特許第5846126号(P5846126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5846126芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5846126
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/00 20060101AFI20151224BHJP
   C07C 33/26 20060101ALI20151224BHJP
   C07C 33/22 20060101ALI20151224BHJP
   C07C 33/34 20060101ALI20151224BHJP
   C07D 213/30 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   C07C29/00
   C07C33/26
   C07C33/22
   C07C33/34 B
   C07D213/30
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-549890(P2012-549890)
(86)(22)【出願日】2011年12月22日
(86)【国際出願番号】JP2011079924
(87)【国際公開番号】WO2012086808
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月4日
(31)【優先権主張番号】特願2010-288352(P2010-288352)
(32)【優先日】2010年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-237443(P2011-237443)
(32)【優先日】2011年10月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神原 豊
(72)【発明者】
【氏名】阿部 崇文
(72)【発明者】
【氏名】伏見 則夫
【審査官】 松本 淳
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/016049(WO,A1)
【文献】 特開昭59−163332(JP,A)
【文献】 特開2000−302709(JP,A)
【文献】 特開昭59−157039(JP,A)
【文献】 特開昭63−002935(JP,A)
【文献】 特開2002−020332(JP,A)
【文献】 Deka D.C. et al.,Acid Catalysed Pressure Synthesis of N-ethylbenzylamine from Benzylamine and Ethanol,J. Chem. Tech. Biotechnol.,1988年,Vol.41,pp.95-104
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 1/00−409/44
C07B 31/00− 63/00
C07D 213/00−213/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香環又は複素芳香環に置換基として−CHR1NR23(R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基である)を少なくとも1つ有する芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンと、アルコールとを塩基性触媒下で反応させることを特徴とする芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【請求項2】
前記芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンが、以下の式(1)〜(4)で表される化合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【化1】
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基であり、R4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基、アミノ基及びハロゲン原子から選択され、並びにmは0〜5の整数、nは1〜4の整数、oは0〜7の整数、pは1〜4の整数、qは0〜4の整数、rは1〜3の整数、sは0〜3の整数及びtは1〜2の整数であって、m+nは1〜6、o+pは1〜8、q+rは1〜5及びs+tは1〜4である)
【請求項3】
前記芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンが以下の式(5)〜(7)で表される化合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【化2】
(式中、R6は水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基及びハロゲン原子から選択され、並びにmは0〜5の整数、nは1〜4の整数、oは0〜7の整数、pは1〜4の整数、qは0〜4の整数及びrは1〜3の整数であって、m+nは1〜6、o+pは1〜8及びq+rは1〜5である)
【請求項4】
前記塩基性触媒が金属ナトリウム、金属カリウム、ナトリウム化合物及びカリウム化合物から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【請求項5】
前記アルコールは、炭素数1〜11の直鎖の若しくは分岐したアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基又はフェニル基により置換された炭素数1〜3のアルキル基に、水酸基が結合したアルコールであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【請求項6】
反応系に水を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【請求項7】
反応系にアンモニアを添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族アルコール及び複素環式芳香族アルコールは、医薬および農薬等の原料として、あるいは可塑剤及び塗料用溶剤として用いることができるため有機合成化学上有用な化合物である。芳香族多価アルコール及び複素環式芳香族多価アルコールは、合成繊維及び合成樹脂等の高分子物質、例えばポリエステルおよびポリウレタンの原料として重要な化合物である。
【0003】
芳香族アルコールの工業的製造方法として以下の方法が知られている。特許文献1は芳香族カルボン酸エステルを接触水素化する方法、特許文献2はベンジルクロライドを加水分解する方法、及び特許文献3はベンジルアミンと亜硝酸塩を反応させてジアゾ化した後に分解する方法を開示している。
【0004】
しかしながら、これらの方法は以下の問題点を有するため、工業的な製造に必ずとも適しているとはいえない。すなわち、特許文献1に記載の方法は高温及び高圧を必要とするため、目的とするアルコールがさらに還元されて副生物として芳香族炭化水素が生成しやすい。特許文献2に記載の方法は塩素を使用するために、装置の腐食や副生する塩の処理が問題となる。特許文献3に記載の方法は高価な亜硝酸塩が原料として必要であり、さらに副生する塩の処理に問題がある。
また、複素環式芳香族アルコールの工業的に有用な製造法は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−279282号公報
【特許文献2】特開平6−9458号公報
