特許第5846007号(P5846007)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5846007加入者側装置登録方法及び光ネットワークシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5846007
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】加入者側装置登録方法及び光ネットワークシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20151224BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20151224BHJP
【FI】
   H04L12/44 200
   H04B9/00 272
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-77263(P2012-77263)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207715(P2013-207715A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【弁理士】
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】玉井 秀明
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/094594(WO,A1)
【文献】 上田裕巳、他4名,GE−PONおよびGE−OSANにおけるDiscovery回数の検討,電子情報通信学会技術研究報告 CS2006-42,日本,社団法人電子情報通信学会,2006年10月12日,第106巻 第304号,pp.35-40
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 10/272
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の局側装置と、
分岐された光伝送路、及び該光伝送路の分岐先に接続される加入者側装置をそれぞれ含む複数のブランチと、
前記局側装置と接続される第1のグループと、前記ブランチの前記光伝送路と接続される第2のグループとに分けられている、複数の光通信ポートを有し、一方のグループの光通信ポートに入力された光信号を、他方のグループの、該光信号の波長に応じて定まる光通信ポートから出力する光ルーティング手段と
を含んで構成されたネットワークにおいて、未登録の加入者側装置を登録する方法であって、
前記局側装置が、全ての前記ブランチに属する加入者側装置に対して、応答要求信号を送信する第1過程と、
未登録の加入者側装置が、前記応答要求信号に応答して、前記局側装置に対して応答信号を送信する第2過程と
を備え、
前記応答要求信号は、前記ブランチ毎に定められた識別記号を含み、
前記応答信号は、前記未登録の加入者側装置が前記応答要求信号から読み取った前記識別記号を含む
ことを特徴とする加入者側装置登録方法。
【請求項2】
1つの前記局側装置が応答要求信号を送信するタイミングにおいて、他の前記局側装置は、前記加入者側装置に対して下り光信号を送信しない
ことを特徴とする請求項1に記載の加入者側装置登録方法。
【請求項3】
前記応答要求信号をディスカバリゲートとし、前記応答信号をレジスタリクエストとすることを特徴とする請求項1又は2に記載の加入者側装置登録方法。
【請求項4】
1つ又は複数の局側装置と、
分岐された光伝送路、及び該光伝送路の分岐先に接続される加入者側装置をそれぞれ含む複数のブランチと、
前記局側装置と接続される第1のグループと、前記ブランチの前記光伝送路と接続される第2のグループとに分けられている、複数の光通信ポートを有し、一方のグループの光通信ポートに入力された光信号を、他方のグループの、該光信号の波長に応じて定まる光通信ポートから出力する光ルーティング手段と
を備え、
前記局側装置は、
前記ブランチ毎に定められた識別記号を含む応答要求信号を生成する局側信号生成手段と、
前記応答要求信号を含む下り光信号を全ての前記ブランチに属する前記加入者側装置に送る局側光信号送信部と、
前記加入者側装置から送られる応答信号を含む上り光信号を受け取る局側光信号受信部と、
前記応答信号から前記識別記号を読み取り、前記応答信号を送った加入者側装置が属するブランチを特定する局側信号読取手段と
を有し、
前記加入者側装置は、
前記下り光信号を受け取る加入者側光信号受信部と、
前記応答要求信号から前記識別記号を読み取る加入者側信号読取手段と、
該加入者側信号読取手段において読み取った前記識別記号を含む前記応答信号を生成する加入者側信号生成手段と、
前記上り光信号を前記局側装置に送る加入者側光信号送信部と
を有する
ことを特徴とする光ネットワークシステム。
【請求項5】
前記加入者側光信号受信部は、可変波長フィルタを備える
ことを特徴とする請求項4に記載の光ネットワークシステム。
【請求項6】
前記応答要求信号は、ディスカバリゲートであり、前記応答信号は、レジスタリクエストであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光ネットワークシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1つ又は複数の局側装置と、加入者側装置を含む複数のブランチとで構成されるネットワークにおける加入者側装置登録方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
