(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された方法では、バランスを修正するのに相当の労力及び時間が必要である。また、特許文献3に記載の加工方法では、切削工具の摩耗量と寸法誤差との関係を表すデータを取得するとともに、該データに基づいて加工用のNCデータにおける座標位置を変更する必要があり、簡単には実現できない。
【0006】
このように、既存の技術では、アンバランスの少ない送風翼を製造するのに多大な労力又はコストがかかっていた。そこで、簡易な方法でアンバランスの少ない送風翼を製造する製造装置及び製造方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る1番目の発明によれば、同一形状を有する複数の翼部を回転軸線の周りに備えた送風翼を製造する製造装置であって、送風翼を加工する加工装置と、該加工装置を制御する制御装置と、
前記送風翼のバランスを測定するバランス測定装置と、を備えており、前記制御装置は、加工プログラム及び加工パラメータに従って前記加工装置に対する動作指令を作成する指令作成部と、
前記バランス測定装置を用いて前記送風翼のバランスを測定するバランス測定部と、前記バランス測定部によって測定される前記送風翼のバランスのデータに基づいて、前記送風翼のアンバランスを軽減するように、前記加工プログラムを変更することなく、各々の翼部ごとに加工量を調整する加工量調整部と、を備える、製造装置が提供される。
本願に係る2番目の発明によれば、1番目の発明に係る製造装置において、前記加工量調整部が、各々の翼部ごとに前記加工パラメータを調整することによって前記加工量を調整する。
本願に係る3番目の発明によれば、2番目の発明に係る製造装置において、前記加工量調整部によって調整される前記加工パラメータが、前記加工装置の工具長に関連付けられたパラメータである。
本願に係る4番目の発明によれば、2番目の発明に係る製造装置において、前記加工量調整部によって調整される前記加工パラメータが、前記加工装置の工具径に関連付けられたパラメータである。
本願に係る5番目の発明によれば、2番目の発明に係る製造装置において、前記加工量調整部によって調整される前記加工パラメータが、前記加工プログラムのプログラム座標系に関連付けられたパラメータである。
本願に係る6番目の発明によれば、2番目の発明に係る製造装置において、前記加工量調整部によって調整される前記加工パラメータが、前記加工プログラムのワーク座標系に関連付けられたパラメータである。
本願に係る7番目の発明によれば、同一形状を有する複数の翼部を回転軸線の周りに備えた送風翼を製造する製造方法であって、送風翼のバランスを測定し、測定された前記送風翼のバランスのデータに基づいて、加工プログラムを変更することなく、各々の翼部ごとに加工量を調整し、送風翼のアンバランスを軽減することを含む、製造方法が提供される。
本願に係る8番目の発明によれば、7番目の発明に係る製造装置において、加工パラメータを調整することによって各々の翼部ごとに加工量を調整する。
【0008】
これら及び他の本発明の目的、特徴及び利点は、添付図面に示される本発明の例示的な実施形態に係る詳細な説明を参照することによって、より明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を有する製造装置及び製造方法によれば、加工プログラムを変更する必要がなく、また、高価な加工治具を使用する必要がない。したがって、容易にかつ低コストでアンバランスの少ない送風翼を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面は、本発明の理解を助けるために縮尺を適宜変更して記載されている。また、同一又は対応する構成要素には、同一の参照符号が使用される。
【0012】
図1は、一実施形態に係る製造装置1の機能ブロック図である。製造装置1は、送風翼を加工する加工装置20と、加工装置20の駆動軸22を制御する制御装置10と、を備えている。加工装置20は、複数の駆動軸22を有する公知の構成を有する加工装置である。加工装置20は、例えばマシニングセンタであり、切削、研削などの機械加工によりワークから送風翼を形成するのに使用される。加工装置20は、各々の駆動軸22に対して付与されていて駆動軸22に動力を付与するサーボモータ21を備えている。制御装置10は、サーボモータ21に所定の電力を供給することによって、加工装置20を制御する。
