(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
(構成の説明)
図1は、実施の形態1に係る画像形成システム100の構成を概略的に示すブロック図である。なお、
図1の括弧内の符号は、実施の形態2〜4の構成を示している。
画像形成システム100は、画像形成装置110と、利用者PC130と、管理者PC150と、認証サーバ170とを備える。
【0010】
画像形成装置110は、紙等の記録媒体に画像を形成する装置である。利用者PC130は、利用者が画像形成装置110へ印刷データを送信するために用いる情報処理装置(第1の情報処理装置)である。管理者PC150は、管理者が画像形成装置110へ管理情報を登録するために用いる情報処理装置(第2の情報処理装置)である。認証サーバ170は、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)等の既知の技術を用いて、ユーザ認証を実施する情報処理装置(第3の情報処理装置)である。画像形成装置110、利用者PC130、管理者PC150及び認証サーバ170は、ネットワーク180に接続されている。ネットワーク180は、画像形成装置110、利用者PC130、管理者PC150及び認証サーバ170を既知の通信技術で接続する通信回線である。
【0011】
図2は、画像形成装置110及び情報処理装置190のハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。なお、
図2の括弧内の符号は、実施の形態2〜4の構成を示している。なお、情報処理装置190は、利用者PC130、管理者PC150又は認証サーバ170として機能する。利用者PC130、管理者PC150及び認証サーバ170のハードウェア構成は同一である。
【0012】
画像形成装置110は、カードリーダ111と、プリント装置112と、操作パネル113と、RTC114と、HDD(Hard Disk Drive)115と、NIC(Network Interface Card)116と、ROM(Read Only Memory)117と、RAM(Random Access Memory)118と、CPU(Central Processing Unit)119とを備える。
【0013】
カードリーダ111は、既知の技術を用いてICカードから情報を読み取る装置である。
プリント装置112は、既知の印刷技術を用いて紙等の記録媒体に画像を形成して出力する装置である。
操作パネル113は、表示パネルと操作キーとから構成される装置である。操作パネル113は、表示部及び操作部として機能する。
RTC(Real Time Clock)114は、時刻を計測する装置である。RTCで計測されている時刻を現在時刻とする。RTC114は、画像形成装置110の電源が切断されても現在時刻を刻み続ける。
【0014】
HDD115は、さまざまなプログラム及びデータを永続的に記憶する装置である。
NIC116は、既知の通信技術によりネットワーク180を介してデータを送受信する通信インターフェースである。
ROM117は、画像形成装置110を動作させるためのプログラム及びデータを読み出し専用で格納する記憶媒体である。
RAM118は、さまざまなプログラム及びデータを一時的に格納する記憶媒体である。
CPU119は、画像形成装置110全体の動作を制御する装置である。
HDD115、ROM117及びRAM118は、プログラム及びデータを記憶する記憶部として機能する。CPU119は、HDD115、ROM117及びRAM118に記憶されているプログラムを実行することで、画像形成装置110を制御し、画像形成装置110での処理を行う制御部として機能する。
【0015】
情報処理装置190は、NIC191と、HDD192と、ROM193と、RAM194と、CPU195と、入力装置196と、表示装置197とを備える。
NIC191は、既知の通信技術によりネットワーク180を介してデータを送受信する通信インターフェースである。
HDD192は、さまざまなプログラム及びデータを永続的に記憶する装置である。
ROM193は、情報処理装置190を動作させるためのプログラム及びデータを読み出し専用で格納する記憶媒体である。
RAM194は、さまざまなプログラム及びデータを一時的に格納する記憶媒体である。
CPU195は、情報処理装置190全体の動作を制御する装置である。
入力装置196は、操作の入力を受け付ける装置である。
表示装置197は、表示を行う装置である。
HDD192、ROM193及びRAM194は、プログラム及びデータを記憶する記憶部として機能する。CPU195は、HDD192、ROM193及びRAM194に記憶されているプログラムを実行することで、情報処理装置190を制御し、情報処理装置190での処理を行う制御部として機能する。
【0016】
図3は、操作パネル113を概略的に示す外観図である。
操作パネル113は、表示パネル113aと、上キー113bと、下キー113cと、設定キー113dと、戻るキー113eと、テンキー113fとを備える。
表示パネル113aは、既知の表示技術を用いて、文字及び画像を表示する。例えば、表示パネル113aは、LCD(Liquid Crystal Display)パネルで構成することができる。
上キー113bは、フォーカスを上方向へ移動する際に用いられるハードウェアキーである。
下キー113cは、フォーカスを下方向へ移動する際に用いられるハードウェアキーである。
設定キー113dは、設定操作に用いられるハードウェアキーである。戻るキー113eは、設定せずに戻る操作に用いられるハードウェアキーである。
テンキー113fは、数値入力に用いられるハードウェアキーである。
表示パネル113aは、表示部として機能し、上キー113b、下キー113c、設定キー113d、戻るキー113e及びテンキー113fは、操作部として機能する。
【0017】
図4は、利用者PC130の機能構成を概略的に示すブロック図である。
利用者PC130は、通信部131と、ユーザ認証処理部132と、プリンタドライバ部133と、記憶部134と、入力部135と、表示部136とを備える。
【0018】
通信部131は、ネットワーク180との間でデータの送受信を行う送信部及び受信部として機能する。
ユーザ認証処理部132は、既知の技術を用いて認証サーバ170と通信し、ユーザ認証を実施する。
プリンタドライバ部133は、画像を形成させるために画像形成装置110へ送信する送信データを生成するデータ生成部である。プリンタドライバ部133は、送信データに認証を行う際に使用される第1の認証情報を含める。例えば、プリンタドライバ部133は、入力部135で、委譲先識別情報の入力を受け付けた場合には、その委譲先識別情報を第1の認証情報として送信データを生成する。一方、プリンタドライバ部133は、入力部135で、委譲先識別情報の入力を受け付けていない場合には、記憶部に記憶されているユーザ識別情報を第1の認証情報として送信データを生成する。
記憶部134は、データ及びプログラムを記憶する。例えば、記憶部134は、ユーザ識別情報としてのログイン名LNと、送信データTDとを記憶する。ログイン名LNは、ユーザ認証処理部132において認証されたユーザのアカウント名である。
【0019】
図5は、送信データTDの第1例を示す概略図である。
送信データTD1は、後述するように、印刷出力(画像形成出力)を他の者に委譲しない場合の送信データTDである。
送信データTD1は、ジョブ開始コマンドTD01と、ジョブ種類TD02と、印刷形式TD03と、識別情報TD04と、作成者TD05と、作成時刻TD06と、印刷データ本体TD07と、ジョブ終了コマンドTD08とを備える。
【0020】
