(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の自動倉庫のラック装置では、地震対策として、制振技術例えば制振ジョイントが、ラック装置に導入されていた。一方で、他の地震対策として、地震時の振動そのものをラック装置に伝達しないようにする技術、すなわち免震技術が存在する。しかしながら、この免震技術については、上述した従来のラック装置には、導入されておらず考慮もされていない。
【0005】
本発明の課題は、ラック装置に免震機構を導入することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0007】
本発明の一見地に係る自動倉庫のラック装置は、スタッカークレーンの経路と平行に配置されている。自動倉庫のラック装置は、支柱と、免震機構とを、備えている。支柱は、上棚用支柱と、下棚用支柱とを、有している。上棚用支柱は、経路から離れる方向に並べて配置される。下棚用支柱は、上棚用支柱の下方において、経路から離れる方向に並べて配置される。免震機構は、上棚用支柱と下棚用支柱との間に、設けられている。
【0008】
この場合、免震機構が、支柱の上下方向の中間位置すなわち上棚用支柱と下棚用支柱との間に、設けられているので、ラック装置に地震力が入力されると、免震機構の上部に配置されたラック装置(上部ラック装置)と、免震機構の下部に配置されたラック装置(下部ラック装置)との間には、層間変位が生じる。すると、ラック装置に入力された地震エネルギーが、免震機構によって運動エネルギーから熱エネルギーに変換される。これにより、地震時の振動そのものが、ラック装置に伝達されにくくなる。すなわち、地震時の振動に対するラック装置の性能を向上することができる。
【0009】
特に、地震時等には、ラック装置に生じる層間変位が、下方より上方の方が大きくなる。この点を考慮して、本ラック装置では、免震機構を、中間位置すなわち上棚用支柱と下棚用支柱との間に、設けることによって、地震時等に免震機構が効果的に動作するようにしている。
【0010】
上記のラック装置では、上部ラック装置と下部ラック装置との間に、免震機構を設置するだけなので、免震機構を容易にラック装置に組み込むことができる。また、上部ラック装置と下部ラック装置との間に免震機構を設置するだけで、低コストで、地震時の振動に対するラック装置の性能を効果的に向上することができる。
【0011】
また、上部ラック装置と下部ラック装置とを個別に組み立てた後、上部ラック装置と下部ラック装置との間に免震機構が位置するように、下部ラック装置の上部に上部ラック装置を配置することもできる。この場合、上部ラック装置と下部ラック装置とを平行して組み立てることができるので、工期を短縮することができる。
【0012】
なお、一般的には、ラック装置では、経路から離れる方向の一側面は、物品を出し入れするために、開口が設けられている。また、経路から離れる方向の長さは、経路方向の長さと比較して、短くなっている(アスペクト比が小さくなっている)。このため、ラック装置に載置された物品は、地震時等に、上記の一側面の開口から脱落してしまうおそれがある。しかしながら、本ラック装置では、経路から離れる方向に、上記のような免震機構を設けることによって、ラック装置からの物品の脱落等を確実に防止することができる。
【0013】
ラック装置では、免震機構が、第1水平部材と、第2水平部材と、粘弾性体とを、備えていてもよい。第1水平部材は、上棚用支柱を接続する。第2水平部材は、第1水平部材の下側に配置され、下棚用支柱を接続する。粘弾性体は、第1水平部材と第2水平部材との間に配置され、第1水平部材と第2水平部材とを接続する。
【0014】
この場合、免震機構では、粘弾性体が、第1水平部材と第2水平部材との間において、第1水平部材と第2水平部材とを接続している。これにより、ラック装置に地震力が入力されると、上部ラック装置と下部ラック装置との間に生じる層間変位によって、粘弾性体が変形する。すなわち、上部ラック装置と下部ラック装置との間に層間変位が繰り返し発生することによって、ラック装置に入力された地震エネルギーが、粘弾性体によって運動エネルギーから熱エネルギーに変換される。これにより、地震時の振動そのものが、ラック装置に伝達されにくくなる。すなわち、地震時の振動に対するラック装置の性能を向上することができる。
【0015】