【0013】
製造装置1は、公知の構成を有するバランス測定装置30をさらに備えている。バランス測定装置30は、例えば回転角度検出器によって検出される検出角度と、振動検出器によって検出される振動のデータに基づいて、送風翼のバランスを測定する。バランス測定装置30は、アンバランス量及びアンバランスが存在する回転角度位置を検出できるように構成される。
【0014】
図1には、製造装置1によって製造される送風翼のバランスを後工程で修正するのに使用されるバランス修正機40が製造装置1とともに示されている。バランス修正機40は、例えば制御装置10、又は制御装置10とは別個の制御装置(図示せず)によって制御される研削機である。或いは、バランス修正機40は、ハンドドリルなどの操作者によって直接操作される機械であってもよい。
【0015】
制御装置10は、公知のハードウェア構成を有するデジタルコンピュータであり、例えば、種々の演算を実行するCPUと、演算結果を一時的に記憶するRAMと、加工プログラムなどを記憶するROMと、加工パラメータなどの設定値を入力するのに使用されるキーボード、マウスなどの入力装置と、種々の情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示装置と、を備えている。
図1に示されるように、制御装置10は、バランス測定部11と、判定部12と、加工量調整部13と、指令作成部14と、をさらに備えている。
【0016】
指令作成部14は、実行されるべき加工プログラムと、例えば操作者によって入力される加工パラメータと、に基づいて、加工装置20のサーボモータ21に対する動作指令を作成する。動作指令には、位置指令及び速度指令が含まれ得るものの、それらに限定されない。加工装置20は、指令作成部14から入力される動作指令に従って送風翼を加工する。
【0017】
図2は送風翼の構成例を示している。
図2に示される送風翼50は、回転軸線RAの周りに等間隔で配列される8つの翼部51〜58を有している。翼部51〜58は互いに同一形状を有しており、送風翼50は、回転軸線RA周りに回転対称の形状を為している。したがって、加工装置20は、送風翼50を45度ごとに回転させるとともに、同一の加工プログラムに従って加工工程を実行することによって、翼部51〜58を順次形成することができる。以下、送風翼50を例にして本発明を説明するものの、翼部の数及び形状は、図示された具体例に限定されないことに留意されたい。
【0018】
バランス測定部11は、バランス測定装置30によって、送風翼50のバランスを測定する。測定された送風翼50のバランスのデータは、判定部12及び加工量調整部13に出力される。また、後工程において使用されるバランス修正機40が制御装置10によって制御される場合、送風翼50のバランスのデータはバランス修正機40に出力される。送風翼50のバランスのデータは、操作者が容易に確認できるように、表示装置に表示されてもよい。
【0019】
図3Aは、バランス測定装置30による送風翼50のバランスの測定結果の例を示している。図中の黒色の点は、アンバランス量及びアンバランスが存在する角度位置を示している。複数の同心円の半径は、それぞれアンバランス量を示しており、半径が大きくなるのに従ってアンバランス量が大きいことを意味する。例えば、最も外側に描かれた円の円周上に位置する黒丸は100mgのアンバランスが、その角度位置に存在していることを意味している。図示された例の場合、
図2を併せて参照すると、図面の下方にある翼部55の角度位置にアンバランスが集中していることが分かる。
【0020】
図1に戻り、制御装置10の判定部12は、バランス測定部11によって測定されるアンバランス量が、予め定められる許容範囲内であるか否かを判定する。許容範囲は、要求されるバランス精度に応じて適宜定められる。本実施形態によれば、判定部12によってアンバランス量が許容範囲外であると判定された場合、所定の制御信号が加工量調整部13に入力され、バランス修正工程が実行されるようになっている。
【0021】
加工量調整部13は、バランスの測定結果に基づいて、バランスを修正するために必要な加工量を翼部51〜58ごとに調整する。例えば
図3Aの測定結果の場合、翼部55の加工量が、それ以外の翼部51〜54,56〜58の加工量よりも多くなるように加工量を調整する。
【0022】
