップS410)。特定部208は何れの送信所からも放送波が送出されていないとして、送信所1A及び1B共に何かしらのトラブルが発生していると認識する(ステップS416)。
【0048】
パターン(a)に近いと判定されなかった場合(ステップS406:NO)、比較部206はパターン(b)と比較する(ステップS407)。比較の結果、比較部206がパターン(b)に近いと判定すると(ステップS407:YES)、受信した放送波は送信所1Aからの放送波であると特定する(ステップS411)。更に比較部206は、受信放送波の電波強度が閾値以下であるかを比較する(ステップS414)。比較の結果、閾値以下で無いと判定された場合(ステップS414:NO)、送信所1Aは正常運転していると認識する(ステップS415)。一方、比較の結果、閾値以下であると判定された場合(ステップS414:YES)、送信所1Aにトラブルが発生していると認識する(ステップS416)。
【0049】
パターン(b)に近いと判定されなかった場合(ステップS407:NO)、比較部206はパターン(c)と比較する(ステップS408)。比較の結果、比較部206がパターン(c)に近いと判定すると(ステップS408:YES)、受信した放送波は送信所1Bからの放送波であると特定する(ステップS412)。更に比較部206は、受信放送波の電波強度が閾値以下であるかを比較する(ステップS414)。比較の結果、閾値以下で無いと判定された場合(ステップS414:NO)、送信所1Bは正常運転していると認識する(ステップS415)。一方、比較の結果、閾値以下であると判定された場合(ステップS414:YES)、送信所1Bにトラブルが発生していると認識する(ステップS416)。
【0050】
パターン(c)に近いと判定されなかった場合(ステップS408:NO)、比較部206はパターン(d)と比較する(ステップS409)。比較の結果、比較部206がパターン(d)に近いと判定すると(ステップS409:YES)、受信した放送波は送信所1A及び1Bからの放送波であると特定する(ステップS413)。更に比較部206は、受信放送波の電波強度が閾値以下であるかを比較する(ステップS414)。比較の結果、送信所1A及び1Bのそれぞれについて、閾値以下で無いと判定された場合(ステップS414:NO)、正常運転していると認識する(ステップS415)。一方、比較の結果、閾値以下であると判定された場合(ステップS414:YES)、基準放送波と受信放送波との間の遅延量を参照し、何れの送信所にトラブルが発生しているかを把握する(ステップS416)。
【0051】
上記本実施の形態によると、受信した放送波の送信所を特定できる上に、その送信所の稼働状態も監視することができる。
【0052】
〈第3の実施の形態〉
第3の実施の形態について説明する。尚、上記実施の形態と同様の構成については同一番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
本実施の形態では、異常検出時間にリアルタイム性を持たせるために、例えばISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting-Terrestrial)方式のスキャッタードパイロット(SP)キャリアを利用して遅延プロファイルを得る場合、受信部201からのSPデータの取得数を間引く構成である。
【0054】
図10は、基準放送波と受信放送波との間の遅延量に基づいて作成した、基準放送波と所定の送信所から送出された放送波との間の遅延量の関係を示したグラフである。尚、このグラフ縦軸の遅延量は、一例として、ISDB−T方式のモード3の伝送パラメータにおける遅延プロファイルの時間軸幅の値としている。このグラフは、SPキャリアに対してそのデータ取得をスキップ取得するときに間引く割合と、遅延プロファイルパターン記憶部205に格納されている、比較部206で比較する基となるデータの遅延量との関係を表している。遅延プロファイル生成部204は、基準放送波と受信放送波との間の遅延量に基づいて、グラフを参照して遅延プロファイル生成に必要とするデータ数の値を取得し、必要なデータ数分のSPデータを取得する。
【0055】
本実施の形態によると、SPデータの取得数を間引く構成をとっているため、遅延プロファイル解析を速くすることが出来る。また、上記構成を第2の実施の形態に適用させた場合、稼働状況検知にリアルタイム性を持たせることが出来る。そして、比較・特定する遅延量が小さい値の場合、大きな割合でデータ取得をスキップすることができ、取得数を減らすことで遅延プロファイル解析から異常検出までの時間を短縮することが出来る。
【0056】
更に、本実施の形態によると、受信部201においてSPデータの取得にシリアル通信を用いている場合や、その他ハード的な要因を含めてデータ取得手続きに時間を要する場合などに有効と考えられる。
【0057】
〈第4の実施の形態〉
第4の実施の形態について説明する。尚、上記実施の形態と同様の構成については同一番号を付し、詳細な説明を省略する。第4の実施の形態では、
図11に示す通り、受信部201が受信した受信信号が変調部203にも入力される。また、変調部203内に調整部2031が構成されている。
【0058】
調整部2031は、入力されるTS信号に変調及び復調分の遅延量を加味したものと、受信部201が受信した放送波との間の遅延量を調整する。調整部2031は、
図12に示す通り、遅延時間測定部2033、及び遅延部2034を有する。
【0059】
遅延時間測定部2033は、TS信号と受信した放送波との間の遅延量を測定する。以下に遅延量の差を測定する方法の一例として、TS信号のPCR(Program Clock Reference)から算出する方法を記載するが、遅延量を測定できれば別の方法であっても良い。遅延時間測定部2033は、同一のクロックで自走しているカウンタA(図示せず)とカウンタB(図示せず)とを有する。遅延時間測定部2033は、TS信号のPCRを取り出し、PCRのカウンタ値をカウンタAにセットし、更に入力された基準クロック信号に基づいてカウンタを加算する。また、遅延時間測定部2033は、受信した放送波のPCRを取り出し、PCRのカウンタ値をカウンタBにセットし、更に入力された基準クロック信号に基づいてカウンタを加算する。遅延時間測定部2033は、任意のタイミングでカウンタAとカウンタBとのカウンタ値を同時に読み込み、カウンタ値の差を算出し、それに受信した放送波から取り出したカウンタ値に含まれる変調及び復調分の遅延量を加味して遅延部2034の遅延量とする。
