(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面を参照して、現在開示された実施形態をさらに説明するが、ここで幾つかの図面を通して同様の構造は同一の符号で言及する。示された図は必ずしも同一尺度ではなく、現在開示されている原理を強調して示す。
【
図1】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の斜視図を示す。
【
図2A】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の斜視図で、該装置の収縮状態にあるバルーン部を示す。
【
図2B】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の斜視図で、該装置の膨張状態にあるバルーン部を示す。
【
図3A】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の幾つかの主要部品の拡大図で、該装置の末端の斜視図を示す。
【
図3B】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の幾つかの主要部品の拡大図で、該装置のA−A線に沿う側面断面図を示す。
【
図4】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置とともに使用する光源の斜視図。
【
図5A】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の断面図で、該装置の側面断面図を示す。
【
図5B】現在開示された実施形態の弱くなった又は折れた骨を修復する装置の断面図で、該装置の断面図を示す。
【
図6A-E】折れた骨の修復に現在開示された実施形態の装置を利用する方法ステップを示す。
【
図7】
図7Aは手の指の折れた中手骨の実例的な実施形態を示す。
図7Bは手の指の折れた中手骨の実例的な実施形態を示す。
図7Cは手の指の折れた中手骨の実例的な実施形態を示す。
【
図8A】内部骨固定に使用される現在開示された実施形態の装置で、患者の手の中手骨骨折における装置の設置を示す。
【
図8B】内部骨固定に使用される現在開示された実施形態の装置で、骨折を修復する補強材料でバルーン部が膨張される際の装置のバルーン部の側面図を示す。
【
図8C】内部骨固定に使用される現在開示された実施形態の装置で、該装置からバルーン部が解放された後の骨折部位におけるバルーン部の側面図を示す。
【0011】
前述の図面は現在開示されている実施形態を説明しているが、説明で注記されているように、他の実施形態もまた意図されている。この開示は説明のための例示的実施形態を示し、制限されるものではない。現在開示されている実施形態の原理の精神及び範囲内にある他の多くの修正や実施形態が当業者により考案され得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
弱くなった又は折れた骨を修復する医療装置及び方法がここに開示されている。ここに開示された装置は、内部骨固定装置として作用し、解放可能な従順部材で終わるデリバリカテーテルを含む。折れた骨を修復する手順の間、従順部材が折れた骨の内部空間内に収縮状態で設置される。一旦設置されると、少なくとも1つの補強材料により、従順部材は収縮状態から膨張状態に拡張される。少なくとも1つの補強材料は、続いて光源を使用して従順部材内で硬化される。硬化された従順部材は、次に、デリバリカテーテルから解放され、従順部材内の少なくとも1つの補強材料を包囲するようにシールされる。硬化された従順部材は、折れた骨の内部空洞内に残り、折れた骨の支持と適切な方位を与える結果、折れた骨が修復、治癒及び強化される。
【0013】
補強材料は、骨補強混合物(骨セメント混合物、骨空洞充填物、エポキシ樹脂、接着剤及び類似の接着剤)、整形外科ワイヤ、ステンレス鋼ロッド、金属ピン、及び他の類似の器具を含むがこれらに限定されるものではない。補強材料は、骨又は骨組織の強化、交換、又は補強のために天然又は合成樹脂であってもよい。骨補強混合物は、接着剤、粘着剤、セメント、硬質組織交換ポリマー、PLA、PGA、PLA−PGAのような生物分解性共重合体、天然珊瑚、ヒドロキシアパタイト、ベータ-トリカルシウムリン酸塩、及び骨を強化し、置換し、補強する他の公知の種々の生体材料を含む。不活性物質として、骨補強混合物は周辺組織に組み込んでもよく、又は徐々に原組織により置換してもよい。当業者は、当業者に公知の多数の骨補強混合物が現在開示された実施形態の精神及び範囲内にあることを認識するであろう。
【0014】
ここに開示された装置は、骨粗鬆症、軟骨形成不全症、骨肉腫、進行性骨化性線維形成異常症、線維性骨形成異常症、レッグカルベペルテス病、骨髄腫、骨形成不全症、骨髄炎、骨減少症、骨粗鬆症、パジェット病、脊柱側弯症、及び他の類似の疾患を含むがこれらに限定されない何らかの骨疾患により、弱くなった又は折れた骨の修復に使用される。ここに開示された装置は、例えば障害や落下により弱くなった又は折れた骨の修復にも使用されてもよい。
【0015】
幾つかの図は手の中手骨としての折れた骨を示すが、当業者は、開示された装置及び方法は、開示された実施形態の範囲及び精神内にある大腿骨、頸骨、腓骨、上腕骨、尺骨、橈骨、中足骨、指骨、趾骨、肋骨、脊柱、椎骨、鎖骨及び他の骨を含むがこれらに限定されない他の骨を修復するのにも使用してもよいことを理解するであろう。
