(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
[実施の形態1にかかる装置の構成]
(構成要素)
図1乃至3は、本発明の実施の形態1にかかるトレーニング装置10の構成を説明するための図である。トレーニング装置10は、片腕が麻痺するという障害を持ったトレーニング実施者に対しその麻痺した腕の機能を回復させるためのトレーニングを施すことができる。トレーニング実施者2は、運動状況検出器30を両手で持ち、視覚や聴覚を通じて与えられたトレーニング動作指示の内容を実現するように、運動状況検出器30を移動させるというトレーニングを行うものである。
【0016】
図1は、実施の形態1にかかるトレーニング装置10の構成要素を示す概念図である。トレーニング装置10は、演算処理装置20、運動状況検出器30、出力装置40、および刺激信号生成器50を備えている。
【0017】
運動状況検出器30は、トレーニング実施者の運動状況を検出するための機器である。
出力装置40は、トレーニング実施者に対するトレーニング動作を指示するため情報を、画像として表示するとともに音声出力することができる。出力装置40は、液晶パネル等からなる画像表示用のモニタ42、および音声出力用のスピーカ44を備えている。
刺激信号生成器50は、刺激信号生成器本体52で刺激信号を生成し、これを電極パッド54を介してトレーニング実施者に与えることができる。刺激信号により、トレーニング実施者の神経、脳、筋肉が刺激されて、トレーニング実施者の運動が補助されることになる。
【0018】
演算処理装置20はトレーニング装置10の制御を担うもので、運動状況検出器30、出力装置40、および刺激信号生成器50との間で信号のやり取りを行う。なお、信号の授受は、有線の通信線で各構成を接続してもよく、無線通信網(LAN)によって各構成を接続しても良い。演算処理装置20は、運動状況検出器30からのセンサ出力信号を取得する。
【0019】
演算処理装置20には、入力装置25が接続されている。入力装置25は、トレーニング装置10に対して外部から入力を行うための装置であり、キーボード、マウス、各種のダイヤル操作部、などの入力デバイスを含んでいる。モニタ42と入力装置25とがタッチパネルディスプレイ等として一体に構成されていても良い。
【0020】
演算処理装置20は、出力装置40に「トレーニング動作指示情報」および「トレーニングの評価結果」を出力させる処理を実行する。「トレーニング動作指示情報」とは、トレーニング実施者がどのような動作を行うべきかの指示をする情報であり、予め作成されて演算処理装置20に記憶されているデータである。この「トレーニング動作指示情報」に従って演算処理装置20が出力装置40に信号を送り、出力装置40において画像、動画の表示や、音声アナウンスを実施することで、トレーニング実施者に動作指示を行うことができる。「トレーニングの評価結果」とは、このトレーニング動作指示情報と、運動状況検出器30を用いて検出したトレーニング実施者2の実トレーニング動作との間の一致度を評価した結果である。
【0021】
(運動状況検出器30の詳細)
図2は、運動状況検出器30の構成を説明するための図である。運動状況検出器30は、トレーニング実施者の運動状況を検出するための機器である。運動状況検出器30は鉄アレイのごとき形状を有している。運動状況検出器30は、軸としての本体部32を備えている。本体部32の両端には、球体である把持部33が2つ備えられている。一方を把持部33a、他方を把持部33bとも称す。トレーニング実施者2は、運動状況検出器30を両手で持ち、そのときに把持部33を手のひらで包みこむようにする。把持部33には、複数の圧力センサ34が設けられている。トレーニング実施者2は、圧力センサ34のセンサ表面部に、ちょうど、両手の指先を一本ずつ接触させる。運動状況検出器30自体は十分に軽量にできており、トレーニング実施者2が運動状況検出器30を持って移動させることで、トレーニング実施者2がトレーニング動作を実施することができる。
【0022】
運動状況検出器30は、運動を評価するための複数種類のセンサを備えている。上述した圧力センサ34は、球体である把持部33を握るときの各指の圧力を検知することができる。
本体部32には各種センサ部36が設けられている。各種センサ部36は、加速度センサおよび角度センサを含んでいる。加速度センサは、運動状況検出器30が鉛直方向(上下方向)に移動する運動を検知することができる。角度センサは、角度および角速度を検知可能なセンサであり、ジャイロセンサや地磁気センサ等を用いることができる。これにより、水平方向に対する運動状況検出器30の傾きや、鉛直線に対する運動状況検出器30の傾きや、運動状況検出器30の回転運動を検知することができる。
位置センサ38は、運動を開始する位置(具体的には、鉛直方向高さ位置)を検出するために用いられる。これにより、トレーニング動作の開始時点における運動状況検出器30の高さ方向位置を検知することができる。
なお、これらのセンサを実現するための各種技術は既に公知であり、新規な事項ではないため、具体的な構造等の説明は省略する。
【0023】
運動状況検出器30には、圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ3
8からの出力信号等の情報を、無線通信により送信する送信機が内蔵されている。
【0024】
(システムブロック図)
図3は、トレーニング装置10のシステム構成を説明するためのブロック図である。
