(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の信号処理チャンネルのいずれかを操作対象として割当可能な操作部と、前記操作部に割り当てられた信号処理チャンネルを変更する指示を、スライド操作によって受け付けるスライド操作受付部を備える操作装置において、コンピュータに、
前記スライド操作受付部が受け付けたスライド操作に基づいて、前記操作部に割り当てられた信号処理チャンネルのずらし量を決定し、該決定されたずらし量に基づいて、該操作部に割り当てられた信号処理チャンネルを、別の新たな信号処理チャンネルに変更するステップ
を実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の操作装置の一実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の操作装置の一実施形態に従う音楽制作システム構成を示す図である。システムは、1以上のコントローラ100と、コンピュータ装置200とをネットワークハブ210を介して接続して構成される。コンピュータ装置200は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ(PC)であり、コンピュータ装置(PC)200に音楽制作に関する各種の信号処理機能を実行させるための音楽制作システム用ソフトウェアアプリケーション(DAW。DAWはDigital Audio Workstationの略)を起動して、音楽制作に関する各種の信号処理機能を実行する。信号処理機能は、例えば、複数の録音トラックを使った音楽コンテンツの録音、録音した音楽コンテンツの編集、或いは、複数のチャンネルを使ったミキシング処理などである。音楽コンテンツは、複数チャンネルのデジタルオーディオ波形データ及び/又はMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データからなる。この明細書では、「チャンネル」との用語は、例えば録音トラック、ミキシング処理用のチャンネル及びミキシングバスなど、1系統分のデジタルオーディオ波形データ及び/又はMIDIデータを処理するために用いるどのような種類の論理的信号処理チャンネルをも含む。なお、以下、用語「チャンネル」を「ch」と省略表記する。
【0015】
コントローラ100は、PC200で起動されるDAWを操作するための複数の物理的操作子を備えた操作装置である。
図1に示すように、1つのシステムに、複数のコントローラ100(「コントローラ1」100と「コントローラ2」100´の2つ)を接続できる。これら複数のコントローラ100の操作対象は、PC200で起動する1つの共通のDAWである。システムに複数のコントローラ100を接続することで、操作対象となる1つのDAWを操作するために用いる物理操作子の数を拡張できる。
【0016】
ユーザは、コントローラ100を用いて、PC200で起動するDAWが実行する各種信号処理の動作(各種パラメータの値や、オーディオ波形データ及び/又はMIDIデータのルーティングなど)を制御・調整できる。なお、コンピュータ装置200は、PCに限らず、タブレット、PDA,或いは、スマートフォンなど、DAWを実行可能な任意のコンピュータ装置であってよい。
【0017】
ネットワークハブ210は、PC200とコントローラ100との間の接続経路を確立して、PC200とコントローラ100との間の通信を中継する。PC200とコントローラの間での制御データの通信には、例えばEthernet(登録商標)規格に準拠するネットワーク通信システムなど、汎用のネットワーク通信システムを使う。PC200とコントローラの間でのデジタルオーディオ波形データの通信には、制御データの通信路とは別にオーディオ波形データ用の通信路が設定される。
【0018】
図2は、コントローラ100の電気的ハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示す通り、コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)10、フラッシュメモリ11、通信インターフェース(通信I/O)12、表示器13、操作子14、可動フェーダ15、及び、スライド操作受付部16を備え、各構成要素がバス17を介して接続される。
【0019】
CPU10は、フラッシュメモリ11に記憶されたプログラムを実行して、コントローラ100の全体動作を制御する。フラッシュメモリ11は、CPU10が実行する各種のプログラムや、各種パラメータの現在値(カレントデータ)を含む各種制御データを記憶し、また、CPU10が実行するプログラムのロード領域やワーク領域に使用される。
【0020】
通信I/O12は、例えばRS−422、USB(universal serial bus)、或いは、Ethernet(登録商標)規格など、周知の1又は複数の汎用インターフェースで構成される。コントローラ100は、通信I/O12を介して、PC200との間で各種制御データを送受信し、また、PC200との間でオーディオ波形データを送受信する。また、通信I/O12は、例えばヘッドフォン出力等のオーディオ外部出力を含み、DAWで処理している音楽コンテンツをモニタするために利用できてよい。
【0021】
