(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドーム状に形成された膨出部を備える可動接点部材と、該可動接点部材を収容する収容部とともに、前記可動接点部材と接触する固定接点部材とを有するハウジングと、該ハウジングの上面側に貼り付けされるとともに、外部から押圧される押し子を有するシートとを有し、前記ハウジングを上方から平面視したときに、前記ハウジングの外形形状が略長方形状である押釦スイッチにおいて、
前記ハウジングの外形形状を形成する4つの辺の、対向して配置された2辺の組の少なくとも一方の組の延在する方向において、前記ハウジングの上面の少なくとも一部は、その両端部の底面から前記ハウジングの上面までの高さが、中央部の高さよりも低くなるように形成されていることを特徴とする押釦スイッチ。
【背景技術】
【0002】
昨今、押圧部材を用いて操作される押釦スイッチもある。押圧部材を用いて操作した場合に、押圧の仕方によっては押圧部材が傾いてしまい、斜め押しされることもある。そのため、押圧部材を用いて斜め押しされた場合であっても、確実に操作することができる押釦スイッチが求められている。
【0003】
押釦スイッチとしては、下記の特許文献1に記載の押釦スイッチ900が知られている。以下、
図7ないし
図9を用いて、特許文献1に記載の押釦スイッチについて説明する。
図7は、特許文献1に記載の押釦スイッチ900の構成を示す分解斜視図である。
図8は、特許文献1に記載の押釦スイッチ900の構成を示す断面図である。
図9は、押釦スイッチ900が斜め押しされた状態を示す図であり、
図9(a)は押釦スイッチ900の上面の平面方向における寸法が小さい方向に傾いて斜め押しされた状態を示す図であり、
図9(b)は押釦スイッチ900の上面の平面方向における寸法が大きい方向に傾いて斜め押しされた状態を示す図である。
【0004】
特許文献1に記載の押釦スイッチ900は、
図7および
図8に示すように、開口部910aの内底面に中央接点部材920と外側接点部材930とを備えた基体910と、円形ドーム状に形成された弾性金属薄板からなる可動接点部材940と、可撓性を備えた絶縁フィルム製のカバーシート950と、を有している。可動接点部材940は、基体910の開口部910aの内部に配置される。このとき、可動接点部材940の外周部は外側接点部材930の上に配置され、可動接点部材940と外側接点部材930とは電気的に導通するとともに、可動接点部材940は押圧することで中央接点部材920と電気的に導通可能な位置に配置されている。開口部910a内に可動接点部材940が配置された基体910の上面に、カバーシート950が固定されることで、押釦スイッチ900が形成される。また、押釦スイッチ900は、
図8に示すような、押圧部材ppを用いて、カバーシート950の押し子950aが押圧されることで機能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
押圧部材ppとしては、
図8に示すような、板状に形成され、一方の面に操作者が押圧を行なう突起部liを備えた形状のものが用いられることが多く、突起部liの裏面側が押し子950aに対応して配置される。しかしながら、例えば、突起部liおよび押し子950aを平面視した時に、押圧部材ppの突起部liの面積が押釦スイッチ900の押し子950aの面積よりも大きい時、突起部liの周縁部付近を押圧操作されると、押圧部材ppは押し子950aの周縁部を支点として傾くことがある。仮に、押圧部材ppが傾いた状態で操作された場合、押釦スイッチ900の上面の平面方向における寸法が小さい箇所では、
図9(a)に示すように、押圧部材ppと押釦スイッチ900とは押し子950a以外の箇所で接触し難いが、押釦スイッチ900の上面の平面方向における寸法が大きい箇所では、
