特許第5845897号(P5845897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5845897
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】ボールペン用油性インキ組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/18 20060101AFI20151224BHJP
【FI】
   C09D11/18
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-289589(P2011-289589)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-139493(P2013-139493A)
(43)【公開日】2013年7月18日
【審査請求日】2014年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(72)【発明者】
【氏名】紀村 浩希
(72)【発明者】
【氏名】高岸 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】大坪 綾
(72)【発明者】
【氏名】安池 清徳
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−275678(JP,A)
【文献】 特開2006−089736(JP,A)
【文献】 特開2010−168494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記一般式(化1)、(化2)、(化3)、(化4)で示される化合物から
選ばれる1種もしくは2種以上の化合物と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、有機溶
剤と、着色剤とを少なくとも含有する油性ボールペン用インキ組成物。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキを紙面等の被筆記面等に転写するボールと、このボールを先端開口部から一部臨出させて回転自在に包括するボールホルダーとから少なくともなるボールペンチップをペン先としたボールペンに収容されるボールペン用油性インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油性インキを使用したボールペンにおいて、筆跡が所々で途切れる現象や、ボール受座の摩耗によるインキ吐出不良を抑制することを目的として、金属表面に吸着しやすい官能基であるリン酸やスルホン酸、カルボン酸を分子内に持った化合物などの界面活性剤を使用する試みがなされてきた。例えば、リン酸エステル(特許文献1)や、ジポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸やトリポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(特許文献2)などのインキに潤滑性を付与する材料をインキに添加すると、筆記時のボールとボール受座との間の摩擦抵抗が低減するので、滑らかな筆記感を得られる。このようなインキに潤滑性を付与する材料と増粘剤による粘度調整とを組み合わせることで、さらに滑らかな筆記感を得る試みもなされてきた(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−201398公報
【特許文献2】特開平10−279876公報
【特許文献3】特開平07−242852公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
文献1〜3に記載の発明のようなインキへの潤滑性向上や粘度調整だけではボールとボール受座の抵抗の減少が不十分で、強い筆圧がかかった場合、ガリガリとした筆記感となり、筆跡が所々で途切れる現象や、ボール受座の摩耗によるインキ吐出不良の抑制は十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記一般式(化1)、(化2)、(化3)、(化4)で示される化合物から選ばれる1種もしくは2種以上の混合物と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、有機溶剤と、着色剤とを少なくとも含有するボールペン用油性インキ組成物を要旨とするものである。
【0006】
【化1】
【0007】
【化2】
【0008】
【化3】
【0009】
【化4】

【発明の効果】
【0010】
上記一般式(化1)〜(化4)にて示される化合物は、ana−置換体又はamphi−置換体のアルキルナフタレンジスルホン酸又はジアルキルナフタレンジスルホン酸であり、ana−置換体又はamphi−置換体である故にナフタレン環の平面上で2つのスルホン基が点対称になっているため、スルホン基が金属表面に吸着する際にナフタレン環の同一平面から点対称に置換された2つのスルホン基が金属表面に吸着するので、このスルホン基が付いたナフタレン環は、金属表面に対して水平に並ぶことになる。よって、ナフタレン環による平面的な分子構造が金属表面に配置されることとなり、金属表面を効率的に覆う吸着構造を形成する。そして、ナフタレン環同士に働くπ−π結合や疎水結合により、金属表面に吸着したナフタレン環に別のナフタレンが積層すると共に、この上記一般式(化1)〜(化4)にて示される化合物のアルキル鎖と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の3つの脂肪酸とが相溶することで複合体を形成し、金属表面上に厚い複合体膜を形成するものと推察される。この厚く緻密な積層された複合体膜によって、ボールとボールホルダーとの金属同士の直接接触を抑制し、ボールの回転を円滑にし、回転に対する障害要因を極力抑制できる。その結果、強い筆圧がかかっても引っかかりのない筆記感を得られ、筆跡が所々で線飛びする現象が発生しにくくなる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に発明を詳細に説明する。
上記(化1)〜(化4)で示される化合物は、金属製のボールペンチップのインキ接触面に対してナフタレン環の面が水平に平面的に吸着して緻密な膜を形成する。
これらの化合物は、金属表面を面で覆い、厚い膜を形成することができるため、強い筆圧がかかっても金属の粗表面が現れることがなく、点線筆跡や金属摩耗を強く抑制することが可能となるものと推測される。
