(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インク吐出面に列形成された複数のインク吐出口よりインクを吐出して記録媒体にドットによる画像を記録する画像記録装置のインクジェットヘッドを検査する検査装置であって、
検査用記録媒体の載置面を有するヘッド保持筐体と、
前記ヘッド保持筐体上に設けられ、前記載置面上方に離間した画像記録位置で、該載置面に対して、前記インク吐出面を平行にして前記インクジェットヘッドを保持するヘッド保持部と、
対向する前記インク吐出面と前記載置面との間に平行で、前記インク吐出口の列に沿うように挿入され、該インク吐出口の像と該インク吐出口から吐出されたインク滴により前記載置面上の記録媒体に記録された検査パターンの像とを投影する、少なくとも2つの反射面を有する光学部材と、
前記載置面上の記録媒体にインク滴を吐出する際に、前記光学部材を前記インク吐出面と前記載置面との間から退避させる光学部材移動機構と、
前記画像記録位置の前記光学部材から投影される前記インク吐出口の像と前記ドットの像を1つの構図で同時に撮像する撮像部と、
前記インク吐出口の列に沿うように一定間隔を空けて、前記撮像部を最大印字幅以上に移動させる撮像部移動機構と、
前記撮像部移動機構により移動される前記撮像部により撮像された画像データから全インク吐出口の位置と前記ドットによるインク滴の到達位置とを算出して、全インク吐出口におけるインク吐出の特性を取得する制御部と、
を具備することを特徴とするインクジェットヘッドの検査装置。
前記ヘッド保持部は、前記インクジェットヘッドにおける前記インク吐出口の列の両端側の前記インク吐出面を保持することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドの検査装置。
インク吐出面に列形成された複数のインク吐出口よりインクを吐出して記録媒体にドットによる画像を記録する画像記録装置のインクジェットヘッドを検査する検査装置であって、
検査用記録媒体の載置面を有するヘッド保持筐体と、
前記ヘッド保持筐体上に設けられ、前記載置面上方に離間した画像記録位置で、該載置面に対して、前記インク吐出面を平行にして前記インクジェットヘッドを保持するヘッド保持部と、
対向する前記インク吐出面と前記載置面との間に平行で、前記インク吐出口の列に沿うように挿入され、該インク吐出口の像と該インク吐出口から吐出されたインク滴により前記載置面上の記録媒体に記録された検査パターンの像とを投影する、少なくとも2つの反射面を有する光学部材と、
前記載置面上の記録媒体にインク滴を吐出する際に、前記光学部材を前記インク吐出面と前記載置面との間から退避させる光学部材移動機構と、
前記画像記録位置の前記光学部材から投影される前記インク吐出口の像と前記ドットの像を1つの構図で同時に撮像する撮像部と、
前記光学部材移動機構と前記撮像部とを一体的に、前記インク吐出口の列に沿うように一定間隔を空けて前記撮像部を最大印字幅以上に移動させる光学部材及び撮像部可動部と、
前記光学部材及び撮像部可動部により移動される前記撮像部により撮像された画像データから全インク吐出口の位置と前記ドットによるインク滴の到達位置とを算出して、全インク吐出口におけるインク吐出の特性を取得する制御部と、
を具備することを特徴とするインクジェットヘッドの検査装置。
インク吐出面に列形成された複数のインク吐出口よりインクを吐出して記録媒体にドットによる画像を記録する画像記録装置のインクジェットヘッドを検査する検査装置であって、
検査用記録媒体の載置面を有するヘッド保持筐体と、
前記ヘッド保持筐体上に設けられ、前記載置面上方に離間した画像記録位置で、該載置面に対して、前記インク吐出面を平行にして前記インクジェットヘッドを保持するヘッド保持部と、
対向する前記インク吐出面と前記載置面との間に平行で、前記インク吐出口の列に沿うように挿入され、該インク吐出口から吐出されたインク滴を通過させるスリットが設けられ、前記インク吐出口の像と該インク吐出口から吐出されたインク滴により前記載置面上の記録媒体に記録された検査パターンの像とを投影する、少なくとも2つの反射面を有する光学部材と、
前記画像記録位置の前記光学部材から投影される前記インク吐出口の像と前記ドットの像を1つの構図で同時に撮像する撮像部と、
前記撮像部を前記インク吐出口の列に沿うように一定間隔を空けて移動させる撮像部可動機構と、
前記撮像部可動機構により移動される前記撮像部により撮像された画像データから全インク吐出口の位置と前記ドットによるインク滴の到達位置とを算出して、全インク吐出口におけるインク吐出の特性を取得する制御部と、
を具備することを特徴とするインクジェットヘッドの検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェットヘッドの検査装置の外観構成を示す斜視図である。