図1でも述べたとおり、トレーニング装置10は、演算処理装置20、運動状況検出器30、出力装置40、および刺激信号生成器50を備えている。
【0025】
演算処理装置20は、中央演算処理装置(CPU)21と、データベース22とを備えている。演算処理装置20は記憶装置(ハードディスク、メモリ等)を備えている。データベース22は、演算処理装置20の記憶装置内に構築されたものである。実施の形態1では、演算処理装置20が刺激信号生成器50の刺激信号生成を制御することができる。演算処理装置20は、「トレーニングに関する情報」をデータベース化するためのプログラムも記憶している。「トレーニングに関する情報」とは、具体的には、上記のトレーニング動作指示情報、トレーニング中に運動状況検出器30のセンサから得られた情報(出力信号又はこれに基づく物理量)、およびトレーニングの評価結果を含むものである。
【0026】
演算処理装置20は、運動検出部30aと接続している。この運動検出部30aは、運動状況検出器30と一体となって運動状況検出を行うものである。運動検出部30aは、運動状況検出器30とは別のハードウェアとして提供されている。運動状況検出器30にはセンサ出力信号情報を送信する送信機が備えられており、運動検出部30aには、そのセンサ出力信号情報を受信する受信機が備えられている。運動検出部30aは、運動状況検出器30の備えるセンサ群(圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ38)からの出力信号等の情報を、無線通信により受信することができる。この送信機と受信機は、無線通信を行うものである。これを実現するための技術、例えば無線通信技術自体は、既に周知技術であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。なお、無線通信ではなく、有線通信であってもよい。これにより、運動状況検出器30で検出した運動状況は、運動検出部30aを介して演算処理装置20へと伝達される。
【0027】
演算処理装置20は、出力装置40と接続している。出力装置40は、演算処理装置20からの画像信号および音声信号を出力する。これにより、上記の「トレーニング動作指示情報」および「トレーニングの評価結果」を、トレーニング実施者2の視覚および聴覚を通じてトレーニング実施者2に伝達することができる。
【0028】
刺激信号生成器50は刺激信号生成器本体52を備えており、この刺激信号生成器本体52は電極パッド54と接続している。
図3に示すように、本実施形態においては、電極パッド54がトレーニング実施者2の片腕に取り付けられている。電極パッド54を介して、刺激信号生成器50が生成した刺激信号がトレーニング実施者2の片腕に与えられる。
【0029】
刺激信号生成器50は、刺激信号生成部56を備えている。本実施の形態では、この刺激信号生成部56は、刺激信号生成器本体52とは別のハードウェアとして提供されているものとし、刺激信号生成部56から刺激信号生成器本体52へと制御信号が与えられるものとする。なお、演算処理装置20内にインストールされるプログラムとして刺激信号生成部56が提供されてもよく、この場合には演算処理装置20と刺激信号生成器本体52とを直接に接続してそれらの間で情報(信号)を授受してもよい。
【0030】
刺激信号生成部56は、その内部の記憶装置(メモリ)に構築されたデータベース部を備えている。このデータベース部に格納されたデータに従って、そのデータが指定する電圧及び周波数の電気信号を生成し、電極パッド54に出力することができる。データベース部には、刺激信号生成器本体52に複数の異なる刺激信号を生成させるための条件として用いられる、刺激信号パラメータが記憶されている。この刺激信号パラメータは、振幅、周波数、バースト周波数、デューティ比、キャリア周波数、パターンが含まれており、これらの情報がデータベース化されたものがデータベース部である。バースト周波数は、特定の運動(動作)に利用される脳の部位を賦活させる信号であるバースト波の周波数であり、キャリア周波数は、データの無い搬送波のみの信号であるキャリア波の周波数であり、キャリア信号はバースト信号の周波数よりも高い周波数の矩形波で形成されている。これらバースト波とキャリア波を重畳したものを刺激信号として用いることができ、デューティ比により刺激強度を調節することができる。刺激信号生成器本体52は、データベース部からの刺激信号パラメータの情報を入力値として、その入力値に応じて、電圧や周波数等の異なる複数種類の刺激信号を電極パッド54に出力することができる。
【0031】
刺激信号生成器本体52には、手動での操作が可能な操作部52aが設けられている。操作部52aは、刺激信号生成部56による自動的な刺激信号調節制御以外の、手動による刺激信号調節を可能とするものである。操作部52aに設けられた操作ボタンを操作することで、上記の刺激信号パラメータの調節や、予め設定された刺激信号パターンを選択したりすることができる。また、上記の刺激信号の強度、具体的には電圧レベルを調節することができる。
【0032】
[実施の形態1にかかる装置の動作]
図4乃至8は、本発明の実施の形態1にかかるトレーニング装置の動作を説明するための図である。
【0033】
(トレーニング準備)
図4は、トレーニングの実施準備段階を示す。トレーニングを実施する準備は、次のようにして行う。
