特許第5845291号(P5845291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5845291キノコを用いた鹿茸、鹿肉または鹿骨の発酵方法及びその発酵物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5845291
(24)【登録日】2015年11月27日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】キノコを用いた鹿茸、鹿肉または鹿骨の発酵方法及びその発酵物
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/02 20060101AFI20151224BHJP
   A61K 35/12 20150101ALN20151224BHJP
   A61K 8/98 20060101ALN20151224BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20151224BHJP
   A61P 25/04 20060101ALN20151224BHJP
   A61P 7/06 20060101ALN20151224BHJP
   A61P 9/04 20060101ALN20151224BHJP
   A61P 13/12 20060101ALN20151224BHJP
   A61P 37/04 20060101ALN20151224BHJP
   A23L 33/10 20160101ALN20151224BHJP
   C12R 1/645 20060101ALN20151224BHJP
【FI】
   C12P1/02 Z
   !A61K35/12
   !A61K8/98
   !A61P43/00 101
   !A61P25/04
   !A61P7/06
   !A61P9/04
   !A61P13/12
   !A61P37/04
   !A23L1/30 A
   C12P1/02 Z
   C12R1:645
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-557639(P2013-557639)
(86)(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公表番号】特表2014-508530(P2014-508530A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】KR2012001418
(87)【国際公開番号】WO2012138057
(87)【国際公開日】20121011
【審査請求日】2013年9月5日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0031241
(32)【優先日】2011年4月5日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513225084
【氏名又は名称】キム ヨンヒ
【氏名又は名称原語表記】KIM, Young−Hee
(73)【特許権者】
【識別番号】513224995
【氏名又は名称】キム ジュンスン
【氏名又は名称原語表記】KIM, Jung−Sun
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンスン
【審査官】 北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−0808060(KR,B1)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0009520(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0030288(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第2002−0019490(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鹿茸をカバノアナタケ、ノウタケ及びカラスタケ濃縮液よりなる群から選ばれたいずれか一種以上のキノコ濃縮液に浸し、当該キノコ濃縮液に浸した鹿茸を、煮込んだ穀物の中で発酵させることを特徴とする鹿茸の発酵方法。
【請求項2】
前記穀物は、小麦または粟であることを特徴とする請求項1に記載の鹿茸の発酵方法。
【請求項3】
前記穀物には、当該穀物の総重量のl0〜20%の生そば粉を加えることを特徴とする請求項2に記載の鹿茸の発酵方法。
【請求項4】
前記キノコ濃縮液は、前記カバノアナタケ、ノウタケ及びカラスタケよりなる群から選ばれたいずれか一種以上のキノコの粉末を水に入れて煎じて得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の鹿茸の発酵方法。
【請求項5】
前記穀物を煮込むときに、前記キノコ濃縮液を加えることを特徴とする請求項1に記載の鹿茸の発酵方法。
【請求項6】
前記発酵は、30〜45℃で5〜10日間行われることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の鹿茸の発酵方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鹿茸(または、鹿肉や鹿骨、以下、同じ)をキノコ濃縮液で発酵させる方法及びその発酵物に関する。特に、カラスタケ、ノウタケ及びカバノアナタケ濃縮物よりなる群から選ばれたいずれか一種以上のキノコ濃縮液を用いて鹿茸を発酵させる方法及びその発酵物に関する。