本実施形態によれば、加工量調整部13は、より詳細に後述するように、加工パラメータ調整することによって各翼部51〜58の加工量を調整する。そして、指令作成部14は、加工量調整部13によって調整された加工パラメータと、所定の加工プログラムと、に基づいて、加工装置20に対する動作指令を作成する。その結果、翼部51〜58は、加工装置20によって、各々割当てられた加工量に従って整形される。
【0023】
図3Bは、翼部51〜58ごとに調整された加工量に従って送風翼50を整形した後、すなわちバランス修正を実行した後に測定された送風翼50のバランスを示している。図中の黒色の三角形は、
図3Aの黒色の点と同様に、アンバランス量及びアンバランスが存在する角度位置を示している。
図3Aと
図3Bとを対比すれば、バランス修正後では、黒色の三角形はいずれも円の中心付近に位置しており、アンバランスが低減されていることが分かる。
【0024】
図4A〜
図7を参照して、加工量を調整する例を説明する。本実施形態においては、翼部51〜58ごとに加工パラメータを調整することによって、翼部51〜58の加工量をそれぞれ調整する。なお、簡単のため、以下の例では、X軸及びZ軸を含むXZ平面における加工のみを考えるものとする。また、プログラム軌跡T,T’、プログラム原点P,P’及びワーク原点WP,WP’については、理解を助けるためにそれぞれの位置が適宜変更されている。
【0025】
図4A及び
図4Bを参照して、加工装置20の工具長に関連付けられた加工パラメータを調整する例を説明する。
図4Aは、加工パラメータを調整せずに加工プログラムを実行して形成される加工面60A’を有するワーク60’を示している。工具23は、長手方向に延びる回転軸線回りに回転しながら、プログラム原点PO’を始点とするプログラム軌跡T’に従って移動し、それにより加工面60A’が形成される。
【0026】
図4Bは、加工装置20に対する動作指令を作成する際に考慮される工具長の設定値が実際の工具長よりも短くなるように、加工パラメータを調整した場合に形成されるワーク60を示している。この場合、工具23は、プログラム原点POを始点とするプログラム軌跡Tに従って移動し、それにより加工面60Aが形成される。
図4Bには、比較のため、加工パラメータを調整しない場合(
図4Aの場合)のワーク60’、プログラム軌跡T’、及び加工途中の工具23がそれぞれ破線で示されている。
【0027】
実線で描かれたプログラム軌跡Tは、工具長の設定値と、実際の工具長との差分D1だけ、プログラム軌跡T’から移動していることが
図4Bから分かるであろう。この場合、工具長が実際よりも短くなるように加工パラメータが設定されているので、プログラム軌跡Tは、ワーク60に接近するように変更される。その結果、
図4Bに示されるように、加工パラメータを調整しない場合と比較して、ワーク60の加工量が増大する。
【0028】
図4Bの例とは反対に、工具長の設定値が実際の工具長よりも長くなるように加工パラメータを調整した場合、プログラム軌跡Tは、ワーク60から離間するように変更される。その結果、加工パラメータを調整しない場合と比較して、ワーク60の加工量が低下することが分かるであろう。
【0029】
図5A及び
図5Bを参照して、加工装置20の工具径に関連付けられた加工パラメータを調整する例を説明する。
図5Aは、加工パラメータを調整せずに加工プログラムを実行して形成される加工面60A’を有するワーク60’を示している。工具23は、プログラム原点PO’を始点とするプログラム軌跡T’に従って移動し、それにより加工面60A’が形成される。
【0030】
図5Bは、工具径の設定値が実際の工具径よりも大きくなるように加工パラメータを調整した場合に形成されるワーク60を示している。この場合、工具23は、プログラム原点POを始点とするプログラム軌跡Tに従って移動し、それにより加工面60Aが形成される。
図5Bには、比較のため、加工パラメータを調整しない場合(
図5Aの場合)のワーク60’、加工途中の工具23及び実際の工具径よりも大きい設定工具径を有する仮想工具23’がそれぞれ破線で示されている。
【0031】
実線で描かれたプログラム軌跡Tは、工具径の設定値と、実際の工具径との差の半分(D2)だけ、プログラム軌跡T’から移動していることが
図5Bから分かるであろう。この場合、工具径が実際よりも大きくなるように加工パラメータが設定されているので、プログラム軌跡Tは、ワーク60から離間するように変更される。その結果、
