【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、人工製品の測定を最小限にするトルク測定デバイス、トルク測定フランジならびにトルク測定方法トルクを提供することである。
【0007】
1つの解法として本発明はまず、トルク測定フランジと、空転トルクに比例する値を記憶する手段、およびこの記憶された値によって測定値を補償する手段を有することを根拠にして成り立つ評価システムとを備えたトルク測定デバイスを提案する。
【0008】
ここで本発明は、トルク測定フランジが空転状態にある、すなわち任意の試験体によるあらゆる荷重から、あるいはさらに外部から加えられる荷重からも完全に独立しているが、一定の測定トルクを出力すると推測される回転状態にあるという基本的な見識に起因している。したがって提案されるトルク測定デバイスによる本発明により、例えば全く荷重されない状態で測定が行われ、各ケースにおいてこの特定された空転トルクを使用して特定または測定されたトルク測定値が補償されるという点において、このようなタイプの空転トルクの特定が可能になる。
【0009】
したがって本発明は2番目に、最初に空転トルクが特定され、次にこの空転トルクによって特定されたトルク測定値が補償されるということを根拠にして成り立つトルク測定方法を提案する。
【0010】
これに関係して、空転トルクの実質的な部分は、トルク測定フランジ自体を利用して測定されることが確立されている。ここでトルク測定フランジは一般に、トルク測定フランジに作用するトルクに比例する値を測定する測定デバイスによって成り立っており、この測定デバイスは、例えば歪ゲージまたは他の張力計を有してよく、これを使用して、慣例的にトルクに比例するトルク測定フランジのねじれを検出することができる。これに関連して、十分に信頼できる方法でこの種の値の測定を対応して行うことができる、例えば経路計測部または同様のものなどのあらゆるデバイスを、トルク測定フランジに作用するトルクに比例する値を測定する測定デバイスとして使用することができることを理解されたい。
【0011】
ついでながら本文脈において、用語「比例する」は、本ケースでは最も広い意味で理解されるべきであることを理解されたい。詳細には、本明細書では反比例の関係が使用される場合もある。同様に、それが適切である場合、トルクとこれに対応する測定可能な値との間に比較的複雑な関数依存性が見られる場合もある。既知の方法では、相当するトルクは、それが適切である場合、この関数依存性を使用するこれに相当する計算によってそれぞれの測定値から特定することができる。さらに、例えば少なくともSIユニットにおけるトルクの出力は、所望の測定結果に強制されるものではないことを理解されたい。むしろ、所望の測定結果を満足できる形態で得るにはトルクに比例する対応する値を出力するだけで既に十分であり得る。
【0012】
したがって、トルク測定フランジ自体によって生じた空転トルクをトルク測定フランジによって確実に打ち消すことができるように、またはこの種の空転トルクを特に確実に補償することができるように、本発明は3番目に、トルク測定フランジに作用するトルクに比例する値を測定するための測定デバイスを備えたトルク測定フランジを提案しており、このトルク測定フランジは、空転トルクに比例する値を記憶する手段を有し、トルク測定フランジに設けられた評価ユニットを根拠として成り立っている。
【0013】
この方法において、ある特定のトルク測定フランジに関して特定された空転トルクは、対応するトルク測定フランジも同様に使用されるときに限って考慮されるということを比較的簡単に保証することができる。これに関して、それが適切である場合、複雑でありそれ故エラーが発生し易いデータベースの中で行う必要がある、対応するトルク測定フランジに対する各空転トルクの固有の割り当てをせずに済ますことも可能である。したがってこういったタイプの構成により、それが適切である場合、トルク測定フランジを迅速にかつ確実に交換することが可能になる。
【0014】
トルク測定デバイスまたは対応するトルク測定フランジを較正する可能性および必要性は、従来技術から、特に最初に引用されたインターネット上の刊行物から、またさらにDE20 2006 007 689 U1、DE 199 17 626 Al、DE 197 19 921 AlおよびDE 103 06 306 Alから知られているが、上記の刊行物はいずれも、速度依存性が補償されるべきであり、かつこれは空転あるいは速度によって生じる零点変位を考慮することによる有利な方法で実現されるべきであることは示唆していない。