ジョブ開始コマンドTD01は、印刷ジョブ(画像形成ジョブ)を開始させるためのコマンドを示す。ジョブ種類TD02は、ジョブの種類を示す。印刷形式TD03は、印刷の形式(画像形成の形式)を示す。実施の形態1では、印刷形式には、印刷出力に認証を必要とするICカード認証印刷(ICカード認証画像形成)と、印刷出力に認証を必要としない通常印刷(通常画像形成)とが含まれる。識別情報TD04は、認証を行うための第1の認証情報を示す。作成者TD05は、送信データを作成したユーザのユーザ名(ログイン名)を示す。作成時刻TD06は、送信データを作成した時刻を示す。作成時刻TDには、送信データが作成された年月日が含まれていてもよい。印刷データ本体TD07は、印刷データの本体を示す。ジョブ終了コマンドTD08は、印刷ジョブを終了するためのコマンドを示す。
図5に示された送信データTD1は、識別情報TD04で示される第1の認証情報(Jiro Sato)と、作成者TD05で示されるユーザ名(Jiro Sato)とが同じである。これは、印刷出力時の認証を印刷データの作成者自身が受けることを示しており、印刷出力を他の者に委譲しないことを示している。
【0021】
図6は、送信データTDの第2例を示す概略図である。
図6に示されている送信データTD2は、後述するように、印刷出力を他の者に委譲する場合の送信データTDである。なお、
図6に示されている送信データTD2のデータ構造は、
図5に示されている送信データTD1と同様である。
ここで、
図6に示された送信データTD2は、識別情報TD04で示される第1の認証情報(Taro Yamada)と、作成者TD05で示されるユーザ名(Jiro Sato)とが異なっている。これは、印刷出力時の認証を印刷データの作成者とは異なる者が受けることを示しており、印刷出力を他の者に委譲することを示している。
【0022】
図4の説明に戻り、入力部135は、操作の入力を受け付ける。実施の形態1においては、入力部135は、画像形成出力の委譲先を示す委譲先識別情報の入力を受け付ける。
表示部136は、表示を行う。
【0023】
利用者PC130は、
図2に示されている情報処理装置190により実現することができる。例えば、通信部131は、NIC191により実現することができる。ユーザ認証処理部132及びプリンタドライバ部133は、HDD192又はROM193に記憶されている予め定められたプログラムをCPU195がRAM194に読み出して、実行することで実現することができる。記憶部134は、HDD192、ROM193又はRAM194により実現することができる。入力部135は、入力装置196により実現することができる。表示部136は、表示装置197により実現することができる。
【0024】
図7は、画像形成装置110の機能構成を概略的に示すブロック図である。
図7の括弧内の符号は、実施の形態2における構成を示している。
画像形成装置110は、読み取り部120と、画像形成部121と、表示操作部122と、記憶部123と、通信部124と、データ受信処理部125と、認証画像形成制御部126と、課金レポート画像形成制御部127とを備える。
【0025】
読み取り部120は、ICカードから情報を読み取る。実施の形態1においては、読み取り部120は、第2の認証情報を取得する取得部として機能する。
画像形成部は、紙等の記録媒体に画像を形成する。
表示操作部122は、画像を表示する表示部及び操作の入力を受け付ける操作部として機能する。
【0026】
記憶部123は、各種データを記憶する。例えば、実施の形態1においては、記憶部123は、印刷形式(画像形成形式)の指定を示す情報SDと、印刷データ(画像形成データ)PDと、課金データCDとを記憶する。印刷形式の指定を示す情報SDは、利用者PC130から送信されてきた情報である。印刷データPDは、利用者PC130から送信されてきた送信データTDを記憶部123に記憶したデータであり、その内容は送信データTDと同様である(
図5及び6参照)。課金データCDは、印刷結果(画像形成結果)に基づく課金情報を記録したデータである。印刷形式の指定を示す情報SD及び課金データCDについては、後において詳細に説明する。
通信部124は、ネットワーク180との間でデータの送受信を行う送信部及び受信部として機能する。
【0027】
データ受信処理部125は、通信部124を介して受信されたデータを処理する。例えば、データ受信処理部125は、通信部124を介して受信された印刷形式の指定を示す情報SDを記憶部123に記憶させる。また、データ受信処理部125は、通信部124を介して受信された送信データTDを、印刷データPDとして記憶部123に記憶させる。
認証画像形成制御部126は、印刷データPDに含まれている第1の認証情報を用いて認証を行い、この認証が成功した場合に、その印刷データPDに基づく画像形成を許可する認証部である。例えば、認証画像形成制御部126は、読み取り部120で読み取られた情報と対応する「識別情報」を持つ印刷データPDの印刷(画像形成)及び削除を制御する。また、認証画像形成制御部126は、印刷結果に基づいて課金データCDを生成して、記憶部123に記憶させる。
課金レポート画像形成制御部127は、記憶部123に記憶されている課金データCDから課金レポートを生成し、その印刷を制御する課金レポート作成部である。
【0028】
図7に示されている画像形成装置110の機能は、
図2に示されている画像形成装置110のハードウェアにより実現することができる。
例えば、読み取り部120は、カードリーダ111で実現できる。画像形成部121は、プリント装置112により実現することができる。表示操作部122は、操作パネル113により実現することができる。記憶部123は、HDD115、ROM117及びRAM118により実現することができる。なお、印刷データPD及び課金データCDは、HDD115内で永続的に保存されることが望ましい。通信部124は、NIC116により実現することができる。データ受信処理部125、認証画像形成制御部126及び課金レポート画像形成制御部127は、HDD115又はROM117に記憶されているプログラムをCPU119がRAM118に読み出して、実行することで実現することができる。
【0029】
(動作の説明)
以下、図面を参照しながら、画像形成システム100での動作について説明する。
【0030】
(デバイスの設定)
図8は、利用者PC130上で動作するプリンタドライバ部133におけるデバイス設定画面DSIの一例を示す概略図である。プリンタドライバ部133は、デバイス設定画面DSIを表示部136に表示させて、入力部135を介して入力された印刷形式の指定を取得する。
デバイス設定画面DSIにおける印刷形式の指定領域DSI1において、「すべての印刷形式を有効にする」設定が選択されると、プリンタドライバ部133は、すべての印刷形式を受け付けるように設定される。「ICカード認証印刷のみを有効にする」設定が選択されると、プリンタドライバ部133は、ICカード認証印刷のみを受け付け、それ以外の印刷形式は受け捨てるように設定される。プリンタドライバ部133は、以上のようにして設定された印刷形式の指定を示す情報を、通信部131に、画像形成装置110へと送信させる。画像形成装置110では、データ受信処理部125が、通信部124を介して受信された印刷形式の指定を示す情報SDを、記憶部123に記憶させる。
【0031】
(送信データTDの生成)
図9は、プリンタドライバ部133における送信データの生成処理を示すフローチャートである。例えば、
図9のフローチャートは、利用者PC130の入力部135が、印刷指示(画像形成指示)の入力を受け付けた場合に開始される。
【0032】
まず、プリンタドライバ部133は、「印刷形式」の設定が、「ICカード認証印刷」か否かを判断する(S10)。
例えば、入力部135が印刷指示の入力を受け付けると、プリンタドライバ部133は、表示部136に印刷設定画面(画像形成設定画面)を表示させる。
図10は、印刷設定画面の一例を示す概略図である。
