(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(a)送電素子と、その送電素子に交流電力を供給する送電回路とを有する送電装置と、(b)前記送電素子から離間して配設される受電素子を有する受電装置とを備え、前記送電素子と前記受電素子との間の電磁場の共振を利用して、前記受電装置に交流電力を供給するワイヤレス給電システムにおいて、
前記送電装置が、
前記送電素子に供給される交流電力の周波数を変更する変更回路と、
(A)その変更回路を調整し、前記送電素子に供給される交流電力の周波数を制御可能に変更する周波数変更部と、(B)その周波数変更部による交流電力の周波数の変更に伴って、前記受電装置の給電状態が、前記受電装置に交流電力が実際に供給されている状態と供給されていない状態との間で変化する供給状態変化時の交流電力の周波数である第1周波数と、その第1周波数と異なる周波数であり、前記供給状態変化時の交流電力の周波数である第2周波数とを測定する周波数測定部と、(C)前記受電装置に交流電力を供給する際の交流電力の周波数である供給時周波数を、前記第1周波数の値と前記第2周波数の値との間の値に相当する周波数に決定する周波数決定部とを有する制御装置と
を備え、
前記周波数変更部が、
前記送電素子に供給される交流電力の周波数を、前記第1周波数の値と前記第2周波数の値との間の値とは異なる値に相当する周波数に変更することで、前記受電装置への給電を停止する給電停止部を有するワイヤレス給電システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0021】
<電子部品装着装置の構成>
図1に、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10を示す。その図は、装着装置10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に互いに隣接されて並んで配列された2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)16とを含んで構成されており、回路基板に電子部品を装着する作業を行うものとされている。なお、以下の説明において、装着機16の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0022】
装着装置10の備える装着機16の各々は、主に、フレーム部20とそのフレーム部20に上架されたビーム部22とを含んで構成された装着機本体24と、回路基板をX軸方向に搬送するとともに設定された位置に固定する搬送装置26と、その搬送装置26によって固定された回路基板に電子部品を装着する装着ヘッド28と、ビーム部22に配設されて装着ヘッド28をX軸方向およびY軸方向に移動させる移動装置30と、フレーム部20の前方に配設され装着ヘッド28に電子部品を供給する供給装置32とを備えている。
【0023】
搬送装置26は、2つのコンベア装置40,42を備えており、それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部20のY軸方向での中央部に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(
図3参照)44によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送するとともに、所定の位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0024】
また、供給装置32は、フレーム部20の前方側の端部に配設されている。供給装置32は、フィーダ型の供給装置とされており、テーピング化された電子部品を保持して1つずつ電子部品を送り出すテープフィーダ50を複数有している。そして、それら複数のテープフィーダ50の各々によって、装着ヘッド28への供給位置に電子部品を供給する構造とされている。
【0025】
また、
装着ヘッド28は、搬送装置26によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものであり、下面に電子部品を吸着する吸着ノズル52を有している。吸着ノズル52は、正負圧供給装置(
図3参照)54を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。さらに、装着ヘッド28は、吸着ノズル52を昇降させるノズル昇降装置(
図3参照)56および吸着ノズル52をそれの軸心回りに自転させるノズル自転装置(
図3参照)58を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置および電子部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。なお、吸着ノズル52は、装着ヘッド28に着脱可能とされており、電子部品のサイズ,形状等に応じて変更することが可能とされている。
