特許第5847183号(P5847183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5847183光学式バーコードの取り込み装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847183
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】光学式バーコードの取り込み装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/14 20060101AFI20151224BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   G06K7/14 034
   G06K19/06 028
   G06K19/06 037
   G06K19/06 131
【請求項の数】25
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2013-530734(P2013-530734)
(86)(22)【出願日】2011年9月29日
(65)【公表番号】特表2013-542506(P2013-542506A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2011066993
(87)【国際公開番号】WO2012041967
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月3日
(31)【優先権主張番号】10186031.0
(32)【優先日】2010年10月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100098464
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 洌
(74)【代理人】
【識別番号】100149630
【弁理士】
【氏名又は名称】藤森 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100184826
【弁理士】
【氏名又は名称】奥出 進也
(72)【発明者】
【氏名】ヘンゼル、ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シュメルツァイゼン−レーデカー、ギュンター
【審査官】 福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−196381(JP,A)
【文献】 特開2004−070960(JP,A)
【文献】 特開平07−005109(JP,A)
【文献】 特開平03−210687(JP,A)
【文献】 実開平04−123455(JP,U)
【文献】 特開平09−081693(JP,A)
【文献】 特開昭52−004220(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0044443(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/14
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの情報を伝送する装置(178)であって、前記装置(178)が、移動する担体(112)に結合されたバーコード(110)を取り込むための少なくとも1つのバーコードリーダ(124)を備え、前記バーコードリーダ(124)が、前記バーコード(110)の情報モジュール(116)の少なくとも一次元取り込みのための少なくとも1つの光学式バーコード検出器(140)を備え、前記バーコードリーダ(124)が、さらに前記バーコード(110)のクロックトラック(128)のクロックトラックモジュール(130)を取り込むための少なくとも1つの光学式クロックトラック検出器(142)および前記バーコード(110)から少なくとも1つの基準情報を取り込むための少なくとも1つの光学式基準検出器(144)を備え、前記バーコードリーダ(124)が、前記クロックトラック検出器(142)からの少なくとも1つの信号および前記基準検出器(144)からの少なくとも1つの信号から、前記担体(112)の移動方向(120)を割り出すように構成され、前記装置(178)が、さらに少なくとも1つのバーコード(110)を有する少なくとも1つの担体(112)を備え、前記バーコード(110)が、複数の情報モジュール(116)および少なくとも1つのクロックトラック(128)を備え、前記クロックトラック(128)が、複数の連続クロックトラックモジュール(130)を有し、前記複数の連続クロックトラックモジュール(130)が、前記バーコード(110)において直線のライン、または湾曲したラインに沿って連続的に配置され、前記バーコード(110)の情報モジュール(116)として同時に機能しないが、前記バーコード(110)が前記バーコードリーダ(124)に対して移動する時に、クロックとしてだけ機能し、前記バーコード(110)が、さらに少なくとも1つの基準トラック(132)を有し、前記基準トラック(132)が、第2のクロックトラック(128)として具現化され、前記基準トラック(132)が、前記クロックトラック(128)と同じ周期性を有し、前記クロックトラック(128)と比べて位相シフトを有しており、前記バーコード(110)が、二次元バーコードであり、前記バーコード(110)のモジュール(114)が、前記移動方向(120)のモジュール高さ、および前記移動方向(120)に対して垂直のモジュール幅を有し、前記モジュール高さが、前記モジュール幅を超過する、装置(178)。