通信事業者の所有する建物(局)と加入者宅を結ぶ通信網は、アクセス系ネットワークと呼ばれる。昨今の通信容量の増大を受け、アクセス系ネットワークでは、光通信を利用することにより膨大な情報量の伝送を可能とする、光アクセス系ネットワークが主流になりつつある。
【0003】
光アクセス系ネットワークの一形態として受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)がある。PONは、局内に設けられる1つの局側装置(OLT:Optical Line Terminal)と、加入者宅にそれぞれ設けられる複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)と、光スプリッタとを備えて構成される。OLT及びONUと、光スプリッタとは、光ファイバで接続される。
【0004】
OLTと光スプリッタの間の接続には、一芯の光ファイバが用いられる。この一芯の光ファイバは、複数のONUにより共有される。また、光スプリッタは、安価な受動素子である。このように、PONは、経済性に優れ、また、保守も容易である。このため、PONの導入は、急速に進んでいる。
【0005】
PONでは、各ONUからOLTに送られる信号(以下、上り光信号と称することもある)は、光スプリッタで合波されてOLTに送信される。一方、OLTから各ONUに送られる信号(以下、下り光信号と称することもある)は、光スプリッタで分波されて各ONUに送信される。なお、上り光信号と下り光信号との干渉を防ぐために、上り光信号と下り光信号には、それぞれ異なる波長が割り当てられる。
【0006】
また、PONでは、様々な多重技術が用いられる。PONで用いられる多重技術には、時間軸上の短い区間を各加入者に割り当てる時分割多重(TDM:Time Division Multiplex)技術、異なる波長を各加入者に割り当てる波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplex)技術、異なる符号を各加入者に割り当てる符号分割多重(CDM:Code Division Multiplex)技術などがある。これらの多重技術の中で、TDMを利用するTDM−PONが、現在最も広く用いられている。
【0007】
TDM−PONでは、TDMA(Time Division Multiple Access)が用いられている。TDMAは、OLTが、各ONUの送信タイミングを管理して、異なるONUからの上り光信号同士が衝突しないように制御する技術である。
【0008】
PONシステムの中で、Ethernet(登録商標)技術を使用したものを、Ethernet(登録商標)−PONと称し、Gigabit(1×109bit/sec)Ethernet(登録商標)技術を使用したものをGE−PONと称する。GE−PONは、IEEE802.3ahで標準化されている。
【0009】
GE−PONシステムにおいて、OLTとONUとの間の通信を行うためには、OLTにONUを登録する必要がある。GE−PONシステムでは、1つのOLTに対して、複数のONUが接続されているため、新たなONUの登録は、他の登録済みのONUとOLTとの間の通信に影響することなく行われる必要がある。そのため、上記IEEE802.3ah(以下、標準と称する)では、未登録のONUがOLTに検出され、登録される手順(以下、ディスカバリシーケンスと称する)が規定されている。
【0010】
OLTは、周期的にディスカバリゲートをブロードキャスト送信する。ディスカバリゲートは、ONUが登録されているか否かに関わらず全てのONUに対して送信される。PONシステムに新たに接続されたONUは、電源がON状態になり、信号の受信が可能な状態になると、周期的にディスカバリゲートを受信する。
【0011】
未登録のONUでは、ディスカバリゲートを受信すると、OLTに対して登録を要求するレジスタリクエストを送信する。レジスタリクエストには、各ONUの個体識別番号としてのMACアドレスが含まれている。
【0012】
一方、OLTでは、ディスカバリウィンドウが設定されている。OLTは、このウィンドウが開いている時間の間、レジスタリクエストの受信を待つ。
【0013】
OLTは、レジスタリクエストを受信することで、ONUのMACアドレスを認識する。OLTは、認識したMACアドレスを有するONU宛にレジスタを送る。レジスタには、PONシステムにおけるリンク番号(LLID)が含まれている。
【0014】
また、OLTは、レジスタの送信に続いて、送信帯域及び送信タイミングを通知して、上り光信号の送信を許可するゲートをONUに送る。
【0015】
ゲートを受信したONUは、レジスタアック(ACK)信号をOLTに対して送信する。OLTがレジスタアックを受信すると、ONUの登録が完了する。すなわち、ディスカバリシーケンスが終了する(例えば、特許文献1参照)。
【0016】
ONUが登録された後は、OLT−ONU間の通常の通信が行われる。
【0017】
通常、PONシステムでは、1つのOLTが、分岐された光伝送路、及びこの光伝送路の分岐先に接続されるONUを含む1つのPONブランチを管理している。ここで、例えば1つのPONブランチに含まれるONUが少ない場合、OLTを少ないONUで共有するためコストがかかる。そこで、PONブランチ内のONUが少ないときは、1つのOLTが複数のPONブランチを管理するのが望ましい。
【0018】
そのために、TDM及びWDMを併用することによって、1つのOLTによって複数のPONブランチの管理を可能とするPONシステム(以下、TDM/WDM−PONとも称する)が提案されている。