・トレーニングは運動状況検出器を両手で持って行う。両手の動作を行うことにより、健康なほうの一方の腕が、麻痺したほうの他方の腕の運動を誘導する効果がある。
・全ての指が運動状況検出器30の圧力センサ34に触れるように持つ。
・電極パッド54を、トレーニング実施者2の麻痺した側の腕に取り付ける。
・運動状況検出器30の位置センサ38で、運動状況検出器30を所定高さ位置(スタート位置)にセットする。本実施の形態では、トレーニング実施者2の膝の上に運動状況検出器30を位置させたときにスタート位置に一致するように、初期設定をしておく。
・トレーニング実施者2が、モニタ42の画像を見える状態にする。モニタ42はスタンバイ状態となっている必要がある。スタンバイ状態とは、モニタ42の電源オンおよび演算処理装置20からモニタ42への画像信号伝達およびその画像信号に基づくモニタ42の画像表示が可能な状態である。
・トレーニング実施者2が、スピーカ44の音声を聞き取れる状態にする。つまり、モニタ42と同様に、スピーカ44も音声出力が可能なスタンバイ状態となっている必要がある。
これらの全ての条件が整った場合に、トレーニング実施準備ができたものとする。
【0034】
(トレーニング動作内容)
図5乃至8は、本発明の実施の形態1にかかるトレーニング装置を用いた、トレーニング動作を説明するための図である。刺激信号生成器50により刺激信号をトレーニング実施者2の片腕に付与しながら、運動状況検出器30を持った状態で、両腕を、トレーニング実施者2から見て上下左右或いは斜め方向に移動させたり、運動状況検出器30を回転させたりといった運動を行う。
図5に示すのは、運動状況検出器30を上下方向に移動させるトレーニング動作である。
図6に示すのは、運動状況検出器30を左右方向に移動させるトレーニング動作である。
図7に示すのは、運動状況検出器30を回転させるトレーニング動作である。
図8に示すのは、運動状況検出器30を握る運動、具体的には圧力センサ34に指で圧力を与えるトレーニング動作である。
図5および
図6に記載した方向の運度を組み合わせて、斜め方向(トレーニング実施者2からみて右上、左下、左上、右下)へと運動状況検出器30を移動させるトレーニング動作であってもよい。さらに、ここで列挙した複数のトレーニング動作を組み合わせてもよい。例えば、握るトレーニング動作と移動させるトレーニング動作とを組み合わせたり、回転させるトレーニング動作と移動させるトレーニング動作を組み合わせても良い。本実施の形態にかかる運動状況検出器30は、上述したように複数のセンサを有しているので多彩な運動に対して精度よくセンシングを実施することができ、このようなある程度複雑なトレーニング動作に対しても良好な精度でセンシングを行うことができる。
これらの運動は、単に方向を指示するだけではなく、さらに、移動距離、回転角度、動作速度、動作時の加速度を含めて詳細な動作内容が定められている。
【0035】
(トレーニング動作指示)
上記
図5乃至8の運動は、複数組み合わせて、所定の順番で実施されるようにする。そのために、
図5乃至8の運動の内容および順番を定めた情報である「トレーニング動作指示情報」を、データベース22に記憶しておく。「トレーニング動作指示情報」は、
図5乃至8の運動の組み合わせや順番、あるいは移動距離や方向等の組み合わせから、複数のパターンを作成して記憶しておくものとする。出力装置40からの画像や音声を通じて「トレーニング動作指示情報」を表示、出力することにより、動画、イラスト、音声を用いて、トレーニング実施者2にトレーニングの指示を伝える。トレーニング動作の手本を撮影しておき、この動画を表示しても良い。ここで表示される画像や音声は、トレーニング実施者2が楽しいと感じるものや励まされるようなものが好ましい。
【0036】
(トレーニング評価)
トレーニング実施者2が運動状況検出器30を持って運動を行うことで、運動状況検出器30のセンサ群(圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ38)からの出力信号等の情報が、逐次、運動検出部30aに伝達される。その出力信号情報が運動検出部30aから演算処理装置20に入力される。演算処理装置20は、この出力信号情報に基づいて、トレーニング実施者2のトレーニング状況を評価するための「トレーニング評価プログラム」を実行する。演算処理装置20は、そのプログラムの実行結果から得られた「トレーニングの評価結果」が例えば数値やグラフ、記号、言語などを用いて画像表示されたり音声出力されたりするように、出力装置40を制御する。
【0037】
「トレーニング評価プログラム」は、トレーニング動作指示情報と、運動状況検出器30を用いて検出したトレーニング実施者2の実トレーニング動作との間の一致度を評価するプログラムである。
ここでいう「一致度」は、様々な基準から評価することができる。例えば、下記の観点から評価することができる。
基準1.トレーニング動作指示情報が指示した方向と、運動状況検出器30が実際に動いた方向の一致度(ここでいう「方向」とは、上下方向、左右方向、回転方向を含む)
基準2.トレーニング動作指示情報が指示した動作距離と、運動状況検出器30が実際に動いた距離の一致度(ここでいう「距離」とは、上下方向および左右方向の移動距離だけでなく、回転した角度や、回転した回数を含む)
基準3.トレーニング動作指示情報が指示した速度と、運動状況検出器30が実際に動いた速度の一致度(ここでいう「速度」とは、上下左右への移動速度だけでなく、回転速度を含む)
