特許第5847145号(P5847145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847145
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】薬剤登録装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20151224BHJP
   G06Q 50/24 20120101ALI20151224BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   G06Q50/22 100
   G06Q50/24 130
   A61J3/00 310K
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-197336(P2013-197336)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-64672(P2015-64672A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2014年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】釜本 俊一朗
(72)【発明者】
【氏名】村田 俊英
(72)【発明者】
【氏名】守田 立
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 宏一
(72)【発明者】
【氏名】野沢 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真紀
(72)【発明者】
【氏名】大熊 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】松井 潮美
(72)【発明者】
【氏名】熊井 芳昭
(72)【発明者】
【氏名】中島 泰浩
【審査官】 貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−284760(JP,A)
【文献】 特開平07−039573(JP,A)
【文献】 特開2002−163357(JP,A)
【文献】 特開平10−261018(JP,A)
【文献】 特開2005−165411(JP,A)
【文献】 特開2008−077506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 50/34
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を入力するマイクと、
前記マイクから入力された音声から薬剤に関する情報を認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段が認識した薬剤を記憶する第一記憶手段と、
薬剤を識別する情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った薬剤を記憶する第二記憶手段と、
前記第二記憶手段に記憶されている薬剤と、前記第一記憶手段に記憶されている薬剤とに差分が有るか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第二記憶手段には記憶されているが前記第一記憶手段には記憶されていない薬剤があると判定した場合に、薬剤の一覧の該当する薬剤に、音声がないことを示すマークを付加することで報知する報知手段と、
を備えた薬剤登録装置。
【請求項2】
前記報知手段は、前記第一記憶手段に記憶されているが前記第二記憶手段には記憶されていない薬剤が有ることを示す報知画面を表示して報知する、
請求項に記載の薬剤登録装置。
【請求項3】
前記報知手段は、報知画面において、前記第一記憶手段に記憶されているが前記第二記憶手段には記憶されていない薬剤を列挙する、
請求項に記載の薬剤登録装置。
【請求項4】
音声を入力するマイクを備えたコンピュータを、
前記マイクから入力された音声から薬剤に関する情報を認識する音声認識手段と、
前記音声認識手段が認識した薬剤を記憶する第一記憶手段と、
薬剤を識別する情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った薬剤を記憶する第二記憶手段と、
前記第二記憶手段に記憶されている薬剤と、前記第一記憶手段に記憶されている薬剤とに差分が有るか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記第二記憶手段には記憶されているが前記第一記憶手段には記憶されていない薬剤があると判定した場合に、薬剤の一覧の該当する薬剤に、音声がないことを示すマークを付加することで報知する報知手段と、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、薬剤登録装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤の取り違い等の過誤の発生を防止するために幾つかのシステムが提案されている。例えば、特許文献1記載のシステムにおいては、投薬しようとしている薬剤の容器に付されたバーコードで特定される薬剤情報と、投薬すべき薬剤の情報とを照合し、薬剤の誤使用を防止している。
