(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、展開幅TDWが280mm〜400mmの範囲に設定されたワイドベースの空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部にタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配向する補強コードを含む周方向補強層が埋設されており、前記トレッド部にタイヤ周方向に延びる5本の主溝が設けられており、該主溝によりタイヤ周方向に延在する6列のリブが区画されており、これらリブをタイヤ赤道面側に位置する一対のセンターリブと各センターリブの外側に位置する一対の中間リブと各中間リブの外側に位置する一対のショルダーリブとから構成すると共に、前記センターリブ、前記中間リブ及び前記ショルダーリブの前記主溝に隣接する各エッジ部に複数本の第1サイプが形成されており、前記センターリブ及び前記中間リブの各々に前記主溝間を繋ぐようにタイヤ幅方向に延びる複数本の第1細溝が形成されており、前記センターリブ及び前記中間リブの各々に隣り合う前記第1細溝同士を連結するようにタイヤ周方向に延びる複数本の第2細溝が形成されており、前記第1サイプの長さLs1が1.5mm〜8.0mmであり、前記主溝の深さGDに対する前記第1サイプの深さDs1の比Ds1/GDが0.30〜0.90であり、前記第1細溝のタイヤ周方向の間隔Pg1が20mm〜60mmであり、前記第1サイプのタイヤ周方向の間隔Ps1が第1細溝の間隔Pg1の15%〜45%であり、前記トレッド部の展開幅TDWに対する前記センターリブの幅Waの比Wa/TDWが0.08〜0.18であり、前記トレッド部の展開幅TDWに対する前記中間リブの幅Wbの比Wb/TDWが0.08〜0.18であり、前記センターリブの幅Waに対する前記ショルダーリブの幅Wcの比Wc/Waが1.20〜1.30であることを特徴とする空気入りタイヤ。
前記第1細溝は長手方向の中間部で局部的に深くなっており、前記第2細溝は前記第1細溝との連結部で局部的に深くなっており、前記主溝の深さGDに対する前記第1細溝の中間部の深さDg1の比Dg1/GD及び前記主溝の深さGDに対する前記第2細溝の連結部の深さDg2の比Dg2/GDがそれぞれ0.30〜0.80であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、耐偏摩耗性を向上すると共に、リブにおけるクラックや欠損の発生を効果的に抑制することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、展開幅TDWが280mm〜400mmの範囲に設定されたワイドベースの空気入りタイヤにおいて、前記トレッド部にタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配向する補強コードを含む周方向補強層
が埋設
されており、前記トレッド部にタイヤ周方向に延びる5本の主溝
が設け
られており、該主溝によりタイヤ周方向に延在する6列のリブ
が区画
されており、これらリブをタイヤ赤道面側に位置する一対のセンターリブと各センターリブの外側に位置する一対の中間リブと各中間リブの外側に位置する一対のショルダーリブとから構成すると共に、前記センターリブ、前記中間リブ及び前記ショルダーリブの前記主溝に隣接する各エッジ部に複数本の第1サイプ
が形成
されており、前記センターリブ及び前記中間リブの各々に前記主溝間を繋ぐようにタイヤ幅方向に延びる複数本の第1細溝
が形成
されており、前記センターリブ及び前記中間リブの各々に隣り合う前記第1細溝同士を連結するようにタイヤ周方向に延びる複数本の第2細溝
が形成
されており、前記第1サイプの長さLs
1が1.5mm〜8.0mmであり、前記主溝の深さGDに対する前記第1サイプの深さDs
1の比Ds
1/GDが0.30〜0.90であり、前記第1細溝のタイヤ周方向の間隔Pg
1が20mm〜60mmであり、前記第1サイプのタイヤ周方向の間隔Ps
1が第1細溝の間隔Pg