【0026】
その装着ヘッド28は、移動装置30によって、フレーム部20上の任意の位置に移動可能とされている。詳しく言えば、移動装置30は、
図2に示すように、装着ヘッド28をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構60と、
装着ヘッド28をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構62とを備えている。Y軸方向スライド機構62は、Y軸方向に移動可能にビーム部22に設けられたY軸スライダ64と、駆動源としての電磁モータ66とを有しており、電磁モータ66によって、Y軸スライダ64がY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、X軸方向スライド機構60は、X軸方向に移動可能にY軸スライダ64に設けられたY軸スライダ
64と、駆動源としての電磁モータ(
図3参照)70とを有しており、電磁モータ70によって、X軸スライダ68がX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。そのX軸スライダ68に装着ヘッド28が取り付けられることで、装着ヘッド28は、移動装置30によって、フレーム部20上の任意の位置に移動可能とされている。なお、装着ヘッド28は、X軸スライダ68にワンタッチで着脱可能とされており、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更することが可能とされている。
【0027】
さらに、装着機16は、
図3に示すように、装着機制御装置72を備えている。装着機制御装置72は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ74と、上記電磁モータ44,66,70,テープフィーダ50,正負圧供給装置54,ノズル昇降装置56,ノズル自転装置58の各々に対応する複数の駆動回路76とを備えている。また、コントローラ74には、各駆動回路76を介して搬送装置,移動装置等の駆動源が接続されており、搬送装置,移動装置等の作動を制御することが可能とされている。さらに、搬送装置26および供給装置32に対応する各駆動回路76には、電源78が接続されており、搬送装置26および供給装置32に電源78から電力が供給される。一方、装着ヘッド28および移動装置30に対応する各駆動回路76には、ワイヤレス給電システム80を介して、電源78が接続されており、そのワイヤレス給電システム80を介して、装着ヘッド28および移動装置30に電源78から電力が供給される。
【0028】
<ワイヤレス給電システムの構成>
ワイヤレス給電システム80は、各駆動回路76に接続される受電装置82と、その受電装置82に電源78からの電力をワイヤレスで供給する送電装置84とを備えている。受電装置82は、
図4に示すように、送電装置84から供給される電力を受ける受電素子86と、受電素子86を介して電力が供給される受電回路88と、その受電回路88への電力供給の有無を判定し、その判定結果を送電装置84に送信する送信機90とを有している。受電回路88は、受電素子86,各駆動回路76に接続されており、受電素子86が受電した電力を、各駆動回路76に供給することが可能とされている。受電回路88は、さらに、送信機90に接続されており、送信機90は、受電回路88への電力供給の有無を検出することが可能とされている。
【0029】
また、送電装置84は、電源78に接続される送電回路92と、交流電力の周波数を変更する変更回路94と、受電素子86に電力を送電するための送電素子96と、受電装置82の送信機90から送信された検出結果を受信する受信機98と、変更回路94を調整する給電制御装置100とを有している。変更回路94は、送電回路92および送電素子96に接続されており、電源78から送電回路92を介して供給された交流電力を、周波数を変更して、送電素子96に送ることが可能とされている。その変更回路94には、給電制御装置100が接続されており、送電素子96に送られる交流電力の周波数が、給電制御装置100によって、制御可能に変更される。また、給電制御装置100に、受信機98が接続されており、送信機90から送信された検出結果が、給電制御装置100に入力される。
【0030】
送電装置84の送電素子96は、板状の電極とされており、
図2に示すように、移動装置30のY軸スライダ64の上面にX軸方向に延びるように配設されている。一方、受電装置82の受電素子86も、板状の電極とされており、送電素子96と隙間を隔てて対向した状態でX軸スライダ68に配設されている。送電素子96は、X軸スライダ68のX軸方向への移動可能な領域に渡って延設されており、X軸スライダ68がX軸方向に移動しても、受電素子86と送電素子96とが対抗した状態が維持される。このような状態において、送電素子96から送られた電力が、受電素子86を介して、受電装置82に供給され、移動装置30および装着ヘッド28の各駆動回路76に供給される。
