(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
媒体に画像形成する画像形成ユニットを複数備える画像形成部と、前記画像形成ユニットにアクセス可能な開口部に配置された第1の開閉体と、前記第1の開閉体を閉状態とした状態でもアクセス可能な第2の開閉体と、前記第1の開閉体の開閉状態を検知する第1の開閉センサとを備える画像形成装置において、
制御に応じたタイミングで、前記画像形成ユニット間の画像形成位置に係る画像形成ずれ量を検知し、検知した画像形成ずれ量を補正するように前記画像形成ユニットに係る制御処理を行う画像形成ずれ補正手段と、
前記画像形成ずれ補正手段が検知した画像形成ずれ量を記憶する記憶手段と、
前記第1の開閉センサにより前記第1の開閉体が、開状態から閉状態に遷移したと検知されたことを契機に、前記画像形成ずれ補正手段を制御して、画像形成ずれ量の検知及び画像形成ずれ量の補正を実行させる第1の補正制御手段と、
前記第1の補正制御手段の制御により、前記画像形成ずれ補正手段が最新に検知した画像形成ずれ量と、前記記憶手段に前回記憶された画像形成ずれ量とを比較し、その画像形成ずれ量の差分を求める比較手段と、
前記比較手段で求めた差分が所定の閾値より大きい場合、前記画像形成部で次に媒体への画像形成が行われる際に、再度前記画像形成ずれ補正手段を制御して、画像形成ずれ量の検知及び画像形成ずれ量の補正を実行させる第2の補正制御手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
前記記憶手段は、前記比較手段で求めた差分が所定の閾値より大きい場合、前記第1の補正制御手段の制御に基づいて、前記画像形成ずれ補正手段が検知した画像形成ずれ量を記憶しないことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記第2の補正制御手段は、前記画像形成部で次に媒体への画像形成が行われた後に、前記画像形成ずれ補正手段を制御して、画像形成ずれ量の検知及び画像形成ずれ量の補正を実行させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
前記第2の補正制御手段は、前記画像形成部で次に媒体への画像形成が行われる前に、前記画像形成ずれ補正手段を制御して、画像形成ずれ量の検知及び画像形成ずれ量の補正を実行させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
前記第2の補正制御手段は、前記画像形成部で次に媒体への画像形成が行われる前に前記画像形成ずれ補正手段を制御して、画像形成ずれ量の検知及び画像形成ずれ量の補正を実行させる第1の動作モード、又は、前記画像形成部で次に媒体への画像形成が行われた後に前記画像形成ずれ補正手段を制御して、画像形成ずれ量の検知及び画像形成ずれ量の補正を実行させる第2の動作モードのいずれかの動作モードで動作することが可能であり、
オペレータの操作に応じた動作モードで、前記第2の補正制御手段を動作させるように制御する動作モード制御手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像形成装
置の第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第1の実施形態では、本発明の画像形成装置をMFPに適用した例について説明する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
図4〜
図6は、それぞれMFP1000の外観の斜視図である。
【0016】
MFP1000は、ハードウェア的に大別して媒体に画像を印刷する処理等を行う画像形成部としてのプリンタユニット100と原稿の読込処理等を行うスキャナユニット200とを有している。
【0017】
図6に示すように、プリンタユニット100の上面には、後述する印刷機構(画像形成ユニット)にアクセス可能な開口部101が設けられている。そして、プリンタユニット100には、開口部101で開閉可能な第1の開閉体としてプリンタカバー102が設けられている。
図6は、このプリンタカバー102を開状態とした場合のMFP1000の斜視図となっている。また、
図4及び
図5は、このプリンタカバー102を閉状態とした場合のMFP1000の斜視図となっている。
【0018】
そして、プリンタユニット100では、
図5、
図6に示すように、開口部101(プリンタカバー102)の周囲に平面がコの字型(U字型)の支持部103が設けられている。支持部103は、スキャナユニット200を支持するものである。スキャナユニット200は、この支持部103の上面を覆うように配置されている。また、スキャナユニット200は、
図4、
図5に示すように、支持部103の上面部分の開口部103aを開閉するように、支持部103と接続(例えば、図示しないヒンジ等により接続)されている。
図5及び
図6は、このスキャナユニット200を開状態とした場合のMFP1000の斜視図となっている。また、
図4は、このスキャナユニット200を閉状態とした場合のMFP1000の斜視図となっている。なお、プリンタユニット100とプリンタカバー102とは図示しない電気的なコネクタ等により電気的に接続しており、スキャナユニット200は、プリンタユニット100の制御や、電源供給により動作するものとする。以上のように、MFP1000では、スキャナユニット200自体が、プリンタカバー102を閉状態とした状態でもアクセス可能な第2の開閉体として配置されている。
【0019】
次に、プリンタユニット100内部のハードウェア構成の概要について説明する。
【0020】
図2は、プリンタユニット100の概略側断面図である。
【0021】
図2において、プリンタユニット100には、4つの独立した印刷機構(イメージドラムユニット、画像形成ユニット)2K,2Y,2M,2Cが記録媒体の挿入側から排出側へ向かう搬送路に沿って配置されている。これらの印刷機構2K,2Y,2M,2Cの並び順については、順不同であっても良いが、ここでは以下の説明を行なう便宜上、2K,2Y,2M,2Cの順序で記録媒体の挿入側から排出側に並べられているものとする。