図10に示されている印刷設定画面PSIでは、印刷形式領域PSI1において、印刷形式を選択することができる。そして、プリンタドライバ部133は、印刷形式領域PSI1において、「通常印刷」が選択された場合(S10:No)には、ICカードによる認証を行わない通常印刷の送信データを生成するために、ステップS15に処理を進める。一方、「ICカード認証印刷」が選択された場合(S10:Yes)には、プリンタドライバ部133は、ICカードによる認証を必要とするICカード認証印刷の送信データを生成するため、ステップS11に処理を進める。
【0033】
ステップS11では、プリンタドライバ部133は、「印刷出力委譲」の設定が「する」になっているか否かを判断する。
例えば、
図10に示されている印刷設定画面PSIにおいて「ICカード認証印刷」が選択された場合には、印刷出力の委譲を設定することができる。例えば、印刷出力委譲設定領域PSI2が選択されて、実行指示の入力が行われた場合には、印刷出力委譲設定画面が表示部136に表示される。
図11は、印刷出力委譲設定画面の一例を示す概略図である。
図11に示されている印刷出力委譲設定画面PDSIでは、印刷出力委譲領域PDSI1において、印刷出力の委譲をするか否かを設定することができる。そして、プリンタドライバ部133は、印刷出力委譲領域PDSI1において「する」が選択された場合(S11:Yes)には、ステップS12に処理を進める。一方、プリンタドライバ部133は、印刷出力委譲領域PDSI1において「しない」が選択された場合(S11:No)には、ステップS14に処理を進める。
【0034】
ステップS12では、プリンタドライバ部133は、「委譲先」が設定されているか否かを判断する。
例えば、
図11に示されている印刷出力委譲設定画面PDSIの委譲先領域PDSI2に委譲先のアカウント名が入力されて、OK領域PDSI3を選択した実行指示の入力を受けた場合(S12:Yes)には、プリンタドライバ部133は、ステップS13に処理を進める。一方、委譲先領域PDSI2に委譲先のアカウント名が入力されずに、OK領域PDSI3を選択した実行指示の入力を受けた場合(S12:No)には、プリンタドライバ部133は、ステップS14に処理を進める。
【0035】
ステップS13では、プリンタドライバ部133は、識別情報TD04として委譲先領域PDSI2に入力された内容を設定したICカード認証印刷用の送信データTD(
図6参照)を生成する。
【0036】
ステップS14では、プリンタドライバ部133は、識別情報TD04として、記憶部134に記憶されているログイン名LNを設定したICカード認証印刷用の送信データTD(
図5参照)を生成する。
【0037】
ステップS15では、プリンタドライバ部133は、印刷出力にICカードによる認証を必要としない通常印刷用の送信データTDを生成する。通常印刷用の送信データTDでは、図示されてはいないが、印刷形式TD03(
図5又は
図6参照)が「通常印刷」に設定されている。
【0038】
なお、プリンタドライバ部133は、ステップS13〜15の何れかで生成された送信データTDを記憶部134に記憶させる。また、通信部131は、プリンタドライバ部133からの指示に応じて、その送信データTDを画像形成装置110に送信する。
【0039】
(データの受信)
図12は、画像形成装置110のデータ受信処理部125がデータを受信した際の処理を示すフローチャートである。
図12のフローチャートは、データ受信処理部125が、通信部124を介して送信データTDを受信した際に開始される。
【0040】
まず、データ受信処理部125は、受信された送信データTDの印刷形式TD03が「ICカード認証印刷」を示すか否かを判断する(S20)。印刷形式TD03が「ICカード認証印刷」を示す場合(S20:Yes)には、処理はステップS21に進む。印刷形式TD03が「ICカード認証印刷」を示さない場合(S20:No)、言い換えると、印刷形式TD03が「通常印刷」を示す場合には、処理はステップS22に進む。
【0041】
ステップS21では、データ受信処理部125は、受信された送信データTDを印刷データPDとして記憶部123に格納させる。
【0042】
ステップS22では、データ受信処理部125は、印刷形式の指定が「すべての印刷形式を有効にする」であるか否かを判断する。上述のように、
図8に示されているデバイス設定画面DSIにおける印刷形式の指定領域DSI1において選択された印刷形式の指定を示す情報は、利用者PC130から予め送られてきている。このため、データ受信処理部125は、記憶部123に記憶されている印刷形式の指定を示す情報SDを確認する。印刷形式の指定が「すべての印刷形式を有効にする」である場合(S22:Yes)には、処理はステップS23に進む。印刷形式の指定が「すべての印刷形式を有効にする」でなはい場合(S22:No)、言い換えると、印刷形式の指定が「ICカード認証印刷のみを有効にする」である場合には、処理はS24に進む。
【0043】
ステップS23では、画像形成装置110は、受信された送信データTDを処理する。例えば、データ受信処理部125は、受信された送信データTDを印刷データPDとして画像形成部121に送る。画像形成部121は、与えられた印刷データに基づいて、印刷を行う。
ステップS24では、データ受信処理部125は、受信された送信データTDを受け捨てる。
【0044】
(印刷データの検索)
図13は、認証画像形成制御部126の印刷データ検索処理を示すフローチャートである。
図13に示されているフローチャートは、例えば、ICカード認証印刷の開始指示があった場合に開始される。ユーザは、例えば、読み取り部120でICカードを読み取り可能な状態にすることで、ICカード認証印刷の開始指示を行うことができる。
なお、ICカードには、利用者PC130におけるログイン名LNに対応する情報が記録されている。近年のオフィス環境において、社員証として社員番号が記録されたICカードを使用し、PCのアカウント名(ログイン名)にも社員番号を使用する構成が普及している。つまり、PCへの「ログイン名」と同じ情報が、ICカードにも記録されている。実施の形態1においては、ICカードに格納されているログイン名が第2の認証情報として用いられる。
【0045】
まず、読み取り部120は、ICカードに格納されている「ログイン名」を読み取る(S30)。読み取られた「ログイン名」は、認証画像形成制御部126に送られる。
【0046】
認証画像形成制御部126は、記憶部123に記憶されている印刷データPDの識別情報TD04を確認して、読み取られた「ログイン名」と対応(例えば、一致)する識別情報TD04を持つ印刷データPDが存在するか否かを判断する(S31)。そのような印刷データPDが存在する場合(S31:Yes)には、認証が成功したものとして、処理はステップS32に進む。そのような印刷データPDが存在しない場合(S31:No)には、認証が成功しなかったものとして、フローは終了する。そのような印刷データPDが存在せずにフローが終了した場合には、例えば、表示操作部122に表示されている画面は、
図14に示されている待機画面I01のまま遷移しない。
【0047】
ステップS32では、認証画像形成制御部126は、表示操作部122を制御することで、
図14に示されている待機画面I01から、
図14に示されているジョブ検出画面I02へと、表示操作部122に表示されている画面を遷移させる。
【0048】
(ICカード認証印刷の実行)
表示操作部122に、
図14に示されているジョブ検出画面I02が表示されている状態で、操作パネル113(
図3参照)の上下キー113b、113cを押下することで、ユーザは「印刷実行」と「ジョブ削除」とを選択することができる。
そして、
図14に示されているジョブ検出画面I02において「印刷実行」にフォーカスが当った状態で設定キー113dが押下されると、認証画像形成制御部126は、
図13のステップS31で検出された印刷データPDを画像形成部121に送り、印刷を実行させる。このような場合には、認証画像形成制御部126は、表示操作部122に表示されている画面を、
図14に示されているジョブ検出画面I02から、印刷中画面I03に遷移させる。
一方、