【0031】
<ワイヤレス給電システムの制御>
ワイヤレス給電システム80では、送電素子96への電力の供給により、送電素子96と受電素子86との間に電界が形成され、その電界の共振を利用して、受電装置82に電力が供給されるようになっている。電界の共振を利用したワイヤレス給電では、送電側の装置の共振周波数と受電側の装置の共振周波数とが一致した際に、送電素子96と受電素子86とが共振して、それらが電磁的に結合されることで、受電装置82に電力が供給される。このため、送電素子96と受電素子86とが共振可能な周波数の交流電力を、送電装置84から受電装置82に送る必要があり、受電装置82は、特定範囲の周波数において交流電力を受電することが可能とされている。
【0032】
具体的にいえば、送電装置84から送られる交流電力の周波数fが、第1周波数f1以上であり、第2周波数f2以下である場合に、受電装置82に電力を供給することが可能となる。また、送電装置84から送られる交流電力の周波数fと、で受電装置82に供給される電力との関係は、
図5の実線に示すようになっており、交流電力の周波数fが、第1周波数f1と第2周波数f2とを加算した値の半分の値に相当する周波数とされた際に、最も効率よく受電装置82に電力を供給することが可能となる。この最も効率よく給電可能な周波数を給電時周波数f*とし、受電装置82の給電時には、給電時周波数f*の交流電力が送電素子96に送られるように、変更回路94が、給電制御装置100によって調整される。
【0033】
上述したように、給電時周波数f*の交流電力が送電素子96に送られることで、最も効率よく受電装置82に電力を供給することが可能となる。しかし、ワイヤレス給電システム80によって給電される装置、具体的には、移動装置30,装着ヘッド28にかかる負荷が変化すると、給電時周波数f*も変化する。詳しく言えば、移動装置30には、装着ヘッド28が着脱可能とされており、移動装置30に装着ヘッド28と異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッドが装着される場合がある。また、装着ヘッド28の吸着ノズル
52は変更可能とされており、例えば、重量の軽い吸着ノズルから重量の重い吸着ノズルに変更される場合がある。このような場合には、移動装置30,装着ヘッド28にかかる負荷が変化し、交流電力の周波数fと受電装置82への供給電力との関係は、例えば、
図5の1点鎖線に示すように変化する。
【0034】
図から解るように、移動装置30等にかかる負荷が変化すると、給電時周波数f*の交流電力が供給されている際の負荷変化後の受電装置82(1点鎖線)には、負荷変化前の受電装置82(実線)の1/3程度の電力しか、供給されない。このため、移動装置30,装着ヘッド28にかかる負荷が変化した場合等には、給電時周波数f*を調整する必要があり、本ワイヤレス給電システム80では、供給時周波数f*を調整するための周波数キャリブレーション制御が行われている。
【0035】
周波数キャリブレーション制御では、まず、受電装置82の給電状態が、受電装置82に交流電力が実際に供給されている状態と供給されていない状態との間で変化する供給状態変化時の交流電力の周波数が測定される。具体的には、受電回路88に電流が流れていない状態から流れている状態に変化するときの交流電力の周波数である第1周波数f1と、受電回路88に電流が流れている状態から流れていない状態に変化するときの交流電力の周波数である第2周波数f2とが測定される。なお、ワイヤレス給電システム80には、給電制御装置100に接続された調整スイッチ110(
図4参照)が設けられており、オペレータによって調整スイッチ110が操作された場合に、給電時周波数f*の調整が行われる。
【0036】
第1周波数f1が測定される際には、送電素子96から受電装置82に送られる交流電力の周波数が、比較的低い周波数に設定された初期周波数αに調整される。この初期周波数αは、受電装置82が受電不可能な値に設定されており、受電装置82に電力は供給されず、受電回路88に電流は流れない。受電回路88に接続されている送信機90は、受電回路88内の電流の流れを検出可能とされており、この検出結果は、給電制御装置100に送信される。つまり、送電素子96から初期周波数αの交流電力が受電装置82に送られる際には、受電装置82に電力が供給されていない旨の検出結果が、給電制御装置100に送信される。
【0037】
次に、送電素子96から受電装置82に送られる交流電力の周波数が、初期周波数αに特定周波数Δfを加えた周波数に調整され、送信機90による検出結果が、給電制御装置100に送信される。その検出結果が、受電装置82に電力が供給されていない旨の結果である場合には、前回調整された周波数に特定周波数Δfが加えられ、その特定周波数Δfが加えられた周波数に交流電力が調整される。周波数が徐々に高くなるように、交流電力が調整されることで、送信機90による検出結果が、受電装置82に電力が供給されていない旨の結果から電力が供給されている旨の結果に変化する。この検出結果が変化した際の交流電力の周波数が、第1周波数f1として測定される。