上記(化1)〜(化4)で示される化合物の具体例としては、アルキル基の炭素数が6〜14の化合物があり、中でもアルキル基の炭素数が9のものがポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と親和性が高く好ましい。具体的には3−ヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3−オクチル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩,3−ジオクチル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、4−オクチル−2,6−ナフタレンジスルホン酸とその塩、4,8−ジオクチル−2,6−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3−ノニル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3,7−ジノニル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、4−ノニル−2,6−ナフタレンジスルホン酸とその塩、4,8−ジノニル−2,6−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3−(2−メチルオクチル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、4−(2−メチルオクチル)−2,6−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3,7−ジ(2−メチルオクチル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、4,8−ジ(2−メチルオクチル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3−デシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3,7−ジデシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3,7−ジ(2−メチルノニル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、3,7−ジドデシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸とその塩、などが挙げられる。
これらの化合物はインキ全量に対し1.0重量%〜20.0重量%が好ましい。1.0重量%未満では滑らかな筆記感を得られず、20.0重量%を超えて添加しても効果はそれ以上期待できない。
【0012】
上記一般式(化1)〜(化4)にて示される化合物のアルキル鎖が15以上であるとアルキル鎖の分子揺らぎによる立体障害で、金属表面へのナフタレン環の吸着を阻害してしまい、金属製ボールペンチップのインキ接触面に対してナフタレン環の面が水平に平面的吸着することが難しくなると推測され、6未満であると厚い膜を形成できないものと推測される。
また、ナフタレン環に3つ以上のスルホン基を導入すると非点対称な場合や、スルホン基同士の分子間相互作用による反発により、スルホン基の方向性が点対称性を失い、金属表面に対してナフタレン環の面が水平に平面的に吸着できなくなると推察される。更に、ナフタレン環ではなくベンゼン環同士ではπ−π結合や疎水結合が弱いため、ナフタレン環同士のような厚い層を形成できない。
ナフタレン環よりもベンゼン環の数が多いアントラセン環やナフタセン環などは融点が200℃以上となり、常温で固体であるため、インキに使用しても効果を得ることは難しい。
また、2つあるスルホン酸が点対称でないナフタレンジスルホン酸では、ナフタレン環の面が垂直に近い形で吸着すると考えられ、分子揺らぎによる立体障害により金属表面を緻密に覆うこが出来ないと考えられる。この場合、強い筆圧がかかったときに金属表面に吸着した複合体に大きな揺らぎが生じることにより、直の金属表面が現れ、金属同士の接触がおこり、筆跡が所々で途切れる現象やボール受座の摩耗が生じる。しかしナフタレン環の面が吸着面に対して水平に平面的に吸着した場合は金属表面を面で覆い、複合体の厚い膜を形成することができるため、強い筆圧がかかっても金属の粗表面が現れることがなく、筆跡が所々で途切れる現象やボール受座の摩耗を抑制することが可能となるものと推測される。
【0013】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、上記(化1)〜(化4)で示される化合物を包み込んで複合体を形成し、金属表面の被膜を厚く強固にする。
具体的には、ニッコールHCO−5、同HCO−10、同HCO−20、同HCO−30、同HCO−40、同HCO−50、同HCO−60、同HCO−80、同HCO−100(以上日光ケミカルズ(株)製)、ユニオックスHC−40、同HC−60(以上日油(株)製)、ノイゲンHC−250、同HC−400、同HC−600、同HC−800(以上第一工業製薬(株)製)、エマノーンCH−25、同CH−40、同CH−60(K)、同CH−80(以上花王(株)製)などがある。
これらの使用量は、インキ全量に対し0.1重量%〜15.0重量%が好ましい。0.1重量%未満では上記(化1)〜(化4)で示される化合物と十分に親和できず、複合体を維持できない。また、15.0重量%を超えて添加しても効果はそれ以上期待できない。
【0014】
着色剤としては、従来、ボールペンに用いられる染料、顔料全てが使用でき、染料、顔料は単独で用いても、併用しても良い。
油溶性の染料としては、具体的には、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株)製)、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株)製)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、BASF社製、独国)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701、オイルブルー613、(以上、オリエント化学工業(株)製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)や、ネオスーパーブルーC−555(以上、中央合成化学(株)製)等の従来公知の一般的なものが使用できる。
【0015】