【背景技術】
【0002】
鹿茸(ロクジョウ、Cervi parvum cornu)は、シカ科(Cervidae)の梅花鹿(バイカロク)、馬鹿(バロク)またはその他の属の雄のまだ骨質化していない幼角、いわゆる袋角を切りおとして乾燥したものである。まだ骨質化していない幼角を鹿茸、既に骨質化している角を鹿角、翌年に自然と脱落した角を落角と称す。鹿茸は、産地及び鹿の種類に応じて、馬鹿、梅花鹿、シベリア産大鹿、ニュージーランド産赤鹿、馴鹿などに分類される。
【0003】
漢方では、鹿茸をずっと昔から最高の補血強壮剤として使用してきた。東医宝鑑などの文献に収録されているように、鹿茸には、強壮作用、補気血作用、強精作用、鎮痛作用、造血作用、生長発育促進作用、心不全症治療作用及び機能亢進作用などがあり、これらの他にも、疲労回復、身体活力増強及び腎臓の利尿機能強化など数多くの効能を有していることが知られている。また、鹿茸は、動物実験、臨床実験などを通じた研究結果からも明らかなように、小児の成長発育促進効果、老化抑制効果、造血機能効果、心臓機能改善効果、抗筋肉疲労効果及び抗鎮痛効果、抗癌剤の副作用軽減効果、免疫増強効果、抗ストレス効果などをはじめとする広範な治療的効果が報告されている。
【0004】
しかしながら、鹿茸は、下痢などの副作用があるため、漢方では収斂作用のある漢方薬と併用しているが、このとき、鹿茸の効果が失われたり低減されたりする虞があり、漢方薬に用いるために細切して煎じる過程で鹿茸の多くの有効成分が失われている。
【0005】
一方、鹿茸を発酵させる場合に、免疫増強効果に優れた鹿茸発酵物が得られ、各種の発酵法及び発酵物が既に公知になっている。
【0006】
特許文献1には、鹿茸発酵活性を有するバチルス・リケニフォルミス(Bacillus lichemiformis)KCCM10885Pを用いて鹿茸を発酵させる製造方法を開示しており、特許文献2には、鹿茸を鶏内金と一緒に発酵させることによりその吸収率を増大させた鹿茸製剤及びその製造方法を開示している。また、特許文献3には、鹿茸重量の約10ないし60倍分量の蒸留水に粉砕した鹿茸を入れて滅菌して製造した鹿茸培地にバチルスP−92菌株を移植して5日ないし7日間培養した後に滅菌及びろ過する過程によって得られる発酵鹿茸抽出物を有効成分として含有する免疫増強、腸機能強化と癌予防及び治療用薬学組成物を開示している。
【0007】
しかしながら、従来の方法は、鹿茸を粉砕したり煎じたりして発酵するものであり、発酵過程が複雑であるだけではなく、鹿茸を100%活用することが困難であり、発酵物がほとんど液体状態であるため、発酵後に追加工程が必要になるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許登録第808060号公報
【特許文献2】韓国特許登録第329365号公報
【特許文献3】韓国特許公開第2006−0128117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者は、回収率が高く、発酵後にも鹿茸の形状が保持される製造方法を開発するために鋭意検討したところ、カラスタケ、カバノアナタケ及びノウタケ濃縮物よりなる群から選ばれたいずれか一種以上のキノコ濃縮物を用いて発酵させる場合に、既存の発酵法が有する以下の欠点を解消することができるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
まず、既存の発酵法は、鹿茸を粉砕したり煎じて抽出液を用いるため廃棄分が多かったが、本発明は、鹿茸が廃棄されることなく100%活用可能であり、骨質化した鹿角や骨も使用可能になるので経済性に富んでいる。なお、既存の発酵法では、発酵物が液体状態で生成されて追加工程が必要になり、しかも、種々の加工を行うことが困難であったが、本発明は、発酵後にも鹿茸の形状がそのまま保持されて所望の形状に変形して用いたり種々の剤形で用いたりできる。
【0011】
一方、鹿茸をそのまま活用することから、鹿茸中に含まれている有効成分を全て摂取することができて効果的であり、しかも、発酵過程で悪臭がなくなるので、取扱い及び保管が容易である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための本発明に係る鹿茸の発酵方法は、切り取った鹿茸をカラスタケ、カバノアナタケ及びノウタケよりなる群から選ばれたいずれか一種のキノコの濃縮液に浸して穀物の中で発酵させることを特徴とする。
【0013】
前記キノコの濃縮液は、前記キノコの粉末を水に入れて煮詰めて得られ、前記キノコの濃縮液に浸した鹿茸を前記キノコ濃縮液でゆでた穀物に層ごとに積み重ねて、30〜45℃で5〜10日間発酵させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製造方法は、鹿茸を損失なしに100%活用することができ、鹿茸の有効成分を100%含有する鹿茸そのままの発酵物が得られる。一方、前記方法によれば、骨質化した老角である鹿角や鹿骨も活用可能になる。
【0015】
さらに、前記方法による鹿茸発酵物は、有効成分をそのまま含有しており、用途に応じて形状の変形及び添加が容易であり、悪臭がなく、風味もよいので摂取しやすい。したがって、カプセル剤、丸剤、粉末剤、エキスなどの剤形で使用可能であり、健康食品や乳製品、お菓子など嗜好食品、化粧品などに使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】切り取った鹿茸の発酵前の写真である。
図2】実施例1のキノコ濃縮液を用いて4日間発酵させたときの写真である。