【0038】
続いて、第2周波数f2を測定するべく、第1周波数f1の測定時と同様に、周波数が特定周波数Δfずつ高くなるように、交流電力が調整される。ただし、第2周波数f2の測定当初の送信機90による検出結果は、受電装置82に電力が供給されている旨の結果であり、周波数が徐々に高くなると、検出結果は、受電装置82に電力が供給されている旨の結果から電力が供給されていない旨の結果に変化する。この検出結果が変化した際の交流電力の周波数が、第2周波数f2として測定される。
【0039】
そして、第1周波数f1と第2周波数f2とが測定されると、給電時周波数f*が、次式に従って演算される。
f*=(f1+f2)/2
この演算された給電時周波数f*の交流電力が、送電素子96から受電装置82に送られることで、受電装置82に効率よく電力を供給することが可能となる。
【0040】
また、給電時周波数f*が決定された際に、決定された給電時周波数f*が給電制御装置100に記憶され、再給電時に、その記憶された給電時周波数f*の交流電力が、送電素子96から受電装置82に送られる。これにより、再給電時における第1周波数f1と第2周波数f2との測定等を省くことが可能となり、給電時周波数f*のキャリブレーションの短縮化を図ることが可能となる。ただし、オペレータによって調整スイッチ110が操作された場合には、再度、上記手順に従って、給電時周波数f*が決定される。これにより、作業ヘッド,吸着ノズル等が交換された場合であっても、給電時周波数f*を好適に調整し、受電装置82に効率よく電力を供給することが可能となる。
【0041】
また、受電装置82に給電されている際に、作業ヘッド,吸着ノズル等を交換する必要が生じた場合等には、受電装置82への給電を停止する必要がある。このような場合に、本ワイヤレス給電システム80では、送電素子96から受電装置82に送られる交流電力の周波数が、第1周波数f1より低い周波数、若しくは、第2周波数f2より高い周波数に変更される。これにより、主電源等を切ることなく、受電装置82への給電を停止することが可能となる。なお、ワイヤレス給電システム80には、給電制御装置100に接続された停止スイッチ112(
図3参照)が設けられており、オペレータによって停止スイッチ112が操作された場合に、周波数の変更が行われ、受電装置82への給電が停止される。
【0042】
<制御プログラム>
上述した給電時周波数f*のキャリブレーション制御は、
図6にフローチャートを示す周波数キャリブレーションプログラムが給電制御装置100により行われることで、実行されることで行われる。
【0043】
まず、周波数キャリブレーションプログラムでは、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)において、調整スイッチ110がオペレータによって操作されたか否かが判定される。調整スイッチ110が操作されたと判定された場合には、S2において、変更回路94が調整され、送電素子96から受電装置82に送られる交流電力の周波数fが初期周波数αに調整される。次に、S3において、受電装置82に電力が供給されているか否かが判定される。具体的には、受電装置82の送信機90から送信される検出結果が、受電装置82に電力が供給されている旨の結果であるか否かが判定される。受電装置82に電力が供給されていないと判定された場合には、S4において、変更回路94が調整され、受電装置82に送られる交流電力の周波数fが、受電装置82に実際に給電されている周波数fに特定周波数Δfが加えられた周波数に変更される。そして、S3において、受電装置82に電力が供給されているか否かが判定され、受電装置82に電力が供給されていると判定されるまで、S3およびS4の処理が繰り返し行われる。
【0044】
S3で受電装置82に電力が供給されていると判定されると、S5において、受電装置82に電力が供給されていると判定された際の交流電力の周波数fが、第1周波数f1として記憶される。次に、S6において、変更回路94が調整され、受電装置82に送られる交流電力の周波数fが、受電装置82に実際に給電されている周波数fに特定周波数Δfが加えられた周波数に変更される。そして、S7において、受電装置82に電力が供給されているか否かが判定される。
【0045】
S7で受電装置82に電力が供給されていると判定された場合には、S6に戻り、変更回路94が調整され、受電装置82に送られる交流電力の周波数fが、受電装置82に実際に給電されている周波数fに特定周波数Δfが加えられた周波数に変更される。そして、S7において、受電装置82に電力が供給されているか否かが判定され、受電装置82に電力が供給されていないと判定されるまで、S6およびS7の処理が繰り返し行われる。
