特許第5845248号(P5845248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5845248
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20151224BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   A61M25/06 550
   A61M25/00 510
【請求項の数】14
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2013-509469(P2013-509469)
(86)(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公表番号】特表2013-526307(P2013-526307A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】EP2011002325
(87)【国際公開番号】WO2011141162
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2012年12月11日
(31)【優先権主張番号】61/333,415
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PA201070200
(32)【優先日】2010年5月11日
(33)【優先権主張国】DK
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512290768
【氏名又は名称】プルーラテック・アーペーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・ヘイドン・クリステンセン
(72)【発明者】
【氏名】ニルス・カトバル
【審査官】 和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−540961(JP,A)
【文献】 特表2008−509711(JP,A)
【文献】 特開平6−38923(JP,A)
【文献】 特開2009−178518(JP,A)
【文献】 特開2000−102618(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0030426(US,A1)
【文献】 特開平8−24342(JP,A)
【文献】 特開平11−347130(JP,A)
【文献】 特開平8−52220(JP,A)
【文献】 特開2003−154014(JP,A)
【文献】 特開平1−94863(JP,A)
【文献】 実開昭56−104541(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/01 − 25/06
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胸腔用胸腔チューブガイドデバイスであって、
基端部と、先端部と、少なくとも先端側の屈曲または湾曲セクションと、前記基端部と前記屈曲または湾曲セクションとの間に位置する中間セクションと、胸腔チューブを受けることが可能なルーメンと、を備え、
前記ルーメンが、少なくとも1つの入口ポートと、先端部に位置する少なくとも1つの出口ポートと、を備え、
前記ルーメンの前記胸腔チューブ用の前記入口ポートが、当該胸腔用胸腔チューブガイドデバイスの前記中間セクションに位置し、
少なくとも1つの前記入口ポートと少なくとも1つの前記出口ポートとが、少なくとも先端側の屈曲または湾曲セクションにより離間されており
当該胸腔用胸腔チューブガイドデバイスが、胸腔チューブが前記出口ポートから出るときに体腔内への胸腔チューブの挿入を方向付けることが可能であり、これにより、個体の体腔内における体腔の目的の所定位置に胸腔チューブを正確に位置決めすることを確実にしていることを特徴とするガイドデバイス。
【請求項2】
前記体腔が、動物または人体の胸腔であることを特徴とする請求項1に記載のガイドデバイス。
【請求項3】
前記出口ポートが、当該ガイドデバイスのうち屈曲または湾曲セクションを有する少なくとも1つのセクションによって前記入口ポートから離間されており、
前記湾曲セクションが、ほぼ円弧状であり、または、
前記屈曲部が、0度を超えるが180度未満である先端角を形成していることを特徴とする請求項1または2に記載のガイドデバイス。
【請求項4】
前記先端部及び前記出口ポートを有する先端セクションの一部が、前記先端部に近接する縁部から前記先端部まで先端軸に沿って内側にテーパ状をなし、
前記縁部が、丸縁部であり、また、
テーパ状とすることが、前記先端部に近接する前記縁部(18)から前記先端部(5)まで先端セクションの比較的長距離にわたって漸次的であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガイドデバイス。
【請求項5】
前記基端部を有する基端セクションと、
前記ルーメン及び前記入口ポートを有する前記中間セクションと、
前記先端部及び前記出口ポートを有する先端セクションと、
をさらに備え、
前記基端セクションが、前記中間セクションと共に基端角を形成し、また、
前記先端セクションが、前記中間セクションと共に先端角を形成し、前記先端角が、先端屈曲部を規定していることを特徴とする請求項1に記載のガイドデバイス。
【請求項6】
当該ガイドデバイスが、前記基端部及び前記先端部の運動間の機能的関係を有し、
前記機能的関係が、前記基端角の寸法及び/または前記先端角の寸法を含み、また、
前記基端角の寸法が、0度より大きいが180度未満であり、
前記先端角の寸法が、0度より大きいが180度未満であることを特徴とする請求項5に記載のガイドデバイス。
【請求項7】
前記機能的関係が、前記先端セクションの長さにより決定され、
前記機能的関係が、
身体内における前記先端部の位置を決定しており
前記胸腔チューブが前記出口ポートから出る方向を規定しており、前記方向が先端軸に沿っていることを特徴とする請求項6に記載のガイドデバイス。
【請求項8】
前記先端部分が、突出先端を有し、体腔内への当該ガイドデバイスの挿入を容易にしており
前記突出先端が、前記出口ポートから先端側に延在するリップを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のガイドデバイス。
【請求項9】
当該ガイドデバイスの前記先端部において前記ルーメンにある取り外し可能な栓体をさらに備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のガイドデバイス。
【請求項10】
前記ルーメンが、1以上の突出部を有し、当該ガイドデバイス内で胸腔チューブが動くことを容易にしていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のガイドデバイス。
【請求項11】
当該ガイドデバイスには、印部が設けられており、前記印部が、前記先端部と前記基端部との間を区別するために着色されているかつ/または形付けられていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のガイドデバイス。
【請求項12】
当該ガイドデバイスの外壁セクションには、少なくとも1つの突出部が形成され、体腔内へ当該ガイドデバイスを正確に位置決めしていることを容易にしていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のガイドデバイス。
【請求項13】
前記基端部、前記ルーメン及び前記先端部が、当該ガイドデバイスの軸方向長さに沿って2部品に分離可能であることを特徴とする請求項1に記載のガイドデバイス。
【請求項14】
胸腔チューブと、請求項1から13のいずれか1項に記載のガイドデバイスと、を備えることを特徴とする部品一式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で引用した全ての特許文献及び非特許文献は、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、動物または人体で実行される手術の分野にあり、外科手術で使用するためのカテーテルガイドデバイスを採用する。外科手術は、カテーテルを個体の例えば胸腔などの体腔内に導入する、ガイドする、及び正確に位置決めするステップを含む。
【背景技術】
【0003】
哺乳類の胸腔は、肺を囲む体腔である。胸膜は、折り返されて2層の薄膜構造体を形成する漿膜である。2つの胸膜層間の薄い空間は、胸腔として知られている。
【0004】
外側の胸膜(壁側胸膜)は、胸壁に取り付けられている。内側の胸膜(臓側胸膜)は、肺と、血管、気管支及び神経を含む隣接する構造体と、を被覆する。
【0005】
胸腔は、その関連する胸膜と共に、呼吸中において肺が最適に機能することを補助する。胸腔は、胸膜液を収容し、これにより、胸膜は、通気中に互いに対して楽にスライドすることが可能となる。
【0006】
胸膜液は、通常の胸膜によって作り出される漿液である。大部分の漿液は、体腔壁循環(parietal circulation)(肋間動脈)によって作り出され、リンパ系によって再吸収される。このため、胸膜液は、通常の生理学的状態の下では、連続的に作り出されて再吸収される。
【0007】
例えば胸水(胸腔内の液体を蓄積)、血胸(胸腔内の血液の蓄積)、気胸(虚脱した肺)または膿胸(胸腔内の膿汁の蓄積)などを受けた個体は、しばしば、胸腔チューブを胸腔内に挿入する形態の手術を必要とし、観測された症状を軽減するかつ/または治療することを提供する。
【0008】
水胸症、血胸または乳糜胸症の場合において、胸腔チューブの先端の理想的な場所は、胸腔の最下点であるため、胸腔の後方にある隔膜に近接している。気胸の場合において、胸腔チューブの先端の理想的な場所は、空気が胸腔の頂部に位置する傾向があるため、頭方の(cranial)胸腔の前部にある。膿胸の場合において、理想的な場所は、患者ごとに場所が変化する膿胸腔内である。
【0009】
必要不可欠なことは、胸腔チューブが常に体腔の目的場所に位置することである。体腔チューブの配置を誤ることは、機能を正常に機能させないことを招き、これは、患者の深刻な苦痛を引き起こし、さらに、入院の延長を結果としてもたらすことがある。長期にわたって胸腔チューブを挿入することは、胸腔チューブの経路を介した感染症の危険性を増大させる。いくつかの場合において、必要なことは、最初に挿入した胸腔チューブの場所が不適当かつ不正確であることに起因して、挿入した胸腔チューブを交換し、新たな胸腔チューブを挿入することである。
【0010】
肺炎(肺感染症)の主な症状は、熱、咳及び痰を出すことや呼吸が短いこと並びに胸痛を含む。肺炎は、肺炎随伴胸水(parapneumonic effusion)と共に進行し、1%〜5%の患者は、胸腔内に膿を発現する(膿胸)。このタイプの肺感染症は、衰弱及び食欲の減少(食欲不振)のような兆候と共に全身性疾患に進行することがある。胸部X線は、肺を囲む組織の変位、結果として胸腔内の空気の視覚的な証明があるので、臨床医学者が胸水または膿胸を見ることを可能とし、また、気胸を検出することを補助する。また、健康診断中において、気胸を患う人々は、呼吸音が弱く、打診の過共鳴(内科医が患者の背中を静かに軽く叩いたときの高い共振音)を有し、胸部を拡張する能力が弱い。
【0011】
胸腔チューブは、技術的に知られており、「直線状の」及び「角付の」構造を含むさまざまな形状及び形態で存在している。胸腔チューブは硬質の及び可撓性のポリマー材料で製造されており、これらを体腔内に挿入するためにさまざまな処置が存在する。
【0012】
特許文献1(Medical Components, Inc.)は、カテーテルトンネルデバイスを開示しており、このカテーテルトンネルデバイスは、トロッカー(trocar)とカテーテルとの間の物理的な接続を容易にするスライド可能なアダプタを用いて一端をトロッカーに一体的に接続されている。特許文献1は、カテーテルをどのように胸腔などの体腔内に正確に位置決めするかについての問題に取り組んでいない。また、カテーテルトンネルデバイスを操作するときに、トロッカーを使用することが必須である。本発明は、カテーテルまたは胸腔チューブに物理的に接続されるトロッカーを採用していない。
【0013】
特許文献2(Moy)は、屈曲型胸腔チューブ組立体を開示しており、この組立体は、胸腔チューブの内部に位置するトロッカーによって直線状にされることが可能である。いったんトロッカーを胸腔チューブのルーメンから後退させると、胸腔チューブは、その予備形状に復元して(約90°の角度)に固定される。開示されていることは、胸腔チューブのうちの湾曲した先端部分が、定着機能を提供し、胸腔からカテーテルが不意に取り外される可能性を低減する。特許文献2は、カテーテルをどのように体腔内に正確に位置決めするかについての問題に取り組んでいない。特許文献2に開示された方法において体腔内に胸腔チューブを挿入するときには、トロッカーを使用することが必須である。また、本発明は、カテーテルまたは胸腔チューブを例えば個体の胸腔内に挿入することを方向付けるためにトロッカーを使用することを必要としないまたは使用することに依存しない。
【0014】
特許文献3(代理人不明)は、カテーテルを体腔内に挿入するために使用される湾曲型トロッカーガイドを開示する。特許文献3は、カテーテルをどのように胸腔などの体腔内に正確に位置決めするかについての問題に取り組んでいない。特許文献3に開示された方法にしたがって胸腔チューブを挿入するときには、トロッカーを使用することが必須である。また、本発明は、カテーテルまたは胸腔チューブを例えば個体の胸腔内に挿入することを方向付けるためにトロッカーを使用することを必要としないまたは使用することに依存しない。
【0015】
特許文献4(Wagner)は、ほぼL字状の形状を有する屈曲型カテーテルを開示しており、カテーテル材料は、カテーテルの先端セクションが正確な位置を維持するのに十分に硬質であるが、治療する個体をさらに損傷させるように移動させるときに動くのに十分なように可撓性を有する。特許文献4は、カテーテルをどのように胸腔などの体腔内の目的の位置に正確に位置決めするかについての問題に取り組んでいない。
【0016】
