【実施例】
【0028】
本発明の具体的な実施
例について
図1〜
図5に基づいて説明する。
【0029】
本実施例の木材接合金具Aは、建築用木材1の周面部に取付けする取付板部5と、端部に仕口部3を設けた連結用木材2の仕口部3に連結する継合板部6とを備えている。
【0030】
具体的には、
図1に示すように一枚の金属製(ステンレスなど)方形板材を二つ折り形状(断面コ字状)に折り返し形成して、折り返し部を前記取付板部5とし、この取付板部5の反対側に位置する左右の遊離板部を、取付板部5から90度折曲突出する前記継合板部6としている。即ち、本実施例は、前記特許文献1と同様の二枚の継合板部6を具備する二枚支持タイプ(断面略コ字型)の木材接合金具A1に適用している。
【0031】
また、取付板部5は、その断面形状を、前記建築用木材1に対して前記連結用木材2が引っ張られる方向に負荷を受けて継合板部6が引っ張られた際に、コ字状の断面折り返し形状から変形すると想定した形状であって且つコ字状の折り返し形状のように直角の折曲部分を有しない折り返し形状に形成した構成としている。
【0032】
具体的には、この取付板部5の形状は、
図2,
図4に示すように折り縁を有しない湾曲状に折曲した断面略U字状に形成している。これにより、たとえ建築用木材1に対して連結用木材2が引っ張られる方向に負荷がかかったとしても、取付板部5はこの断面略U字形状から更に変形することは起こりにくいため、秀れた耐変形強度を発揮して秀れた連結力を実現できる構成としている。
【0033】
また、この取付板部5には、建築用木材1の周面部より、この周面部に設けたボルト孔11を介して貫通突出させた取付ボルト9を挿通するためのボルト挿通孔10を上下方向に所定間隔をおいて複数箇所(本実施例では二箇所)に設けている。
【0034】
また、前記継合板部6は、その取付板部5に対する突出先端側の上部に、ドリフトピン12を掛止し得る略U状の掛止凹部13を形成し、同突出先端側の下部にドリフトピン12を係止し得る係合孔14を形成している。
【0035】
また、本実施例は、前記継合板部6の板厚寸法を、前記仕口部3のスリット4幅より薄厚に設定している。
【0036】
具体的には、接合金具A1を構成する板材の板厚寸法を、従来品の板厚寸法に比して1mm程度薄くすることで前記取付板部5とともに継合板部6を薄厚化し、材料使用量の減量によるコストダウンを図ると共に、軽量化を図っている。
【0037】
また、本実施例は、この継合板部6に、この継合板部6の一側板面を凹設することで他側板面を凸設させた凸条7(リブ)を一体成形すると共に、この凸条7の前記継合板部6の他側板面に対する突出度を、この凸条7を含めた前記継合板部6の板厚寸法が、前記仕口部3のスリット4幅に合致する若しくはスリット4幅よりやや薄い板厚となる突出度に設定している。
【0038】
具体的には、
図2に示すように、プレス加工により各継合板部6の対向内側板面を外方へ凹設することで、この凹設部15と同形状の凸条7を継合板部6を薄くした厚さ分だけ継合板部6の外側板面に凸設させた構成として、この凸条7を含めた継合板部6の板厚寸法がスリット4幅に略合致する板厚となるようにしている。尚、各継合板部6の外側板面を内方へ凹設することで、継合板部6の内側板面に凸条7を突設させる構成としても良い。
【0039】
また、この凸条7は、継合板部6に、この継合板部6の前記取付板部5に対する折曲突出方向に連続する横長凸条7Aと、継合板部6の上下方向に連続する縦長凸条7Bとが連設する形状に形成している。
【0040】
更に詳しくは、各継合板部6の上下方向の中ほど位置に、この継合板部6の基端部(前記取付板部5側)から突出先端部にかけて水平方向に連続する直線状の前記横長凸条7Aを形成し、この横長凸条7Aを直交するようにして継合板部6の基端部付近と継合板部6の突出方向の中間部付近とに、この継合板部6の下部から上部にかけて鉛直方向に連続する直線状の縦長凸条7Bを設けた構成としている。