図14に示されているジョブ検出画面I02において「ジョブ削除」にフォーカスが当った状態で設定キー113dが押下されると、認証画像形成制御部126は、表示操作部122に表示されている画面を、
図14に示されているジョブ検出画面I02から、
図14に示されている削除確認画面I04に遷移させる。
表示操作部122に、
図14に示されている削除確認画面I04が表示されている状態で、操作パネル113の上下キー113b、113cを押下することで、ユーザは「はい」(削除に同意)と「いいえ」(削除に非同意)とを選択することができる。
そして、
図14に示されている削除確認画面I04において「はい」にフォーカスが当った状態で設定キー113dが押下されると、認証画像形成制御部126は、
図13のステップS31で検出された印刷データPDを削除する。このような場合には、認証画像形成制御部126は、表示操作部122に表示されている画面を、
図14に示されている削除確認画面I04から、削除中画面I05に遷移させる。
【0049】
(印刷の完了)
図15は、認証画像形成制御部126の印刷完了時の処理を示すフローチャートである。
図15に示されているフローチャートは、画像形成部121での印刷が完了した場合に開始される。
【0050】
認証画像形成制御部126は、印刷完了後、画像形成部121から、記録媒体のサイズ、印刷した色及び排出枚数を含む印刷完了情報を取得する(S40)。
さらに、認証画像形成制御部126は、印刷が完了した印刷データPDから識別情報TD04を取得する(S41)。
そして、認証画像形成制御部126は、識別情報TD04を「利用者」として、課金データCDを生成し、その課金データCDを記憶部123に記憶させる(S42)。
【0051】
課金データCDの生成について、
図16及び17を用いて、詳細に説明する。
図16は、記憶部123に記憶されている印刷データPDから抽出された、識別情報TD04、作成者TD05及び作成時刻TD06の一覧表である。
図16において、ID=04の印刷データPDは、
図5に示されている送信データTD1に対応し、ID=5の印刷データPDは、
図6に示されている送信データTD2に対応する。
「Taro Yamada」を「ログイン名」とするICカードが読み取り部120で読み取られた場合、
図16に示すように、識別情報TD04として「Taro Yamada」を持つID=2、3及び5の印刷データPDが印刷対象となる。
図17は、これらの印刷データPDの印刷が完了した結果、認証画像形成制御部126が生成する課金データCD1を示す概略図である。課金データCD1では、印刷が完了した印刷データPDの識別情報TD04が「利用者」として格納されている。言い換えると、印刷出力を実施した利用者が課金対象となっている。課金額は、
図15のステップS40で取得された印刷完了情報で示されるサイズ、色及び枚数に基づいて決められる。
【0052】
(課金データの印刷)
図18は、課金レポートの印刷を行う際に、表示操作部122に表示される画面の遷移を示す概略図である。
図18に示されている待機画面I01が表示操作部122に表示されている状態で、操作パネル113(
図3参照)の設定キー113dが押下されると、表示操作部122に表示されている画面は、
図18に示されている機能設定画面I06へ遷移する。
図18に示されている機能設定画面I06において、上下キー113b、113cを押下することで、ユーザは、「管理者メニュー」、「プリンタ調整」、「代替認証印刷」及び「課金レポート印刷」を選択することができる。そして、
図18に示されている機能設定画面I06において、「課金レポート印刷」にフォーカスが当てられた状態で設定キー113dが押下されると、表示操作部122に表示されている画面は、
図18に示されている印刷中画面I07へ遷移する。そして、課金レポート画像形成制御部127は、記憶部123に記憶されている課金データCDに格納されている情報を予め定められた形式にすることで、課金レポートを生成する。課金レポート画像形成制御部127は、生成された課金レポートを画像形成部121に送り、その印刷を行わせる。
【0053】
図19は、課金レポート印刷結果の一例を示す概略図である。
図19に示されている課金レポートCP1は、
図17に示されている課金データCD1に基づいて印刷されたものである。
【0054】
以上のように、実施の形態1に係る画像形成システム100によれば、利用者PC130のプリンタドライバ部133において、印刷出力の委譲先を指定することができるようにすることで、印刷出力を別の利用者に委譲することができる。
【0055】
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明する。
【0056】
(構成の説明)
図1に示されているように、実施の形態2に係る画像形成システム200は、画像形成装置210と、利用者PC130と、管理者PC150と、認証サーバ170とを備える。実施の形態2に係る画像形成システム200は、画像形成装置210において、実施の形態1に係る画像形成システム100と異なっている。なお、実施の形態2における画像形成装置210のハードウェア構成は
図2に示されている画像形成装置110のハードウェア構成と同様である。
【0057】
図7に示されているように、実施の形態2における画像形成装置210は、読み取り部120と、画像形成部121と、表示操作部122と、記憶部123と、通信部124と、データ受信処理部125と、認証画像形成制御部226と、課金レポート画像形成制御部127とを備える。実施の形態2における画像形成装置210は、認証画像形成制御部226での処理において、実施の形態1における画像形成装置110と異なっている。
【0058】
実施の形態2における認証画像形成制御部226は、実施の形態1における認証画像形成制御部126とほぼ同様の処理を行うが、印刷完了時の課金データの生成処理において、実施の形態1における認証画像形成制御部126と異なっている。
【0059】
(動作の説明)
実施の形態2に係る画像形成システム200での動作は、実施の形態1における画像形成システム100での動作とほぼ同様であるが、印刷完了時の処理が異なっているため、以下、印刷完了時の処理について説明する。
【0060】
(印刷の完了)
図20は、認証画像形成制御部226の印刷完了時の処理を示すフローチャートである。
図20に示されているフローチャートは、画像形成部121での印刷が完了した場合に開始される。
【0061】
認証画像形成制御部226は、印刷完了後、画像形成部121から、記録媒体のサイズ、印刷した色及び排出枚数を含む印刷情報を取得する(S50)。
さらに、認証画像形成制御部226は、印刷が完了した印刷データPDから作成者TD05を取得する(S51)。
そして、認証画像形成制御部226は、作成者TD05を「利用者」として、課金データCDを生成し、その課金データCDを記憶部123に記憶させる(S52)。
【0062】
課金データCDの生成について、
図16及び21を用いて、詳細に説明する。
「Taro Yamada」を「ログイン名」とするICカードが読み取り部120で読み取られた場合、
図16に示すように、識別情報TD04として「Taro Yamada」を持つID=2、3及び5の印刷データPDが印刷対象となる。
図21は、これらの印刷データPDの印刷が完了した結果、認証画像形成制御部226が生成する課金データCD2を示す概略図である。課金データCD2では、印刷が完了した印刷データPDの作成者TD05が「利用者」として格納されている。言い換えると、印刷出力を委譲した委譲元の利用者が課金対象となっている。
【0063】
図22は、課金レポート印刷結果の一例を示す概略図である。
図22に示されている課金レポートCP2は、
図21に示されている課金データCD2に基づいて印刷されたものである。
【0064】
以上のように実施の形態2によれば、印刷出力の委譲元に課金することにより、委譲先に意図しない課金が発生し、損害を被ることを防止することができる。
【0065】
実施の形態3.