1の15%〜45%であり、前記トレッド部の展開幅TDWに対する前記センターリブの幅Waの比Wa/TDWが0.08〜0.18であり、前記トレッド部の展開幅TDWに対する前記中間リブの幅Wbの比Wb/TDWが0.08〜0.18であり、前記センターリブの幅Waに対する前記ショルダーリブの幅Wcの比Wc/Waが1.20〜1.30であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、5本の主溝を有するリブ基調のトレッドパターンを採用し、センターリブ、中間リブ及びショルダーリブの主溝に隣接する各エッジ部に複数本の第1サイプを形成しているので、各リブの各エッジ部に生じる摩擦エネルギーを第1サイプによって逃がすことができる。これに加えて、センターリブ及び中間リブの各々に主溝間を繋ぐようにタイヤ幅方向に延びる複数本の第1細溝を形成し、かつ隣り合う第1細溝同士を連結するようにタイヤ周方向に延びる複数本の第2細溝を形成することにより、センターリブ及び中間リブの剛性を緩和することができる。その結果、耐偏摩耗性を向上すると共に、リブにおけるクラックや欠損の発生を効果的に抑制することができる。また、センターリブの幅Waと中間リブの幅Wbとショルダーリブの幅Wcをトレッド部の展開幅TDWに対して適正化することにより、リブ毎の接地圧を均一化し、耐偏摩耗性、耐クラック性及び耐欠損性の改善効果を高めることができる。
【0008】
本発明において、第1サイプの長さLs
1は1.5mm〜8.0mmであり、主溝の深さGDに対する第1サイプの深さDs
1の比Ds
1/GDは0.30〜0.90であること
とする。これにより、耐偏摩耗性、耐クラック性及び耐欠損性の改善効果を高めることができる。
【0009】
第1細溝は長手方向の中間部で局部的に深くなっており、第2細溝は第1細溝との連結部で局部的に深くなっており、主溝の深さGDに対する第1細溝の中間部の深さDg
1の比Dg
1/GD及び主溝の深さGDに対する第2細溝の連結部の深さDg
2の比Dg
2/GDがそれぞれ0.30〜0.80であることが好ましい。これにより、センターリブ及び中間リブの剛性を適切に保つことができる。
【0010】
ショルダーリブの外側のエッジ部には複数本の第2サイプ
が形成
されており、該第2サイプのタイヤ周方向の間隔Ps
2が3.0mm〜12.0mmであり、該第2サイプの長さLs
2が5.0mm〜15mmであることが好ましい。これにより、ショルダーリブの耐偏摩耗性を改善することができる。
【0011】
センターリブの相互間に位置する主溝
がストレート状に形成
されている一方で、残りの主溝の両壁面に複数の凸部
が周期的に形成
されていて該主溝の溝底部分
が蛇行
した構造
を有し、第1細溝のタイヤ周方向の間隔Pg
1に対する凸部のタイヤ周方向の間隔Pxの比Px/Pg
1が0.5〜2.0であることが好ましい。このように外側の主溝の両壁面に複数の凸部を周期的に形成することにより、各リブの剛性を適切に保ち、耐欠損性の改善効果を高めることができる。
【0012】
第1細溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
1は40°〜90°であり、第2細溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
2は0°〜40°であることが好ましい。これにより、センターリブ及び中間リブの剛性を適切に保つことができる。
【0013】
また、トレッド部にはタイヤ周方向に対して5°以下の角度で配向する補強コードを含む周方向補強層
が埋設
されていることとする。これにより、トレッド部のタガ効果を増大させてリブ毎の接地圧を更に均一化することができる。
【0014】
本発明において、トレッド部の展開幅TDWとは、トレッド部のタイヤ幅方向の一方のエッジから他方のエッジまでの幅であって踏面に沿って測定される幅である。また、センターリブの幅Wa、中間リブの幅Wb及びショルダーリブの幅Wcはそれぞれトレッド部の踏面に沿って測定される幅である。更に、第1サイプの長さLs
1及び第2サイプの長さLs
2はそれぞれトレッド部の踏面と直交する方向に測定される長さである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜
図6は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0017】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0018】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7(7A,7B,7C,7D)が埋設されている。これらベルト層7A〜7Dはタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7A〜7Dにおいて、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜60°の範囲に設定されている。ベルト層7A〜7Dの補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。また、カーカス層4側から数えて2番目のベルト層7Bと3番目のベルト層7Cとの層間には、トレッド部1のタガ効果を高めるために、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる周方向補強層8が配置されている。周方向補強層8の補強コードとしては、スチールコードの他、アラミド等の有機繊維コードを使用することができる。
【0019】
図2において、トレッド部1の展開幅TDWはトレッド部1のタイヤ幅方向の一方のエッジEtから他方のエッジEtまでの幅であるが、本実施形態の空気入りタイヤは展開幅TDWが280mm〜400mmの範囲に設定されたワイドベースのタイヤである。展開幅TDWは上記範囲に限定されるものではないが、本発明は展開幅TDWが上記範囲にある場合に特に有効である。
【0020】
図2に示すように、トレッド部1には、タイヤ周方向に延びる5本の主溝11(11A,11B,11C)が形成されており、これら主溝11によりタイヤ周方向に連続的に延在する6列のリブ12(12A,12B,12C)が区画されている。より具体的には、主溝11はタイヤ赤道面E上に位置する主溝11Aと該主溝11Aの外側に位置する一対の主溝11Bと各主溝11Bの外側に位置する一対の主溝11Cとを含み、リブ12はタイヤ赤道面Eの両側に位置する一対のセンターリブ12Aと各センターリブ12Aの外側に位置する一対の中間リブ12Bと各中間リブ12Bの外側に位置する一対のショルダーリブ12Cとを含んでいる。
【0021】
センターリブ12Aの相互間に位置する主溝11Aはストレート状に形成されているが、残りの主溝12B,12Cの各々はその両壁面に複数の凸部13が周期的に形成されていて主溝12B,12Cの溝底部分が蛇行するような構造となっている。なお、センターリブ12A、中間リブ12B及びショルダーリブ12Cはいずれも踏面でのタイヤ幅方向両端位置にエッジErを有しているが、主溝11A,11B,11Cの両壁面は対応するエッジErから溝底に向かって傾斜面を形成している。
【0022】
上記空気入りタイヤにおいて、トレッド部1の展開幅TDWに対するセンターリブ12Aの幅Waの比Wa/TDWは0.08〜0.18の範囲に設定され、トレッド部1の展開幅TDWに対する中間リブ12Bの幅Wbの比Wb/TDWは0.08〜0.18の範囲に設定され、センターリブ12Aの幅Waに対するショルダーリブ12Cの幅Wcの比Wc/Waは1.20〜1.30の範囲に設定されている。
【0023】
センターリブ12A及び中間リブ12Bの各々には、タイヤ幅方向に隣り合う主溝11,11間を繋ぐようにタイヤ幅方向に延びる複数本の第1細溝21がタイヤ周方向に間隔をおいて形成されている。更に、センターリブ12A及び中間リブ12Bの各々には、タイヤ周方向に隣り合う第1細溝21,21同士を連結するようにタイヤ周方向に延びる複数本の第2細溝22が形成されている。そして、第1細溝21のタイヤ周方向の間隔Pg
1は20mm〜60mmの範囲に設定されている。
【0024】
また、センターリブ12A、中間リブ12B及びショルダーリブ12Cの主溝11に隣接する各エッジ部には複数本の第1サイプ31が形成されている。各第1サイプ31は一端が主溝11に開口する一方で他端がリブ12内で終端している。そして、第1サイプ31のタイヤ周方向の間隔Ps
1は第1細溝21の間隔Pg
1の15%〜45%の範囲に設定されている。
【0025】