【0019】
TDM/WDM−PONでは、1又は複数のOLTと、光ルーティング手段と、この光ルーティング手段を介してOLTと接続された複数のPONブランチとを含んで構成されている。
【0020】
光ルーティング手段は、複数の光通信ポートを有している。複数の光通信ポートは、OLTと接続される第1のグループと、PONブランチの光伝送路と接続される第2のグループとに分けられている。そして、一方のグループの光通信ポートに入力された光信号は、その光信号の波長に応じて定まる、他方のグループの光通信ポートから出力される。
【0021】
このような構成を有することによって、TDM/WDM−PONでは、1つのOLTは、下り光信号の送信波長を変えることにより、異なるPONブランチに対して下り光信号を送ることができる。また、ONUはOLTから指示された波長の上り光信号を送ることで、特定のOLTに上り光信号を送ることができる。その結果、1つのOLTは、WDM/TDM−PONを構成する任意のPONブランチとの間で通信が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2010−278525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
ここで、TDM/WDM−PONに対して、上述したディスカバリシーケンスを適用した場合について考える。
【0024】
OLTは、全PONブランチに含まれる各ONUに対してディスカバリゲートをブロードキャスト送信する。ディスカバリゲートを受信した未登録のONUは、OLTに対してレジスタリクエストを送信する。OLTは、レジスタリクエストを受信することによって、いずれかのPONブランチに未登録のONUが接続されたことを認識する。
【0025】
しかしながら、TDM/WDM−PONでのディスカバリシーケンスでは、OLTは、レジスタリクエストを送信したONUがどのPONブランチに含まれているのかを把握することができない。そのため、以降のディスカバリシーケンスにおいて、その未登録のONUに送る下り光信号の波長を設定することができない。
【0026】
従って、TDM/WDM−PONでは、従来通りのディスカバリシーケンスを適用することができなかった。
【0027】
そこで、この発明の目的は、未登録のONUが属するPONブランチを、OLTが特定することができ、TDM/WDM−PONに適用することができる加入者側装置登録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上述の目的を達成するために、この発明による加入者側装置登録方法は、以下の特徴を備えている。
【0029】
すなわち、この発明による加入者側装置登録方法は、1つ又は複数のOLTと、分岐された光伝送路、及びこの光伝送路の分岐先に接続されるONUをそれぞれ含む複数のブランチと、局側装置と接続される第1のグループと、ブランチの光伝送路と接続される第2のグループとに分けられている複数の光通信ポートを有し、一方のグループの光通信ポートに入力された光信号を、他方のグループの、光信号の波長に応じて定まる光通信ポートから出力する光ルーティング手段とを含んで構成されたネットワークにおいて実行される、以下の過程を備えている。
【0030】
まず、第1過程において、OLTが、全てのブランチに属するONUに対して応答要求信号を送信する。応答要求信号は、ブランチ毎に定められた識別記号を含んでいる。次に、第2過程において、未登録のONUが、応答要求信号に応答して、OLTに対して応答信号を送信する。この応答信号は、未登録のONUが、応答要求信号から読み取った識別記号を含んでいる。
【発明の効果】
【0031】
この発明の加入者側装置登録方法では、上述したように、応答信号に、ブランチ毎に定められた識別記号が含まれている。従って、上述したディスカバリシーケンスに適用することで、OLTは、識別記号を読み取ることによって、未登録のONUがどのブランチに属しているかを特定することができる。このように、この発明の加入者側装置登録方法では、TDM/WDM−PONにおいても、OLTが未登録のONUを登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】TDM/WDM−PONの概略構成図である。
図2】上り光信号及び下り光信号の波長と、光ルーティング手段の光通信ポートとの関係の一例を示す図である。
図3】OLTの概略構成図である。
図4】ONUの概略構成図である。
図5】加入者側装置登録方法を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0034】
(TDM/WDM−PON)
この発明による加入者側装置登録方法は、TDM/WDM−PONで用いられる。そこで、先ず、図1を参照してTDM/WDM−PONの構成について説明する。
【0035】
TDM/WDM−PON10は、局20内に設けられた1つ又は複数のOLT100、及び光ルーティング手段200と、複数のPONブランチ(以下、単にブランチとも称する)300を含んで構成されている。OLT100と光ルーティング手段200との間は、光ファイバによって構成される光伝送路600で接続されている。
【0036】
各ブランチ300は、光ファイバによって構成される光伝送路700、光スプリッタ400及びONU500をそれぞれ含んでいる。光伝送路700は、光ルーティング手段200に接続されている。また、光伝送路700は、光スプリッタ400によって分岐されており、光伝送路700の分岐先にONU500がそれぞれ接続されている。ONU500は、例えば加入者宅に設置されている。