【特許文献3】特開昭59−157039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、芳香族アルコール及び複素環式芳香族アルコールを工業的に効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンと、アルコールとを塩基性触媒下で反応させることにより容易に芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールが製造できる事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、芳香環又は複素芳香環に置換基−CHR1NR23(R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基である)を少なくとも1つ有する芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンと、アルコールとを塩基性触媒下で反応させることを特徴とする芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法によれば、安価な原料から芳香族アルコール及び複素環式芳香族アルコールを効率よく製造する事が出来るため、工業的に極めて有利である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、芳香環又は複素芳香環に置換基として−CHR1NR23(R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基である)を少なくとも1つ有する芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンと、アルコールとを塩基性触媒下で反応させることにより芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールを製造する方法に関する。以下の式(1)〜(4)で表される化合物から選択される芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンが好ましい:
【化1】
(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜4のアルキル基又はベンジル基であり、R4は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基及びハロゲン原子から選択され、並びにmは0〜5の整数、nは1〜4の整数、oは0〜7の整数、pは1〜4の整数、qは0〜4の整数、rは1〜3の整数、sは0〜3の整数及びtは1〜2整数であって、m+nは1〜6、o+pは1〜8、q+rは1〜5及びs+tは1〜4である)。
【0010】
上記の一般式で表される芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンの中でも以下の式(5)〜(7)で表される化合物が典型例として挙げられる:
【化2】
(式中、R6は水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アミド基及びハロゲン原子から選択され、並びにmは0〜5の整数、nは1〜4の整数、oは0〜7の整数、pは1〜4の整数、qは0〜4の整数及びrは1〜3の整数であって、m+nは1〜6、o+pは1〜8及びq+rは1〜5である)。
【0011】
芳香族アミン又は複素環式芳香族アミンとアルコールとの反応は、例えば以下の反応式(8)及び(9)で示される。
【化3】
(式中R1〜R4、m、n、q及びrは上記した定義の通りであり、R5は炭素数1〜11の直鎖の若しくは分岐したアルキル基又はシクロアルキル基、又はフェニル基により置換された炭素数1〜3のアルキル基)。
本発明の製造方法では、芳香環又は複素芳香環に置換基として−CHR1OH(R1の定義は上記の通り)を少なくとも1つ有する芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールが生成する。上記反応式から明らかなように原料アルコールのヒドロキシル基がアミノ基で置換されたアルキルアミンが同時に生成する。
【0012】
本発明の製造方法に用いる芳香族アミンは、芳香環に置換基として−CHR1NR23(R1、R2及びR3は上記した定義の通り)を少なくとも1つ有する芳香族アミンであれば特に限定されない。
芳香環がベンゼン環である芳香族アミンとして、例えばベンジルアミン及びそのアミノメチル基の水素をアルキル基で置換した2級及び3級アミン、ベンゼン環にアミノメチル基が複数結合したポリ(アミノメチル)ベンゼン及びそのアミノメチル基の水素をアルキル基に置換した2級、3級アミン、並びにベンゼン環の水素を置換した置換ベンジルアミンが挙げられる。ベンゼン環の置換基として、メチル基、エチル基、直鎖の及び分岐したプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、直鎖の及び分岐したプロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基等の炭素原数1〜10のアルコキシ基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミド基、アミノ基並びに塩素原子、フッ素原子及び臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
【0013】
具体的な例として、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、オルトキシリレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,3,5−トリ(アミノメチル)ベンゼン、1,2,4−トリ(アミノメチル)ベンゼン、1,2,4,5−テトラ(アミノメチルベンゼン)、N−メチルベンジルアミン、N−エチルベンジルアミン、N−プロピルベンジルアミン、N−ブチルベンジルアミン、2−メチルベンジルアミン、3−メチルベンジルアミン、4−メチルベンジルアミン、2−エチルベンジルアミン、3−エチルベンジルアミン、4−エチルベンジルアミン、2−プロピルベンジルアミン、3−プロピルベンジルアミン、4−プロピルベンジルアミン、2−ブチルベンジルアミン、3−ブチルベンジルアミン、4−ブチルベンジルアミン、2−ペンチルベンジルアミン、3−ペンチルベンジルアミン、4−ペンチルベンジルアミン、2−ヘキシルベンジルアミン、3−ヘキシルベンジルアミン、4−ヘキシルベンジルアミン、2−ヘプチルベンジルアミン、3−ヘプチルベンジルアミン、4−ヘプチルベンジルアミン、2−オクチルベンジルアミン、3−オクチルベンジルアミン、4−オクチルベンジルアミン、2−ノニルベンジルアミン、3−ノニルベンジルアミン、4−ノニルベンジルアミン、2−デシルベンジルアミン、3−デシルベンジルアミン、4−デシルベンジルアミン、2−シクロヘキシルベンジルアミン、3−シクロヘキシルベンジルアミン、4−シクロヘキシルベンジルアミン、2−フェニルベンジルアミン、3−フェニルベンジルアミン、4−フェニルベンジルアミン、2−ベンジルベンジルアミン、3−ベンジルベンジルアミン、4−ベンジルベンジルアミン、1−フェニルエチルアミン、2−クロロベンジルアミン、3−クロロベンジルアミン、4−クロロベンジルアミン、2−フルオロベンジルアミン、3−フルオロベンジルアミン、4−フルオロベンジルアミン、2−ヨードベンジルアミン、3−ヨードベンジルアミン、4−ヨードベンジルアミン、2−メトキシベンジルアミン、3−メトキシベンジルアミン、4−メトキシベンジルアミン、2−エトキシベンジルアミン、3−エトキシベンジルアミン、4−エトキシベンジルアミン、2−プロポキシベンジルアミン、3−プロポキシベンジルアミン、4−プロポキシベンジルアミン、2−ブトキシベンジルアミン、3−ブトキシベンジルアミン、4−ブトキシベンジルアミン、2−フェノキシベンジルアミン、3−フェノキシベンジルアミン、4−フェノキシベンジルアミン、2−ヒドロキシベンジルアミン、3−ヒドロキシベンジルアミン、4−ヒドロキシベンジルアミン、2−シアノベンジルアミン、3−シアノベンジルアミン、4−シアノベンジルアミン、2−(アミノメチル)ベンズアミド、3−(アミノメチル)ベンズアミド、4−(アミノメチル)ベンズアミド、アミノベンジルアミン及び(ジメチルアミノ)ベンジルアミン等が挙げられる。これらの芳香族アミンは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも得られる芳香族アルコールをポリマー原料として使用する観点から、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンが有用である。キシリレンジアミンは、例えばキシレンのアンモ酸化及び水素化により工業的に製造されている。
【0014】
芳香環がナフタレン環である芳香族アミンとして、例えばナフタレンメチルアミン及びそのアミノメチル基の水素をアルキル基で置換した2級、3級アミン、ナフタレン環にアミノメチル基が複数結合したポリ(アミノメチル)ナフタレン及びそのアミノメチル基の水素をアルキル基で置換した2級、3級アミン、並びにナフタレン環の水素を置換した置換ナフタレンメチルアミンが挙げられる。ナフタレン環の置換基として、メチル基、エチル基、直鎖の及び分岐したプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の1〜10個の炭素原子を有するアルキル基;シクロヘキシル基;フェニル基;ベンジル基;メトキシ基、エトキシ基、直鎖の及び分岐したプロポキシ基、ブトキシ基等の1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミド基、アミノ基並びに塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