図5Bに示されるように、加工パラメータを調整しない場合と比較して、ワーク60の加工量が低下する。
【0032】
図5Bの例とは反対に、工具径の設定値が実際の工具径よりも小さくなるように加工パラメータを調整した場合、プログラム軌跡Tは、ワーク60に接近するように変更される。その結果、加工パラメータを調整しない場合と比較して、ワーク60の加工量が増大することが分かるであろう。
【0033】
図6を参照して、プログラム座標系に関連付けられる加工パラメータを調整する例を説明する。具体的には、加工パラメータを調整して、プログラム原点を変更する。
図6の「PO’」は、加工パラメータを調整しない場合のプログラム原点を示しており、「PO」は、加工パラメータを調整した後のプログラム原点を示している。図示された例では、プログラム原点POは、ワーク60に接近する方向に差分D3だけ移動している。その結果として、加工パラメータを調整しない場合のワーク60’と、加工パラメータを調整した場合のワーク60とを比較すると分かるように、ワーク60の加工量が増大する。
【0034】
図6の例とは反対に、プログラム原点POがワーク60から離間するように加工パラメータを調整した場合、プログラム軌跡Tがワーク60に接近するように変更される。その結果、加工パラメータを調整しない場合と比較して、ワーク60の加工量が低下することが分かるであろう。
【0035】
図7を参照して、ワーク座標系に関連付けられる加工パラメータを調整する例を説明する。具体的には、加工パラメータを調整して、ワーク座標系の原点を変更する。
図6の「WO’」は、加工パラメータを調整しない場合のワーク原点を示しており、「WO」は、加工パラメータを調整した後のワーク原点を示している。図示された例では、ワーク原点WOは、工具23に接近する方向に差分D4だけ移動している。その結果として、加工パラメータを調整しない場合のワーク60’と、加工パラメータを調整した場合のワーク60とを比較すると分かるように、ワーク60の加工量が増大する。
【0036】
図7の例とは反対に、ワーク原点WOを工具23から離間するように加工パラメータを調整した場合、加工パラメータを調整しない場合と比較して、ワーク60の加工量が低下することが分かるであろう。
【0037】
前述したような加工パラメータの調整は、バランスの測定結果に基づいて、送風翼50の翼部51〜58ごとに実行される。このように、加工パラメータを適宜調整することによって、加工プログラムを変更することなく、送風翼50の翼部51〜58ごとに加工量を調整できる。なお、測定される送風翼のアンバランス量と、それに応じて調整される加工量との関係は、例えば送風翼50の三次元モデルから計算により求められるし、或いは、加工量の調整と、バランスの測定と、を互いに繰り返し実行しながら、実験的に求めてもよい。
【0038】
次に、
図8を参照して、本実施形態に従って送風翼50を製造する製造方法について説明する。
図8は、製造方法の工程の流れを示すフローチャートである。ここで、例示的に説明する製造方法においては、前述した実施形態に係る制御装置10に従って送風翼50を形成した後、後工程においてさらにバランス修正を必要に応じて実行する。しかしながら、要求される精度に応じて後工程を省略してもよい。
【0039】
ステップS801において、指令作成部14が、所定の加工プログラム及び加工パラメータに基づいて動作指令を作成し、加工装置20によって送風翼50を加工する。
【0040】
ステップS802において、バランス測定部11が、バランス測定装置30によって送風翼50のバランスを測定する。
【0041】
ステップS803では、判定部12が、送風翼50のアンバランス量が第1の許容範囲内であるか否かを判定する。例えば、ステップS802において測定された任意の角度位置におけるアンバランス量が予め定められる閾値を超えるとき、判定部12は、アンバランス量が第1の許容範囲外であると判定する。
【0042】
ステップS803の判定が否定された場合、ステップS804に進み、加工量調整部13が、測定されたアンバランス量に応じて、送風翼50の翼部51〜58ごとに加工量を調整する。例えば、アンバランスを含む翼部(例えば翼部55)における加工量が他の翼部(例えば翼部51〜54,56〜58)の加工量よりも大きくなるように、或いは、アンバランスを含む翼部(例えば翼部55)の反対側に位置する翼部(例えば翼部51)における加工量が他の翼部(例えば翼部52〜58)より少なくなるように、加工量を調整する。加工量調整部13は、前述したように工具長、工具径、プログラム原点、ワーク原点などの加工パラメータを調整することによって加工量を調整する。
