特許第5846522号(P5846522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5846522
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】仕切板及び緩衝材
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/02 20060101AFI20151224BHJP
【FI】
   B65D81/02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-539988(P2015-539988)
(86)(22)【出願日】2015年5月1日
(86)【国際出願番号】JP2015063067
【審査請求日】2015年8月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309011011
【氏名又は名称】株式会社原田木型工業
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】原田 英和
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−016534(JP,A)
【文献】 実開平02−040021(JP,U)
【文献】 実開昭48−111567(JP,U)
【文献】 米国特許第4544092(US,A)
【文献】 米国特許第4194675(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下一方側を開口とする様に形成された溝部が以下の構成を備えていることを特徴とする仕切板。
(1A)前記溝部は、前記開口から溝底までの深さが当該仕切板の高さの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、前記開口と前記溝底との間において溝内に向かって突出する突起部が、前記溝底から当該仕切板の高さの1/2よりも開口側となる高さの位置へと突出する様に前記左右の溝側壁の両方から突出されていること。
(1B)前記溝部は、前記突起部から前記開口までの間に、当該仕切板の板厚とほぼ同一幅の垂直部を備えると共に、前記突起部から前記溝底までの間は、前記垂直部の延長線よりも内側に突出することのない幅と、前記突起部を収納可能な深さと、を有していること。
【請求項2】
上下一方側を開口とする様に形成された溝部が以下の構成を備えていることを特徴とする仕切板。
(2A)前記溝部は、前記開口から溝底までの深さが当該仕切板の高さの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、前記開口と前記溝底との間において溝内に向かって突出する突起部が備えられていること。
(2B)前記突起部は、溝底側が水平面とされると共に開口側が溝中心から離れるほど高さが大きくなる傾斜を有するテーパ面とされ、前記水平面が、前記溝底から当該仕切板の高さの1/2よりも開口側となる高さの位置へと突出する様に前記左右の溝側壁の両方から突出されていること。
(2C)前記溝部は、前記突起部から前記開口までの間に、当該仕切板の板厚とほぼ同一幅の垂直部を備えていること。
(2D)前記突起部から前記溝底までの間は、前記垂直部の延長線よりも内側に突出することのない幅と、前記突起部を収納可能な深さと、を有していること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の仕切板。
(3)前記溝部は、溝側壁が左右対称となる様に形成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の仕切板。
(4)前記垂直部の開口側には、外開きとなるテーパ面が形成されていること。
【請求項5】
上下一方側を開口とする溝部が形成された複数枚の仕切板同士を、互いに溝部同士を噛み合わせる様に井桁状に組み立てられた緩衝材であって、前記複数枚の仕切板のそれぞれが、以下の構成を備えていることを特徴とする緩衝材。
(5A)前記仕切板は発泡プラスチックで形成されると共に、前記溝部は左右対称となる溝側壁を有していること。
(5B)前記溝部は、前記開口から溝底までの深さが当該仕切板の高さの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、前記開口と前記溝底との間において溝内に向かって突出する突起部が備えられていること。
(5C)前記突起部は、溝底側が水平面とされると共に開口側が溝中心から離れるほど高さが大きくなる傾斜を有するテーパ面とされ、前記水平面が、前記溝底から当該仕切板の高さの1/2よりも開口側となる高さの位置へと突出する様に前記左右の溝側壁の両方から突出されていること。
(5D)前記溝部は、前記突起部から前記開口までの間に、当該仕切板の板厚とほぼ同一幅の垂直部を備えていること。