顔料は通常一般的に使用されているものは使用することが可能である。一例を挙げると、カーボンブラックや不溶性アゾ顔料、アゾレーキ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、ペリノン、ペリレン系顔料等有機顔料などの従来公知の一般的な顔料が使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組合せ調色して用いてもよい。
【0016】
黒色顔料としてはカーボンブラックが使用できる。その一例を挙げると、プリンテックス3、同25、同30、同35、同40、同45、同55、同60、同75、同80、同85、同90、同95、同300、スペシャルブラック4、同5、同100、同250、同550(以上デグサヒュルスジャパン(株)製)。三菱カーボンブラック#2700、同#2650、同#2600、同#2400、同#2350、同#2300、同#2200、同#1000、同#990、同#980、同#970、同#960、同#950、同#900、同#850、同#750、同#650、同#52、同#50、同#47、同#45、同#45L、同#44、同#40、同#33、同#32、同#30、同#25、同#20、同#10、同#5、同#95、同#260、同CF9、同MCF88、同MA600、同MA77、同MA7、同MA11、同MA100、同MA100R、同MA100S、同MA220、同MA230(以上、三菱化学(株)製)、トーカブラック#8500/F、同#8300/F、同#7550SB/F、同#7400、同#7360SB/F、同#7350/F、同#7270SB、同#7100/F、同#7050(以上東海カーボン(株)製)等が挙げられる。
青色顔料としては例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76、同80等が使用できる。
赤色の顔料としてはC.I.Pigment Red 2、同3、同5、同8、同14、同17、同22、同23、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同53:2、同57:1、同112、同122、同144、同146、同149、同166、同170、同175、同176、同177、同179、同184、同185、同187、同188、同202、同207、同208、同209、同210、同211、同213、同214、同242、同253、同254、同255、同256、同257、同264、同266、同268、同270、同272等が使用できる。
黄色の顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同16、同17、同55、同73、同74、同79、同81、同83、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同111、同120、同128、同133、同136、同138、同139、同147、同151、同154、同155、同167、同173、同174、同175、同176、同180、同185、同191、同194、同213等が使用できる。
橙色の顔料としてはC.I.Pigment Orange5、同13、同16、同34、同36、同38、同43、同62、同68、同72、同74等がある。
緑色の顔料としてはC.I.Pigment Green7、同36、同37等が使用できる。
紫色の顔料としてはC.I.Pigment Violet19、同23等が使用できる。
これらの染料および顔料の使用量はボールペン用油性インキ全量に対し1.0重量%以上40.0重量%以下が好適に使用でき、1.0重量%以上30.0重量%以下がより好ましい。使用量が1.0重量%より少ないと筆跡が薄すぎて判読が難くなる。また、40.0重量%より多いと経時的な沈降による目詰まりによる筆記不能やボールペン用油性インキ中の固形分の増加により書き味が重くなる不具合を生じやすくなる。
【0017】
顔料を分散するには通常一般的な方法で可能である。
例えば、顔料と、エチレングリコールモノメチルエーテルと、分散剤とを混合し、プロペラ撹拌機等で均一に撹拌した後、分散機で顔料を分散する。ロールミル、ボールミル、サンドミル、ビーズミル、ホモジナイザー等の分散機はインキの溶剤量や、顔料濃度によって適宜選択する。
【0018】
有機溶剤は通常ボールペン用油性インキに使用される溶剤であれば使用可能である。
その一例を挙げるとフェニルグリコール、フェニルジグリコール、ベンジルモノグリコール、ベンジルジグリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート等のグリコールエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、3−メチル−1,3ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のグリコール類、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシペンタノール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール類、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル等のエーテル類、酢酸−2−エチルヘキシル、イソ酪酸イソブチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等のエステル類、N−メチル−2−ピロリドンなどがある。
中でも沸点130℃〜200℃のグリコール系溶剤を主溶剤として用いるのが好ましい。これはインキ成分を十分に溶解することが出来、かつ沸点が比較的低いので筆跡の乾燥が速くすることができる。沸点130℃〜200℃のグリコール系溶剤の一例を挙げるとエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどがある。
使用量はインキ全量に対し20.0〜80.0重量%が好ましい。20.0重量%未満ではインキに流動性を付与する作用が小さく十分な流動性が得られない。80.0重量%を超えると他の成分の添加量が確保出来ず、筆跡が薄くなったり書き味が悪くなったりインキとしての性能が低下する。
これらの有機溶剤の他に添加している成分が不溶化を起こさない程度に水を加えることもできる。その添加量はインキ全量に対し15.0重量%以下が好ましい。
インキの乾燥防止や低温時での凍結防止などの目的で、有機溶媒を添加する事も可能である。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、2−エチル1,3−ヘキサングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコールなどが使用できる。
