【課題を解決するための手段】
【0019】
アニオンまたはカチオンを除去するために使用される方法および装置に加えて、液体の完全な脱イオン化のための方法および装置が本発明において開示され、それらは、H
+イオンおよびOH
−イオンのソースとして、電気化学的に再生されたイオン交換材料および両極性膜を利用し、イオン交換材料中のイオンのエレクトロマイグレーションに対する逆流方向の液体フローをもたらす。本発明では、新しいフロー分配方法が開示され、ここで、液体ストリームは、コンパートメント自体の内部で、イオン除去のために使用される第1のストリームおよび分離されたイオンを洗浄するために使用される第2の濃縮ストリームに分離される。ストリームの流量は、好ましくは流出ストリームの圧力低下の流体力学的調節によって調整される。本発明は、装置のより多くの簡単な構成および省材料、つまりコンパートメントを分離するのに必要なイオン交換膜がないまたはわずかであることをもたらす。これらおよび他の利点は、以下に記載されるような本発明に従って達成される。
【0020】
本発明は、少なくとも1つのプロセスを含む、極性液体からイオンを除去する方法を開示し:
上記極性液体は、第1のストリームおよび第2のストリームに分割され、
上記第1のストリームは、電界が印加される2つの電極間に位置する電気化学的に再生可能なイオン交換材料を通り、上記第1のストリームは、除去されるイオンが、上記イオン交換材料を貫流する第1のストリームに対して逆方向に移動するように、一方の電極から他方の電極に流れ、
上記第2のストリームは、上記一方の電極、または電極間に設置されたイオン交換膜を洗浄し、
上記材料は、他方の電極または上記イオン交換膜で形成されるイオンによって再生される。
【0021】
本発明によれば、一方の電極から他方の電極に流れる上記第1のストリームは、他方の電極に達する前に、イオン交換膜、例えば、両極性膜によって止めることができる。
【0022】
本発明によれば、イオン交換膜は、概してアニオン交換膜またはカチオン交換膜または両極性膜である。好ましくは、イオン交換膜は両極性膜である。
【0023】
「両極性膜」は、一般に、互いに接触する2つの逆帯電イオン交換層を含む合成非多孔性イオン交換膜である。
【0024】
本発明によれば、一方の電極の洗浄は強制的であり、他方の電極、すなわち対向電極の洗浄は任意である。
【0025】
好ましくは、第2のストリームは、上記電極に対して接線方向に通るおよび/または上記電極を通ることによって、好ましくは電極を通ることによって、一方の電極を洗浄する。
【0026】
変形例では、第3のストリームは、上記電極に対して接線方向に通るおよび/または上記電極を通ることによって、好ましくは電極を通ることによって、他方の電極を洗浄する。
【0027】
好ましい実施によれば、一方の電極を洗浄するために使用されるストリームの少なくとも1つは、上記電極に対して接線方向に通るおよび/または上記電極を通る前に膜を通る。膜は好ましくはイオン交換膜であり、一般に非多孔性である。膜は多孔質膜とすることもできる。
【0028】
電極間に電界が印加される。電極は対向することができる。
【0029】
本発明はまた以下の方法を含む:
2つの上記プロセスは、電気化学的に再生可能なアニオン交換材料および電気化学的に再生可能なカチオン交換材料によって、アニオンおよびカチオンをそれぞれ除去するために使用され、
アニオン交換材料およびカチオン交換材料のために、OH
−アニオンおよびH
+カチオンをそれぞれ再生するソースを準備するための手段が使用される。
【0030】
好ましくは、2つのプロセスは同時に行われ、より好ましくは、2つのプロセスは同時に一意的な装置内で行なわれる。
【0031】
本発明による方法は、液体フローは、少なくとも1つの、好ましくは全ての流出ストリームの圧力低下の流体力学的調節によって調整することができる。
【0032】
流出ストリームは出口を流れるストリームであり、流入ストリームは入口に流入するストリームである。
【0033】
本発明は、また、極性液体からイオンを除去する装置を開示し、装置は、少なくとも1つのコンパートメントを含む少なくとも1つのハウジングを含み、電極および対向電極が、装置の2つの異なる端に位置し、電気化学的に再生可能なイオン交換材料が、電極と対向電極との間に設置され、ハウジングは、装置の電極の端に位置する流入液体フロー用の1つの入口と、装置の対向電極の端、または任意に装置のイオン交換膜の端に位置する脱イオン液体用の出口とを含み、上記イオン交換膜は、電極間に設置され、上記イオン交換膜は、好ましくは両極性膜であり、装置は、流入液体フローを分割するための手段を含み、電極を洗浄するために使用される液体用の第2の出口が少なくともあり、上記第2の出口は、装置の電極の端に位置することを特徴とする。
【0034】