【0037】
また、TDM/WDM−PON10は、局20内にスイッチング素子110、及び管理部130を備えている。
【0038】
なお、図1に示す構成例では、光ルーティング手段200が局20内に設置されているが、光ルーティング手段200は、局20の外側に設置されても良い。また、図1では、4つのOLT100−1〜4と4つのブランチ300−1〜4を備える構成例を示しているが、OLT100及びブランチ300の数はこれに限定されない。
【0039】
OLT100は、上位ネットワークから受信した下りデータ信号と、ONU500を管理するための下り制御信号を、下り光信号として生成し、ONU500に送信する。一方、ONU500は、ユーザ端末から受信した上りデータ信号と、帯域の要求などを行う上り制御信号を、上り光信号として生成し、OLT100に送信する。なお、OLT100及びONU500の構成及び機能については、後述する。
【0040】
光ルーティング手段200は、例えば、光波長フィルタを並べて構成されたアレー型光導波路ルータ(AWGR:Arrayed Waveguide Grating Router)であり、光信号を入出力可能な複数の光通信ポート210を有している。
【0041】
複数の光通信ポート210は、OLT100と光伝送路600を介して接続される第1のグループと、ブランチ300の光伝送路700と接続される第2のグループとに分けられている。光ルーティング手段200は、一方のグループの光通信ポートに入力された光信号を、光信号の波長に応じて定まる、他方のグループの光通信ポートから出力する。
【0042】
なお、以下の説明では、第1のグループに含まれる光通信ポート220を、局側ポート220とも称する。また、第2のグループに含まれる光通信ポート230を、加入者側ポート230とも称する。図1に示す構成例では、第1〜第4の局側ポート220−1〜4は、それぞれ、第1〜第4のOLT100−1〜4と一対一対応して接続されている。また、第1〜第4の加入者側ポート230−1〜4は、それぞれ、第1〜第4のブランチ300−1〜4と一対一対応して接続されている。
【0043】
ここで、光ルーティング手段200を構成するAWGRでは、基準となる波長λと、λからλFSRの整数倍だけ離れた波長λ+nλFSRは、同一の波長として扱われる(なお、nは0以外の整数とする)。この特性は、AWGRの周回性と呼ばれるもので、λFSRはフリースペクトラムレンジと呼ばれるものである。従って、AWGRでは、一方のグループのある光通信ポートに上記関係を満たす波長の光信号が入力された場合、波長λにより定まる、他方の光通信ポートから出力される。
【0044】
図2に、上り光信号及び下り光信号の波長と、入出力される局側ポート220及び加入者側ポート230の各番号との関係の一例を示す。
【0045】
なお、この実施の形態では、局側ポート220に入力される下り光信号は、図2に示すようにλ1〜λ4のいずれかに設定され、加入者側ポートに入力される上り光信号は、λ1〜λ4の各波長にnλFSRを加えた値に設定されている。
【0046】
例えば、第1の局側ポート220−1に入力される波長λ1の下り光信号は、第1の加入者側ポート230−1から出力され、第1の加入者側ポート230−1に入力される波長λ1+nλFSRの上り光信号は、第1の局側ポート220−1から出力される。また、第1の局側ポート220−1に入力される波長λ2の下り光信号は、第2の加入者側ポート230−2から出力され、第2の加入者側ポート230−2に入力される波長λ2+nλFSRの上り光信号は、第1の局側ポート220−1から出力される。
【0047】
既に説明したように、第1〜第4の局側ポート220−1〜4は、それぞれ、第1〜第4のOLT100−1〜4と一対一対応して接続され、第1〜第4の加入者側ポート230−1〜4は、それぞれ、第1〜第4のブランチ300−1〜4と一対一対応して接続されている。従って、各OLT100は、下り光信号の波長を変更することによって、複数のブランチ300の1つのブランチを選択して、下り光信号を送信することができる。一方、各ONU500は、上り光信号の波長を変更することによって、複数のOLT100の1つを選択して各々上り光信号を送信することができる。
【0048】
管理部130は、PONリンクを確立しているONU500、及び当該ONU500が属するブランチ300の情報(PONリンク情報)を管理している。管理部130は、PONリンク情報をRAM(Random Access Memory)等の記憶部(図示を省略する)に読み出し及び書き換え自在に格納している。
【0049】
また、管理部130は、スイッチング素子110から受け取る宛先やトラフィックなどの情報と、PONリンク情報に基づいて送信プランを作成する。また、管理部130は、送信プランに基づいて、波長設定信号を生成する。管理部130は、送信プランをスイッチング素子110及び各OLT100に通知する。波長設定信号はOLT100に送られる。
【0050】
スイッチング素子110は、上位ネットワークと各OLT100との通信経路を設定する。スイッチング素子110は、管理部130から通知される送信プランに基づいて、下りデータ信号を各OLT100に振り分けて送るとともに、各OLT100から送られた上りデータ信号を上位ネットワークに送る。また、上位ネットワークから送られる下りデータ信号の宛先やトラフィックなどの情報を管理部130に通知する。
【0051】
(局側装置)
