特許第5846777号(P5846777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5846777
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】医用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20151224BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   A61B5/00 D
   A61B6/03 360G
   A61B6/03 360P
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-143476(P2011-143476)
(22)【出願日】2011年6月28日
(65)【公開番号】特開2013-9763(P2013-9763A)
(43)【公開日】2013年1月17日
【審査請求日】2014年6月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】特許業務法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 真哉
【審査官】 野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−142021(JP,A)
【文献】 特開2010−167129(JP,A)
【文献】 特開2011−083619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00
A61B 5/055
A61B 6/00−6/14
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの対象物を含む2次元医用画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部で取得した2次元医用画像に含まれた複数の対象物のうちの、比較読影のために選択された複数の対象物に対応する複数の立体視可能な3次元医用画像データを、前記2次元医用画像にもとづいて生成するとともに同一の投影空間に配置して、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物を含む立体視可能な3次元医用画像を生成する3次元医用画像生成部と、
前記比較読影のために選択された前記複数の対象物における補正情報を取得する補正情報取得部と、
前記補正情報取得部で取得した補正情報に基づき、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物が同一位置から同時に立体視可能に表示されるよう、前記3次元医用画像生成部で生成した3次元医用画像のうち、少なくとも1つの前記対象物の表示角度を補正する表示角度補正部と、
前記表示角度補正部で表示角度を補正した前記対象物を含む3次元医用画像を表示することにより、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物を同一位置から同時に立体視可能に表示する表示部と、
を有することを特徴とする医用画像処理装置。
【請求項2】
前記補正情報取得部で取得する前記補正情報は、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物が操作者に対して正対方向を向くための、前記対象物の表示角度の変更の有無、および前記対象物の角度変化量の少なくとも一方である、
ことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記補正情報取得部は、少なくとも前記対象物の表示角度を回転させる角度操作デバイス、または操作者の向きを検出する検出デバイスのいずれかから前記補正情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記表示角度補正部で補正した表示角度に基づき、操作者に対するガイドの表示を行うための角度を算出するガイド表示角度算出部をさらに有し、
前記表示部は、前記ガイド表示角度算出部で算出した角度に基づいたガイドを表示するよう構成される、
ことを特徴とする請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記比較読影のために選択された複数の対象物は、少なくとも同一空間における対象物、画像処理状況のみ異なる同一部位の対象物、または前記画像取得部で取得した時間のみ異なる同一部位の対象物のいずれかである、
請求項記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記比較読影のために選択されなかった対象物を、前記表示部の空いている表示エリアに配置して表示する、
請求項1記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記画像取得部で取得した複数の対象物を含む前記2次元医用画像に対して画像処理を行うことにより2次元ボリューム画像データを生成する画像処理部と、
前記2次元ボリューム画像と前記立体視可能な3次元医用画像との、いずれを前記表示部に表示される医用画像とするかの切り替え指示を行う表示モード切り替え部と、
をさらに備え、
前記表示角度補正部は、
前記表示モード切り替え部が前記立体視可能な3次元医用画像を前記表示部に表示するよう指示すると、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物が同一位置から同時に立体視可能に表示されるよう、前記少なくとも1つの前記対象物の表示角度の補正を行う、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の医用画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像診断装置により撮影された医用画像を、再構築してボリューム画像データにし、2D画像としてモニタ上に表示するボリュームレンダリング(VR)技術が知られている。このボリューム画像に現実的な奥行き感を出すために、3D画像表示を行うことも考えられている。医用画像を3D画像表示することにより、手術前のカンファレンス、手術計画シミュレーション、術中ナビゲーション等、さまざまな場面での応用が期待される。
【0003】
3D画像は一般的に立体視用メガネを用いて立体視を行うことが知られているが、近年、メガネを使用せずとも裸眼で画像の立体視が可能である裸眼3Dモニタが開発されている。この裸眼3Dモニタを医用に用いることにより、例えば術中においても煩わしいメガネがなく立体視することができる。
【0004】
また術中では、複数人が異なる方向から同時に裸眼3Dモニタを見て医用画像を立体視することも想定されるので、あらゆる角度から裸眼3Dモニタを見ても立体視が可能な技術が開発されている。
裸眼3Dモニタで単体の対象物を立体視する場合、2つ以上の多視差画像を異なる指向性で表示する。これにより、正面の一方向だけでなく多方向からでも対象物を立体視することができる。
【0005】
ところで、医用現場においては、複数の対象物の画像を表示し、対象物の特定箇所について比較検討を行うこともある。複数の対象物を同じ画面上で立体視する場合、適切な比較検討が行われるよう、表示について従来から各種検討されている。例えば、複数の対象物を1つの仮想空間内に含み、1つの焦点から視差画像を作成する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−142021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、1つの焦点で複数の対象物を含む仮想空間において視差画像を作成した場合、立体視された各対象物は、焦点から閲覧者に向かう面と相対する側面(対象物の内側の面)が観察される。そのため、各対象物が同一面、同一角度で表示されず、閲覧者が比較検討を行うのは難しい。
【0008】
本発明の実施形態はこのような点を考慮してなされたもので、複数の比較対象物を同じ画面上で適切に立体視することができる医用画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の医用画像処理装置は、少なくとも2つの対象物を含む2次元医用画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部で取得した2次元医用画像に含まれた複数の対象物のうちの、比較読影のために選択された複数の対象物に対応する複数の立体視可能な3次元医用画像データを、前記2次元医用画像にもとづいて生成するとともに同一の投影空間に配置して、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物を含む立体視可能な3次元医用画像を生成する3次元医用画像生成部と、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物における補正情報を取得する補正情報取得部と、前記補正情報取得部で取得した補正情報に基づき、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物が同一位置から同時に立体視可能に表示されるよう、前記3次元医用画像生成部で生成した3次元医用画像のうち、少なくとも1つの前記対象物の表示角度を補正する表示角度補正部と、前記表示角度補正部で表示角度を補正した前記対象物を含む3次元医用画像を表示することにより、前記比較読影のために選択された前記複数の対象物を同一位置から同時に立体視可能に表示する表示部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置であって、画像診断装置とのネットワークシステムを示す構成図。
図2】画像処理部の詳細を示すブロック図。
図3】制御部の詳細を示すブロック図。
図4】立体視を行う複数の比較対象物の表示位置を縦に配置する動作を示すフローチャート。
図5】複数の比較対象物の表示位置を縦に切り替える際の、(a)通常モード、(b)立体視モードにおける表示の例を示す図。
図6】複数の比較対象物の表示サイズが異なる場合に、各対象物の比較する領域を指定する動作を示すフローチャート。
図7】複数の比較対象物の表示サイズが異なる場合の、(a)通常モード、(b)立体視モードにおける表示の例を示す図。
図8】立体視を行う複数の比較対象物の表示角度を補正する動作を示すフローチャート。
図9】角度操作装置により対象物を(a)回転させる前、(b)回転させた後の概念図。
図10】撮像装置が操作者の角度を検知して対象物の表示角度を補正する例を示す概念図であり、(c)操作者が正面を向いて観察している場合、(d)操作者が任意の角度で観察している場合、を示す図。