【0015】
好ましくは、空転トルクに比例する記憶された値によって測定値を補償する対応する補償手段がトルク測定フランジに設けられる。こういったタイプの構成により、特にトルク測定フランジが回転するような場合でも、それまでにトルク測定フランジに対して直接これに相当する補償を行うことが可能になる。この方法では、伝送する必要があるのは補償の後に存在する測定信号のみである。それ以外の方法では、それが適切である場合、トルク測定フランジにある記憶手段に記憶され、かつ空転トルクに比例する1つまたは複数の値を別々のステップで評価ユニットに伝送することが恐らく必要になる。
【0016】
さらに、それが適切である場合、空転トルクは速度に依存することが確立されている。ここでこれは空気抵抗または他の遠心力によって、あるいは実質的に測ることのできない不正確性または不均衡性がかさむことによって恐らく生じるものと考えられている。この点に関して、記憶手段が一定の速度に割り当てられた速度依存性の空転トルクに比例する値を記憶する手段を備えている場合に、それは特に有利であることが証明されている。この方法では、対応する複数の空転トルクを速度に依存するように記憶することが可能であり、この空転トルクによって、好適な外挿法または内挿法またはそれ自体従来技術から既知である他の手段を利用して対応する補償を行うことが可能になる。ここで様々な測定値の代わりに、これに対応して既に外挿または内挿された関数依存性を保持することも可能である。
【0017】
さらに、速度に依存する値を特定するセンサがトルク測定フランジに設けられた場合、それはしかるべく有利である。第1の例において、特に既知のトルク測定デバイスは一般に、速度を測定するためのデバイスをいずれにせよ提供するため、対応するセンサが設けられる位置はまちまちであるように思われる。一方既知の速度測定デバイスは、それ以外の方法では、ロータから慣習的に厳密にはそれと一緒に回転しない評価システムに速度または速度に比例する値を別々に伝送しなければならないため、例えば筐体またはフレームなどのステータ上に限定して対応するセンサを有する。本発明はこの点に関しては、まさにしかるべく回転可能なトルク測定フランジ上にセンサを設ける必要があるため、このような現行の慣例に起因するものであり、それが適切である場合、固定式の、すなわちトルク測定フランジと一緒には回転しない信号伝送器が各回転においてセンサに検出されるべき信号を出力する。例えばこのタイプの信号伝送器は、永久磁石であってよく、その磁場は、ホール効果センサまたは回転するフランジと一緒に回転するリードスイッチによって検出することができる。この文脈において、この点に関して、十分信頼して速度を特定することができる任意の好適なセンサを有利に使用すべきであるということをまさしく理解されたい。
【0018】
これに対応して特定されかつ補償された測定結果をトルク測定フランジによって送出することができる。ここでこのような送出は、測定値または別の値を第1の小組立体から第2の小組立体に伝送することを可能にする既知のいずれかの形態で行うことができる。好ましくは送出は、測定の構成自体への影響が最小限になり得るように非接触式に行われる。トルク測定デバイスの固定部品は、これに対応して送出された信号を受信する受信器を有することができる。特に速度に比例する値が周波数変調されて伝送される場合、光を利用する伝送が特に有利であることが証明されている。伝送は極めて低いエネルギーであり、その結果トルク測定フランジは極めて小さい電力源で十分である。
【0019】
先に記載した空転修正に付け加えてまたはその代替として、本発明の目的はまた、評価システムが経時的にトルク測定フランジの零点を記憶するメモリを利用することで成り立っている場合、トルク測定フランジと評価システムとを備えたトルク測定デバイスによって達成される。従来技術によると、零点の統計的変位は、例えば荷重の方向の変化または他の荷重の変化、温度変動または振動および同様のものなどによって生じる可能性があり、これは規則的に行われる較正措置によって容易に検出することができるが、長時間にわたって生じるドリフト作用は、このシステムによって確定された方法における単独の較正措置による検出から逃れてしまうため、このような措置では検出することができない。