特許文献5(Semrad)は、穴付針(bore needle)を通してガイドワイヤを胸腔内に挿入する方法を開示する。胸膜アクセスカテーテルは、ガイドワイヤにわたって胸腔まで送られ、胸腔チューブは、その後、アクセスカテーテルを通して胸腔内に送られる。特許文献5は、カテーテルをどのように胸腔などの体腔内の目的の位置に正確に位置決めするかについての問題に取り組んでいない。特許文献5に開示された方法にしたがって胸腔チューブを挿入するときには、トロッカーを使用することが必須である。また、本発明は、胸腔チューブを例えば個体の胸腔内に挿入することを方向付けるためにガイドワイヤを使用することを必要としないまたは使用することに依存しない。
【0017】
特許文献1〜3に開示された方法及びデバイスを使用するときには、トロッカーを使用することが必須である(上記参考)。しかしながら、従来技術は、トロッカーを使用することに関連する危険性のため、胸腔チューブを挿入するためにトロッカーを使用する教示していない。例えば、Kloppらは、非特許文献1において、胸腔チューブの挿入をトロッカーを使用して補助することが血胸、転位、肺裂傷のような深刻な合併症及び胸腔または腹腔にある組織を損傷することを頻繁に引き起こす、と述べている。
【0018】
特許文献5で教示されているように(上記参考)、胸膜アクセスカテーテルは、ガイドワイヤにわたって胸腔まで送られ、胸腔チューブは、その後、アクセスカテーテルを通して胸腔内に送られる。ガイドワイヤが一般的に個体の胸腔内で胸腔チューブを正確に位置決めする能力を改善するが、最近の証拠(下記参考)は、ガイドワイヤが胸腔内への胸腔チューブの挿入を補助するものの結果として常には胸腔チューブを正確に位置決めしないことを示唆している。
【0019】
Proticらは、非特許文献2において、i)目標ワイヤガイド型(TWG)手術を使用したii)旧来の外科(CS)手術に対するチューブ胸部造瘻術(thoracostomy)研究の成功率を報告した。TWG及びCSグループそれぞれは、胸腔内における胸腔チューブの目的の目標位置、すなわち背部下方右側、前部上方右側、前部上方左側及び背部下方左側、にしたがって4つのサブグループに分けられた。胸腔チューブの配置は、胸腔チューブの先端を目的位置に位置させると成功してマーク付けされる。TWG手術の成功率は、79%である一方、CS手術の成功率は、たった30%まで下がった。
【0020】
要約すると、胸腔チューブを胸腔内に挿入するときにはトロッカーを使用する安全性が低いことが結論付けられた。また、胸腔内で胸腔チューブを正確に位置決めすることを補助する方向ガイドを採用していない旧来の外科手術は、2/3の患者で胸腔内の目的位置に正確に胸腔チューブを位置決めすることに失敗している(上記非特許文献2で引用したように、30%の成功率を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】国際公開第2006/019783号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5509909号公報
【特許文献3】特開2005−341987号公報
【特許文献4】米国特許第6849061号公報
【特許文献5】米国特許第4813929号公報
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Dtsch. Med. Wochenschr.,Klopp et al., 2009, vol. 134(11): pp. 536-9 [PMID: 19235680]
【非特許文献2】Eur. J. Emerg. Med., Protic et al., 2009 [PMID: 19704377]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ガイドワイヤが胸腔内に胸腔チューブを挿入することを補助して旧来の外科手術(上記参照)に対して成功率を改善するが、それにもかかわらず、1/5の患者は、−非特許文献2で報告された研究に基づくと−胸腔チューブを胸腔内で正確に位置決めされなかった結果として、不快で不便で不要なさらなる外科ステップを受けると見込まれる。
【0024】
したがって、例えば個体の胸腔のような体腔内の目的位置に胸腔チューブを挿入して正確に位置決めするための単純で安価かつ安全な方法に対する必要性がある。
【0025】
胸腔チューブを交換すること及び入院を延長することに関連する不必要な追加医療コスト、患者が感染症及び苦痛にかかる危険性が増大すること、並びに、不正確に位置決めされた胸腔チューブを交換することによって引き起こされる一般的な不便さは、本発明における胸腔チューブガイドデバイスを使用することによって、回避される。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明において、カテーテルガイドデバイスが提供され、このカテーテルガイドデバイスは、基端部、先端部、少なくとも先端屈曲部または湾曲セクション、及び、カテーテルを受けることが可能なルーメンを備え、ルーメンが、少なくとも1つのカテーテル入口ポートと先端部に位置する少なくとも1つのカテーテル出口ポートとを備え、上記少なくとも1つのカテーテル入口ポート及び上記少なくとも1つのカテーテル出口ポートが、少なくとも先端屈曲部または湾曲セクションによって離間されており、カテーテルデバイスが、カテーテルがカテーテル出口ポートから出るときに体腔内にカテーテルを挿入することを方向付けることが可能であり、このため、体腔における目的の所定位置に個体の体腔内へカテーテルを正確に位置決めすることを確実にする。
【0027】
好ましくは、カテーテルは、胸腔チューブを備えるまたは胸腔チューブからなる。
【0028】
好都合なことには、体腔は、動物または人体の胸腔である。
【0029】
有利には、カテーテル出口ポートは、カテーテルガイドデバイスのうち屈曲または湾曲セクションを有する少なくとも1つのセクションによってカテーテル入口ポートから離間されている。
【0030】
好ましくは、湾曲セクションは、ほぼ円弧である。
【0031】
好都合なことには、屈曲部は、先端角を形成し、先端角は、0度より大きいが180度未満である。
【0032】
有利には、デバイスは、基端部及び先端部の運動間の機能的関係を有する。
【0033】
好ましくは、機能的関係は、先端角の寸法により決定される。
【0034】
好都合なことには、機能的関係は、先端セクションの長さによって決定される。
【0035】
有利には、機能的関係は、身体内で先端部の位置を決定し、カテーテルがカテーテル出口ポートから出る方向であってこの方向が先端軸に沿う方向を規定する。
【0036】
好ましくは、先端部は、丸状端部である。
【0037】
好都合なことには、先端セクションの一部は、先端部に近接する縁部から先端部まで、先端軸方向に沿って内側にテーパ状となる。
【0038】
有利には、縁部は、丸状縁部である。
【0039】
好ましくは、テーパ状とすることは、符号18から始まって先端部5まで、先端セクションの比較的大きな距離にわたって段階的である。
【0040】
好都合なことには、ガイドデバイスは、基端部を有する基端セクションと、ルーメン及びカテーテル入口ポートを有する中間セクションと、先端部及びカテーテル出口ポートを有する先端セクションと、をさらに備える。
【0041】
有利には、基端セクションは、中間セクションと共に基端角を形成し、先端セクションは、中間セクションと共に先端角を形成し、先端角が、先端屈曲部を規定する。
【0042】
好ましくは、デバイスは、基端部及び先端部の運動間の機能的関係を有する。
【0043】
好都合なことには、機能的関係は、基端角の寸法と先端角の寸法とを含む。
【0044】
有利には、基端角の寸法は、0度より大きいが180度未満であり、先端角の寸法は、0度より大きいが180度未満である。
【0045】
好ましくは、基端角及び先端角は、鋭角、鈍角、直角及びこれらの組み合わせを備えるグループから選択される。
【0046】
好都合なことには、基端角及び先端角は、一対の補角、一対の余角及び一対の直角を備えるグループから選択される。
【0047】
有利には、機能的関係は、先端セクションの長さによって決定される。
【0048】
好ましくは、機能的関係は、身体内で先端部の位置を決定し、カテーテルがカテーテル出口ポートから出る方向であってこの方向が先端軸に沿う方向を規定する。
【0049】
好都合なことには、先端部分は、突出先端を有し、体腔内へのデバイスの挿入を容易にする。
【0050】
有利には、突出先端は、カテーテル出口ポートから先端側に延在する縁部を備える。
【0051】
好ましくは、ガイドデバイスは、デバイスの先端部においてルーメンにある取り外し可能な栓体を備える。
【0052】
好都合なことには、ルーメンは、1以上の突出部を備え、デバイス内でカテーテルが動くことを容易にする。
【0053】
有利には、デバイスには、印部が設けられており、この印部は、着色されかつ/または形付けられており、先端部と基端部とを区別する。
【0054】
好ましくは、外壁セクションには、少なくとも1つの突出部が設けられており、体腔内へのデバイスの正確な位置決めを容易にする。
【0055】
本発明の別の態様において、2部品ガイドデバイスが提供され、このガイドデバイスは、基端部、先端部、及びカテーテルを受けることが可能なルーメンを備え、ルーメンが、少なくとも1つのカテーテル入口ポートと、先端部に位置する少なくとも1つのカテーテル出口ポートと、を備え、基端部、ルーメン及び先端部は、ガイドデバイスの軸方向長さに沿って2部品に分離可能である。
【0056】
好ましくは、2部品ガイドデバイスは、この[発明の概要]において上述した発明の特徴のうちのいずれからをさらに備える。
【0057】
好都合なことには、ガイドデバイスは、ガイドデバイスの2部品を共に保持するためのスナップロックのようなロック手段をさらに備える。
【0058】
有利には、軸方向長さは、基端軸の長さ、中間軸の長さ、先端軸の長さ及びこれらの組合せからなるグループから選択される。
【0059】
本発明のさらなる態様において、カテーテルが提供され、このカテーテルは、カテーテルをカテーテルガイドデバイスに挿通したときに、不要な横へのまたは側方への動きを防止するまたは低減するための補強側壁部を備える。
【0060】
本発明の別の態様において、部品一式を提供し、この部品一式は、胸膜カテーテルまたは胸腔チューブのようなカテーテルと、本発明のカテーテルガイドデバイスと、を備える。
【0061】
好ましくは、部品一式は、管爪部をさらに備える。
【0062】
好都合なことには、部品一式は、殺菌してあらかじめパッケージされた単一使用のための部品一式の形態をなしている。
【0063】
有利には、部品一式の内容物は、殺菌バリアシールによって外部環境から分離されており、この殺菌バリアシールは、外科手術で部品一式の内容物を使用する直前に破断される。
【0064】
本発明の別の態様において、外科手技中において、例えば胸腔チューブなどの胸膜カテーテルのようなカテーテルを動物または人間のような個体の胸腔のような体腔内に挿入するための方法を提供し、上記外科手技は、本発明のカテーテルガイドデバイスを準備するステップと、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを用いて例えば胸膜カテーテルなどを胸腔内に挿入することによって、個体の胸腔に胸膜カテーテルを正確に位置決めするステップと、を備える。
【0065】
本発明のさらなる態様において、動物または人間の胸腔のような体腔内で胸膜カテーテルのようなカテーテルを正確に位置決めすることを改善するまたは確実にするための外科手技を提供し、上記外科手技は、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを準備するステップと、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを用いて口腔のような体腔内へカテーテルを挿入することによって、カテーテルをガイドするステップと、胸腔のような体腔内の目的位置にカテーテルを正確に方向付けるステップと、を備える。
【0066】
本発明の別の態様において、胸腔に関連する臨床症状を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法を提供し、上記治療方法は、治療される個体の胸腔内へ例えば胸膜カテーテルまたは胸腔チューブなどを挿入するステップと、胸腔のような体腔の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、胸膜カテーテルの挿入をガイドする工程と、を備える。
【0067】
本発明のさらなる態様において、胸腔内の例えば感染症及び/または悪性度を診断するための方法を提供し、上記方法は、胸腔内の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へ胸膜カテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、上記カテーテルを用いて上記胸腔の少なくとも一部を抜き取ることによって、個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、生体外分析の結果に基づいて上記感染症及び/または上記悪性度を診断するステップと、を備える。
【0068】
本発明の別の態様において、胸腔に関連する適応症(clinical indication)を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法で使用するための本発明のカテーテルガイドデバイスを提供し、上記方法は、個体の胸腔内へ胸膜カテーテルを挿入するステップと、胸腔内の目的位置へ胸膜カテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、カテーテルの挿入をガイドするステップと、を備える。
【0069】
好ましくは、方法は、空気、血液、膿、流体及び/または乳糜(chylos)を胸腔から取り除くステップをさらに備える。
【0070】
本発明のさらなる態様において、胸腔内の感染症及び/または悪性度を診断するための方法で使用するためのカテーテルガイドデバイスを提供し、上記方法は、胸腔内の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へカテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、上記カテーテルを用いて上記胸腔の少なくとも一部を抜き取ることによって、個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、上記流体サンプルを生体外分析するステップと、上記生体外分析の結果に基づいて上記感染症及び/または悪性度を診断するステップと、を備える。