【0043】
次いで、ステップS801に戻り、ステップS804において調整された加工量に従って、加工装置20によって送風翼50の翼部51〜58を再度加工する。ステップS801〜S804までの工程は、ステップS803の判定が肯定されるまで繰り返し実行される。
【0044】
ステップS803の判定が肯定された場合、十分なバランス精度を有する送風翼50が形成されたものとみなし、ステップS805に進み、残存する小さいアンバランスを低減させる後工程に移行する。
【0045】
後工程では、ステップS806においてバランス測定部11が、バランス測定装置30によって送風翼50のバランスを測定する。
【0046】
ステップS807において、判定部12が、ステップS806で測定されたアンバランス量が第2の許容範囲内であるか否かを判定する。第2の許容範囲は、第1の許容範囲と同様に要求されるバランス特性に応じて設定されるものの、第1の許容範囲よりも厳密に設定される。
【0047】
ステップS807の判定が肯定された場合、送風翼50が完成品として要求されるバランス特性を満足しているとみなされ、送風翼50の製造工程を完了する。
【0048】
他方、ステップS807の判定が否定された場合、ステップS808に進み、ステップS806において測定されたアンバランス量に応じて、バランス修正機40により送風翼50のバランスを修正する。次いで、ステップS806に進み、アンバランス量を再び測定する。ステップS806〜S808は、ステップS807の判定が肯定されるまで繰り返される。
【0049】
本実施形態に係る制御装置及び制御方法によれば、以下の利点が得られる。
(1)製造装置1によれば、送風翼50のバランスを修正するように、加工パラメータを調整することによって、各々の翼部51〜58ごとに加工量を調整する。すなわち、送風翼50が同一形状の翼部51〜58からなる回転対称の形状を有している点を利用して、同一の加工プログラムを45度の角度ごとに実行しながら、各翼部51〜58の加工量を調整する。したがって、多大な労力と時間を要する加工プログラムの変更が必要なくなり、それにより各々の翼部51〜58の加工量を容易に調整できる。
【0050】
(2)製造装置1によれば、マシニングセンタなどの公知の加工装置20を使用して、アンバランスの小さい送風翼50を製造できる。コスト増大の原因となる高い寸法精度を有する加工治具が不要なので、製造コストを低減できる。
【0051】
(3)製造装置1によれば、翼部51〜58ごとに加工量を調整する前に、アンバランス量が許容範囲内か否かを判定する。アンバランス量が許容範囲内であった場合、バランス修正工程は実行されない。このように、バランス修正工程が必要な場合のみ実行されるので、生産性の向上、ひいてはコスト削減を実現できる。
【0052】
(4)後工程においてバランス修正機40により送風翼50のバランスをさらに修正する場合であっても、本実施形態に従って製造された送風翼50のアンバランスは小さいので、バランスの修正に要する労力が軽減される。また、送風翼50のバランスの要求精度がそれほど高くない場合、後工程におけるバランスの修正を省略できる。
【0053】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、当業者であれば、他の実施形態によっても本発明の意図する作用効果を実現できることを認識するであろう。特に、本発明の範囲を逸脱することなく、前述した実施形態の構成要素を削除又は置換することができるし、或いは公知の手段をさらに付加することができる。また、本明細書において明示的又は暗示的に開示される複数の実施形態の特徴を任意に組合せることによっても本発明を実施できることは当業者に自明である。
【解決手段】同一形状を有する複数の翼部を回転軸線の周りに備えた送風翼を製造する製造装置は、送風翼を加工する加工装置と、加工装置を制御する制御装置と、を備えている。制御装置は、送風翼のバランスを測定するバランス測定部と、バランス測定部によって測定される送風翼のバランスのデータに基づいて、送風翼のアンバランスを軽減するように、加工プログラムを変更することなく、各々の翼部ごとに加工量を調整する加工量調整部と、を備えている。また、このような製造装置を使用した製造方法が提供される。