図3を参照して、OLT100の構成について説明する。この実施の形態では、OLT100は、電気信号処理部150、及び光信号処理部170を含んで構成されている。電気信号処理部150は、インタフェース155、電気信号送信部157、電気信号受信部159、及び制御部161を備えている。光信号処理部170は、光信号送信部171、光信号受信部173、合分波部175を備えている。
【0052】
インタフェース155、電気信号送信部157及び電気信号受信部159は、任意好適な従来周知のOLTと同様に構成できるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0053】
インタフェース155は、上位ネットワークとの間で、スイッチング素子110を介して、上りデータ信号及び下りデータ信号の送受信を行う。
【0054】
電気信号送信部157は、インタフェース155から受け取った下りデータ信号、及び制御部161から受け取った下り制御信号に基づいて下り電気信号を生成する。下り電気信号は、光信号送信部171に送られる。
【0055】
電気信号受信部159は、光信号受信部173から受け取った上り電気信号を、上りデータ信号と上り制御信号とに分離する。上りデータ信号は、インタフェース155及びスイッチング素子110を介して上位ネットワークに送られ、上り制御信号は、制御部161に送られる。
【0056】
制御部161は、機能手段として、信号生成手段163と、信号読取手段165と、ONU登録手段167とを備えている。制御部161は、従来のOLTと同様に構成することができる。そして、各機能手段は、制御部161が実行するプログラムにより実現される。また、各機能手段の処理結果等は、適宜RAM等の記憶部(図示せず)に格納される。
【0057】
信号生成手段163は、下り制御信号を生成する。下り制御信号としては、例えば、管理部130から受け取った送信プラン、ONUから受け取った要求帯域に基づいて、ONUに上り光信号の送信帯域、及び送信タイミングを指示する信号や、ディスカバリシーケンスで用いられるディスカバリゲート等がある。この実施の形態では、OLT100は、複数のブランチ300と通信を行うため、下り制御信号には、上り光信号の送信波長を指示する情報、及びブランチ300毎に定められた識別記号(ブランチID)等が含まれている。下り制御信号は、電気信号送信部157に送られる。
【0058】
信号読取手段165は、上り制御信号に含まれるMACアドレス、要求帯域、及びブランチID等の各ONUの情報を読み取る。信号読取手段165は、読み取ったブランチIDから、上り制御信号を送信したONU500が属するブランチ300を特定する。
【0059】
ONU登録手段167は、PONリンクを確立しているONU500が、複数のブランチ300のいずれに属しているかを登録する。さらに、ONU登録手段167は、自己のOLT100が、どのブランチ300に含まれるONU500とPONリンクを確立しているかを示すPONリンク情報を、管理部130に通知する。
【0060】
光信号送信部171は、下り電気信号を、それぞれ下り光信号に変換する。光信号送信部171は、例えばTLD(Tunable Laser Diode:可変波長光送信器)などの、波長の変更が可能な、任意好適な電気/光変換手段を有して構成されている。光信号送信部171は、管理部130から送られる波長設定信号に基づき、下り光信号を送信すべきONU500が属するブランチ300に応じた波長に設定する。下り光信号は、合分波部175を経て、光ルーティング手段200に送られる。
【0061】
光信号受信部173は、合分波部175を経て送られる上り光信号を上り電気信号に変換する。光信号受信部173は、例えばPD(Photo Diode:光受信器)などの任意好適な光電変換素子を備えて構成されている。PDは、少なくともONU500が設定し得る波長帯の上り光信号を受光できるように設定されている。上り電気信号は、電気信号受信部159に送られる。
【0062】
合分波部175は、光信号送信部171で生成された下り光信号を光ルーティング手段200に送るとともに、光ルーティング手段200から受け取った上り光信号を光信号受信部173に送る。合分波部175は、例えばWDMフィルタなどの任意好適な合分波器を備えて構成されている。既に説明したように、この実施の形態では、下り光信号にはλ1〜λ4の波長帯の光が、また、上り光信号にはλ1+nλFSR〜λ4+nλFSRの波長帯の光が用いられる。そのため、例えばWDMフィルタを利用することによって、上り光信号と下り光信号とを合波及び分波することができる。
【0063】
(加入者側装置)
図4を参照して、ONU500の構成について説明する。
【0064】
図4に示すように、この実施の形態では、電気信号処理部550、及び光信号処理部570を含んでONU500が構成されている。
【0065】
電気信号処理部550は、インタフェース555、バッファ部556、電気信号送信部557、電気信号受信部559、及び制御部561を備えている。また、光信号処理部570は、光信号送信部571、光信号受信部573、合分波部575を備えている。
【0066】
インタフェース555、バッファ部556、電気信号送信部557及び電気信号受信部559は、任意好適な従来周知のONUと同様に構成できるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0067】
インタフェース555は、ユーザ端末との間で、上りデータ信号及び下りデータ信号の送受信を行う。
【0068】
バッファ部556には、上りデータ信号が格納される。バッファ部556は、格納されたデータ量(バッファ量)を制御部561に通知するとともに、制御部561からの指示に応答して上りデータ信号を読み出して電気信号送信部557に送る。