【0060】
遅延部2034は、遅延時間測定部2033が算出した遅延量に基づいて、入力されたTS信号を遅延調整して基準放送信号を生成する。
【0061】
尚、上記では、入力されるTS信号に変調及び復調分の遅延量を加味したものと、受信部201が受信した放送波との間の遅延量を調整する構成について説明したが、他の構成であってもよい。例えば、
図12の波線矢印のように、遅延部2034を介したTS信号に変調及び復調分の遅延量を加味したものと、または、TMCC部202で検出された変調パラメータ及び基準クロックに従って変調されたTS信号と、受信部201が受信した放送波との間の遅延量を調整する構成であってもよい。
【0062】
動作について、
図13のフロー図を用いて説明する。尚、本動作は、上記実施の形態で説明したステップS403の詳細な動作となる。
【0063】
遅延時間測定部2033は、TS信号のPCRを取り出し、PCRのカウンタ値をカウンタAにセットし(ステップS1301)、更に入力された基準クロック信号に基づいてカウンタを加算する(ステップS1302)。続いて、遅延時間測定部2033は、受信した放送波のPCRを取り出し、PCRのカウンタ値をカウンタBにセットし(ステップS1303)、更に入力された基準クロック信号に基づいてカウンタを加算する(ステップS1304)。遅延時間測定部2033は、任意のタイミングでカウンタAとカウンタBとのカウンタ値を同時に読み込み、変調及び復調分の遅延量を加味して遅延量を算出する(ステップS1305)。遅延部2034は、遅延時間測定部2033が算出した遅延量に基づいて、入力されたTS信号を調整することにより、基準放送波信号の遅延量を調整する(ステップS1306)。
【0064】
〈実施例1〉
上記第1の実施の形態の実施例について説明する。
図7は本実施例における放送システムの一例である。本実施例において、送信所はTタワーとSツリーであるとする。
【0065】
図8の(i)は、基準放送波の遅延プロファイルパターンを示している。(ii)は、基準放送波とSツリーからの放送波との遅延プロファイルパターンを示している。(iii)は、基準放送波とTタワーからの放送波との遅延プロファイルパターンを示している。(iv)は、基準放送波とSツリーからの放送波とTタワーからの放送波との遅延プロファイルパターンを示している。
【0066】
受信部201が、放送波を受信すると、比較部206は、遅延プロファイル生成部204で生成された遅延プロファイルと、遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶されている各パターンとを比較する。
【0067】
比較部206は、まず、パターン(i)と比較し、パターン(i)に近いと判定すると、特定部207はSツリーからもTタワーからも放送波が送出されていないと推定する。
【0068】
パターン(i)に近いと判定されなかった場合、比較部206はパターン(ii)と比較する。比較の結果、比較部206がパターン(ii)に近いと判定すると、受信した放送波はSツリーからの放送波であると特定する。
【0069】
パターン(ii)に近いと判定されなかった場合、比較部206はパターン(iii)と比較する。比較の結果、比較部206がパターン(iii)に近いと判定すると、受信した放送波はTタワーからの放送波であると特定する。
【0070】
パターン(iii)に近いと判定されなかった場合、比較部206はパターン(iv)と比較する。比較の結果、比較部206がパターン(iv)に近いと判定すると、受信した放送波はSツリー及びTタワーからの放送波であると特定する。
【0071】
〈実施例2〉
上記第2の実施の形態の実施例について
図9を用いて説明する。
図9は、遅延プロファイル生成部204が生成した遅延プロファイルである。以下の説明では、トラブル発生と認識する閾値を、Sツリーは−20dB、Tタワーは−30dBとする。
【0072】
受信部201が、放送波を受信すると、比較部206は、遅延プロファイル生成部204で生成された遅延プロファイルと、遅延プロファイルパターン記憶部205に記憶されている各パターンとを比較する。
【0073】
比較部206は、まず、パターン(i)と比較し、パターン(i)ではないと判定する。次に、比較部206はパターン(ii)と比較し、パターン(ii)ではないと判定する。次に、比較部206はパターン(iii)と比較し、パターン(iii)ではないと判定する。次に、比較部206はパターン(iv)と比較してパターン(iv)に近いと判定する。
【0074】
判定した結果、受信した放送波はSツリー及びTタワーからの放送波であると特定する。
【0075】
比較部206は、各受信放送波の電波強度と各閾値とを比較する。
図9に示した例では、基準放送波との間の遅延量が35μsの放送波の電波強度が閾値−30dBよりも低いため、その旨を特定部207に通知する。特定部207は、Tタワーにトラブルが発生していることを把握する。
【0076】
また、電波の休止期間をあらかじめ登録しておき、休止による異常通知をマスクすることも可能とする。
【0077】
上述した本発明の端末は、上記説明からも明らかなように、ハードウェアで構成することも可能であるが、コンピュータプログラムにより実現することも可能である。このような構成の場合、プログラムメモリに格納されているプログラムで動作するプロセッサによって、上述した実施の形態と同様の機能、動作を実現させる。尚、上述した実施の形態の一部の機能のみをコンピュータプログラムにより実現することも可能である。
【0078】
以上、実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形し実施することが出来る。