【0041】
従って、このように凸条7を横長凸条7Aと縦長凸条7Bとから成る形状として継合板部6の広範囲に設けたことにより、この凸条7が連結用木材2の仕口部3のスリット4の内面の広範囲に接触して良好なガタつき防止効果を発揮する構成としている。
【0042】
また、この広範囲の凸条7によって継合板部6が補強されて強度が向上する構成としている。出願人の試作実験によると、凸条7若しくは後述の突起8(
構成例1〜3)を形成することによって従来品の継合板部に比べて若干強度が低いか若しくは同等程度の強度が得られることが確認されている。
【0043】
次に、本実施例で使用する建築用木材1と、連結用木材2とを説明する。
【0044】
建築用木材1は、取付ボルト9装着用のボルト孔11をこの建築用木材1の対向周面(側面)間を貫通させて上下二箇所に並設形成している。また、このボルト孔11は、取付ボルト9を回動自在な遊嵌状態に装着し得るように孔径を設定している。
【0045】
連結用木材2は、端部に仕口部3を形成してある。この仕口部3を具体的に説明すると、連結用木材2の端部の二箇所にホゾ取り機などによって縦長のスリット4を形成し、この二本のスリット4に二枚の前記継合板部6を嵌入し得るように構成している。また、このスリット4を形成したことにより横方向に三分割された端部の上部と下部には、この分割端部を横方向に貫通するピン係止孔16を設けて、このピン係止孔16にドリフトピン12を横方向に貫通係止し得るように構成し、このうち上部のピン係止孔16には、予めこの分割端部を横方向に貫通するようにしてドリフトピン12を設けている。
【0046】
次に、本実施例の木材接合金具A(A1)を使用した建築用木材1の連結用木材2との連結方法を、
図3〜
図5を示して具体的に説明する。尚、
図3,
図4は、建築用木材1が柱などの縦材1Aである場合を示し、
図5は、建築用木材1が梁などの横材1Bである場合を示している。
【0047】
先ず、建築用木材1の各ボルト孔11に夫々座金17を介して取付ボルト9を貫通させ、この建築用木材1の周面の一側面に取付ボルト9の先端を突出させる。
【0048】
本木材接合金具A1の取付板部5に設けたボルト挿通孔10に建築用木材1の側面から突出させた取付ボルト9の先端を貫通し、この取付ボルト9先端に座金17を介してナット18を螺着し締付することで木材接合金具A1の取付板部5を建築用木材1周面(側面)に当接固定し、木材接合金具A1(の継合板部6)を建築用木材1の側面から側方へ突出した状態とする。
【0049】
続いて、二枚の継合板部6を、連結用木材2の仕口部3の二本のスリット4に位置を合わせて嵌入すると共に、継合板部6の各掛止凹部13に、仕口部3の予め設けていたドリフトピン12を上方から掛止連結し、更にこの仕口部3の側方のピン係止孔16からドリフトピン12を打ち込み挿入して係合孔14に係止することで掛止連結状態を固定して、建築用木材1と連結用木材2とを直角若しくは傾斜状(図面は直角)に継合連結する。
[構成例1]
構成例1について
図6に基づいて説明する。
【0050】
本構成例は、建築用木材1と、端部に仕口部3を設けた連結用木材2とを直角若しくは傾斜状態に接合する木材接合金具Aであって、前記建築用木材1の周面部に当接状態に取付けする取付板部5と、前記連結用木材2の仕口部3のスリット4に挿入して継合連結する継合板部6とから成り、一枚の板材を折曲することで前記取付板部5から前記継合板部6が折曲突出する構成とした木材接合金具Aにおいて、前記継合板部6の板厚寸法を、前記仕口部3のスリット4幅より薄厚に設定し、この継合板部6に、この継合板部6の一側板面を凹設することで他側板面を凸設させた凸起8を一体成形すると共に、この凸起8の前記継合板部6の他側板面に対する突出度を、この凸起8を含めた前記継合板部6の板厚寸法が、前記仕口部3のスリット4幅に合致する若しくはスリット4幅よりやや薄い板厚となる突出度に設定したことを特徴とする木材接合金具に係るものである。