【0046】
S7で受電装置82に電力が供給されていないと判定されると、S8において、受電装置82に電力が供給されていないと判定された際の交流電力の周波数fが、第2周波数f2として記憶される。そして、S9において、供給時周波数f*が、上述した式に従って演算され、その演算値に決定される。続いて、S10において、決定された供給時周波数f*が、給電制御装置100に記憶され、S11において、変更回路94が調整され、供給時周波数f*の交流電力が受電装置82に供給される。
【0047】
続いて、S12において、停止スイッチ112がオペレータによって操作されたか否かが判定され、停止スイッチ112が操作されていないと判定された場合には、S11およびS12の処理が繰り返し行われる。また、停止スイッチ112が操作されたと判定された場合には、S13において、変更回路94が調整され、送電素子96から受電装置82に送られる交流電力の周波数fが、第1周波数f1より低い周波数、若しくは、第2周波数f2より高い周波数に変更される。以上の処理により、キャリブレーション制御が実行される。なお、S1で調整スイッチ110が操作されていないと判定された場合には、S11以降の処理が行われる。
【0048】
<給電制御装置の機能構成>
上記周波数キャリブレーションプログラムを実行する給電制御装置100は、それの実行処理に鑑みれば、
図4に示すような機能構成を有するものと考えることができる。図から解るように、給電制御装置100は、S4,S6,S11,S13の処理を実行する機能部、つまり、変更回路94を調整することで、送電素子96に供給される交流電力の周波数を変更する機能部として、周波数変更部120を、S5,S8の処理を実行する機能部、つまり、第1周波数f1および第2周波数f2を測定する機能部として、周波数測定部122を、S9の処理を実行する機能部、つまり、第1周波数f1および第2周波数f2に基づいて供給時周波数f*を決定する機能部として、周波数決定部124を、S10の処理を実行する機能部、つまり、決定された供給時周波数f*を記憶する機能部として、周波数記憶部126を、それぞれ備えている。また、周波数変更部120は、S13の処理を実行する機能部、つまり、変更回路94を調整することで、送電素子96に供給される交流電力の周波数を、第1周波数f1より低い周波数、若しくは、第2周波数f2より高い周波数に変更する機能部として、給電停止部128を備えている。
【0049】
ちなみに、上記実施例において、ワイヤレス給電システム80は、ワイヤレス給電システムの一例であり、ワイヤレス給電システム80を構成する受電装置82,送電装置84は、受電装置,送電装置の一例である。また、受電装置82を構成する受電素子86,送信機90は、受電素子,送信機の一例であり、送電装置84を構成する送電回路92,変更回路94,送電素子96,給電制御装置100は、送電回路,変更回路,送電素子,制御装置の一例である。さらに、給電制御装置100を構成する周波数変更部120,周波数測定部122,周波数決定部124,周波数記憶部126,給電停止部128は、周波数変更部,周波数測定部,周波数決定部,供給時周波数記憶部,給電停止部の一例である。
【0050】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、送電素子および受電素子として平板状の電極を採用しているが、コイルを採用することが可能である。ただし、送電素子および受電素子としてコイルを採用した場合には、送電素子と受電素子との間の磁場の共振を利用して、受電装置に交流電力が供給される。
【0051】
また、上記実施例では、第1周波数f1および第2周波数f2を測定する際に、送電素子96に供給される交流電力の周波数が高くなるように、変更回路が調整されているが、交流電力の周波数が低くなるように、変更回路が調整されてもよい。ただし、交流電力の周波数が低くなるように、変更回路が調整される場合には、測定開始時の交流電力の初期周波数は、比較的高い周波数βに設定する必要がある。また、交流電力の周波数が高くなったり低くなったりするように、変更回路が調整されてもよい。具体的には、例えば、交流電力の周波数が、初期周波数αから徐々に高くなるように、変更回路を調整することで、第1周波数f1を測定する。その後に、交流電力の周波数が、初期周波数βから徐々に低くなるように、変更回路を調整することで、第2周波数f2を測定してもよい。
【0052】
また、上記実施例では、供給時周波数f*が第1周波数f1と第2周波数f2との平均値に決定されているが、第1周波数f1と第2周波数f2との間の値であれば、どのような値に決定されてもよい。具体的には、例えば、第1周波数f1と第2周波数f2との一方に重み付けをした平均値等であってもよい。具体的には、供給時周波数f*は、下記式に従って演算されてもよい。
f*=(a・f1+b・f2)/(a+b)
ここで、aおよびbは、負の実数でなく、少なくとも一方は0ではない。