上記空気入りタイヤでは、トレッド部1の展開幅TDWを大きくするにあたって、5本の主溝11を有するリブ基調のトレッドパターンを採用し、センターリブ12A、中間リブ12B及びショルダーリブ12Cの主溝11に隣接する各エッジ部に複数本の第1サイプ31を形成しているので、各リブ12の各エッジ部に生じる摩擦エネルギーを第1サイプ31によって逃がすことができる。これに加えて、センターリブ12A及び中間リブ12Bの各々に主溝11,11間を繋ぐようにタイヤ幅方向に延びる複数本の第1細溝21を形成し、かつ隣り合う細溝21,21同士を連結するようにタイヤ周方向に延びる複数本の第2細溝22を形成することにより、センターリブ12A及び中間リブ12Bの剛性を緩和することができる。その結果、耐偏摩耗性を向上すると共に、リブ12におけるクラックや欠損の発生を効果的に抑制することができる。また、センターリブ12Aの幅Waと中間リブ12Bの幅Wbとショルダーリブ12Cの幅Wcをトレッド部1の展開幅TDWに対して適正化することにより、リブ12毎の接地圧を均一化し、耐偏摩耗性、耐クラック性及び耐欠損性の改善効果を高めることができる。
【0026】
ここで、センターリブ12Aの幅Waを規定する比Wa/TDW、中間リブ12Bの幅Wbを規定する比Wb/TDW及びショルダーリブ12Cの幅Wcを規定する比Wc/Waが上記範囲から外れると、リブ12毎の接地圧を均一化することが困難になる。また、第1細溝21のタイヤ周方向の間隔Pg
1が20mmよりも小さいとリブ12の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性が低下し、逆に60mmよりも大きいとリブ12の剛性が大きくなるため耐偏摩耗性が低下する。更に、第1サイプ31のタイヤ周方向の間隔Ps
1が第1細溝21の間隔Pg
1の15%よりも小さいとリブ12のエッジ部の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性が低下し、逆に45%よりも大きいとリブ12のエッジ部の剛性が大きくなるため耐偏摩耗性が低下する。
【0027】
上記空気入りタイヤにおいて、第1サイプ31の長さLs
1(
図2参照)は1.5mm〜8.0mmであり、主溝11の深さGDに対する第1サイプ31の深さDs
1の比Ds
1/GD(
図4参照)は0.30〜0.90であると良い。これにより、耐偏摩耗性、耐クラック性及び耐欠損性の改善効果を高めることができる。ここで、第1サイプ31の長さLs
1は1.5mmよりも小さいとリブ12のエッジ部の剛性が大きくなるため耐偏摩耗性の改善効果が低下し、逆に8.0mmよりも大きいとリブ12のエッジ部の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性の改善効果が低下する。また、主溝11の深さGDに対する第1サイプ31の深さDs
1の比Ds
1/GDが0.30よりも小さいとリブ12のエッジ部の剛性が大きくなるため耐偏摩耗性の改善効果が低下し、逆に0.90よりも大きいとリブ12のエッジ部の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性の改善効果が低下する。
【0028】
上記空気入りタイヤにおいて、
図5に示すように、第1細溝21は長手方向の中間部で他の部分よりも局部的に深くなっている。但し、
図5において、第1細溝21の両端部には第1サイプ31が連結されているため、第1サイプ31の部分は中間部と同様に深くなっている。また、
図6に示すように、第2細溝22は第1細溝21との連結部で他の部分よりも局部的に深くなっている。そして、主溝11の深さGDに対する第1細溝21の中間部の深さDg
1の比Dg
1/GD及び主溝11の深さGDに対する第2細溝22の連結部の深さDg
2の比Dg
2/GDはそれぞれ0.30〜0.80であると良い。これにより、センターリブ12A及び中間リブ12Bの剛性を適切に保つことができる。比Dg
1/GD又は比Dg
2/GDが0.30よりも小さいとリブ12の剛性が大きくなるため耐偏摩耗性の改善効果が低下し、逆に0.80よりも大きいとリブ12の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性の改善効果が低下する。
【0029】