このようなタイプのドリフト作用は、例えばトルク測定フランジ内にある残余の応力に関連する場合があり、この残余応力はトルク測定フランジそれぞれが機械生産された後、かなりの長期間にわたって消散するしかない。同様にこれは、現行ではその後に続く測定プログラムによって測定する本体にもたらされる応力に関連している場合もある。またこれは、アナログ信号処理要素の安定性が不十分であること、およびアナログ測定値の受信装置に関係することも考えられる。具体的には相当する関連性に対する知識がないこと、および相当するドリフトがかなりの長い期間にわたって有効になることが、これまでこの問題に対峙することを阻んできた。この現象に配慮するには、時間の関数として零点を記憶するしか方法がない。
【0020】
詳細には零点ドリフトは、特にメモリに保存されたデータに基づいてしかるべく測定することが可能であり、この零点ドリフトを使用して特定されたトルク測定値を補償することができる。
【0021】
好ましくは、特に測定の良否をチェックできることを目的として、行われた修正の概要が使用者に残されるように、トルク測定デバイスは零点ドリフトを表示するための手段を有する。一方、このようなタイプの表示装置を使用しない場合もあり、使用者が対応する表示装置によって煩わされずにデバイス内で修正を行うことができる点を理解されたい。しかしながら各トルク測定デバイスが相当する零点ドリフトを受けることは立証されており、先に説明した修正によって相当する零点ドリフトが一見したところ存在しないこと、およびトルク測定の零点は統計的に、トルクが存在しない、すなわちトルク=0Nmの零点を中心に変動することのみを保証することができる。この点に関して、行われる修正もまた、統計的な変動に直接作用しかつ対応する較正方法で短時間作用するだけのそれ自体が既知の較正とは区別されるべきである。
【0022】
好ましくは、零点の記憶はメモリ内で一定の温度で行われる。この方法では、温度によって生じる零点ドリフトに対する影響が最小限になることを保証することができる。これに関連して、用語「一定の温度」は、所定の時間間隔における温度変化が所定の温度差より小さい状態を指す。
【0023】
好ましい構成において、測定されたトルクが複数の測定にわたって閾値を下回る場合、零点ドリフトを特定するために零点が記憶される。この方法において、実際の履行によっては、自動的に零点を記録し、それが適切である場合同様に対応する補償も自動的に行うことができるように、使用者が作用しなくとも零点を記録することが可能である。結果として使用者を解放することができ、操作エラーの危険性を最小限にすることができる。自動化するために他の方法を使用することも可能であり、先に記載した方法は、実施するのに比較的簡単であり信頼できる手法に等しいことを理解されたい。
【0024】
先に説明したように、零点がドリフトしたり少しずつ動いたりすることを完全に阻止することは不可能ではあるが、構造的な手段を利用して零点がドリフトしたり少しずつ動いたりするのを最小限にすることは可能である。このために、例えば少なくとも従来よりトルクによって荷重されるトルク測定フランジの領域をチタン、好ましくはグレード1から10のチタンによって形成することが提案される。代替としてまたはこれに付け加えて、荷重変化ヒステリシスが基準トルクの0.03%を下回るトルク測定フランジを設けることも可能であり、驚くべきことにこれは極めて小さい零点ドリフトを同様に有する。この方法において、必要な修正はその絶対値から見て最小限となり得るが、こういったタイプの修正をしなければ零点ドリフトを回避することはできない。一方、それが適切である場合、零点ドリフトの修正は、これらの構造上の手段を利用するならばそれなしで済ませることも可能であり、各測定の前後にそれが十分低いときに簡素な較正手段を利用してドリフトの大きさを検出することができることを理解されたい。
【0025】
一方で時間の関数としてトルク測定フランジの零点を記憶する対応するメモリを、トルク測定デバイスの固定式の評価ユニットの中に設けることもできることを理解されたい。空転修正に関して既に説明してきたように、対応するトルク測定デバイスの固定式のシステムに測定値を伝送する前に対応する値および修正が既に行われているように、同様に対応するトルク測定フランジにまたはその上にメモリを配置することもできる。
【0026】
本発明のさらなる利点、目的および特徴が、本発明によるトルク測定デバイスまたはトルク測定フランジが例示の目的で示される添付の図面に基づいて説明される。