表示器13、操作子14、可動フェーダ15及びスライド操作受付部16は、コントローラ100の操作パネル上に設けられたユーザインターフェースである。CPU10は、例えば、操作子14、可動フェーダ15又はスライド操作受付部16の操作により発生した表示指示や、PC200から受信した表示制御信号に基づいて、表示器13による各種情報の表示(例えばLEDの点灯・消灯や、文字情報の表示など)を制御する。また、CPU10は、操作子14、可動フェーダ15及びスライド操作受付部16それぞれの操作を検出し、検出結果に応じた処理を行う。処理は、表示器13の表示更新、カレントデータの更新、操作に応じた制御データをPC200に送信することなど、を含む。また、可動フェーダ15は、CPU10により、駆動制御信号に基づいてつまみ位置を自動制御(駆動)される。
【0022】
図3は、コントローラ100の操作パネルの構成例を説明する図である。
図3に示す通り、コントローラ100は、複数(図では16本)のチャンネルストリップ30を備える。1つのchストリップ30は、ユーザから見て縦長に(両矢印yで示す垂直方向)延びる外形を有し、操作対象のchに関するパラメータの値を調整するための複数の操作子を含む操作部である。なお、
図3の下側(矢印yで示す垂直方向の下側)がユーザから見て操作パネルの手前、同上側(矢印yで示す垂直方向の上側)がユーザから見て操作パネルの奥となる。説明の便宜上、操作パネルの手前側を操作パネルの「下」、同奥を操作パネルの「上」とも表現する。複数のチャンネルストリップ30は、チャンネルストリップセクション35という領域内にまとめられており、ユーザに対して左右方向(両矢印xで示す水平方向)に並べて、固定的に配置される。
【0023】
各chストリップ30には、PC200にて起動中のDAW(つまり、コントローラ100の操作対象となっている音楽制作システム用ソフトウェアアプリケーション)で扱う複数chのいずれかが(典型的には1つのch)が、操作対象のchとして割り当てられる。或るchストリップ30に割り当てられているchを、そのchストリップ30の「割当ch」と呼ぶ。割当chは、例えば、録音トラック、ミキシング処理に用いるch、或いは、ミキシングバスなど、任意の種類のchであり、更に言えば、1つのchストリップ30の操作対象として割り当て得るパラメータ群の1つのまとまりでさえあればよい。PC200で起動されるDAWで扱うch数は、chストリップ30の数(この例では16本)よりも多いので、chストリップ30それぞれの割当chを、後述するスライド操作受付部16を用いて変更できるようになっている。
【0024】
16本のchストリップ30の割当chは、ch番号が連続していて、ch番号順に割り当てられている。例えば16本のchストリップ30の左側から順にch番号の若いchを割り当てる。DAWでは、一般に、各種chを連続するch番号で管理している。例えば、DAWが1番〜n番の連続番号を持つn個(nは16以上の数とする)の録音トラックを扱っており、1番〜16番のトラックを16本のchストリップ30に割り当てる場合を考えると、左端のchストリップ30の割当chは1番のトラック、それに隣接する左から2番目のchストリップ30には2番のトラック・・・一番右側のchストリップ30に16番のトラックを割り当てる、という具合に、ch番号の連続する16本(例えば1番〜16番)の録音トラックがch番号順に16本のchストリップ30に割り当てられる。
【0025】
1つのchストリップ30は、そのchストリップ30に割り当てられている割当chのパラメータの値を調整するための操作子として、2つのchストリップノブ31,32と、1つのchストリップフェーダ33を具備しており、また、割当chの情報に関する情報を表示するためのchストリップ表示部34を具備する。1つのchストリップ30は、上記の構成に加えて、スライド操作受付部16を具備する。1つのchストリップ30の構成部品は、全てのchストリップで共通している。
【0026】
1つのchストリップ30の上記の構成部品は、上から順に(操作パネル奥から手前に向って)、ノブ31,32、chストリップ表示部34、スライド操作受付部16、chストリップフェーダ33の順番で並べて配置されており、これら構成部品のchストリップ30内における配置位置は、全てのchストリップ30で同一である。従って、各chストリップ30のスライド操作受付部16は、chストリップ30の並び方向(両矢印xで示す水平方向)に、同じ縦位置(両矢印yで示す垂直方向が同じ位置)で横一列(水平一直線)に並ぶ。各chストリップ30のノブ31,32、chストリップ表示部34及び/又はchストリップフェーダ33も同様に、それぞれchストリップ30の並び方向に、同じ縦位置で横一列に並ぶ。
【0027】
2つのchストリップノブ31,32は、
図2の操作子14に相当する回転操作式の操作子であり、例えば割当chのゲインの値と、ステレオパンの値を調整するために用いる。chストリップフェーダ33は、
図2の可動フェーダ15に相当し、両矢印y方向で示す縦方向に、すなわち、ユーザから見て操作パネルの手前側から奥へ延びる奥行き方向に直線的に動くつまみ部を有する。フェーダ33は、例えば割当chの音量レベルの値を調整するために用いる。フェーダ33は、前述の通りつまみ部の位置を自動制御可能であり、このつまみ部位置の自動制御を利用して、そのchストリップ30に割り当てられている割当chに関する情報(例えば音量レベルの値)をつまみ部の位置により報知する報知部(第2報知部)として、機能できる。
【0028】
chストリップ表示部34は、
図2の表示器13に相当し、割当chに与えられたch名を表示するch名表示部34aと、割当chに対して設定されたch色を表示するch色表示部34bとからなる。chストリップ表示部34は、そのchストリップ30に割り当てられている割当chに関する情報(例えばch名とch色)を、表示により報知する報知部(第1報知部)として、機能できる。
【0029】