【0069】
電気信号送信部557は、バッファ部556から受け取った上りデータ信号、及び制御部561から受け取った上り制御信号に基づいて上り電気信号を生成する。そして、上り電気信号を、光信号送信部571に送る。
【0070】
電気信号受信部559は、下り電気信号を、下りデータ信号と下り制御信号とに分離する。そして、下りデータ信号を、インタフェース555を経てユーザ端末に送る。また、下り制御信号を制御部561に送る。
【0071】
制御部561は、信号読取手段563、信号生成手段565、及び送信設定手段566を備えている。
【0072】
信号読取手段563は、下り制御信号に含まれる、上り光信号の送信帯域、送信タイミング、及び送信波長を指示する情報、並びにブランチID等の、OLTとの通信を行うのに必要な情報を読み取る。
【0073】
信号生成手段565は、バッファ部556から受け取ったバッファ量を、OLT100に通知する上り制御信号を生成する。この実施の形態では、上り制御信号には、バッファ量に加えて、下り制御信号に含まれているブランチIDが含まれている。上り制御信号は、電気信号送信部557に送られる。
【0074】
送信設定手段566は、信号読取手段563において読み取った、上り光信号の波長や送信タイミング等を光信号送信部571に通知する。
【0075】
光信号送信部571は、上り電気信号を上り光信号に変換する。光信号送信部571は、例えばTLDなどの、波長の変更が可能な、任意好適な電気/光変換手段を有して構成されている。上り光信号の波長は、送信設定手段566からの通知に基づいて設定される。そして、光信号送信部571で生成された上り光信号は、合分波部575を経て、OLT100に送られる。
【0076】
光信号受信部573は、合分波部575を経て送られる下り光信号を下り電気信号に変換する。下り電気信号は、電気信号受信部559に送られる。光信号受信部573は、例えばPDなどの任意好適な光電変換素子577を備えて構成されている。PDは、少なくともOLT100が設定し得る波長帯の下り光信号を受光できるように設定されている。
【0077】
また、光信号受信部573は、可変波長フィルタ579を備える構成とすることができる。なお、可変波長フィルタ579は、設計に応じて省略することができる。可変波長フィルタ579については後述する。
【0078】
合分波部575は、上り光信号と下り光信号とを合波及び分波する、合分波部575は、例えばWDMフィルタなどの任意好適な合分波器を備えて構成されている。既に説明したように、この実施の形態では、下り光信号にはλ1〜λ4の波長帯の光が、また、上り光信号にはλ1+nλFSR〜λ4+nλFSRの波長帯の光が用いられる。そのため、例えばWDMフィルタを利用することによって、上り光信号と下り光信号とを合波及び分波することができる。
【0079】
次に、OLT100からONU500へ送信される下り光信号、及びONU500からOLT100へ送信される上り光信号の経路について説明する。
【0080】
上位ネットワークから送られた下りデータ信号は、スイッチング素子110に入力される。スイッチング素子110は、管理部130から受け取った送信プランに基づき、下りデータ信号を、宛先に応じたOLT100に送る。OLT100は、受け取った下りデータ信号を、管理部130から受け取った波長設定信号に基づく波長の下り光信号に変換する。下り光信号は、OLT100から、光伝送路600を経て、光ルーティング手段200の局側ポート220に送られる。光ルーティング手段200は、局側ポート220毎に、下り光信号の波長に応じて定まる加入者側ポート230から下り光信号を出力する。加入者側ポート230から出力された下り光信号は、ブランチ300の光伝送路700を経て、ONU500に送られる。
【0081】
一方、ONU500から送信された上り光信号は、光伝送路700を経て、光ルーティング手段200の加入者側ポート230に入力される。光ルーティング手段200は、加入者側ポート230の番号毎に、上り光信号の波長に応じて定まる局側ポート220から下り光信号を出力する。局側ポート220から出力された上り光信号は、光伝送路600を経て、OLT100に送られる。OLT100とONU500は、一対一対応している。ONU500は、下り光信号の送信元であるOLT100に上り光信号を送信する。
【0082】
(加入者側装置登録方法)
図5を参照して、この実施の形態の加入者側装置登録方法について説明する。ここでは、加入者側装置登録方法を、上述した標準のディスカバリシーケンスに適用した場合について説明する。
【0083】
ディスカバリシーケンスは、例えば、未登録のONUをネットワークに接続し、起動した場合に行われる。また、登録済みのONUを再起動する場合は、当該ONUは未登録となり、ディスカバリシーケンスにより再び登録される。
【0084】
なお、ここでは、まず、複数のOLTのうちの1つのOLT(ここでは、第1のOLT)100−1と第1〜第4のブランチ300−1〜4との間におけるディスカバリシーケンスについて説明する。
【0085】
まず、OLT100−1は、各ブランチ300−1〜4に対して応答要求信号(ここでは、ディスカバリゲート)を送信する。
【0086】
ディスカバリゲートは、制御部161の信号生成手段163で下り制御信号として生成される。この下り制御信号には、ONU500に応答信号(ここでは、レジスタリクエスト)の送信タイミング及び送信波長を指示する情報、並びにブランチ300毎に定められた識別記号(ブランチID)が含まれている。下り制御信号は、電気信号送信部157及び光信号送信部171において、下り光信号に変換された後、合分波部175を経て、光ルーティング手段200に送られる。