【0015】
具体的な例として、1−ナフタレンメチルアミン、2−ナフタレンメチルアミン、N−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、N−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、2−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、3−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、4−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、5−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、6−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、7−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、8−メチル−1−ナフタレンメチルアミン、1−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、3−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、4−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、5−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、6−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、7−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、8−メチル−2−ナフタレンメチルアミン、2−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、3−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、4−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、5−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、6−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、7−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、8−エチル−1−ナフタレンメチルアミン、1−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、3−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、4−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、5−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、6−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、7−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、8−エチル−2−ナフタレンメチルアミン、2−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、3−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、4−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、5−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、6−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、7−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、8−ブチル−1−ナフタレンメチルアミン、1−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、3−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、4−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、5−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、6−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、7−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、8−ブチル−2−ナフタレンメチルアミン、2−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、3−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、4−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、5−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、6−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、7−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、8−ヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、1−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、3−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、4−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、5−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、6−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、7−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、8−ヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、2−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、3−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、4−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、5−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、6−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、7−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、8−デシル−1−ナフタレンメチルアミン、1−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、3−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、4−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、5−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、6−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、7−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、8−デシル−2−ナフタレンメチルアミン、2−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、3−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、4−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、5−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、6−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、7−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、8−シクロヘキシル−1−ナフタレンメチルアミン、1−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、3−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、4−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、5−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、6−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、7−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、8−シクロヘキシル−2−ナフタレンメチルアミン、2−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、3−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、4−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、5−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、6−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、7−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、8−フェニル−1−ナフタレンメチルアミン、1−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、3−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、4−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、5−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、6−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、7−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、8−フェニル−2−ナフタレンメチルアミン、2−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、3−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、4−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、5−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、6−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、7−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、8−ベンジル−1−ナフタレンメチルアミン、1−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、3−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、4−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、5−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、6−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、7−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、8−ベンジル−2−ナフタレンメチルアミン、2−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、3−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、4−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、5−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、6−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、7−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、8−メトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、1−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、3−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、4−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、5−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、6−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、7−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、8−メトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、2−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、3−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、4−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、5−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、6−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、7−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、8−エトキシ−1−ナフタレンメチルアミン、1−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、3−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、4−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、5−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、6−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、7−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、8−エトキシ−2−ナフタレンメチルアミン、2−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、3−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、4−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、5−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、6−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、7−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、8−プロポキシ−1−ナフタレンメチルアミン、1−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、3−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、4−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、5−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、6−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、7−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、8−プロポキシ−2−ナフタレンメチルアミン、2−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、3−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、4−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、5−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、6−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、7−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、8−フェノキシ−1−ナフタレンメチルアミン、1−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、3−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、4−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、5−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、6−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、7−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、8−フェノキシ−2−ナフタレンメチルアミン、2−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、3−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、4−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、5−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、6−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、7−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、8−ヒドロキシ−1−ナフタレンメチルアミン、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、4−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、5−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、7−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、8−ヒドロキシ−2−ナフタレンメチルアミン、2−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、3−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、4−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、5−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、6−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、7−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、8−シアノ−1−ナフタレンメチルアミン、1−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、3−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、4−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、5−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、6−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、7−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、8−シアノ−2−ナフタレンメチルアミン、1−アミノメチル−2−ナフタレンアミド、1−アミノメチル−3−ナフタレンアミド、1−アミノメチル−4−ナフタレンアミド、1−アミノメチル−5−ナフタレンアミド、1−アミノメチル−6−ナフタレンアミド、1−アミノメチル−7−ナフタレンアミド、1−アミノメチル−8−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−1−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−3−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−4−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−5−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−6−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−7−ナフタレンアミド、2−アミノメチル−8−ナフタレンアミド、2−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、3−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、4−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、5−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、6−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、7−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、8−クロロ−1−ナフタレンメチルアミン、1−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、3−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、4−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、5−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、6−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、7−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、8−クロロ−2−ナフタレンメチルアミン、2−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、3−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、4−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、5−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、6−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、7−