スライド操作受付部16は、当該スライド操作受付部16が操作対象としているパラメータの値を変更する指示を、スライド操作によって受け付ける操作子である。実施例では、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータは、chストリップ30それぞれに割り当てる割当chである。つまり、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値は、1つのchストリップのパラメータの値ではなく、全chストリップのパラメータの値である。
【0030】
1つのchストリップ30内に配置されたスライド操作受付部16は、1つのchストリップ30と略同幅(水平方向の長さが略同じ)の帯状の接触面を有し、この接触面上でユーザが行うスライド操作を受け付けるように構成される。スライド操作は、手指などをスライド操作受付部16(具体的には前記接触面)に接触させて、その接触を両矢印xで示す水平方向(左右方向)に移動させる操作である。スライド操作受付部16は、この接触位置の連続的な変化(スライド操作)を、操作対象のパラメータの値を変更する指示として連続的(継続的)に受け付ける。なお、スライド操作の「接触」は、実際に接触してはいないが、接触として検出しうる「非接触」も含む。スライド操作の検出方式は、スライド操作に関する操作情報を検出できる方式でさえあれば、例えば静電容量方式など、従来知られるどのような検出方式であってもよい。
【0031】
スライド操作受付部16は、両矢印xで示すchストリップ30の並び方向(水平方向)がスライド操作の操作方向となるように配置される。このスライド操作の操作方向(すなわちchストリップ30の並び方向)は、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値が変化する方向(実施例では、割当chとして割り当てたいchを移動できる方向、又は、ずらせる方向)と同じ方向であり、この方向は、chストリップ30に配置されているスライド操作受付部16以外の操作子(例えばchストリップノブ31,32、chストリップフェーダ33など)の操作方向とは異なる操作方向でもある。実施例では、スライド操作受付部16はその操作方向がchストリップフェーダ33の操作方向(垂直方向)に直交するように配置してある。
【0032】
スライド操作受付部16は、全chストリップ30に備わるスライド操作受付部16全体で1つのスライド操作受付部として機能し、全chストリップ30それぞれに割り当てる割当chを同時に調整するように構成される。例えば、隣接するchストリップ30に備わるスライド操作受付部16同士をシームレスに連結することにより、chストリップ30の並び方向に延びる1つの帯状の接触面を形成できる。すなわち、スライド操作受付部16は、2以上の複数のchストリップ30に横断させるように配置され、chストリップ30の並び方向を操作方向とするように配置される。この場合、chストリップ30毎のスライド操作受付部16のスライド操作を個別に検出するのではなく、全chストリップ30のスライド操作受付部16を1つのスライド操作受付部とみなしてスライド操作を検出する。これにより、ユーザは、全chストリップ30のスライド操作受付部16全体を使って、スライド操作を入力できる。
【0033】
1つのchストリップ30におけるスライド操作受付部16の配置位置は、ユーザが水平方向にスライド操作を行うときに、無理なく操作できる位置とするとよい。例えば、スライド操作受付部16は、
図3に示す通り、操作パネル面におけるフェーダ33の上側(上側近傍)、言い換えれば、ユーザから見てフェーダ33よりも奥に離れた位置(フェーダ33よりもユーザに遠い位置)に、配置される。また、各スライド操作受付部16は、スライド操作受付部16のスライド操作中に、chストリップ表示部34の表示を確認し易い位置に配置されるとよい。また、スライド操作受付部16は、ユーザが水平方向にスライド操作をしたときに、chストリップ表示部34の視認の妨げにならない位置に配置されるとよい。スライド操作受付部16は、スライド操作する手指の位置とchストリップ表示部34とを同時に見ることができる位置に配置されるとよい。例えば、スライド操作受付部16は、
図3に示す通り、操作パネル面におけるchストリップ表示部34の下側(下側近傍)、言い換えれば、ユーザから見てchストリップ表示部34よりも手前側に配置される。
【0034】
ユーザは、スライド操作受付部16を用いたスライド操作により、chストリップ30それぞれの割当chを、別の新たなchに変更できる。割当chの変更は、chストリップ30それぞれの割当chの並び全体を、スライド操作の操作方向と同じ水平方向(chストリップ30の並び方向)に、順次(連続的に)変更するように行われる。前述の通り、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータである複数のchはch番号順に並べて管理されており、且つ、chストリップ30それぞれの割当chの並び順はch番号順に固定されているので、割当chの変更は、割当chの並び順を変えることなく、全chストリップ30(16本分)の割当chをまとめて操作方向へずらす(スクロールする)ように行われる。すなわち、この割当chのスクロールは、chストリップ30それぞれに現在割り当て中の16本のch(複数chのうちの16本ch)のみを対象として行うのではなく、chストリップ30の割り当て候補となる全てのchを対象とする。つまり、1番〜n番までのn個(nは16以上の数)のchのうち、ch番号の連続する16本(例えば1番〜16番)が16本のchストリップ30に割り当てられているところ、スライド操作受付部16を用いたスライド操作が行われると、操作方向に従って、割り当て候補となるn個のch全体が、16本のchストリップ30に対して、相対的に移動(スクロール)する。これにより、16本のchストリップ30それぞれの割当chは、スライド操作前とは別の16本のch(例えば2番〜17番のchや、11番〜26番のchなど)に変更されることになる。複数のchストリップ30の並び方向とスライド操作の方向とが同じであるため、割当chの変更を指示するスライド操作と、chストリップ30の割当chの変更状況とを、直接的に関連付けた直感的な操作が可能である。