【0071】
本発明の別の態様において、カテーテルをさらに備える部品一式を製造における本発明のカテーテルガイドデバイスの使用を提供し、上記部品一式は、胸腔に関連する適応症を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法で使用するためのものであり、上記方法は、個体の胸腔内へ胸膜カテーテルを挿入するステップと、胸腔内の目的位置へ胸膜カテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、カテーテルの挿入をガイドするステップと、を備える。
【0072】
本発明のさらなる態様において、カテーテルをさらに備える部品一式を製造における本発明のカテーテルガイドデバイスの使用を提供し、上記部品一式は、胸腔内の感染症及び/または悪性度を診断するための方法で使用されるものであり、上記方法は、胸腔内の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へカテーテルを挿入するステップと、上記カテーテルを用いて上記胸腔の少なくとも一部を抜き出すことによって個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、上記流体サンプルを生体外分析するステップと、上記生体外分析の結果に基づいて上記感染症及び/または悪性度を診断するステップと、を備える。
【0073】
本発明は、動物または人間の供給内の目的位置へ胸腔チューブを正確にガイドするための方法及びデバイスを対象とする。また、カテーテル及び本発明におけるカテーテルガイドデバイスを備える部品一式を提供する。
【0074】
胸腔チューブは、基本的に、
1)超音波ガイド技術
2)トロッカーガイド技術
3)鈍的切開技術
の3つの異なる技術のうちの1つを用いることによって挿入される。
【0075】
鈍的切開技術を用いて胸腔チューブを挿入することは、現在では、以下で詳述するように、「ブラインド」処置である。本発明は、従来の鈍的切開技術の「ブラインド性」を改善する。
【0076】
好都合なことには、鈍的切開技術を用いて最先端の胸腔チューブを挿入することは、以下のステップ、
1)中間腋窩線の前方の第5肋間腔(安全領域)にある皮膚を消毒し、局所麻酔するステップ、
2)皮膚を切開するステップ、
3)鉗子を用いて胸壁を通して胸腔まで鈍的切開をするステップと、
4)指を経路に挿通させて胸腔に入ることを検証するステップと、
5)湾曲型鉗子を用いて胸腔チューブの先端をクランプして胸腔内へ挿入するステップと、
6)胸腔チューブの先端を保持する湾曲型鉗子を目的方向に向けるステップと、
7)クランプを解放し、胸腔チューブを最適深さまで前進させるステップと、
8)胸腔チューブを皮膚に縫合して外に落ちることを防止するステップと、
9)いったん胸腔チューブを所定位置とし、胸部X線を行ってドレイン場所を確認するステップと、
を実行することによって行われる。
【0077】
最先端の鈍的切開技術を用いて胸腔内に胸腔チューブを正確に方向付けて正確に位置決めする能力を医師が有さないので、処置は「ブラインド」処置となる。胸腔チューブを胸腔内へ前進させると、胸腔チューブの先端は、もはや視認可能ではなく、したがって、位置異常することがある。したがって、最先端の鈍的切開技術を用いても、上述のように、胸腔チューブを位置異常させる深刻な危険性がある。
【0078】
クランプを解放した(上記ステップ7)参照)後に、胸腔チューブを前進させる方向は、概ね、ガイドされず、胸腔チューブの前進は、胸腔チューブのうち患者の外側に位置する部分を保持する医師によってのみ支援される。
【0079】
最先端の鈍的切開技術を用いて胸腔チューブを前進させている間、胸腔の内側における胸腔チューブの挿入方向が肺の方向に向けられる場合には、胸腔チューブは、壁側胸膜の外側、裂溝内(interfissural)または実質内(intraparenchymal)(肺を穿通する)に不意に位置決めされることがある。
【0080】
さらに、胸腔チューブの挿入は、しばしば、若く経験の少ない胸部外科医及び外傷外科医によって実行される最初の処置の1つであり、この処置は、しばしば、ストレスがかかり厳格な時間制限のある状態で実行される緊急性の処置である。
【0081】
同様に、胸腔チューブを正確に位置決めすることは、例えば多量の皮下気腫、大きな乳房などを有する肥満性の患者において、または患者が興奮し、脅えまたは狼狽している場合には、実現することがより困難である。胸腔チューブを挿入することに関連する処置は、容易に実行するには程遠い。
【0082】
本発明のカテーテルガイドデバイスは、医師がしばしば困難である状況の下でも胸腔チューブを正確に位置決めすることを補助する。
【0083】
したがって、本発明の一態様は、個体の体腔内へ体腔の目的の所定位置においてカテーテルを正確に挿入するのに適したカテーテルガイドデバイスを提供する。カテーテルは、適切な直径の胸腔チューブであってもよく、体腔は、動物または人間の胸腔であってもよい。
【0084】
カテーテルガイドデバイスは、ルーメンを備え、このルーメンには、カテーテルがカテーテルガイドデバイスの第1開口部またはカテーテル入口ポートを通して挿入される。第2開口部またはカテーテル出口ポートは、好ましくは、カテーテルガイドデバイスの先端部に位置する。カテーテル出口ポートは、カテーテルガイドデバイスのうち例えばほぼ円弧の形態のような屈曲したまたは湾曲した形状または形態を有する少なくとも1つのセクションによってカテーテルガイドデバイスから離間されている。ガイドデバイスの屈曲したまたは湾曲したセクションにおける厳密な形態は、捩れをカテーテルで生じさせない特有の状況の下でルーメンを通してカテーテルを前進させる限り、必須はない。
【0085】
本発明の一形態におけるカテーテルガイドデバイスの機能性に関して重要なことは、少なくとも1つの湾曲セクションがデバイスの先端部であってカテーテルガイドデバイスを使用している間に体腔内に位置する先端部に位置し、そのため、カテーテルガイドデバイスの基端部であって治療する患者の外側に位置する基端部における外科手技中において医師による回転を含む運動が結果として所定位置にカテーテルガイドデバイスの出口ポートを位置決めし、この位置は、いったんカテーテルがカテーテルガイドデバイスの出口ポートから出ると、カテーテルの目的の軸方向出口方向を規定する。いったんカテーテルがカテーテルガイドデバイスの出口ポートから出たときに目的の軸方向出口方向を規定することができることは、カテーテルを体腔内で目的場所に正確に位置させるために、医師がカテーテルを胸腔のような体腔内へ正確に方向付けることができる要件である。
【0086】
デバイスは、デバイスの先端部に位置するほぼ湾曲したセクションを有していない、すなわち、デバイスのうちカテーテルガイドデバイスを使用している間に体腔内に位置する端部は、特有の状況の下で、医師がカテーテルの目的の軸方向出口方向を規定することを全ての場合においては可能とせず、この目的の軸方向出口方向は、医師が外科手技中において患者の体腔内にカテーテルを正確に位置決めすることを可能とさせる。この理由は、カテーテルガイドデバイスのほぼ直線状の出口ポートセクションが角度であって外科手技中にいったんカテーテルガイドデバイスを体腔内に入れたときに出口ポートを体腔内で位置決めする角度を限定し制限するためである。ほぼ直線状の出口ポートセクションを有するカテーテルガイドデバイスを回転させることは、いったん外科手術中にカテーテルガイドデバイスを体腔内に入れると、医師が全ての所望の方向にデバイスの出口ポートを向けることを可能としない。
【0087】
したがって、カテーテルガイドデバイスの先端部における湾曲セクションは、カテーテルガイドデバイスを使用している間に医師がカテーテルガイドデバイスを操作する、すなわち動かしてかつ/または回転させてデバイスの先端開口部を目的位置であってカテーテルの目的の軸方向出口を規定する目的位置に位置決めするときに、胸腔チューブのようなカテーテルを胸腔のような体腔の目的位置で正確に位置決めすることを可能とすることを対象としかつ必要とする方向で、カテーテルが体腔内に位置するカテーテルガイドデバイスの先端部から出ることを確実にする。
【0088】
カテーテルガイドデバイスのうちカテーテルガイドデバイスの先端部に位置する少なくとも1つの湾曲セクションは、カテーテルガイドデバイスの他の部分に動作可能に接続される。一形態において、カテーテルガイド部材のうちデバイスの先端部に位置する少なくとも1つの湾曲セクションは、状況に応じて、カテーテルガイドデバイスの設計に関して必要であるように、円弧形状のような湾曲セクションを有するガイドセクション及び少なくともほぼ直線状の、すなわち角付でない形状のガイドセクションを含む、他の形状及び形態を有する他のガイドセクションと組み合わせて、デバイスの第1及び第2開口部を接続する。
【0089】
ガイドデバイスの最も先端側の端部に位置するカテーテル出口ポートは、テーパ状端部を有し、このため、皮膚の切開部内へカテーテルを入れることを容易にする一方で、好ましくは、ガイドデバイスのルーメンの内径を一定のままとする。
【0090】
ガイドデバイスは、ガイドデバイスのチューブの直径よりも十分に大きい直径を有する襟部を備える。襟部の機能は、ガイドデバイスが特有の状況の下で個体の体腔内へ深く入りすぎることを防止することである。ガイドデバイス上の襟部の位置は、主として、ガイドデバイスにおける先端側の屈曲したまたは湾曲したセクションと中間または基端セクションとの間である。襟部は、ガイドデバイスの最も先端側の端部の運動を制限しないが、いったん個体の体腔内に適切に挿入するとガイドデバイスが体腔内へ深く挿入されすぎる危険性なく一定位置で所定位置のままとすることを確実にする。
【0091】
別の態様において、本発明は、部品一式を提供し、この部品一式は、胸膜カテーテルまたは胸腔チューブのようなカテーテルと、本発明におけるカテーテルガイドデバイスと、任意で管爪部と、を備える。部品一式は、好ましくは、1回使用のみのための殺菌されあらかじめパッケージされた部品一式である。部品一式の内容物は、殺菌バリアシールによって外部環境から分離されており、この殺菌バリアシールは、外科手術において部品一式の内容物を使用する直前に破断される。
【0092】
部品一式は、緊急使用のためのものであり、円刃刀、針及び縫合糸、一対の外科用鋏、クランプ、消毒剤、麻酔、カバー、ガーゼ、包帯、並びに、使用中にカテーテルに動作可能に接続されることが可能な一方向弁を有する吸引デバイス及び/または収集バッグのうちの1以上をさらに備える。部品一式は、サイズの異なる複数のカテーテル及び/またはサイズの異なる上記カテーテルを組み合わせて動作可能に使用されることが可能な1以上のカテーテルガイドデバイスを備えてもよい。
【0093】
まだ別の態様において、本発明は、外科手技中に動物または人間のような個体の胸腔のような体腔内へ胸膜カテーテルのようなカテーテルを挿入するための方法であって、上記外科手技は、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを準備するステップと、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを使用することによって、胸腔内へ例えば胸膜カテーテルを挿入することにより個体の胸腔内で胸膜カテーテルを正確に位置決めするステップと、を備える。
【0094】
さらなる態様において、本発明は、動物または人間の胸腔のような体腔内で胸膜カテーテルのようなカテーテルを正確に位置決めすることを改善するまたは確実にするための外科手技を提供し、上記外科手技は、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを準備するステップと、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを用いることによって、胸腔のような体腔内へカテーテルを挿入することにより例えば胸腔チューブのようなカテーテルを胸腔のような体腔内へガイドするステップと、胸腔のような体腔内の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるステップと、を備える。
【0095】
またさらなる態様において、本発明は、胸腔に関連する臨床症状を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法を提供し、上記治療方法は、治療する個体の胸腔内へ例えば胸膜カテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、胸腔のような体腔の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、胸膜カテーテルの挿入をガイドするステップと、を備える。
【0096】
いっそうのさらなる態様において、本発明は、胸腔内の例えば感染症及び/または悪性度を診断するための方法を提供し、上記方法は、胸腔内の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へ胸膜カテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、上記カテーテルを用いて上記胸腔の少なくとも一部を抜き取ることによって、個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、上記流体サンプルを生体外分析するステップと、上記生体外分析の結果に基づいて上記感染症及び/または上記悪性度を診断するステップと、を備える。
【0097】
まださらなる態様において、本発明は、胸腔に関連する適応症を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法で使用されるカテーテルガイドデバイスを提供し、上記方法は、個体の胸腔内へ胸膜カテーテルを挿入するステップと、胸腔内の目的位置へ胸膜カテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、カテーテルの挿入をガイドするステップと、を備える。
【0098】