これらは1種又は2種以上選択して併用できるものである。また、その使用量はインキ全量に対して0.5重量%以上30.0重量%以下の添加が好ましい。0.5重量%未満では塗布部の乾燥防止効果が弱く使用不能になる恐れがあり、30.0重量%を超えて添加してもそれ以上の効果は期待できない。
【0019】
これらの顔料を安定に分散する為にブチラール樹脂、スチレンアクリル酸樹脂などの分散剤を使用出来る。
ブチラール樹脂の一例と挙げるとエスレックBL−1、BL−1H、BL−2、BL−
2H、BL−5、BL−10、BL−S、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、B
H−3、BH−6、BH−S(以上積水化学工業(株)製)、デンカブチラール#300
0−1、#3000−2、#3000−4、#3000−K、#4000−2、#500
0−A、#5000−D、#6000−C、#6000−EP、#6000−CS、#6
000−AS(以上電気化学工業(株)製)などがある。
スチレンアクリル酸樹脂としては、ジョンクリル67,同678、同586、同611、同680、同682、同683、同690(以上BASFジャパン(株)製)等がある。
なかでもブチラール樹脂が顔料との親和性が強く好ましい。
これらの分散剤の使用量は顔料10.0重量部に対し0.2重量部〜20.0重量部使
用するのが好ましい。0.2重量部未満では顔料を安定に分散することが困難であり、2
0.0重量部を超えて使用してもそれ以上の効果は期待できない。
【0020】
筆跡の筆記面への定着性を付与するために樹脂をインキ組成物中に併用して添加することも可能である。具体例としては、例えば、フェノール樹脂、ケトン樹脂、ロジン樹脂などのインキ組成物用樹脂が挙げられる。
インキ組成物用樹脂の具体例としては、フェノール樹脂として、タマノル100S、同510(以上、荒川化学工業(株)製)、ヒタノール1501、同2501(以上、日立化成工業(株)製)、YP−90、YP−90L、YSポリスターS145、同#2100、同#2115、同#2130、同T80、同T100、同T115、同T130、同T145、マイティエースG125、同150(以上、ヤスハラケミカル(株)製)などが、ケトン樹脂として、ハイラック110H、同111、同222、同901(以上、日立化成工業(株)製)、ハロン110H(本州化学製)、レジンSK(ヒュルス社製)など、ロジン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂として、ハーコリンD、ペンタリン255、同261、同269、同830(以上、理化ハーキュレス(株)製)、ハリエスターNL、同L、同MT、同MSR−4、ハリマック135G、同T−80、同FX−25、同AS−5、同AS−9、ネオトールC、ガムロジンX(以上、ハリマ化成(株)製)、ガムロジンWW(中国産)、エステルガムH、マルキード#30A、同#31、同#32、同#33、同#34(荒川化学工業(株)製)などが挙げられる。
これらの樹脂の使用量は、インキ組成物全量に対し0.5〜20.0重量%以下が好ましい。0.5重量%未満では筆記面に対する筆跡の定着性が不十分となる場合があり、20.0重量%を超えるとインキの粘度が高くなりペン先からのインキ吐出が悪くなる不具合が発生する可能性がある。
【0021】
インキを製造するには、染料や上記で分散した顔料とシリカ粒子をホモミキサー等の撹拌機にて充分に混合攪拌した後、他の成分、例えば粘度調整剤や溶剤、色調調整のための油性染料、潤滑剤等を混合し、更に均一になるまで溶解・混合することで得られるが、場合によって混合したインキをさらにダイノーミルなどの分散機にて分散したり、得られたインキを濾過や遠心分離機に掛けて粗大粒子や不溶解成分を除いたりすることは何ら差し支えない。
【実施例】
【0022】
以下、実施例及び比較例に基づき更に詳細に説明する。尚、各実施例中単に「部」とあるのは「重量部」を表す。
【0023】
(実施例1)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 13.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)
4.0部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0024】
(実施例2)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 11.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
3−ノニル−1,5−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム(化1で示される化合物)
1.0部
3,7−ジノニル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2) 3.0部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 5.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ヒタノール1501(フェノール樹脂、日立化成工業(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0025】
(実施例3)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 12.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
3,7−ジ(2−メチルオクチル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物) 3.0部
4,8−ジオクチル−2,6−ナフタレンジスルホン酸二リチウム(化4で示される化合物) 2.0部
ニッコールHCO−5(ポリエチレン(5)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製)
3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0026】
(実施例4)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 30.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 18.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 10.0部
Pigment Red 5(赤顔料) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 10.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