【0035】
次に、スライド操作受付部16のスライド操作に応じて、CPU10が実行する処理について説明する。スライド操作には、ドラッグ操作やフリック操作など、いくつかの操作方法があるが、ここでは、基本的な操作方法の1つであるドラッグ操作が行われた場合の処理について説明する。ドラッグ操作は、所望の開始位置から所望の終了位置までスライド操作受付部16をなぞる(ドラッグする)操作である。この場合、ユーザは、スライド操作受付部16の接触面に接触させた指を、その接触を保ったまま、接触面から離すことなく、終了位置まで移動させた後に、接触面から離す。
【0036】
CPU10は、スライド操作受付部16の操作状態を監視しており、スライド操作受付部16の操作状態に変化があったとき、その操作状態の変化を検出する。検出される操作状態に変化は、例えば、接触の有無、接触の現在位置情報、接触位置の変化などである。位置情報は、例えば、接触された位置に対応するchストリップを示す位置情報、或いは、スライド操作受付部16における絶対位置を示す位置情報、或いは、接触開始位置を起点とする相対的位置情報など、どのような位置情報でもよいし、或いは、それらの組み合わせでもよい。
【0037】
次に、CPU10は、前記検出された操作状態の変化に相当するスライド操作受付部16の操作内容を、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値(chストリップ30それぞれの割当ch)の変更を指示する情報(変更内容を特定する情報)として、検出する。検出される操作内容は、例えば、スライド操作の開始位置、スライド操作の終了位置、開始位置から現在位置までの操作幅、操作方向、操作速度などである。そして、CPU10は、前記検出された操作内容を解析して、現在スライド操作受付部16で受け付けているスライド操作が、(1)新たなスライド操作の開始操作、(2)スライド操作の継続操作、又は、(3)スライド操作の終了操作のいずれに該当するかを判断する。
【0038】
(1)開始操作は、新たなスライド操作の開始である。例えば直前までスライド操作受付部16の接触面への接触が無い状態から新たな接触が発生したとき、CPU10は、スライド操作の開始(開始操作)があったものと判断できる。(2)継続操作は、スライド操作を連続的に(継続的に)受け付けている最中である。例えば、スライド操作受付部16の接触面への指の接触が継続しており、その接触位置が変更されたとき、CPU10は「継続操作」を受け付けていると判断できる。(3)終了操作は、直前まで継続中だったスライド操作(継続操作)が終了することである。例えばスライド操作受付部16の接触面への指の接触がなくなったとき、或いは、所定時間以上、接触位置の変化がないとき、CPU10は、スライド操作の受け付けが、連続せずに、完了した(終了操作があった)ものと判断できる。そして、CPU10は、解析された(判断された)操作内容(操作状態の変化に相当する操作内容)に応じて、以下に詳述する処理を実行する。
【0039】
スライド操作受付部16で新たなスライド操作が開始したとき(開始操作があったものと判断したとき)、CPU10は、この開始操作に関する各種操作情報を、フラッシュメモリ11に保持する。開始操作に関する操作情報として保持するのは、例えば、スライド操作の開始位置や、操作方向などである。或るスライド操作の開始操作以降、CPU10は、今回開始したスライド操作による接触位置の連続的変化(継続操作)、或いは、そのスライド操作の終了(終了操作)を、チェックする。
【0040】
図4は、継続操作があったと判断したときに、CPU10が実行する継続操作処理のフローチャートである。ステップS1において、CPU10は、当該継続操作に関する各種操作情報をフラッシュメモリ11に保持する。保持される継続操作に関する各種操作情報は、例えば、スライド操作の現在位置、操作方向、操作幅(前回検出位置から、或いは、このスライド操作の開始位置から、現在位置までの幅)、操作速度、操作加速度などである。この継続操作に関する各種操作情報は、当該継続操作によってスライド操作受付部16が連続的に受け付けた操作対象のパラメータの値を変更する指示に対応する。
【0041】