【0022】
印刷機構2K〜2Cは、ブラックK、イエローY、マゼンタM、シアンCの画像を記録するための電子写真式LEDプリント機構である。いずれの印刷機構2K〜2Cも、画像データにしたがって感光体を露光するLEDヘッド3を備えた画像形成部2と、トナー画像を記録媒体に転写する転写ローラ4K〜4Cとからなる同一構成のものである。
図2では、重複を避けるために、一部の符号の記載を省略しているが、いずれの画像形成部2も、静電潜像を形成するLEDヘッド3、帯電ローラ5、この帯電ローラ5により表面が一様に帯電される感光体6、及びトナー画像を形成するための現像部を構成する現像ローラ7、現像ブレード8、スポンジローラ9、トナーカートリッジ10等を含んで構成されている。
【0023】
まず、印刷機構2Kでのブラックトナーによる画像形成について説明する。トナーカートリッジ10Kから供給されたトナーは、スポンジローラ9Kを経て現像ブレード8Kに達し、現像ローラ7Kの円周面上に薄層化された後、感光体6Kとの接触面に達する。トナーは薄層形成時に現像ローラ7Kと現像ブレード8Kに強く擦られて摩擦帯電されている。スポンジローラ9Kはトナーを適量現像ブレード8Kに搬送させるためのものである。
【0024】
LEDヘッド3Kは、その詳細は図示していないが、LEDアレイと、このLEDアレイを駆動するドライブICと、印刷データ等を保持するレジスタ群を搭載した基板と、LEDアレイの光を集光するレンズアレイとから構成されている。このLEDヘッド3Kでは、インタフェース部から入力される画象データ信号に対応してLEDアレイを発光させることで、感光体6Kの表面を露光して、そこに静電潜像を形成することができる。感光体6Kの静電潜像には、現像ローラ7Kの円周面上から静電気力によってトナーが移動して付着し、印刷データに対応したトナー像が形成される。また、感光体6Kと転写ローラ4Kの間には、後述する搬送ベルト12が移動可能に配設されている。
【0025】
イエロー、マゼンタ、シアンの各印刷機構2Y〜2Cは、いずれもブラックの印刷機構2Kと同様な構成であって、各感光体6と転写ローラ4Y〜4Cの間には搬送ベルト12が移動可能に配設されている。そして、印刷機構2Kのトナーカートリッジ10Kにはブラック(K)のトナーが収容され、印刷機構2Yのトナーカートリッジ10Yにはイエロー(Y)のトナーが収容され、印刷機構2Mのトナーカートリッジ10Mにはマゼンタ(M)のトナーが収容され、印刷機構2Cのトナーカートリッジ10Cにはシアン(C)のトナーが収容されている。
【0026】
印刷機構2KのLEDヘッド3Kにはカラー画像信号のうちブラック画像信号が入力され、印刷機構2YのLEDヘッド3Yにはカラー画像信号のうちイエロー画像信号が入力され、印刷機構2MのLEDヘッド3Mにはカラー画像信号のうちマゼンタ画像信号が入力され、印刷機構2CのLEDヘッド3Cにはカラー画像信号のうちシアン画像信号が入力される。また、ここには感光体表面の除電を行なう除電光源11K,11Y,11M,11Cがそれぞれの印刷機構2K〜2Cの現像部と転写部の間に取り付けられている。
【0027】
搬送ベルト12は、継目なしのエンドレス状に形成されている高抵抗の半導電性プラスチックフィルムからなり、駆動ローラ13、従動ローラ14に巻き掛けられている。駆動ローラ13は図示しないベルトモータに接続され、このモータにより駆動ローラ13を矢印f方向に回転する。搬送ベルト12の上面部は各印刷機構2K〜2Cの感光体6と各転写ローラ4K〜4Cとの間に掛け渡されている。
【0028】
また、
図2においてプリンタユニット100の右下側には、搬送路に用紙を供給するための給紙機構が設けられている。この給紙機構はホッピングローラ16とレジストローラ17と用紙収容カセット19とからなる。この用紙収容カセット19に収納されている記録媒体である用紙S(媒体)が図示しない弁別手段により1枚づつ選択され、ホッピングローラ16により取り出されて、ガイド20に案内されてレジストローラ17に達する。ここでは、用紙Sが斜め送りされた場合に、用紙Sのスキューがレジストローラ17と相対するピンチローラ18とによって修正されるようになっている。その後、用紙Sはレジストローラ17から吸着ローラ15と搬送ベルト12との間に導かれる。吸着ローラ15では、用紙Sを従動ローラ14との間で圧接するとともに帯電し、その用紙Sを搬送ベルト12の上面に静電吸着させるものである。
【0029】
21、22はそれぞれレジストローラ17の前後位置に配置され、用紙Sを検知するためのセンサである。駆動ローラ13側の搬送ベルト12の左方には、搬送ベルト12からの分離に失敗した用紙Sをチェックし、或いは用紙Sの後端位置を検出するためのセンサ23が設けてある。また、駆動ローラ13の下方であって、その所定の回転角度位置には、搬送ベルト12と対向して反射強度検出機構24が設けられている。この反射強度検出機構24は、図示しない発光素子と受光素子とから構成され、受光素子で受光した光に基づいて搬送ベルト12表面、或いはそこに印刷されたカラートナーの反射強度に比例した出力を得ることができるものである。
【0030】
また、搬送ベルト12の下面部には、張設ローラ31とクリーニングブレード32と廃トナータンク33からなるクリーニング機構があって、張設ローラ31とクリーニングブレード32が搬送ベルト12の下半部12bを挟むように、それぞれ対向する位置に設けられている。張設ローラ31は、矢印g方向に搬送ベルト12を押し下げている。クリーニングブレード32は、可撓性のゴム材又はプラスチック材からなり、搬送ベルト12の上半部12aで表面に付着残留したトナーを廃トナータンク33に削り落とすことができる。
【0031】
図3は、上述した反射強度検出機構24の取り付け位置を示す図(概略平面図)である。