【0051】
具体的には、前記実施
例において、前記継合板部6に前記凸条7を設ける代わりにこの継合板部6の一側板面を凹設することで他側板面を凸設させた凸起8を一体成形した場合である。
【0052】
また、この凸起8は、小径(直径10mm程度)の円形凸起に形成し、この凸起8も前記凸条7と同様に、前記継合板部6の他側板面に対する突出度を、この凸起8を含めた前記継合板部6の板厚寸法が、前記仕口部3のスリット4幅に合致する若しくはスリット4幅よりやや薄い板厚となる突出度に設定している。凸起8の形状は、円形に限らず、適宜設計変更可能である。
【0053】
また、この凸起8は、前記継合板部6の前記取付板部5に対する折曲突出方向に間隔を置いた複数箇所に設けている。
【0054】
具体的には、継合板部6の上部と下部とに夫々、この継合板部6の上縁と下縁に沿って継合板部6の前記取付板部5に対する折曲突出方向に間隔を置いた複数箇所(図面は三箇所)に凸起8を設けている。即ち、凸起8は、継合板部6の上下方向にも間隔を置いて複数並設状態に設けており、各継合板部6に合計六個ずつ凸起8を設けた構成としている。
【0055】
尚、凸起8は、継合板部6の広範囲に複数散在状態に設けても良い。
【0056】
他の構成は、前記実施
例と同様である。
[構成例2]
構成例2について
図7に基づいて説明する。
【0057】
本構成例は、前記
構成例1において、太い連結用木材2に適するように、接合金具A1の高さを高くした場合である。
【0058】
具体的には、
本構成例の接合金具A1は、継合板部6の、前記取付板部5に対する突出先端側の上部と下部とに前記掛止凹部13を形成し、この上下の掛止凹部13間の複数箇所(図面は四箇所)にドリフトピン12を係止し得る前記係合孔14を形成している。
【0059】
また、
本構成例の凸起8は、前記
構成例1と同様に、継合板部6の上部と下部とに夫々、この継合板部6の上縁と下縁に沿って継合板部6の前記取付板部5に対する折曲突出方向に間隔を置いた複数箇所(図面は三箇所)に凸起8を設けると共に、継合板部6の中ほどにもこの継合板部6の前記取付板部5に対する折曲突出方向に間隔を置いた複数箇所(図面は三箇所)に並設状態に設けている。即ち、
本構成例においても、凸起8は、継合板部6の上下方向にも間隔を置いて複数並設状態に設けており、各継合板部6に合計九個ずつ凸起8を設けた構成としている。
【0060】
他の構成は、前記
構成例1と同様である。
[構成例3]
構成例3について
図8に基づいて説明する。
【0061】
本構成例の木材接合金具Aは、一枚の板材に切り起こし折曲用の切込縁19を形成し、この切込縁19を介して取付板部5に対して継合板部6を略90度折曲形成して構成した場合である。
【0062】
即ち、
本構成例は、前記特許文献2と同様の一枚の継合板部6を具備する一枚支持タイプ(断面T字型)の木材接合金具A2に適用したものである。
本構成例の場合、連結用木材2は、端部に縦長のスリット4が一箇所だけある仕口部3を有するものを使用する。
【0063】
本構成例は、前記実施例
及び構成例1,2とは形状が異なるが、各部の機能は同様であるため、各部に実施例
及び構成例1,2と同様の符号を付すことで詳しく説明することは省略する。
【0064】
また、
本構成例では、継合板部6に
構成例1,2と同様に凸起8を設けた場合を示したが、
前記実施
例と同様に凸条7を設けて
本発明の実施例を構成しても良い。
【0065】
尚、本発明は、
本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。