基準4.トレーニング動作指示情報が指示した加速度と、運動状況検出器30が実際に動いたときの加速度の一致度(ここでいう「加速度」とは、上下左右方向への移動の加速度だけでなく、回転運動における角加速度を含む)
基準5.トレーニング動作指示情報が指示した握力値と、圧力センサ34の出力値に基づく握力値の一致度
基準6.トレーニング動作がスムースな動きであったかどうかを基準に加えても良い。
【0038】
「トレーニング評価プログラム」は、上記の基準1から基準5のそれぞれについて、トレーニング動作指示情報の方向等との乖離が大きいほど、トレーニング評価結果が低くなるように、点数付けを行う。演算処理装置20は、その点数自体やその点数から得られるレベル別評価(良好、普通、悪い)などを、動画、イラスト、音声を用いて、出力装置40を通じてトレーニング実施者2に通知する。
【0039】
(データベース化)
演算処理装置20は、トレーニング中に得られた情報をデータベース22に格納、蓄積するための「格納プログラム」を実行する。「格納プログラム」は、トレーニング中に運動状況検出器30のセンサから得られた情報(出力信号又はこれに基づく物理量)や、これに基づくトレーニング評価結果を、トレーニング実施者ごとに(具体的にはユーザIDごとに)、データベース22に格納するプログラムである。
【0040】
格納する際は上書き保存するのではなく、トレーニング実施日時ごとに、時系列的に、各データを蓄積していくものとする。これにより、トレーニングの履歴を確認することができる。また、トレーニングの履歴から、トレーニング実施者ごとのトレーニング効果を調べたり、複数の情報を用いて統計的計算を用いた各種の解析を行うことができる。
【0041】
(演算処理装置20の処理)
演算処理装置20の行う処
理をまとめると、下記のとおりとなる。
・データベース22の情報を読み込んで、トレーニング内容を決定する。
・運動検出部30aから、運動状況検出器30の備えるセンサ群(圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ38)からの出力信号を取得する。
・上記決定したトレーニング内容と一致するトレーニング動作指示情報を、出力装置40に表示させる。
・上記のトレーニング評価プログラムを実行することで、トレーニング評価を行う。
・トレーニング評価結果を、出力装置40を通じて出力する。
・「トレーニングに関する情報」を、データベース22に記録する。
・刺激信号生成器50を制御して、刺激信号を調節する。これは、トレーニング評価結果に基づいて、トレーニング評価結果が悪い場合には、付与する刺激を強化するように刺激信号の強度等を増大させる処理である。
【0042】
[実施の形態1にかかる装置で実行される具体的処理]
図9および
図10は、本発明の実施の形態1において演算処理装置20が実行するルーチンのフローチャートである。
【0043】
このルーチンでは、先ず、演算処理装置20が、今回のトレーニングが初回のトレーニングであるかどうかを判定する処理を実行する(ステップS100)。このステップでは、具体的には、今回のトレーニング実施者のユーザIDがデータベース22に登録されているかどうかを判定する処理を実行するとともに、登録されていなければ今回のトレーニングが初回であると判定される。また、登録されていたとしても、トレーニング履歴が存在していない場合には、今回のトレーニングが初回であると判定される。
【0044】
ステップS100において今回のトレーニングが初回であると判定された場合(Yesの場合)には、演算処理装置20は、初期の指圧力量、移動量、および刺激量を設定する処理を実行する(ステップS102)。このステップでは、初回のトレーニングであるから、データベース22に記憶されている初期設定値が用いられる。初期設定値は、基準指圧力量、基準移動量、目標とする刺激量を含んでいる。なお、ここでいう移動量には、「一方向に移動させる距離」の値、および「一回のトレーニング実施による総移動量(積算移動量)」の値が含まれている。
演算処理装置20は、以後のトレーニング動作指示ではここで設定した移動量等が実現されるように指示をし、トレーニング評価の際にはここで設定した移動量等を基準値として用いてトレーニング評価を行う。
【0045】
次に、演算処理装置20が、トレーニング準備のための処理を実行する(ステップS104)。このステップでは、トレーニング実施者2が上述したトレーニング準備を行うように、これを促すためのガイダンス映像およびガイダンス音声を出力装置40に出力させる処理を実行する。このガイダンス映像やガイダンス音声は、予め作成されてデータベース22の一部に記憶されている。
【0046】
次に、演算処理装置20が、運動状況検出器30を初期位置に移動させるための処理を実行する(ステップS106)。このステップでは、上記のステップS104の処理と同様の考え方から、「運動状況検出器を初期位置に移動してください」などのメッセージを画像や音声で出力装置40に出力させる。
【0047】
次に、演算処理装置20が、初期位置の条件が成立したかどうかを判定する処理を実行する(ステップS108)。このステップでは、運動状況検出器30の位置センサ38の出力に基づき、トレーニング実施者2の膝上に運動状況検出器30が静止したかどうかが判定される。なお、トレーニング実施者2の膝上位置かどうかは、トレーニング実施者ごとに膝上位置情報を登録しておいても良いし、トレーニング実施者2が座る椅子の高さとの相対的な関係から決まる特定の位置に静止したかどうかを判定しても良い。ステップS108の条件が成立しない場合には、処理はステップS106に戻る。この期間、運動検出部30aは、連続して、運動状況検出器30のセンサ群からの出力を受信している。