いっそうのさらなる態様において、本発明は、胸腔内の感染症及び/または悪性度を診断するための方法で使用するためのカテーテルガイドデバイスを提供し、上記方法は、胸腔内の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へカテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、上記カテーテルを用いて上記胸腔の少なくとも一部を抜き取ることによって個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、上記流体サンプルを生体外分析するステップと、上記生体外分析の結果に基づいて上記感染症及び/または悪性度を診断するステップと、を備える。
【0099】
まださらなる態様において、本発明は、カテーテルをさらに備える部品一式を製造するときにおけるカテーテルガイドデバイスの使用を提供し、上記部品一式は、胸腔に関連する適応症を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法で使用されるものであり、上記方法は、個体の胸腔内へ胸膜カテーテルを挿入するステップと、胸膜カテーテルを胸腔内の目的位置へ正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、カテーテルの挿入をガイドするステップと、を備える。
【0100】
またさらなる態様において、本発明は、カテーテルをさらに備える部品一式を製造するときにおけるカテーテルガイドデバイスの使用を提供し、上記部品一式は、胸腔内の感染症及び/または悪性度を診断するための方法で使用されるものであり、上記方法は、カテーテルを胸腔内の目的位置に正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へカテーテルを挿入するステップと、上記カテーテルを用いて上記胸腔の少なくとも一部を抜き取ることによって、個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、生体外分析の結果に基づいて上記感染症及び/または悪性度を診断するステップと、を備える。
【0101】
定義
大気圧:地表の任意の地点において空気からかけられた力。海水位での平均大気圧は、1000ミリバール(100キロパスカル)である。
【0102】
カテーテル:人間のような個体の体腔内に配置することが可能な胸腔チューブのようなチューブ。胸腔のような胸腔内に配置すると、胸腔チューブは、この体腔から閉じ込められた空気及び/または流体を除去するために使用され、このため、胸腔内に空気及び/または流体が蓄積する結果として生じる気胸及び/または胸水のような適応症を軽減する。胸水の排水は、虚脱した肺を再び膨張させることを可能とし、このため、肺が通常に機能することを確実にする。用語「カテーテル」は、本明細書において胸腔チューブと同義的に使用される。
【0103】
胸腔チューブ:上記カテーテルを参照。
【0104】
膿胸:胸膜腔内に膿が蓄積すること。
【0105】
血胸:胸部損傷によって通常引き起こされ、胸腔内に血液が蓄積すること。
【0106】
胸膜内:胸腔内で壁側胸膜と臓側胸膜との間に位置する。
【0107】
胸膜:胸腔の半分を覆い、片側にある肺を被覆し、保護する薄い薄膜。
【0108】
胸腔:各胸膜内の空間であって肺を収容する空間。
【0109】
胸水:とりわけ鬱血性心不全、癌、結核及び肺感染症によって引き起こされ、胸腔内の流体。
【0110】
気胸:胸腔内に空気が蓄積することであり、肺を虚脱させること。原因は、とりわけ肺病、貫通性外傷及び特定の医療処置を含み、この医療処置には、換気(ventilation)及び心配機能蘇生、ペースメーカ移植、肺内の腫瘍のCTガイド型針吸引、中心静脈カテーテルの挿入を含む。
【0111】
基端部(4):ガイドデバイス100を使用しているときに医師に近接してアクセス可能なガイドデバイス100の端部を規定する。すなわち、デバイス100を使用するときに体腔の所望位置から離間した端部である。
【0112】
先端部(5):ガイドデバイス100を使用しているときに医師から離間するガイドデバイス100の端部を規定する。すなわち、デバイス100を使用するときに体腔の所望位置に近接し、カテーテルの出口ポートを有する端部である。
【0113】
基端セクション(1):本発明の一形態において、基端セクション1は、ガイドデバイス100を使用するときに、医師に近接してアクセス可能なデバイスの部分を規定する。すなわち、デバイス100を使用するときに体腔の所望位置から離間するセクションである。したがって、主として、基端セクション1は、基端部4を有する。本発明の別の形態において、ガイドデバイスは、基端セクション1を有していなくてもよく、この場合において、中間セクションの一部は、理解を目的として基端セクションとして考えられる(図12参照)。
【0114】
先端セクション(3):ガイドデバイス100を使用するときに医師から離間するデバイス100の部分を規定する。すなわち、デバイス100を使用するときに身体の所望位置に近接するセクションである。先端セクション3は、カテーテル出口ポートを有する先端部5を有する。
【0115】
中間セクション(2):本発明の一形態において、中間セクション2は、基端セクション1と先端セクション5とを接続するデバイスの一部を規定する。
【0116】
本発明の別の形態において、デバイスは、基端セクションを有しておらず、中間セクションは、基端部4を有する(図12参照)。当業者が理解することは、この状況において、中間セクションのうち基端部4を含みかつ基端部4に近接する小部分が理解を目的として基端セクションとして考えられ、したがってガイドデバイス100を使用するときに基端部が医師に近接してアクセス可能であるという要件を満たすことである。しかしながら、基端軸及び中間軸は、同一であってもよい。
【0117】
中間セクション2は、カテーテルをガイドデバイス100内に導入することを可能とするための入口ポート14を有する。
【0118】
基端軸(6):基端セクション1の長さに沿う軸であり、中間軸7と基端角12を形成する。ガイドデバイス100内のカテーテルの動き(11)に沿う基端軸6の方向は、基端軸6の延長方向で示される。
【0119】
先端軸(8):先端セクション3の長さに沿う軸であり、中間軸7と先端角13を形成する。ガイドデバイス100内におけるカテーテルの動き11に従う先端軸8の方向は、先端軸8の延長方向で示される。一形態において、先端軸8の方向は、基端軸6の方向とは反対側である(図4)。しかしながら、別の形態において、先端軸8の方向は、基端軸の方向と同方向であってもよい(図3)。当業者が理解することは、基端軸及び先端軸が同様に互いの間で他の角度を形成してもよいので、基端軸及び先端軸の方向が上記2つの形態に限定されないことである。
【0120】
中間軸(7):中間セクション2の長さに沿う軸であり、基端軸6と基端角12を形成し、先端軸8と先端角13を形成する。ガイドデバイス100内におけるカテーテルの動き11に従う中間軸7の方向は、中間軸7の延長方向によって示される。
【0121】
基端角(12):基端屈曲部9において基端軸6と中間軸7との間に形成された角度である。基端角12は、基端軸6の方向と中間軸7の方向との間で測定されており、このため、添付の図面に示されるように、これら軸は、ガイドデバイス内におけるカテーテルの動き11に従う。
【0122】
先端角(13):先端屈曲部10において先端軸8と中間軸7との間に形成された角度である。先端角13は、先端軸8の方向と中間軸7の方向との間で測定されており、このため、添付の図面に示されるように、これら軸は、ガイドデバイス内におけるカテーテルの動き11に従う。
【0123】
基端屈曲部(9):基端角12のため、(基端軸6により規定された)基端セクション1と(中間軸7により規定された)中間セクション2との間でガイドデバイス100に形成された屈曲部である。
【0124】
先端屈曲部(10):先端角13のため、(先端軸8により規定された)先端セクション3と(中間軸7により規定された)中間セクション2との間でガイドデバイス100に形成された屈曲部である。
【0125】
本発明の実施形態は、その利点と共に、同一の機能を同一の参照符号で示した添付の図面と共に以下の詳細な説明から最も良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1】気胸(虚脱した肺)を患い、胸腔から流体を取り除くことを必要としている個体を示す図である。胸腔チューブは、2つの肋骨間の肋間腔にある切開部を通して胸腔内に挿入されている。
図2A】胸腔チューブを胸腔内に挿入するときに医師が利用可能なさまざまな最先端の方法を示す図である。パネルAは、胸膜まで至る浸潤物を示す。パネルBは、胸腔チューブを胸腔内に挿入するために使用される2つの鉗子に取り付けられた胸腔チューブを示す。パネルCは、2つの肋骨間の肋間腔内に切開部を形成するために使用される円刃刀を示す。パネルDは、カニューレを肋間腔の切開部内に挿入するために使用されるトロッカーを示す。パネルEは、カニューレからトロッカーを切除することを示す。パネルFは、2つの鉗子を用いてカニューレ内に挿入された胸腔チューブを示す。パネルGは、胸腔チューブを胸腔内に挿入した後にカニューレを取り除くことを示す。パネルHは、胸腔チューブを胸腔内に挿入する別の方法を示す。
図2B】胸腔チューブを胸腔内に挿入するときに医師が利用可能な最先端の方法を示す図である。パネルAは、胸膜へ下方に向かう鎮痛浸潤物を示す。パネルBは、2本の肋骨間にある肋間腔内への皮膚切開部を形成するための円刃刀を示す。パネルCは、胸腔内へ貫通するための円刃刀を用いた鈍的技術を示す。パネルDは、胸腔内に入ることを確証するために指を経路に挿通することを示す図である。パネルEは、胸腔チューブの先端を湾曲型鉗子で締めて胸腔内に挿入されることを示す図である。
図3】一実施形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図であって、このカテーテルガイドデバイスが、基端セクション1と、胸腔チューブを挿入するための入口ポート14を備える中間セクション2により離間された先端セクション3と、を有する、図である。デバイスのハンドル部分は、基端セクション1として理解されており、デバイスの基端部4に位置付けられており、図示のような基端方向を有する基端軸6を規定する。先端軸8及び中間軸7によってそれぞれ規定される先端セクション3及び中間セクション2は、先端屈曲部10を規定する先端角13を形成する。同様に、基端軸6及び中間軸7によってそれぞれ規定される基端セクション1及び中間セクション2は、基端屈曲部9を規定する基端角12を形成する。基端角12及び先端角13は、先端部4及び基端部5の運動間の機能的関係を規定する関係を共有する。胸腔チューブは、図示のように、入口ポート14を通ってガイドデバイスのルーメンに入り、医師によって、入口ポート14と先端5にある出口ポートとの間に画成されたガイドデバイスのルーメンを通して送られ、先端軸方向でデバイスの先端部においてガイドデバイスを出る。いくつかの形態において、胸腔チューブの出る方向は、基端軸方向と少なくとも基本的に同等である。しかしながら、他の形態において、胸腔チューブの出る方向は、基端軸方向と基本的に平行ではない。基端軸及び先端軸の方向間の関係を観測すると、基端部に対する先端部の相対運動は、基端角及び先端角により規定されるように決定されており、このため、医師は、胸腔チューブを胸腔内に挿入する方向を確定することができる。
図4】一形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図であって、このカテーテルガイドデバイスが、基端セクション1と、胸腔チューブを挿入するための入口ポート14を備える中間セクション2によって離間された先端セクション3と、を有する、図である。デバイスの基端セクション1として理解されるハンドル部分は、デバイス100の基端部4に位置し、図示のように基端方向を有する基端軸6を規定する。胸腔チューブは、図示のように入口ポート14を通って入口ポート14と先端部5にある出口ポートとの間に画成されたガイドデバイスのルーメンに入り、医師によって、ガイドデバイスの先端屈曲部10においてルーメンを通って送られ、胸腔チューブは、先端軸8の方向でデバイスの先端部においてガイドデバイスから出る。図示の形態において、胸腔チューブが出る方向は、基端軸6の方向とは少なくとも基本的に反対側である。しかしながら、他の形態において、胸腔チューブが出る方向は、基端軸方向と基本的に反平行でない。基端軸6及び先端軸8の方向間の関係を観測することにより、基端部に対する先端部の相対運動は、基端角12及び先端角13によって規定されるように決定されており、このため、医師は、胸腔チューブを胸腔内に挿入する方向を確定することができる。
図5】一形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図であって、このカテーテルガイドデバイスが、入口ポート14及び先端部5にある出口ポート間において湾曲型ガイドデバイスセクション100によって画成されたルーメンを有する、図である。デバイスは、基端セクション1として考えられ、上記湾曲型ガイドデバイスセクションに取り付けられたハンドルセクションをさらに備える。胸腔チューブは、図示のように、入口ポート14を通ってガイドデバイス100のルーメンに入り、医師によって湾曲型ガイドデバイスのルーメンを通して送られ、胸腔チューブは、基端軸6の方向とは垂直な先端軸8の方向で、デバイスの先端部5においてガイドデバイスから出る。他の形態において、方向は、垂直でなくてもよい。基端軸6及び先端軸8の方向間の関係を観測することにより、基端部に対する先端部の相対運動は、基端角12及び先端角13によって規定されるように決定されており、このため、医師は、胸腔チューブを胸腔内に挿入する方向を確定することができる。