また、第1水平部材と第2水平部材との間に粘弾性体を配置するだけで、免震機構を容易にラック装置に組み込むことができる。さらに、第1水平部材と第2水平部材との間に粘弾性体を配置するだけで、低コストで、地震時の振動に対するラック装置の性能を効果的に向上することができる。
【0016】
ラック装置では、第1水平部材及び第2水平部材のいずれか一方が、コ字状断面を有していてもよい。第1水平部材及び第2水平部材のいずれか他方は、上記の一方の水平部材の内側に配置される。
この場合、一方の水平部材をコ字状断面に形成している。このため、コ字状断面を有する一方の水平部材の内側に、他方の水平部材を配置するだけで、免震機構を容易に組み立てることができる。また、コ字状断面を有する一方の水平部材の内側に、他方の水平部材を配置することによって、上部ラック装置を、下部ラック装置に対して、水平部材が延びる方向に、スムーズに移動させることができる。
【0017】
ラック装置では、粘弾性体が、上記の一方の水平部材の内側面と、上記の他方の水平部材の外側面とに、取り付けられる。
この場合、粘弾性体を、上記の一方の水平部材の内側面と、上記の他方の水平部材の外側面とに取り付けることによって、上記の一方の水平部材を、上記の他方の水平部材の外側上面において支持することができる。これにより、上部ラック装置が、下部ラック装置に支持されながら、下部ラック装置に対して移動したときには、粘弾性体によってエネルギーを確実に吸収することができる。
【0018】
ラック装置では、上記の一方の水平部材が、抜け止め部を有している。抜け止め部は、上記の他方の水平部材の上方又は下方への抜け出しを規制するためのものである。
この場合、上記の一方の水平部材が抜け止め部を有しているので、地震時等に上下方向に振動が発生したとしても、上記の他方の水平部材を、上記の一方の水平部材の内側に確実に保持することができる。これにより、上部ラック装置を下部ラック装置によって確実に支持することができ、上部ラック装置が下部ラック装置に対して移動したときには、粘弾性体によってエネルギーを確実に吸収することができる。
【0019】
ラック装置では、免震機構が、低摩擦部材をさらに備えている。低摩擦部材は、上記の一方の水平部材又は上記の他方の水平部材に取り付けられ、上記の一方の水平部材と上記の他方の水平部材との上下方向間に配置される。
この場合、低摩擦部材が、上記の一方の水平部材と上記の他方の水平部材との上下方向間において、上記の一方の水平部材又は上記の他方の水平部材に取り付けられているので、上記の一方の水平部材を、上記の他方の水平部材に対して、スムーズに移動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る自動倉庫のラック装置では、免震機構を導入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(1)自動倉庫のラック装置の全体概要及び各構成の説明
図1は、自動倉庫を、スタッカークレーン100の経路方向に見た図である。
図2は、自動倉庫を、上方から見た図である。
図3は、ラック装置1の下端部の拡大図である。
なお、スタッカークレーン100の経路方向(走行方向)は、
図2の上下方向に対応している。また、スタッカークレーン100の経路から離れる方向(前後方向、奥行き方向)は、
図1の左右方向に対応している。
【0023】
自動倉庫は、主に、スタッカークレーン100と、ラック装置1とを、備えている。スタッカークレーン100は、自動倉庫内を走行する。スタッカークレーン100は、物品を搬送し、ラック装置1の荷受棚部25に物品を載置する。スタッカークレーン100の両側には、ラック装置1が配置されている。
【0024】
ラック装置1は、物品を収納するためのものである。ラック装置1は、ラック装置本体2と、免震機構5とを、備えている。ラック装置本体2は、下部ラック装置本体11と、上部ラック装置本体12とを、有している。下部ラック装置本体11と上部ラック装置本体12とは、支柱20と、荷受棚部25と、ブレース23とを、備えている。なお、ここでは、下部ラック装置本体11と上部ラック装置本体12との主たる構成は同様であるので、下部ラック装置本体11及び上部ラック装置本体12における、荷受棚部25及びブレース23には、同じ番号を付している。
【0025】
支柱20は、複数の下棚用支柱21と、複数の上棚用支柱22とを、有している。下部ラック装置本体11では、複数の下棚用支柱21が、床面FL上に配置される。また、上部ラック装置本体12では、上棚用支柱22が、下棚用支柱21の上方に配置される。ここでは、スタッカークレーン100に近い側に配置された支柱21,22を、第1の支柱21a,22a(第1の下棚用支柱、第1の上棚用支柱)と呼ぶ。また、スタッカークレーン100から離れた側に配置された支柱21,22を、第2の支柱21b,22b(第2の下棚用支柱、第2の上棚用支柱)と呼ぶ。