主溝11の深さGDは特に限定されるものではないが、例えば、11mm〜16mmの範囲から選択することができる。同様に、主溝11の踏面での幅は特に限定されるものではないが、例えば、10mm〜25mmの範囲から選択することができる。
【0030】
上記空気入りタイヤにおいて、ショルダーリブ12Cの外側のエッジ部には複数本の第2サイプ32が形成されている。各第2サイプは一端が主溝11Cに開口する一方で他端がリブ12C内で終端している。そして、第2サイプ32のタイヤ周方向の間隔Ps
2は3.0mm〜12.0mmであり、第2サイプ32の長さLs
2は5.0mm〜15mmであると良い。これにより、ショルダーリブ12Cの耐偏摩耗性を改善することができる。第2サイプ32の間隔Ps
2が3.0mmよりも小さいとショルダーリブ12Cのエッジ部の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性の改善効果が低下し、逆に12.0mmよりも大きいとショルダーリブ12Cのエッジ部の剛性が大きくなるため耐偏摩耗性の改善効果が低下する。
【0031】
上記空気入りタイヤにおいて、センターリブ12A,12Aの相互間に位置する主溝11Aをストレート状に形成する一方で、残りの主溝11B,11Cの両壁面に複数の凸部13を周期的に形成して該主溝11B,11Cの溝底部分を蛇行させた構造とし、第1細溝21のタイヤ周方向の間隔Pg
1に対する凸部13のタイヤ周方向の間隔Pxの比Px/Pg
1が0.5〜2.0であると良い。このように外側の主溝11B,11Cの両壁面に複数の凸部13を周期的に形成することにより、各リブ12の剛性を適切に保ち、耐欠損性の改善効果を高めることができる。つまり、周期的に配置された凸部13を設けることで各リブ12の動きを抑制することができる。しかも、凸部13の位置では第1サイプ31が相対的に長くなるように長さLs
1がタイヤ周方向に沿って変化しているので、上記構造においても良好な耐偏摩耗性を確保することができる。
【0032】
図3に示すように、第1細溝21のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
1は40°〜90°であり、第2細溝22のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
2は0°〜40°であることが好ましい。これにより、センターリブ12A及び中間リブ12Bの剛性を適切に保つことができる。第1細溝21の傾斜角度θ
1が40°よりも小さいとリブ12の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性の改善効果が低下し、同様に、第2細溝22の傾斜角度θ
2が40°よりも大きいとリブ12の剛性が過度に低下するため耐クラック性や耐欠損性の改善効果が低下する。なお、第1細溝21及び第2細溝22とはタイヤ周方向に対して互いに逆向きに傾斜させることが望ましい。
【0033】
また、上記空気入りタイヤにおいては、展開幅TDWを大きくするにあたって、トレッド部1にタイヤ周方向に配向する補強コードを含む周方向補強層8を埋設しているので、トレッド部1のタガ効果を増大させてリブ12毎の接地圧を更に均一化することができる。そのため、周方向補強層8の追加とトレッドパターンの規定との相乗効果により、耐偏摩耗性、耐クラック性及び耐欠損性の改善効果を最大限に得ることができる。
【実施例】
【0034】
タイヤサイズが355/50R22.5であり、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備えた空気入りタイヤにおいて、トレッド部にタイヤ周方向に延びる5本の主溝を設け、該主溝によりタイヤ周方向に延在する6列のリブを区画し、センターリブ、中間リブ及びショルダーリブの主溝に隣接する各エッジ部に複数本の第1サイプを形成し、センターリブ及び中間リブの各々に主溝間を繋ぐようにタイヤ幅方向に延びる複数本の第1細溝を形成し、センターリブ及び中間リブの各々に隣り合う第1細溝同士を連結するようにタイヤ周方向に延びる複数本の第2細溝を形成し、第1細溝のタイヤ周方向の間隔Pg
1、第1細溝の間隔Pg
1に対する第1サイプの間隔Ps
1の比Ps
1/Pg