3−(2−メチルオクチル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化1で示される化合物
) 2.0部
4−オクチル−2,6−ナフタレンジスルホン酸(化3で示される化合物) 1.0部
4−ノニル−2,6−ナフタレンジスルホン酸(化3で示される化合物) 1.0部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからPigment Red 5の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し赤色のボールペン用インキを得た。
【0027】
(実施例5)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 23.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 9.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
Pigment Blue 9(青顔料) 8.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 12.0部
3−デシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化1) 1.0部
4−(2−メチルオクチル)−2,6−ナフタレンジスルホン酸(化3で示される化合物
) 1.0部
4,8−ジテトラデカン−2,6−ナフタレンジスルホン酸(化4で示される化合物)
1.0部
4,8−ジ(2−メチルオクチル)−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化4で示される化合物) 1.0部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 10.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成工業(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからPigment Blue 9の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し青色のボールペン用インキを得た。
【0028】
(実施例6)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 16.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
4,8−ジオクチル−2,6−ナフタレンジスルホン酸(化4で示される化合物)
0.5部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0029】
(実施例7)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 20.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 15.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 14.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
3−ヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸二カリウム(化1で示される化合物)
21.0部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0030】
(比較例1)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2)を除して、3−ペンチル−1,5−ナフタレンジスルホン酸に置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0031】
(比較例2)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)を除して、4−ノニル−2,7−ナフタレンジスルホン酸を2.0部と5,8−ジオクチル−1,4−ナフタレンジスルホン酸を2.0部に置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0032】
(比較例3)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)を除して、3−ペンチル−1,5−ナフタレンジスルホン酸を1.0部と4,8−ジペンタデカン−2,6−ナフタレンジスルホン酸を3.0部に置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0033】
(比較例4)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 16.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
3−ヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸 1.0部
3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸 3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0034】
(比較例5)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 17.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
ニッコールHCO−10(ポリエチレン(10)硬化ヒマシ油、日光ケミカルズ(株)製
) 3.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0035】
(比較例6)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 20.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0036】
(比較例7)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 12.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