【0026】
第1の下棚用支柱21a及び第1の上棚用支柱22aは、経路方向に並べて配置されている。また、第2の下棚用支柱21b及び第2の上棚用支柱22bは、経路方向に並べて配置されている。さらに、第1の下棚用支柱21a及び第1の上棚用支柱22aと、第2の下棚用支柱21b及び第2の上棚用支柱22bとは、経路に直交する方向に一対一で対応するように並べて配置されている。
【0027】
荷受棚部25は、物品が載置される部分である。下部ラック装置本体11及び上部ラック装置12では、荷受棚部25は、第1の下棚用支柱21aと第2の下棚用支柱21bとの間と、第1の上棚用支柱22aと第2の上棚用支柱22bとの間とに、設けられる。ここでは、複数の荷受棚部25が、高さ方向に間隔を隔てて、各支柱21a,22a,21b,22bに装着されている。
【0028】
下部ラック装置本体11及び上部ラック装置12では、ブレース23が、背面ブレース23aと、側面ブレース23bとを、備えている。背面ブレース23aは、隣接する第2の下棚用支柱21bの間と、隣接する第2の上棚用支柱22bの間とに、配置されている。側面ブレース23bは、第1の下棚用支柱21aと第2の下棚用支柱21bとの間と、第1の上棚用支柱22aと第2の上棚用支柱22bとの間とに、配置されている。
【0029】
免震機構5は、地震時の振動そのものをラック装置1に伝達しにくくする機構である。この免震機構5では、地震時にラック装置1に作用する力が軽減される。免震機構5は、下部ラック装置本体11と上部ラック装置本体12との間に配置され、下部ラック装置本体11と上部ラック装置本体12との間に層間変位が生じたときに、エネルギーを吸収する。免震機構5の詳細については、以下に説明する。
【0030】
(2)免震機構の説明
図3は、ラック装置1の免震機構5の分解斜視図である。
図4は、本実施形態に係るラック装置の断面図である。
免震機構5は、
図3及び
図4に示すように、支柱20(21,22)の上下方向の中間位置に、設けられている。言い換えると、免震機構5は、下部ラック装置本体11と上部ラック装置本体12との間に、設けられている。
【0031】
免震機構5は、第1水平部材51と、第2水平部材52と、粘弾性体53と、低摩擦部材54とを、備えている。
【0032】
第1水平部材51は、隣接する上棚用支柱22を接続する。具体的には、第1水平部材51は、第1の上棚用支柱22aの下端部と、第2の上棚用支柱22bの下端部とを接続する。より具体的には、第1水平部材51の一端の上面に、第1の上棚用支柱22aの下端部が固定され、第1水平部材51の他端の上面に、第2の上棚用支柱22bの下端部が固定される。
【0033】
第1水平部材51は、下方が開口したコ字状断面を、有している。第1水平部材51は、第2水平部材52の外側に配置される。具体的には、第1水平部材51は、互いに対向する一対の壁部51aと、一対の壁部51aを連結する連結部51bと、一方の壁部51aの端部に一体に形成された抜け止め部51cと、壁部51aに形成された移動規制部51dとを、有している。連結部51bは、第2水平部材52の上面に対向する。一対の壁部51aは、第2水平部材52の側面に対向する。
【0034】
抜け止め部51cは、第2水平部材52の下方への抜け出しを規制するためのものである。抜け止め部51cは、第2水平部材52の下方に配置される。移動規制部51dは、第2水平部材52に対する第1水平部材51の移動を規制するためのものである。移動規制部51dは、例えば、第1水平部材51の軸方向(第2水平部材52の軸方向)に延びる長穴である。長穴の長さ(軸方向の長さ)は、第2水平部材52に対する第1水平部材51の許容移動量に対応している。
【0035】
第2水平部材52は、隣接する下棚用支柱21を接続する。具体的には、第2水平部材52は、第1の下棚用支柱21aの上端部と、第2の下棚用支柱21bの上端部とを接続する。より具体的には、第2水平部材52の一端の下面に、第1の下棚用支柱21aの上端部が固定され、第2水平部材52の他端の下面に、第2の下棚用支柱21bの上端部が固定される。
【0036】