(5E)前記突起部から前記溝底までの間は、前記垂直部の延長線よりも内側に突出することのない幅と、前記突起部を収納可能な深さと、を有していること。
(5F)前記垂直部の開口側には、外開きとなるテーパ面が形成されていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕切板を組み立ててなる緩衝材及び当該仕切板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を包装する際、下向き溝を備える仕切板と上向き溝を備える仕切板とを溝同士を噛み合わせる様に組み立てて井桁状に組んだ緩衝材が用いられることが多い。
【0003】
こうした仕切板とし低発泡材やプラスチック製段ボールを用いた緩衝材の提案がある(特許文献1,特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−131153号公報(図1図3
【特許文献2】特開2010−132299号公報(図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された緩衝材は、コ字状の切り込みが形成された第1の仕切板と、端部に上下から切り込みを入れた第2の仕切板とを用いることから、部品の種類が増加するという問題がある。また、組立に当たっては、第2の仕切板の端部の切り込みを横に折り曲げて第1の仕切板のコ字状の切り込みに差し込んだ後に折り曲げた部分を再び伸ばす作業が必要で手間がかかると共に、素材がプラスチック製段ボールに限られるという問題がある。
【0006】
特許文献2に記載された緩衝材は、複数の直線溝を備える同タイプの仕切板同士を組み合わせる構造であることから部品の種類は増加せず、組立も容易であるが、外れない様にするために底板を熱溶着させる必要があり、結局のところ、部品の種類の減少や組み立て作業の容易化は達成できていない。また、一旦組み立てると分解できないという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、部品の種類を増加させることなく組立・分解が容易であって、組み立てた後に仕切板が不用意に外れることのない緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達するためになされた本発明の仕切板は、上下一方側を開口とする様に形成された溝部が以下の構成を備えていることを特徴とする。
(1A)前記溝部は、前記開口から溝底までの深さが当該仕切板の高さの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、前記開口と前記溝底との間において溝内に向かって突出する突起部が、前記溝底から当該仕切板の高さの1/2よりも開口側となる高さの位置へと突出する様に前記左右の溝側壁の両方から突出されていること。
(1B)前記溝部は、前記突起部から前記開口までの間に、当該仕切板の板厚とほぼ同一幅の垂直部を備えると共に、前記突起部から前記溝底までの間は、前記垂直部の延長線よりも内側に突出することのない幅と、前記突起部を収納可能な深さと、を有していること。
【0009】
本発明の仕切板を複数枚用意し、互いの溝部を噛み合わせる様に上下反対に90度ずらして井桁状に組み立てるとき、上方から噛み合わされる仕切板(以下、「上側の仕切板」という)の突起部と、下方から噛み合わされる仕切板(以下、「下側の仕切板」という)の突起部とが外側隅同士で当接する。こうして突起部の外側隅同士を当接させた仕切板同士をさらに深く噛み合わせる様に押し込み合う様にすると、それぞれの突起部は、外側隅を若干変形させつつ相手側の溝底方向へと侵入する。このとき、各仕切板は、溝部の深さ及び突起部の位置が(1A)に記載の構成を有すると共に、突起部から溝底までの間の幅及び深さが(1B)に記載の構成を有しているから、突起部は互いに相手の突起部を交わして溝底部分へと収納される。また、突起部から開口までの間に(1B)に記載の直線部を有しているから、それぞれの溝部の垂直部が、相手の仕切板の外面に対するガイドとなり、噛み合い方向を整列させると共に、噛み合った後は仕切板の倒れを防止する。そして、突起部の突出位置が(1A)に記載の構成を有すると共に、突起部から溝底までの間の幅及び高さが(1B)に記載の構成を有しているから、上側の仕切板の突起部は下側の仕切板の突起部の下側に、下側の仕切板の突起部の水平面は上側の仕切板の上側に位置し、互いに相手の抜け出しを阻止し合った状態となる。これにより、組立後の仕切板が不用意に外れることがない。この様に不用意に外れることはないが、仕切板同士は溶着されている分けではないから、意図的に仕切板を抜き取る様に操作すれば、分解することもできる。
【0010】
上記目的を達するためになされた本発明の仕切板は、上下一方側を開口とする様に形成された溝部が以下の構成を備えていることを特徴とする。