【0016】
弱くなった又は折れた骨を修復する装置の主要要素は、
図1及びこれと関連する
図2A,
図2Bに全体的に示されている。装置100は、基端102、末端104及びこれらの間の長手軸を備える細長いシャフト101を有するデリバリカテーテル110を含む。ある実施形態では、デリバリカテーテル110は約3mmの径を有する。デリバリカテーテル110の末端104は解放可能な従順部材103で終わっている。ある実施形態では、従順部材はバルーン部である。バルーン部103は、少なくとも1つの補強材料が当該バルーン部103に送出されたときに、収縮状態(
図2A)から膨張状態(
図2B)に移動してもよい。ある実施形態では、バルーン部103は約2.5mmの収縮径を有する。ある実施形態では、バルーン部103は約4mmから約9mmの範囲の膨張径を有する。補強材料は、該補強材料が通過することができる内部空間を介して、バルーン部103に送出されてもよい。ある実施形態では、UV活性接着剤のような補強材料は、バルーン部103を膨張し収縮するのに使用される。ある実施形態では、バルーン部103は、丸、平坦、円筒、楕円、矩形又は他の形状であってもよい。バルーン部103は、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロンエラストマー、及び他の類似のポリマーを含むがこれらに限定されない柔軟で、弾性があり、従順で強い材料で形成されてもよい。ある実施形態では、バルーン部103は、PETナイロンアラメット(aramet)又はその他の非消耗材料で構成されている。PETは合成線維で使用されるポリエステル系の熱可塑性ポリマー樹脂である。その工程及び熱履歴に依存して、PETは非晶質材料及び半結晶材料として存在してもよい。半結晶PETは良好な強度、延性、剛性及び硬度を有する。非晶質PETはより良好な延性を有するが、剛性及び硬度が低い。PETはその厚さに依存して半剛体から剛体とすることができ、非常に軽量である。PETは強く、耐衝撃性があり、本来無色透明であり、鉱油、溶剤及び酸に対して良好な耐性を有する。
【0017】
ある実施形態では、バルーン部103は骨の空洞の内壁に均一に接触するように設計されている。ある実施形態では、バルーン部103は特定の形状の骨の空洞の内側に嵌るように所定の形状を有していてもよい。例えば、
図1の実施形態に図示されているように、バルーン部103の所定の形状は、細長い円筒であってもよい。バルーン部103は、基端123、末端121、及びこれらの間の長手軸を有し、外面122を有する。ある実施形態では、バルーン部103の外面122は、ほぼ均一で滑らかであり、骨の空洞の壁とほぼ一致している。ある実施形態では、バルーン部103の外面122は完全に滑らかではなく、長さに沿って幾つかの小さな隆起又は凹凸を有していてもよい。幾つかの実施形態では、バルーン部103の外面122から突出する大きな突起がない。バルーン部103は骨の空洞内に残るように設計され、骨内の穴やクラックに突入しない。ある実施形態では、バルーン部103の外面122は、空洞の壁と面一であってもよく、バルーン部103が膨張すると、外面122が表面領域の少なくとも一部に沿って空洞の壁と接触してもよい。ある実施形態では、バルーン部103が膨張すると、バルーン部103の外面122の大部分又は全部が空洞の壁と接触せず、骨内の穴又はクラックと貫通しない。
【0018】
バルーン部103の外面122は、薬剤、骨接着剤、タンパク質、成長因子、又はその他の被覆剤で被覆されてもよい。例えば、最小侵襲性外科手順後に、患者に感染が起こり、患者に抗生物質治療を受けることが必要となるかもしれない。起こり得る感染を防止し戦うために、バルーン部103の外面122に抗生薬が付与されてもよい。例えば、骨形態形成タンパク質又はその他の成長因子のようなタンパク質が軟骨及び骨の形成を誘発することが分かっている。新たな骨の形成の誘発を助けるために、バルーン部103の外面122に成長因子が付与されてもよい。バルーン部103内の補強材料の熱放出(thermal egress)の不足により、被覆の有効性及び安定性が維持される。
【0019】
ある実施形態では、バルーン部103の外面122は、当該バルーン部103が骨空洞の形状に順応するのを助けるようなリブ、突起、隆起、又はその他の形状を有していてもよい。バルーンは、骨の空洞内腔内での通過を達成し、障害物を拡大し、操作し、除去するように構成されてもよい。このようにして、バルーン部103は周辺組織と接触することなく、内腔内で容易にスライドする。バルーン部103はまた、骨内に設置され、小さな突起又はリブのような多様な形状を備えるざらざら面(textured surface)を使用して、滑ることなく折れた骨を掴むように設計されてもよい。
【0020】
ある実施形態では、水溶解性接着剤がバルーン部103の外面122に塗布される。バルーン部103が拡張し、湿潤骨(moist bone)に係合すると、バルーン部103の外面122上の水溶性接着剤は粘くなり、バルーン部材103の骨への一致接合(conformal bond)を増加する把持部材として作用する。バルーン部103が膨張すると、バルーン部103の外面122は骨を把持し、機械的接合と化学的接合を形成する。これらの接合は、骨の滑りを防止する。水溶性接着剤は任意の光(例えば、UVは必要でない)により硬化されてもよい。
【0021】