図6】一形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図であって、このカテーテルガイドデバイスが、基端セクション1と、胸腔チューブを挿入するための入口ポート14を備える中間セクション2によって離間される先端セクション3と、を有する、図である。デバイスのうち基端セクション1として理解される人間工学的に設計されたハンドル部分は、デバイスの基端部4に位置し、図示される基端方向を有する基端軸6を規定する。先端軸8及び中間軸7によりそれぞれ規定される先端セクション3及び中間セクション2は、先端屈曲部10を規定する先端角13を形成する。同様に、基端軸6及び中間軸7によりそれぞれ規定される基端セクション1及び中間セクション3は、基端屈曲部9を規定する基端角12を形成する。基端角12及び先端角13は、先端部4及び基端部5の運動間の機能的関係を規定する関係を共有する。胸腔チューブは、図示のように入り口ポート14を通ってガイドデバイスのルーメンに入り、医師によって、入口ポート14と先端位置5にある出口ポートとの間に画成されるガイドデバイスのルーメンを通して送られ、先端軸方向でデバイスの先端部においてガイドデバイスから出る。いくつかの形態において、胸腔チューブが出る方向は、基端軸方向と少なくとも基本的に同一である。しかしながら、他の形態において、胸腔チューブが出る方向は、基端軸方向と基本的に平行でなくてもよい。さらに別の形態において、胸腔チューブが出る方向は、基端軸方向と反平行でさえある。人間工学的に設計されたハンドルの基端軸及び先端軸の方向間の関係を観測することにより、基端部に対する先端部の相対運動は、基端角及び先端角によって規定されるように決定されており、このため、医師は、胸腔チューブを胸腔内に挿入する方向を確定することができる。
図7】本発明の一形態におけるカテーテルガイドデバイスを示す図である。基本的には、この形態の特徴は、胸腔チューブが、図示のように入口ポート14を通してガイドデバイスのルーメンに入り、医師によって、入口ポート14と先端地点5にある出口ポートとの間に画成されるガイドデバイスのルーメンを通して送られ、胸腔チューブが、先端軸方向と垂直な方向で先端部においてガイドデバイスから出る点を除いて、図6に示す形態の特徴と同一である。他の形態において、方向は、垂直でなくてもよい。人間工学的に設計されたハンドルの基端軸及び先端軸の方向間の関係を観測することにより、基端部に対する先端部の相対運動は、基端角及び先端角によって規定されるように決定されており、このため、医師は、胸腔チューブを胸腔内に挿入する方向を確定することができる。
図8】本発明の一形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図であって、このカテーテルガイドデバイスが、人間工学的に設計されたハンドル部分を有することに替えて、この形態において基端セクション1に対応する指パッドを使用する点を除いて、図6に開示した形態と同一である。中間セクション2は、図示のように、胸腔チューブを挿入するための入口ポート14を有する。胸腔チューブは、図示のように、入口ポート14を通ってガイドデバイスのルーメンに入り、医師によって、ガイドデバイス100のルーメンを通って送られ、胸腔チューブは、デバイスの先端部においてガイドデバイスから出る。そのため、先端セクションは、湾曲されており、例えばデバイスの中間セクションによって規定される軸に沿ってデバイスを回転させるときに、挿入中にガイドデバイスからカテーテルが出るための正確で的確な方向と、例えば胸腔などの目的位置にデバイスの正確な場所と、を医師が得ることを確実にする。
図9】ガイドデバイス100が2部品への分割型ガイドの形態をなす形態を示す図であって、2部品がロックデバイス15によって実用的な状況の下で共に保持される、図である。この図において、ロックデバイスは、2部品のガイドデバイスを共に保持することが可能なリングの形態をなしており、このため、図3に示す構造を事実上形成する。ロックデバイスは、好ましくは片手のみで操作可能なスナップロックであってもよく、このため、医師は、他方の手でカテーテルを保持して前進させる。胸腔チューブを入れるための入口ポート14は、印付けされており、屈曲した先端セクションは、ガイドデバイスからカテーテルが出るための方向を規定するカテーテル出口ポートを備え、この実施形態において、先端軸7で規定されるこの方向は、基端セクション1の直線状の基端軸方向6と同方向であり、この基端セクションは、医師が保持するためのハンドルとして機能することを意図する。基端軸6によって規定されるハンドルの方向を観測することにより、医師は、個体の体腔内で胸腔チューブを前進させる方向を確定することができる。デバイスは、基端部、先端部、カテーテルを受けることができるルーメン、及び、ロック手段を備える2部品形態をなしており、ルーメンは、少なくとも1つのカテーテル入口ポートと、先端部に位置する少なくとも1つのカテーテル出口ポートと、を備え、基端部、ルーメン及び先端部は、ガイドデバイスの軸方向長さに沿って2部品に分離可能である。
図10】本願の一例で実施されかつ開示された実験にしたがって実行されたカテーテルを位置決めすることを示す図である。矢印は、カテーテルの先端を示す。
図11】本発明のさまざまな形態におけるカテーテル200を示す横断面図である。図11Aは、カテーテルを挿入したときの不要な横への(すなわち側方への)動きを防止するまたは低減する補強側壁部205を有するカテーテルを示す図である。ガイドデバイスの外形寸法は、本発明のこの形態において、カテーテルの幾何形状の横断面構造それぞれに適合しており、そのため、カテーテルガイドデバイスのルーメンは、カテーテルがほぼ非円形の横断面(図11A参照)を有している場合であってもカテーテルを受ける。図11Bは、ほぼ円形の横断面を有するカテーテル200’を示す図である。
図12】先端セクション3及び中間セクション2を有するカテーテルガイドデバイス100を示す図である。この形態は、図5に記載のデバイスとほぼ同様である。しかしながら、この形態において、デバイスは、基端セクションを別個には有していない。この形態において、中間セクションは、基端部4を有する。当業者が理解することは、理解する目的で、中間セクション2のうち基端部4を有しそして基端部4に近接する小部分が、基端セクションと考えられ、中間軸が、基端軸を示し、したがって、ガイドデバイス100を使用するときに基端部が医師に近接しアクセス可能であるという要件に応じることである。中間軸7によって示されると考えられる基端軸と先端角を形成する先端軸8との運動間の関係を観測することによって、基端部に対する先端部の相対運動は、決定され、このため、医師は、胸腔チューブを胸腔内へ挿入する方向を確定することができる。
図13】本発明の一形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図である。追加の特徴として、ガイドデバイスは、先端部5の丸端部16を有する。先端部において比較的鋭利なまたは切形の縁部を有するガイドデバイスと比較して、丸端部16は、ガイドデバイスを体腔内に挿入下ときに組織を損傷する危険性を潜在的に最小化する。
図14】本発明の一形態におけるカテーテルガイドデバイス100を示す図である。追加の特徴として、ガイドデバイスは、先端セクション17のうち、先端部5に近接する縁部から先端部5まで先端軸方向に沿って内側にテーパ状となる部分を有する。これは、テーパ状端部がテーパ状ではない端部とは対照的に体腔内の抵抗が小さい状態で動くので、体腔内の先端セクションのアクセス能力を改善し、ガイドデバイスの挿入を容易にする。一形態において、先端セクションにおけるテーパ部分が開始する縁部18は、縁部18が切形または鋭利であることによる損傷を低減するために、丸縁部として形成されてもよい。別の形態において、テーパ状とすることは、縁部18から開始して先端部5まで比較的長距離にわたって非常に漸次的である。このような比較的長距離は、体腔のタイプ、患者の状態のような状況に基づいて、当業者によって確定される。当業者が理解することは、図13及び図14が同一のガイドデバイスで組み込まれてもよいことである。
図15】本発明の別の形態におけるガイドデバイスを示す斜視図であって、ガイドデバイスが先端部分に先端を備える、斜視図である。
図16図15に示す形態を示す側面図である。
図17】本発明の別の形態におけるガイドデバイスを示す側面図であって、ガイドデバイスが先端部分に先端を備える、側面図である。
図18図17に示す形態を示す平面図である。
図19図17に示す形態を示す斜視図であって、デバイスの基端部の詳細を示す、斜視図である。
図20図17に示す形態を示す斜視図であって、デバイスの先端部の詳細を示す、斜視図である。
図21】本発明の一形態におけるガイドデバイスを示す横断面図であって、デバイスの先端部においてルーメンに取り外し可能な栓体が設けられた、横断面図である。
図22図21に示す形態を示す前面図である。
図23図21に示す形態を示す斜視図である。
図24】本発明の一形態におけるガイドデバイスを示す部分断面図であって、ルーメンにある突出部を示す、部分断面図である。
図25図24に示す形態を示す端面図であって、ルーメン内にあるカテーテルを示す、端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0127】
本発明の一実施形態において、カテーテルガイドデバイスを開示する。カテーテルは、基端部、先端部、少なくとも先端屈曲セクションまたは先端湾曲セクション、及び、カテーテルを受けることが可能なルーメンを備える。ルーメンは、少なくとも1つのカテーテル入口ポートと、先端部に位置する少なくとも1つのカテーテル出口ポートと、を備える。少なくとも1つのカテーテル入口ポートと上記少なくとも1つのカテーテル出口ポートとは、先端屈曲セクションまたは先端湾曲セクションによって離間している。カテーテルデバイスは、カテーテルがカテーテル出口ポートにあるときに、カテーテルの体腔内への挿入を方向付けることが可能であり、したがって、個体の体腔内への目的の所定位置でカテーテルの正確な位置決めを確実にする。
【0128】
カテーテルは、胸腔チューブであり、体腔は、動物または人体の胸腔である。カテーテル出口ポートは、カテーテルガイドデバイスのうち屈曲セクションまたは湾曲セクションを有する少なくとも1つのセクションによって、カテーテル入口ポートから離間している。
【0129】
一実施形態において、湾曲セクションは、ほぼ円弧である。別の実施形態において、屈曲部は、先端角を形成し、この角度は0度より大きいが180度未満である。
【0130】
一実施形態において、デバイスは、基端部及び先端部の運動間の機能的関係を有する。機能的関係は、先端角の寸法及び/または先端セクションの長さによって決定される。当業者が理解することは、先端角の寸法及び先端セクションの長さをあらかじめ知っていることにより、体腔内の目的場所に先端を位置決めするために、医師が制御された信頼性のある態様でデバイスの先端部を動かすことを可能とすることである。したがって、体腔内におけるカテーテルの動く方向及び位置決めを正確に達成する。先端セクションの長さは、数センチメートルであり、体腔のタイプ、患者の状態などの状況を踏まえて当業者により容易に確認可能である。
【0131】
本発明の一実施形態において、機能的関係は、身体内の先端部の位置を決定し、カテーテルがカテーテル出口ポートから出る方向を規定し、この方向は、先端軸に沿う。
【0132】
本発明のさらに別の実施形態において、ガイドデバイスは、同様に、基端部を有する基端セクションと、ルーメン及びカテーテル入口ポートを有する中間セクションと、先端部及びカテーテル出口ポートを有する先端セクションと、を有する。基端セクションは、中間セクションと共に基端角を形成し、先端セクションは、中間セクションと共に先端角を形成し、先端角は、先端屈曲部を規定する。
【0133】
一実施形態において、デバイスは、基端部及び先端部の運動間の機能的関係を有する。機能的関係は、基端角の寸法及び先端角の寸法並びに/または先端セクションの長さを含み、先端セクションの長さは、数センチメートルであり、体腔のタイプ、患者の状態などの状況を踏まえて当業者により容易に確認可能である。
【0134】
機能的関係は、身体内で先端部の位置を決定し、カテーテルがカテーテル出口ポートから出る方向を規定し、この方向は、先端軸に沿う。当業者が理解することは、先端角、基端角及び先端セクションの長さの寸法をあらかじめ知っていることにより、体腔内の目的場所に先端を位置決めするために、医師が制御された信頼性のある態様でデバイスの先端部を操作するまたは動かすことが可能となることである。したがって、体腔内におけるカテーテルの動く方向及び位置決めを正確に達成する。
【0135】
一実施形態において、基端角及び先端角の寸法は、0より大きいが、180度未満である。
【0136】
別の実施形態において、基端角及び先端角は、鋭角、鈍角、直角及びこれらの組合せを備えるグループから選択される。さらに別の実施形態において、基端角及び先端角は、一対の補角、一対の余角及び一対の直角を備えるグループから選択される。
【0137】
本発明の別の実施形態において、2部品ガイドデバイスを開示する。2部品ガイドデバイスは、基端部、先端部、及び、カテーテルを受けることが可能なルーメンを有し、ルーメンは、少なくとも1つのカテーテル入口ポートと、先端部に位置する少なくとも1つのカテーテル出口ポートと、を備え、基端部、ルーメン及び先端部は、ガイドデバイスの軸方向長さに沿って2部品に分離可能である。先端セクションの長さは、数センチメートルであり、体腔のタイプ、患者の状態などの状況を踏まえて当業者により容易に確認可能である。
【0138】
ガイドデバイスは、図3図8及び図12を参照して開示するように、一体型ガイドデバイスの特徴のいずれかを有してもよい。
【0139】
実施形態において、2部品ガイドデバイスは、ガイドデバイスの2部品を共に保持するためのスナップロックのようなロック手段をさらに有し、軸方向長さは、基端軸の長さ、中間軸の長さ、先端軸の長さ及びこれらの組合せからなるグループから選択される。
【0140】
一実施形態において、本発明は、鈍的切開技術を用いて、胸腔チューブを体腔内に挿入して配置する単純な安全で正確な方法を提供する。
【0141】
胸水の排水(胸腔穿刺)は、胸部手術における一般的な処置である。処置は、胸腔チューブを個体の胸腔内に挿入することを含む。胸腔チューブは、例えば空気(虚脱した肺)を、流体(胸水、血液、乳糜)をまたは膿(膿胸)を胸腔から除去するために使用される。本発明における胸腔穿刺を実行する方法は、胸腔チューブを胸腔における胸腔内の目的位置に正確に位置決めすることを容易にする。胸腔内の特定の場所にカテーテルまたは胸腔チューブを方向付けることが常にはできない問題は、上述のように従来から認識されている。
【0142】
胸水の排水は、胸水の症状を軽減するために最初に行われる。胸水の徴候は、一般的に、息切れ、胸痛または空咳を含む。また、胸水の排水は、例えば肺炎に関連する(肺炎性の)胸水などの炎症サイクルを緩和するまたは終了させる。胸水から排水された流体は、本発明の一実施形態において、分析及び/または診断のために送られ、このため、流体は、胸水の起こりうる原因及びこれに関連する症状に関する価値のある手掛りをもたらす。
【0143】