【0048】
ステップS108の条件が成立した場合(初期位置である場合)には、次に、演算処理装置20が、センサ情報収集を開始するとともに、電気刺激付与を開始する処理を実行する(ステップS110)。このステップでは、運動状況検出器30と運動検出部30aとの間での無線信号のやり取りが開始され、運動状況検出器30の備えるセンサ群(圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ38)からの出力信号等の情報が運動検出部30aに伝達される。また、刺激信号生成器50による刺激信号の付与が開始され、具体的には、刺激信号生成部56が刺激信号生成器本体52を制御して刺激信号の出力を開始する。
【0049】
次に、演算処理装置20が、トレーニング指示を行うための処理を実行する(ステップS112)。このステップでは、前述したように「トレーニング動作指示情報」に従って、出力装置40にトレーニング動作指示のための動画等を出力させる。このステップで出力すべきトレーニング動作指示情報の内容は、ステップS102で設定した基準指圧力量や基準移動量と一致するようにする。
【0050】
次に、演算処理装置20が、トレーニング状況を出力する処理を実行する(ステップS114)。このステップでは、運動状況検出器30の備えるセンサ群(圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ38)からの出力信号に基づいて、現在のトレーニング実施者2の動作状況が画像として出力される。この出力画像は、トレーニング実施者2の動作状況(運動状況検出器30の位置、角度、速度など)を数値として表現するものであってもよい。
【0051】
次に、演算処理装置20が、トレーニングが終了したかどうかを判定する処理を実行する(ステップS116)。このステップでは、トレーニング動作指示情報で予定した運動プログラムが全て完了したかどうかが判定される。具体的には、トレーニング動作指示情報の再生が終了したかどうかを判定したり、トレーニング動作指示情報に従った運動をトレーニング実施者2が完了したかどうかを判定したりすれば良い。このステップの条件が成立するまでは、処理はステップS112に戻る。
【0052】
ステップS116の条件が成立した場合には、続いて
図10に示すフローチャートのステップS118へと処理が移る。このステップでは、演算処理装置20が、センサ情報収集を終了するとともに、電気刺激付与を停止する。
【0053】
次に、演算処理装置20が、トレーニング評価のための処理を実行する(ステップS120)。このステップでは、演算処理装置20が、前述した「トレーニング評価プログラム」を実行する。
【0054】
次に、演算処理装置20が、結果出力のための処理を実行する(ステップS122)。このステップでは、演算処理装置20が、トレーニング評価プログラムにより算出されたトレーニング評価結果を、所定のフォーマットで出力装置40に出力させる。
【0055】
次に、演算処理装置20が、トレーニング情報を保存する処理を実行する(ステップS124)。このステップでは、前述した「格納プログラム」が実行される。
【0057】
一方、冒頭のステップS100において、初回ではないという判定が下された場合には、次に、演算処理装置20が、データベース22を参照する処理を実行する(ステップS130)。このステップでは、データベース22内のトレーニング履歴が参照され、前回のトレーニング評価結果がどのようなものであったかが読み出される。
【0058】
次に、演算処理装置20は、トレーニング内容の変更が必要か否かを判定する処理を実行する(ステップS132)。このステップでは、前回のトレーニング評価結果が「良好」または「普通」である場合には現状維持と判定(つまり変更不要と判定)し、前回のトレーニング評価結果が「悪い」である場合には変更必要と判定する。
【0059】
ステップS132で変更が必要と判定された場合には、演算処理装置20が、前回よりも多い又は少ない移動量、指圧力量、および刺激量を設定する処理を実行する(ステップS134)。このステップでは、データベース22におけるトレーニング履歴が参照され、前回のトレーニング実施時に設定した移動量、指圧力量、および刺激量に対して、補正(所定の増加分を加算または所定の減少分を減算)を行う。加算または減算が行われた補正後移動量、補正後指圧力量、および補正後刺激量を、今回のトレーニングに用いるものとする。
なお、補正の内容(所定の増加分を加算するか、それとも所定の減少分を減算するか)は、予め評価結果の傾向に基づいて、増加と減少のいずれを行うかの判定条件を定めておけばよい。
その後、ステップS104へと処理は移り、上述したのと同様にステップS104以降の処理が実行される。
【0060】
一方、ステップS132で変更が不要と判定された場合には、演算処理装置20が、前回と同一の移動量、指圧力量、および刺激量を設定する処理を実行する(ステップS136)。その後、ステップS104へと処理は移り、上述したのと同様にステップS104以降の処理が実行される。
【0061】
[実施の形態1の変形例]
なお、上述した