図3】実施例1のキノコ濃縮液を用いて発酵し終えたときの鹿茸の写真である
図4】比較例1のシイタケ濃縮液を用いて4日間発酵させたときの鹿茸の写真である。
図5】比較例1のシイタケ濃縮液を用いて7日間発酵させたときの鹿茸の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、鹿茸(または、鹿骨、鹿肉など)をキノコ濃縮液と一緒に発酵させてその効能を増大させる方法及び製剤に関する。本発明は、鹿茸を濃縮または粉砕などして発酵するのではなく、そのまま発酵させ、発酵後にも形状が保持されて損失が少なく、効能が高い他、後続する工程において種々の剤形として用いることができる。
【0018】
本発明は、鹿茸を、キノコ、特に、カラスタケ、カバノアナタケ及びノウタケよりなる群から選ばれたいずれか一種以上のキノコの濃縮液に浸した後に穀物の中で発酵させる。
【0019】
キノコとしては、例えば、シイタケ、ヒラタケ、ヤマブシタケ、ムラサキタケ、イワタケ、キクラゲ、女島瘤(桑黄)、霊芝(万年茸)、カワラタケ、カラスタケ、カバノアナタケ、ノウタケなどのキノコが使用可能であるが、発酵効率は、カラスタケ、カバノアナタケ、ノウタケが最も良好であり、特に、これらの3種類のキノコの粉末を混合して蒸留水に加えて加熱して濃縮液を製造して用いる場合に発酵効率が最も良好である。
【0020】
前記キノコ濃縮液は、水にカラスタケ、カバノアナタケ及びノウタケよりなる群から選ばれたいずれか一種以上のキノコの粉末を入れ、半分の量になるまで煮詰めて製造する。水とカラスタケ粉末の量には、特に制限はないが、例えば、400mLの水にカラスタケ粉末5〜10gを入れることが好ましい。総量が200mLになるまで濃縮させることが好ましい。
【0021】
キノコ濃縮液に切り取った鹿茸を浸して十分に湿らせた後、煮込んだ穀物の間に層ごとに積み重ねてこれを30〜45℃で5〜10日間発酵させる。鹿茸を濃縮液に浸す時間は、濃縮液の水分が吸収される程度であれば十分であり、5分以内であれば十分である。穀物を煮込むときに、前記キノコ濃縮液を用いれば発酵効果が上がる。発酵温度が相対的に高い場合には5日で発酵され、発酵温度が相対的に低い場合には発酵に約10日間かかる。
【0022】
発酵後に鹿茸を取り出して通風のよい涼しい物陰で約1〜2日間自然乾燥すればよい。
【0023】
前記煮込んだ穀物は、その種類に制限はないが、季節に応じて湿度が調節し易いものを用いる。例えば、豆、大麦、小麦、米、そば、米糠、粟、黍、稷、燕麦、麦芽、籾殻、豆、緑豆、その外の穀物がいずれも使用可能であるが、発酵効率を考慮したときに、粟や小麦を用いることが好ましい。これらの他の穀物を用いる場合には発酵効率が下がる。特に、夏場の場合に、湿度を調節するために粟や小麦に生のそば粉を振り掛けて混合することが最も好ましい。そば粉の混合割合は、穀物の総重量の10〜20重量%とする。そば粉の混合割合が10重量%未満では湿度調節の効果が得られず、そば粉の混合割合が20重量%以上では発酵され難い。
【0024】
発酵に当たっては、先ず、最も下に藁を敷き、その上に穴付きかごを載せ、かごに1〜2cmの高さで粟や小麦などの穀物層を形成した後、前記キノコ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せる。さらに、この上に穀物層を同じ高さで覆う。これらの層は複数の層に積み重ねてもよく、好ましくは、3層まで積み重ねる。複数の層に積み重ねると生産効率は上がるものの、発酵効率の面から見ては、単層に形成することが最も好ましい。
【0025】
このように穀物層と鹿茸層を交互に積み重ねた後、韓紙やガーゼなどの綿製のふろしきでかごを覆い、さらに藁で覆っておくことが好ましい。
【0026】
発酵開始前における鹿茸の湿度は、キノコ濃縮液で湿らせた状態であるため約90%であるが、発酵が進むに従い80〜50%に下がり、発酵が終わった後に乾燥段階を経て湿度は約20%以下となる。発酵が進むに従い重量も減って、発酵開始前の重さの約半分となる。
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明について詳述する。しかしながら、これらの実施例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲を制限するものではない。
【0028】
実施例1
水400mLにカラスタケ、カバノアナタケ、ノウタケを同じ割合にて混合した粉末5gを入れ、100℃以上の温度に加熱して濃縮させて200mLのキノコ濃縮液を用意した。
【0029】
切り取った鹿茸(図1)100gを前記キノコ濃縮液で十分に湿らせた。
【0030】
800gの粟を前記キノコ濃縮液でゆでて用意した。
【0031】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にキノコ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0032】
このようにして得られた鹿茸の写真を図2及び図3に示す。図2は、発酵4日目の鹿茸の写真であり、図3は、発酵7日目の発酵済みの鹿茸の写真である。図2aは、粟に覆われた状態の鹿茸を撮影した写真であり、図2bは、覆った粟を除去して鹿茸を撮影した写真である。
【0033】
実施例2
水400mLにカラスタケ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのカラスタケ濃縮液を用意した。
【0034】
切り取った鹿茸100gを前記カラスタケ濃縮液で十分に湿らせた。
【0035】
800gの小麦を前記カラスタケ濃縮液でゆでて用意した。