【0003】
手術室においては、看護師が、手術で使用された薬剤の空容器を手術後に集め、使用薬剤についての集計結果を伝票に手作業で記入し、医師の承認を得た後、伝票を医事課へ提出する作業を行っていた。そこで、装置によって使用薬剤を記録する手法が考えられる。
【0004】
しかしながら、装置を用いて使用薬剤を登録した場合であっても医師の承認は必須であるため、医師の確認作業による負担は軽減していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、医師の確認作業による負担を軽減することが可能な薬剤登録装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の薬剤登録装置は、マイクと、音声認識手段と、第一記憶手段と、読取手段と、第二記憶手段と、判定手段と、報知手段と、を備える。前記マイクは、音声を入力する。前記音声認識手段は、前記マイクから入力された音声から薬剤に関する情報を認識する。前記第一記憶手段は、前記音声認識手段が認識した薬剤を記憶する。前記読取手段は、薬剤を識別する情報を読み取る。前記第二記憶手段は、前記読取手段が読み取った薬剤を記憶する。前記判定手段は、前記第二記憶手段に記憶されている薬剤と、前記第一記憶手段に記憶されている薬剤とに差分が有るか否かを判定する。前記報知手段は、前記判定手段が前記第二記憶手段には記憶されているが前記第一記憶手段には記憶されていない薬剤があると判定した場合に、薬剤の一覧の該当する薬剤に、音声がないことを示すマークを付加することで報知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態にかかる薬剤管理システムの概要構成を示すブロック図である。
図2図2は、薬剤登録装置の外観を示す正面図である。
図3図3は、薬剤登録装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4図4は、薬剤登録装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、薬剤情報が印字された使用品伝票を示す正面図である。
図6図6は、薬剤登録装置のMPUが制御プログラムに従って実行する薬剤の音声認識処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、音声認識画面の一例を示す説明図である。
図8図8は、薬剤登録装置のMPUが制御プログラムに従って実行する使用薬剤登録処理の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、薬剤登録開始画面の一例を示す説明図である。
図10図10は、薬剤登録画面の一例を示す説明図である。
図11図11は、報知画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、実施形態にかかる薬剤管理システム10の概要構成を示すブロック図である。図1に示すように、薬剤管理システム10は、電子カルテサーバ11と、医師用の情報処理端末装置12と、看護師用の情報処理端末装置13と、薬剤監査装置14と、無線基地局15及び公衆通信ネットワーク16を介して通信ネットワーク17に接続された医師用の携帯情報処理端末装置18と、薬剤部サーバ19と、薬剤登録装置20と、を備えている。
【0009】
電子カルテサーバ11は、電子カルテを管理し、記憶するための装置である。医師用の情報処理端末装置12は、電子カルテの記入などを行うための装置である。看護師用の情報処理端末装置13は、電子カルテサーバ11が管理する電子カルテの参照及び確認を行うための装置である。薬剤監査装置14は、電子カルテに含まれる指示書情報(例えば、処方箋情報)に基づいて薬剤の取揃え等の支援および監査を行うための装置である。薬剤部サーバ19は、薬剤部に配置され薬剤払出等を管理するための装置である。また、薬剤部サーバ19は、薬剤のコード情報または薬剤の外面情報(薬剤のラベルを表す特徴量、薬剤の色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を表す特徴量など)に対応付けて薬剤に係る薬剤情報(名称、量など)を登録している。薬剤登録装置20は、手術室に配置され、看護師によって手術中に使用された薬剤、あるいは救急の場などにおいて看護師や薬剤師等によって緊急的に使用された薬剤の登録支援を行うための装置である。本実施形態においては、薬剤登録装置20は、手術室に配置されるものであって、手術中に医師が音声で指示した薬剤を音声認識にて識別し記憶する。その後、薬剤登録装置20は、音声認識にて識別し記憶された薬剤と、手術中に使用された薬剤とを比較して確認しながら実施される薬剤の登録支援に用いられることを想定する。
【0010】
上記構成において、電子カルテサーバ11、情報処理端末装置12、情報処理端末装置13、薬剤監査装置14、薬剤部サーバ19及び薬剤登録装置20は、通信ネットワーク17に接続されている。
【0011】