以下、実施の形態3について説明する。
【0066】
(構成の説明)
図1に示されているように、実施の形態3に係る画像形成システム300は、画像形成装置310と、利用者PC130と、管理者PC350と、認証サーバ170とを備える。実施の形態3に係る画像形成システム300は、画像形成装置310及び管理者PC350において、実施の形態1に係る画像形成システム100と異なっている。なお、実施の形態3における画像形成装置310のハードウェア構成は、
図2に示されている画像形成装置110のハードウェア構成と同様であり、実施の形態3における管理者PC350のハードウェア構成は、
図2に示されている情報処理装置190と同様である。
【0067】
図23は、画像形成装置310の機能構成を概略的に示すブロック図である。
実施の形態3における画像形成装置310は、読み取り部120と、画像形成部121と、表示操作部122と、記憶部323と、通信部124と、データ受信処理部325と、認証画像形成制御部326と、課金レポート画像形成制御部127とを備える。実施の形態3における画像形成装置310は、記憶部323に記憶されるデータの点、並びに、データ受信処理部325及び認証画像形成制御部326での処理の点において、実施の形態1における画像形成装置110と異なっている。
【0068】
記憶部323は、実施の形態1と同様に、印刷形式の指定を示す情報SDと、印刷データPD及び課金データCDを記憶するほか、実施の形態1とは異なり、対応表CTを記憶する。なお、対応表CTは、HDD115内で永続的に保存されるのが望ましい。
対応表CTは、認証印刷に用いる情報間の対応関係を定義するデータである。
図24は、対応表CTの一例を示す概略図である。対応表CTは、ログイン名欄CT1と、ICカード識別情報欄CT2と、PIN欄CT3とを有する。
ログイン名欄CT1は、ログイン名を格納する。ログイン名欄CT1に格納されているログイン名は、第2の認証情報ともいう。
ICカード識別情報欄CT2は、ログイン名欄CT1に格納されているログイン名で特定されるユーザが有するICカードを唯一に特定できるICカード識別情報を格納する。なお、実施の形態1及び2においては、ICカードには、ログイン名が格納されていたが、実施の形態3においては、ICカードには、ログイン名とは異なるICカード識別情報が格納されている。ICカード識別情報は、第1の識別情報ともいう。
PIN欄CT3は、ログイン名欄CT1に格納されているログイン名で特定されるユーザを識別するための個人識別情報としてのPIN(Personal Identification Number)を格納する。PINは、第2の識別情報ともいう。
【0069】
図23に戻り、データ受信処理部325は、実施の形態1と同様の処理を行う他、管理者PC350から送られてきた対応表ダウンロードデータを、通信部124を介して受信し、そのデータから対応表CTを生成して、生成された対応表CTを記憶部323に記憶させる。
【0070】
認証画像形成制御部326は、読み取り部120で読み取られたICカード識別情報に対応するログイン名を対応表CTから特定し、特定されたログイン名と対応(例えば、一致)する「識別情報」を持つ印刷データPDの印刷及び削除を制御する。また、認証画像形成制御部326は、表示操作部122を介して入力されたPINに対応するログイン名を対応表CTから特定し、特定されたログイン名と対応(例えば、一致)する「識別情報」を持つ印刷データPDの印刷及び削除を制御する。
【0071】
図25は、実施の形態3における管理者PC350の機能構成を概略的に示すブロック図である。
管理者PC350は、通信部351と、対応表作成ツール352と、記憶部353と、入力部354と、表示部355とを備える。
【0072】
通信部351は、ネットワーク180との間でデータの送受信を行う送信部及び受信部として機能する。
対応表作成ツール352は、対応表CTを作成する対応表作成部である。
記憶部353は、プログラム及びデータを記憶する。例えば、記憶部353は、対応表ダウンロードデータCTDを記憶する。対応表ダウンロードデータCTDは、対応表作成ツール352で定義された情報を、ネットワーク180を介して、画像形成装置110へダウンロードするためのデータである。
入力部354は、操作の入力を受け付ける。
表示部355は、表示を行う。
【0073】
管理者PC350は、
図2に示されている情報処理装置190により実現することができる。例えば、通信部351は、NIC191により実現することがでる。対応表作成ツール352は、HDD192又はROM193に記憶されている予め定められたプログラムをCPU195がRAM194に読み出して、実行することで実現することができる。記憶部353は、HDD192、ROM193又はRAM194により実現することができる。入力部354は、入力装置196により実現することができる。表示部355は、表示装置197により実現することができる。
【0074】
(動作の説明)
実施の形態3に係る画像形成システム300での動作は、実施の形態1における画像形成システム100での動作とほぼ同様であるが、対応表CTを作成する処理及び代替認証印刷を実行する処理が必要となる点、並びに、データを受信する処理及び印刷データPDを検索する処理が異なっているため、以下、これらの処理について説明する。
【0075】
(対応表の作成)
実施の形態3においては、ICカードには、利用者PC130における「ログイン名」に対応する情報は記録されていない。但し、すべてのICカードには、ICカードを唯一に特定できる「ICカード識別情報」が記録されている。なお、実施の形態3では、読み取り部120は、ICカードから「ICカード識別情報」を取得する取得部として機能する。そこで、対応表作成ツール352において、利用者PC130における「ログイン名」と「ICカード識別情報」との対応関係を定義する。さらに、画像形成装置310の表示操作部122にPINが入力されることにより、ICカードを使用せずに認証印刷を実施する「代替認証印刷」を可能にするために、管理者PC350の対応表作成ツール352は、「ログイン名」と「PIN」との対応関係も定義する。