第2水平部材52は、矩形状断面を、有している。第2水平部材52は、第1水平部材51の下側に配置される。詳細には、第2水平部材52は、上面が連結部51bに対向し、側面が壁部51aに対向し、下面の少なくとも一部が抜け止め部51cに対向するように、第1水平部材51の内側に配置される。
【0037】
また、第2水平部材52には、移動規制部51dに係合する係合部52aが形成されている。係合部52aは、第2水平部材52の側面に装着される。係合部52aは、例えば、ピン形状に形成されている。係合部52aは、第1水平部材51の長穴(移動規制部51d)の内部に配置される。このため、係合部52aが長穴の内部に位置している場合、第1水平部材51は、第2水平部材52上で移動する。一方で、係合部52aが長穴の内縁部に当接した場合、第1水平部材51は停止する。このように、第1水平部材51の長穴(移動規制部51d)及び第2水平部材52の係合部52aは、ストッパとして機能する。
【0038】
粘弾性体53は、運動エネルギーを熱エネルギーに変換する。粘弾性体53は、第1水平部材51と第2水平部材52との間に配置され、第1水平部材51と第2水平部材52とを接続する。具体的には、具体的には、粘弾性体53は、矩形板状に形成されている。複数の粘弾性体53が、第2水平部材52の軸方向に所定の間隔を隔てて、第1水平部材51と第2水平部材52とに、取り付けられている。粘弾性体53は、第1水平部材51の壁部51a内面と、この壁部51a内面に対向する第2水平部材52の側面とに、取り付けられる。
【0039】
この状態で、第1水平部材51が第2水平部材52上で移動した場合、粘弾性体53は剪断変形し、エネルギーを吸収する。なお、粘弾性体53は、第2水平部材52上で移動した第1水平部材51を、弾性力によって、ラック装置1の移動前の位置(初期位置)に引き戻す手段でもある。ラック装置1が初期位置に位置する場合、粘弾性体53は、粘弾性体53に歪みが生じていない状態にある。
【0040】
低摩擦部材54は、矩形板状に形成されている。低摩擦部材54は、第2水平部材52の上面に取り付けられる。この状態で第2水平部材52が第1水平部材51の内側に配置されると、低摩擦部材54は、第1水平部材51の内側上面に当接する。すなわち、この状態では、低摩擦部材54は、第1水平部材51と第2水平部材52との間に、配置される。
【0041】
低摩擦部材54は、摺動抵抗が低い材質によって形成されている。低摩擦部材54は、例えば、超高分子量ポリエチレンから構成されている。上記のような低摩擦部材54を、第1水平部材51の内側上面に当接させることによって、第1水平部材51が第2水平部材52の上部において摺動しやすくしている。
【0042】
(3)実施形態の作用効果
(A)自動倉庫のラック装置1は、スタッカークレーン100の経路と平行に配置されている。自動倉庫のラック装置1は、支柱20と、免震機構5とを、備えている。支柱20は、上棚用支柱22と下棚用支柱21とを有している。上棚用支柱22は、スタッカークレーン100の経路から離れる方向に並べて配置されている。下棚用支柱21は、上棚用支柱22の下方において、スタッカークレーン100の経路から離れる方向に並べて配置されている。免震機構5は、上棚用支柱22と下棚用支柱21との間に、設けられている。
【0043】
この場合、免震機構5が、支柱20の上下方向の中間位置すなわち上棚用支柱22と下棚用支柱21との間に、設けられているので、ラック装置1に地震力が入力されると、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11との間には、層間変位が生じる。すると、ラック装置1に入力された地震エネルギーが、免震機構5によって運動エネルギーから熱エネルギーに変換される。これにより、地震時の振動そのものが、ラック装置1に伝達されにくくなる。すなわち、地震時の振動に対するラック装置1の性能を向上することができる。
【0044】
特に、地震時等には、ラック装置1に生じる層間変位が、下方より上方の方が大きくなる。この点を考慮して、本ラック装置1では、免震機構5を、中間位置すなわち上棚用支柱22と下棚用支柱21との間に、設けることによって、地震時等に免震機構5が効果的に動作するようにしている。
【0045】
本ラック装置1では、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11との間に、免震機構5を設置するだけなので、免震機構5を容易にラック装置1に組み込むことができる。また、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11との間に免震機構5を設置するだけで、低コストで、地震時の振動に対するラック装置1の性能を効果的に向上することができる。