図2は、薬剤登録装置20の外観を示す正面図である。図2に示すように、薬剤登録装置20は、大別すると、薬剤登録装置20の制御主体となる装置本体部24と、スキャナ22と、各種情報をプリントアウトするためのプリンタ23と、音声を入力するためのマイク50とを備える。
【0012】
装置本体部24は、オペレータとなる看護師が各種操作を行うとともに、使用された薬剤のリスト等の各種情報を表示可能なタッチパネルディスプレイ21を備えている。
【0013】
スキャナ22は、カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやカラーCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等のイメージセンサとLED(Light Emitting Diode)などの光源とを有している。スキャナ22は、看護師ID(IDentification)のコードシンボル、患者IDのコードシンボル、薬剤のコードシンボル、薬剤の画像などの撮像を行う。スキャナ22が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像(撮像画像)は、後述するRAM(Random Access Memory)33(図3参照)に保存される。
【0014】
なお、スキャナ22は、図2に示すようなテーブル上に載置する形状に限るものではなく、床上に立設させるスタンド形状であってもよい。
【0015】
また、薬剤登録装置20は、薬剤の重量を測定する秤や、薬剤に付されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグとの間でデータの読取り/書込みを行うRFIDリーダライタ等を備えていてもよい。
【0016】
図3は、薬剤登録装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、薬剤登録装置20は、装置全体を制御するMPU(Micro Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM33と、外部記憶装置34と、通信インタフェース動作を行う通信インタフェース38とを装置本体部24に備えている。ROM32は、制御プログラムを含む各種データを不揮発的に記憶する。RAM33は、ワークエリアとして機能するとともに、各種データを一時的に記憶する。外部記憶装置34は、データベース等の大容量データや制御プログラムを記憶可能なハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)によって構成されている。
【0017】
ここで、タッチパネルディスプレイ21、スキャナ22、プリンタ23、通信インタフェース38、スピーカ37及びマイク50は、入出力I/O39を介してバス40に接続されている。このバス40には、MPU31、ROM32、RAM33及び外部記憶装置34が接続されている。
【0018】
なお、タッチパネルディスプレイ21は、表示部であるディスプレイ35及びタッチパネル36を主体に構成されている。
【0019】
また、スピーカ37は、警告音を発する場合などに使用される。
【0020】
また、記憶部である外部記憶装置34は、使用薬剤記憶テーブルT1と、薬剤マスタDB1と、音声認識薬剤テーブルT2と、音声認識薬剤マスタDB2とを備えている。
【0021】
第二記憶手段である使用薬剤記憶テーブルT1は、使用された薬剤についての集計結果を記憶する。薬剤マスタDB1は、薬剤情報を記憶した薬剤データベースである。薬剤マスタDB1は、例えば、コード情報と、薬剤名称と、薬剤単位と、製造会社と、を関連付けて記憶する。
【0022】
第一記憶手段である音声認識薬剤テーブルT2は、音声認識された薬剤や薬剤の量について記憶する。音声認識薬剤マスタDB2は、マイク50から入力された音声について、薬剤の音声認識に使用するデータベースである。音声認識薬剤マスタDB2は、医療辞典などであり、医薬品、漢方、病名、症状などの用語を記憶する。
【0023】
このような構成により、薬剤登録装置20のMPU31は、ROM32や外部記憶装置34に記憶された制御プログラムに従って動作することで、使用された薬剤の登録支援を行う。
【0024】
次に、実施形態にかかる薬剤登録装置20が有する特徴的な機能について説明する。図4は、薬剤登録装置20の機能構成を示すブロック図である。MPU31は、ROM32や外部記憶装置34に記憶された制御プログラムに従って動作することで、図4に示すように、登録手段311と、表示制御手段312と、読取手段313と、識別手段314と、印字制御手段315と、報知手段316と、音声認識手段317と、判定手段318と、として機能する。
【0025】
読取手段313は、スキャナ22がスキャンした撮像画像から、薬剤の識別子を読み取る。具体的には、読取手段313は、使用される薬剤に付されたコードシンボルのコード情報または使用される薬剤の全部または一部の外面情報を読み取る。バーコードや二次元コードなどのコードシンボルからコード情報を検出する処理については、従来からある技術なのでここでの説明は省略する。
【0026】