したがって、本発明において胸水を排水することは、診断試験と組み合わせて使用されてもよく、胸水の起こりうる原因を評価する。したがって、一実施形態において、収集した胸膜液の生体外での細胞病理学評価は、異常な胸膜液の蓄積の原因を判断するために必要である。生体外での細胞病理学評価は、例えば、臨床顕微鏡検査法、微生物学、化学分析、腫瘍マーカ評価及びpH判定などから選択した1以上の診断試験と組み合わせて実行されてもよい。したがって、一実施形態において、胸腔内の例えば感染症及び/または悪性度の原因は、本発明における上記診断方法を用いて特定される。
【0144】
膨大な数の利用可能な診断試験が存在するにもかかわらず、多くの胸水は、原則的に突発性であり、深刻な症状が生じるかつ/または持続する場合には、観測した胸水症状を軽減するために、侵襲的技術が必要となり、治療が必要となる。
【0145】
気胸は、本発明の方法にしたがって治療されるまたは改善される別の臨床症状である。通常の生理学的状態の下では、胸腔内の圧力は、大気圧よりも低い。この圧力が胸腔内に過剰な空気及び/または流体が入ったために変化すると、肺は虚脱する。気胸(虚脱した肺)は、基本的に、病気または事故の結果として生じる。例えば、胸壁は、手術中に不注意でまたは事故または暴力行為の結果として穿刺されることがある。また、肺自体が偶発的に穿刺されるまたは切断されることがある。両方の場合において、胸腔の排水は、最も必要である。気胸の場合において、胸腔チューブの形態をなすカテーテルは、本発明の方法によって胸腔内へ送られ、胸腔内圧を回復し、穿刺されて虚脱した肺を再膨張させる。
【0146】
上述から明らかなように、本発明のカテーテルガイドデバイスは、胸水を排水するために、または、気胸を治療するまたは改善するために、外科手術中に使用される胸腔チューブを挿入し正確に位置決めするために使用される。
【0147】
本発明におけるカテーテルガイドデバイスは、カテーテルガイドデバイスの第1開口部または入口ポートを通してカテーテルが挿入されるルーメンを画成する。一実施形態において、カテーテルガイドデバイスの第2開口部またはカテーテル出口ポートは、デバイスのうち湾曲形状を画成する少なくとも1つのセクションによってデバイスの第1開口部から離間されており、このルーメンを通って、カテーテルは、第1開口部(入口ポート)に入った後にカテーテルガイドデバイスの第2開口部(出口ポート)から出るまで送られる。カテーテルガイドデバイスの湾曲セクションは、好ましくは、デバイスの先端部、すなわち、ガイドデバイスのうち使用中に体腔内へ挿入される端部に位置する。
【0148】
一実施形態において、少なくとも1つのカテーテルガイドデバイスのセクションは、ほぼ直線状をなしており、例えば、胸腔内に胸膜カテーテルを挿入するときなどデバイスの使用中にカテーテルガイドデバイスを操作するときに医師が保持するのに適したハンドルを形成する。ハンドルは、人間工学的に形成されており、右利きの施術者または左利きの施術者のための把持をもたらす、または、ハンドルは、ハンドルがガイドデバイスを操作する右利き及び左利きの医師双方に対して同じように良好に適合するように形成されている。
【0149】
カテーテルガイドデバイスは、例えばハンドルを形成するガイドセクションのように直線状のガイドセクションがない場合に、基本的に1つ、2つまたは3つのような1以上の物理的に接続されかつ少なくともほぼ湾曲したつまり円弧状のセクションを備える。
【0150】
別の実施形態において、カテーテルガイドデバイスは、1つ、2つまたは3つの物理的に接続されかつ少なくともほぼ湾曲したつまり円弧状のセクションのような1以上の少なくともほぼ湾曲したセクションと、1つ、2つまたは3つのような1以上のほぼ直線状の、すなわち例えば直線セクションのように湾曲していないセクションと、の双方を備えており、この直線セクションは、実用的な状況の下でカテーテルガイドデバイスを操作しているときに医師が保持するためのハンドルセクションとして機能することが可能である。
【0151】
ガイドのうち湾曲部を規定する少なくとも1つのセクションは、0度から180度までの先端角を規定する。角度は、以下で詳述するようにガイドデバイスの設計に依存する。
【0152】
一実施形態において、i)カテーテルがカテーテルガイドデバイスの第1開口部(入口ポート)に入るときのカテーテルの軸方向と、ii)カテーテルがカテーテルガイドデバイスを第2開口部(出口ポート)から出るときのカテーテルの軸方向、すなわちデバイスの先端軸と、の間の角度は、好ましくは、例えば90度から好ましくは140度未満の範囲など90度から好ましくは150度未満の範囲のような、例えば90度から好ましくは120度未満の範囲など90度から好ましくは130度未満の範囲のような、例えば100度から好ましくは140度未満の範囲など100度から好ましくは150度未満の範囲のような、例えば100度から好ましくは120度未満の範囲など100度から好ましくは130度未満の範囲のような、例えば110度から好ましくは140度未満の範囲など110度から好ましくは150度未満の範囲のような、例えば110度から好ましくは120度未満の範囲など110度から好ましくは130度未満の範囲のような、90度から好ましくは180度未満の範囲である。
【0153】
湾曲セクションは、実用的な状況の下で医師によりデバイスを操作しているときに、ガイドデバイスの湾曲セクションが例えば胸腔のような体腔内でガイドデバイスの出口ポートにおける軸方向、すなわち先端軸を正確かつ目的の向きを規定する限り、さまざまな形態を有してもよく、この向きは、すなわち、医師がガイドデバイスのルーメン内に位置する例えば胸腔チューブを例えば胸腔の目的位置へ正確に方向付けることを補助する向きである。湾曲セクションは、例えば少なくともほぼ円弧状、または、少なくともほぼ放物曲線状、または、少なくともほぼ双曲線状、または、少なくともほぼ楕円曲線状である。
【0154】
医師は、例えば少なくともほぼ円弧状セクションのような湾曲セクションを備えるカテーテルガイドデバイスを、アクセスポートを画成する切開部を通して例えば胸腔へ送り、これにより、カテーテルガイドデバイスの先端部を上記胸腔内に配置する。カテーテルガイドデバイスの外側部分(すなわち、ガイドデバイスのうち胸腔へのアクセスを規定する切開部を通して胸腔内に挿入されない部分)を横方向または上もしくは下に移動させる一方で、同様に切開部を規定する軸に沿ってガイドデバイスを回転させることが可能なオプションを保持することによって、医師は、胸腔内に挿入している間、胸腔に入る位置に関する方向及び距離によって規定される胸腔の目的位置に正確に位置決めする前に、カテーテルがデバイスの出口ポートから出て胸腔に入る軸方向を調節しかつ決定するのにほぼ完全な自由度を有する。
【0155】
上記に基づいて、理解することは、ガイドデバイスを操作することによって、カテーテルガイドデバイスのルーメン内に位置するカテーテルを体腔の目的位置に正確に方向付け、このため、デバイスの出口ポートがカテーテルを体腔内へ挿入する方向を規定する限り、デバイスの湾曲セクションの精密な設計が決定的ではないこと、である。
【0156】
一実施形態において、ガイドデバイスのうちほぼ直線状のハンドルセクションの軸方向の向きは、ガイドデバイスのルーメンに位置するカテーテルが胸腔内でガイドデバイスの出口ポートから出る向きを規定する。
【0157】
本実施形態において、デバイスは、少なくとも2つの湾曲セクション、すなわち基端屈曲部及び先端屈曲部を備え、2つの湾曲セクションは、接続セクション、すなわち中間セクションによって動作可能に連結されており、この中間セクションは、ほぼ直線状の接続セクションである、または、中間セクション自体は、例えば図3に示すような例えば湾曲部の形状を適用し、このため、先端セクションを規定する。
【0158】
この実施形態における直線状のハンドルセクションによって規定される軸方向である基端軸方向を観測することによって、医師は、カテーテルが胸腔内にあるガイドデバイスの出口ポートから出るので、この方向が軸方向、すなわち直線状のハンドルセクションによって基端軸方向であるため、カテーテルの方向、すなわち先端軸方向を判断することが可能である。
【0159】
ガイドデバイスを製造するために、医療等級の成形可能なポリマーを含む外科手術に認証されたさまざまなポリマー材料を使用してもよい。ガイドデバイスが複数回使用を目的としている場合、ポリマー組成は、殺菌可能でなければならない。また、ガイドデバイスは、状況に応じて被覆されたチタンから製造されてもよい。
【0160】
ガイドデバイスにおけるルーメンの横断面は、好ましくは、少なくともほぼ円形であり、このため、同様に円形の横断面を有するカテーテルの挿入に適合する。しかしながら、他の幾何形状の横断面を想定してもよい。図11のパネルAに示すように、補強側壁部を有するカテーテルチューブを用いることを想定してもよく、このため、カテーテルを体腔内に挿入する間におけるカテーテルの不要な側方運動を防止する。
【0161】
ルーメンの横断面は、横断面の中心から横断面の周辺の点までの距離が、横断面の中心から横断面の周辺の点までの平均距離の1/4から、好ましくは横断面の中心から横断面の周辺の点までの平均距離の4倍まで、の間の範囲にある場合に、ほぼ円形である。ガイドデバイスにおけるルーメンの横断面とガイドデバイスに挿入されるカテーテルの横断面は、適合するべきである。
【0162】
図15図18は、基端部分312及び先端部分314を有するガイドデバイス310を示す。デバイス310は、ポリプロピレンから構成されるが、他の生体適合性材料、好ましくはポリマー材料を使用してもよい。基端部分312は、ユーザによる把持を容易にするために、リブ付の断面シリンダ状の形態をなすハンドル部分316を有する。ハンドル部分は、デバイスの中央のほぼ直線状で凹形の部分318に至り、この部分自体は、デバイスの先端部に向かう開口部320に至る。開口部320は、カテーテルを挿入するための入口ポートを画成する。デバイスの外壁部は、デバイスの入口ポート320から先端部に至る湾曲環状部分324を形成し、デバイスを通してカテーテルをガイドするためのルーメンを規定する。環状部分は、カテーテルの出口ポートを画成する開口部326に至る。
【0163】
デバイスの外壁部は、入口ポート320の先端側に突出襟部またはリム322を形成し、ユーザに明確な停止点を提供して患者の身体内へのガイドデバイス310の正確な挿入を補助する。デバイス310は、リム322が患者の肋骨に近接するまたは肋骨と接触するまで患者の身体内へ挿入される。
【0164】
また、デバイス310の先端部314には、突出先端328が設けられている。図示の実施形態において、先端は、出口ポート326を越えて突出するリップ328の形態をなす。リップ328は、特にデバイスが胸腔に向けて患者の肋骨間に挿入されているときに、患者の身体内へのデバイスの挿入を補助する。
【0165】
図17図18図19及び図20は、本発明の別の実施形態におけるガイドデバイス330を示しており、このガイドデバイスは、基端部分332と先端部分334とを有する。デバイス330は、ポリプロピレンから構成されているが、他の生体適合性材料、好ましくはポリマー材料を使用してもよい。基端セクション332は、ユーザによる把持を容易にするために、中空でリブ付の断面円筒状の形態をなすハンドル部分336を有する。ハンドル部分には、把持を改善するために、デバイスを画成する外壁部に複数のギャップが設けられている。ハンドル部分は、デバイスの中央のほぼ直線状で凹形の部分338に至り、この部分自体は、デバイスの先端部に向かう開口部340に至る。開口部340は、カテーテルを挿入するための入口ポートを画成し、デバイスの外壁部は、デバイスの入口ポート340から先端部に至る湾曲環状部分344を形成し、この湾曲環状部分は、デバイスを通してカテーテルをガイドするルーメンを形成する。環状部分は、カテーテルのための出口ポートを画成する開口部346に至る。
【0166】
デバイスの外壁部は、入口ポート340の先端側にある突出リム342を規定し、ユーザに明確な停止点を提供して患者の身体内へのガイドデバイス330の正確な挿入を補助する。デバイス330は、リム342が患者の肋骨に近接するまたは肋骨と接触するまで患者の身体内へ挿入される。
【0167】
また、デバイス340の先端部334には、突出先端348が設けられている。図示の実施形態において、先端は、出口ポート346を越えて突出するリップ348の形態をなす。リップ348は、特にデバイスが胸腔に向けて患者の肋骨間に挿入されているときに、患者の身体内へのデバイスの挿入を補助する。
【0168】
図18は、ハンドル部分336に表示350が設けられていることを示しており、この表示は、特にユーザがデバイスに慣れていない場合に、基端部332を先端部334から区別することを補助する。同様にまたはあるいは、基端及び先端部は、例えば明らかに異なる横断面を有することによってなど、色または形状を使用することによって互いに区別されてもよい。
【0169】
また、図18は、入口ポート340及び出口ポート346を明確に示しており、この入口及び出口ポートは、デバイスを通してそして患者の正確な身体構造上の場所内へカテーテルをガイドする経路を規定する。
【0170】
図19は、基端部332のハンドル部分336が断面半円状の中空であることをより明確に示している。ハンドル部分は、使用時にユーザがデバイスを安定して把持することを補助するために、デバイスの外壁部にある複数のギャップまたリブを有する。
【0171】
図20は、デバイス330の凹形中央部分338を示しており、この凹形中央部分は、入口ポート340内に至る。中央部分338の凹形状は、ユーザが入口ポート340内へカテーテルを供給することを補助し、湾曲セクション344によって出口ポート346を介してデバイスから出ることをガイドする。
【0172】
図21図22及び図23は、本発明の全てのガイドデバイスに適用してもよい好ましい特徴を示す。デバイス340は、先端部344に至る基端部342を備える。デバイス340の外壁部には、カテーテル入口ポート346が形成されており、このカテーテル入口ポートは、ルーメン350に至り、そして、カテーテル出口ポート348に至る。また、デバイス340は、デバイスの先端部344にある出口ポート348に取り外し可能な栓体352を有する。栓体352には、糸354が取り付けられており、この糸は、ルーメン350を逆方向に通過して入口ポート346から出る。栓体352は、カテーテル出口ポート348から外に突出する丸端部を有するが、他の形状を用いてもよい。
【0173】