【0087】
ここで、ディスカバリゲートは、ONU500に対してブロードキャスト送信される。既に説明したように、OLT100は、ブランチ300毎に定められた波長を設定することによって、各ブランチ300−1〜4に含まれるONU500に対して下り光信号を送信することができる。そこで、制御部161は、ディスカバリゲートとして、ブランチ300の数に対応した数の下り制御信号を時分割多重して生成する。この実施の形態では、TDM/WDM−PON10が4つのブランチ300−1〜4を備えているため、4つの下り制御信号が生成される。これら各下り制御信号は、各々異なるブランチIDを含む。また、ブランチID毎に異なる値に設定された送信波長を指示する情報を含む。これらの波長は、各ブランチ300に属するONU500からのレジスタリクエストが、ディスカバリゲートを送信した第1のOLT100−1に対して送信される値に設定される。そして、光信号送信部171では、これら各下り制御信号に基づいて生成された各下り電気信号を、各々異なる波長の下り光信号に変換する。各下り光信号の波長は、管理部130から送られる波長設定信号に基づき、各ブランチ300に応じた値に設定される。
【0088】
OLT100−1から下り光信号として送信された各ディスカバリゲートは、光ルーティング手段200において波長に応じて分岐され、各ブランチ300に接続されたONU500に送られる。
【0089】
次に、未登録のONU500が、ディスカバリゲートに応答して、OLT100−1に対して、登録を要求するレジスタリクエストを送信する。
【0090】
未登録のONU500では、ディスカバリゲートとしての下り光信号は、合分波部575を経て光信号受信部573に送られる。光信号受信部573及び電気信号受信部559において、下り光信号から下り制御信号が復元され、復元された下り制御信号は、制御部561に送られる。
【0091】
制御部561は、信号読取手段563において、下り制御信号に含まれる下り制御信号に含まれる、レジスタリクエストの送信タイミング、及び送信波長を指示する情報、並びにブランチIDを読み取る。制御部561は、信号読取手段563において読み取ったレジスタリクエストの送信タイミングに基づき、ランダムディレイを挿入して送信タイミングを設定する。そして、設定された送信タイミングを光信号送信部571に通知する。また、制御部561は、信号読取手段563において読み取った送信波長を光信号送信部571に通知する。既に説明したように、レジスタリクエストの送信波長は、ディスカバリゲートの送信元である第1のOLT100−1に対して送信される値に設定される。
【0092】
また、制御部561は、信号生成手段565において、レジスタリクエストを生成する。レジスタリクエストには、ONUの個体識別番号としてのMACアドレス、及び信号読取手段563において読み取ったブランチIDを含む。上り制御信号は、電気信号送信部557に送られる。電気信号送信部557は、上り制御信号に基づいて上り電気信号を生成し、光信号送信部571に送る。光信号送信部571は、上り電気信号を上り光信号に変換する。上り光信号は、制御部561から通知された送信波長で生成される。そして、上り光信号は、制御部561から通知された送信タイミングで、光信号送信部571から送信される。上り光信号は、合分波部575及び光ルーティング手段200を経て、ディスカバリゲートの送信元であるOLT100−1に送られる。
【0093】
次に、OLT100−1が、未登録のONU500から送信されたレジスタリクエストを受信する。
【0094】
OLT100−1では、ディスカバリウィンドウが設定されている。OLT100−1は、このウィンドウが開いている間、レジスタリクエストの受信を待つ。なお、ONU500で設定されるランダムディレイの大きさは、OLT100−1におけるレジスタリクエストの受信が、ディスカバリウィンドウが開いている間にされる範囲内で設定される。
【0095】
OLT100−1において、レジスタリクエストとしての上り光信号は、合分波部175を経て光信号受信部173に送られる。光信号受信部173は、上り光信号を上り電気信号に変換する。変換された上り電気信号は、電気信号受信部159に送られる。電気信号受信部159は、上り電気信号を上り制御信号に復元する。復元された上り制御信号は、制御部161に送られる。
【0096】
制御部161は、信号読取手段165において、上り制御信号に含まれるブランチID及びMACアドレスを読み取る。信号読取手段165は、このブランチIDから、読み取ったMACアドレスを有するONU500が、複数のブランチ300−1〜4のいずれに属しているかを特定することができる。ブランチの特定後、制御部161は、ディスカバリシーケンス中のONU500が属するブランチを管理部130に通知する。その結果、管理部130は、以降のディスカバリシーケンスにおける下り光信号の波長を、未登録のONU500が属するブランチに対応して設定することができる。そして、設定された波長を光信号送信部171に指示する。
【0097】
ブランチを特定した後の過程は、従来のディスカバリシーケンスと同様である。すなわち、OLT100−1は、LLIDを含むレジスタ、及び送信帯域及び送信タイミングを通知して、上り光信号の送信を許可するゲートを順次ONU500に送る。ゲートを受信したONU500は、レジスタアックをOLT100−1に対して送信する。OLT100−1がレジスタアックを受信すると、ONU500の登録が完了し、ディスカバリシーケンスが終了する。
【0098】