識別手段314は、読取手段313による読み取り結果として得られた情報(コード情報または外面情報)に基づいて薬剤を識別して薬剤情報を抽出する。具体的には、識別手段314は、読取手段313が読み取ったコード情報と一致するコード情報を薬剤マスタから検索することで識別する。
【0027】
また、薬剤の外面情報に基づいて薬剤を識別する方法は、予めコード情報に対応付けて薬剤の外面情報をテーブルとして記憶しておき、外面情報に基づく薬剤の薬剤情報をテーブルから抽出するようにすればよい。
【0028】
登録手段311は、識別手段314で識別された薬剤を、外部記憶装置34の使用薬剤記憶テーブルT1に登録する。
【0029】
表示制御手段312は、表示部であるディスプレイ35に、識別手段314が識別した薬剤情報の表示を制御する。
【0030】
音声認識手段317は、マイク50から入力された音声の内容を抽出する。具体的には、音声認識手段317は、マイク50から入力された音声情報に基づいて音声を認識し、文字情報に変換する。その後、音声認識手段317は、変換された文字情報と、音声認識薬剤マスタDB2とを比較する。文字情報に薬剤名や薬剤の通称などの薬剤を特定する情報が含まれている場合に、音声認識手段317は、認識した薬剤を音声認識薬剤テーブルT2に記憶させる。例えば、医師が「CCCC薬剤を400mLください」と看護師に指示した場合に、音声認識手段317は、音声情報からなる指示を文字情報に変換する。そして、音声認識手段317は、音声認識薬剤マスタDB2と比較してCCCC薬剤が薬剤であると認識する。また、音声認識手段317は、400mLをCCCC薬剤の量を示す情報であるとして、音声認識薬剤テーブルT2に記憶させる。
【0031】
判定手段318は、使用薬剤記憶テーブルT1に記憶されている薬剤と、音声認識薬剤テーブルT2とを比較して差分の有無を判定する。これにより、判定手段318は、読取手段313が読み取った薬剤と、音声認識手段317が識別した薬剤とを比較して差分の有無を判定する。
【0032】
報知手段316は、判定手段318が差分を有していると判定した場合に報知する。報知手段316は、差分内容をディスプレイ35に表示させることで報知する。または、スピーカ37から警告音などを発生させることで報知する。
【0033】
印字制御手段315は、印字部であるプリンタ23を制御して、識別手段314が識別した薬剤情報を印字させる。例えば、印字制御手段315は、使用した薬剤の情報が印字されている使用品伝票Dを印字させる。
【0034】
ここで、図5は、薬剤情報が印字された使用品伝票Dを示す正面図である。使用品伝票Dは、図5に示すように、使用薬剤記憶テーブルT1に登録された薬剤の一覧を印字した伝票である。使用品伝票Dは、ヘッダD1と、基本情報D2と、使用薬剤データD3と、廃棄品データD4と、承認印欄D5とを備える。ヘッダD1は、伝票名称を印字する領域である。基本情報D2は、出力日時と、対象期間と、発行場所と、作業者と、患者数とを印字する領域である。
【0035】
使用薬剤データD3は、No列と、薬品名列と、単位列と、本数列と、定数列と、を印字する。No列は、分類名と、項目Noとが印字される。分類名は、薬剤の分類の名称である。また、分類名は、分類番号の順番で印字される。項目Noは、薬剤種別ごとに付与される一連の番号であって、分類名が異なる場合であっても一連の番号が継続して付与される。
【0036】
薬品名列は、薬剤名と、音声なしマークM1と、薬剤のコード番号と、を印字している。薬剤名は、薬剤の名称である。音声なしマークM1は、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤に印字されるマークである。また、音声なしマークM1が付加されている場合に、薬剤名は、太字にて印字される。このように、音声なしマークM1を印字したり、薬剤名を太字で印字するなどの方法により強調することで、注意を喚起する。図5は、薬剤名「DDDD薬」及び「EEEE薬」に音声なしマークM1が印字された状態を示している。
【0037】
なお、音声なしマークM1が印字された場合の薬剤名の強調表示は、表示する色を変えることで強調してもよい。または、薬剤名の強調表示は、薬剤名のフォントや大きさを変えることで強調してもよい。
【0038】
薬剤のコード番号は、薬剤のコードシンボルに付されている番号である。
【0039】
次に、上述した実施形態にかかる薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する使用薬剤登録処理について説明する。実施形態にかかる薬剤登録装置20は、手術室などで医師から受けた薬剤の投与指示について薬剤を音声認識した後、使用された薬剤のコードシンボルや薬剤の画像などをスキャンし、薬剤登録処理を実行する。
【0040】
まず、薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する薬剤の音声認識処理について説明する。図6は、薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する薬剤の音声認識処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