【請求項2】
前記バーコードリーダ(124)が、前記クロックトラック検出器(142)からの前記信号における前記クロックトラック(128)に起因する少なくとも1つの信号変化を取り込むように構成される請求項1記載の装置(178)。
【請求項3】
前記バーコードリーダ(124)が、前記クロックトラック検出器(142)からの前記信号における前記クロックトラック(128)に起因するポジティブまたはネガティブエッジ(154、156)を取り込むように構成される請求項1記載の装置(178)。
【請求項4】
前記バーコードリーダ(124)が、前記クロックトラック検出器(142)により取り込まれる信号変化のサイン、および前記基準検出器(144)からの信号の絶対値から前記移動方向(120)を割り出すように構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項5】
前記バーコードリーダ(124)が、前記クロックトラック検出器(142)により取り込まれる信号変化のサイン、および前記基準検出器(144)から同時に発生する信号の絶対値から前記移動方向(120)を割り出すように構成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項6】
前記バーコードリーダ(124)が、
前記クロックトラック検出器(142)からの前記信号においてネガティブエッジ(156)が識別され、前記基準検出器(144)からの前記信号において第1の信号レベルが識別される場合、または、前記クロックトラック検出器(142)からの前記信号においてポジティブエッジ(154)が識別され、前記基準検出器(144)からの前記信号において第2の信号レベルが識別される場合、第1の移動方向(120)を割り出すように構成され、および
前記クロックトラック検出器(142)からの前記信号においてポジティブエッジ(154)が識別され、前記基準検出器(144)からの前記信号において前記第1の信号レベルが識別される場合、または、前記クロックトラック検出器(142)からの前記信号においてネガティブエッジ(156)が識別され、前記基準検出器(144)からの前記信号において前記第2の信号レベルが識別される場合、前記第1の移動方向(120)とは反対の方向の第2の移動方向(120)を割り出すように構成される請求項4または5記載の装置(178)。
【請求項7】
さらにデータ記憶装置(160)を備え、前記バーコードリーダ(124)が、前記バーコード(110)の横列(126)に含まれる情報を読み出し、それぞれ、前記横列(126)に対応するアドレスカウンタ(162)とともに、前記データ記憶装置(160)に保存するように構成され、前記バーコードリーダ(124)が、識別された移動方向(120)に従って、前記アドレスカウンタ(162)をインクリメンタルに増加させまたは減少させるように構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項8】
前記光学式クロックトラック検出器(142)が、前記バーコード検出器(140)の一部である請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項9】
前記基準検出器(144)が、前記移動方向(120)に対して垂直な方向において、前記クロックトラック検出器(142)の隣に配置され、および/または
前記基準検出器(144)が、前記移動方向(120)に対して平行な方向において、前記クロックトラック検出器(142)に対して、オフセット(180)だけオフセットして配置される方法で、
前記基準検出器(144)が、前記クロックトラック検出器(142)に対して配置される請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項10】
前記オフセット(180)が、前記バーコード(110)のモジュール(114)のモジュール高さの等倍数からずれて配置される請求項9記載の装置(178)。
【請求項11】
少なくとも1つの光学センサエレメント(138)を備え、前記クロックトラック検出器(142)および前記基準検出器(144)が、前記光学センサエレメント(138)を使用するように構成される請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの光学センサエレメント(138)が、横一列のセンサ(186)である請求項11記載の装置(178)。
【請求項13】
光学的な前記基準情報が、
前記バーコード(110)の基準トラック(132)からの光学情報、および
前記クロックトラック検出器(142)により読み出される前記クロックトラック(128)からの現在の光学情報から所定のオフセット(180)の位置にある、前記バーコード(110)の前記クロックトラック(128)からの光学情報
から選択される請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項14】
前記所定のオフセット(180)が、前記クロックトラック(128)のモジュール高さの等倍数からずれるオフセット(180)である請求項13記載の装置(178)。
【請求項15】