図9(b)に示すように、押釦スイッチ900の操作が終る前に、押圧部材ppが押釦スイッチ900の押し子950a以外の箇所に接触してしまい、操作しにくく、場合によっては操作できなくなることが懸念される。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決して、斜め押しされた場合でも確実に操作することができる押釦スイッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の押釦スイッチは、ドーム状に形成された膨出部を備える可動接点部材と、該可動接点部材を収容する収容部とともに、前記可動接点部材と接触する固定接点部材とを有するハウジングと、該ハウジングの上面側に貼り付けされるとともに、外部から押圧される押し子を有するシートとを有し、前記ハウジングを上方から平面視したときに、前記ハウジングの外形形状が略長方形状である押釦スイッチにおいて、前記ハウジングの外形形状を形成する4つの辺の、対向して配置された2辺の組の少なくとも一方の組の延在する方向において、前記ハウジングの上面の少なくとも一部は、その両端部の底面から前記ハウジングの上面までの高さが、中央部の高さよりも低くなるように形成されている、という特徴を有する。
【0009】
請求項2に記載の押釦スイッチは、前記一方の組の辺である長手辺は互いに同じ形状で同じ高さに形成されており、前記ハウジングの上面に形成され、前記シートが貼付される貼付面は、前記長手辺同士の間を繋ぐことにより形成される仮想面に沿って形成されており、前記ハウジングの上面の高さは、前記仮想面以下の高さに形成されている、という特徴を有する。
【0010】
請求項3に記載の押釦スイッチは、前記長手辺の形状は、曲率半径が一定の弧である、という特徴を有する。
【0011】
請求項4に記載の押釦スイッチは、前記可動接点部材は、上方から平面視したときに長細形状であり、前記可動接点部材は、前記可動接点部材の長手辺が延出する方向と前記ハウジングの長手辺が延出する方向とが略一致する向きに配置されるとともに、前記ハウジングの長手辺の中央部に対応して前記膨出部の頂点部が前記ハウジングの長手辺側の側方から見て一致する位置に配置されている、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、少なくともハウジングの短手辺が配置された方向、またはハウジングの長手辺が配置された方向においては、辺の両端部でのハウジングの底面からハウジングの上面までの高さが、辺の中央部よりも低くなるように形成されている。そのため、仮に、押釦スイッチが取り付けられた電子機器の押圧部材が、斜めになった状態で押釦スイッチを押圧操作した場合でも、押圧部材が押釦スイッチの押し子以外の箇所に接触し難くなり、操作性の悪化を防止し、確実に操作することができる押釦スイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0013】
請求項2の発明によれば、短手方向に比べて、斜めになった押圧部材がより接触しやすい長手方向においてのみ、長手辺の両端部でのハウジングの底面からハウジングの上面までの高さを、長手辺の中央部よりも低くなるように形成することで、長手方向に対応する押圧部材の外周端部は、中央部よりも低くなった箇所に逃げることができ、ハウジングに接触し難くなっている。また、シートが貼付される貼付面を、長手辺同士の間を繋ぐことにより形成される仮想面と同一面に形成するとともに、ハウジングの上面の高さを仮想面以下の高さに形成することで、仮想面より上に突出するものがないため、ハウジングに接触し難くなっている。さらに、貼付面の凹凸が小さくなり、仮想面より上に突出するものがないため、シートの貼り付けが容易になる。したがって、従来よりも押圧部材がハウジングに接触し難く、シートの貼付が容易な押釦スイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0014】
請求項3の発明によれば、ハウジングの上面に形成された貼付面を凹形状のない曲面に形成することで、シートの貼り付けが、従来技術と同等に容易に行なえるとともに、シートは、貼付面全体で、より確実に保持され、小型化した場合でもシートが剥がれ難くなる、という効果を奏する。
【0015】
請求項4の発明によれば、可動接点部材を、可動接点部材の長手辺が延出する方向とハウジングの長手辺が延出する方向とが略一致する向きに配置するとともに、可動接点部材において一番高さの高い箇所である膨出部の頂点部と、ハウジングにおいて一番高さの高い箇所である長手辺の中央部の位置とを、ハウジングの長手辺側の側方から見て一致するように配置するとともに、ハウジングの上面形状に沿うように可動接点部材を収納することで、より高さのある可動接点部材をハウジング内に収納することが可能となり、押釦スイッチを小型化した場合でも、操作ストロークを長くすることができる、という効果を奏する。
【0016】