図3では、LED等の記録素子の配列方向(主走査方向)、及び搬送ベルト12の搬送方向(副走査方向)での色ずれを検出するための反射強度検出機構24が取り付けられる位置を示している。
図3(a)において、反射強度検出機構24は、搬送ベルト12に対して主走査方向のほぼ中央位置に配置されている。また、
図3(b)において、対をなす反射強度検出機構24R,24Lは、搬送ベルト12に対して主走査方向の左右端部であって、用紙の搬送方向と直交する直線上に、それぞれ配置されている。さらに、
図3(a)、
図3(b)に示すヒートローラ25は、トナー画像が転写された媒体にトナー画像を定着するための定着機構を構成するものである。なお、反射強度検出機構24の構成は、主走査方向及び副走査方向の色ずれを検知できればよく、その具体的な構成は、上述の
図3(a)、
図3(b)の例に限定されないものである。
【0032】
反射強度検出機構24は、各印刷機構2K、2Y、2M、2Cの間での主走査方向及び副走査方向での印刷位置のずれ(以下、このずれを「色ずれ」と呼ぶ)を検出するためのセンサとして機能する。
【0033】
図2、
図3において、ベルト走行方向の前後方向が副走査方向であり、ベルト走行方向に向かって左右方向が主走査方向である。反射強度検出機構24は、搬送ベルト12に対して主走査方向のほぼ中央位置に配置されている。さらに、
図2、
図3に示すヒートローラ25は、トナー画像が転写された用紙Sにトナー画像を定着するための定着機構を構成するものである。
【0034】
この定着機構は、
図2に示すように搬送ベルト12の駆動ローラ13側に設けられたセンサ23の更に左方に配置され、用紙S上のトナーを加熱するヒートローラ25と、ヒートローラ25と一体になって用紙Sを加圧する加圧ローラ26を有する。ヒートローラ25の更に左方には排出センサ27が設けられており、定着機構におけるジャムや用紙Sのヒートローラ25への巻き付きを監視している。この排出センサ27の左方には排出口が形成され、排出口の外側には排出スタッカ28が設けられている。排出スタッカ28には印刷済みの用紙Sが排出される。
【0035】
次に、プリンタユニット100の制御系の構成について説明する。
【0036】
図1は、MFP1000の制御系で、各印刷機構2K、2Y、2M、2Cの間での主走査方向及び副走査方向での印刷位置を補正する機能(以下、「色ずれ補正機能」とも呼ぶ)に関連する構成要素について抽出して図示したブロック図である。
【0037】
図1において、符号K,Y、M、Cはブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各印刷機構2K〜2Cにおける画像形成部2との対応を示すために付記されている。
【0038】
図1において、ホストインタフェース部50は図示しないホストコンピュータとの物理的階層のインタフェースを担う部分であり、コネクタ及び通信用のチップで構成される。コマンド/画像処理部51はホスト側からのコマンド及び画像データを解釈し、あるいはビットマップに展開する部分であって、マイクロプロセッサ、RAM、及びビットマップ展開の専用ハードウェア等から構成され、プリンタユニット100全体を制御する。LEDヘッドインタフェース部52はセミカスタムLSI及びRAM等から構成され、コマンド/画像処理部51でビットマップに展開された画像データをLEDヘッド3のインタフェースにあわせて加工する。
【0039】
機構制御部53は、コマンド/画像処理部51の指令に従って各種のセンサ21〜23,27、及び反射強度検出機構(以下、単に「センサ」ともいう。)24から入力する信号を監視しながら各種のモータ54を駆動制御し、或いはヒータ55への通電を制御して、印刷系の機構部の制御と高圧の制御を行っている。なお、モータ54には、ホッピングモータ、レジストモータ、ベルトモータ、各印刷機構2K〜2Cのドラムモータ、ヒートローラ25等を作動させるためのヒータモータ等の各種モータ、及びそれらを駆動するドライバ等が含まれる。ヒータ55はヒートローラ25の中に配置される例えばハロゲンランプであって、このヒートローラ25には図示しないサーミスタが配置され、定着温度の制御を行っている。
【0040】
高圧制御部56はマイクロプロセッサあるいはカスタムLSIから構成され、各印刷機構2K〜2Cに対するチャージ電圧(CH)、現像バイアス(DB)、転写電圧(TR)等の生成を司っている。高圧制御部56には、CΗ発生部57、DB発生部58、及びTR発生部59が接続されていて、CΗ発生部57では各印刷機構2K〜2Cへのチャージ電圧の生成と停止を、DB発生部58では各印刷機構2K〜2Cへの現像バイアスの供給を、TR発生部59では各転写ローラ4K〜4Cに対する転写電圧を、それぞれ制御する。また、TR発生部59には図示しない電流/電圧検出回路があり、これにより定電流あるいは定電圧制御を行っている。
【0041】
また、MFP1000は、プリンタカバー102の開閉状態を検知するためのプリンタカバー開閉センサ34(第1の開閉センサ)も有している。プリンタカバー開閉センサ34の検知方式については限定されないものであるが、例えば、プリンタカバー102を閉状態となると押下された状態(オン状態)となり、開状態となると解放状態(オフ状態)となるボタン等の検知機構により構成するようにしてもよい。
【0042】
また、MFP1000は、各印刷機構2Y、2M、2Cに係る消耗品(例えば、トナーカートリッジ10やの交換等)を検知するための消耗品センサ35も有している。機構制御部53が、各印刷機構2Y、2M、2Cに係る消耗品交換を検知する構成については限定されないものであるが、例えば、各色のトナーカートリッジ10に、シリアルナンバー等の識別情報が記憶されたICタグが付されており、消耗品センサ35が、当該ICタグの内容を監視し、識別情報が変化した場合に消耗品交換を検知するようにしてもよい。
【0043】