図11】回転した対象物を正対して観察する場合のガイド表示を行う例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る医用画像処理装置1であって、画像診断装置3とのネットワークシステムを示す構成図である。医用画像処理装置1は、画像診断装置3等他の装置と病院内のLANを介して相互に通信可能に接続される。
【0014】
画像診断装置3はX線CT装置等のモダリティであり、被検体をX線撮影し医用画像データを有する。
【0015】
医用画像処理装置1は、制御部10、表示部12、操作部13、撮像部14、通信部15、記憶部16、情報記憶媒体17、画像処理部18、画像データベース21を含み、バスによって相互に通信可能に接続されて構成されている。
【0016】
操作部13はタッチパネルや操作キー、マウス等の入力装置である。操作部13は、表示部12に表示される医用画像の、少なくとも1つの対象物について、表示の向き(角度)を変更する。表示部12はモニタ等であり、3次元医用画像の表示を行う。通信部15は、病院内LANに接続し、画像診断装置3との通信を行う。
撮像部14は、操作者の向きを検知するデバイスである。詳細は後述する。
【0017】
画像データベース21は、Volume画像データ記憶部212、3次元画像データ記憶部214を含む。Volume画像データ記憶部212は、画像診断装置3で撮像し画像処理部18内の画像処理回路182で画像処理されたVolume画像を格納する。3次元画像データ記憶部214は、Volume画像から3次元画像生成部183で生成した立体視可能な3次元医用画像を格納する。詳細は後述する。
【0018】
画像処理部18は、画像データの各種処理を行う。図2に画像処理部18の詳細について示す。画像処理部18は、画像取得部181、画像処理回路182、3次元画像生成部183、ガイド表示画像生成部184を含む。
【0019】
画像取得部181は、画像診断装置3で撮像した画像データを取得する。画像処理回路182は、画像取得部181で取得した画像データを画像処理しVolume画像データを作成する。3次元画像生成部183は、画像処理回路182で画像処理を行ったVolume画像データについて、同じ部位で角度の異なる例えば9枚のVolume画像より視差画像を生成することで、立体視可能な3次元画像を生成する。
ガイド表示生成部184は、制御部10内の表示角度補正部107で算出した角度に基づいて、操作者が3次元画像を適切な角度で見るために表示部12に表示する、矢印等のガイドを生成する。
【0020】
記憶部16は、制御部10や通信部15などのワーク領域となるもので、RAM(Random Access Memory)などにより実現できる。
【0021】
情報記憶媒体17(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、ハードディスク、或いはメモリ(Flash Memory、ROM:Read Only Memory)などにより実現できる。情報記憶媒体17には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)、 3次元医用画像を表示する複数のアプリケーション等が記憶される。
【0022】
制御部10は、医用画像処理装置1の総括的な制御を行うとともに、その他の様々な演算処理や制御処理などを行う演算装置である。制御部10の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。制御部10は、情報記憶媒体17に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。
【0023】
図3は制御部10の詳細を示すブロック図である。制御部10は、対象物選択部101、表示モード切替部102、表示レイアウト生成部103、ROI指定部104、中心位置判定部105、補正情報取得部106、表示角度補正部107を含む。
【0024】
対象物選択部101は、3次元画像生成部183で生成された3次元医用画像内の複数の対象物のうち、比較を行う対象物を選択する。対象物選択部101は、操作者からの操作部13を介した指示によって対象物を選択しても良いし、あらかじめ定めた選択条件に合致した対象物を自動で選択しても良い。
【0025】
この選択条件とは、例えば、同一空間における対象物の選択、画像処理状況のみ異なる同一部位の対象物の選択、および画像取得時間のみ異なる同一部位の対象物の選択に分類される。
同一空間における対象物とは、例えば同じ部位や臓器の対象物、またはx軸、y軸、z軸の少なくとも1つが同じ位置である対象物等である。
画像処理状況のみ異なる同一部位の対象物とは、例えば同じ部位で骨表示の有無だけ異なる対象物、同じ部位で臓器表示の有無だけ異なる対象物、差分画像を表示した対象物と原画像を表示した対象物、または同じ部位でレンダリング処理の異なる対象物等である。
画像取得時間のみ異なる同一部位の対象物とは、画像診断装置3から取得した最新の画像における対象物とひとつ前に取得した画像における対象物、造影剤の注入前後の対象物等である。
【0026】
表示レイアウト生成部103は、対象物選択部101で選択した複数の対象物を、縦に配置するようレイアウトを生成する。
【0027】
表示モード切替部102は、表示部12に表示されるVolume画像から、立体視可能な3次元画像に切り替える。
ROI指定部104は、表示モード切替部102で切り替えられた、立体視可能な3次元画像から、画像の領域を指定する。
中心位置判定部105は、ROI指定部104で指定した画像の領域について、中心位置を算出する。