【0036】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にカラスタケ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0037】
このようにして得られた鹿茸は、実施例1と同様に、完全に発酵されていた。
【0038】
実施例3
水400mLにカバノアナタケ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのカラスタケ濃縮液を用意した。
【0039】
切り取った鹿茸100gを前記カバノアナタケ濃縮液で十分に湿らせた。
【0040】
700gの小麦と100gのそば粉を混合して前記カバノアナタケ濃縮液でゆでて用意した。
【0041】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にカラスタケ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0042】
このようにして得られた鹿茸は、実施例1と同様に、完全に発酵されていた。
【0043】
実施例4
水400mLにノウタケ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのカラスタケ濃縮液を用意した。
【0044】
切り取った鹿茸100gを前記ノウタケ濃縮液で十分に湿らせた。
【0045】
800gの小麦を前記ノウタケ濃縮液でゆでて用意した。
【0046】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にカラスタケ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0047】
このようにして得られた鹿茸は、実施例1と同様に、完全に発酵されていた。
【0048】
比較例1
水400mLにシイタケ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのキノコ濃縮液を用意した。
【0049】
切り取った鹿茸100gを前記キノコ濃縮液で十分に湿らせた。
【0050】
800gの粟を前記キノコ濃縮液でゆでて用意した。
【0051】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にキノコ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0052】
発酵が始まってから4日目の写真を図4に示す。図4Aは、穀物に覆われた状態であり、図4Bは、覆った穀物を一部除去して撮った写真である。図5は、発酵が始まってから7日目の鹿茸の状態を示すものであり、発酵がほとんど進んでいないことが分かる。
【0053】
比較例2
水400mLにヒラタケ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのキノコ濃縮液を用意した。
【0054】
切り取った鹿茸100gを前記キノコ濃縮液で十分に湿らせた。
【0055】
800gの小麦を前記キノコ濃縮液でゆでて用意した。
【0056】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にキノコ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0057】
発酵が始まってから7日目の鹿茸の状態を観察したところ、発酵がほとんど進んでいないことが分かり、しかも、悪臭がした。なお、発酵率は、50%未満であった。
【0058】
比較例3
水400mLにマツタケ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのキノコ濃縮液を用意した。
【0059】
切り取った鹿茸100gを前記キノコ濃縮液で十分に湿らせた。
【0060】
800gの小麦を前記キノコ濃縮液でゆでて用意した。
【0061】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にキノコ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0062】
発酵が始まってから7日目の鹿茸の状態を観察したところ、発酵がほとんど進んでいないことが分かり、しかも、悪臭がした。なお、発酵率は、50%未満であった。
【0063】
比較例4
水400mLにカラスタケキノコ粉末5gを入れ、100℃以上の温度まで煮詰めて200mLのキノコ濃縮液を用意した。
【0064】
切り取った鹿茸100gを前記キノコ濃縮液で十分に湿らせた。
【0065】
800gの米を前記キノコ濃縮液でゆでて用意した。
【0066】
上記のゆでた穀物を1.5cmの厚さで敷き、その上にキノコ濃縮液で湿らせた鹿茸を載せ、その上にさらにゆでた穀物を1.5cmの厚さで覆って35〜40℃の発酵室において7日間発酵させた。
【0067】
発酵が始まってから7日目の鹿茸の状態を観察したところ、僅かに臭いがしたし、発酵が50%未満で進んでいることが分かった。
【0068】
前記実施例と同じ条件下でキノコの種類を異ならせたところ(比較例1、2、3)、鹿茸から悪臭がしたし、鹿茸が正常に発酵されていないことが分かる。なお、発酵に際して穀物の種類も重要である(比較例4)ことが分かった。
【0069】
カプセル剤、丸剤、粉末剤、エキスなどの剤形として健康食品、乳製品、お菓子、化粧品などに適用可能な鹿茸発酵物を提供する。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5