ある実施形態では、バルーン部103は、折れた骨の骨片の全ての部分を掴むことができる1又は複数の突起を提供するざらざら面を有する。ある実施形態では、突起はバルーン部103に対して周方向であり、折れた骨と接触する膨張したバルーン部103により大きな把持力を付与するように設計されている。突起はまた、バルーン部103が完全に膨張したときに突起が折れた骨上で折り畳まれるように圧縮性がある。ある実施形態では、バルーン部103の外面122をサンドブラスト表面処理することは、バルーン部103と内部骨との間の接続と接着を向上する。表面処理は骨と接触する表面領域の量を著しく増加する結果、より強く把持される。
【0022】
装置100のバルーン部103は、典型的には如何なる弁も有していない。弁を有していないことの一つの利点は、骨折整復及び配置を助けるのに必要なだけバルーン部103が膨張又は収縮されることである。弁を有しないバルーン部103の他の利点は、装置100の有効性及び安全性である。身体への補強部材の連通路が無いので、全ての材料がバルーン部103内に収容されていることにより材料の漏曳があり得ない。ある実施形態では、デリバリカテーテル110が除去される前に硬化され固定されるバルーン部103とデリバリーカテーテル110の間に永久的シールが形成される。全ての実施形態がこのように限定するように意図されていないので、バルーン部103は弁を有していてもよい。
【0023】
デリバリカテーテル110のバルーン部103は、約5mmから約9mmの範囲の径を有している。デリバリカテーテル110のバルーン部103は、約20mmから約80mmの範囲の長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は約5mmの径と約30mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約5mmの径と約40mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約6mmの径と約30mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約6mmの径と約40mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約6mmの径と約50mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約7mmの径と約30mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約7mmの径と約40mmの長さを有している。ある実施形態では、バルーン部103は、約7mmの径と約50mmの長さを有している。
【0024】
補強部材105が、デリバリカテーテル110の細長いシャフト101を包囲し、細長いシャフト101に剛性を付与している。プッシャー又はスタビライザー116がバルーン部103の基端側に取り付けられている。スリップスリーブ107が補強部材105を包囲している。ある実施形態では、スリップスリーブ107は、バルーン部103の基端123からプッシャー116まで、補強部材105を包囲している。1又は複数の放射線不透過マーカ又はバンド130がバルーン部103及び/又はスリップスリーブ107に沿って種々の位置に配置されてもよい。蛍光透視法中に装置100の位置合わせのために、放射線不透過インクビード133がバルーン部103の末端121に配置されてもよい。1又は複数の放射線不透過バンド130により、硫酸バリウム、タンタル、又は放射線不透過性を増加するその他の公知の材料のような放射線不透過材を使用して、医療技術者は蛍光透視法技術を使用する装置100を見ることができる。1又は複数の放射線不透過性バンド130はまた、バルーン部103の膨張中に視認性を提供し、設置及び膨張中のバルーン部103と装置100の正確な位置を決定する。1又は複数の放射線不透過バンド130は、バルーン部103に封入されている空気により形成される空隙の可視化を許容する。1又は複数の放射線不透過バンド130は、可視化を許容し、バルーン部103が不適切な膨張により骨に係合せず又は出合わないことを排除し、均一なバルーン/骨界面を維持する。
【0025】
ある実施形態では、テューイ−ボースト(Tuohy-Borst)アダプタのようなアダプタ115がカテーテル110の基端102に係合している。ライトパイプ152を含む光源が、アダプタ115の1つのサイドアームに導入され、デリバリカテーテル110の末端104までデリバリカテーテル110の内腔内を通過してもよい。補強材料を収容する接着システムが、
図2Bに示すように、アダプタ115の他のサイドアームに導入されてもよい。代案として、ルアー継ぎ手がデリバリカテーテル110の基端に係合してもよく、ルアー継ぎ手が光源に存在し、これによりデリバリカテーテル110と光源は互いにロックされる。
【0026】
接着システムの例は、骨補強材料を収容するコーキングガン(caulking gun)型システム、シリンジシステム、バッグシステムを含むがこれに限定されない。これらでは、骨補強材料の送出がチューブクランプ又は他の制限バルブ(restrictor valve)を使用して制御される。
図2Bに示す実施形態では、接着システムはシリンジ160である。ある実施形態では、シリンジ160は補強材料の流れを調整する制御機構を有する。シリンジ160の制御機構は、補強材料がデリバリカテーテル110に流入するのを許容し、その流れは所望により停止されてもよい。シリンジ160は、補強材料の指向性流れを制御するために、直接接触し、補強材料の流れの方向は、シリンジ160の方向の変化に応じて、デリバリカテーテル110内で瞬間的に変化する。