図9のフローチャートでは、上記の各解析方法によってトレーニング評価(ステップS120)を行ったら、その判定結果を、ステップS130、S132、S134、S136にあるとおり、次回の実際の移動量等制御に利用している。利用の態様としては、ステップS132において、前回のトレーニング評価結果が「良好」または「普通」である場合には現状維持と判定(つまり変更不要と判定)し、前回のトレーニング評価結果が「悪い」である場合には変更必要と判定している。実施の形態1では、トレーニング評価結果に基づいて、次回のトレーニング開始時の移動量等設定時に自動的に変更(所定規則に則って増加又は減少)することとしている。自動的に移動量等を変更するモードを「移動量等自動制御モード」とも称す。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。
【0062】
トレーニング装置10が移動量等の自動調節を行わなくともよい。つまり、上記のトレーニング評価で得た評価結果の利用の態様としては、解析結果を出力装置40に出力させるのみにとどめても良く、或いは、移動量等として設定する候補としての移動量等設定値の算出処理に反映させるのみとしてもよい。
【0063】
評価結果の表示をすることで、評価結果に対してどのような措置をとるかの判断、たとえば移動量等を維持、増加、低減するかの最終的な判断を、トレーナー等やトレーニング実施者2自身にゆだねても良い。ここでいうトレーナー等には、トレーニングを監視、監督する役割を持つ、リハビリトレーナーや医療従事者が含まれている。また、候補として算出した移動量等設定値を使用するか否かはトレーナー等あるいはトレーニング実施者2の任意に任せても良い。トレーナー等あるいはトレーニング実施者2はその判定結果に基づく移動量等設定値(移動量等変更)を受け入れるか否かを、入力部や操作部52aから入力してもよい。これは一種のアンケートである。
【0064】
このようなアンケートモードであっても、トレーニング評価を実施することで移動量等の適正度合いを評価する機能を発揮することができる。その結果、トレーナー等の負担を軽減し、移動量等調節の妥当性判断を少ない負担で客観的且つ精度良く行うことができる。
【0065】
なお、評価結果の表示は、例えば「適切」「きつい」「楽」という文字などをモニタ42に表示するようにしてもよい。演算処理装置20は、移動量等が妥当と判定された場合は「適切」と、移動量等を低減すべきと判定された場合は「きつい」と、移動量等を増量すべきと判定された場合には「楽」と、それぞれモニタ42に表示する処理を実行する。
【0066】
なお、トレーニング装置10が「移動量等自動調節モード」と「アンケートモード」の何れのモードで動作するかは、手動切替や自動切替により切り替えることができるようにすればよい。また、移動量等の自動調節モードであっても、評価結果の表示を行うことは妨げられない。
【0067】
実施の形態2.
図11および
図12は、本発明の実施の形態2にかかるトレーニング装置210の構成を説明するための図である。トレーニング装置210は、実施の形態1にかかるトレーニング装置10とは異なり、刺激信号生成器50が、
図11の破線四角で囲った構成(演算処理装置20、運動状況検出器30および出力装置40)と接続されていない。つまり、演算処理装置20と刺激信号生成器50との間で信号のやり取りが行われない構成である。
【0068】
図12のブロック図からもわかるとおり、刺激信号生成部256は、実施の形態1にかかる刺激信号生成部56とは異なり、演算処理装置20と接続されていない。刺激信号生成部256は、操作部52aによる操作指示に従って、刺激信号の生成に関する情報を刺激信号生成器本体52に提供し、刺激信号生成器本体52は刺激信号を生成する。
【0069】
図13および
図14は、本発明の実施の形態2において演算処理装置20が実行するルーチンのフローチャートである。
【0070】
図13のフローチャートではステップS202、S234,S235,S210、およびS218の処理内容が
図9のフローチャートと異なっており、これ以外のステップについては
図9のフローチャートと同様である。上述したとおり、実施の形態2では、演算処理装置20と刺激信号生成器50との間での通信は行われず、演算処理装置20は刺激信号生成器50に対して制御を行わない。従って、実施の形態2においては、演算処理装置20の実行するフローチャート上で刺激信号に関する処理は含まれていない。具体的には、実施の形態1の
図9、
図10のルーチンと比較して、ステップS202、S234,S235において刺激量の指定をする処理は含まれず、また、ステップS210やステップS218に、電気刺激付与開始および電気刺激付与停止の処理は含まれない。
【0071】
図14のフローチャートではステップS220の処理内容が
図10のフローチャートと異なっており、これ以外のステップについては
図10のフローチャートと同様である。ステップS220では、演算処理装置20が、運動状況検出器30のセンサからの出力信号と、データベース22内のトレーニング動作指示情報の内容および刺激信号に関連する情報と、に基づいて、トレーニング評価を実施する。
【0072】