3,7−ジノニル−1,5−ナフタレンジスルホン酸 4.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製) 4.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0037】
(比較例8)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG) 25.0部
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPG) 14.0部
ベンジルアルコール(BzOH) 20.0部
プリンテックス35(黒顔料、デグサヒュルスジャパン(株)製) 8.0部
スピロンレッド C−GH(赤色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 3.0部
スピロンイエロー C−2GH(黄色染料、保土ヶ谷化学工業(株)製) 5.0部
オイルブルー613(青色染料、オリエント化学工業(株)製) 5.0部
エスレックBL−1(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 3.0部
エスレックBH−3(ポリビニルブチラール、積水化学工業(株)製) 1.0部
ジョンクリル611(スチレンアクリル樹脂、BASFジャパン(株)製) 10.0部
フォスファノールLB400(リン酸エステル、東邦化学工業(株)製) 4.0部
TAMNO−5(ポリオキシエチレンオレイルアミン、日光ケミカルズ製) 2.0部
上記成分のうち、ジエチレングリコールモノメチルエーテルの全量と、エスレックBL−1の全量を70℃で撹拌、混合溶解した後、これを室温まで放冷してからプリンテックス35の全量を加えダイノーミル(ビーズミル、(株)シンマルエンタープライス製)で直径0.3mmのジルコニアビーズを用い、10回通しを行い黒色のペーストを得た。
ついでこのペーストに残りの添加物の全量を加え、70℃で3時間撹拌、混合した後室温まで放冷し黒色のボールペン用インキを得た。
【0038】
(比較例9)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)を除して、3,7−ジペンチル−1,5−ナフタレンジスルホン酸に置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0039】
(比較例10)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)を除して、3−ヘキシル、1,5,7,−ナフタレントリスルホン酸に置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0040】
(比較例11)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)を除して、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジアミンに置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0041】
(比較例12)
実施例1において、3,7−ジヘキシル−1,5−ナフタレンジスルホン酸(化2で示される化合物)を除して、2,5−ジノニル−1,4−ベンゼンジスルホン酸に置き換えた以外は同様になして黒色の油性インキを得た。
【0042】
(試験用油性ボールペンの作製)
上記実施例1〜7及び比較例1〜12で得たボールペン用油性インキを市販の油性ボールペン(VICUNA、製品符号 BX157、ぺんてる(株)製(ボール径φ0.7))と同構造の筆記具に0.2g充填し、遠心機にて遠心力(1000rpm、5分間)を加えてインキ中の気泡を脱気して、試験用ボールペンを作製した。
【0043】
(螺旋筆記での強筆圧筆記試験)
上記実施例、比較例のボールペンをn=5ずつ螺旋筆記試験器(筆記角度70°、荷重300gf、筆記速度7cm/sec)にて10m筆記し、筆跡の状態を確認し、筆跡が途切れた箇所を数えた。数値はn=5の平均値を算出した。結果を表1に示した。
【0044】
(ボール沈み量の測定)
上記実施例、比較例のボールペンを5本ずつ螺旋筆記試験機(筆記角度70°、荷重150gf、筆記速度7cm/sec)にて400m筆記後に、ボールをボール受座に押し付けた状態でのボールホルダーの先端から突出した高さを測定し、未筆記の時との差をボール沈み量とした。結果を表1に示す。数値は5本の平均値である。
【0045】
(書き味筆記感の官能試験)
手書きによる官能試験をペン作成後未筆記の状態で行い、書き味を評価した。
評価基準は、滑らかで引っかかりのない筆記感であれば○、ガリガリと引っかかるような筆記感であれば×とした。結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例1〜7の油性ボールペン用インキ組成物は、上記(化1)〜(化4)で示される化合物から選ばれる1種もしくは2種以上の化合物と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を併用しているので、安定した複合体の金属表面への緻密で強固な吸着膜を有して滑らかで引っかかりのない筆記感を得られた。
【0048】
また、実施例1〜5の油性ボールペン用インキ組成物は、上記(化1)〜(化4)で示される化合物と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を好まし添加量で併用しているので、より滑らかで引っかかりのない筆記感を得られた。
【0049】
これに対して、比較例1〜3、5の油性ボールペン用インキ組成物は、上記(化1)〜(化4)を使用してないので、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油との複合体を形成できず、滑らかで引っかかりのない筆記感を得られない。比較例4の油性ボールペン用インキ組成物は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を使用してないので、上記(化1)〜(化4)との複合体を形成できず、厚い膜を形成できないため、十分に滑らかな筆記感が得られない。
比較例6〜12の油性ボールペン用インキ組成物は、金属表面への吸着能や緻密さが不十分で、十分に滑らかな筆記感が得られない。
以上、詳細に説明したように本発明の油性ボールペン用インキ組成物は、ボールペンを用いて筆記したときに筆跡が所々で途切れる現象やボール受座の摩耗によるインキ吐出不良を抑制した油性ボールペン用インキ組成物に関するものである。