【0027】
ある実施形態では、シリンジ160は不透明で、光がシリンジ160内に侵入することを許容しない。不透明シリンジ160を有することにより、シリンジ160内に収容されている補強材料が光に露出せず、シリンジ160内で硬化しないことが保証される。補強材料は、粘性係数の単位のセンチポアゼ(cP)で測定して、液体整合性(liquid consistency)を有し、これにより、補強材料はシリンジ160からデリバリカテーテル110及びバルーン部103に注入されてもよい。補強材料は液体整合性を有し粘性があるため、補強材料は低圧送出を使用して送出されてもよく、高圧送出は要求されないが仕様してもよい。
【0028】
ある実施形態では、分離領域がバルーン部103の基端123と細長いシャフト101の間の接合点で配置されている。分離領域はまた照明バンドを含んでいてもよい。活性化されると、照明バンドは、該照明バンド内で、光にバルーン部103に位置する補強材料を硬化させる。照明バンドはデリバリカテーテルの回りに延び、応力集中器(stress concentrator)を有する。応力集中器は切欠き、溝、堀又は照明バンドに応力を集中させる類似の構造であってもよい。照明バンドの応力集中器は切り欠かれ、切り込まれ、ぎざぎざがつけられ、予め弱められ、又は予め応力がかけられ、所定の捩り荷重の下で、デリバリカテーテル110の細長いシャフト101から、バルーン部103を直接分離する。分離領域は、デリバリカテーテルの細長いシャフト及び/又はバルーン部から補強材料の漏曳がないことを保証する。分離領域は、バルーン部をシールし、公知の所定の部位(例えば分離領域)で破損することにより、デリバリカテーテルの細長いシャフトを取り外す。分離領域は、約1インチの長さまでの種々の長さであってもよい。トルク(捩れ)がデリバリカテーテル110に付与されると、細長いシャフト101はバルーン部103から分離する。捩れは、十分な剪断力を形成し、残留する補強材料を破壊し、バルーン/シャフトのインターフェースのクリーンな分離を形成する。照明バンドは、光源に接続されてもよいし、別個のスイッチにより活性化されてもよい。照明バンドを活性化する別個のスイッチを有することは、光源からの光が不用意に送出されて補強材料を硬化するのを防止することを助けてもよい。照明バンドの活性化は、バルーン部をシールし、デリバリカテーテルの端部をシールし、照明バンドで補強材料の「ハードシール」があることを保証し、補強材料がバルーン部又はデリバリカテーテルから漏曳しないことを許容する。
【0029】
図3A、
図3B、及び
図3Cは、装置100の幾つかの主要要素の拡大図を示す。1又は複数の放射線不透過性マーカ又はバンド130が装置100のスリップスリーブ107に沿って種々の位置に配置されている。当業者は、放射線不透過性マーカ130はバルーン部103に沿って種々の位置に配置されてもよいことを認識するであろう。ある実施形態では、1又は複数の放射線不透過性バンド130はスリップスリーブ107の長さに沿って約10mmの間隔で配置されている。ある実施形態では、修復手順中の蛍光透視法による装置100の容易な可視化と調整のために、バルーン部103の末端121に放射線不透過性インクビード133が配置されている。放射線不透過性マーカ130と放射線不透過性インクビード133は、硫酸バリウム、タンタル、又は他の放射線不透過性を増加する公知の材料のような放射線不透過性材料を使用して形成されている。放射線不透過性マーカ130は、設置及び膨張の間、バルーン部103とデリバリカテーテル110の正確な位置決めを決定するために、バルーン部103の膨張中に可視性を提供する。放射線不透過マーカ130は、バルーン部103に捕獲されるかもしれない空気により形成される空隙の可視化を許容する。放射線不透過マーカ130は、不適切な膨張によりバルーン部103が骨の表面に係合しない又は一致しないことを排除ために可視化を許容する。バルーン部103とデリバリカテーテル110の正確な位置決めが決定されると、デリバリカテーテル110の基端は、補強材料を収容するデリバリシステムに取り付けられてもよい。
【0030】
図3AのA−A線に沿ってとられた断面図が
図3Bに示されている。
図3Bに示すように、デリバリカテーテル110の細長いシャフト101は、外面122を有するバルーン部103で終わっている。デリバリカテーテル110の細長いシャフト101の中には、光源(不図示)を受け入れるライトパイプ導管111がある。補強材料の通過のための空隙113が、デリバリカテーテル110の内面124とライトパイプ導管111の外面117の間に形成されている。補強材料からなるデリバリシステムが、デリバリカテーテル110の基端に係合するテューイ−ボースト(Tuohy-Borst)アダプタのサイドアームに取り付けられてもよい。補強材料はデリバリカテーテル110の空隙113を通過し、バルーン部103に侵入してもよい。補強材料の注入により、バルーン部103は所望の状態に膨張する。ある実施形態では、補強材料は、デリバリカテーテル110内の空隙113を通って注入され、バルーン部103を拡張し、骨を治癒方位(healing orientation)に位置決めする。治癒方位を確立するために、バルーン部103は、骨が調整方位(aligned orientation)に移動し支持されるまで膨張する。骨の方位は、工程を可視化することなく、又はX線又はフルオロスコープを使用して、行われてもよい。ある実施形態では、Cアームイメージングシステムは、フルオロスコープの一部として使用されている。Cアームイメージングシステムは、見ている間に組織の回りに回転するように、フルオロスコープの移動又は操作を許容する。バルーン部103の拡張を監視又は検査するのに、磁気共鳴映像法(MRI)、超音波画像診断、X線蛍光透視法、フーリエ変換赤外線分光法、紫外又は可視分光法のような他の技術を使用してもよい。バルーン部103は非強磁性で構成されてもよく、これによりMRIと適合する。