薬剤登録装置20のMPU31は、初期状態として、ディスプレイ35に患者登録画面を表示する(ステップS11)。したがって、オペレータ(看護師)は、患者登録処理を行うために、患者のリストバンドに付されている患者IDのコードシンボルをスキャナ22の前にかざして、患者IDを読み込ませる。
【0042】
薬剤登録装置20のMPU31は、患者登録処理により患者IDを登録すると(ステップS12;Yes)、ディスプレイ35の表示画面に音声認識画面G1を表示させる(ステップS13)。なお、薬剤登録装置20のMPU31は、患者IDが登録できない場合(ステップS12;No)、ステップS11に戻り、患者登録画面を再度表示する。なお、患者IDの登録は、スキャナ22を使用せずに手入力にて登録してもよい。
【0043】
ここで、図7は、音声認識画面G1の一例を示す説明図である。音声認識画面G1は、図7に示すように、「開始ボタンを押して音声認識を開始してください。」音声認識の開始を促す画面が表示される。音声認識画面G1は、開始ボタンB1と、完了ボタンB2とを有する。薬剤登録装置20のMPU31は、開始ボタンB1が押下されるか否かを判定する(ステップS14)。開始ボタンB1が押下された場合に(ステップS14;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、音声認識を開始する。一方、開始ボタンB1が押下されない場合に(ステップS14;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、待機する。
【0044】
医師が手術中などに発する音声による指示がマイク50を介して入力された薬剤登録装置20のMPU31は、音声情報を文字情報に変換する(ステップS15)。
【0045】
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、文字情報と、音声認識薬剤マスタDB2とを比較して薬剤を特定する情報が検出されるか否かを判定する(ステップS16)。薬剤を特定する情報が検出されない場合に(ステップS16;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS18に移行する。一方、薬剤を特定する情報が検出された場合に(ステップS16;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、検出された薬剤を音声認識薬剤テーブルT2に登録させる(ステップS17)。
【0046】
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、完了ボタンB2が押下され音声認識を終了するか否かを判定する(ステップS18)。完了ボタンB2が押下されない場合に(ステップS18;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS15に移行して音声認識を続行する。一方、完了ボタンB2が押下された場合に(ステップS18;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、音声認識を終了する。
【0047】
次に、薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する使用薬剤登録処理について説明する。ここで、図8は、薬剤登録装置20のMPU31が制御プログラムに従って実行する使用薬剤登録処理の流れを示すフローチャートである。なお、前提として薬剤登録装置20へのと、薬剤の音声認識処理と、ログイン処理と、患者登録処理とが完了しているものとする。
【0048】
薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤登録開始画面G2を表示する(ステップS31)。ここで、図9は、薬剤登録開始画面G2の一例を示す説明図である。薬剤登録開始画面G2は、図9に示すように、薬剤のコードシンボルの読み取らせ方を表示することで薬剤登録を促す画面である。また、薬剤登録開始画面G2は、手入力ボタンB3を備える。手入力ボタンB3は、薬剤のコードシンボルに付されている数字を手入力で登録する場合に押下するボタンである。
【0049】
次いで、スキャナ22の前に薬剤がかざされた場合に、薬剤登録装置20のMPU31は、コードシンボルを読み取る(ステップS32)。薬剤登録装置20のMPU31は、コードシンボルのコード情報と一致するコード情報を薬剤マスタDB1から検索する(ステップS33)。薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤マスタDB1の内容を使用薬剤記憶テーブルT1に登録する(ステップS34)。
【0050】
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、使用薬剤記憶テーブルT1に登録された内容を薬剤登録画面G3(図10参照)に表示する(ステップS35)。次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、使用薬剤記憶テーブルT1に登録した薬剤が、音声認識結果である音声認識薬剤テーブルT2に含まれているか否かを判定する(ステップS36)。