対応表作成ツール352は、表示部355に対応表作成画面を表示させ、入力部354を介して必要な情報の入力を受け付けることで、対応表ダウンロードデータCTDを作成する。
図26は、対応表作成画面の一例を示す概略図である。
対応表作成画面I08は、ログイン名入力領域I081と、ICカード識別情報入力領域I082と、PIN入力領域I083とを有する。そして、これらの領域の同じ行(レコード)に、それぞれ対応付ける「ログイン名」、「ICカード識別情報」及び「PIN」が入力され、送信ボタンI084が押下されると、対応表作成ツール352は、入力された情報に基づいて対応表ダウンロードデータCTDを作成して、記憶部353に記憶させる。そして、対応表作成ツール352は、記憶された対応表ダウンロードデータCTDを、通信部351に画像形成装置310へ送信させる。
図27は、対応表ダウンロードデータCTDの一例を示す概略図である。対応表ダウンロードデータCTDでは、「ジョブ種別」が「対応表ダウンロードデータ」で有ることが示され、さらに、各レコード毎に、対応する「ログイン名」、「ICカード識別情報」及び「PIN」が示されている。
【0076】
(データの受信)
図28は、画像形成装置310のデータ受信処理部325がデータを受信した際の処理を示すフローチャートである。
図28のフローチャートは、画像形成装置310のデータ受信処理部325が、通信部124を介してデータを受信した際に開始される。
【0077】
まず、データ受信処理部325は、受信されたデータが対応表ダウンロードデータCTDであるか否かを判断する(S60)。例えば、データ受信処理部325は、受信されたデータの「ジョブ種別」が「対応表ダウンロードデータ」であるか否かで、この判断を行う。受信されたデータが対応表ダウンロードデータCTDである場合(S60:Yes)には、処理はS61に進む。受信されたデータが対応表ダウンロードデータCTDではない場合(S60:No)、言い換えると、受信されたデータが送信データTDである場合には、処理はステップS62に進む。
【0078】
ステップS61では、データ受信処理部325は、受信された対応表ダウンロードデータCTDから対応表CTを生成して、この対応表CTを記憶部323に記憶させる。
【0079】
ステップS62では、データ受信処理部325は、受信された送信データTDの印刷形式TD03が「ICカード認証印刷」を示すか否かを判断する。印刷形式TD03が「ICカード認証印刷」を示す場合(S62:Yes)には、処理はステップS63に進む。印刷形式TD03が「ICカード認証印刷」を示さない場合(S62:No)、言い換えると、印刷形式TD03が「通常印刷」を示す場合には、処理はステップS64に進む。
【0080】
ステップS63では、データ受信処理部325は、受信された送信データTDを印刷データPDとして記憶部323に格納させる。
【0081】
ステップS64では、データ受信処理部325は、印刷形式の指定が「すべての印刷形式を有効にする」であるか否かを判断する。印刷形式の指定が「すべての印刷形式を有効にする」である場合(S64:Yes)には、処理はステップS65に進む。印刷形式の指定が「すべての印刷形式を有効にする」でなはい場合(S64:No)、言い換えると、印刷形式の指定が「ICカード認証印刷のみを有効にする」である場合には、処理はS66に進む。
【0082】
ステップS65では、画像形成装置310は、受信された送信データTDを処理する。例えば、データ受信処理部325は、受信された送信データTDを印刷データPDとして画像形成部121に送る。画像形成部121は、与えられた印刷データPDに基づいて、印刷を行う。
ステップS66では、データ受信処理部325は、受信された送信データTDを受け捨てる。
【0083】
(ICカード認証印刷時の印刷データの検索)
図29は、認証画像形成制御部326のICカード認証印刷時の印刷データ検索処理を示すフローチャートである。
図29に示されているフローチャートは、例えば、ICカード認証印刷の開始指示があった場合に開始される。
【0084】
まず、読み取り部120は、ICカードに格納されている「ICカード識別情報」を読み取る(S70)。読み取られた「ICカード識別情報」は、認証画像形成制御部326に送られる。
【0085】
認証画像形成制御部326は、ICカードから読み取られたICカード識別情報に対応する「ログイン名」が対応表CTに記憶されているか否かを判断する(S71)。そのような「ログイン名」が記憶されている場合(S71:Yes)には、処理はステップS72に進む。そのような「ログイン名」が記憶されていない場合(S71:No)には、フローは終了する。
【0086】
ステップS72では、認証画像形成制御部326は、ICカードから読み取られたICカード識別情報に対応する「ログイン名」を対応表CTから取得する。
そして、認証画像形成制御部326は、記憶部323に記憶されている印刷データPDの識別情報TD04を確認して、取得された「ログイン名」と対応(例えば、一致)する識別情報TD04を持つ印刷データPDが存在するか否かを判断する(S73)。そのような印刷データPDが存在する場合(S73:Yes)には、処理はステップS74に進み、そのような印刷データPDが存在しない場合(S73:No)にはフローは終了する。そのような印刷データPDが存在せずにフローが終了した場合には、例えば、表示操作部122に表示されている画面は、
図14に示されている待機画面I01のまま遷移しない。
【0087】
ステップS74では、認証画像形成制御部326は、表示操作部122を制御することで、印刷ジョブが検出されたことを通知する画面(例えば、
図14に示されているジョブ検出画面I02)を表示させる。なお、検出された印刷ジョブを実行する際の動作は、
図14を用いて説明した実施の形態1での動作と同様である。