以上より、本発明によれば、斜め押しされた場合でも確実に操作することができる押釦スイッチを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態における押釦スイッチ100について説明する。
【0019】
まず始めに本実施形態における押釦スイッチ100の構成について
図1ないし
図3を用いて説明する。
図1は第1実施形態における押釦スイッチ100を示す図であり、
図1(a)は押釦スイッチ100の外観を示す斜視図であり、
図1(b)は押釦スイッチ100を
図1(a)に示すZ1方向からみた状態を示す平面図である。
図2は押釦スイッチ100の構成を示す分解斜視図である。
図3は可動接点部材1が配置されたハウジング2の外観を示す図であり、
図3(a)はハウジング2を
図1(a)に示すZ1方向から見た側面図であり、
図3(c)はハウジング2を
図1(a)に示すY2方向から見た平面図であり、
図3(c)はハウジング2を
図1(a)に示すX2方向から見た側面図である。
【0020】
押釦スイッチ100は、
図1に示すような外観であり、
図2に示すように、ドーム状に形成された膨出部1aを有する可動接点部材1と、可動接点部材1を収容する収容部2aと可動接点部材1と接触する固定接点部材3とを有するハウジング2と、ハウジング2の収容部2aを覆うとともに外部から押圧される押し子4aを有するシート4と、を備えている。
【0021】
可動接点部材1は、
図2に示すように、金属薄板からなり、上方(Z1方向)からの押圧操作により反転動作可能にドーム状に形成された膨出部1aと、膨出部1aの周囲に形成されるとともに、Z1方向から平面視すると、外形形状が長細形状になるように形成された鍔部1bとを有する。
【0022】
ハウジング2は、
図2に示すように、合成樹脂材からなり、略直方体状に形成され、上方(Z1方向)から平面視したときに、ハウジング2の外形形状が略長方形状である。ハウジング2には、可動接点部材1を収納可能な収容部2aが、Z1方向から平面視したときに略長方形状となる凹形状に形成されている。収容部2aの内部底面には、固定接点部材3が内部底面から上方(Z1方向)へ突出して設けられている。固定接点部材3は金属薄板からなり、収容部2aの中央に設けられた第1固定接点部材部3aと、第1固定接点部材部3aを挟んで、収容部2aのX1−X2方向の両端近傍に設けられた第2固定接点部材部3bとからなる。なお、第1固定接点部材部3aと第2固定接点部材部3bとは電気的に導通していない。
【0023】
また、ハウジング2は、押釦スイッチ100として外部と電気的に接続可能とする、第1外部接続端子3cと第2外部接続端子3dとを有する。第1外部接続端子3cは、ハウジング2のX1−X2方向で対向する側面のY2方向側から、それぞれ1本ずつ突出して形成されている。第2外部接続端子3dは、ハウジング2のX1−X2方向で対向する側面のY1方向側から、それぞれ1本ずつ突出して形成されている。なお、第1固定接点部材部3aと第1外部接続端子3cとは同一の金属板からなり電気的に導通しているとともに、第2固定接点部材部3bと第2外部接続端子3dとは同一の金属板からなり電気的に導通している。
【0024】
また、
図3(a)に示すように、ハウジング2を上方から平面視したときのハウジング2の外形形状を概略形成する長方形の4つの辺として、対向して配置された2本の長手辺LEの組と、同じく対向して配置された2本の短手辺SEの組がある。対向して配置された2辺の組の少なくとも一方の組の延在する方向において、ハウジング2の上面2bの少なくとも一部は、その両端部でのハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さが、中央部の高さよりも低くなるように形成されている。なお、本実施形態においては、
図3に示すように、長手辺LEの組みにおいてのみ、長手辺LEの両端部でのハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さが、長手辺LEの中央部よりも低くなるように形成されている。
【0025】
ハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さは、長手辺LEの両端部において長手辺LEの中央部よりも低くなるように形成されているとともに、ハウジング2を長手辺LE方向(Y1方向またはY2方向)から見たときに、一組の長手辺LEは互いに同じ形状で同じ高さに形成されている。なお、一組の長手辺LEは、