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、8−フルオロ−1−ナフタレンメチルアミン、1−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、3−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、4−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、5−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、6−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、7−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、8−フルオロ−2−ナフタレンメチルアミン、2−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン、3−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン、4−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン
、5−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン、6−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン、7−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン、8−ヨード−1−ナフタレンメチルアミン、1−ヨード−2−ナフタレンメチルアミン、3−ヨード−2−ナフタレンメチルアミン、4−ヨード−2−ナフタレンメチルアミン、5−ヨード−2−ナフタレンメチルアミン、6−ヨード−2−ナフタレンメチルアミン、7−ヨード−2−ナフタレンメチルアミン、8−ヨード−2−ナフタレンメチルアミンが挙げられる。これらの芳香族アミンは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また芳香族アミンとしてアントラセンメチルアミンのような3環式のアミンを挙げることもできる。
【0016】
本発明の製造方法に用いる複素環式芳香族アミンは、複素芳香環に置換基として−CHR1NR23(R1、R2及びR3は上記した定義の通り)を少なくとも1つ有する複素環式芳香族アミンであれば特に限定されない。例えば(アミノメチル)ピリジン、(アミノメチル)ピリミジン、(アミノメチル)ピリジン及びこれらのアミノメチル基の水素をアルキル基で置換した2級及び3級アミン;ピリジン環及びピリミジン環にアミノメチル基が複数結合したポリ(アミノメチル)ピリジン、ポリ(アミノメチル)ピリミジン環及びこれらのアミノメチル基の水素をアルキル基に置換した2級及び3級アミン;並びにこれらの複素芳香環の水素を置換した置換(アミノメチル)ピリジン及び(アミノメチル)ピリミジンが挙げられる。
【0017】
複素芳香環の置換基としては、メチル基、エチル基、直鎖の及び分岐したプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の1〜10個の炭素原子を有するアルキル基;シクロヘキシル基;フェニル基;ベンジル基;メトキシ基、エトキシ基、直鎖の及び分岐したプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;、フェノキシ基等のアリールオキシ基;ヒドロキシル基;シアノ基;アミド基、アミノ基並びに塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
複素環式芳香族アミンの具体例として、2−(アミノメチル)ピリジン、3−(アミノメチル)ピリジン、4−(アミノメチル)ピリジン、2,3−ビス(アミノメチル)ピリジン、2,4−ビス(アミノメチル)ピリジン、3,4−ビス(アミノメチル)ピリジン、2,5−ビス(アミノメチル)ピリジン、2,6−ビス(アミノメチル)ピリジン、2−(アミノメチル)ピリミジン、4−(アミノメチル)ピリミジン、5−(アミノメチル)ピリミジン、2,4−ビス(アミノメチル)ピリミジン、2,5−ビス(アミノメチル)ピリミジン、4,5−ビス(アミノメチル)ピリミジン及び4,6−ビス(アミノメチル)ピリミジンが挙げられる。
【0018】
アルコールはヒドロキシル基を有する化合物であれば特に限定されず、脂肪族アルコールや芳香族アルコールであってよく、炭素数1〜11の直鎖の若しくは分岐したアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基又はフェニル基により置換された炭素数1〜3のアルキル基に、水酸基が結合したアルコール等を用いることができる。例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンチルアルコール、1−ヘキシルアルコール、1−ヘプチルアルコール、1−オクチルアルコール、1−ノニルアルコール、1−デシルアルコール、1−ウンデシルアルコール等の1級アルコール;2−プロパノール、2−ブタノール等の2級アルコール;tert−ブタノール等の3級アルコール;シクロヘキサノール等の環状アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等の炭素数1〜11のアルコールが挙げられる。芳香族アルコールは例えばベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、o−、m−及びp−キシレングリコール等が挙げられる。中でも炭素数1〜6の脂肪族アルコールが好ましく、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び1−ヘキサノールが特に好ましい。これらのアルコールは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールと共に生成するアルキルアミンは有用な化合物であるため、反応させるアルコールを適宜選択して対応するアルキルアミンを同時に取得すれば経済的に有利である。
【0019】
本発明の製造方法において用いるアルコールの原料のアミンに対するモル比は好ましくは1〜1000、より好ましくは3〜100、更に好ましくは5〜30である。アルコールの割合が1モル比未満であると反応が完結しにくい。1000モル比を超えると経済的に不利である。
【0020】
本発明の製造方法に用いる塩基性触媒は特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属単体又はその化合物が好ましく、金属ナトリウム、金属カリウム、ナトリウム化合物及びカリウム化合物がより好ましい。アルカリ金属の化合物としては水酸化物、アルコキシドが好ましく、特に水酸化ナトリウム(NaOH)、ナトリウムメトキシド(NaOCH3)、水酸化カリウム(KOH)が好ましい。触媒は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の製造方法において用いる塩基性触媒の原料アミンに対するモル比は好ましくは0.001〜100、より好ましくは0.005〜10、更に好ましくは0.01〜5である。0.001モル比未満であると反応が完結にくい。100モル比を超えると副生物が生成しやすくなり、経済的にも不利である。
【0021】
本発明の製造方法において反応系に水を加えることが好ましい。水を加えることで脱水反応により進行する副反応を抑えて選択率を高め、また反応自体を速めることができると考えられる。原料アミンに対するモル比で好ましくは0.001〜2000、より好ましくは0.05〜1000、更に好ましくは0.1〜500の範囲で水を加えることができる。水の添加量が0.001モル比未満であると上記した効果が小さい傾向があり、2000モル比を超えると反応が進みにくくなる。
【0022】
また、本発明の製造方法において反応系にアンモニアを加えることが好ましい。アンモニアは反応を促進する効果があると考えられる。この場合に用いるアンモニアの原料のアミンに対するモル比は好ましくは0.01〜1000、より0.05〜100、更に好ましくは0.1〜50である。0.01モル比未満であると上記したアミンの効果が小さい傾向がある。1000モル比を超えると経済的に不利である。
【0023】