ステップS2において、CPU10は、前記ステップS1で保持した操作情報に基づいて(操作情報に連動させて)、chストリップ30のchストリップ表示部34の表示内容の変化量を決定する。具体的には、操作情報のうち操作方向に合わせて、表示内容の変化方向(表示内容を移動させる方向)を決定し、操作情報のうち操作幅、操作速度、操作加速度に合わせて、表示内容の変化量(表示内容をずらす量)を決定する。そして、決定した変化量に応じて、全てのchストリップ30のchストリップ表示部34の表示内容を更新する。この表示内容の変化量は、当該継続操作によって指示された、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値の変化(移動)に相当する。表示内容の変化量は、例えば1chのch名を構成する文字列の1文字分の表示幅単位など、1ch分の表示単位よりも細かい単位で決定する。そして、CPU10は、当該ステップS2において、chストリップ30chストリップ表示部34の表示内容を、前記決定された変化量だけ、操作方向に隣接するchストリップ30それぞれのchストリップ表示部34へ、ずらすように、表示内容の更新を行う。このとき、前記ステップS1で保持した操作情報(今回の操作情報の変化)に応じて更新する情報は、chストリップ30上で報知されている割当chの情報のうち、chストリップ表示部34の表示内容のみとし、当該表示内容以外の情報(例えば、フェーダ33のつまみ部の位置を使って報知されている音量レベル)は更新せず、以前の情報を保持するものとする。また、chストリップ表示部34において更新される表示内容は、割当chに関する情報であり、例えばch名(ch名表示部34a)と、ch色(ch色表示部34b)とである。
【0042】
スライド操作が継続している最中(継続操作中)、CPU10は、上述した
図4の続操作処理を繰り返す。これにより、chストリップ表示部34の表示内容の並び全体が、当該継続中のスライド操作に略リアルタイムで連動して、スクロールする。すなわち、CPU10は、スライド操作受付部16において割当chを切り替える指示を連続的(継続的)に受け付けている最中は、chストリップ表示部34の表示内容(第1報知部によって報知される第1情報)を、当該連続的に受け付けている指示に合わせて、連続的に更新する一方、chストリップ30それぞれに割り当てる割当chや、表示内容以外の割当chに関する情報の報知(フェーダ33の位置)を更新せずに、スライド操作の開始時点の状態を維持する(第1報知部の動作)。従って、chストリップ30それぞれのフェーダ33の位置は自動制御されず、動かない。また、chストリップ30それぞれに割り当てる割当ch(ch番号)自体も、この時点では変更されない。
【0043】
前記ステップS2によるchストリップ表示部34の表示更新の具体例を、
図5(a)〜(d)を参照して説明する。ここでは、一例として、4本のchストリップ30a,30b,30c,30dに対する割当候補のchとしてch番号4,5,6,7,8および9の6本のchがあるものとし、これらch番号4〜9それぞれのch名が、「abc」,「123」、「def」、「456」、「ghi」、「789」とする。そして、
図5(a)に示すスライド操作の開始時点において、chストリップ30a,30b,30c,30dそれぞれの割当chが、左から順に、ch番号5、ch番号6、ch番号7、ch番号8とする。各chストリップ30a〜30dのch名表示部34aには、ch番号5〜8それぞれのch名、「123」、「def」、「456」、「ghi」が表示される。また、各chストリップ30a〜30dのch色表示部34bには、各割当ch(ch番号5〜8)に設定されたそれぞれ異なるch色が表示される。
【0044】
図5(a)〜(d)では、ドラッグ操作の具体例として、
図5(a)において、chストリップ30に相当する位置で点50に示す位置に指を接触させ、(b)、(c)において、接触したまま接触面上で指を左方向にずらし、(d)において、点50´の位置で指を離す(接触を終了する)ドラッグ操作を想定する。この場合、接触位置の左方向への移動(連続的変化)に連動して、chストリップ表示部34に表示する表示内容全体が、ch番号5〜8を表すch名「123」、「def」、「456」、「ghi」及びch番号5〜8を表す各ch色から、徐々に、ch番号6〜9を表すch名「def」、「456」、「ghi」、「789」及びch番号6〜9を表す各ch色に移動する。この表示内容の移動は、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値の移動と連動しており、そのパラメータの値が移動していることを視覚的に表現している。
【0045】
例えば、右から2番目のchストリップ30cのch名表示部34aの表示内容は(a)の開始時点では「456」であったところ、左方向へのスライド操作に伴い、(b)、(c)、(d)に示す通り「56g」、「6gh」、「ghi」と徐々に変化する。すなわち、chストリップ30cのch名表示部34aの右端から徐々に、ch番号7とは操作方向後方(右側)に隣接する(つまりch番号の大きい)ch番号8のch名「ghi」が表れてくる一方、ch番号7のch名「456」は、当該文字列のうち操作方向前方(左側)に位置する文字から順に当該表示部34aから徐々に抜けて、操作方向前方(左側)に隣接するchストリップ30bに移動する。chストリップ30cのch色表示部34bのch色も、ch名と同様に、操作方向に沿って当該ch番号7に後続するch番号8のch色に徐々に変更される一方、ch番号7を示すch色は左隣のchストリップ30bに徐々に移動する。すなわち、CPU10は、継続操作の最中、1ch分の表示内容(例えばch名「456」)を、隣接する2つのchストリップ30の間にまたがって表示しながら、徐々に、スライド操作方向に隣接するchストリップ30のchストリップ表示部34へ移動する。
【0046】
また、右端に位置するchストリップ30dのch名表示部34の表示内容は、左方向へのスライド操作に伴い、(b)、(c)、(d)に示す通り、ch番号8とは操作方向後方(右側)に隣接する(つまりch番号の大きい)ch番号9のch名「789」と、ch色とに徐々に変更される。つまり、4つのchストリップのうち、操作方向後方側の一番端に位置するchストリップのchストリップ表示部34には、スライド操作に伴い、操作方向後方側に隣接する(ch番号がchの移動方向側に隣接する)chに関する情報が新たに、徐々に現れる。この新たに現れるchは、当該スライド操作開始時点では、いずれのchストリップにも割当chとして設定されていなかったchである。一方、操作方向前方側の一番端に位置するchストリップ(