(2A)前記溝部は、前記開口から溝底までの深さが当該仕切板の高さの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、前記開口と前記溝底との間において溝内に向かって突出する突起部が備えられていること。
(2B)前記突起部は、溝底側が水平面とされると共に開口側が溝中心から離れるほど高さが大きくなる傾斜を有するテーパ面とされ、前記水平面が、前記溝底から当該仕切板の高さの1/2よりも開口側となる高さの位置へと突出する様に前記左右の溝側壁の両方から突出されていること。
(2C)前記溝部は、前記突起部から前記開口までの間に、当該仕切板の板厚とほぼ同一幅の垂直部を備えていること。
(2D)前記突起部から前記溝底までの間は、前記垂直部の延長線よりも内側に突出することのない幅と、前記突起部を収納可能な深さと、を有していること。
【0011】
本発明の仕切板を複数枚用意し、互いの溝部を噛み合わせる様に上下反対に90度ずらして井桁状に組み立てるとき、上方から噛み合わされる仕切板(以下、「上側の仕切板」という)の突起部の傾斜面と、下方から噛み合わされる仕切板(以下、「下側の仕切板」という)の突起部の傾斜面とが外側の隅同士で当接する。こうして突起部の外側隅同士を当接させた仕切板同士をさらに深く噛み合わせる様に押し込み合う様にすると、それぞれの突起部は外側隅同士は、相手側の傾斜面に沿って若干変形しつつ相手側の溝底方向へと侵入する。このとき、各仕切板は、溝部が(2A)の構成を有すると共に、突起部から溝底までの間が(2D)の構成を有しているから、突起部は互いに相手の突起部を交わして溝底部分へと収納される。また、突起部から開口までの間に(2C)の構成を有しているから、それぞれの溝部の垂直部が、相手の仕切板の外面に対するガイドとなり、噛み合い方向を整列させると共に、噛み合った後は仕切板の倒れを防止する。そして、突起部が(2B)の構成を有しているから、上側の仕切板の突起部の水平面は下側の仕切板の突起部の水平面の上側に、下側の仕切板の突起部の水平面は上側の仕切板の突起部の水平面の上側に位置し、互いに相手の抜け出しを阻止し合った状態となる。これにより、組立後の仕切板が不用意に外れることがない。この様に不用意に外れることはないが、仕切板同士は溶着されている分けではないから、意図的に仕切板を抜き取る様に操作すれば、分解することもできる。特に、水平面同士の係合によって不用意な分解がより確実に阻止される。
【0012】
ここで、本発明の仕切板は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(3)前記溝部は、溝側壁が左右対称となる様に形成されていること。
【0013】
溝側壁が左右対称とされることにより、突起部の変形はほぼ左右対称に生じ、組立られた状態における水平面同士の係り合いも左右対称であるから、組立作業・分解作業をスムーズに実行することができると共に、組み立てた状態における抜け出し防止効果も適切に発揮される。
【0014】
また、これら本発明の仕切板は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(4)前記垂直部の開口側には、外開きとなるテーパ面が形成されていること。
【0015】
溝部の開口側を外開きのテーパ面とすることにより、仕切板同士を若干斜め方向から噛み合わせたり、仕切板同士を若干斜め方向に引き抜いたりすることができ、組立作業・分解作業を、さらに容易にすることができる。
【0016】
上記目的を達するためになされた本発明の緩衝材は、上下一方側を開口とする溝部が形成された複数枚の仕切板同士を、互いに溝部同士を噛み合わせる様に井桁状に組み立てられた緩衝材あって、前記複数枚の仕切板のそれぞれが、以下の構成を備えていることを特徴とする。
(5A)前記仕切板は発泡プラスチックで形成されると共に、前記溝部は左右対称となる溝側壁を有していること。
(5B)前記溝部は、前記開口から溝底までの深さが当該仕切板の高さの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、前記開口と前記溝底との間において溝内に向かって突出する突起部が備えられていること。
(5C)前記突起部は、溝底側が水平面とされると共に開口側が溝中心から離れるほど高さが大きくなる傾斜を有するテーパ面とされ、前記水平面が、前記溝底から当該仕切板の高さの1/2よりも開口側となる高さの位置へと突出する様に前記左右の溝側壁の両方から突出されていること。
(5D)前記溝部は、前記突起部から前記開口までの間に、当該仕切板の板厚とほぼ同一幅の垂直部を備えていること。
(5E)前記突起部から前記溝底までの間は、前記垂直部の延長線よりも内側に突出することのない幅と、前記突起部を収納可能な深さと、を有していること。
(5F)前記垂直部の開口側には、外開きとなるテーパ面が形成されていること。