また、MFP1000では、スキャナユニット200の上面部にオペレータからの操作受付や、オペレータへの情報表示等を行う手段としての操作表示部201と、オペレータから投入された原稿を読み込むためのスキャナ202が配置されている。操作表示部201は、例えば、操作受付をするためのボタン(ハードウェアボタン等)や当該MFP1000の状態や操作画面を表示するためのディスプレイ等を用いて構成することができる。操作表示部201は、機構制御部53と接続されており、機構制御部53では、操作表示部201がオペレータとのインタフェースとして機能しているものとする。なお、機構制御部53は、ネットワーク等を介して通信により外部からの制御を受付けるようにしてもよい。
【0044】
次に、機構制御部53の詳細構成について説明する。
【0045】
機構制御部53は、マイクロプロセッサ、プログラムROM、及び各種のインタフェースを用いて構成することができるものであり、機能的な構成としては、
図7のように示すことができる。
図7は、機構制御部53の機能的構成、及び機構制御部53に関連する一部の構成要素との接続関係について示したブロック図である。
【0046】
図7に示すように、機構制御部53は、色ずれ補正制御処理部531、色ずれ補正実行判定部532及び記憶部533を有している。
【0047】
記憶部533は、機構制御部53(MFP1000)において各種データを記憶する記憶手段として機能するものである。記憶部533は、フラッシュメモリ等の不揮発メモリであることが望ましい。また、
図7では、記憶部533は、機構制御部53で用いられる記憶手段として記載されているが、MFP1000内で共通の記憶手段を用いて構成するようにしてもよい。
【0048】
色ずれ補正制御処理部531は、各構成要素を制御して、印刷機構2Kを基準とした印刷機構2Y、2M、2Cのそれぞれの色ずれ量(少なくとも主走査方向及び副走査方向の色ずれ量)を検出し、検出した色ずれ量を補正して画像形成が可能となるように各印刷機構2Y、2M、2Cに係る制御を行う処理(以下、「色ずれ補正処理」と呼ぶ)を行う。
【0049】
具体的には、色ずれ補正制御処理部531は、図示しないパターン信号をLEDヘッドインタフェース部52から各印刷機構2K〜2Cの印刷ヘッドに転送して搬送ベルト12上に検出用パターンを印刷し、その印刷状態を上述した反射強度検出機構24で読み取って色ずれ量を検出する。色ずれ補正制御処理部531が色ずれ量を検出するための検出用パターンの内容や、具体的な処理手順については、例えば、特許文献1と同様の構成等、種々の構成を適用することができるため詳しい説明については省略する。色ずれ補正制御処理部531が検出する色ずれ量の単位については限定されないものであるが、この実施形態では、各印刷機構2K〜2Cが印刷を行う際のドット(画素)単位で、色ずれ量を検出するものとする。すなわち、色ずれ補正制御処理部531は、印刷機構2Kを基準として、各印刷機構2Y、2M、2Cについて、それぞれ主走査方向及び副走査方向についての色ずれ量をドット単位で検出する。また、色ずれ補正制御処理部532は、検出した各印刷機構2Y、2M、2Cの色ずれ量に基づき、LEDヘッドインタフェース部52を制御して、検出した色ずれ量の分だけ画像形成する際の印刷開始タイミングを補正させる。色ずれ補正制御処理部532による色ずれ量の補正制御に係る詳細構成については、例えば、特許文献1と同様の構成等、種々の構成を適用することができるため詳しい説明については省略する。
【0050】
以下では、色ずれ補正制御処理部531が、印刷機構2Y、2M、2Cのいずれかについて、最新に検出した主走査方向(以下、「水平方向」とも呼ぶ)の色ずれ量を「Xi」と表すものとする。また、色ずれ補正制御処理部531が、印刷機構2Y、2M、2Cのいずれかについて、最新に検出した副走査方向(以下、「垂直方向」とも呼ぶ)の色ずれ量を「Yi」と表すものとする。さらに、色ずれ補正制御処理部531が、印刷機構2Y、2M、2Cのいずれかについて、前回(Xiの直前)検出し、記憶部533に記憶された主走査方向の色ずれ量をX(i−1)と表すものとする、さらにまた、色ずれ補正制御処理部531が、印刷機構2Y、2M、2Cのいずれかについて、前回(Yiの直前)検出し、記憶部533に記憶された副走査方向の色ずれ量をY(i−1)と表すものとする。
【0051】
色ずれ補正制御処理部531は、印刷機構2Y、2M、2Cのそれぞれについて、記憶部533に記憶させて保持する。ただし、色ずれ補正制御処理部531は、最新に検出した色ずれ量(Xi、Yi)と、前回検出され記憶部533に記憶された色ずれ量(X(i−1)、Y(i−1)との比較結果によっては、最新に検出した色ずれ量(Xi、Yi)を記憶部533に記憶させずに破棄する。具体的には、例えば、色ずれ補正制御処理部531は、印刷機構2Y、2M、2Cのそれぞれについて、最新に検出した色ずれ量(Xi、Yi)と、前回検出した色ずれ量(X(i−1)、Y(i−1))とを、以下の(1)式に示す論理式にあてはめて、(1)式の論理式が成立するか否か(論理式の結果がTrueとなるか否か)を求める。
【0052】
(1)式において、Thx、Thyは、機構制御部53に予め設定された定数(任意の値の整数)であるものとする。なおThx=Thyとしてもよい。(1)式の論理式は、XiとX(i−1)との差分の絶対値「|Xi−X(i−1)|」がThxより大きい場合、又は、YiとY(i−1)との差分の絶対値「|Yi−Y(i−1)|」がThyより大きい場合に結果がTrueとなり、それ以外の場合はFalseとなる。
【0053】
(|Xi−X(i−1)|>Thx)∨(|Yi−Y(i−1)|>Thy)…(1)
そして、色ずれ補正制御処理部531は、印刷機構2Y、2M、2Cの少なくとも1つについて、上記の(1)式に示す論理式の結果がTrueとなった場合(すなわち、色ずれ量が所定の閾値以上の場合)、最新に検出した全ての印刷機構2Y、2M、2Cに係る色ずれ量(Xi、Yi)を記憶部533に記憶させずに破棄する。一方、印刷機構2Y、2M、2の全てについて上記の(1)式に示す論理式の結果がFalseだった場合、色ずれ補正制御処理部531は、最新に検出した全ての印刷機構2Y、2M、2Cに係る色ずれ量(Xi、Yi)を記憶部533に記憶させる。