【0088】
例えば、記憶部323に記憶されている印刷データPDから抽出された、識別情報TD04、作成者TD05及び作成時刻TD06が
図16に示されている一覧表のようになっているとする。このような状態で、読み取り部120が「xxxxxxxxxx」の「ICカード識別情報」を読み取った場合、
図24に示されている対応表CTから、「Jiro Sato」の「ログイン名」が取得される。このため、
図16に示すように、識別情報TD04として「Jiro Sato」を持つID=1及び4の印刷データPDが印刷対象となる。
【0089】
(代替認証印刷の印刷データ検索)
図30は、認証画像形成制御部326の代替認証印刷時の印刷データ検索処理を示すフローチャートである。
図30に示されているフローチャートは、例えば、表示操作部122が代替認証印刷の開始指示の入力を受けた場合に開始される。
【0090】
認証画像形成制御部326は、表示操作部122を介して、PINの入力を受け付ける(S80)。
【0091】
認証画像形成制御部326は、入力されたPINに対応する「ログイン名」が対応表CTに記憶されているか否かを判断する(S81)。そのような「ログイン名」が記憶されている場合(S81:Yes)には、処理はステップS82に進む。そのような「ログイン名」が記憶されていない場合(S81:No)には、フローは終了する。
【0092】
ステップS82では、認証画像形成制御部326は、入力されたPINに対応する「ログイン名」を対応表CTから取得する。
そして、認証画像形成制御部326は、記憶部323に記憶されている印刷データPDの識別情報TD04を確認して、取得された「ログイン名」と対応(例えば、一致)する識別情報TD04を持つ印刷データPDが存在するか否かを判断する(S83)。そのような印刷データPDが存在する場合(S83:Yes)には、処理はステップS84に進み、そのような印刷データPDが存在しない場合(S83:No)にはフローは終了する。
【0093】
ステップS84では、認証画像形成制御部326は、表示操作部122を制御することで、印刷ジョブが検出されたことを通知する画面を表示させる。
【0094】
(代替認証印刷の実行)
図31に示されている待機画面I01が表示操作部122に表示されている状態で、操作パネル113(
図3参照)の設定キー113dが押下されると、表示操作部122に表示されている画面は、
図31に示されている機能設定画面I06へ遷移する。
図31に示されている機能設定画面I06において、上下キー113b、113cを押下することで、ユーザは、「管理者メニュー」、「プリンタ調整」、「代替認証印刷」及び「課金レポート印刷」を選択することができる。そして、
図31に示されている機能設定画面I06において、「代替認証印刷」にフォーカスが当てられた状態で設定キー113dが押下されると、表示操作部122に表示されている画面は、
図31に示されているPIN入力画面I09へ遷移する。
図31に示されているPIN入力画面I09において、PINが入力された状態で、設定キー113dが押下されると、表示操作部122に表示されている画面は、
図31に示されているジョブ検出画面I02へ遷移する。
表示操作部122に、
図31に示されているジョブ検出画面I02が表示されている状態で、操作パネル113の上下キー113b、113cを押下することで、ユーザは「印刷実行」と「ジョブ削除」とを選択することができる。
そして、
図31に示されているジョブ検出画面I02において「印刷実行」にフォーカスが当った状態で設定キー113dが押下されると、認証画像形成制御部326は、
図30のステップS83で検出された印刷データPDを画像形成部121に送り、印刷を実行させる。このような場合には、認証画像形成制御部326は、表示操作部122に表示されている画面を、
図31に示されているジョブ検出画面I02から、印刷中画面I03に遷移させる。
一方、
図31に示されているジョブ検出画面I02において「ジョブ削除」にフォーカスが当った状態で設定キー113dが押下されると、認証画像形成制御部126は、表示操作部122に表示されている画面を、
図31に示されているジョブ検出画面I02から、
図31に示されている削除確認画面I04に遷移させる。
表示操作部122に、
図31に示されている削除確認画面I04が表示されている状態で、操作パネル113の上下キー113b、113cを押下することで、ユーザは「はい」(削除に同意)と「いいえ」(削除に非同意)とを選択することができる。
そして、
図31に示されている削除確認画面I04において「はい」にフォーカスが当った状態で設定キー113dが押下されると、認証画像形成制御部326は、
図30のステップS83で検出された印刷データPDを削除する。このような場合には、認証画像形成制御部326は、表示操作部122に表示されている画面を、
図31に示されている削除確認画面I04から、削除中画面I05に遷移させる。
なお、
図30のステップS81又はS83でNoと判断され、フローが終了した場合には、
図31に示されている待機画面I01の表示が維持される。
【0095】
例えば、記憶部323に記憶されている印刷データPDから抽出された、識別情報TD04、作成者TD05及び作成時刻TD06が
図16に示されている一覧表のようになっているとする。このような状態で、表示操作部122に「123456」の「PIN」が入力された場合、
図24に示されている対応表CTから、「Jiro Sato」の「ログイン名」が取得される。このため、
図16に示すように、識別情報TD04として「Jiro Sato」を持つID=1及び4の印刷データPDが印刷対象となる。
【0096】
以上のように実施の形態3に係る画像形成システム300によれば、プリンタドライバ部133において印刷出力の委譲先を指定可能にすることにより、印刷出力を別の利用者に委譲することが可能となる。この時、ユーザは、PINを用いて認証を行うこともできるため、より利便性が高まる。
【0097】
実施の形態4.