突出栓体352は、デバイス340を患者の身体内へ挿入することを補助する。栓体352の丸端部は、所望の正確な解剖学上の場所内へ患者の組織を通ってデバイスの先端部が通過することを容易にすることを補助する。いったんデバイスが所定位置にあると、ユーザは、糸354を引っ張ってルーメンを通して入口ポート346の外まで栓体352を逆に引き抜く。栓体352は、ポリプロピレンから形成されるが、他の実施形態において他の材料を用いてもよい。
【0174】
図24は、別の実施形態における先端部360を示す横断面図であり、この先端部は、環状外壁部364によって画成されたルーメン362を備える。ルーメンには、突出部366が設けられており、入口ポートと出口ポート368との間でカテーテルを通過することを容易にする。
【0175】
図25は、図24に示すデバイスの出口ポート368を見た図である。突出部366は、ルーメンの内面にある一対の隆起線状部またはレール部を備える。レール部366は、ルーメン壁部から離間するようにカテーテル370上昇させて、摩擦のような付着摩擦を防止する。このため、カテーテルは、容易にデバイスを通過し、患者の身体内の挿入を容易にする。一対のレール部の形態をなす突出部を有してデバイスを示しているが、他の実施形態において、1つの、2つのまたはそれ以上の突出部を有してもよく、突出部は、隆起線状部の形態でなくてもよい。あるいはまたはさらに、ルーメンには、カテーテルの通過を容易にするための潤滑材が設けられてもよい。
【0176】
胸腔内に胸腔チューブを挿入するための方法
胸腔内に胸腔チューブを挿入するためのさまざまな処置の以下の詳細な記載は、このような処置への一般的な手引きを提供することを目的としている。記載した処置からの逸脱が発生してもよく、このような逸脱は、当業者に公知である。当業者は、胸腔内へ胸腔チューブを挿入するための一般的な最先端の外科手術を知っている。動物または人体の胸腔内へ例えば胸腔チューブを挿入するための外科的ステップは、技術的に公知である。
【0177】
胸腔内のカテーテルを挿入する位置は、側部(壁側胸部)で発生する。一般的に、男性において腋窩(前腋窩線)から乳首の側部(側方)まで、女性において腋窩(前腋窩線)から胸骨剣状移行部(胸骨つまり胸部の骨の下位移行部)の上方の側部(約2インチ(約5cm))まで、引いた線にある。
【0178】
英国胸部疾患学会は、胸腔チューブを「安全領域」と説明する領域に挿入することを推奨しており、この領域は、大胸筋の外側縁、腋窩の下位にある水平線、広背筋の前縁及び乳首の上位にある水平線によって区画される領域である。より具体的には、チューブは、中腋窩線の若干前方にある第5肋間腔内へ挿入される。非特許文献1には、胸腔内へ胸腔チューブを挿入するのに最も適した部位が中腋窩線または前腋窩線にある第4または第5肋間腔であることを述べている。
【0179】
皮膚は、既定どおり、該当領域を覆って消毒液を用いて殺菌され、局所麻酔は、不快を最小化するために投与される。挿入するために選択した肋骨において、肋骨を覆う皮膚は、例えば10ccの注射器及び例えば25ゲージの針を使用してリドカイン(または場合によっては他の適切な局所麻酔剤)を用いて麻酔される。胸膜挿入のために選択した肋骨の下方にある肋骨、組織、筋肉、骨、及び、肺を覆う内面層は、同様に、例えば25ゲージの針を用いて麻酔される。
【0180】
医師は、無菌ガウン、フェイスマスク及び眼球保護器を含む外科手術の殺菌を維持することを事前に注意する。全ての器具は、同様に殺菌されており、一般的な事前注意は、血液及び体液に関して追従される。
【0181】
観測した適応症及び治療する患者に応じて、正確な胸腔チューブのサイズを選択する。18〜20F(レンチ(rench))カテーテルは、基本的に気胸のために使用され、32〜36Fカテーテルは、基本的に血胸のために使用される一方で、外傷患者は、しばしば、38〜40Fカテーテルサイズを必要とする。子供、特に幼児は、一般的に、上記チューブサイズよりも小さいチューブサイズを必要とする。
【0182】
胸水の排水を実行する前に、胸部X線またはCTスキャンを指示して例えば気胸などの存在を確認し、気胸の胸腔内の正確な場所を確立する。
【0183】
患側を拘束した状態で、患者の腕を頭部上に置く。腋窩(腋窩線の挿入)まで下がる挿入線に関して、患者の頭部は、基本的に、約30°から60°だけベッドから起こされる。麻酔針及び注射器を用いて、医師は、初期的に、胸腔内へ(吸引用の)針を挿入し、空気または流体の存在を確認する。そして、切開部を形成し、一実施形態において、胸腔を開くためにクランプを使用する。
【0184】
胸腔チューブは、本発明におけるカテーテルガイドデバイスを用いて挿入するために位置決めされ、その後、適切な吸引排水システムに取り付けられる。胸腔チューブは、基本的に、3つの異なる技術
1)超音波ガイド技術
2)トロッカーガイド技術
3)鈍的切開技術
のうちの1つを用いて挿入される。
【0185】
超音波ガイド技術は、胸水を排出するために使用されるが、小径のカテーテルに限定され、処置は、カテーテルが詰まる危険性が増大することを伴い、この処置は、通常、排出が効率的ではない。
【0186】
トロッカー技術は、一般的に、安全性が低いとされており、例えば医原性の肺損傷の危険性が増大することに起因して人気が低い(後述を参照)。
【0187】
鈍的切開技術は、一般的に、胸腔内へ大径の胸腔チューブを挿入するための最も安全な処置とされており、この技術は、大部分の病院及び治療センターで好ましい。
【0188】
上記処置で使用されるカテーテルガイドデバイスは、一実施形態において、S字状チューブであり、このS字状チューブは、先端セクション、中間セクション及び基端セクションを有する。基端セクションは、同一方向を向く、すなわちカテーテルが出る軸方向のようにその基端軸方向を規定するハンドルと一体化している。すなわち、方向は、基端軸であり、先端軸は、同一である。
【0189】
ガイドデバイスの先端セクションは、好ましくは、胸腔チューブの内径が外径よりもわずかに広い湾曲チューブであり、ガイドデバイスのルーメン内に挿入することを目的としている。この実施形態において、デバイスの中間セクションには、ガイドデバイスのルーメン内へ胸腔チューブを挿入するための入口ポートが位置している。
【0190】
胸腔チューブは、デバイスを体腔内に挿入すると、デバイスの出口ポートを通って体腔内に挿入される。
【0191】
ガイドデバイスを通して胸腔チューブを前進させると、胸腔チューブの先端は、デバイスから出るときに、デバイスのハンドルセクション(基端セクション)の基端軸方向により規定される方向と同一方向を向く。これは、胸腔チューブを肺表面及び胸壁と平行だが肺組織または裂溝内領域(intrafissural area)の方向ではない方向に挿入することを容易にする。
【0192】
デバイスの少なくとも先端セクションの内面は、低摩擦被覆材料で被覆されており、このため、胸腔チューブとガイドデバイスのルーメン壁部との間の摩擦を最小化して胸腔チューブのスムーズな挿入を容易にする。また、ガイドデバイスの先端セクションの外面は、低摩擦被覆材料で被覆されており、肋骨間におけるガイドデバイスのスムーズで痛みの少ない挿入を容易にする。同様に、挿入されるカテーテルは、摩擦をさらに最小化するために外面が被覆されてもよい。いったん湿潤すると潤滑作用を付与するジェルを含む医療用途で承認された最先端の摩擦低減被覆合成物を使用してもよい。
【0193】
本発明におけるカテーテルガイドデバイスを用いて本発明における胸腔チューブを挿入するための方法は、一実施形態において、第1ステップ(上述した方法のステップ1から4)に関する上述した鈍的切開技術と同様である。
【0194】
外科医が指を用いて胸腔を探索した後、カテーテルガイドデバイスの先端部を胸腔内に挿入し、そのため、ガイドデバイスの出口ポートは、胸腔チューブを挿入して正確に配置することを目的とした方向を向く。
【0195】
胸腔チューブは、一実施形態において、図3に示すように、先端セクションを向く方向でガイドデバイスの中間セクション内へ挿入される。胸腔チューブは、カテーテルガイドデバイスに挿通され、胸腔チューブは、胸壁及び肺と少なくともほぼ平行な方向でデバイスの先端部に位置する出口ポートを通って胸腔に入り、この方向は、目的方向を向く。
【0196】
胸腔チューブを挿入する方向は、本発明において、i)ハンドルの大体の軸方向(基端軸方向)、ii)胸腔内におけるデバイスの出口ポートの空間位置、iii)ガイドデバイスの水平位置に対するハンドルの角度、iv)胸腔の壁セクションとほぼ垂直な位置に対するハンドルの側方運動、及び、v)ガイドデバイスの回転、を観測することによって、監視される。
【0197】
胸腔チューブには、距離表示が先端からマーク付けされてもよく、この距離表示は、胸腔チューブのうち胸腔チューブの先端からの特有位置の距離を表示する。センチメートルまたはインチでマーク付けした距離表示は、概略的に使用される。このようにして、医師は、どの程度の深さだけ胸腔チューブを胸腔内へ挿入したかが分かる。胸腔チューブが所定位置にあると、本発明におけるカテーテルガイドデバイスは、直後に取り除かれるが、胸腔チューブを所定位置に保持する。最後に、胸腔チューブを縫合し、胸部X線(上述したステップ8及び9)が続く。
【0198】
したがって、本発明は、以下のステップを備える方法を提供し、ステップは、
1)中間腋窩線の前方の第5肋間腔(安全領域)において皮膚を消毒し、局所麻酔するステップ、
2)皮膚を切開するステップ、
3)鉗子を用いて胸壁を通して胸腔まで鈍的切開をするステップと、
4)指を経路に挿通させて胸腔に入ることを検証するステップと、
5)胸腔チューブを本発明におけるガイドデバイス内に入れて目的方向で胸腔内にガイドするステップと、
6)胸腔チューブを胸腔の目的位置に正確に配置するステップと、
7)胸腔チューブを皮膚に縫合して外に落ちることを防止するステップと、
8)いったん胸腔チューブを所定位置とし、胸部X線を行って排水場所を確認するステップと、
である。
【0199】
ガイドデバイスは、さまざまなサイズで製造されてもよい。大型の胸腔チューブ(Ch32)は、多くの場合、外傷のまたは大型の気胸の場合において好ましい。大径の胸腔チューブは、空気及び流体を吸い出すときにより効率的であり、詰まる危険性を低減する。しかしながら、小径の胸腔チューブは、しばしば好ましい。小径の胸腔チューブは、痛みが小さく、多くの場合、効率的に吸い出すのに十分である。
【0200】
一実施形態において、本発明における胸腔チューブは、当業者に知られている白金触媒シリコーン材料のような医療等級のシリコーン材料から製造される。PVC、EVA、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、並びに、TPU及びTPEのような熱可塑性エラストマなどを使用してもよい。使用時において、これら材料は、通常だが常にではなく、シリコーンで被覆されている。一例は、シリコーン被覆型PVCである。また、本発明における材料は、下記参照の適切な硬度を有する架橋シリコーンを使用してもよい。上述した全ての材料は、適切な医療等級の品質で入手可能である。
【0201】
白金触媒シリコーンは、本発明の好ましい実施形態を示すが、シリコーンは、基本的に、過酸化物によって触媒されている。しかしながら、これは、医学用途で使用するためのシリコーンが例えばPCBなどクロロフェニルのような過酸化物バイプロダクト(bi-product)及び分解生成物がないことが必要であるので、あまり好ましくない。
【0202】
以下に示す好ましい胸腔チューブの材料における機能性の概要は、材料を選択する際のみのガイダンスを当業者に提供し、概要は、本発明によって教授される保護範囲を評価するときに狭く解釈されるべきではない。
【0203】
一実施形態において、好ましいことは、本発明において使用する胸腔チューブの材料が50から60、60から70、70から80のような約50から約80のショアA硬度を有することである。これら範囲外の適切なショアA硬度の値を有する材料を用いてもよい。
【0204】
一実施形態において、好ましいことは、本発明において使用する胸腔チューブの材料が約7MPaから約8MPa、約8MPaから約9MPa、約9MPaから約10MPaのような約7MPaから約10MPaの破断時の引張強度を有することである。これら範囲外の適切な引張強度を有する材料を使用してもよい。
【0205】
一実施形態において、好ましいことは、本発明において使用する胸腔チューブの材料が約600%から約700%、約700%から約800%、約800%から約900%のような約600%から約900%の破断時の伸長を有することである。これら範囲外で破断時の適切な伸長の値を有する材料を使用してもよい。
【0206】
一実施形態において、好ましいことは、本発明において使用する胸腔チューブの材料が2MPaから3MPa、3MPaから4MPaのような約2MPaから4MPaにおいて200%の引張弾性率を有することである。これら範囲外で200%の適切な引張弾性率の値を有する材料を使用してもよい。
【0207】
一実施形態において、好ましいことは、本発明において使用する胸腔チューブの材料が約40kN/Mから45kN/M、45kN/Mから50kN/Mのような約40kN/Mから50kN/Mの引裂強度を有することである。これら範囲外の適切な引裂強度の値を有する材料を使用してもよい。
【0208】
【表1】
【0209】
本発明における方法にしたがって個体の胸腔内へ胸腔チューブを挿入して正確かつ的確に位置決めした後、ガイドデバイスは、取り外され、絹縫合を使用して胸腔チューブを所定位置に強固に保持する。
【0210】
領域は、包まれ、X線は、一部の場合において行われて胸腔チューブの配置状態を可視化し、例えば気胸のような合併症が発生していないことを確認する、または流体を無事に排水しているか容易に判断する。
【0211】
また、胸腔チューブを正確に位置決めすることは、コンピュータ断層撮影(DT)スキャンを用いて確認されてもよいが、個体の胸腔内へ胸腔チューブを挿入している間または挿入した後にこのようなスキャンを行うには煩わしくかつ高価である。本発明は、一実施形態において、本発明が胸腔内へ胸腔チューブを挿入して正確かつ的確に配置する成功率を高くすることを確実にできるので、このようなCTスキャンを不必要とする。
【0212】
胸腔チューブの自由端部は、通常、胸部の水位以下の水中シールに取り付けられる。これにより、胸腔内に捕捉された空気または流体が胸腔から脱することを可能とし、胸腔チューブを水中シールに取り付けることは、上記空気及び流体が胸腔へ再び戻ることを防止する。あるいは、チューブは、技術的に公知であるフラッターバルブ(flutter valve)に取り付けられてもよい。これにより、例えば気胸を患う患者がより移動できることを可能とする。