【0028】
補正情報取得部106は、操作部13や撮像部14等外部装置からの補正情報を取得する。例えば、操作部13から、対象物の表示角度の変更の有無および対象物の角度変化量の情報を取得したり、撮像部14からの、検知した操作者の向きに基づく対象物の表示角度の変更の有無および対象物の角度変化量の情報を取得したりする。
表示角度補正部107は、補正情報取得部106で取得した補正情報に基づき、補正角度を算出する。
【0029】
次に、上記構成の医用画像処理システムの動作について説明する。
【0030】
<第1の実施例>
【0031】
まず第1の実施例として、立体視を行う複数の比較対象物の表示位置を縦に配置する動作の一例を、図4を参照して説明する。
【0032】
制御部10内の画像取得部181は、画像診断装置3から複数の対象物を含んだ画像データを取得し(ステップS101)、画像処理回路182で画像処理を行って2次元のVolume画像データを作成しVolume画像データ記憶部212に格納して、表示部12に表示する(ステップS103)。
【0033】
次に対象物選択部101は、ステップS103で作成しVolume画像データ記憶部212に格納したVolume画像データより、立体視を行う複数の対象物を選択する(ステップS105)。対象物の選択は、操作者の操作部13を介した指示で対象物を選択する手動選択でも良いし、前述に示すような所定の選択条件に合致した対象物を選択する自動選択でも良い。
【0034】
ステップS105で対象物を選択した後、操作者が操作部13を介して表示モードを切り替えると、表示モード切替部102は、通常モードである2次元表示から立体視モードである3次元表示に切り替え指示する(ステップS107)。3次元画像生成部183は、ステップS107における表示の切り替えに基づき、ステップS103でVolume画像データ記憶部212に格納されたVolume画像データより、例えば9枚の視差画像を生成して、立体視可能な3次元医用画像を生成し、3次元画像データ記憶部214に格納する(ステップS109)。
【0035】
次に、表示レイアウト生成部103は、ステップS109で3次元画像データ記憶部214に格納した、立体視可能な3次元医用画像のうち、ステップS105で選択した複数の対象物を、縦に並べて配置するよう表示部12のレイアウトを生成する(ステップS111)。表示部12は、ステップS111で生成されたレイアウトに基づき、選択された対象物を縦に並べて表示する(ステップS113)。
【0036】
よって、複数の対象物を立体視により比較する場合に、縦に並べて表示することにより、各対象物を同一面、同一角度で観察することができる。
【0037】
図5に(a)通常モード、(b)立体視モードにおける表示部12の表示例を示す。図5(a)の通常モード(2次元表示)において、画像Aと画像Bとを選択した場合、選択された対象物は太枠で示される。このとき、画像Aと画像Bとは横に並んで配置されている。表示モード切替部102で(a)の通常モードから(b)の立体視モードに切り替えたとき、画像Aと画像Bは縦に並び替えて配置され、3次元表示される。なお、選択されていない画像Cと画像Dは、画像Aと画像Bの表示されるエリア以外の、空いているエリアに表示される。
【0038】
<第1の実施例の変形>
第1の実施例の変形として、対象物選択部101で選択した複数の比較対象物の表示サイズが異なる場合に、各対象物の比較する領域を指定する動作について、図6を参照して説明する。
【0039】
ステップS151〜S155は、図4のステップS101〜S105と同様であるので、説明を省略する。
【0040】
次にROI指定部104は、ステップS155で対象物選択部101が選択した複数の対象物の、比較する領域(ROI)をそれぞれ指定する(ステップS156)。ROI指定部104が指定する領域は、操作者の操作部13を介した指示で領域を指定する手動指定でも良いし、あらかじめ定めた領域を指定する自動指定でも良い。また、特に指定が無い場合には、表示領域全体をROIとして指定しても良い。
【0041】
ステップS156で対象物の領域を指定した後、操作者が操作部13を介して表示モードを切り替えると、表示モード切替部102は、通常モードである2次元表示から立体視モードである3次元表示に切り替え指示する(ステップS157)。3次元画像生成部183は、ステップS157の表示モードの切り替えに基づき、ステップS153でVolume画像データ記憶部212に格納されたVolume画像データより、例えば9枚の視差画像を生成して、立体視可能な3次元画像を生成し、3次元画像データ記憶部214に格納する(ステップS159)。
【0042】
次に中心位置判定部105は、ステップS156で指定した各対象物のROIについて、縦方向の中心位置を算出する(ステップS161)。
【0043】
次に表示レイアウト生成部103は、対象物選択部101で選択した複数の対象物を、ステップS161で中心位置判定部105が算出した、各対象物の縦方向の中心位置を合わせて縦に配置するよう表示部12のレイアウトを生成する(ステップS163)。表示部12は、ステップS163で生成されたレイアウトに基づき、選択された対象物を、中心位置を合わせて縦に並べて表示する(ステップS165)。
【0044】
よって、表示サイズの異なる複数の対象物を立体視により比較する場合に、縦方向の中心位置を合わせて縦に並べて表示することにより、各対象物を同一面、同一角度で観察することができる。なお、ステップS163でレイアウトを生成する際、縦方向の表示エリアに選択した対象物が配置できるようにするために、少なくとも一方の対象物の表示サイズを小さくしても良い。