ここで、実施の形態2において、データベース22にどのような「刺激信号に関連する情報」を格納するのかを述べる。刺激の強さを示す振幅と、刺激信号の周波数(キャリア波、バースト波、それぞれの波のデューティ比の値)と、刺激付与パターン(振幅や周波数の組み合わせや、それらの時系列的な変化等)が、「刺激信号に関連する情報」としてデータベース22に格納されている。データベース22への格納(記憶)は、入力装置25を用いて、手動で行うものとする。これにより、刺激信号生成器50がトレーニングシステム中に含まれない場合であっても、刺激信号に関する情報を手動で入力することで、刺激と運動量との関係を考慮したトレーニング評価を行うことができる。トレーニングを実施するにあたり、運動の目標となる目標位置や目標速度などを設定し、実際の運動量と目標値との差分を評価する。その評価結果と刺激信号に関連する情報とを利用してトレーニング評価を行う。これにより、刺激信号生成器50による刺激の強弱が適切であるかどうかの判断を、的確にかつ安定的に行うことができる。
【0073】
(ステップS200における評価処理)
図15は、
図14のフローチャートにおけるステップS220内の処理内容の一部(刺激信号評価にかかる部分)を示すフローチャートである。
【0074】
図15に示すルーチンでは、まず、演算処理装置20が、運動状況検出器30を用いて検出した運動到達位置と所定の目標到達位置との差が所定値以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS300)。この所定の目標到達位置は、トレーニング実施者2が運動状況検出器30を持ったとき初期位置(ステップS108)を原点とする座標系上に決まる位置である。この所定の目標到達位置は、原点を基準として、「トレーニング評価プログラム」における基準2の「トレーニング動作指示情報が指示した動作距離」から決まる値である。座標系は、必要に応じて1次元、2次元あるいは3次元の座標系を定めればよい。「トレーニング動作指示情報」の一つに、この所定の目標到達位置の情報が含まれていても良い。なお、このステップで判定に用いる所定値(判定値)は、目標位置との差が有意であると判断できる程度の大きさ、言い換えれば、目標位置との差が許容範囲内であるかどうかを基準に定められたものである。
【0075】
ステップS300の判定結果が肯定(Yes)であった場合には、次に、演算処理装置20が、ステップS300で検出した「目標位置からの差分」が、目標位置を基準として超過しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS302)。このステップでは、目標位置を基準として、運動状況検出器30が動きすぎている(目標位置を超えて乖離している)のかどうかを判定することができる。
【0076】
ステップS302の判定結果が肯定(Yes)であった場合には、演算処理装置20が、次回刺激レベルを現状からマイナス1する(ステップS304)。「次回刺激レベル」とは、次回のトレーニングの際における刺激信号の強さ等をどのように設定すべきかの指標となる値である。ステップS302の判定結果が肯定(Yes)であったということは、刺激信号による刺激レベルが強すぎて、トレーニング実施者2に対しての刺激が適正レベルよりも強いと判断することができるからである。
【0077】
一方、ステップS302の判定結果が不成立(No)であった場合には、演算処理装置20が、次回刺激レベルを現状からプラス1する(ステップS304)。ステップS302の判定結果が不成立(No)であったということは、ステップS304のときとは逆に、刺激信号による刺激レベルが弱すぎて、トレーニング実施者2に対しての刺激が適正レベルよりも弱いと判断することができるからである。
【0078】
次に、演算処理装置20が、運動状況検出器30を用いて検出した運動速度と所定の目標移動速度との差が所定値以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS308)。この所定の目標移動速度は、「トレーニング評価プログラム」における基準3の「トレーニング動作指示情報が指示した速度」から決まる値である。なお、この速度評価は、具体的には、例えば、1単位の運動の平均速度を評価するものであったり、最大速度あるいは最小速度を評価するものであったり、ある運動の特定区間を選択的に抽出してこの区間の速度を評価するものであっても良い。なお、このステップで判定に用いる所定値(判定値)は、目標移動速度との差が有意であると判断できる程度の大きさ、言い換えれば、目標移動速度との差が許容範囲内であるかどうかを基準に定められたものである。
【0079】
ステップS308の判定結果が肯定(Yes)であった場合には、次に、演算処理装置20が、ステップS308で検出した「目標移動速度からの差分」が、目標移動速度を基準として超過しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS310)。このステップでは、目標移動速度を基準として、運動状況検出器30の移動速度が速すぎるかどうかを判定することができる。
【0080】
ステップS310の判定結果が肯定(Yes)であった場合には、演算処理装置20が、次回刺激レベルを現状からマイナス1する(ステップS312)。ステップS310の判定結果が肯定(Yes)であったということは、刺激信号による刺激レベルが強すぎて、トレーニング実施者2に対しての刺激が適正レベルよりも強いと判断することができるからである。
【0081】
一方、ステップS310の判定結果が不成立(No)であった場合には、演算処理装置20が、次回刺激レベルを現状からプラス1する(ステップS314)。ステップS310の判定結果が不成立(No)であったということは、ステップS312のときとは逆に、刺激信号による刺激レベルが弱すぎて、トレーニング実施者2に対しての刺激が適正レベルよりも弱いと判断することができるからである。