図3(b)に示すように、曲率半径R0が一定の弧を描く仮想曲線VCに沿って互いに同じ形状となるように形成されている。
【0026】
また、ハウジング2の上面2b側にはシート4が貼付される貼付面2cが形成されている。貼付面2cは、長手辺LE同士の間を繋ぐことで形成される仮想面VFと同一面に形成されており、ハウジング2の上面2bの高さは、仮想面VFの高さ以下に形成されている。
【0027】
シート4は、
図2に示すように、合成樹脂材からなり、シート状に形成されたカバー部4bと、カバー部4bの一方の面の中央部には押し子4aがZ1方向へ突出して設けられている。押し子4aは、カバー部4bよりも硬い合成樹脂材からなり、Z1方向から平面視すると略円形に形成されるとともに、頭頂部はカバー部4bの一方の面に平行な平面が形成され、接着剤などによりカバー部4bに固定されている。また、シート4のカバー部4bは、ハウジング2の収容部2aを覆うことができる大きさであり、本実施形態においては八角形状に形成されている。なお、カバー部4bの他方の面には粘着剤が塗布された粘着層4cを有する。
【0028】
次に押釦スイッチ100の構造について
図3および
図4を用いて説明する。
図4は、
図1(a)に示す断面I−Iを表す断面図であり、
図4(a)は押圧操作されていない初期状態の押釦スイッチ100を示す断面図であり、
図4(b)は押圧操作中の状態の押釦スイッチ100を示す断面図である。
【0029】
可動接点部材1は、
図3に示すように、膨出部1aが突出している側の面の裏面側が、ハウジング2の収容部2aの内部底面と向きあうように、収容部2aの内部に収納される。このとき、可動接点部材1は、可動接点部材1の鍔部1bの一部が、第2固定接点部材部3bに接触して電気的に導通した状態で配置される。また、可動接点部材1は、可動接点部材1の長手辺が延出する方向とハウジング2の長手辺LEが延出する方向とが略一致する向き(X1−X2方向)に配置されるとともに、ハウジング2の長手辺LEの中央部に対応して膨出部1aの頂点部が、ハウジング2の長手辺LE側の側方から見て一致する位置に配置されている。シート4は、
図4(a)に示すように、ハウジング2の上面2b(Z1方向側の面)と粘着層4cとが対向し、可動接点部材1が収納された収容部2aを覆うように、ハウジング2に重ねて配置され、粘着層4cにより保持される。なお、このとき、押し子4aは、可動接点部材1の膨出部1aの頂部に対応して配置されている。このようにして押釦スイッチ100は構成されている。
【0030】
次に押釦スイッチ100の動作について
図4を用いて説明する。
【0031】
押釦スイッチ100は、取り付けられた電子機器の押圧部材OPにより押圧操作される前は、
図4(a)に示すように、可動接点部材1の膨出部1aは反転しておらず、第1固定接点部材部3aと第2固定接点部材部3bとは、電気的に導通していない。
図4(a)の状態から、押圧部材OPの突起部LBを押圧されることで、押圧部材OPがシート4の押し子4aをZ2方向へ押圧操作すると、可動接点部材1は、
図4(b)に示すように、シート4を介して膨出部1aが押圧される。押圧された膨出部1aはZ2方向へ撓んで反転動作し、膨出部1aと第1固定接点部材部3aとが接触する。膨出部1aと第1固定接点部材部3aとが接触することで、可動接点部材1を介して、第1固定接点部材部3aと第2固定接点部材部3bとは電気的に導通する。また、
図4(b)の状態から、押圧部材OPによる押圧を解除すると、可動接点部材1は、可動接点部材1が持つ復帰力により、
図4(a)に示す状態に復帰し、第1固定接点部材部3aと第2固定接点部材部3bとの電気的な導通はなくなる。このようにして、第1固定接点部材部3aと第2固定接点部材部3bとの電気的な導通状態を切り換えることでスイッチとして機能する。
【0032】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0033】