【0031】
図3AのB−B線に沿ってとられた断面図が
図3Cに示されている。
図3Cに示すように、外部スリップスリーブ107は補強材料105を包囲している。補強材料105はデリバリカテーテル110の細長いシャフトを包囲し、剛性を与えている。ライトパイプ導管111は、光源が通過するための空間を提供している。ライトパイプ導管11の外面117とデリバリカテーテル110の内面124との間に、空隙113が形成されている。この空隙113は補強材料のための通路を提供している。ライトパイプ導管111の外面117は、光源と補強材料の間の分離を許容する。
【0032】
図1と関連する
図4は、現在開示されている実施形態の装置100とともに使用する光源150を示す。光源150は、デリバリカテーテル110のバルーン部103に注入された補強材料を硬化させるのに使用される。光源150はライトパイプ152を含み、該ライトパイプ152は光学レンズ154で終わっている。ライトパイプ152から放出された光は光学レンズ154を通して照射され、デリバリカテーテル110のバルーン部103に案内される。光学レンズ154は凸面、凹面又は平面であってもよい。光学レンズ154は、ライトパイプ152から伝送されるエネルギを収束又は発散するように彎曲している。ある実施形態では、光学レンズ154は、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、又は環状オレフィン共重合体(COC)や非晶質ポリオレフィン(ゼオネックス)のような当業者に公知の他の類似の材料で作られる。ある実施形態では、光学レンズ154は石英のようなガラス材料から作られている。
【0033】
光源150は、デリバリカテーテル110の基端102に係合するアダプタ115のサイドアームに導入される。光源150はデリバリカテーテル110の細長いシャフト101を通り、ライトパイプ導管を経て、
図1に示すように、バルーン部103の基端123には入るまで延びている。光源150の活性化は、補強材料を硬化させ、バルーン部103を拡張状態に固定する。硬化とは、組成がデリバリカテーテル110の空隙を通して送出されるのを許容する形態(例えば、流動可能形態)から生体内での最終使用のためのさらに永久的な(例えば、硬化された)形態に進展するのを許容する化学的、物理的、及び/又は機械的変換をいう。例えば、「硬化可能(curable)」とは、(触媒作用又は適切なエネルギー源の使用により)生体内で硬化される潜在性を有する未硬化組成、及び硬化過程にある組成(例えば、複数の成分組成の同時混合によって送出時に形成される組成)をいう。
【0034】
ある実施形態では、補強材料は光硬化性接着剤又は紫外線(UV)硬化性接着剤である。光硬化材料の例は、コネティカット州ロッキーヒルに位置するヘンケルコーポレーションのロックタイト(Loctite)から商業的に入手可能なもの、コネティカット州トリントンに位置するダイマックスコーポレーションから入手可能なものを含む。UV硬化の利点は、オンデマンド(on-demand)の硬化プロセスであること、接着剤は溶剤がなく、長い波長UV光又は可視光に露出すると瞬間に硬化する環境に優しい樹脂を含むことである。異なるUV接着剤は、異なる領域のUV又は可視光に敏感である光開始剤を使用する。非常に強力(energetic)であるため、UV光は化学結合を破壊し、分子を非常にリアクティブ(reactive)にし、又はイオン化し、一般に相互の挙動(mutual behavior)を変更することができる。可視光、例えば、可視青色光は、UV光を遮断するが可視光を透過する基質(例えばプラスチック)間で、材料が硬化するのを許容する。可視光は接着剤をより深い深さまで浸透する。可視光が着剤を浸透し、電磁スペクトルの大部分が有益なエネルギとして利用可能であるので、接着剤の硬化が増大する。薬剤(例えば抗生物)、タンパク質(例えば成長因子)、又は他の天然又は合成添加剤を含むがこれに限定されない添加剤がUV接着剤送出システムとともに使用されてもよい。
【0035】
電磁スペクトラムは、全ての可能な電磁放射線の範囲である。ある物体の電磁スペクトラムは、当該物体が放出し、反射し、又は透過する電磁放射線の周波数範囲である。電磁スペクトラムは、現代の無線に使用されている周波数(長波長端での)の直下から、ガンマ放射線(短波長端での)まで広がり、何千キロメータからわずか原子のサイズまでの波長を包含する。ある実施形態では、UV接着剤は、単一成分の無溶媒接着剤であり、該接着剤は、UV光が接着剤に係合するまで硬化せず、UV光が接着剤に係合すると瞬間に硬化して剪断強度を有する完全な接着を形成する。ある実施形態では、補強材料は、約2から約3パーセント硬化すると収縮を生じる。
【0036】