さらに前記担体(112)を受ける受容部(224)を備え、前記受容部(224)が、前記バーコードリーダ(124)に対して前記担体(112)が移動できるように構成され、前記バーコードリーダ(124)が、前記受容部(224)で前記担体(112)が移動する間、前記バーコードリーダ(124)によって前記バーコード(110)を読み出すことができるように構成される請求項1〜14のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項16】
前記クロックトラック(128)が、複数の周期的に交替するクロックトラックモジュール(130)を有し、前記交替するクロックトラックモジュール(130)が、前記クロックトラック検出器(142)を通過する時に、前記クロックトラック検出器(142)において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される請求項1〜15のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項17】
前記基準トラック(132)が、前記移動方向(120)に対して平行に配置されている請求項1〜16のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項18】
前記基準トラック(132)が、複数の周期的に交替する基準トラックモジュール(134)を有し、前記交替する基準トラックモジュール(134)が、前記基準検出器(144)を通過する時、前記基準検出器(144)において少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成され、前記基準トラック(132)の周期性が、前記クロックトラック(128)の周期性と比べて位相シフトしている請求項1〜17のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項19】
前記基準トラック(132)が、前記クロックトラック(128)に対して平行に配列されている請求項1〜18のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項20】
前記モジュール高さが、前記モジュール幅の少なくとも1.2倍を超過する請求項1〜19のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項21】
前記モジュール高さが、前記モジュール幅の少なくとも1.5倍を超過する請求項1〜19のいずれか1項に記載の装置(178)。
【請求項22】
複数の情報モジュール(116)を備えたバーコード(110)であって、前記バーコード(110)がさらに、少なくとも1つのバーコードリーダ(124)により、前記情報モジュール(116)の読み出しを刻時するクロックトラック(128)を備え、移動方向(120)において、前記バーコード(110)と前記バーコードリーダ(124)の間に相対移動が存在し、前記バーコード(110)がさらに、前記クロックトラック(128)とは別に具現化される少なくとも1つの基準トラック(132)を備え、前記基準トラック(132)が、前記クロックトラック(128)と比べて位相オフセットを有し、前記クロックトラック(128)が、複数の連続クロックトラックモジュール(130)を有し、前記複数の連続クロックトラックモジュール(130)が、前記バーコード(110)において直線のライン、または湾曲したラインに沿って連続的に配置され、前記バーコード(110)の情報モジュール(116)として同時に機能しないが、前記バーコード(110)が前記バーコードリーダ(124)に対して移動する時に、クロックとしてだけ機能し、前記バーコード(110)が、さらに少なくとも1つの基準トラック(132)を有し、前記基準トラック(132)が、第2のクロックトラック(128)として具現化され、前記基準トラック(132)が、前記クロックトラック(128)と同じ周期性を有し、前記クロックトラック(128)と比べて位相シフトを有しており、前記バーコード(110)が、二次元バーコードであり、前記バーコード(110)のモジュール(114)が、前記移動方向(120)のモジュール高さ、および前記移動方向(120)に対して垂直のモジュール幅を有し、前記モジュール高さが、前記モジュール幅を超過する、バーコード(110)。
【請求項23】
少なくとも1つの消耗品特有の情報を伝送する方法であって、請求項1〜21のいずれか1項に記載の装置(178)を用いて、少なくとも1つの医療消耗品(218)から、前記医療消耗品(218)と相互作用する医療機器へ前記消耗品特有の情報を伝送する工程を備える方法。
【請求項24】
前記医療機器が、医療測定機器(216)および/または治療機器である請求項23記載の方法。
【請求項25】