【0017】
本発明の緩衝材によれば、発泡プラスチックで形成された仕切板は、組立・分解の際に、突起部を変形させ得る反面、組立られている状態においては、突起部は元の形状に復元する。この結果、発泡倍率2倍〜8倍、板厚10mm〜20mmといった市販の低発泡性押出成形シート材を用いて、トムソン抜型によって打ち抜き加工する方法で仕切板を製造することもできる。一方、発泡プラスチックシート材をトムソン抜型で打ち抜き加工するに当たっては、打ち抜いた部分を抜型から自動排出することを考慮すると、板厚3mm以上とすることが望ましい。従って、本発明の緩衝材を物品を下から支える受け台として使用する場合は、発泡倍率2倍〜8倍、板厚3〜20mmの低発泡材(低発泡ポリプロピレン、低発泡ポリスチレン等)を用いると、所望の機能を有する緩衝材用仕切板をトムソン抜型を用いて製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、部品の種類を増加させることなく組立・分解が容易であって、組み立てた後に仕切板が不用意に外れることのない様にした緩衝材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の仕切板を示し、(A)は背面図と左側面図を省略した六面図、(B)はa−a断面図、(C)はb−b断面図である。
図2】実施例1の仕切板を組み立てて緩衝材とする様子を示し、(A)は仕切板の斜視図、(B)は組立途中の緩衝材の斜視図、(B)は組立完了後の緩衝材の斜視図である。
図3】実施例1の仕切板を組み立てて形成した緩衝材を示し、(A)は平面図、(B)はc−c拡大断面図、(C)はd−d拡大断面図、(D)はe−e拡大断面図である。
図4】実施例1の緩衝材の使用例を示し、(A)は中仕切りとして升目の間に物品を収納して用いる様子の斜視図、(B)は受け台として上面に物品を載置して用いる様子を示す斜視図である。
図5】実施例2の仕切板を示し、(A)は背面図と左側面図を省略した六面図、(B)はf−f断面図、(C)はg−g断面図である。
図6】実施例2の仕切板を組み立てた緩衝材の使用例を示し、(A)は組立前の斜視図、(B)は組立完了後に球状の物品を載置する受け台として用いる様子を示す斜視図である。
図7】実施例3の仕切板を組み立てて緩衝材とする様子を示し、(A)は組立前の斜視図、(B)は組立完了後の斜視図である。
図8】実施例3の緩衝材の使用例を示し、(A)は中仕切りとして升目の間に物品を収納して用いる様子の斜視図、(B)は受け台として上面に物品を載置して用いる様子を示す斜視図である。
図9】他の実施例を示し、(A)は実施例4の組立前の要部拡大断面図、(B)は実施例3の組立完了後の要部拡大断面図、(C)は実施例4の組立前の要部拡大断面図、(D)は実施例5の組立完了後の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明を実施するための形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1の仕切板10について、図1(A)に背面図と左側面図を省略した六面図を、図1(B)にa−a断面図を、図1(C)にb−b断面図を示す。
【0022】
仕切板10は、上側を開口21とする様に形成された溝部20,20を備えている。溝部20,20は、同一形状であり、開口21から溝底22までの深さd1が当該仕切板10の高さhの1/2よりも大きくなる様に形成されると共に、開口21と溝底22との間の位置に溝内に向かって突出する突起部30,30が備えられている。
【0023】
突起部30は、溝底22側が水平面31とされると共に開口21側が溝中心から離れるほど高さが大きくなる傾斜を有するテーパ面32とされ、水平面31が、溝底22から当該仕切板10の高さhの1/2よりも開口21側となる高さh1の位置へ突出する様に左右の溝側壁23,24の両方から突出されている。
【0024】
溝部20,20は、また、突起部30,30から開口21までの間に、当該仕切板10の板厚tとほぼ同一幅b1の垂直部25,26を備えている。そして、突起部30,30から溝底22までの間は、垂直部25,26の延長線よりも内側に突出することがない幅b2と、突起部30,30を収納可能な深さd2と、を有している。さらに、垂直部25,26の開口21側には、外開きとなるテーパ面27,28が形成されている。そして、図示の様に、仕切板10の各溝部20,20は、いずれも溝側壁23,24が左右対称の同一形状のものとして形成されている。
【0025】
なお、本実施例では、仕切板10の素材として、低発泡性PPシート(三井化学東セロ株式会社製、製品名:パロニア(登録商標)、ポリプロピレン3倍押出発泡シート)を用いた。また、具体的な寸法としては、t=10mm、b1=b2=10.2mm、h=30mm、d1=21mm、h1=15.5mm、d2=6.5mmとした。また、突起部30の先端は垂直に面取りを施すと共に、左右の突起部間の隙間b3を、板厚tに対して50%〜80%の範囲内とすべく、本実施例ではb3=6.2mm(tの62%)とした。