ディスカバリシーケンスが終了すると、ONU登録手段167は、そのディスカバリシーケンスにおいて新たに登録された、すなわちPONリンクが確立されたONU500が、複数のブランチ300−1〜4のいずれに属しているかを登録する。そして、ONU登録手段167は、登録された情報を管理部130に送る。この情報に基づき、管理部130は、以降の通常の通信における下り光信号の波長を設定する。
【0099】
なお、上述したディスカバリシーケンスは、周期的に行われる。
【0100】
このように、この実施の形態による加入者側装置登録方法では、OLT100−1が、ブランチIDを読み取ることによって、未登録のONU500が属しているブランチ300を特定することができる。そのため、レジスタリクエストを受信した後のディスカバリシーケンスにおいて、OLT100が送信する下り光信号の波長を、ブランチ300に応じて設定することができる。
【0101】
ここで、TDM/WDM−PON10において、複数のOLT100が、複数のブランチ300と接続されている場合には、あるOLT100から送信されるディスカバリゲートが、他のOLT100から送信される下り光信号と干渉するのを防止する必要がある。
【0102】
そこで、このような干渉を防止するために、管理部130は、各OLT100の下り光信号の送信タイミングを管理する。また、管理部130は、ディスカバリシーケンス周期を設定する。
【0103】
すなわち、管理部130は、1つのOLT100に対して、ディスカバリゲート送信信号を送る。ディスカバリゲート送信信号を受け取ったOLT100は、ONU500に対してディスカバリゲートを送信し、上述したディスカバリシーケンスを開始する。ディスカバリゲートを送信すると、OLT100は、管理部130に対して、ディスカバリゲート送信完了信号を送る。
【0104】
また、管理部130は、1つのOLT100に対して、ディスカバリゲート送信信号を送信するタイミングで、他のOLT100に対して下り光信号停止を指示する。下り光信号停止の指示を受け取ったOLT100は、ONU500に対する下り光信号の送信を停止する。そして、管理部130は、ディスカバリゲート送信完了信号を受信した後、下り光信号の送信を停止していたOLT100に対して、下り光信号再開を指示する。下り光信号再開の指示を受け取ったOLT100は、ONU500に対する下り光信号の送信を再開する。
【0105】
このように、1つのOLT100がディスカバリゲートを送信するタイミングにおいて、他のOLT100の下り光信号の送信を停止することによって、ディスカバリゲートと他の下り光信号とが干渉するのを防止できる。
【0106】
さらに、管理部130は、各OLT100−1〜4に対して、任意好適に設定されたディスカバリシーケンス周期に基づいて、例えば順次にディスカバリシーケンスを行わせる。その結果、各OLT100のディスカバリシーケンスが干渉するのを防止できる。
【0107】
また、複数のOLT100が、重複して同じブランチ300を管理している場合には、1つのONU500が、異なるOLT100からの下り光信号を受け取ることがある。これを防止するために、上述した可変波長フィルタ579を利用することができる。
【0108】
ONU500の光信号受信部573に可変波長フィルタ579を設けた場合には、下り光信号は、可変波長フィルタ579を経て光電変換素子577に送られる。
【0109】
可変波長フィルタ579は、特定の波長の下り光信号のみを通過させるように通過帯域が設定される。この実施の形態では、TDM/WDM−PON10が、4つのOLT100−1〜4を備えており、ONU500は、λ1、λ2、λ3、又はλ4のいずれかの波長の下り光信号を受け取る(図2参照)。そこで、可変波長フィルタ579の通過帯域は、λ1、λ2、λ3、又はλ4のいずれかの波長に設定される。その結果、所望のOLT100からの下り光信号のみを受け取ることができる。
【0110】
なお、可変波長フィルタ579を設けると、設定された波長の下り光信号以外を受け取ることができない。従って、ディスカバリシーケンスにおいて、OLT100からのディスカバリゲートを受け取れない可能性がある。そこで、可変波長フィルタ579は、制御部561から一定の周期で送られる通過帯域切り替え信号を受け取ることによって、通過帯域をλ1、λ2、λ3、及びλ4の波長で順次切り替える。その結果、ONU500は、各OLT100からの下り光信号を、順次に受け取り可能な状態となる。例えば、特定のOLT(例えば第1のOLT)100−1のディスカバリシーケンスの周期と同期させて、可変波長フィルタ579が通過させる下り光信号の帯域を切り替える。その場合には、あるタイミングにおいて、OLT100−1から送られた下り光信号が可変波長フィルタ579を通過するとき、ONU500は、OLT100−1からのディスカバリゲートを受け取ることができる。
【符号の説明】
【0111】
10:TDM/WDM−PON
20:局
100:局側装置(OLT)
110:スイッチング素子
130:管理部
150、550:電気信号処理部
155、555:インタフェース
157、557:電気信号送信部
159、559:電気信号受信部
161、561:制御部
163、565:信号生成手段
165、563:信号読取手段
167:ONU登録手段
170、570:光信号処理部
171、571:光信号送信部
173、573:光信号受信部
175、575:合分波部
200:光ルーティング手段
210:光通信ポート
300:ブランチ
400:光スプリッタ
500:加入者側装置(ONU)
556:バッファ部
566:送信設定手段
579:可変波長フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5