【0054】
また、色ずれ補正制御処理部531は、記憶部533に印刷機構2Y、2M、2Cに係る色ずれ量(Xi、Yi)を記憶する際に、当該色ずれ量に対応する補正内容(LEDヘッドインタフェース部52に供給する補正制御信号)を記憶部533に記憶して保持する。
【0055】
色ずれ補正実行判定部532は、色ずれ補正制御処理部531による色ずれ補正処理を開始させるタイミングを判定する処理(以下、「色ずれ補正開始判定処理」と呼ぶ)を行うものである。色ずれ補正実行判定部532が行う色ずれ補正開始判定処理の詳細については後述する。
【0056】
以上のように、MFP1000では、機構制御部53等により、画像形成ずれ補正手段、記憶手段、第1の補正制御手段、比較手段、及び第2の補正制御手段が構成されている。
【0057】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態のMFP1000の動作を説明する。
【0058】
図8は、プリンタカバー102のクローズ(開状態から閉状態へ遷移)がプリンタカバー開閉センサ34で検知された場合のMFP1000の動作についての動作について示したフローチャートである。なお、以下のフローチャートにおいて、機構制御部53の処理で用いられるフル調整フラグFは、記憶部533に記憶されるフラグデータ(ON又はOFFのいずれかの値で示されるデータ)である。なお、フル調整フラグFの初期値は「OFF」であるものとする。
【0059】
まず、プリンタカバー102がクローズ(開状態から閉じられて閉状態に遷移)し、プリンタカバー開閉センサ34により、プリンタカバー102のクローズが検知され、さらに、その検知信号が機構制御部53に供給されると(S100)、色ずれ補正実行判定部532で、色ずれ補正処理開始が判定される(S101)。
【0060】
また、プリンタカバー開閉センサ34によるクローズ検知に伴って、消耗品センサ35でも消耗品(いずれかの、トナーカートリッジ10)交換の有無(プリンタカバー102が前回閉状態だった時と比較して、交換を検出した場合)の検査が行われる(S102)。消耗品センサ35で消耗品交換が検出された場合には、その旨の検知信号も機構制御部53に供給され、機構制御部53により、フル調整フラグFの値がONに更新される(S103)。
【0061】
次に、機構制御部53により、フル調整フラグFの値が確認され(S104)、フル調整フラグFの値がONの場合には、後述するステップS105から動作し、OFFの場合には、後述するステップS106から動作する。
【0062】
上述のステップS104で、フル調整フラグFがOFFだった場合、色ずれ補正制御処理部531は、色ずれ補正処理(色ずれ量の検出及び、検出した色ずれ量の補正処理)を行う(S105)。
【0063】
一方、上述のステップS104で、フル調整フラグFがONだった場合、色ずれ補正制御処理部531は、色ずれ補正処理が行い(S106)、さらに、フル調整フラグFをOFFに更新する(S107)。
【0064】
上述のステップS105又はS107の処理に続いて、機構制御部53は、印刷機構2Y、2M、2Cのそれぞれについて、最新に検出した色ずれ量(Xi、Yi)と、記憶部533に記憶されている前回検出した色ずれ量(X(i−1)、Y(i−1))とを、上記の(1)式に示す論理式にあてはめて、(1)式の論理式が成立するか否か(論理式の結果がTrueとなるか否か)を求め(S108)、結果を確認する(S109)。
【0065】
上述のステップS109で、印刷機構2Y、2M、2の全てについて上記の(1)式に示す論理式の結果がFalseだった場合は、全ての印刷機構2Y、2M、2Cの色ずれ量の差分(前回の色ずれ量との差分)が所定以下であり、MFP1000で色ずれ補正処理(上述のステップS104又はステップS105の処理)が行われている間に、スキャナユニット200のクローズ等に伴う振動が発生していなかったと推定できる。したがって、この場合は、印刷機構2Y、2M、2の全てについて、色ずれ量補正処理(上述のステップS104又はステップS105の処理)は正常に終了していると推定できる。一方、印刷機構2Y、2M、2Cの少なくとも1つについて、上記の(1)式に示す論理式の結果がTrueとなった場合、上記の(1)式の論理式の結果がTrueとなった印刷機構2の色ずれ量の差分(前回の色ずれ量との差分)は所定より多く、MFP1000で色ずれ補正処理(上述のステップS104又はステップS105の処理)が行われている間に、スキャナユニット200のクローズ等に伴う振動が発生していたと推定できる。この場合は、少なくとも(1)式の論理式の結果がTrueとなった印刷機構2については、色ずれ量補正処理(上述のステップS104又はステップS105の処理)は失敗しており、再度色ずれ補正処理が必要となる。
【0066】
上述のステップS109で、印刷機構2Y、2M、2の全てについて上記の(1)式に示す論理式の結果がFalseだった場合、色ずれ補正制御処理部531は、最新に検出した全ての印刷機構2Y、2M、2Cに係る色ずれ量(Xi、Yi)及び当該色ずれ量に対応する補正内容(LEDヘッドインタフェース部52に供給する補正制御信号)を記憶部533に記憶させて(S110)、処理を終了する。
【0067】
一方、上述のステップS109で、印刷機構2Y、2M、2Cの少なくとも1つについて、上記の(1)式に示す論理式の結果がTrueとなった場合、色ずれ補正制御処理部531は、最新に検出した全ての印刷機構2Y、2M、2Cに係る色ずれ量(Xi、Yi)を記憶部533に記憶させずに破棄する(S111)。さらに色ずれ補正実行判定部532は、フル調整フラグFをONに更新して(S112)、処理を終了する。
【0068】
機構制御部53は、プリンタカバー102のクローズ時には以上のような動作により、色ずれ補正処理を行う。
【0069】
次に、上述の