図5の例では左端のchストリップ30a)のchストリップ表示部34の表示内容は、スライド操作に伴い、当該chストリップ(30a)から操作方向前方側(左側)に徐々に抜けていく。
【0047】
図6は、終了操作があったと判断したときに、CPU10が実行する終了操作処理のフローチャートである。ステップS3において、CPU10は、終了操作に関する各種操作情報を、フラッシュメモリ11に保持する。終了操作に関する各種操作情報は、今回の終了操作で終了した一連のスライド操作(つまり、指を接触面に接触させてから、その指を離すまでの1回分のスライド操作)に関する操作情報であり、例えばスライド操作の終了位置、操作方向、開始位置から終了位置までの操作幅(操作距離)、操作速度、及び、終了時点の操作加速度などである。
【0048】
ステップS4において、CPU10は、前記ステップS3で保持した操作情報に基づいて、各chストリップ30に対する新たな割当chを決定する。スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値(chストリップ30に対する割当ch)自体は、当該終了操作の時点までのスライド操作(継続操作)として連続的に受け付けた操作対象のパラメータの値を変更する指示に連動して、徐々に移動している。C
PU10は、そのパラメータの値の移動の経過をふまえて、各chストリップ30の最終的な割当chを最終的に決定する。この割当chの決定は、前述した継続操作処理時の表示更新における更新単位(ch単位よりも細かい単位)とは異なり、ch単位で行われる。例えば、CPU10は、今回のスライド操作の開始位置から終了位置までの操作幅と操作方向とに基づいて、割当chのずらし量を決定する。そして、CPU10は、操作開示時点のchストリップ30それぞれの割当chを、決定されたずらし量に応じて、操作方向と同じ方向へ、ch番号順の並び順を保ったままずらす(スクロールする、移動する)ことにより、chストリップ30それぞれの新たな割当chとして決定する。
【0049】
ステップS5において、CPU10は、前記ステップS4で決定した新たな割当chに基づいて、全chストリップ30の割当chを更新する。ドラッグ操作の場合、全chストリップ30それぞれの割当chが、ドラッグ操作の操作幅に応じたch数分だけ、そのドラッグ操作方向へch番号順にずれる(変更される)。すなわち、開始位置に相当するchストリップ30の割当chを、終了位置に相当する別のchストリップ30の割当chへずらすとともに、その他の全てのchストリップ30の割当chも、前記すらす量と同じ量だけ前記ずらす方向と同じ方向にずらす。例えば、
図5(a)〜(d)に示すように、1ch分のドラッグ操作を行った場合、全chストリップ30a〜30dそれぞれの割当chは、ch番号5〜8から、ch番号6〜9にずれる。ドラッグ操作の場合、ユーザは、或るchストリップ30の割当chを、別のchストリップ30までずらす、という感覚で、手間をかけず直感的に割当chを変更できる。
【0050】
そして、CPU10は、当該ステップS5において、chストリップ30それぞれに新たに割り当てられた割当chに応じて、全chストリップ30における各種設定内容を更新する。具体的には、CPU10は、chストリップ30それぞれの新たな割当chのパラメータの値(音量レベルの値)に応じて、各chストリップ30の可動フェーダ33を自動制御により駆動して、つまみ部の位置を更新する。すなわち、CPU10は、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値を変更する指示の受付が、連続せずに完了したときに、フェーダ33の位置によって報知される情報(第2報知部によって報知される第2情報)を、当該受け付け完了した指示(1回分のスライド操作)に合わせて更新する(第2更新部の動作)。従って、ドラッグ操作の最中にフェーダ33が無駄に動かさずに済む。
【0051】
また、CPU10は、当該ステップS5において、各chストリップ表示部34の表示内容を、前記ステップS4で決定された割当chに応じて更新する。CPU10は、当該ステップS5での表示内容の更新により、各chストリップ表示部34の表示内容を、前記決定された割当chを示す1ch分の表示内容に確定できる。また、CPU10は、当該ステップS5において、前記ステップS4で決定した新たな割当chを示すデータをPC200に送信する。前記データを受信したPC200は、例えば、DAWの実行画面に表示される割当chを示す表示を更新するなど、今回行われた割当chの変更に対応する処理を行う。
【0052】
スライド操作には、前述したドラッグ操作の他に、フリック(掃う)操作と、バンクフリック操作とがある。ドラッグ操作は、終了時に、接触位置の移動を止めて又は略止めて、接触を離す操作であり、接触面上で指を掃わない操作、つまり終了時点で加速度がないか又は加速度が微小なスライド操作である。これに対して、フリック操作は、終了時に、接触面上で指を掃う(滑らせる)操作であり、終了時点で加速度がある。バンクフリック操作は、終了時点の加速度が大きいフリック操作であり、フリック操作よりも勢い良く指を掃う操作である。
【0053】
CPU10は、例えば、スライド操作受付部16の操作状態の変化に相当する操作内容として、前述した「終了操作」があったと判断したときに、その終了時点の操作情報のうち加速度に基づいて、今回受け付けたスライド操作の種類が、ドラッグ操作(加速度なし)、フリック操作(加速度あり、且つ、加速度が規定値より小の場合)と、バンクフリック操作(加速度あり、且つ、加速度が規定値より大の場合)のいずれであるかを確定できる。