【0051】
使用薬剤記憶テーブルT1に登録した薬剤が、音声認識薬剤テーブルT2に含まれている場合に(ステップS36;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS38に移行する。一方、使用薬剤記憶テーブルT1に登録した薬剤が、音声認識薬剤テーブルT2に含まれていない場合に(ステップS36;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、薬剤登録画面G3に音声なしマークM2を付加して表示する(ステップS37)。
【0052】
ここで、図10は、薬剤登録画面G3の一例を示す説明図である。薬剤登録画面G3は、図10に示すように、使用薬剤記憶テーブルT1に登録された薬剤の一覧を表示する画面である。薬剤登録画面G3は、音声なしマークM2と、印刷ボタンB4とを備える。音声なしマークM2は、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤に印字されるマークである。印刷ボタンB4は、全ての薬剤のバーコードの読み取りが完了後、伝票を印刷する場合に押下するボタンである。図10は、BBBB薬に音声なしマークM2が付加されている状態を示している。
【0053】
薬剤登録装置20のMPU31は、印刷ボタンB4が押下されるか否かを判定する(ステップS38)。印刷ボタンB4が押下されない場合に(ステップS38;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS32に戻り、薬剤のバーコードの読み取りを行う。一方、印刷ボタンB4が押下された場合に(ステップS38;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS39に移行する。
【0054】
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、音声認識薬剤テーブルT2に登録されている薬剤と、使用薬剤記憶テーブルT1に登録されている薬剤とに差分が有るか否かを判定する(ステップS39)。登録されている薬剤に差分が無いと判定した場合に(ステップS39;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS42に移行する。一方、登録されている薬剤に差分が有ると判定した場合に(ステップS39;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、報知画面G4を表示させる(ステップS40)。
【0055】
図11は、報知画面G4の一例を示す説明図である。報知画面G4は、使用薬剤記憶テーブルT1に登録されている薬剤と、音声認識薬剤テーブルT2に登録されている薬剤と比較して差分がある場合に報知する画面である。
【0056】
使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤がある場合に、医師から指示されていない薬剤を登録している可能性がある。すなわち、本来登録されるべきではない、間違った薬剤が登録されている可能性がある。よって、報知することで、患者に対して誤った薬剤代金の請求がされることを防ぐことが可能となる。更には、誤った処方が記録されたことにより誤った薬剤が投与されることを防ぐことが可能となる。
【0057】
一方、音声認識薬剤テーブルT2には登録されているが、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されていない薬剤がある場合に、オペレータ(看護師)は、使用した全ての薬剤のバーコードの読み取りが出来ていない可能性がある。よって、報知することで、記録漏れにより薬剤代金が請求できなくなってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0058】
そこで、報知画面G4は、「音声登録された薬剤とバーコード登録された薬剤とが一致していません。確認して下さい。」とのガイドメッセージを表示することで、確認を求める。その際、報知画面G4は、音声認識薬剤テーブルT2のみに記憶されている薬剤と、使用薬剤記憶テーブルT1のみに記憶されている薬剤とを列挙して表示する。また、報知画面G4は、OKボタンB5と、キャンセルボタンB6とを備える。OKボタンB5は、バーコードが読み取られていない薬剤があることを承知した上で、印刷する場合に押下するボタンである。キャンセルボタンB6は、印刷をキャンセルして再度、薬剤のバーコードの読み取りを行う場合に押下するボタンである。図11は、DDDD薬およびEEEE薬が音声登録のみであることを示している。そして、BBBB薬がバーコード登録のみであることを示している。また、報知画面G4は、音声認識薬剤テーブルT2のみに記憶されている薬剤と、使用薬剤記憶テーブルT1のみに記憶されている薬剤との一方のみを表示させてもよい。
【0059】