1、トレッド部の展開幅TDWに対するセンターリブの幅Waの比Wa/TDW、トレッド部の展開幅TDWに対する中間リブの幅Wbの比Wb/TDW、センターリブの幅Waに対するショルダーリブの幅Wcの比Wc/Wa、トレッド部に埋設された周方向補強層の有無を表1のように種々異ならせた従来例1及び実施例1〜8のタイヤを作製した。
【0035】
従来例1及び実施例1〜8において、第1サイプの長さLs
1を3.0mmとし、主溝の深さGDに対する第1サイプの深さDs
1の比Ds
1/GDを0.7とし、主溝の深さGDに対する第1細溝の中間部の深さDg
1の比Dg
1/GD及び主溝の深さGDに対する第2細溝の連結部の深さDg
2の比Dg
2/GDをそれぞれ0.7とし、第1細溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
1を60°とし、第2細溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
2を20°とした。また、比較のため、第2細溝及び第1サイプを設けていない比較例1のタイヤを用意した。
【0036】
これら試験タイヤについて、下記の評価方法により、耐偏摩耗性、耐クラック・欠損性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0037】
耐偏摩耗性:
各試験タイヤ(355/50R22.5)をリムサイズ22.5×11.75のホイールに組み付けて空気圧を900kPaとして積載重量10トンのトラックの操舵輪に装着し、車道(高速道路80%、一般道20%)を5000km走行した後、各リブの偏摩耗量を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐偏摩耗性が優れていることを意味する。
【0038】
耐クラック・欠損性:
上記走行試験後、各試験タイヤのリブに生じたクラック部分及び欠損部分の総長さを測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐クラック・欠損性が優れていることを意味する。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように、実施例1〜8のタイヤは、いずれも、従来例1との対比において、耐偏摩耗性及び耐クラック・欠損性に優れていた。
【0041】
次に、第1サイプの長さLs
1、主溝の深さGDに対する第1サイプの深さDs
1の比Ds
1/GD、主溝の深さGDに対する第1細溝の中間部の深さDg
1の比Dg
1/GD及び主溝の深さGDに対する第2細溝の連結部の深さDg
2の比Dg
2/GDを種々異ならせたこと以外は実施例1と同じ構造を有する実施例9〜16を用意した。
【0042】
これら試験タイヤについて、上述した評価方法により、耐偏摩耗性、耐クラック・欠損性を評価し、その結果を表2に併せて示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2から明らかなように、実施例9〜16のタイヤは、いずれも、従来例1との対比において、耐偏摩耗性及び耐クラック・欠損性に優れていた。
【0045】
次に、ショルダーリブの外側のエッジ部に複数本の第2サイプを形成し、該第2サイプのタイヤ周方向の間隔Ps
2及び長さLs
2を種々異ならせたこと、外側主溝の両壁面に複数の凸部を周期的に形成して該主溝の溝底部分を蛇行させた構造とし、第1細溝のタイヤ周方向の間隔Pg
1に対する凸部のタイヤ周方向の間隔Pxの比Px/Pg
1を種々異ならせたこと、第1細溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
1及び第2細溝のタイヤ周方向に対する傾斜角度θ
2を種々異ならせたこと以外は実施例1と同じ構造を有する実施例17〜28を用意した。
【0046】
これら試験タイヤについて、上述した評価方法により、耐偏摩耗性、耐クラック・欠損性を評価し、その結果を表3及び表4に併せて示した。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
表3及び表4から明らかなように、実施例17〜28のタイヤは、いずれも、従来例1との対比において、耐偏摩耗性及び耐クラック・欠損性に優れていた。