移動する担体(112)に結合された光学式バーコード(110)を取り込む方法であって、前記バーコード(110)の情報モジュール(116)が、少なくとも一次元的に取り込まれ、少なくとも1つのクロックトラック検出器(142)が、前記バーコード(110)のクロックトラック(128)のクロックトラックモジュール(130)を取り込むために使用され、さらに、前記バーコード(110)からの少なくとも1つの基準情報が、少なくとも1つの基準検出器(144)によって取り込まれ、前記担体(112)の移動方向(120)が、前記クロックトラック検出器(142)からの少なくとも1つの信号および前記基準検出器(144)からの少なくとも1つの信号から割り出され、前記クロックトラック(128)が、複数の連続クロックトラックモジュール(130)を有し、前記複数の連続クロックトラックモジュール(130)が、前記バーコード(110)において直線のライン、または湾曲したラインに沿って連続的に配置され、前記バーコード(110)の情報モジュール(116)として同時に機能しないが、前記バーコード(110)が前記バーコードリーダ(124)に対して移動する時に、クロックとしてだけ機能し、前記バーコード(110)が、さらに少なくとも1つの基準トラック(132)を有し、前記基準トラック(132)が、第2のクロックトラック(128)として具現化され、前記基準トラック(132)が、前記クロックトラック(128)と同じ周期性を有し、前記クロックトラック(128)と比べて位相シフトを有しており、前記バーコード(110)が、二次元バーコードであり、前記バーコード(110)のモジュール(114)が、前記移動方向(120)のモジュール高さ、および前記移動方向(120)に対して垂直のモジュール幅を有し、前記モジュール高さが、前記モジュール幅を超過する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動する担体に接続された光学式バーコードを取り込むバーコードリーダに関する。本発明は、さらに、本発明に関するバーコードリーダおよび光学式バーコードを有する担体を備え、少なくとも1つの情報を伝送する装置に関する。本発明は、さらに、バーコードに関し、特に消耗品にマーキングするバーコードに関し、さらに詳細には、本発明に関する装置で使用するための分析用テストエレメント、および消耗品の特定情報を医療消耗品から医療機器に伝送する装置の使用に関する。最後に、本発明は、移動する担体に接続された光学式バーコードを取り込む方法に関する。そのような装置および方法は、たとえばテストストリップ、ランセット、テストエレメントまたは同様の医療消耗品などの医療消耗品から、たとえば体液の1つまたは2つ以上の検体を検出するように構成された医療機器などの医療機器に、消耗品の特定情報を伝送するために、特に、医療診断の分野で使用できる。しかし、原則として、本発明の他の応用分野でも実施可能である。
【背景技術】
【0002】
特定の製品を識別する目的で、そうでなければデータ保存、特に、少量の情報をデータ保存する目的で、先行技術は、バーコード、たとえば一次元または二次元バーコードの使用を広く開示している。例として、たとえば適当な印刷技術そうでなければ他の技術、たとえばレーザ技術によって、識別され、またはマーキングされる製品に直接適用されるバーコードが開示されている。しかし、代わりとして、またはそれに追加で、バーコードは、適当な接着技術、たとえばバーコードラベルによって、分離して適用できる。
【0003】
医療消耗品は、重要な例示の実施形態であり、本発明は、特に、それに関連し得るが、本発明はそれに限定されない。そのような医療消耗品は、たとえば医療診断において使用され、およびたとえば使い捨て品として具現化される。そのような消耗品の例として、ユーザの皮膚領域に刺傷を形成し、特にユーザの体液のサンプルを生じさせる目的のためのランセットがある。しかし、代わりとして、またはそれに加えて、消耗品は、たとえばテストエレメント、すなわち試料の特性を検出するために使用されるエレメントもまた備え得る。例として、この特性は、体液中の1つまたは2つ以上の検体であり得る。この目的のために、たとえばテストストリップ、試験管、テストテープまたは同様のタイプの消耗品として具現化され得る消耗品は、特に1つまたは2つ以上のテスト領域を備え得る。概して、これらのテスト領域は、検出される検体が存在する場合に、少なくとも1つの検出可能な特性を明確に変化させる1つまたは2つ以上の試験薬を備えている。例として、これは、電気化学的にまたは光学的に検出可能な特性、たとえば色変化であり得る。原則として、そのようなテストエレメントは、先行技術によって知られている。例として、これらのテストエレメントは、血糖、乳酸、コレステロール、凝結値、または試料内の同様のパラメータの定性および/または定量検出のために使用できる。
【0004】
医療消耗品の場合、特に医療診断の分野では、消耗品に関する少なくとも1つの情報は、一般に、消耗品と相互作用する医療機器に読み込まれなければならない。先行技術によると、これは、手動で、またはたとえば、いわゆるROMキーなどの電子伝送方法によって一般的に実行され、ROMキーは、消耗品が最初に使用されるときに、消耗品の包装に付され、医療機器の中に入れられる。しかし、原則として、他のデータ伝送の形態もまた可能である。例として、伝送されたデータは、どのように医療機器が消耗品と相互作用するか、および/またはどのように消耗品が使用されるかに関する情報を含み得る。例として、たとえばテストストリップは通常バッチからバッチで異なる特性を有しており、消耗品を使用するとき、より詳細には、これらの消耗品を使用して得られた測定値を評価するとき、考慮されなければならないので、これは、較正情報、バッチ特有の情報または同様のデータであり得る。
【0005】
先行技術は、多くの異なるタイプのバーコードを開示している。ここで、これらは、線形バーコードとも呼ばれる単純な一次元バーコードであり、または、代わりとしてまたはそれに加えて、多次元のバーコード、たとえばいわゆるデータマトリクスコードであり得る。さまざまなオプションが、より詳細に以下で説明される。
【0006】