UV光波長は約1nmから約380nmまで及び、次のカテゴリーに再分割することができる。近UV(380−200nm波長;短縮してNUV)、遠又は真空UV(200−10nm;短縮してFUV又はVUV)、極限UV(1−31nm;短縮してEUV又はXUV)。同様に、可視光は約380と約780nmの間の波長スペクトラムを有する。当業者は、全ての実施形態はこれに関して制限する意図はなく、幾つかのUV接着剤は、UV光、可視光、X線、ガンマ線、短波、電波、長波、又は約1nm以下、約1nmと約380nmの間、約380nmと約780nmの間、又は780nm以上の波長を有する任意の光により活性化されてもよいことを認識するであろう。
【0037】
UV光を使用して、補強材料は、熱放出(thermal egress)がない又は最小であること、熱放出の持続時間が長いことを保証する。さらに詳しくは、化学成分、又は材料の混合がない。UV光を使用して補強材料を硬化することは、折れた骨を適所に保持し、バルーン部を充填し、Cアームイメージングシステムで視認することを助ける。補強材料は、骨を正しい包囲に保持するのに十分であるように硬化する。さらに詳しくは、膨張し、設置し、調整し、骨を方位し、その結果骨を結合する能力は、補強材料を硬化する前に利用可能である。UV光の導入により、光開始剤がスタートし、UV接着剤が硬化する。UV光が導入されると、バルーン部の内側の接着剤が硬化し、適所に固定される。UV光が導入されるまで、骨の配置は乱されず、急に動くこともない。光が導入されるまで、接着剤の硬化がないので、バルーン部は接着剤の粘性により膨張又は収縮されない。接着剤は、該接着剤の低粘性により、バルーン部に注入されてもよいし除去されてもよい。ある実施形態では、補強材料の粘性は約1000cP以下の粘性を有する。ある実施形態では、補強材料は、約650cPから約450cPまで及ぶ粘性を有する。全ての実施形態はこれに限定されることを意図されないが、幾つかの実施形態は、1000cPに正確に等しい又はそれ以上の粘性を有する補強材料を有していてもよい。ある実施形態では、粘性を著しく増加することなく、補強材料に造影剤が添加されてもよい。造影剤は、硫酸バリウム、タンタル、又は当業者に公知の他の造影剤を含むがこれらに限定されない。
【0038】
当業者に公知の幾つかのエポキシ樹脂が、骨補強材料として使用するのに適し、粘性、硬化時間、及び完全硬化したときの硬度(ディロメータ又はショア)が変化する。材料のディロメータは、永久凹凸(permanent indentation)に対する材料の抵抗として規定される材料の硬度を示す。所定の骨折に必要である得られる支持の量に応じて、所定のデュロメータのUV接着剤が選択されてもよい。代案として、変動デュロメータを有する複合UV接着剤が骨折を修復するのに選択されてもよく、これは現在開示されている実施形態の範囲及び精神内にある。材料のデュロメータは、より大きな剛性又はより大きな延性のいずれかを達成するために、変化させることができる。エポキシ樹脂の機械的性質は、
典型的には高強度及び高衝撃に対しては典型的である方法/手段、すなわち、引張強度、引張係数、引張強度試験、極限係数、ポアッソン比、降伏強度や靱性を測定するビッカースやシャルピー衝撃値のような硬度測定値を含むがこれらには限定されない方法/手段を使用して決定することができる。
【0039】
ある実施形態では、補強材料は化学的活性化又は熱的活性化により硬化される。化学的活性化は水又は他の液体を含むがこれらに限定されない。ある実施形態では、補強材料は、溶剤に溶解されたポリマーを有する乾式接着剤であり、溶剤が蒸発すると接着剤が硬化する。ある実施形態では、補強材料は冷えると硬化するような熱間又は熱可塑性接着剤である。
【0040】
補強材料は、ここに記載された実施形態に限定されず、骨を補強する如何なる材料であってもよい。幾つかの材料は、UV又は可視光、熱、及び/又は化学薬品又は物質の添加又は除去のような任意の手段による硬化を必要とし、又はそれによって強化され、あるいは材料を硬化するのに任意の外側又は内部プロセスを利用してもよいし、硬化を必要としなくてもよい。
【0041】
ある実施形態では、補強材料の強度を増加するためにカーボンナノチューブ(CNT)が補強材料に付加される。カーボンナノチューブは円筒炭素粒子の形態をとり、新規な強度特性を有する炭素同位体である。カーボンナノチューブは驚くべき強度を有する。ナノチューブはフラーレン(fullerene)構造系のメンバーであり、バッキーボール(buckyball)をも含む。バッキーボールは形状が球形であるが、ナノチューブは少なくとも一端が典型的にはバッキーボール構造の半球で蓋された円筒形である。ナノチューブはグラファイトと同様に完全にsp2結合で構成されている。この結合構造はダイヤモンドで見られるsp3結合よりも強く、分子に独特な強度を与える。ナノチューブはファンデルワールス力により互いに保持された「ロープ」に自然に整列する。単一壁ナノチューブ又は複数壁ナノチューブが補強材料を強化するのに使用されてもよい。
【0042】
図5Aと
図5Bは、デリバリカテーテル110のライトパイプ導管111を通過する光源を示す装置100の断面図を示す。光源は光学レンズ154で終わっているライトパイプ152を含む。光源はデリバリカテーテル110のバルーン部103に注入された補強材料を固めるのに使用される。光源152から放出されたエネルギーは光学レンズ154を通って照射され、デリバリカテーテル110のバルーン部103に案内される。光学レンズ154は凸面、凹面、又は平面であってもよい。光学レンズ154はライトパイプ152から伝送されるエネルギを収束又は発散するように彎曲している。