本実施形態の押釦スイッチ100では、ドーム状に形成された膨出部1aを備える可動接点部材1と、可動接点部材1を収容する収容部2aとともに、可動接点部材1と接触する固定接点部材3とを有するハウジング2と、ハウジング2の上面2b側に貼り付けされるとともに、外部から押圧される押し子4aを有するシート4とを有し、ハウジング2を上方から平面視したときに、ハウジング2の外形形状が略長方形状である押釦スイッチにおいて、ハウジング2の外形形状を形成する4つの辺の、対向して配置された2辺の組の少なくとも一方の組の延在する方向において、ハウジング2の上面2bの少なくとも一部は、その両端部のハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さが、中央部の高さよりも低くなるように形成されている、構成とした。
【0034】
これにより、仮に押圧部材OPが傾いた状態で押圧されたとしても、少なくともハウジング2を平面視したときの短手辺SEが配置された方向、またはハウジング2を平面視したときの長手辺LEが配置された方向においては、押圧部材OPが押釦スイッチ100の押し子4a以外の箇所に接触し難くなる。特に押圧部材OPの外周端部は、傾いたときの傾き量が中央部に比べて大きいため、押釦スイッチ100に近づきやすい。辺の両端部でのハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さが、辺の中央部よりも低くなるように形成することで、従来、押圧部材OPの外周端部に一番近かった辺の両端部が、押圧部材OPの外周端部から遠ざかり、押釦スイッチ100に接触し難くなる。したがって、押圧部材OPの突起部以外の箇所が押釦スイッチ100に接触し難くなることで、押圧部材OPを押し難い、押しても反応しないなどの操作性の悪化を防止し、確実に操作することができる押釦スイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0035】
また、これにより、従来の構造と比較して、ハウジング2とシート4との貼付面積が大きくなるので、押釦スイッチ100が小型化された場合でも、従来の構造に比べてシート4が剥がれ難くなる。
【0036】
また、本実施形態の押釦スイッチ100では、一方の辺の組である長手辺LEは互いに同じ形状で同じ高さに形成されており、ハウジング2の上面2bに形成され、シート4が貼付される貼付面2cは、長手辺LE同士の間を繋ぐことにより形成される仮想面VFと同一に形成されており、ハウジング2の上面2bの高さは、仮想面VF以下の高さに形成されている、構成とした。
【0037】
また、これにより、短手方向に比べて、斜めになった押圧部材OPの突起部LB以外の箇所がより接触しやすい長手方向においてのみ、長手辺LEの両端部でのハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さを、長手辺LEの中央部よりも低くなるように形成した。斜めになった押圧部材OPの外周端部は突起部LBよりも低くなることもあるが、長手辺LEの両端部でのハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さを、長手辺LEの中央部よりも低くなるように形成することで、長手方向に対応する押圧部材OPの外周端部は、中央部よりも低くなった箇所に逃げることができ、ハウジング2に接触し難くなっている。また、シート4が貼付される貼付面2cを、長手辺LE同士の間を繋ぐことにより形成される仮想面VFと同一面に形成するとともに、ハウジング2の上面2bの高さを仮想面VF以下の高さに形成することで、仮想面VFより上に突出するものがないため、ハウジング2に接触し難くなっている。さらに、貼付面2cの凹凸が小さくなり、仮想面VFより上に突出するものがないため、シート4の貼り付けが容易になる。したがって、従来よりも押圧部材OPがハウジング2に接触し難く、シート4の貼付が容易な押釦スイッチを提供することができる、という効果を奏する。
【0038】
また、本実施形態の押釦スイッチ100では、長手辺LEの形状は、曲率半径R0が一定の弧である、構成とした。
【0039】
これにより、ハウジング2の貼付面2cを凹凸形状のない曲面に形成される。仮にハウジング2の貼付面2cに凹凸形状に形成された箇所があった場合、凹凸形状に形成された箇所においては、シート4とハウジング2の上面2bとが貼り付き難くなる。シート4をハウジング2の貼付面2cに沿って貼り付けるには、特別にシート4を押し付けながらシート4を貼り付けるなどする必要がある。ハウジング2の貼付面2cを凹形状のない曲面に形成することで、一つの平面で形成されている従来技術の基体910の上面に貼り付ける場合と同等に容易に行なえるとともに、シート4は、ハウジング2の貼付面2c全体で、より確実に保持され、小型化した場合でもシート4が剥がれ難くなる、という効果を奏する。
