【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制限を受けるものではない。
<BET比表面積の測定方法>
下記の実施例及び比較例で用いた珪藻土のBET比表面積は、日本ベル社製 BELSORP miniIIを用いて測定した。なお、各珪藻土は日本ベル社製 BELSORP-vacIIにより300℃/3時間の前処理を行った後に、BET比表面積を測定した。
【0026】
(実施例1)
(1)100mL耐圧ネジ口瓶を反応容器として用いた。
(2)有機物吸着材として珪藻土(小宗科学薬品工業株式会社製 けいそう土試薬 Lot.G1D3004)2.7重量%、及び鉄錯体を含む溶液を過酸化物活性化剤として用いた。この小宗科学薬品工業製けいそう土のBET比表面積は38.1m
2/gであった。なお、鉄錯体は、キレート剤としてグリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA、キレスト社製「キレストGEA」)、鉄塩としてFeSO
4・7H
2O(和光純薬製特級試薬)を用いて、キレート剤/鉄イオンのモル比が1、かつ鉄イオン濃度が1500mg/Lとなるように調整した。
(3)pH緩衝剤として440mM炭酸水素ナトリウム/0.875mM炭酸ナトリウム水溶液を用いた。
(4)分解対象として市販の灯油を用いた。
(5)94mLの超純水を反応容器に入れ、次いで前記(2)の過酸化物活性化剤1mL、前記(3)のpH緩衝剤4mLを添加した。さらに1.5重量%の過酸化水素水溶液1mLを加えた。
(6)前記(4)の灯油を12μL添加した後、直ちに密栓した。
(7)TAITEC社製ストロングシェーカーSR−2Sに密栓した反応器を固定し、300回振盪/分にて22℃で20時間振盪させた。
(8)所定時間経過後開封し、灯油抽出用としてn−ヘキサン10mLを添加し、再び密栓した。
(9)前記(7)の振盪機にて30分振盪し、次いで30分静置した。
(10)無水硫酸ナトリウムを入れた2mLオートサンプラー用バイアルにヘキサン層を分取し、GC−FID分析に供した。
(11)灯油の定量方法はEPA(アメリカ環境保護局)8015Bに従い行った。
(12)前記(5)において前記(2)の過酸化物活性化剤1mLを100mLの超純水に添加したものを調製し、前記(6)以降の操作を行ったものをリファレンスとした。
(13)灯油の分解率は下記式により求めた。
【0027】
{灯油分解率(%)}={前記(10)にて抽出された灯油}/{リファレンスにて抽出された灯油}×100
なお、有機物吸着材より回収される灯油の回収率は、回収される量によらず一定とした。上記試験の結果、灯油分解率は79.9%であった。
【0028】
(実施例2)
キレート剤としてニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP、キレスト社製「キレストPH−320」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は71.9%であった。
(実施例3)
キレート剤としてL−アスパラギン酸二酢酸(ASDA、三菱レイヨン社製)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は71.0%であった。
(実施例4)
キレート剤としてタウリン二酢酸(ESDA、キレスト社製「キレストESDA−30」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は70.1%であった。
(実施例5)
キレート剤としてヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA、キレスト社製「キレストE−20」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は67.6%であった。
【0029】
(実施例6)
キレート剤としてヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP、キレスト社製「キレストPH−212」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は66.6%であった。
(実施例7)
キレート剤として1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH、キレスト社製「キレストRA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は65.0%であった。
(実施例8)
キレート剤としてフィチン酸(東京化成工業社製試薬)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は63.4%であった。
(実施例9)
キレート剤としてメチルグリシン二酢酸(MGDA、BASF社製「TRILON M」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は56.5%であった。
【0030】
(実施例10)
キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は56.1%であった。
(実施例11)
キレート剤としてL−グルタミン酸二酢酸(GLDA、キレスト社製「キレストCMG−40」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は55.3%であった。
(実施例12)
キレート剤としてホスホノブタントリカルボン酸(PBTC、キレスト社製「キレストPH−430」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は52.5%であった。
(実施例13)
キレート剤として(S,S)−エチレンジアミンジコハク酸(EDDS、キレスト社製「キレストEDDS−35」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は52.5%であった。
【0031】
(実施例14)
実施例1の(2)において珪藻土の濃度を5.3重量%とし、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は56.3%であった。
(実施例15)
実施例1の(2)において鉄イオン濃度を500mg/Lとし、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は58.2%であった。
(実施例16)
実施例1の(2)において鉄イオン濃度を3000mg/Lとし、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は54.7%であった。
(実施例17)
実施例1の(2)において、有機物吸着材としてイソライト工業社製珪藻土 イソライトDPを用い、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は67.0%であった。このイソライト工業製イソライトDPのBET比表面積は24.5m
2/gであった。
(実施例18)
実施例1の(2)において、有機物吸着材として昭和化学工業社製珪藻土 ラヂオライトSPFを用い、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は70.1%であった。この昭和化学工業製ラヂオライトSPFのBET比表面積は31.8m
2/gであった。
【0032】
(比較例1)
実施例1の(2)において活性炭水性分散液(三菱ガス化学社製「ダイヤフレッシュ オルソンAT」)を有機物吸着材として用い、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は33.5%であった。
(比較例2)
実施例1の(2)において有機物吸着材としてモレキュラーシーブス3Aを粉砕して用い、キレート剤としてヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA、キレスト社製「キレストHA」)を用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は10.0%であった。
(比較例3)
実施例1の(2)において、鉄錯体を含まない溶液を過酸化物活性化剤として用いた以外は実施例1と同様に試験を行った結果、灯油分解率は46.0%であった。
【0033】
なお、上記実験(実施例1〜18、比較例1〜3)における反応場のpHは何れも6〜8であった。