【0082】
次に、演算処理装置20が、運動状況検出器30を用いて検出した握力値と所定の目標握力値との差が所定値以上であるか否かを判定する処理を実行する(ステップS316)。この所定の目標握力値は、「トレーニング評価プログラム」における基準5の「トレーニング動作指示情報が指示した握力値」から決まる値である。「トレーニング動作指示情報」の一つに、この所定の目標握力値の情報が含まれていても良い。
【0083】
ステップS316の判定結果が肯定(Yes)であった場合には、次に、演算処理装置20が、ステップS316で検出した「目標握力値からの差分」が、目標握力値を基準として超過しているか否かを判定する処理を実行する(ステップS318)。このステップでは、目標握力値を基準として、握力が強すぎる(目標握力値を超えて乖離している)のかどうかを判定することができる。
【0084】
ステップS318の判定結果が肯定(Yes)であった場合には、演算処理装置20が、次回刺激レベルを現状からマイナス1する(ステップS320)。ステップS318の判定結果が肯定(Yes)であったということは、刺激信号による刺激レベルが強すぎて、トレーニング実施者2に対しての刺激が適正レベルよりも強いと判断することができるからである。
【0085】
一方、ステップS318の判定結果が不成立(No)であった場合には、演算処理装置20が、次回刺激レベルを現状からプラス1する(ステップS322)。ステップS318の判定結果が不成立(No)であったということは、ステップS320のときとは逆に、刺激信号による刺激レベルが弱すぎて、トレーニング実施者2に対しての刺激が適正レベルよりも弱いと判断することができるからである。
【0086】
その後、今回のルーチンが終了する。
ステップS304、S306、S312、S314、S320、およびS322により、次回刺激レベルの値が増減(加算または減算)される。これにより最終的に得られた次回刺激レベルの値は、次回のトレーニングにおける刺激信号生成器50の手動調節のための指針として用いることができる。これにより、個々の運動の種類ごとに刺激信号の適正度合いを評価し、その評価の総計を次回刺激レベルとして算出することができる。なお、次回刺激レベルの値は、加算と減算という計算に限らず、例えば所定の係数を乗算あるいは除算することで次回刺激レベルの値を増減するようにしてもよい。
【0087】
図15のルーチンが終了することで、その後、処理は
図14におけるステップS122へと移行する。ステップS122の結果出力においては、下記のいずれかの方法によって、結果出力が行われる。
(1)次回刺激レベルの数値そのものをプラス、ゼロ、またはマイナスで表して出力装置40(例えばモニタ42)に出力する。ここで表示する数値は、
図15のフローチャートに従って算出された次回刺激レベルの数値を示せばよい。
(2)次回刺激レベルの値がプラスであれば「強すぎ」と表示し、マイナスであれば「弱すぎ」と表示してもよい。このように、次回刺激レベルの値を強めに設定すべきか弱めに設定すべきかあるいは現状維持でよいのかを定性的に表現してもよい。結果は、出力装置40(例えばモニタ42)に出力する。
(3)アンケートの形で出力する。すなわち、次回刺激レベルの値が、刺激信号が強すぎることを指し示していれば、「刺激信号が強すぎますか?」などと表示する。逆に、次回刺激レベルの値が、刺激信号が弱すぎることを指し示していれば、「刺激信号が弱すぎますか?」などと表示する。これにより、刺激信号生成器50の操作部50aを手動調節する際の指針を示しつつ、アンケートの形でトレーナー等やトレーニング実施者2の自己判断を促すことができる。
【0088】
上記の(1)〜(3)の結果出力によれば、次回刺激レベルの表示をすることで、評価結果に対してどのような措置をとるかの判断を促すことができる。すなわち刺激信号の制御値を維持、増加、低減するかの最終的な判断を、トレーナー等やトレーニング実施者2自身にゆだねることができる。
【0089】
なお、実施の形態2においては、データベース22に、「刺激信号に関連する情報」が格納されている。この格納された「刺激信号に関連する情報」をトレーニング評価に利用している。
しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。データベース22に「刺激信号に関連する情報」を格納しなくとも良く、「刺激信号に関連する情報」をトレーニング評価に用いなくとも良い。この場合には、刺激信号生成器50側と、演算処理装置20側とが完全に分離した構成となる。つまり、刺激信号生成器50は、人手によって適宜に刺激信号が調節される。その一方で、上述した実施の形態1にかかる装置の動作が行われ、運動状況検出器30の備えるセンサ群(圧力センサ34、各種センサ部36、位置センサ38)からの出力信号等を用いて、トレーニング評価を実施すればよい。
【0090】
(プログラム用記録媒体、プログラム、トレーニング方法)
なお、本発明においては、上記説明した実施の形態1および実施の形態2において説明した制御処理、演算処理、判定処理その他の処理、および図面で示した各フローチャートの処理が、CD−ROM,DVD−ROMその他の「プログラム用記録媒体」に記憶して提供されても良い。また、「トレーニング装置制御プログラム」という形でプログラム単体として流通させても良い。また、上記の実施の形態で行った制御、解析方法、処理の内容は「トレーニング方法」の発明として実施されても良い。