【0213】
胸部排水デバイスは、胸腔チューブの内容物(空気、血液、滲出液)を排水するために使用される。一般的に、このようなデバイスには3つのチャンバがある。第1チャンバは、収集チャンバである。第2チャンバは、一方向弁として機能する「水封チャンバ」である。患者が咳をするまたは息を吐くと、気泡は、通常、水封チャンバを通るが、頻繁に起こる場合には、批判的に評価されるべき胸膜のまたはシステムの漏洩を示す。また、これは、肺からの空気の漏洩を示すことがある。第3チャンバは、吸引制御チャンバである。このチャンバの水位は、システムの負圧を決定する。気泡は、流体が蒸発することを制御するために穏やかな気泡を維持する。壁の吸引が増大することは、システムの負圧を増大させない。
【0214】
いくつかの改良型の胸部排水システムは、水封チャンバを必要としないように設計されており、すなわち、溢れて血液と混合してキャニスタの移動を義務付けることがある水柱がない。好ましい胸部排水デバイスは、小型かつ可搬性があり、このため、患者は、必要であれば排水できるために帰宅させられる。
【0215】
治療方法及び診断を実行するための方法
また、本発明は、上記個体から得た流体サンプルを生体外試験することによって、個体を治療するための方法及び個体の診断を実行するための方法を対象とする。
【0216】
したがって、以下の発明は、診断及び/または治療を必要とする胸腔内の適応症を患う個体を治療する及び/または診断するための後述する方法を提供する。
【0217】
一態様において、本発明は、胸腔に関連する臨床症状を患う動物または人間のような個体の症状を治療するまたは緩和するための方法を提供し、上記治療方法は、治療される個人の胸腔内へ例えば胸膜カテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、胸腔のような体腔の目的位置へカテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、胸膜カテーテルの挿入をガイドするステップと、を備える。
【0218】
別の態様において、本発明は、個体の胸腔内の例えば感染症及び/悪性度のような適応症を診断するための方法を提供し、上記方法は、胸腔内の目的位置へ胸膜カテーテルを正確に方向付けるための本発明の方法を用いることによって、動物または人間のような個体の胸腔内へ胸膜カテーテルまたは胸腔チューブを挿入するステップと、上記胸膜カテーテルまたは胸腔チューブを用いて少なくとも一部の上記胸腔を抜き取ることによって、個体の胸腔から流体サンプルを収集するステップと、上記流体サンプルを生体外分析するステップと、上記生体外分析の結果に基づいて上記適応症を診断するステップと、備える。
【0219】
胸水(胸腔内の流体の蓄積)、血胸(胸腔内の血液の蓄積)、気胸(虚脱した肺)または膿胸(胸腔内の膿の蓄積)を患う患者は、これら患者グループがしばしば胸腔内へ胸腔チューブを挿入する形態の手術を必要とするので、本発明にしたがって治療され、観測した症状の軽減及び/または治療を提供する。
【0220】
水胸症、血胸または乳糜胸症の場合において、胸腔チューブの先端の理想的な場所は、胸腔の後方にある隔膜に近接しており、これは、胸腔の最下点であるためである。気胸の場合において、胸腔チューブの先端の理想的な場所は、胸腔の頭方の前部であり、これは、空気が胸腔の頂部に位置する傾向があるからである。膿胸の場合において、理想的な場所は、患者ごとに場所が異なる膿胸腔内である。
【0221】
胸水の排水は、胸水の症状を軽減するために最初に行われる。胸水の徴候は、一般的に、息切れ、胸痛または空咳を含む。また、胸水の排水は、例えば肺炎に関連する(肺炎性の)胸水などの炎症サイクルを緩和するまたは終了させる。胸水から排水された流体は、本発明の一実施形態において、分析及び/または診断のために送られ、このため、流体は、胸水の起こりうる原因及びこれに関連する症状に関する価値のある手掛りを提供する。
【0222】
したがって、本発明において胸水を排水することは、診断試験と組み合わせて使用されてもよく、胸水の起こりうる原因を評価する。したがって、一実施形態において、収集した胸膜液の生体外での細胞病理学評価は、異常な胸膜液の蓄積の原因を判断するために必要である。
【0223】
生体外での細胞病理学評価は、例えば、臨床顕微鏡検査法、微生物学、化学分析、腫瘍マーカ評価及びpH判定などから選択した1以上の診断試験と組み合わせて実行されてもよい。一実施形態において、胸腔内の例えば感染症及び/または悪性度の原因は、本発明における上記診断方法を用いて特定される。
【0224】
本発明における方法にしたがって治療されるまたは診断されることが可能な当該臨床症状は、以下で詳述する。
【0225】
気胸
肺の外側または内側から生じる胸腔内における空気の収集であり、肺を虚脱させる。気胸は、外傷性、医原性または突発性である。緊張性気胸は、特有のタイプの気胸であり、空気は、吸気時に(胸壁、肺または気道の欠陥を通って)入るが、呼気時に出ない。各呼吸は、胸腔内で捕捉される空気量を増大させ、さらなる肺の圧縮を招く。これは、医学的な緊急事態である。突発性気胸は、肺の表面にある嚢胞のまたは小嚢(気泡)の破裂により引き起こされる。また、気胸は、骨折した肋骨のような胸壁への損傷、穿孔性損傷(銃撃または刺傷)、胸部の外科的侵襲に続いて発生することがある、または、肺を虚脱させるために意図的に誘発される。また、気胸は、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺癌、喘息及び肺の感染症を含む肺病を根拠とする結果として発現することがある。突発性気胸は、米国で毎年約9000人に影響を与え、この人達は、肺病歴がない。このタイプの気胸は、20歳から40歳の間の男性、特に背が高く痩せた男性に最も一般的である。喫煙は、突発性気胸の危険性を増大させることを示している。
【0226】
緊張性気胸
単純な気胸が進行的に劣化すること及び悪化することに起因する生命を脅かす状態であり、肺内の破裂地点に一方向弁を形成することを伴う。空気は、胸壁と肺との間の胸腔内に捕捉されるようになり、蓄積して肺に圧力をかけ、肺が完全に膨張することを回避する。
【0227】
水胸症
胸腔内に漿液が蓄積することに起因する状態である。この具体的な状態は、腹水を有する肝硬変に関連し、腹水は、胸腔内へ漏洩する。
【0228】
血胸
胸腔内に血液が蓄積することによって引き起こされる状態である。この原因は、通常、胸郭(胸部)への鈍傷または貫通性外傷からの外傷であり、胸郭を裏打するまたは肺を覆う漿膜の破裂を引き起こす。この破裂により、血液は、胸膜腔内へ滲出し、漿膜と肺との間の圧力を等しくする。血液の損失は、胸郭の各側が人の血液量の30%〜40%を保持しているので、これら状態の人において大量である。小規模の胸壁損傷であっても、深刻な血胸を招くことがある。最も重要な血胸は、外傷に関連し、これら発生の概算は、外傷統計から収集される。米国における外傷に関連する血胸発生の概算は、毎年30万例に達する。
【0229】
血気胸
2つの状態、すなわち気胸つまり胸腔内の空気と、血胸つまり胸腔内の血液と、の組み合わせである。
【0230】
胸腔蓄膿(膿胸)
胸腔内の膿の蓄積である。大部分の胸腔蓄膿は、しばしば肺炎随伴胸水に関連する肺内の感染症から生じる。3つの段階、すなわち、滲出性、線維素性及び組織化段階がある。滲出性段階において、膿は蓄積する。これに線維素性段階が続き、この線維素性段階では、胸膜液の被包化(ブドウ状の膿のポケットの形成)がある。最後の組織化段階では、胸膜腔の瘢痕化が、肺のエントラップメント(lung entrapment)を招く。
【0231】
胸水
胸膜腔内の流体蓄積である。胸膜液の異常な集積は、過剰な流体量(すなわち、過剰な静脈内輸液、腎不全)に、流体の蛋白質の減少(例えば肝硬変、蛋白尿)に、心不全に、出血(血胸)に、感染症(肺炎随伴胸水、胸腔蓄膿)に、炎症に、悪性度に、または、胸郭器官の穿孔(すなわち、乳糜胸症、食道破裂)に、炎症に、悪性度に、起因する。
【0232】
乳糜胸症(乳糜瘻)
胸腔内に蓄積するリンパ管流体(乳糜)の結果として生じるタイプの胸水である。
【0233】
肺炎随伴胸水
肺炎の結果として生じるタイプの胸水である。3つのタイプの肺炎随伴胸水、すなわち、単純性胸水、合併性胸水及び膿胸がある。単純性胸水は、一般的に、適切な抗生剤治療に効果をより示す。合併性胸水は、効果がより変わりやすいが、抗生剤を用いた多くの解決法は、早期の胸膜液排水に有効である。膿胸の治療は、抗生剤、完全な胸膜液排水及び肺の再膨張を含む。
【0234】
胸膜炎
胸膜の炎症である。胸膜炎は、頻繁に、胸腔の過剰流体の蓄積に関連し、胸水とも称する。
【0235】
肺炎
肺の異常な炎症性状態である。肺の柔組織(すなわち肺胞)の炎症及び流体が満たされた異常肺胞(硬化及び滲出)を含むとしてしばしば特徴付けられる。肺炎は、微生物、刺激物及び未知の原因によって引き起こされることがある。肺炎をこのようにグループ分けすると感染性原因が最も一般的なタイプである。ときどき、肺に感染する微生物は、流体(胸水)を胸腔に蓄積させる。微生物自体が胸腔に存在する場合には、流体の集積は、膿胸と称される。肺炎は、全年齢層で発生する一般的な病気であり、高齢者並びに慢性的な及び末期的な病気である人の間で死因となる。さらに、全世界的に5歳以下の子供に死因となる。
【0236】
肺癌
肺の組織における制御不能な細胞成長の病気である。この成長は、転移を招くことがあり、転移は、隣接する組織の侵入及び肺を越えた侵入である。初期の肺癌の大部分は、上皮細胞から送られる肺の癌腫症である。
【0237】
癌が気道で成長する場合、気道を閉塞し、呼吸困難を引き起こす。これは、閉塞部の後方における分泌物の蓄積を招き、患者に肺炎が生じやすくなる。肺癌は、男性及び女性の癌関連死の最も一般的な原因である。
【0238】
リンパ脈管筋腫症(LAM)
細気管支、肺胞中隔、血管周囲組織及びリンパ管にわたる無秩序な平滑筋成長の蔓延を結果として引き起こす稀な肺病であり、小さな気道(肺嚢胞形成及び気胸を招く)の、及びリンパ管(乳糜胸水を招く)の閉塞を結果として引き起こす。LAMは、散発型で発生し、通常、出産適齢期にある女性にのみ影響を及ばす。また、LAMは、結節硬化症を有する患者で発生する。
【0239】
結核
通常人間の中にあるヒト型結核菌のようなマイコバクテリアにより引き起こされる一般的で頻繁にある感染症である。結核は、通常、肺を襲うが、身体の他の部分にも影響を及ぼし、集合的に肺外結核と称する他のタイプのTBを引き起こす。これは、免疫抑制者及び若い子供でより一般的に発生する。肺外の感染部位は、例えば結核性胸膜炎における胸膜を含む。
【0240】
空気または流体を胸腔内に蓄積させることがあるさらなる肺の病気を以下に列挙する。急性気管支炎;α1アンチトリプシン欠損症(大人の肺病並びに大人及び子供の肝疾患を引き起こす遺伝性疾患);アスベスト関連疾患;慢性気管支炎;慢性閉塞性肺疾患(COPD)(主として、慢性気管支炎、慢性喘息及び気腫の3つの関連する病気からなる);嚢胞性線維症;気腫(慢性閉塞性肺疾患の特殊型);キラーコールドウイルス(killer cold virus);アデノウイルス感染症(Ad14);類鼻疽またはホイットモア病(類鼻疽菌と称するバクテリアにより引き起こされる感染症);胸膜炎は胸膜の炎症である;肺水症;肺高血圧症;強皮症;重症急性呼吸器症候群(SARS);及びタバコ肺。
【0241】
実施例
本発明におけるデバイスを試験し、カテーテルを死んだ豚に挿入した。後述する処置を適用した。試験の数分前に呼吸していた80kgの豚を背中を下にして配置した。鈍的切開技術を用いて、右側胸壁を通した胸腔への経路を形成した。
【0242】
全部で25の胸腔チューブの挿入(Ch32)を実行した。胸腔チューブの先端における目的位置は、気胸の場合の理想位置を模倣する胸腔の頂部である。皮膚切開位置から胸腔の頂部までの距離は、胸腔チューブを用いて胸部の外面で測定し、一対の鉗子は、胸腔チューブの挿入における目的深さに関するマーカとして胸腔チューブに位置する。
【0243】
デバイスの先端部分は、経路を通して挿入され、先端セクションの最端部は、胸腔の頂部方向で位置決めされた。胸腔チューブは、先端セクションの方向を向けて中間セクションを通して挿入され、胸腔チューブは、目的深さまで挿入された。
【0244】
各胸腔チューブを挿入した後、X線を実行し(写真書類作成)、10の胸腔チューブは、次の挿入前に取り除かれた。
【0245】
全体のうち24の胸腔チューブ(96%)は、最頂部から2cm以内に位置決めされ、1つの胸腔チューブ(4%)は、頂部から約6cmのところに位置決めされた。
【0246】
結論として、大部分の胸腔チューブ(96%)は、正確にかつ的確に位置決めされた。25の胸腔チューブ全ては、許容可能な位置に正確に位置決めされた。
【0247】
結果は、特許請求の範囲に記載した方法が、個体の胸腔内へ胸腔チューブを挿入して正確に位置決めすることに関して優れていることを示した。
【符号の説明】
【0248】
1 基端セクション、2 中間セクション、3 先端セクション、4 基端部、5,360 先端セクション,先端地点,先端部、6 基端軸、7 中間軸、8 先端軸、9 基端屈曲部、10 先端屈曲部、12 基端角、13 先端角、14 入口ポート、10,100,330,340 ガイドデバイス,デバイス、200,200’,370 カテーテル、205 補強側壁部、312 基端部分、314 先端部分,先端部、316,336 ハンドル部分、318 部分、320,346 開口部,カテーテル入口ポート,入口ポート、322 リム、324 湾曲環状部分、326,368 開口部,出口ポート、328 リップ,突出先端、332 基端セクション,基端部分,基端部、334 先端部分,先端部、338 凹形中央部分,中央部分,部分、340 開口部,入口ポート、342 突出リム,リム,基端部、344 先端部,湾曲環状部分,湾曲セクション、346,348 カテーテル出口ポート,出口ポート,リップ,突出先端、350 表示、350,362 ルーメン、352 突出栓体,栓体、354 糸、364 環状外壁部、366 レール部,突出部
図1
図2A
図2B
図3
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図11A
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