【0046】
また、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11とを個別に組み立て、その後に、免震機構5を介して、下部ラック装置本体11の上部に上部ラック装置本体12を配置することもできる。この場合、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11とを平行して組み立てることができるので、工期を短縮することができる。
【0047】
なお、一般的には、ラック装置1では、経路から離れる方向の一側面は、物品を出し入れするために、開口が設けられている。また、経路から離れる方向の長さは、経路方向の長さと比較して、短くなっている(アスペクト比が小さくなっている)。このため、ラック装置1に載置された物品は、地震時等に、上記の一側面の開口から脱落してしまうおそれがある。しかしながら、本ラック装置1では、経路から離れる方向に、上記のような免震機構5を設けることによって、ラック装置1からの物品の脱落等を確実に防止することができる。
【0048】
(B)自動倉庫のラック装置1では、免震機構5が、第1水平部材51と、第2水平部材52と、粘弾性体53とを、備えている。第1水平部材51は、上棚用支柱22を接続する。第2水平部材52は、第1水平部材51の下側に配置され、下棚用支柱21を接続する。粘弾性体53は、第1水平部材51と第2水平部材52との間に配置され、第1水平部材51と第2水平部材52とを接続する。
【0049】
この場合、免震機構5では、粘弾性体53が、第1水平部材51と第2水平部材52との間において、第1水平部材51と第2水平部材52とを接続している。これにより、ラック装置1に地震力が入力されると、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11との間に生じる層間変位によって、粘弾性体53が変形する。すなわち、上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11との間に層間変位が繰り返し発生することによって、ラック装置1に入力された地震エネルギーが、粘弾性体53によって運動エネルギーから熱エネルギーに変換される。これにより、地震時の振動そのものが、ラック装置1に伝達されにくくなる。すなわち、地震時の振動に対するラック装置1の性能を向上することができる。
【0050】
また、第1水平部材51と第2水平部材52との間に粘弾性体53を配置するだけで、免震機構5を容易にラック装置1に組み込むことができる。さらに、第1水平部材51と第2水平部材52との間に粘弾性体53を配置するだけで、低コストで、地震時の振動に対するラック装置1の性能を効果的に向上することができる。
【0051】
(C)自動倉庫のラック装置1では、第1水平部材51が、コ字状断面を有している。第2水平部材52は、第1水平部材51の内側に配置される。
この場合、第1水平部材51をコ字状断面に形成しているので、第1水平部材51の内側に第2水平部材52を配置するだけで、免震機構5を容易に組み立てることができる。また、コ字状断面を有する第1水平部材51の内側に、第2水平部材52を配置することによって、上部ラック装置本体12を、下部ラック装置本体11に対して、第2水平部材52が延びる方向に、スムーズに移動させることができる。
【0052】
(D)自動倉庫のラック装置1では、粘弾性体53が、第1水平部材51の内側面と、第2水平部材52の外側面とに、取り付けられる。
この場合、例えば、粘弾性体53を、第1水平部材51の内側面と、第2水平部材52の外側面とに取り付けることによって、第1水平部材51を第2水平部材52の外側上面において支持することができる。これにより、上部ラック装置本体12が、下部ラック装置本体11に支持されながら、下部ラック装置本体11に対して移動したときには、粘弾性体53によってエネルギーを確実に吸収することができる。
【0053】
(E)自動倉庫のラック装置1では、第1水平部材51が、抜け止め部51cを有している。抜け止め部51cは、第2水平部材52の上方又は下方への抜け出しを規制するためのものである。