バーコードは、通常、ハンドガイド式またはモータ駆動式スワイプシステムによって、もしくは移動式ミラー反射型レーザービーム(スキャナ)によって読取られる。そのようなリーダシステムは一次元バーコードの場合に使用されることが好ましい。かなり多くの情報を備える二次元または多次元バーコードの場合は、一般的にカメラシステムそうでなければミラースキャナが使用される。モータ駆動や垂直方式でCCD列を対象物および商品を通過させるCCD列システムを使用することもまた公知であるが、特に製造プロセスおよび/または組立ライン方法において使用されることは公知である。カメラシステムまたはたとえばCCD列によって供給されるこれらの多次元バーコードの部分的なイメージの情報を解読して読み出すために、一般的に、スキャナのモーションシーケンスまたは消耗品の通過と、使用されるコンピュータシステムの双方に高い要求がなされる。特に、一般的には、高速のコンピュータシステムが使用されなければならない。バーコードに含まれるサブモジュール、すなわちバイナリ情報担体の空間分解を可能にするため、一次元バーコードの場合にサブモジュールの相対的に定義された距離の形式で、または二次元バーコードの場合にクロックトラックの形式でコードに含まれるスピード情報が使用される。そのようなバーコードは、「自己クロック(self-clocked)バーコード」とも呼ばれる。しかし、従来使用されてきたバーコードのすべては、バーコードを有する消耗品がバーコードリーダを通過する範囲内において、移動プロセスの正確な単一指向性を前提とする。単一指向性の妨害は、一次元バーコードの場合にしばしば確認されるが、もしそのようないわゆる「悪いスキャン」が確認されれば、一般的には新しいスキャンの試みが要求される。二次元バーコードの場合のミラーガイド式またはカメラ支持式スキャンシステムは、スピードの不変性および単一指向性を自動的に可能にする。
【0007】
特許文献1は、データ媒体が設けられ、通過する搬送商品または搬送容器のためのリーダを開示している。リーダは、データ媒体の情報トラックにある情報をスキャンできるリーダヘッドを備えている。2つのセンサによってスキャンされるクロックトラックがさらに提供される。2つのセンサは、互いに対してオフセットして配置される。この配置は、とりわけバーコードの移動方向を識別し、情報内容をシフトレジスタに読み出すのに使用できる。
【0008】
特許文献2は、トラックに沿って移動する対象物を識別する装置を開示している。例として、これらは、情報担体が設けられた輸送車であり得る。情報担体は、穴の3つの列を備えている。ここで、上側の列および下側の列は、エンコード情報が存在する情報列として機能する。上側および下側の列はお互いを補足し、それゆえに、それぞれ、1つの穴が、互いの上にある列の穴に作られる。例として、上側の穴が存在する場合、これは、この場所に二進数で表される1があり、一方で下側の列の穴は0を表していることを意味する。対照的に、それぞれの情報に対してそれぞれ独立して、すべての穴がそこに存在する。第2の列のマーキングは、第1および第3の列に対してオフセットして配置される。それぞれ1つの列は、空間的に固定される方法で配置される走査エレメントと関連する。さらに、情報を識別するための対応するアルゴリズムが記載されている。特に、エッジ識別もまたここに開示されている。
【0009】
特許文献3は、体液の成分を分析するためのテスト担体分析システムを開示している。特に、テスト担体およびコード担体がこの場合に確保される。
【0010】
しかし、モータ操作のバーコードリーダおよび手動バーコードリーダはともに、スピードの不変性および単一指向性に関する要求が妨害される不規則な状態につながり得る。例として、モータ操作のバーコードリーダの場合、機械抵抗が生じ得る。そして、これらは、駆動システムにおける振動(jerks)につながる可能性がある。搬送方向が妨害される場合、この場合に悪いスキャンがまた生じ得る。バーコードが提供される消耗品は手動でバーコードリーダを通過させるように案内される手動のバーコードリーダは、スピードの不変性に対して比較的安定であるが、ある程度の状況で揺らす操作をするシステムの操作者は、単一指向性の点では要望に応え兼ねることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0180283号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0379017号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0492326号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それゆえに、本発明の目的は、上述した公知の方法および装置の不都合を少なくとも大いに排除する方法および装置を提供することである。特に、簡単かつ小さい設置スペースで実現可能であり、手動で案内する用途においても高い信頼性で使用されるバーコードリーダ、特に、医療機器に使用するためのバーコードリーダを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、独立請求項の特徴を有する本発明によって達成される。個別にまたはあらゆる組み合わせで実現可能な本発明の有利な発展は、従属請求項に表されている。
【0014】