図8のフローチャートの処理が行われた後に、プリンタユニット100(機構制御部53)に、ホストコンピュータ等から印刷要求(印刷ジョブ)があった場合の動作について
図9のフローチャートを用いて説明する。
【0070】
まず、プリンタユニット100(機構制御部53)に、ホストコンピュータ等から印刷要求があると(S200)、機構制御部53は、記憶部533に記憶されている最新の色ずれ量(Xi、Yi)に対応する補正内容(LEDヘッドインタフェース部52に供給する補正制御信号)を読み込む(S201)。
【0071】
そして、プリンタユニット100(機構制御部53)は、供給された印刷要求に基づく印刷制御処理(記録媒体である用紙Sに対する印刷処理)を行う(S202)。
【0072】
次に、機構制御部53(色ずれ補正実行判定部532)は、記憶部533からフル調整フラグFを読み込んで確認する(S203)。記憶部533からから読込んだ、フル調整フラグFの内容がOFFだった場合、機構制御部53(色ずれ補正実行判定部532)は、再度の色ずれ補正処理を行わずに処理を終了する。
【0073】
一方、記憶部533からから読込んだ、フル調整フラグFの内容がONだった場合、機構制御部53の色ずれ補正実行判定部532は、色ずれ補正処理を実行すると判定し、色ずれ補正制御処理部531が色ずれ補正処理に係る制御を実行する(S204)。
【0074】
色ずれ補正処理が終了すると、機構制御部53の色ずれ補正実行判定部532は、フル調整フラグFをOFFに更新し(S205)、最新の色ずれ補正処理(上述のステップS204の処理)によって求められた色ずれ量(Xi、Yi)、及び当該色ずれ量(Xi、Yi)に対応する補正内容(LEDヘッドインタフェース部52に供給する補正制御信号)を、記憶部533に記憶して(S206)、処理を終了する。
【0075】
なお、
図9のフローチャートは、上述の
図8のフローチャートの処理が行われた後に、プリンタユニット100(機構制御部53)に、ホストコンピュータ等から印刷要求(印刷ジョブ)があったこと(上述のステップS200の処理)を契機に動作するものとして説明したが、プリンタユニット100(機構制御部53)で、プリンタカバー102のクローズが発生する前から保持(スプール)していた印刷ジョブを実行する場合に適用するようにしてもよい(ただし、ステップS200の処理は省略)。例えば、プリンタユニット100(機構制御部53)において、印刷ジョブに基づく印刷処理を実行中に、いずれかのトナーカートリッジ10でトナー切れが発生して当該印刷ジョブが中断した後、オペレータによるトナーカートリッジ10の交換後(プリンタカバー102のオープン及びクローズの後)、当該印刷ジョブを再開する場合等が挙げられる。
【0076】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0077】
MFP1000では、プリンタカバー102のカバークローズ後の自動実行で行われる色ずれ補正処理中に、スキャナユニット200の開閉動作などによって振動が与えられても、色ずれ補正処理直後に、前回の色ずれ補正量と比較し(上述のステップS108、S109)、その差分が所定の閾値以上の場合(例えば、上記の(1)式を満たす場合等)には、次の印刷動作の際に、色ずれ補正制御を再実行(上述のステップS204の処理)することで、より確実に、スキャナユニット200の開閉動作に伴う色ずれ量を抑制している。また、これにより、第1の実施形態では、スキャナユニット200の開閉動作を検知するハードウェア(センサ)を別途設けなくても、スキャナユニット200の開閉動作に伴う色ずれ量を抑制することができる。
【0078】
また、通常色ずれ補正処理には15秒〜40秒程度(補正内容によって時間は異なる)かかるため、この実施形態のMFP1000では、印刷動作の際の色ずれ補正処理の再実行を、当該印刷動作の後に行っている。これにより、MFP1000では、色ずれ補正処理を再実行する最の印刷動作開始を早めて、再度色ずれ補正処理を行うことに伴う利便性の低下を抑制している。
【0079】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像形成装
置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第2の実施形態では、本発明の画像形成装置をMFPに適用した例について説明する。
【0080】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のMFP1000Aの構成は、第1の実施形態と同様の図面(上述の
図1〜
図7)により示すことができる。以下では、第2の実施形態のMFP1000Aについて第1の実施形態との差異のみを説明する。
【0081】
第2の実施形態のMFP1000Aでは、プリンタユニット100がプリンタユニット100Aに置き換わっている点で、第1及び第の実施形態と異なっている。また、第2の実施形態では機構制御部53が機構制御部53Aに置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0082】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態のMFP1000Aの動作について、第1の実施形態との差異を説明する。第2の実施形態のMFP1000Aでは、プリンタカバー102のカバークローズ後に印刷動作を行う際の動作のみが、第1の実施形態と異なっている。
【0083】
第1の実施形態では、プリンタユニット100(機構制御部53)に、ホストコンピュータ等から印刷要求(印刷ジョブ)があった場合(ステップS201)、上述の
図9に示すように、印刷動作(ステップS201、S202)を行った後、フル調整フラグFの内容に応じて、色ずれ補正処理を行っている(ステップS203〜S206)。これに対して、第2の実施形態において、プリンタユニット100A(機構制御部53A)に、ホストコンピュータ等から印刷要求(印刷ジョブ)があった場合の動作は