【0026】
本実施例の仕切板10を4枚用意し、図2(B)に示す様に、互いの溝部20同士を噛み合わせる様に上下反対に90度ずらして井桁状に組み立てることにより、図2(C)に示す緩衝材1として包装・梱包に用いる。
【0027】
組立に当たって、上方から噛み合わされる仕切板(以下、「仕切板11」という)の突起部30の傾斜面と、下方から噛み合わされる仕切板(以下、「仕切板12」という)の突起部30の傾斜面とが外側隅35(図3(D),(E)参照)同士で当接する。こうして突起部30の外側隅35同士を当接させた仕切板11と仕切板12とをさらに深く噛み合わせる様に押し込み合う様にすると、それぞれの突起部30は外側隅同士は、若干変形しつつ相手側の溝底方向へと侵入する。
【0028】
このとき、各仕切板11,12は、溝部20が、「開口21から溝底22までの深さd1が当該仕切板11(12)の高さhの1/2よりも大きくなる様に形成」され、「突起部30から溝底22までの間は、垂直部25,26の延長線よりも内側に突出することのない幅b2と、突起部30を収納可能な深さd2と」を有しているから、図3(B),(C)に示す様に、突起部30は互いに相手の突起部30を交わして相手側の溝底部分へと収納される。
【0029】
また、突起部30から開口21までの間に「当該仕切板11(12)の板厚tとほぼ同一幅b1の垂直部25,26」を備えているから、それぞれの溝部20の垂直部25,26が、相手の仕切板11(12)の外面に対するガイドとなり、噛み合い方向を整列させると共に、噛み合った後は仕切板11(12)の倒れを防止する。
【0030】
そして、突起部30が「溝底22側が水平面31とされると共に開口21側が溝中心から離れるほど高さが大きくなる傾斜を有するテーパ面32とされ、水平面31が、溝底22から当該仕切板11(12)の高さhの1/2よりも開口21側の高さh1の位置へ突出する様に左右の溝側壁23,24の両方から突出」されているから、図3(B)〜(E)に示す様に、上側の仕切板11の突起部30の水平面31は下側の仕切板12の突起部30の水平面31に、下側の突起部30の水平面31は上側の突起部30の水平面31の上に位置し、この状態で外側隅35同士が重なり合って互いに相手の抜け出しを阻止し合った状態となる。
【0031】
これにより、組立後の仕切板11と仕切板12とが不用意に外れることがない。この様に不用意に外れることはないが、仕切板同士は溶着されている分けではないから、意図的に仕切板11(12)を抜き取る様に操作すれば、分解することもできる。
【0032】
また、溝側壁23,24が左右対称とされることにより、突起部30の変形はほぼ左右対称に生じ、組立られた状態における水平面31同士の係り合いも左右対称であるから、組立作業・分解作業をスムーズに実行することができると共に、組み立てた状態における抜け出し防止効果も適切に発揮される。
【0033】
加えて、溝部20の開口21側を外開きのテーパ面27,28とすることにより、仕切板同士を若干斜め方向から噛み合わせたり、仕切板同士を若干斜め方向に引き抜いたりすることができ、組立作業・分解作業を、さらに容易にすることができる。
【0034】
本実施例の緩衝材1は、低発泡材によって形成されていることから、適度な硬さとクッション性とを有する。この結果、図4(A)に示す様に、井桁状に組んだ升目の間に物品W1を収納する中仕切りとして用いる外に、図4(B)に示す様に、上面に物品W2を載置する受け台として用いることもできる。また、本実施例の緩衝材1は、組立・分解が容易であるから、分解した状態で梱包現場へと輸送し、梱包を解いた後は再び分解して資材倉庫や別の現場へと輸送することができる。
【実施例2】
【0035】
実施例2の仕切板40について、図5(A)に背面図と左側面図を省略した六面図を、図5(B)にf−f断面図を、図5(C)にg−g断面図を示す。
【0036】
仕切板40は、素材、t,h,h1,d1,d2,b1,b2の寸法を実施例1と同じにし、さらに、溝20も実施例1と同じ寸法・形状のものを備えている。実施例1との相違点として、上面及び下面の中央部に、それぞれ円弧状の凹部41,42を備える。
【0037】
本実施例の仕切板40を4枚用意し、図6(A)に示す様に、互いの溝部20同士を噛み合わせる様に上下反対に90度ずらして井桁状に組み立てることにより、図6(B)に示す緩衝材2として包装・梱包に用いる。この実施例2の緩衝材2は、井桁状に組んだときに上面に円弧状の凹部41,42を備えているから、球状の物品W3を載置する受け台として使用することができる。
【実施例3】
【0038】