以下、実施の形態4について説明する。
【0098】
(構成の説明)
図1に示されているように、実施の形態4に係る画像形成システム400は、画像形成装置410と、利用者PC130と、管理者PC350と、認証サーバ170とを備える。実施の形態4に係る画像形成システム400は、画像形成装置410において、実施の形態3に係る画像形成システム300と異なっている。なお、実施の形態4における画像形成装置410のハードウェア構成は、
図2に示されている画像形成装置110のハードウェア構成と同様である。
【0099】
図32は、画像形成装置410の機能構成を概略的に示すブロック図である。
実施の形態4における画像形成装置410は、読み取り部120と、画像形成部121と、表示操作部122と、記憶部423と、通信部124と、データ受信処理部325と、認証画像形成制御部426とを備える。実施の形態4における画像形成装置410は、記憶部423に記憶されるデータの点、認証画像形成制御部426での処理の点、並びに、計時部428がさらに設けられている点において、実施の形態3における画像形成装置310と異なっている。
【0100】
記憶部423は、実施の形態3と同様に、印刷形式の指定を示す情報SDと、印刷データPD、課金データCD及び対応表CTを記憶するほか、実施の形態3とは異なり、代替認証可能期限情報TIを記憶する。なお、代替認証可能期限情報TIは、HDD115内で永続的に保存されるのが望ましい。
【0101】
代替認証可能期限情報TIは、PIDを用いて認証を行う代替認証印刷(代替認証画像形成)の実施可能な期限を定義するデータである。
図33は、代替認証可能期限情報TIの一例を示す概略図である。代替認証可能期限情報TIは、作成時間帯欄TI1と、代替認証可能期限欄TI2とを有する。
作成時間帯欄TI1は、印刷データPDの作成時間帯を格納する。
代替認証可能期限欄TI2は、作成時間帯欄TI1内に作成された印刷データPDをPIDを用いて認証を行う代替認証を行うことができる期限を示す。この期限の始期は、例えば、印刷データPDの作成時刻TD06である。
図33に示すように、代替認証可能期限情報TIは、予め定められた時間帯毎に予め定められた期限を示す期限情報である。
【0102】
図32に戻り、認証画像形成制御部426は、読み取り部120で読み取られたICカード識別情報に対応するログイン名を対応表CTから特定し、特定されたログイン名と対応(例えば、一致)する「識別情報」を持つ印刷データPDの印刷及び削除を制御する。また、認証画像形成制御部326は、表示操作部122を介して入力されたPINに対応するログイン名を対応表CTから特定し、特定されたログイン名と対応(例えば、一致)する「識別情報」を持つ印刷データPDを特定する。そして、認証画像形成制御部326は、特定された印刷データPDの作成時刻TD06から現在までの時間が、特定された印刷データPDの作成時刻TD06に対応する代替認証可能期限内である場合には、特定された印刷データPDの印刷又は削除を行う。
【0103】
計時部428は、時間を計測する。計時部428で計測された時間を現在の時刻とする。なお、計時部428は、
図2に示されているRTC114で実現することができる。
【0104】
(動作の説明)
実施の形態4に係る画像形成システム400での動作は、実施の形態3における画像形成システム300での動作とほぼ同様であるが、代替認証印刷の印刷データPDを検索する処理が異なっているため、以下、この処理について説明する。
【0105】
(代替認証印刷の印刷データ検索)
図34は、認証画像形成制御部426の代替認証印刷時の印刷データ検索処理を示すフローチャートである。
図34に示されているフローチャートは、例えば、表示操作部122が代替認証印刷の開始指示の入力を受けた場合に開始される。
【0106】
認証画像形成制御部426は、表示操作部122を介して、PINの入力を受け付ける(S90)。
【0107】
認証画像形成制御部326は、入力されたPINに対応する「ログイン名」が対応表CTに記憶されているか否かを判断する(S91)。そのような「ログイン名」が記憶されている場合(S91:Yes)には、処理はステップS92に進む。そのような「ログイン名」が記憶されていない場合(S91:No)には、フローは終了する。
【0108】
ステップS92では、認証画像形成制御部426は、入力されたPINに対応する「ログイン名」を対応表CTから取得する。
そして、認証画像形成制御部426は、記憶部423に記憶されている印刷データPDの識別情報TD04を確認して、取得された「ログイン名」と対応(例えば、一致)する識別情報TD04を持つ印刷データPDが存在するか否かを判断する(S93)。そのような印刷データPDが存在する場合(S93:Yes)には、処理はステップS94に進み、そのような印刷データPDが存在しない場合(S93:No)にはフローは終了する。
【0109】
ステップS94では、認証画像形成制御部426は、ステップS93で検出された印刷データPDが代替認証可能期限内のものであるか否かを判断する。例えば、認証画像形成制御部426は、代替認証可能期限情報TIを参照することで、検出された印刷データPDの作成時刻TD06が含まれる作成時間帯に対応する代替認証可能期限を特定する。認証画像形成制御部426は、計時部428から現在の時刻を取得する。そして、認証画像形成制御部426は、検出された印刷データPDの作成時刻TD06から現在の時刻までの経過時間が、特定された代替認証可能期限内であるか否かを判断する。検出された印刷データPDが代替認証可能期限内のものである場合(S94:Yes)には、処理はステップS95に進み、検出された印刷データPDが代替認証可能期限内のものではない場合(S94:No)には、フローは終了する。
【0110】
ステップS95では、認証画像形成制御部426は、表示操作部122を制御することで、印刷ジョブが検出されたことを通知する画面を表示させる。なお、検出された印刷ジョブを実行する際の動作は、
図31を用いて説明した実施の形態3での動作と同様である。
【0111】
例えば、記憶部423に記憶されている印刷データPDから抽出された、識別情報TD04、作成者TD05及び作成時刻TD06が
図16に示されている一覧表のようになっているとする。このような状態で、表示操作部122に「123456」の「PIN」が入力された場合、
図24に示されている対応表CTから、「Jiro Sato」の「ログイン名」が取得される。このため、
図16に示すように、識別情報TD04として「Jiro Sato」を持つID=1及び4の印刷データPDが印刷対象となる。
図16によれば、ID=1の印刷データPDの作成時刻TD06は、「9:12:00」すなわち9時12分00秒であり、ID=4の印刷データPDの作成時刻TD06は、「12:15:30」すなわち12時15分30秒である。
図33に示されている代替認証可能期限情報TIによると、ID=1の印刷データPDの作成時刻(9:12:00)は、「8:00:01〜12:00:00」の「作成時間帯」に含まれるため、その「代替認証可能期限」は、作成時刻TD06から「00:10:00」すなわち10分間である。従って、ID=1の印刷データPDは、「9:22:00」までは代替認証可能である。同様に、ID=4の印刷データPDの作成時刻TD06は、「12:15:30」であるので、
図33に示されている代替認証可能期限情報TIによると、「12:00:01〜13:00:00」の「作成時間帯」に含まれる。従って、ID=4の印刷データPDの「代替認証可能期限」は、作成時刻から「01:00:00」すなわち1時間である。つまり、ID=4の印刷データPDは、「13:15:30」までは代替認証可能である。計時部428から取得された現在の時刻が13時ちょうどであった場合、ID=1の印刷データPDは代替認証可能期限外であり、ID=4の印刷データPDは代替認証可能期限内である。よって、ID=4の印刷データのみが印刷対象となる。
【0112】
なお、代替認証可能期限情報TIについては、例えば、表示操作部122を介して、変更することもできる。また、代替認証可能期限情報TIは、管理者PC350で作成されて、画像形成装置410に記憶されてもよい。
【0113】
代替認証印刷は、ICカードを忘れた時の非常手段として便利な機能であるが、PINの漏洩などを考慮するとセキュリティの低い機能である。
以上のように、実施の形態4によれば、表示操作部122からのPIN入力による代替認証印刷に期限を設けることにより、委譲先ではない利用者による間違った印刷出力を低減するという効果が得られる。
【0114】
実施の形態1〜4において、送信データTD及び印刷データPDの暗号化については言及されていないが、これらが暗号化されていてもよい。例えば、「識別情報」を暗号鍵として、プリンタドライバ部133が送信データTDを暗号化し、認証画像形成制御部126、226、326、426が印刷データPDを復号してもよい。
【0115】
実施の形態1〜4において、認証媒体としてICカードのような非接触型カードを使用する例について説明したが、USBメモリ等のUSBデバイスで代用することも可能である。
【0116】
実施の形態1〜4では、画像形成装置110、210、310、410として印刷機能のみを持つプリンタに適用した例を説明したが、印刷機能に加えてスキャン機能やファックス機能等を持つ複合機にも、本発明は適用可能である。