【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の特徴構成は、桁遊間を介して隣接する両橋桁間に亘って配設されるケーブル類の保護管を伸縮ならびに屈曲可能に支持する橋梁の保護管可動支持構造であって、
一方の橋桁の取付け部に、保護管の管軸芯方向一側部を管軸芯方向での相対移動を阻止した状態で三次元方向に屈曲可能に支持する第1可動支持手段を設けるとともに、他方の橋桁の取付け部には、保護管の管軸芯方向他側部を管軸芯方向での相対移動を許容する状態で三次元方向に屈曲可能に支持する第2可動支持手段を設けてある点にある。
【0008】
上記構成によれば、桁遊間を介して隣接する両橋桁が地震等に起因して三次元方向(橋軸方向と橋軸直角方向)に変位しても、一方の橋桁の取付け部に設けた第1可動支持手段に対する保護管の一側部での三次元方向の屈曲作動と、他方の橋桁の取付け部に設けた第2可動支持手段に対する保護管の他側部での管軸芯方向の相対移動と三次元方向の屈曲作動とにより、両橋桁間での相対変位に伴うケーブル類の配設距離及び配設方向の変動を吸収することができる。
【0009】
しかも、保護管の一側部と第1可動支持手段とは相対屈曲のみ自在で、且つ、他側部は第2可動支持手段に対して伸縮並びに屈曲可能に構成されているから、保護管のうち、第1可動支持手段に対する取付け領域を除く他側部側の多くの領域を、第2可動支持手段に対する伸縮作動領域として使用することができる。
【0010】
さらに、他方の橋桁の取付け部に第2可動支持手段を設けるにあたっても、第2可動支持手段に対して伸縮並びに屈曲可能に構成されている保護管の他端側の可動領域内に他方の橋桁の構成部材が位置するか否かの相互干渉について考慮するだけで済むから、例えば、保護管の両側部を第1・第2可動支持手段に対して管軸芯方向に伸縮自在に構成する場合のように、保護管の両側部の作動を許容する作動許容空間を両橋桁において確保する必要がない。
【0011】
したがって、桁遊間を介して隣接する両橋桁が地震等に起因して三次元方向に変位しても、その両橋桁間での相対変位に伴うケーブル類の配設距離及び配設方向の変動を、第1・第2可動支持手段での屈曲作動及び第2可動支持手段での伸縮作動によって吸収して、保護管路及びケーブル類の損傷を抑制することができる。
しかも、前記保護管のうち、第1可動支持手段に対する取付け領域を除く他側部側の多くの領域を、第2可動支持手段に対する伸縮作動領域として使用することができることと、第2可動支持手段に対して伸縮並びに屈曲可能に構成されている保護管の他端側の可動領域内に他方の橋桁の構成部材が位置するか否かの相互干渉について考慮するだけで済むから、保護管可動支持構造の小型化、簡素化を図りながら組み付けの容易化を図ることができる。
【0012】
本発明による第2の特徴構成は、前記第1可動支持手段が、部分球面状の外周面を備えた第1内側リングと、当該第1内側リングの部分球面状外周面に沿って三次元方向に摺動可能な部分球面状の内周面を備えた第1外側リングとから構成され、前記第1内側リングが保護管の一側部に固設されているとともに、前記第1外側リングが一方の橋桁の取付け部に固設されている点にある。
【0013】
上記構成によれば、前記保護管の一側部に固設された第1内側リングの部分球面状外周面と一方の橋桁の取付け部に固設された第1外側リングの部分球面状内周面との摺動により、一方の橋桁の取付け部に対して保護管の一側部を三次元方向にスムーズに屈曲作動させることができるとともに、構成部材としても第1内側リングと第1外側リングとを準備するだけで済むから、保護管可動支持構造の簡素化を促進することができる。
【0014】