図2は、検査装置を側方から見た外観図である。
図3は、検査装置を正面から見た外観図である。尚、X軸方向は、主走査方向又はノズル列方向であり、Y軸方向は、副走査方向又は記録媒体の搬送方向であるものとして説明する。
【0012】
本実施形態は、対向するインクジェットヘッドの複数のインク吐出口(ノズル)と記録媒体との間に差し入れられた光学部材がインク吐出口の像及びそのインク吐出口が吐出したインク滴により記録されたドットの像を同じ光軸距離で投影して、同じ焦点距離でピント合わせを行い、移動しながら撮像部が1つの構図で同時に各インク吐出口とドットを撮像して、画像データを得る。この画像データより、インク吐出口位置と、吐出されたインク滴の到達位置とを同時に測定する検査装置である。
【0013】
この検査装置1は、
図1に示すように、主として、基材となるヘッド保持筐体10と、筐体上面に設けられたインクジェットヘッド(以下、ヘッドと称する)11を装着固定するヘッド保持部12と、ノズル列以上の長さ14Lを有する光学部材14と、光学部材14を保持するとともに、光学部材14をヘッドの下方に移動させる、又はヘッドの下方から退避させる光学部材可動機構16と、光学部材14に投影されたインク吐出口(以下、ノズルと称する)と検査用所定パターンの例えばドットとを撮影するための撮像部15と、撮像部15をスライド移動する撮像部可動機構17と、で構成される。尚、ドットは、記録媒体13上でノズルから吐出されたインク滴の着弾した箇所に形成された点画像であり、またドットが記録された位置を、インク滴の到達位置又はドット位置と称する。
【0014】
ヘッド保持筐体10は、金属材料又は硬質樹脂材料、特に周囲の環境温度により形状変形が少ない材料により形成される。
図1及び
図2に示すように、ヘッド保持筐体10は、ヘッド保持部12の設置面(基準面とする)10aと、その設置面10aよりも一段低い設置面10aと平行な段差面10bとによる形状を成している。その段差面10b上には、光学部材14の延伸するX軸方向に沿って撮像部可動機構17の移動用ガイドレール20等が設けられている。
【0015】
ヘッド保持部12は、
図3に示すように、ヘッド11をノズル列方向の両端側で少なくとも2箇所を保持するように設けられている。ヘッド保持部12は、装着されたヘッド11の複数のノズルが形成されたノズルプレート(又は、インク吐出面)11aと設置面10aとが平行で予め定めた一定間隔となるように、又はノズル列の両端の2つのノズルと設置面10aとの離間距離が同一になるように設定されている。本実施形態では、インク吐出面を装着保持の基準としている。インク吐出面と設置面10aとの離間距離は、設置面10aに載置された記録媒体13の表面とノズル間が実際に記録動作を行う距離となるように設定されることが好ましい。
【0016】
光学部材14は、
図2に示すように、側面方向(X軸方向)から見て、三角形状を成し、ヘッド11の最大印字幅(ノズル列長)と同等又はそれ以上の長さを有する三角柱形状のプリズムである。この光学部材14は、第1面14bと第2面14cを有し、第1面14bと第2面14cとのなす角が、頂点14aを通りY軸方向(水平方向)に延びる仮想線Wによって二等分されている。
【0017】
そして、光学部材14は、設置面10aに載置された記録媒体13に向かってヘッド11の各ノズルからインク滴を吐出して、記録媒体13上にドット(インク滴の到達位置)を記録した後に、光学部材可動機構16によってヘッド11と記録媒体13との間の位置(撮像位置)に移動する。このようにして、光学部材14は、第1面14bでインク吐出面の像を反射し、他の第2面14cでドットの像を反射して、供に反射された像を並んで、Y軸方向で前方の撮像部15の撮像範囲(画角)内に投影する。
【0018】
ここで、1つの画像内でノズル位置と、インク滴の到達位置が測定可能なように、光学部材14は、
図2に示すように、インク吐出面11aから仮想線Wまでの距離をAとし、記録媒体13表面から仮想線Wまでの距離をBとしたとき、距離Aと距離Bとが等しい(A=B)位置になるように光学部材可動機構16に保持されている。換言すれば、同じ光軸距離でそれぞれの像を投影して、同じ焦点距離でピント合わせを行う。尚、仮想線W上における、距離Aと距離Bとが等しい位置を中点14a’とする。
【0019】
光学部材可動機構16は、光学部材14をヘッド保持筐体12に干渉すること無く、ヘッド11のインク吐出面11aと記録媒体13との間を平行になった状態で、光学部材14を前述した撮像位置又は、インク滴が掛からないようにY軸方向に退いた退避位置の間を移動させる。尚、本実施形態では、光学部材14を平行に移動して退避させる例について説明したが、中点14a’における撮像位置に移動できるのであれば、平行移動に限定されるものではない。
【0020】
また、撮像部15には、制御部2、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等が接続されている。制御部2は、撮像した画像に基づき、ノズル位置(インク吐出口の位置)及びドット位置(インク滴の到達位置)に関する処理演算を行い、それらの位置やそのノズルから吐出されたインク吐出に関する情報(インク滴の飛翔曲がりの特性や、理想の到達位置と実際の到達位置のずれ量等)又は、補正に関する情報を取得する。これらの取得された情報は、表示部3に画面表示され、且つ制御部2内のメモリ等に格納される。また、検査装置と制御部2の接続は、公知なネットワーク(LAN等)を介して接続されてもよい。
【0021】
撮像部可動機構17は、仮想線Wの延長線上に撮像部15の撮像範囲の中心が一致するように撮像部15を固定している。この撮像部可動機構17は、光学部材14の延伸するX軸方向に沿って移動用ガイドレール20が敷設され、レール上にはモータを駆動源として移動可能な台車が設けられている。撮像部15は、台車に搭載され、撮像時には、光学部材14の延伸するX軸方向に沿って移動されながら、ノズルとドットによる構図が維持される状態で全てのノズルとドットを撮像する。
以上のように、撮像部15は、光学部材14から同時に投影された、ノズルと、このノズルから吐出されたインク滴で記録されたドットの各像を撮像する。その撮像された画像は、ノズルとドットが並んでいる構図となる。
【0022】
図4に示すフローチャートを参照して、検査装置による測定順序について説明する。
図5は、撮像位置に光学部品が移動されて設定された状態を示している。
図6は、撮像部が撮像開始位置からノズル列方向に移動した状態を示す図である。
【0023】
検査装置1は、初期状態として、光学部材14は、光学部材可動機構16により退避位置に退避されている。まず、記録媒体13を設置面10aに装着する。次いで、被検査対象となるヘッド11を検査装置1のヘッド保持部12に保持されるように固定する(ステップS1)。次に、各ノズルよりインク滴を吐出して、記録媒体13上に所定のパターン又は、任意の径のドットを記録する(ステップS2)。その後、
図5に示すように、光学部材14は、光学部材可動機構16により、退避位置からノズルとドットが対向する撮像位置まで移動される(ステップS3)。
【0024】
そして、
図6に示すように、撮像部15は、撮像開始位置mから光学部材14に投影されたノズルとドットによる構図の画像の撮像を開始する(ステップS4)。撮像部15による撮像開始と供に、撮像部可動機構17により、X軸方向に印字幅以上の移動を行い、1番目から最後までのノズル及びドットを連続的に撮像する(ステップS5)。そして、
図6に示すように、撮像部15がヘッド11の印字幅以上移動して移動終点位置nに達すると、撮像部可動機構17を停止させる。尚、往路を移動した撮像完了後は、復路を単に撮像部15を撮像開始位置mに戻してもよいし、移動終点位置nを次の撮像開始位置mとして設定し、復路の移動により、次のヘッド11における撮像を行ってもよい。
【0025】
上記撮像中において、撮像された画像に基づき、PC部により、それぞれのノズル位置(インク吐出口位置)とドット位置(インク滴到達位置)との差を順次、算出して、図示しない表示部に表示する(ステップS6)。この表示部に表示される情報として、ノズルとドットの位置差を表示してもよいし、補正位置(調整値)を併せて表示してもよい。
【0026】
図7(a),(b)は、撮像部15により撮像された画像からPC部により演算処理されたノズル位置とドット位置を含む情報を表示する画面を模式的に示す図である。ここで、
図7(a)は、ノズル位置とドット位置が正常又は許容範囲であり、位置ずれがない例を示し、
図7(b)は、ノズル位置とドット位置が許容範囲を越えて、不合格となる位置ずれが生じた例を示している。
図8は、ノズル位置に対する着弾したインクによる理想的なドット位置と実際のドット位置との差について説明するための図である。
【0027】
図7(a),(b)において、画面中央には、光学部材14の頂点14aを示す線Sが表示される。画面上で線Sより上側には、光学部材14に投影されたノズル21の開口縁を示し、このノズル21の重心位置を仮想中心21aとしている。また、画面上で線Sより下側には、そのノズル21から吐出されたインク滴により記録媒体13上に記録されたドット22の外周を示し、このドット22の重心位置を仮想中心22aとしている。
【0028】
また、破線25はインク吐出口から吐出されたインク滴位置の許容範囲を示しており、ドット22の外周の一部でも破線25を越えると不合格と判断される。
【0029】