【0045】
図7に(a)通常モード、(b)立体視モードにおける表示部12の表示例を示す。図7(a)の通常モード(2次元表示)において、画像Aと画像Bにおける領域を指定した場合、選択された対象物の領域a、領域bは太枠で示される。このとき、画像Aと画像Bとは表示サイズが異なっており、横に並んで配置されている。表示モード切替部102で(a)の通常モードから(b)の立体視モードに切り替わったとき、画像Aと画像Bは、領域aと領域bの中心位置を合わせて縦配置され、3次元表示される。
【0046】
<第2の実施例>
次に第2の実施例として、立体視を行う複数の比較対象物の表示角度を補正する動作の一例を図8に示す。
【0047】
ステップS201〜S209は、図4のステップS101〜S109と同様であるので説明を省略する。
【0048】
次に補正情報取得部106は、操作部13や撮像部14等からの補正情報を取得する(ステップS211)。次に表示角度補正部107は、ステップS211で取得した補正情報より、ステップS209で生成した3次元医用画像のうち、該当する対象物の角度を補正する(ステップS213)。次に表示部12は角度補正された対象物を表示する(ステップS215)。
【0049】
ステップS211における補正情報は、選択した複数の対象物が操作者に対して正対方向(各対象物の同一面が観察できる方向)を向くための、対象物を表示する向き(表示角度)の変更の有無、および対象物の角度変化量を示す情報である。例えば、操作部13の操作ダイヤルが操作者に対して正対方向になるよう操作されることによる、対象物の表示角度の変更の有無および角度変化量、または撮像部14が検出した操作者の向きに基づく、対象物の表示角度の変更の有無および対象物の角度変化量等の情報である。この補正情報には、角度や焦点距離を含んでも良い。
【0050】
図9に、操作者が対象物に正対している場合に、操作部13で対象物を回転させた場合の概念図を示す。操作者は操作部13の操作ダイヤルを回すことで、対象物Bを図9(a)に示す向きから図9(b)に示す向きに回転させ、操作者に対して同一面が観察できる角度にしている。よって対象物Bの表示方向は、図9(a)で示す点線の矢印方向から、図9(b)で示す実線の矢印方向となる。
【0051】
このときの対象物Bの回転する移動角θは、表示位置距離L、操作者から表示位置までの焦点距離Lにより算出される。
【0052】
よって、立体視において操作者に対し、対象物Aと対象物Bとが同一面を向くことになるので、対象物Aと対象物Bの同一面を比較して観察することができる。
【0053】
なお、図9における操作部13は、ボタン13aを押下して操作ダイヤルを回すと対象物の一方(例えば対象物B)が回転し、ボタン13aを押下せずに操作ダイヤルを回すと対象物A、Bの両方が回転するようにしてもよい。
【0054】
また、撮像部14で操作者の表示部12に対する角度を検知して、対象物の表示角度を補正するよう動作しても良い。この場合の概念図を図10に示す。図10(c)で、表示部12に対して正面を向いて観察している操作者が、移動して表示部12に対し任意の角度で観察した場合、撮像部14は操作者の移動に合わせて表示部12に対する角度を検知する。そして、図10(d)に示すように、検知した角度情報に基づき、対象物A、対象物Bを操作者に正対するよう回転させる。
【0055】
これにより、操作者が表示部を正面から見ていなくても、立体視を行う対象物A、対象物Bについて、正面から見たときと同様、同一面を比較して観察することができる。
【0056】
<第2の実施例の変形>
また、第2の実施例の変形として、表示部12上に、操作者が対象物A、Bを正対して観察することのできる向きを、矢印等でガイド表示してもよい。この場合の概念図を図11に示す。
【0057】
図11において、画像処理部18内のガイド表示生成部184は、ステップS215で表示角度補正部107が補正した対象物A、Bの角度に基づき、操作者が対象物A、Bを正対して観察することができる向きを矢印で生成し、ガイド表示として表示部12に表示する。
【0058】
図11において、ガイド表示の、表示部12に対する角度φは、対象物Bの回転する角度θ、表示位置距離L、操作者から表示位置までの焦点距離Lにより算出される。
【0059】
よって、立体視において操作者に対しガイド表示を行うことで、操作者はガイド表示に合わせた位置角度から対象物を正対して観察することができる。
なお、ガイド表示の矢印の長さで、焦点距離を示してもよい。また、ガイド表示は、対象物を表示するモニタとは独立した表示デバイス(別モニタやWebカメラ等の回転可能なデバイス)で表示しても良い。
【0060】
以上説明した実施例によれば、同一画面上に表示される複数の対象物について、立体視表示をする場合に、比較したい対象物を縦に表示する。また、比較したい対象物のうち少なくとも1つを回転させて、操作者に正対するように表示する。これらにより、同一面、同一角度で表示部に立体視表示することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1…医用画像処理装置、3…画像診断装置、10…制御部、12…表示部、13…操作部、14…撮像部、15…通信部、16…記憶部、17…情報記憶媒体、18…画像処理部、21…画像データベース。
図1
図2
図3
図4
図6
図8
図5
図7
図9
図10
図11