本発明の第1の態様において、移動する担体に結合されたバーコードを取り込むために、バーコードリーダを提案する。ここで、バーコードは、一般的な用語として、光学的な方法またはオプトエレクトロニックな方法によって読み出すことが可能であり、少なくとも2つの異なる光学的に検出可能な状態をとることができる複数の光学的に検出可能なモジュールを有する情報担体のことをいう。ここで、モジュールは、それぞれバーコードの二次元または三次元領域を意味すると理解され、モジュールの光学的に知覚可能な特性は、互いに区別することができる少なくとも2つの状態をとることができる。例として、これは、担体表面の画定された二次元領域、そうでなければ担体物質内の三次元領域に関連し得る。重要な例は、しかしその応用はこれに限定されないが、いわゆる線形コードまたはラインコード、すなわち、モジュールが、少なくとも2つの異なる値(たとえば「白」および「黒」)をとることができる一連の横列から構成される一次元バーコードである。代わりとして、またはそれに追加で、二次元バーコード、たとえば、モジュールが2つの方向に適用され、たとえばマトリクスを形成するように配置される、いわゆるデータマトリクスコードもまた使用できる。この場合に、モジュールは、たとえば正方形または長方形として具現化できる。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。可能なバーコードについては、たとえば、EAN(Europe Article Number)コード、UPC(Universal Product Code)コードまたは同様のコードに従った従来の商業上のバーコードを参照できる。バーコードの他の公知の規格もまた適用可能である。二次元バーコードについては、たとえば、データマトリクスコード、QRコード(登録商標)、PDF規格または同様のコードに従ったコードを参照できる。ここで、直交座標系または、たとえば極座標を有する座標系を用いることが可能であるが、本発明の範囲内では直交座標系を有する二次元コードが好ましい。モジュールは、バーコードの情報の最も小さい単位である。ここで、少なくとも2つの光学的に検出可能な状態をとることができるモジュールは、バーコードの全領域の領域または空間を意味すると理解される。本発明の範囲内で好ましいバイナリバーコードの場合には、これらの少なくとも2つの状態はバイナリであり得る、すなわち第1の状態または第2の状態をとることが可能である。しかし、原則として、他の実施形態、すなわち2つよりも多い状態が可能であり、たとえば、いわゆるグレースケールコードの範囲内で実現可能な実施形態もまた可能である。
【0015】
少なくとも2つの状態をとることができる光学的に知覚可能な特性は、異なる2つタイプの光学特性のうちの1つであり得る。例として、これは、反射率や、色、蛍光、透明性または他の光学特性や、または前述の特性および/または他の特性の結合であり得る。少なくとも2つの状態をとることができるこの光学的に知覚可能な特性は、たとえば担体中に、たとえば材料中に、および/または担体表面上に直接導入可能であり、または追加のマーキング材料として、たとえば担体に適用できる。この例として、担体表面上に色を印刷し、その結果として、たとえば反射率および/または担体表面の透明性および/または担体の蛍光特性が変化する。例として、この任意のマーキング材料は担体上に印刷され、噴射され、または滴下され、そうでなければ別の担体エレメント、たとえば接着フィルムによって担体に適用できる。代わりに、たとえば照射によって、たとえばレーザによる照射によって、担体それ自体を修正することも可能である。レーザによって、バーコードが担体上に直接適用され、または担体中に直接導入され、または、同様に、担体に接続されたマーキング材料上に適用され、またはマーキング材料中に導入される。さまざまな実施形態が可能である。
【0016】
原則として、担体はいかなる担体でもあり得る。今回の場合の担体が、医療消耗品、または医療消耗品の部分、または医療消耗品に結合されている場合、特に好ましい。ここで、原則として、医療消耗品は、医学または医用工学、特に補助手段として、たとえば治療および/または診断のための補助手段として、医学または医用工学の範囲内で要求されるいかなる物品も意味すると理解される。ここで、原則として、これは、たとえば診断補助手段および/または治療補助手段および/またはそれ自身が消耗品としての意味を持つそのような補助手段の包装であり得る。他の可能なタイプの消耗品を排除することなく、ここでは特に診断補助手段、たとえばテストストリップ、テストテープ、ランセットなどのようなテストエレメントを参照されるべきである。例として、これらは、たとえば体液試料のうちの少なくとも1つの検体の定性および/または定量検出を実行するために、試料の少なくとも1つの特性を分析するように構成された個々のテストストリップであり得る。これについては、たとえば、公知の光学的および/または電気化学的テストストリップを参照できる。さまざまな例示の実施形態をより詳細に以下に述べる。
【0017】
本発明の範囲内において、バーコードリーダは、一般に、少なくとも、バーコードからの情報が、バーコードリーダのデータ記憶装置の電気信号または記憶状態に変換される程度に、バーコードを読み出すように構成される装置意味すると理解されるべきである。したがって、バーコードリーダは、少なくとも2つの状態をとることができるバーコードのモジュールの特性を、定性的な、または好ましくは定量的な方式で取り込むように構成される少なくとも1つの装置を有している。例として、以下でより詳細に説明するように、これらの装置は、少なくとも1つの種類の電磁放射線、好ましくは、可視光および/または赤外および/または紫外スペクトル領域の光、および/または電磁放射線を受ける光学検出器、さらに好ましくは、赤外および/または可視および/または紫外スペクトル領域の光を発する発光体を有する装置であり得る。一般に、本発明の範囲内の「光学」特性は、電磁放射線、好ましくは、可視および/または紫外および/または赤外スペクトル領域の光によって知覚され得る特性、またはそのような光に基づく特性を意味すると理解されるべきである。