【0040】
また、これにより、凹凸形状のある曲面を加工する場合に比べて、ハウジング2の貼付面2cの加工が容易となり、形状のバラツキを少なくすることができるため、貼付面2cに凹凸がより発生し難く、シート4の剥がれがより発生し難くなる。
【0041】
また、本実施形態の押釦スイッチ100では、可動接点部材1は、上方から平面視したときに長細形状であり、可動接点部材1は、可動接点部材1の長手辺が延出する方向とハウジング2の長手辺LEが延出する方向とが略一致する向きに配置されるとともに、ハウジング2の長手辺LEの中央部に対応して膨出部1aの頂点部がハウジング2の長手辺LE側の側方から見て一致する位置に配置されている、構成とした。
【0042】
これにより、可動接点部材1を、可動接点部材1の長手辺が延出する方向とハウジング2の長手辺LEが延出する方向とが略一致する向きに配置するとともに、可動接点部材1において一番高さの高い箇所である膨出部1aの頂点部と、ハウジング2において一番高さの高い箇所である長手辺LEの中央部の位置とを、ハウジング2の長手辺LE側の側方から見て一致する位置に配置するとともに、ハウジング2の上面2bの形状に沿うように可動接点部材1を収納することで、より高さのある可動接点部材1をハウジング2内に収納することが可能となり、押釦スイッチ100を小型化した場合でも、操作ストロークを長くすることができる、という効果を奏する。
【0043】
また、本実施形態の押釦スイッチ100では、押し子4aは可動接点部材1の膨出部1aの頂部に対応する箇所に配置され、押し子4aを介して可動接点部材1を押圧する構成とした。
【0044】
これにより、可動接点部材1は、膨出部1aの頂部を押圧されるため、頂部を押圧された場合に比べて反転動作がスムーズになるととともに、可動接点部材1が反転動作した事が操作感触として操作者へより明確に伝わりやすくなり、より操作性が良くなるという効果を奏する。
【0045】
以上のように、本発明の実施形態に係る押釦スイッチ100を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0046】
(1)本実施形態において、ハウジング2を平面視した時の長手辺LEを、仮想曲線VCに沿った形状に形成するとしたが、例えば、
図5(a)や
図5(b)に示すような、複数の傾斜した直線を繋いだ形状でも良い。なお、
図5はハウジング2の上面2bの形状の変形例を示す側面図であり、
図5(a)は、ハウジング2の上面2bの形状の変形例を示す側面図であり、および
図5(b)は、
図5(a)とは異なるハウジング2の上面2bの形状の変形例を示す側面図である。
【0047】
(2)本実施形態において、ハウジング2の上面2bの外形形状を形成する4つの辺の、対向する2辺の組の少なくとも一方の組において、辺の両端部では、ハウジング2の底面からハウジング2の上面2bまでの高さは、辺の中央部よりも低くなるように形成されている構成とした。仮に、押釦スイッチ100に、シート4の押し子4aを除いた箇所を覆うように、金属板からなる保護ケースなどがある構成の場合には、ハウジング2の上面2bは従来技術と同様の同一平面で形成し、保護ケースで本実施形態と同様の形状を形成する構成としても良い。
【0048】
(3)本実施形態において、押し子4aは、シート4のカバー部4bと異なる材料で形成し、粘着層4cが形成された面の裏面側に接着剤などで固定する構成としたが、例えば、カバー部4bとは別体にした押し子4aを、カバー部4bと可動接点部材1との間に配置し、挟持する構成などでも良い。
【0049】
(4)本実施形態において、シート4が貼付される貼付面2cは、長手辺LE同士の間を繋ぐことにより形成される仮想面VFと同一に形成される構成としているが、例えば
図6に示すように、必要に応じてハウジング2を平面視したときの外形の外周に沿って、ハウジング2の底面に平行な平坦な面が形成された鍔部Gを設けるなどしてもよい。
図6は、貼付面2bの変形例を示す図であり、
図6(a)は、ハウジング2を平面視した平面図であり、
図6(b)は
図6(a)に示すX2方向側から見たハウジング2を示す側面図であり、
図6(c)は
図6(a)に示すY2方向側から見たハウジング2を示す側面図である。