図10のフローチャートで示される。すなわち、第2の実施形態のプリンタユニット100A(機構制御部53A)では、
図10に示すように、先にフル調整フラグFの内容に応じて、色ずれ補正処理を行い(ステップS301〜S304)、その後、印刷動作(ステップS305、S306)を行っている。なお、ステップS301〜S304の処理は、第1の実施形態のステップS203〜S206と同様の処理である。また、ステップS305、S306の処理は、第1の実施形態のステップS201、S202と同様の処理である。
【0084】
なお、
図10のフローチャートの処理は、上述の
図9の場合と同様に、プリンタユニット100A(機構制御部53A)で、プリンタカバー102のクローズが発生する前から保持(スプール)していた印刷ジョブを実行する場合に適用するようにしてもよい(ただし、ステップS300の処理は省略)。
【0085】
(B−3)第2の実施形態の効果
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態と比較した効果について説明する。
【0086】
上述のように第1の実施形態では、先に印刷動作を行い、フル調整フラグFの内容に応じて、色ずれ補正処理を行っている。そのため、第1の実施形態のMFP1000では、プリンタカバー102のクローズ後の初回の印刷開始までの時間を短くすることができる。しかし、第1の実施形態のMFP1000では、当初は、プリンタカバー102がクローズされるより以前に実行された前回の色ずれ補正値を使用した印刷動作を行うため、プリンタカバー102やスキャナユニット200開閉による作業で与えた装置振動の度合いによって、色ずれ補正品質が低くなる(色ずれが大きくなる)可能性がある。これに対して、第2の実施形態のプリンタユニット100A(機構制御部53A)では、印刷動作より先にフル調整フラグFの内容に応じて、色ずれ補正処理を行っているため、プリンタカバー102のクローズ後の初回の印刷開始までの時間は長くなってしまうが、初回の印刷動作の品質を向上させることができる。
【0087】
(C)第3の実施形態
以下、本発明による画像形成装
置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第3の実施形態では、本発明の画像形成装置をMFPに適用した例について説明する。
【0088】
(C−1)第3の実施形態の構成及び動作
第3の実施形態のMFP1000Bの構成(ただし、後述する機構制御部53Bの構成を除く)は、第1及び第2の実施形態と同様の図面(上述の
図1〜
図6)により示すことができる。以下では、第3の実施形態のMFP1000Bについて第1及び第2の実施形態との差異のみを説明する。
【0089】
第3の実施形態のMFP1000Bでは、プリンタユニット100(100A)がプリンタユニット100Bに置き換わっている点で、第1及の実施形態と異なっている。さらに、第3の実施形態では機構制御部53(53A)が機構制御部53Bに置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0090】
図11は、第3の実施形態の機構制御部53Bの機能的構成について示した説明図である。
図11に示すように、機構制御部53Bでは、設定受付部534が追加されている点で第1及び第2の実施形態と異なっている。
【0091】
上述のように第1の実施形態のプリンタユニット100(機構制御部53)では、印刷要求(印刷ジョブ)があった場合、上述の
図9に示すように、印刷動作(ステップS201、S202)を行った後、フル調整フラグFの内容に応じて、色ずれ補正処理を行っている(ステップS203〜S206)。また、第2の実施形態のプリンタユニット100A(機構制御部53A)では、印刷要求(印刷ジョブ)があった場合、先にフル調整フラグFの内容に応じて、色ずれ補正処理を行い(ステップS301〜S304)、その後、印刷動作(ステップS305、S306)を行っている。すなわち、第1及び第2の実施形態の機構制御部53、53Aでは、印刷要求(印刷ジョブ)があった場合に、色ずれ補正処理と印刷動作を行う順序が固定されているが、第3の実施形態の機構制御部53Bでは、オペレータの操作に応じて任意の順序に設定可能な点で異なっている。設定受付部534は、オペレータの操作に応じて、印刷動作を先に行い色ずれ補正処理を後に行う動作モード(以下、「第1の動作モード」と呼ぶ)と、色ずれ補正処理を先に行い印刷動作を後に行う動作モード(以下、「第2の動作モード」と呼ぶ)のいずれかの設定をオペレータから受付けることができる。第3の実施形態において、設定受付部534は、例えば、オペレータによるスキャナユニット200の操作表示部201に対する操作に応じて、当該MFP1000を、第1の動作モードで動作させるか、第2の動作モードで動作させるかの設定を受付けて、その設定内容を、記憶部533に記憶するようになされているものとする。
【0092】
以上のように、第2の実施形態のMFP1000Bでは、機構制御部53Bにより、動作モード制御手段が構成されている。
【0093】
(C−2)第3の実施形態の効果
以上のように第3の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、色ずれ補正処理と印刷動作を行う順序をオペレータの操作に応じた任意の順序で行うことができるため、より利便性が向上するという効果を奏することができる。
【0094】
(D)第4の実施形態
以下、本発明による画像形成装
置の第4の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、第4の実施形態では、本発明の画像形成装置をMFPに適用した例について説明する。
【0095】
(D−1)第4の実施形態の構成
次に、第4の実施形態のMFP1000Cの動作について、第1の実施形態との差異を説明する。
【0096】
第4の実施形態のMFP1000Cの構成(ただし、制御系の構成、及び後述する機構制御部53Cの構成を除く)は、第1及び第2の実施形態と同様の図面(上述の