【0054】
フリック操作の場合、スライド操作が終了した後(接触面から指が離れた後)も、
図5の終了操作処理を開始せずに、
図4の継続操作処理を続行することで、スライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値の更新を継続し、chストリップ表示部34の表示内容の連続的な更新(スクロール)を継続する。スライド操作の終了後の更新は、当該フリック操作の操作速度に応じた時間で、表示内容のスクロールの移動速度(更新速度)が次第に遅くなり、最終的に自動停止するように制御するとよい。そして、表示内容のスクロールが停止した時点で、CPU10は前述した終了操作処理を行う。CPU10は、フリック操作により行われたスライド操作受付部16の操作対象のパラメータの値の更新結果(スクロール停止時点の表示内容)に基づいて、chストリップ30それぞれの割当chを変更する。なお、表示内容のスクロール途中で、スライド操作受付部16に再接触することにより、表示内容のスクロールを手動停止できてもよい。
【0055】
また、バンクフリック操作の場合は、CPU10は、例えば16chずつなど所定枠(所定ch数)単位で、全chストリップ30のch表示部34の表示内容を更新し、且つ、全chストリップ30それぞれの割当chを更新する。これら更新を所定枠(所定ch数)単位で行う点以外は、CPU10が実行する処理は、前述した
図4の継続操作処理及び
図6の終了操作処理と同様である。
【0056】
フリック操作又はバンクフリック操作の場合、1回のフリック操作又はバンクフリック操作を行うだけという簡単な操作で、手間をかけずに直感的に割当chを変更できる。特に、割当chを大幅に変更する操作が簡便になる。
【0057】
フリック操作及びバンクフリック操作いずれの場合も、CPU10は、「継続操作中」は割当chの情報に関する表示内容の更新のみ行い、フェーダ33の位置の自動制御を行わず、「終了操作」のときに各chストリップ30の新たな割当chが確定してから、フェーダ33の位置を自動制御して動かす。従って、フリック操作又はバンクフリック操作の場合も、スライド操作の最中にフェーダ33を無駄に動かさないで済む。
【0058】
スライド操作受付部16以外の操作子の操作に応じてCPU10が実行する動作についても簡単に説明する。いずれかのchストリップ30のノブ31,32又はフェーダ33が操作されたときは、そのchストリップ30にその操作時点で割り当てられている割当ch(そのchストリップの現在の割当ch)のパラメータの値が変更される。すなわち、CPU10は、今回操作された操作子の操作量や操作方向などに基づいて、調整量を決定し、該操作された操作子が属するchストリップ30の割当chにおける、該操作された操作子が操作対象としているパラメータの現在値(カレントデータ)を、決定した調整量に基づき更新する。CPU10は、その更新結果を、PC200に通知して、PC200で起動中のDAWの処理に更新結果を反映させる。
【0059】
以上説明した通り、本実施例によれば、スライド操作受付部16に対するスライド操作により、或るchストリップ30から別のchストリップ30へ割当chをずらす)感覚で、複数のchストリップ30それぞれの割当chを変更できるようになる。これにより、複数のchストリップ30の割当chを変更する操作の操作性が向上する。かかるスライド操作による割当chを変更の操作方法は、或るchストリップ30から別のchストリップ30へ割当chを変更する(ずらす)という行為に直接的に対応しているので、割当chの変更を、きわめて直感的な操作で行える。
【0060】
このように操作性に優れたスライド操作受付部16を、chストリップ30内に配置するので、チャンネルストリップのその他の操作子(ノブ31,32,フェーダ33)の操作を行っている最中にも、直感的にわかり易い操作方法で、手間をかけずにchストリップ30の割当chを変更できるようになる。
【0061】
更に、スライド操作受付部16は、2以上の複数のchストリップ30に横断させるように配置されることにより、及び、複数のchストリップ30の並び方向がスライド操作の操作方向となるようにスライド操作受付部16が配置されることにより、複数のchストリップ30の割当chをずらす操作が、より一層直感的に行えるようになる。また、スライド操作受付部16が、ユーザから見てフェーダ33よりも奥(図では上側)の位置に配置されるので、フェーダ33の操作との一連の動き・流れの中で、上記の複数のchストリップ30の並び方向へのスライド操作を、行いやすくなる。また、スライド操作受付部16が、chストリップ表示部34の近傍(図では直ぐ下)に配置されるので、chストリップ表示部34の視認性を妨げられることなく、その表示内容を確認しながらスライド操作受付部16を使った割当ch変更を行うことができ、操作性に優れる。
【0062】
また、本実施例によれば、割当chを切り替える指示を連続的に受け付けている最中は、chストリップ30それぞれのchストリップ表示部34の表示内容のみを更新して、可動フェーダ33のつまみ位置を更新しないので、フェーダ33を不必要に疲労させることがなくなり、また、ユーザに視覚的に煩わしさを与えず、ユーザを不必要に疲労させない、更には、割り当てチャンネルを連続的に切り替える(変更する)操作の邪魔にならず、且つ、chストリップ表示部34の表示により割当chの連続的な変更状況を容易に確認できる、という優れた効果を奏する。
【0063】