イオン交換膜の存在は任意である。任意に、電極と対向電極との間に設置された電気化学的に再生可能なイオン交換材料があるということは、この材料が電極間の空間を完全に満たすことを必ずしも意味しない。この材料は、一般に、電極間の区域、例えば、電極の1つと電極間に位置するイオン交換膜との間の区域を満たす。区域は、この空間容積またはその一部のみとすることができる。
【0035】
本発明によれば、電極端に位置する入口および第2の出口は、電極端によって形成された区域内で互いに近接している。より好ましくは、それらは他方の電極端の前方の区域にある。これは、流体力学的抵抗の点から有利である。
【0036】
好ましくは、装置は、対向電極または存在する場合、イオン交換膜を洗浄するために使用される液体用の第3の出口を含み、上記第3の出口は、装置の対向電極の端または装置のイオン交換膜の端に位置する。
【0037】
変形例では、ハウジングは、ハウジング内部で2つのコンパートメントを画定するOH
−およびH
+イオンのソースを準備するための手段を含み、各コンパートメントは、流入液体フローを分割するための手段と、脱イオン液体用の出口と、電極または対向電極または存在する場合、イオン交換膜を洗浄するために使用される液体用の出口と、1つのコンパートメントの入口を他のコンパートメントの出口に接続するパイピングとを含むように装置はできる。
【0038】
流入液体フローと流出液体フローとの差に対応する装置の流体力学的抵抗は、装置の設計に緊密に関係する。本発明によれば、装置は、好ましくは、流入液体フローおよび流出液体フローの流体力学的抵抗を調節するための装置の出口下流に位置するバルブ、毛細管などの手段を含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、コンパートメントは、電気化学的に再生可能なイオン交換材料に接触して、少なくとも1つの壁によって電極に垂直な方向に画定されており、本発明による装置は、上記壁が、少なくとも一部、好ましくはすべてにおいて波形をつけられており、その表面は、上記イオン交換材料の方を向くことを特徴とする。
【0040】
本発明によれば、「波形」は、「折り目、溝、概して平行な隆線または溝をつけられる、またはアレイ状につけられる」を意味する。これは、当業者に知られているように異なる形状によって実現することができる。
【0041】
電気化学的に再生可能なイオン交換材料は、ビード、特に、球状ビードからなる場合、最も良好な波打ち壁は、ビードが完全に適合する壁である。
【0042】
コンパートメント内の球状ビードの充填によって、コンパートメント中心で最密ビードのバルクは、0.74の最大密度充填に達することができる。壁が平面である場合、コンパートメントの壁に近接する充填密度は0.52より低い。この影響は、10から20を越えるビード直径の距離で無視できるものとして考えられることができる。この影響は、わずかしかないビード直径の距離でより顕著である。このより高い空隙容積により、層中の局部的流速は、壁に近接し、ビード直径の下半分の厚さを有し、バルク中より高い。経路厚さより大きいフローのそのような不均等な分配によって、化学的に再生可能なイオン交換材料の使用はそれほど効率的でない。壁が波打ち壁である場合、この欠点は解決され、壁付近で充填されたビードの密度は、有利に改善される。
【0043】
本発明によれば、充填された床の壁の影響は、壁が特定の波形を示す場合、有利に除去され、経路の中央および壁に近接してビードの充填密度を平衡に保つ。そのような波形は、ビード直径の約1/2の高さを有するはずであり、内部(雌)ねじ、平行ノッチ、ピラミッド型突出物のアレイなどの異なる形状を有することができる。
【0044】
電気化学的に再生可能なイオン交換材料は繊維である、または多孔性ブロックからなる場合、波打ち壁によって、コンパートメント内で材料が良好に固定され、壁とイオン交換材料との間のフローチャンネリングが防止される。
【0045】
したがって、本発明の装置は、少なくとも2つの電極、アノードおよびカソードを含み、イオン導電性材料は電極間に設置され、イオン導電性経路が設けられる。外部電圧差が電極間に適用される場合、反応がそれらの表面で起こり、イオンのエレクトロマイグレーションが電極間の電界で起こり、電流を導く。本発明の装置は、電極間に位置する少なくとも1つのコンパートメントを含み、それは脱イオン化コンパートメントであり、イオン交換材料を含む。イオン交換材料は、一般に、イオン交換貫流媒体、例えば、イオン交換樹脂床である。イオン交換材料内部で過半数を占めている可動イオンは対イオンであり、それらは、カチオン交換材料用のカチオンおよびアニオン交換材料用のアニオンである。これらのイオンは、イオン交換材料内部の電流の伝導性の原因であるが、カチオン交換材料内部のカチオンはアノードからカソードへの方向に移動し、一方、アニオン交換材料内部のアニオンはカソードからアノードへの方向に移動する。
【0046】
イオン除去に使用される液体フローは、イオン交換材料内部のイオンの移動に対して逆流方向、つまり逆流である。供給ストリームからの対応イオンはイオン交換によって除去され、さらに、イオン交換材料内部を移動し、最後には廃棄物になる濃縮ストリームに電極で解放される。