図7(a)に示すように、ドット22が破線25内に納まってヘッド11が正常である場合、例えば、構成部品(アセンブリ)が設計値と完全に一致する場合は、画面上の垂直方向(上下方向)において、線Sから仮想中心21aまでの距離23と、線Sから仮想中心22aまでの距離24とが一致し、さらに画面上の水平方向において、仮想中心21aと仮想中心22aとの位置は一致する。換言すれば、仮想中心21aと仮想中心22aとは、画面上の垂直方向(上下方向)において同一軸線状に位置する。一方、ノズル形成の際の加工精度や複数の部品を組み付けた組立精度が主要因となり、ノズルの開口向き等が設計通りとならない場合があり、インクの吐出方向が許容範囲から外れる事態が生じる。
【0030】
図7(b)に示すように、ドット22の一部が破線25を越えてヘッド11が異常である場合、例えば、ドットのインク滴位置が画面上で斜め上方にずれていた場合は、画面上の垂直方向(上下方向)において、線Sから仮想中心21aまでの距離23と、線Sから仮想中心26aまでの距離27の間に差[距離23−距離27]が生じる。また、画面上の水平方向においては、仮想中心21aと仮想中心26aとの間で差28が生じている。このようにして、ヘッド11の着弾位置検査を行い、ヘッド11の良否を判定する。
【0031】
尚、
図7(b)に示すように、ドット22が位置ずれを起こした場合、その位置ずれ量を算出し、算出されたずれ量をヘッド11毎に記録しておき、実際にヘッド11をプリンタ装置に搭載した際に、ヘッド調整用パラメータとして補正に用いてもよい。つまり、
距離23と距離27との差は、
図8(a)に示すような、Y軸方向(記録媒体の搬送方向)においける理想的な着弾位置pと実際に着弾したドットのインク滴位置qとの微小差29に相当し、差28は、
図8(b)に示すような、X軸方向においける理想的な着弾位置pと実際に着弾したドットのインク滴位置qとの差30に相当する。これらの差の数値をヘッド11毎に記録しておき、実際にヘッド11をプリンタ装置に搭載した際に、ヘッド調整用パラメータとして補正に用いてもよい。
【0032】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットヘッドの検査装置によれば、退避可能で、インク吐出口であるノズルと、そのノズルにより記録媒体に記録されたドットとのそれぞれの像を併せて投影する光学部材と、この光学部材が投影した像を撮像した画像から同じ画面上にノズル位置(インク吐出口位置)及びドット位置(インク滴の到達位置)を表示させて、位置ずれの許容範囲及び補正値を求めることができる。
撮像部は、同じ光軸距離でそれぞれの像を投影して、同じ焦点距離でピント合わせを行う。さらに、光学部材に沿って同じ離間距離で移動しながら撮像することにより、全てのノズル及びドットの像を一度の移動で撮像することができ、且つピント合わせも一度で済ませることができる。
【0033】
[第1の実施形態の第1の変形例]
次に、第1の変形例について説明する。
図9及び
図10は、第1の変形例における検査装置の全体構成を示す斜視図である。
図11は、
図10に示す状態の検査装置を側方から見た構成を示す図である。この検査装置は、前述した第1の実施形態の
図1乃至
図3に示した装置構成と実質的に同様であり、同じ構成部位については同じ参照符号を付して、詳細な説明を省略し、本変形例の特徴部分について説明する。
【0034】
図9及び
図10に示すヘッド可動機構31は、ヘッド11のインク吐出面と記録媒体1の記録面とが平行になるように位置決めすることができ、且つインク吐出面と記録面の平行状態を維持したまま、画像記録位置からZ軸方向に昇降移動する構成である。このヘッド可動機構31は、前述したヘッド保持部12と一体的に構成され、ヘッド11を固定する2つの固定部31aに、例えば、ラック&ピニオン機構又はオイルシリンダ機構を備えて、一体的に昇降させる。
【0035】
この構成により、実際の使用時のヘッドギャップで記録媒体13にドットを記録した後、光学部材14が挿入可能な高さまで上昇させた後、前述したように撮像部15により、光学部材が投影したノズルとドットの構図からなる像を撮像する。撮像された画像からノズル位置(インク吐出口位置)及びドット位置(インク滴の到達位置)を測定することができる。
【0036】
従って、本変形例によれば、光学部材の小型化(薄化)を図らなくとも、正確なインク吐出位置におけるインク吐出口位置と実際のインク滴の到達位置を測定することができる。また、ヘッドギャップが小さく、光学部品14が入らない場合であっても容易に検査を実施することかできる。
【0037】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。
図12及び
図13は、第2の実施形態における検査装置の全体構成を示す斜視図である。
図14は、