【0018】
提案されるバーコードリーダは、バーコードの情報モジュールの少なくとも一次元取り込みのための少なくとも1つの光学式バーコード検出器を有している。言い換えれば、バーコードは、バーコードリーダの少なくとも1つの光学式バーコード検出器によって取り込むことができる複数の情報モジュールを備えている。ここで、バーコードの情報モジュールは、バーコードの情報がエンコードされた形式で記憶される、バーコードの実際の情報担体を意味すると理解される。例として、バーコード検出器は、以下に例示により詳細に説明するが、および、任意に、バーコードリーダの他の検出器もまた、より詳細に説明されていないが、少なくとも1つの光学式感知エレメント、たとえばフォトダイオード、光電セル、CCDチップ、フォトトランジスタ、または、たとえば、入射電磁放射線、より詳細には可視および/または赤外および/または紫外スペクトル領域の光の強度や強度変化を検出できる同様の光学式感知エレメントを備え得る。そのプロセスでは、検出器は、1つまたは2つ以上の光学式感知エレメントを備え得る。例として、以下でより詳細に説明するように、複数の光学式感知エレメントまたは横一列に配置された光学的感知表面、たとえばCCD列を有する一次元検出器列を用いることが可能である。原則として、二次元配列もまた可能であり、および、原則として、検出器の他の実施形態も同様である。
【0019】
ここで、バーコードの情報モジュールの少なくとも一次元の取り込みは、バーコードリーダに対してバーコードが移動する場合、バーコード検出器の少なくとも1つの検出器が、時間的に連続して、連続的に情報を記録すること、好ましくは、複数の検出器、たとえば、検出器列または、たとえば、バーコード検出器の検出器マトリクスのような検出器配列からの感知エレメントが同時にこれを行なうことを意味すると理解されるべきである。
【0020】
バーコードリーダは、さらに、バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むための少なくとも1つの光学式クロックトラック検出器を備えている。ここで、トラックは、複数の連続モジュールを意味すると理解されるべきであり、連続モジュールは、バーコードにおいて直線の、そうでなければ湾曲したラインに沿って連続的に配置され、好ましくは、同時にバーコードの情報モジュールとして機能することはないが、好ましくは、バーコードがバーコードリーダに対して移動するとき、刻時のためにのみ機能する。ここで、刻時は、バーコードリーダからその時に読み出される情報との同期を意味すると理解され、情報は、バーコード内における空間配置を有する情報モジュール、たとえば、バーコードの特定の横列に横列情報を割り当てるために、たとえば、バーコードリーダの記憶の範囲内で、横列ごとにさらに周期的に繰り返す情報モジュールからその時に読み出される。
【0021】
バーコードリーダは、さらに、少なくとも1つの基準情報をバーコードから取り込むための少なくとも1つの光学式基準検出器を有している。バーコードリーダは、たとえば、適当な評価装置によって、クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および基準検出器からの少なくとも1つの信号から、担体の移動方向を割り出す。例として、クロックトラック検出器からの信号と基準検出器からの信号を比較し、生じ得る可能な場合に応じて、担体の移動方向を割り出す評価装置の提供が可能である。このように、たとえば、移動は、大まかに言えば、クロックトラック検出器からの信号から、より詳細には、クロックトラック検出器からの信号レベルの変化から割り出され、それから、順番に、たとえば、バーコード検出器からその時に読み出される情報のさらなる周期的繰り返しを割り出すことが可能であり、および/または、さらなる周期的繰り返しは、たとえば刻時されたデータ記憶の目的でトリガーされ得る。基準検出器からの追加情報から、さらに、特にクロックトラック検出器からの信号と併せて、さらなる周期的繰り返しが負または正方向で生じたか、または生じるべきかを割り出すことが可能である。例として、この信号評価は、適当な電子機器を用いて実行可能であり、たとえば比較によって、電子機器および/または電子テーブルおよび/または1つまたは2つ以上の識別機を用いて実行可能である。代わりとしてまたはそれに加えて、任意の評価装置もまた、たとえば、クロックトラック検出器および/または基準検出器からの信号、特に電流信号またはこれらの信号から生じる二次信号を処理し、評価するデータ処理装置を備え得る。特に、評価装置は、少なくとも1つのデータ処理アルゴリズムによって、クロックトラック検出器および/または基準検出器からの信号、特に電流信号、またはこれらの信号から生じる二次信号を読み出し、および/または少なくとも部分的に評価するように構成される。
【0022】