【0043】
ある実施形態では、骨修復過程は、伝統的な外科的切開により骨を露出することなく、弱くなった又は折れた骨を補強する。現在開示されている実施形態は、より小さく切開して骨へのアクセスを得ることにより、最小侵襲性アプローチを使用する。最小侵襲性とは、例えば、組織障害部位への開口アクセスを必要とすることなく、又は最小の切開を通して、関連筋肉組織の断裂を最小にして達成することができる超微細手術、内視鏡又は関節鏡外科手段のような外科手段をいう。最小侵襲性手順は、光ファイバ又は顕微鏡による可視化のような可視化を使用することにより希に達成され、開口外科アプローチに伴って生じる回復時間よりも実質的に少ない手術後回復時間を提供する。最小侵襲性手順の利点は、最小の血液損失、外科及び麻酔時間の減少、入院期間の短縮、簡単かつ迅速な回復のため、トラウマが少ないことである。ある実施形態では、弱くなった又は折れた骨の随内空洞内に骨固定具を設置してもよい。骨折を修復し保全することにより、現在開示された実施形態の幾つかは追加の招来の治療オプションを許容する。
【0044】
図1と関連する
図6A−6Eは、患者の身体の折れた骨を修復する方法ステップを示す。最小侵襲性切開(不図示)は患者の身体の皮膚を通して行われ、折れた骨602を露出する。切開は折れた骨602の基端又は末端で行ない、骨表面を露出してもよい。骨602が露出されると、骨602の視界にある幾つかの筋肉又は組織を後退させる必要があるかもしれない。
図6Aに示すように、ドリル又は当業者に公知の他の方法により、骨にアクセスホール610が形成される。ある実施形態では、アクセスホール610は約3mmの径を有している。
【0045】
アクセスホール610は、骨の硬質緻密外層620を通して、比較的多孔の内部又は網状組織625に延びている。骨髄を有する骨に対しては、延髄物質は装置100を挿入する前に延髄空洞から除去されるべきである。骨髄は、主として腰骨、胸骨、頭蓋骨、肋骨、脊椎、及び肩甲骨のような平骨、及び大腿骨や上腕骨のような長骨の基端にある網目材料に見られる。延髄空洞に達すると、空気、血液、脂肪、随、組織及び骨片を含む網目材料は、空隙を形成するために除去される。空隙は、中空空間として規定され、第1位置は骨の侵入点に関して空隙の最も末端縁と規定され、第2位置は骨の侵入部位に関して空隙の最も基端縁と規定される。骨は、皮質骨まで延髄空洞の延髄材料が除去されるのに十分なように、くり抜かれてもよい。現在開示されている実施形態の精神及び範囲内で、当業者に公知の網状組織を除去する多くの方法がある。これらの方法には、「吸引洗浄の方法」と題する米国特許第4294251号に記載されているもの、「骨洗浄及び乾燥システム」と題する米国特許第5554111号に記載されているもの、「網状空洞を準備する装置」と題する米国特許第5707374号に記載されているもの、「骨随吸引ニードル」と題する米国特許第6478751号に記載されているもの、「骨随を抽出する装置」と題する米国特許第6358252号に記載されているものを含む。
【0046】
ガイドワイヤ(不図示)がアクセスホール610を介して骨602に導入されて、骨折部605の位置を横切るように、骨602の骨片604と606の間に設置されてもよい。ガイドワイヤは、骨602のルーメンに送出されて、骨折部605の位置を横切り、骨片の複数の部分に跨るようにしてもよい。
図6Bに示すように、折れた骨を修復する装置100のバルーン部103は、ガイドワイヤを収容するように構成され配置されているが、ガイドワイヤの上を通って骨折部605の部位に送出され、骨602の骨片604と606に跨る。バルーン部103が適所に配置されると、ガイドワイヤが除去されてもよい。バルーン部103の位置は、骨602の外側又は内側から検出可能な少なくとも1つの放射線不透過性マーカを使用して決定されてもよい。例えば、
図6に記載された実施形態に示すように、放射線不透過性マーカ130は、X線又は他の検出手段を使用して身体の外側から可視可能であるが、デリバリカテーテル110のバルーン部103とスリップスリーブ107の両方に沿って配置され、装置100を調整し位置決めするのを助ける。バルーン部103が折れた骨602内の正しい位置にくると、装置100は補強材料を収容するデリバリシステムに取り付けられる。補強材料は、デリバリカテーテル110の空隙を介して注入され、装置100のバルーン部103に侵入する。この補強材料のバルーン部103への添加は、
図6Cに示すように、バルーン部103が拡張することを引き起こす。バルーン部103が拡張されると、骨折部605が減少される。ある実施形態では、補強材料はUV硬化接着剤であり、該接着剤を硬化するのにUV光源を必要とする。ある実施形態では、中央空間がバルーン部103に残り、該中央空間は折れた骨602に余分の強度と支持を提供するために充填されてもよい。光学ロッド又は類似の装置が中央空間に配置されて、オンされ、又は照明されてもよい。光学ロッド又は類似の装置は、ファイバ、シリカ、水晶、サファイア、又は類似の材料で作ることができる。次にUV光はバルーン部103内のUV硬化接着剤を固くする。光学ロッドの端部は切断されて、バルーン部103に残り、剛性を増加してもよい。
【0047】
骨片604及び606の方位が所望の位置にあることが確認されると、