実施例3の緩衝材3について、図7(A)に組立前の斜視図を、図7(B)に組立完了後の斜視図を示す。実施例1の緩衝材1では、溝部20を2本備える仕切板10を用いたが、実施例3の緩衝材3では、溝部20を等間隔に3本備える仕切板50を用いる点が相違する。そして、実施例3の緩衝材3は、上側として3枚、下側として3枚の合計6枚の仕切板50を、実施例1と同様に組み立てることにより、4個の升目を備えたものとして組み立てられている。なお、素材、及び各溝部20の寸法は実施例1と同様である。
【0039】
本実施例の緩衝材3は、図8(A)に示す様に、井桁状に組んだ升目の間に物品W3a〜w3dを収納する中仕切りとして用いることができると共に、図8(B)に示す様に、上面に物品W4を載置する受け台として用いることもできる。
【実施例4】
【0040】
実施例4は、図9(A),(B)に示す様に、突起部として矩形断面突起71,72を有する仕切板61,62を採用した緩衝材4である。素材、t,h,h1,d1,d2,b1,b2の寸法は実施例1と同じであるが、突起部間の隙間b4を、板厚tに対して80%としている。この実施例においても、組立に際しては、上側の仕切板61の突起部71と下側の仕切板62の突起部72は、外側隅同士で当接し、若干の変形を伴いながら相手側の収納部へと収納される。そして、組み立てた状態においては、突起部71と突起部72が外側隅同士で不用意な抜け出しを防止する。また、分解時には、抜け出し防止として機能していた突起部71の外側隅と突起部72の外側隅が若干変形し、意図的な分解作業においては、抜け出しを妨げない。
【実施例5】
【0041】
実施例5は、図9(C),(D)に示す様に、突起部として半円形断面突起91,92を有する仕切板81,82を採用した緩衝材5である。素材、t,h,h1,d1,d2,b1,b2の寸法は実施例1と同じであるが、突起部間の隙間b5を、板厚tに対して50%としている。この実施例においても、組立に際しては、上側の仕切板81の突起部91と下側の仕切板82の突起部92は、外側隅同士で当接し、若干の変形を伴いながら相手側の収納部へと収納される。そして、組み立てた状態においては、突起部91と突起部92が外側隅同士で不用意な抜け出しを防止する。また、分解時には、抜け出し防止として機能していた突起部91の外側隅と突起部92の外側隅が若干変形し、意図的な分解作業においては、抜け出しを妨げない。
【0042】
以上、各実施例によれば、部品の種類を増加させることなく組立・分解が容易であって、組み立てた後に仕切板が不用意に外れることのない様にした緩衝材を提供することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に限らず、その要旨を逸脱しない範囲内での種々なる変形実施が可能であることはいうまでもない。
【0044】
例えば、実施例はいずれも低発泡性PPシートを用いたが、低発泡ポリエステルシートを用いてもよいし、発泡倍率、板厚も実施例のものに限らず、受け台として使用する場合は、発泡倍率2〜8倍、板厚3〜20mmの発泡プラスチックの中から、包装・梱包の対象物に適する硬さやクッション性を有するものを採用すればよい。また、包装・梱包用の緩衝材に限らず、例えば、クッション性を備える床の緩衝材として床板の下に設置して用いるなど、包装・梱包以外の種々の用途にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
主として、包装・梱包のための資材としての緩衝材に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1,2,3,4,5・・・・・・緩衝材、10,11,12,40,50,61,62,81,82・・・仕切板、20・・・溝部、21・・・開口、22・・・溝底、23,24・・・溝側壁、25,26・・・垂直部、27,28・・・テーパ面、30,71,72,91,92・・・突起部、31・・・水平面、32・・・テーパ面、35・・・外側隅、41,42・・・凹部、W1,W2,W3a〜W3d,W4・・・物品。
【要約】
部品の種類を増加させることなく組立・分解が容易であって、組み立てた後に仕切板が不用意に外れることのない様にした緩衝材を提供する。
仕切板(10)の溝部(20)は、[1/2(仕切板の高さh)]<[深さd1]を有し、溝内に突出する突起部(30)を備える。突起部(30)は、溝底側の水平面(31)が、溝底から[仕切板の高さh]の1/2よりも開口側となる高さh1の位置へ突出する様に左右の溝側壁(23,24)の両方から左右対称に突出される。突起部から開口までの間に、[仕切板の板厚t]とほぼ同一幅b1の垂直部(25,26)を備え、突起部から溝底までの間は、垂直部の延長線よりも内側に突出することがない幅b2と、突起部(30)を収納可能な深さd2とを有する。開口側には、外開きとなるテーパ面(27,28)も形成されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9