図12に示す状態の検査装置を側方から見た構成を示す図である。この検査装置は、前述した第1の実施形態の
図1乃至
図3に示した装置構成と実質的に同様であり、同じ構成部位については同じ参照符号を付して、詳細な説明を省略し、本実施形態の特徴部分について説明する。
【0038】
この第2の実施形態は、光学部材14の支持部と撮像部15の支持部が一体的に構成された光学部材及び撮像部可動装置32と、ヘッド11を保持するヘッド保持部33とが、ヘッド保持筐体35に設けられた構成である。前述した第1の実施形態及び第1の変形例では、ヘッドのノズル列長を超える長さの光学部材14を固定した構成であったが、本実施形態では、光学部材14も移動させることにより、ノズル列長に満たない長さの光学部材14を採用する構成である。
図12は、光学部品及び撮像手段可動装置32が撮像開始位置mに在る状態を示しており、
図13は、光学部品及び撮像手段可動装置32が撮像開始位置mからに移動終点位置nに移動した状態を示している。
【0039】
ヘッド保持筐体35は、平板形状を成し、上面にはX軸方向に沿って延伸するように、光学部材及び撮像部可動装置32の移動用ガイドレール20,34が平行に設けられている。
光学部材及び撮像部可動装置32は、これらの移動用ガイドレール20,34に架け渡されるように、光学部材14と撮像部15のそれぞれの支持部が摺動可能に設けられている。光学部材14と撮像部15の位置関係は、前述した第1の実施形態と同様である。従って、光学部材14に投影されたノズルとドットを1つの構図内で同時に撮影することができる。
【0040】
ヘッド保持部33は、下方が切り欠かれて、光学部材及び撮像部可動装置32における光学部材14と撮像部15の各支持部を連結する連結部分が貫通し且つ移動可能な形状、例えば、H形状に形成される。ヘッド保持部33の上面には、記録媒体13の装着箇所と、装着箇所を挟んだ両端には、ヘッド11をノズル列方向に沿って保持固定する2つの固定部が設けられている。また、ヘッド保持部33は、装着されたヘッド11のインク吐出面と記録媒体13とが平行で予め定めた一定の離間距離になるように設定されている。
【0041】
本実施形態によれば、前述した実施形態及び変形例では、ヘッド11のノズル列長、即ち最大印字幅と同等の長さを持つ光学部材が必要であったが、より小型の光学部材により検査を実施することができる。また、2本の移動用ガイドレールに摺動可能に支持されているため、高い測定精度が得られる。
【0042】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。
図15は、第3の実施形態の特徴部分となる光学部材とヘッドを特徴部分のみを拡大した斜視図であり、
図16は、
図15における構成を側面方向から見た断面構成を示す図である。本実施形態の検査装置は、
図15に示した光学部材とその光学部材可動機構以外の構成部位は、前述した第1の実施形態の
図1乃至
図3に示した装置構成と同様であり、図示及びその詳細な説明を省略する。
【0043】
この実施形態は、ヘッド11の全てのノズルから吐出されたインク滴が接触しないで通過できる幅44と長さ45を有するスリットが形成された光学部材41が特徴である。この光学部材41は、インク滴43を通過させるため、ドット記録時に退避させる必要がなく、ヘッド保持筐体に対して固定されている。よって、第1の実施形態のような光学部材可動機構は備えていない。
以上説明したように、本実施形態によれば、光学部材41の退避動作がなくなり、光学部材41をヘッド11と記録媒体13との間に挿入した状態で検査用所定パターンの記録、及び検査が可能となる。
【0044】
尚、上述した各実施形態では、ヘッド11のインク吐出面11aを基準としてヘッド保持部12に保持させたが、
図17に示すように、ヘッド11の外装部両側につば部11bをそれぞれに設けて、これらのつば部11bを基準にヘッド保持部12に保持させて検査を行ってもよい。
また、検査装置は、検査を開始するに当たり、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置が予め判明しているマスターヘッド(基準ヘッド)を用いて、光学部材に投影されたノズル位置とインク位置を測定して、校正を行うように、検査前に必ず一定の測定結果を示すことを確認する必要がある。又、標準的な補正量に対しても把握しておく必要がある。
【0045】
以上説明した各実施形態及び各変形例は、以下の発明の要旨を含んでいる。
1.液滴を吐出して像を形成するインクジェットヘッドの検査方法で、記録媒体に所定パターンを印字し、その印字パターンからインクジェットヘッドの性能を評価する際、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を測定する方法であって、