OKボタンB5が押下された場合に(ステップS41;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS42に移行する。OKボタンB5が押下されない場合に(ステップS41;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS43に移行する。キャンセルボタンB6が押下されない場合に(ステップS43;No)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS41に移行して待機する。
【0060】
一方、キャンセルボタンB6が押下された場合に(ステップS43;Yes)、薬剤登録装置20のMPU31は、ステップS32に移行して再度のバーコードの読み取りを求める。
【0061】
印刷を求められた薬剤登録装置20のMPU31は、使用品伝票Dの印字データを生成する(ステップS42)。その際、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤がある場合に、薬剤登録装置20のMPU31は、音声なしマークM2を付加して使用品伝票Dの印字データを生成する。
【0062】
次いで、薬剤登録装置20のMPU31は、印字データをプリンタ23に印刷させる(ステップS44)。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、薬剤登録装置20は、スキャナ22などで登録された薬剤が記憶されている使用薬剤記憶テーブルT1と、音声認識で登録された薬剤が記憶されている音声認識薬剤テーブルT2とを有する。印字制御手段315は、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤には、音声なしマークM2を付加して印字する。これにより、医師は、指示していないが使用された薬剤を知ることができる。よって、指示してはいないが、使用された薬剤について重点的に確認すればよいことから医師の確認作業による負担を軽減することが可能となる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0065】
なお、上記実施形態では、薬剤登録装置20のマイク50で音声を入力して音声認識を行っている。しかし、音声は、予め録音されたものであってもよい。この場合には、音声録音装置で医師の指示を録音する。その後、録音データをBluetooth(登録商標)などのインタフェースを介して外部記憶装置34に記憶させる。そして、記憶された録音データを用いて音声認識を行えばよい。
【0066】
なお、上記実施形態では、音声なしマークM1および音声なしマークM2は、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤がある場合に、付されると説明している。しかし、マークを付する条件は、逆であってもよい。具体的には、音声認識薬剤テーブルT2には登録されているが、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されていない薬剤がある場合に、マークを付してもよい。この場合には、音声のみマークとすればよい。これにより、オペレータ(看護師)の薬剤の読み取りミスを防ぐことが可能になる。
【0067】
なお、上記実施形態では、薬剤マスタDB1および音声認識薬剤マスタDB2は、外部記憶装置34に記憶されていると説明している。しかし、薬剤マスタDB1および音声認識薬剤マスタDB2は、電子カルテサーバ11や薬剤部サーバ19などに記憶されていてもよい。この場合には、通信インタフェース38を介してアクセスすればよい。
【0068】
なお、上記実施形態では、音声認識薬剤テーブルT2には登録されているが、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されていない薬剤がある場合に報知すると説明している。しかし、報知する条件は、逆であってもよい。具体的には、使用薬剤記憶テーブルT1には登録されているが、音声認識薬剤テーブルT2には登録されていない薬剤がある場合に、報知してもよい。
【0069】
なお、上記実施形態では、薬剤に付されたバーコードや二次元コードなどのコードシンボルからコード情報を読み取ると説明しているが、コード情報は、コードシンボル以外であってもよい。例えば、コード情報は、RFIDなどからコード情報を読み取るとしてもよい。この場合には、RFIDリーダライタ等を新たに備えればよい。
【0070】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らず、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0071】
また、上記実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0072】
20 薬剤登録装置
50 マイク
34 外部記憶装置
T1 使用薬剤記憶テーブル
DB1 薬剤マスタ
T2 音声認識薬剤テーブル
DB2 音声認識薬剤マスタ
D 使用品伝票
G1 音声認識画面
G4 報知画面
M1、M2 音声なしマーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2002−163357号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11