図6Dに示すように、例えばUV放出光源による照明により、UV硬化接着剤がバルーン部103内で硬化されてもよい。UV硬化接着剤が硬化すると、光源は装置100から除去されてもよい。硬化されたバルーン部103は、当業者に公知の方法によりデリバリカテーテル110から解放されてもよい。ある実施形態では、デリバリカテーテル110が切断され、細長いシャフト101からバルーン部103が分離される。装置はデリバリカテーテル110の上をスライドし、直角ハサミがデリバリカテーテル110を通って降下し切断を行うことを許容する。切断位置は蛍光透視鏡又はX線を使用することにより決定されてもよい。ある実施形態では、切断位置は細長いシャフト101がバルーン部103と出合う接合点にある。
【0048】
ある実施形態では、装置100は手又は手首の骨折を治療するのに使用される。手首は手を使用することを許容する多くの関節と骨の集合である。手首は可動である一方、把持強度を提供しなければならない。手首は非常に小さな骨が隣接して関節を形成しているため複雑である。手首は手根骨と呼ばれる少なくとも8個の別個の骨で構成され、これらは撓骨と尺骨と呼ばれる前腕の2つの骨を手及び指の骨に接続する。手首は多くの方法で傷害を受ける。ある傷害は傷害が起こったときに手首の単純な捻挫以上ではないと思われるが、数年後に問題が進展することがある。手の骨折は手の小さな骨の一つが破損したときに起こるかもしれない。手は約38の骨からなり、これらの骨のいずれか1つは破損を被るかもしれない。手のひら又は中手は中手骨で構成されている。中手骨は筋肉付着物を有し、手首を個々の手に掛け渡している。これらの骨はしばしば、ある物体からの押し潰し、又は最も一般的には壁による手の突然の停止というような直接トラウマの傷害を受ける。関節は該関節を緩衝する関節軟骨で覆われている。当業者は、開示された装置及び方法は、撓骨、尺骨、鎖骨、中手骨、指趾骨、中足骨、指骨、頸骨、腓骨、上腕骨、脊柱、椎骨、及びその他の骨等の骨折を治療するのに使用することができることを認識するであろう。
【0049】
現在開示されている実施形態は、鎖骨骨折の治療、鎖骨整復に使用してもよい。鎖骨又は襟骨(collar bone)は、肩帯(胸帯)の部分を構成する長骨として分類される。折れた鎖骨を固定する現在の方法は制限されている。鎖骨は皮膚の表面の直下に位置しているので、プレートやねじを含む外部固定の可能性は制限されている。さらに、肺や鎖骨下動脈が襟骨の下に存在しているので、ねじを使用することは魅力のあるオプションではない。鎖骨骨折の伝統的な治療は、該鎖骨を適所に押し付けることにより折れた骨を整列させ、腕と肩に三角巾を当て、鎮痛剤を与えて、骨をそれ自身で治癒させ、毎週又は数週間毎にX線で進展を視ることである。固定がなく、骨片が再結合し、カルス(callous)を形成し、骨成長は折れた骨片を接合する。治癒の間、骨折結合に多くの運動がある。中身の詰まった結合(solid union)がなく、無神経な構造(callous formation)は骨折部位で不連続を形成するからである。襟骨形状の不連続はしばしば鎖骨骨折から生じる。
【0050】
現在開示されている実施形態及び方法は、最小侵襲法で鎖骨骨折を治療し、鎖骨減少又は襟骨減少に使用してもよい。襟骨を修復する開示された装置を使用することの利点は、頭蓋修復が襟骨の修復後のずれを最小にすることである。鎖骨を修復する開示された装置を使用することの利点は、治癒プロセス中に患者の痛みを消失することである。
【0051】
図7A,7B及び7Cは、
図8A,8B,及び8Cに関連し、患者の手700の指710の折れた中手骨702を修復するのに使用する現在開示された実施形態の装置100を示す。図示されているように、折れた中手骨702は骨折部705で2つの骨片704と706に分離されている。
図8Aに示すように、装置100のバルーン部は骨折部705に送出され、骨702の骨片704と706に跨っている。バルーン部の位置は、骨702の外側又は内側から検出可能な少なくとも1つの放射線不透過性マーカを使用して決定される。バルーン部が折れた骨702の正しい位置にくると、装置100が補強材料を含むデリバリシステムに取り付けられる。次に補強材料はデリバリカテーテルの空隙を通して注入され、装置100のバルーン部に進入する。このバルーン部内に補強材料を付加することで、
図8Bに示すようにバルーン部が拡張する。バルーン部が拡張すると、骨折部705が減少する。ある実施形態では、補強材料はUV硬化接着剤であり、該接着剤は硬化するのにUV光源を必要とする。UV光はバルーン部のUV硬化接着剤を硬化する。
【0052】
骨片704と706の方位が所望の位置にあることを確認すると、UV硬化接着剤は、UV放出光源を用いた照明によりバルーン部内で硬化されてもよい。UV硬化接着剤が硬化された後、光源は装置100から除去される。硬化されたバルーン部は、
図8Cに示すように、当業者に公知の方法でデリバリカテーテルから解放されてもよい。ある実施形態では、デリバリカテーテルは切断され、バルーン部が細長いシャフトから分離される。
【0053】
ここに引用された特許、特許出願、及び刊行物は参照することでその全体をここに組み入れる。前述した及び他の特徴及び機能の幾つか、又はそれらの代案は、多くの他の異なるシステム又は適用分野に望ましく組み合わせてもよいことは理解されるであろう。請求の範囲に包含されていることを意図されている種々の現在予見できない、又は予期できない代案、修正、変形又はこれらの改良は、その後に当業者により行われてもよい。