【0047】
対イオン移動および電極面に垂直な向きの電界を検討すると、フローと対イオン移動との角度は、フローがイオン交換材料内部の対イオン移動に対して完全に逆流方向であるために約180°である。装置の設計に応じて、この角度からのある偏差が許容され、フローがイオン交換材料内部のイオン移動に対して逆流であるとして本明細書で記載されるために、角度は180°±80°とすることができる。
【0048】
イオン交換材料は一般に連続的に電気化学的に再生される。したがって、供給ストリームからのイオンは連続的に交換することができ、対応する塩イオンがない水溶液が得られる。
【0049】
本発明によれば、アニオン交換材料を含む装置は、上記されるように供給ストリーム中に存在するアニオン塩の効率的な除去のために使用することができる。炭酸(またはCO
2)、ケイ酸、ホウ酸などの非解離分子の形態で存在する弱解離酸を除去することもできる。
【0050】
本発明によれば、カチオン交換材料で満たされた装置は、上記されるように、供給ストリーム中に存在するカチオン塩の効率的な除去のために使用することができる。NH
4OH(またはNH
3)、アミンなどの非解離分子の形態で存在する塩基を除去することもできる。
【0051】
以下に記載される装置は、対応するイオンをOH
−イオンまたはH
+イオンで交換して、極性液体から酸または塩基を除去する、またはその水溶性塩溶液から塩基または酸を製造するために使用することができる。
【0052】
再生可能なイオン交換材料は、通常イオン交換樹脂の床である。より一般には、従来のイオン交換材料は、樹脂ビード、イオン交換樹脂の高いメッシュビード、粉末樹脂、さらに繊維または多孔性イオン交換材料である。それらは床またはブロックとして積み重ねられることができる。
【0053】
本発明によれば、電極コンパートメントは、電極が存在する脱イオン化コンパートメントと異なるコンパートメントである。電極コンパートメントは、金属または炭素などの導電性貫流材料を多孔性ブロックまたはビード床の形態で含むことができる。それは、また、充填物を含むことができないか、炭素ビードなどの、中性、カチオン交換、アニオン交換または電子伝導特性を有する貫流材料で満たすことができる。
【0054】
本発明によれば、装置は、1から5のコンパートメント、好ましくは1から3のコンパートメントを含む。
【0055】
カチオンおよびアニオンの両方を除去するために、つまり、完全な脱イオン化のために、解決法は、直列で2つの装置(カチオン交換材料で満たされたのもの、アニオン交換材料で満たされたもの)を使用することである。この場合、直列の好ましい一連の装置は、汚染物の種類を検討することによって規定されなければならない。天然水または処理された(例えば、逆浸透によって)天然水の典型的な汚染物質について、カチオン交換材料−アニオン交換材料のシーケンスが通常有利であるが、それに限定されない。望む場合、両方の装置は、本発明の範囲外ではなく、1つのハウジング内部で一体化することができる。
【0056】
他の解決法は、有利には本発明による完全脱イオン化のために使用され、液体フローがイオン交換材料内部のイオンのエレクトロマイグレーションに対して逆流方向である装置を使用することにあり、ここで、双極電極またはイオン交換膜、好ましくは両極性膜が、H
+イオンおよびOH
−イオンを再生する構成のために利用される。両極性膜を使用することは、H
+イオンおよびOH
−イオンへの水解離が、電極で起こるときにガスおよび他の副生成物を形成することなく、電気化学的に向上されることのみがもたらされるので、極性液体が水溶液である場合に有利である。
【0057】
本発明によれば、電極洗浄は、好ましくは本発明の上記実施形態で記載された方法に類似してもたらされる。電極の洗浄は、以下に記載される任意の方法によって、つまり、電極コンパートメントを分離する膜がない、または有するコンパートメント内部で流体力学的供給分流を使用することによって構成することができる。
【0058】
流体力学的分流および必要に応じて電極洗浄は、当業者に明らかなように、図に開示されるような装置および方法の異なる変形例で構成することができる。したがって、イオンを除去するために使用される本発明の装置は、この材料内部のイオンのエレクトロマイグレーションに対する逆流方向の、電気化学的に再生されたイオン交換材料をメインストリームが流れるハウジングを有し、一方、少なくとも一方の電極(カソードまたは/およびアノード)の洗浄は、以下に記載される任意の方法によって、つまり、膜がないまたは膜を備えるコンパートメント内部の流体力学的分流を使用する、または独立供給電極コンパートメントを使用することによって管理することができる。
【0059】
本発明の技術は、脱イオン化される水溶液の場合には、添付図面と関連して次の詳細な説明を検討することによって容易に理解される。