インクを吐出することが可能なインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを保持するインクジェット保持筐体と、
前記インクジェットヘッドのインク吐出口から吐出されたインクを着弾させる記録媒体と、
前記インクジェットヘッドのインク吐出口位置、及びインク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を同時に投影可能な光学部材と、
前記光学部材をヘッドと記録媒体の間に挿入することが可能な光学部材可動機構と、
前記光学部材を測定対象物に対して位置決めする部材と、
前記光学部材に投影されたノズル位置とインク位置を撮影可能とした測定装置と、
前記測定装置を少なくとも1方向以上に可動可能とした測定装置可動機構と、を有し、ヘッドの吐出口面と記録媒体の間に光学部材(プリズム)を挿入し、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を同時に測定し、且つ、測定装置をインクジェットヘッドに対して平行に移動させることでインクジェットの最大印字幅以上の検査を1回で可能とすることを特徴としたインクジェットヘッドの検査装置。
【0046】
2.液滴を吐出させて像を形成するインクジェットヘッドの検査方法で、記録媒体に所定パターンを印字し、その印字パターンからインクジェットヘッドの性能を評価する際、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を測定する方法であって、
インクを吐出することが可能なインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを保持するインクジェット保持筐体と、
前記インクジェットヘッドのインク吐出口から吐出されたインクを着弾させる記録媒体と、
前記インクジェットヘッドのインク吐出口位置、及びインク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を同時に投影可能で且つ、インク吐出口から吐出されたインク滴以上の幅のスリットが設けられた光学部材と、
前記光学部材を測定対象物に対して位置決めする部材と、
前記光学部材に投影されたノズル位置とインク位置を撮影可能とした測定装置と、
前記測定装置を少なくとも一方向以上に可動可能とした測定装置可動機構と、を有し、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を同時に測定し、且つ、測定装置をインクジェットヘッドに対して平行に移動させることでインクジェットの最大印字幅以上の検査を1回で可能とすることを特徴としたインクジェットヘッドの検査装置。
【0047】
3.液滴を吐出させて像を形成するインクジェットヘッドの検査方法で、記録媒体に所定パターンを印字し、その印字パターンからインクジェットヘッドの性能を評価する際、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を測定する方法でであって、
インクを吐出することが可能なインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドを保持するインクジェット保持筐体と、
前記インクジェットヘッドと記録媒体との距離が大きくなる方向にインクジェットヘッドを可動させる機構と、
前記インクジェットヘッドのインク吐出口位置、及びインク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を同時に投影可能で且つ、インク吐出口から吐出されたインク滴以上の幅のスリットが設けられた光学部材と、
前記光学部材を測定対象物に対して位置決めする部材と、
前記光学部材に投影されたノズル位置とインク位置を撮影可能とした測定装置と前記測定装置を少なくとも一方向以上に可動可能とした測定装置可動機構と、を有し、
インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置を同時に測定し、且つ、測定装置をインクジェットヘッドに対して平行に移動させることでインクジェットの最大印字幅以上の検査を1回で可能とすることを特徴としたインクジェットヘッドの検査装置。
【0048】
4.光学部材をヘッドと記録媒体の間に挿入することが可能な光学部材可動機構と、光学部材を測定対象物に対して位置決めする部材と、光学部材に投影されたノズル位置とインク位置を撮影可能とした測定装置に間して、インク吐出口位置と、インク吐出口から吐出されたインク滴の到達位置が予め判明しているマスターヘッドを用いて、検査前に必ず一定の測定結果を示すことを確認する方法により校正を行う前記(1)項に記載のインクジェットヘッド検査装置。