溶媒は特に必要ではないが、有機溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、二硫化炭素、アセトニトリル、ベンゾニトリル、へキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネートを用いてもよい。これらの溶媒は単独で用いてもよいし2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明による製造方法を、例えば回分法又は連続法のような任意の方法により行うことができる。反応蒸留を行ってもよく、芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールと共に生成するアルキルアミンを抽出することができる。ここで回分法の場合には、原料の添加順序を任意に選択することができる。
【0025】
芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールを反応溶液から常法、例えば蒸留、再結晶、抽出等により容易に単離することができる。上記した通り、本発明の製造方法においては、芳香族アルコール又は複素環式芳香族アルコールと共に、アルキルアミンが生成する。脂肪族アルコールを用いるとアルコールのヒドロキシル基がアミノ基で置換された2級又は3級アミンが生成し得る。有用なアルキルアミンを効率的に製造できる条件を選択することもできる。
【0026】
本発明の製造方法は、常圧、加圧又は減圧下で行うことができる。アルコールの沸点以上で本発明の製造方法を行う場合には、そのアルコールの蒸気圧で反応させることもできる。また、加圧する場合には、窒素、アルゴン等の本発明の製造方法に対して不活性な気体又は水素を用いる事ができる。例えば高沸点のアルコールを用いる場合には、反応蒸留を常圧又は減圧下で行うことができる。
【0027】
本発明の製造方法を行うのに適した温度は原料比、反応条件等に左右されるが、例えば50〜500℃、好ましくは100〜450℃、より好ましくは150〜400℃の温度範囲であり得る。
【0028】
反応時間は原料比、反応条件等により左右されるが、回分処理の場合は好ましくは1〜1000分、より好ましくは10〜500分、更に好ましくは30〜300分の範囲内である。他の条件との組み合わせで、反応時間を最適に設定する事が出来る。
【実施例】
【0029】
以下実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
原料は市販の試薬(和光純薬工業株式会社製、東京化成工業株式会社製)を用い、得られた反応溶液の分析は内部標準法を用いたガスクロマトグラフィーにより行った。成分は市販の試薬との保持時間の比較、GC-MASSスペクトル及びNMRにより同定した。転化率、収率はモル%で表す。
【0030】
実施例1:
温度計、圧力計を備えた内容積40mlのステンレス製耐圧容器に、メタキシリレンジアミン0.30g、メタノール7.50g、水酸化ナトリウム0.10gを仕込み、容器を窒素雰囲気下で密閉した。混合物を加熱して240℃で2時間保持した。冷却後、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。メタキシリレンジアミンの転化率は100%、メタキシリレングリコールの収率は73%であった。
【0031】
実施例2〜5,比較例1〜2:アミンの検討
実施例1のメタキシレンジアミンを以下の表1のアミンに変えた以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を実施例1と共に表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例6〜25
温度計、圧力計を備えた内容積40mlのステンレス製耐圧容器に、以下の表2に示すアミンを、メタノール、水および水酸化ナトリウムと共に、アミン/メタノール/水/水酸化ナトリウムのモル比が1/110/70/1.4となるように仕込み、容器を窒素雰囲気下で密閉した。混合物を加熱して240℃で2時間保持した。冷却後、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例26〜29
温度計、圧力計を備えた内容積40mlのステンレス製耐圧容器に、以下の表3に示すアミンを、メタノール、水および水酸化ナトリウムと共に、アミン/メタノール/水/水酸化ナトリウムのモル比が1/55/35/0.7となるように仕込み、容器を窒素雰囲気下で密閉した。混合物を加熱して240℃で2時間保持した。冷却後、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例30
温度計、圧力計を備えた内容積40mlのステンレス製耐圧容器に、4−ジメチルアミノベンジルアミン2塩酸塩を、メタノール、水および水酸化ナトリウムと共に、アミン/メタノール/水/水酸化ナトリウムのモル比が1/110/70/2.4となるように仕込み、容器を窒素雰囲気下で密閉した。混合物を加熱して240℃で2時間保持した。冷却後、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。結果を表3に併せて示す。
【0038】
実施例31
温度計、圧力計を備えた内容積40mlのステンレス製耐圧容器に、p−キシレンジアミンを、メタノール、水および水酸化ナトリウムと共に、アミン/メタノール/水/水酸化ナトリウムのモル比が1/110/70/2.8となるように仕込み、容器を窒素雰囲気下で密閉した。混合物を加熱して240℃で2時間保持した。冷却後、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。結果を表3に併せて示す。
【0039】
実施例32〜38:アルコールの検討
メタノールを表4に記載のアルコールに変えたこと以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を実施例1と共に表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
実施例39〜40,比較例3:塩基性触媒の検討
水酸化ナトリウムを表5に記載のアルカリ金属化合物に変えたこと以外は実施例1と同様に反応を行った。結果を実施例1と共に表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】
実施例41〜43:水の添加の検討
表6に記載する割合の水を添加したこと以外は実施例1と同様にして反応を行った。結果を実施例1と共に表6に示す。
【0044】
【表6】
表6から明らかなように水の添加により収率が改善される。
【0045】
実施例44〜46:反応圧力の検討
温度計、圧力計を備えた内容積40mlのステンレス製耐圧容器に、メタキシリレンジアミン/メタノール/水/水酸化ナトリウムのモル比が1/110/70/1.4モル比となるように原料を仕込み、容器を窒素雰囲気下で密閉した。反応時の圧力を調整する目的で、窒素により反応容器内の圧力を所定の圧力まで加圧して、容器を密閉した。混合物を加熱し、240℃に到達した際の容器内の圧力を測定した。240℃で1時間保持した後に冷却し、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
【0047】
実施例47:反応圧力の検討
攪拌子、還流冷却管、温度計を備えた100mlのガラス製三口フラスコに、メタキシリレンジアミン0.93g、水酸化ナトリウム0.29g、1−ウンデカノール20.6gを仕込み、235℃に加熱して還流させた。1時間後に反応液の一部を抜き出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。メタキシリレンジアミンの転化率は97%、メタキシリレングリコールの収率は36%であった。結果を表7に併せて示す。
表7から反応は圧力が低い方が進みやすく、実施例47で示すように常圧でも反応は進行する。上記の結果から本発明の製造方法において加圧することは必須ではないことがわかる。
【0048】
実施例48〜50:アンモニアの添加
温度計、圧力計を備えた内容積100mlのステンレス製耐圧容器に、メタキシリレンジアミン/メタノール/水/水酸化ナトリウムを1/110/70/1.0モル比となるように原料を仕込み、さらにアンモニアを表8に示すモル比で添加し、窒素雰囲気下で密閉した。混合物を加熱して240℃で1時間保持した。冷却後、反応液を取り出し水酸化ナトリウムを中和して分析した。結果を表8に示す。
【0049】
【表8】
表8から明らかなように、同じ反応時間でもアンモニアを添加することにより反応が進みやすくなり、転化率、収率共に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明で得られる芳香族アルコール及び複素環式芳香族アルコールは、医薬、農薬等の原料、あるいは可塑剤及び塗料用溶剤として用いることができるため有機合成化学上有用な化合物である。特に芳香族多価アルコール及び複素環式芳香族多価アルコールは合成繊維及び合成樹脂等の高分子物質、例えばポリエステルおよびポリウレタンの原料として重要な化合物である。