図2〜
図6)により示すことができる。以下では、第3の実施形態のMFP1000Bについて第1及び第2の実施形態との差異のみを説明する。
【0097】
図12は、第4の実施形態のMFP1000Cの制御系で、色ずれ補正機能に関連する構成要素について抽出して図示したブロック図である。
【0098】
第4の実施形態のMFP1000Bでは、プリンタユニット100がプリンタユニット100Cに置き換わっている点で、第1及の実施形態と異なっている。また、第4の実施形態では機構制御部53が機構制御部53Cに置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0099】
また、プリンタユニット100Cでは、スキャナユニット200の開閉状態を検知するためのスキャナ開閉センサ36(第2の開閉センサ)が追加されている点で第1の実施形態と異なっている。スキャナ開閉センサ36の検知方式についても限定されないものであり、例えば、スキャナユニット200を閉状態となると押下された状態(オン状態)となり、開状態となると解放状態(オフ状態)となるボタン等の検知機構により構成するようにしてもよい。
【0100】
次に、機構制御部53Cの内部構成について
図13を用いて説明する。
図13は、機構制御部53Cの機能的構成について示したブロック図である。
【0101】
機構制御部53Cでは、色ずれ補正実行判定部532が色ずれ補正実行判定部532Cにおきかわっている点で、第1の実施形態と異なっている。色ずれ補正実行判定部532Cは、プリンタカバー開閉センサ34だけでなく、スキャナ開閉センサ36の検知結果も用いて、色ずれ補正処理開始の判定を行う。
【0102】
(D−2)第4の実施形態の動作
次に、第4の実施形態のMFP1000Cの動作について、第1の実施形態との差異を説明する。
図14は、プリンタカバー102のクローズ(開状態から閉状態へ遷移)及び、スキャナユニット200のクローズが、プリンタカバー開閉センサ34及びスキャナ開閉センサ36で検知された場合のMFP1000Cの動作についての動作について示したフローチャートである。
【0103】
まず、プリンタカバー102が開状態から閉じられて閉状態となり、プリンタカバー開閉センサ34により、プリンタカバー102のクローズが検知され、さらに、その検知信号が機構制御部53Cに供給されたものとする(S400)。
【0104】
続いて、スキャナユニット200が開状態から閉じられて閉状態となり、スキャナ開閉センサ36によりスキャナユニット200のクローズが検知され(S401)、さらに、その検知信号が機構制御部53Cに供給されると、色ずれ補正実行判定部532で、色ずれ補正処理開始が判定される(S402)。
【0105】
また、スキャナユニット200によるクローズ検知に伴って、消耗品センサ35でも消耗品交換の有無の検査が行われる(S403)。消耗品センサ35で消耗品交換が検出された場合には、その旨の検知信号も機構制御部53Cに供給され、機構制御部53Cにより、フル調整フラグFの値がONに更新される(S404)。
【0106】
次に、機構制御部53Cにより、フル調整フラグFの値が確認され(S405)、フル調整フラグFの値がONの場合には、後述するステップS406から動作し、OFFの場合には、後述するステップS407から動作する。
【0107】
上述のステップS405で、フル調整フラグFがONだった場合、色ずれ補正制御処理部531は、色ずれ補正処理(色ずれ量の検出及び、検出した色ずれ量の補正処理)を行う(S406)。
【0108】
一方、上述のステップS405で、フル調整フラグFがONだった場合、色ずれ補正制御処理部531は、色ずれ補正処理が行い(S407)、さらに、フル調整フラグFをONからOFFに更新し(S408)、処理を終了する。
【0109】
機構制御部53Cは、プリンタカバー102及びスキャナユニット200のクローズ時には以上のような動作により、色ずれ補正処理を行う。なお、
図14のフローチャートにおいて、フル調整フラグFに係る処理(ステップS403〜S405、S407、S408)は省略するようにしてもよい。
【0110】
(D−3)第4の実施形態の効果
第4の実施形態のMFP1000Cでは、プリンタカバー102及びスキャナユニット200がクローズされた後に、色ずれ補正処理を実行(ステップS407)しているため、第1〜第3の実施形態のように、印刷動作の際に再度色ずれ補正処理を行わなくても、スキャナユニット200のクローズの振動に伴う色ずれを抑制することができる。ただし、第4の実施形態では、スキャナユニット200の開閉を検知するためのスキャナ開閉センサ36を別途設ける必要があるため、第1〜第3の実施形態と比較してハードウェア的なコストが多くかかる。
【0111】
(E)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0112】
(E−1)上記の各実施形態では、本発明の画像形成装置を、プリンタユニット及びスキャナユニットを有するMFPに適用した例について説明したが、プリンタユニットのプリンタカバー(第1の開閉体)をクローズした状態でアクセス可能な第2の開閉体(例えば、給紙カセット、給紙トレイ、排紙トレイ等の他の開閉体)を備えるプリンタやコピー機等の他の画像形成装置に適用するようにしてもよい。
【0113】
(E−2)上記の各実施形態のMFPは、走査方向と副走査方向の色ずれを補正する構成を有するものとして説明したが、特許文献1のようにさらに斜め方向の色ずれを補正する構成としてもよい。その場合、機構制御部は、走査方向と副走査方向に加えて斜め方向の色ずれ量についても記憶する必要がある。また、その場合機構制御部は、上記の(1)論理式を、走査方向、副走査方向又は斜め方向について前回の色ずれ量との差分を求め、走査方向、副走査方向又は斜め方向のいずれか1つでも閾値以上の差分が発生した場合に、Trueを返す論理式に変更する必要がある。