なお、前述した全chストリップ30に備わるスライド操作受付部16全体を1つのスライド操作受付部とみなす構成において、一部のchストリップ30のパラメータの値(例えば1つのchストリップ30の割当ch)のみを調整するようにしてもよい。また、一部(例えば1つ)のchストリップ30のスライド操作受付部を1つのスライド操作受付部とみなし、一部のchストリップ30のパラメータの値(例えば1つのchストリップ30の割当ch)のみを調整するようにしてもよい。また、一部(例えば1つ)のchストリップ30のスライド操作受付部を1つのスライド操作受付部とみなして、全chストリップ30のパラメータの値を調整するようにしてもよい。
【0064】
なお、スライド操作受付部16は、全chストリップ30に配置せず、一部のchストリップ30にのみ配置される構成でもよい。その場合も、隣接した複数のchストリップ30にスライド操作受付部16を配置して、一部のchストリップ30に配置された複数のスライド操作受付部16を連結して1つのスライド操作受付部として機能させるように構成するとよい。
【0065】
なお、1つのchストリップ30内でのスライド操作受付部16の配置位置は、chストリップ表示部34の下側に限らず、例えばchストリップ表示部34の上側などchストリップ表示部34の近傍の適宜の位置でもよい。また、1つのchストリップ30内でのスライド操作受付部16の配置位置は、フェーダ33の上側に限らず、例えばフェーダ33の下側など、フェーダ33の近傍の適宜の位置でもよい。
【0066】
なお、スライド操作受付部16自体に、操作対象のパラメータの値(割当ch)に関する情報を表示する表示部(chストリップ表示部34)を具備する構成でもよい。すなわち、スライド操作受付部16自体がLEDや液晶ディスプレイを含んで構成されてもよい。
【0067】
なお、スライド操作受付部16は水平方向に直線状に延びる帯状の形状に限定されず、スライド操作を受け付けられる形状であればよい。例えば、全chストリップ30に備わるスライド操作受付部16全体で、又は、個々のスライド操作受付部16が、円弧状の外形を有してもよいし、或いは、スライド操作受付部16が矩形の外形を有してもよい。
【0068】
なお、スライド操作受付部16は、スライド操作を受け付けることができる(スライド操作を検出できる)構成でさえあればよく、例えばタブレット端末等の携帯型汎用コンピュータ装置をスライド操作受付部として利用できる。
【0069】
なお、報知制御を特徴とする発明においては、受付部の構成はパラメータの値を変更する指示を連続的に受け付けられるものであれば、実施例のようなスライド操作を受け付けるスライド操作受付部の形状に限られることなく、例えば、2つのスイッチを使ったスイッチ操作などを採用してもよい。
【0070】
なお、操作部の配置を特徴とする発明、及び、報知制御を特徴とする発明においては、スライド操作受付部16の操作対象は、例えばバランス、パン、音楽コンテンツの再生位置指定など、その他適宜のパラメータの値でよい。スライド操作受付部16の操作対象のパラメータとしては、複数chでまとめて共通の値に調整する種類のパラメータが適している。
【0071】
なお、チャンネル割当の変更制御を特徴とする発明、及び、報知制御を特徴とする発明においては、スライド操作受付部16は、chストリップ30又はchストリップセクション35に配置される構成に限らず、操作パネル上のその他適宜の場所に配置される構成であってもよい。
【0072】
なお、本発明を、タブレット型コンピュータ装置(タブレット)を本発明の操作装置として機能させるためのアプリケーションプログラム(タブレットアプリ)として構成してもよい。
【0073】
コントローラ100を利用する音楽制作システムの構成は、
図1の例に限らず、コントローラ100を用いて制御対象のDAWを制御できる構成でさえあればよい。例えば、コントローラ100とDAWを物理的に一体的に構成(コントローラ100が、DAWを実行し、音楽制作装置として機能する構成)でもよい。また、
図1に示すシステム構成において、ネットワークハブ210は必須でなく、例えばPC200とコントローラ100を直に接続するシステム構成など、制御対象のDAWを実行するPC200とコントローラ100が相互に通信可能に接続できさえすればよい。
【0074】
なお、本願発明は、前述したDAW用のコントローラ100に限らず、例えばデジタルミキシングコンソール(デジタルオーディオミキサ)など、信号処理chの操作部を複数具備する操作装置ならば、どのような装置にも適用可能である。例えばデジタルミキシングコンソールは、
図2において点線で示す通り、電気的ハードウェア構成要素として、バス17に接続された信号処理部18を持ち、内部でミキシング処理等のオーディオ信号処理を行う点で前述のコントローラ100と異なる。信号処理部18は、CPU10の指示に基づいて各種のマイクロプログラムを実行することにより、メモリ11に記憶されたカレントデータに基づいて、通信I/O12経由で入力されたオーディオ波形データに対する各種信号処理を行う。処理後のオーディオ波形データは、通信I/O12を介して出力される。オーディオ波形データに対する信号処理は、例えばch毎のオーディオ波形データの音量レベル制御、ch毎のオーディオ波形データの効果付与、及び、複数chのオーディオ波形データのミキシング処理等を含む。デジタルミキシングコンソールは、信号処理部18の信号処理に用いる複数chの一部を、操作パネルに備わるchストリップ30(
図3)に呼び出すことができる。その他は、前述の本願発明のコントローラ100と共通に構成でき、それにより前述した本願発明と同様の効果を奏する。