この場合、第1水平部材51が抜け止め部51cを有しているので、地震時等に上下方向に振動が発生したとしても、第2水平部材52を第1水平部材51の内側に確実に保持することができる。これにより、上部ラック装置本体12を下部ラック装置本体11によって確実に支持することができ、上部ラック装置本体12が下部ラック装置本体11に対して移動したときには、粘弾性体53によってエネルギーを確実に吸収することができる。
【0054】
(F)自動倉庫のラック装置1では、免震機構5が、低摩擦部材54をさらに備えている。低摩擦部材54は、第2水平部材52に取り付けられ、第1水平部材51と第2水平部材52との上下方向間に配置される。
この場合、低摩擦部材54が、第1水平部材51と第2水平部材52との上下方向間において、第2水平部材52に取り付けられているので、第1水平部材51を第2水平部材52に対して、スムーズに移動させることができる。
【0055】
(4)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0056】
(a)前記実施形態では、第1水平部材51がコ字状断面を有する場合の例を示したが、第2水平部材52がコ字状断面を有するようにしてもよい。この場合、第1水平部材51は、前記実施形態の第2水平部材52と同様の構成を有し、第2水平部材52は、前記実施形態の第1水平部材51と同様の構成を有する。すなわち、第1水平部材51は、例えば矩形状に形成され、コ字状断面を有する第2水平部材52の内側に、配置される。このように構成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(b)前記実施形態では、低摩擦部材54が第2水平部材52に装着される場合の例を示したが、低摩擦部材54は第1水平部材51に装着するようにしてもよい。例えば、前記実施形態において、低摩擦部材54を、第2水平部材52には装着せず、第1水平部材51の内側上面(連結部51bの内面)に装着してもよい。このように構成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(c)前記実施形態では、移動規制部51d及び係合部52aによって、第2水平部材52に対する第1水平部材51の移動が規制される場合の例を示したが、粘弾性体53の接着力によって第2水平部材52に対する第1水平部材51の移動を規制してもよい。この場合は、移動規制部51d及び係合部52aを、第1水平部材51及び第2水平部材52に設けなくてもよい。このように構成しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(d)前記実施形態では、免震機構5が上部ラック装置本体12と下部ラック装置本体11との間に配置される場合の例を示したが、免震機構5の配置位置は、支柱20の上下方向の中間位置であれば、前記実施形態に限定されず、どのようにしてもよい。
【0060】
例えば、
図5に示すように、免震機構5をラック装置本体2に設けてもよい。この場合、免震機構5は、枠体150と、第1水平フランジ151(前記実施形態の第1水平部材51に対応)と、第2水平フランジ152(前記実施形態の第2水平部材52に対応)と、粘弾性体153と、低摩擦部材154とを、備えている。
【0061】
枠体150は、矩形箱状に形成されている。枠体150は、上部孔150aと下部孔150bを有している。枠体150は、下部孔150bを下棚用支柱21の上部外面に当接させ、下棚用支柱21に固定される。第1水平フランジ151は、矩形板状に形成されている。上棚用支柱22が枠体150の上部孔150aに挿通され、第1水平フランジ151が、上棚用支柱22の下端に固定される。第2水平フランジ152は、矩形板状に形成されており、下棚用支柱21の上端に固定される。第2水平フランジ152の下面は、枠体150の内側下面に固定されている。粘弾性体153は、第1水平部材51と第2水平部材52との間に配置され、第1水平部材51と第2水平部材52とに取り付けられている。低摩擦部材154は、第1水平フランジ151の上面に取り付けられている。
【0062】
これにより、ラック装置1に地震力が入力されると、上棚用支柱22と下棚用支柱21との間に生じる層間変位によって、粘弾性体153が変形する。すなわち、上棚用支柱22と下棚用支柱21との間に層間変位が繰り返し発生することによって、ラック装置1に入力された地震エネルギーが、粘弾性体153によって運動エネルギーから熱エネルギーに変換される。このように、本ラック装置1においても、前記実施形態と同様に、地震時の振動に対するラック装置1の性能を向上することができる。このように構成しても、上記と同様の効果を得ることができる。