本発明による第3の特徴構成は、前記第2可動支持手段が、部分球面状の外周面を備えた第2内側リングと、当該第2内側リングの部分球面状外周面に沿って三次元方向に摺動可能な部分球面状の内周面を備えた第2外側リングとから構成され、前記第2内側リングが保護管の他側部に管軸芯方向に摺動自在に外装されているとともに、前記第2外側リングが他方の橋桁の取付け部に固設されている点にある。
【0015】
上記構成によれば、保護管の他側部に管軸芯方向に摺動自在に外装された第2内側リングの部分球面状外周面と他方の橋桁の取付け部に固設された第2外側リングの部分球面状内周面との摺動により、他方の橋桁の取付け部に対して保護管の他側部を三次元方向にスムーズに屈曲及び伸縮作動させることができるとともに、構成部材としても第2内側リングと第2外側リングとを準備するだけで済むから、保護管可動支持構造の簡素化を促進することができる。
【0016】
本発明による第4の特徴構成は、前記第1外側リングの部分球面状内周面又は第1内側リングの部分球面状外周面には、第1外側リングと第1内側リングとの相対摺動に抵抗を付与する第1摺動抵抗付与手段が設けられている点にある。
【0017】
上記構成によれば、前記第1外側リングの部分球面状内周面又は第1内側リングの部分球面状外周面に設けた第1摺動抵抗付与手段によって、第1外側リングと第1内側リングとの相対摺動に抵抗を付与することができるから、地震等に起因する両橋桁の変位にスムーズに追従して確実に屈曲作動させながらも、一方の橋桁の取付け部への組付け時における不用意な屈曲作動を抑制して組付け作業の能率化を図ることができる。
【0018】
本発明による第5の特徴構成は、前記第2外側リングの部分球面状内周面又は第2内側リングの部分球面状外周面には、第2外側リングと第2内側リングとの相対摺動に抵抗を付与する第2摺動抵抗付与手段が設けられている点にある。
【0019】
上記構成によれば、前記第2外側リングの部分球面状内周面又は第2内側リングの部分球面状外周面に設けた第2摺動抵抗付与手段によって、第2外側リングと第2内側リングとの相対摺動に抵抗を付与することができるから、地震等に起因する両橋桁の変位にスムーズに追従して確実に屈曲作動させながらも、他方の橋桁の取付け部への組付け時における不用意な屈曲作動を抑制して組付け作業の能率化を図ることができる。
【0020】
本発明による第6の特徴構成は、前記第2内側リングに、当該第2内側リングと保護管との管軸芯方向での相対摺動に抵抗を付与する第3摺動抵抗付与手段が設けられている点にある。
【0021】
上記構成によれば、前記第2内側リングに設けた第3摺動抵抗付与手段によって、第2内側リングとの管軸芯方向での相対摺動に抵抗を付与することができるから、地震等に起因する両橋桁の変位にスムーズに追従して確実に伸縮作動させながらも、他方の橋桁の取付け部への組付け時における不用意な伸縮作動を抑制して組付け作業の能率化を図ることができる。
【0022】
本発明による第7の特徴構成は、前記保護管の管軸芯方向他端部に、前記第2可動支持手段と管軸芯方向から当接可能なストッパーが設けられている点にある。
【0023】
上記構成によれば、前記第2可動支持手段を保護管の他端部に摺動自在に先組みしていても、他方の橋桁の取付け部への組付け時において、前記第2可動支持手段が保護管の他端部から脱落することをストッパーとの当接によって阻止することができる。
【0024】
本発明による第8の特徴構成は、前記保護管の管軸芯方向一端部と一方の橋桁とを繋ぐ可撓性の第1索状体又は前記保護管の管軸芯方向他端部と他方の橋桁とを繋ぐ可撓性の第2索状体の少なくとも一方が設けられている点にある。
【0025】
上記構成によれば、前記両橋桁の取付け部に対して保護管を取付ける際、この保護管の脱落を、一方の橋桁に繋がれた可撓性の第1索状体と他方の橋桁に繋がれた可撓性の第2索状体とのうちの少なくとも一方で確実に阻止することができる。