バーコードリーダは、特に、クロックトラック検出器からの信号におけるクロックトラック、より詳細には、光学および/または電気信号におけるポジティブまたはネガティブエッジに起因する少なくとも1つの信号変化を取り込むように構成される。例として、これは、クロックトラック検出器からの信号を、たとえば1つまたは2つ以上の閾値と比べ、識別することによりもたらされ得る。そのようなエッジ検出器は、エレクトロニクスの分野でよく知られている。例として、エッジのサインもまたこの方式で識別され得る。例として、バイナリ黒/白バーコードの場合、そのようなエッジは、黒モジュールから白モジュールへの移行部(反射信号におけるポジティブエッジ)において、またはその逆(反射信号におけるネガティブエッジ)に生じる。
【0023】
ここで、そこからの担体の移動方向を割り出すために、クロックトラック検出器からのおよび基準検出器からの同時に発生する信号が互いに比較されることが好ましい。ここで、本発明の範囲内において、同時に発生する信号は、同時に記録される信号を意味すると理解されるべきである。完全同時に加えて、この場合、許容範囲、たとえば、好ましくは200μs以下、好ましくは100μs以下および特に好ましくは50μs以下である完全な時間値のずれもまた認められ得る。
【0024】
バーコードリーダは、より詳細には、クロックトラック検出器により取り込まれる信号変化のサインから、および基準検出器からの信号の絶対値から、より詳細には基準検出器からの同時に発生する信号から、バーコードリーダに対する担体の移動方向を割り出すように構成され得る。例として、バイナリ情報がモジュールに存在する場合、4つの異なるケースが、原則として、生じ得る。このように、たとえば、ポジティブ信号レベル(「白」または「1」)と対になった、またはネガティブ信号レベル(「黒」または「0」)と対になった、基準検出器からの信号の信号レベルのポジティブエッジがあり得る。代わりに、ネガティブエッジもまた、基準検出器からの信号の絶対値におけるポジティブまたはネガティブ信号と対になった、クロックトラック検出器からの信号において生じ得る。例として、これらの4つの可能性のうち、2つのそれぞれが、バーコードリーダに対する担体の第1の移動方向に対応し、他の2つが、第2の移動方向、たとえば反対の移動方向に対応し得る。例として、これは、バーコードがバーコードリーダに対して移動した時に、クロックトラック検出器からの信号の周期性と比較して位相シフトしている周期性を有している信号を記録する基準検出器により実現することができる。例として、この位相シフトは、以下でより詳細に説明するように、クロックトラック検出器が、位置空間において2・Hまたはn・2・Hの位相がシフトしている、クロックトラック自身の信号を記録するという事実により、たとえばクロックトラック検出器と比べて、基準検出器が、対応する距離だけ空間的に(たとえば、移動方向に対して平行に)オフセットしていることにより、および/または、クロックトラック自身と同じ(またはその整数倍の)周期性を有しているが、クロックトラックに対して、移動方向におけるモジュールのモジュール高さに対してn・2・Hずれている位相オフセットにより位相シフトしている、バーコードの別の基準トラックが測定されるという事実により、実現することができる。たとえば、基準トラックおよびクロックトラックの両方が、移動方向に対して平行に配列されていることによるなど、少なくとも1つの任意の基準トラックが、少なくとも1つのクロックトラックに対して平行に配列されていることが好ましい。例を以下でより詳細に説明する。
【0025】
したがって、バーコードリーダは、たとえば、ネガティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第1の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、またはポジティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第2の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、第1の移動方向を割り出し、およびポジティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第1の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、またはネガティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第2の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、第1の移動方向に反対の方向の第2の移動方向を割り出すように構成され得る。
【0026】
移動方向は、特に、バーコードの情報モジュールから読み出された情報を保存する時に、さらに周期的な繰り返しをもたらすために使用され得る。このように、バーコードリーダは、たとえば、データ記憶装置を備え得るが、バーコードリーダは、それぞれバーコードの横列に含まれる情報を読み出し、データ記憶装置に情報を保存するように構成される。特に、バーコードリーダは、識別された移動方向に従って、アドレスカウンタをインクリメンタルに増加または減少させるように構成される。そのような実施形態は、一次元バーコード(この場合、データ記憶装置の横列は、正確に1つの値を含む)の場合、または二次元で、長方形のバーコード(この場合、データ記憶装置の横列は、バーコードの1つの列のモジュールの数に対応する複数の情報を含む)の場合、特に好ましい。例として、バーコードは、たとえば、y方向を規定する。バーコードリーダに対する、バーコードまたは担体の所期の移動方向と、x方向を規定する、この所期の移動方向に対して垂直な方向とを有するマトリクス形状モジュールの長方形フィールドを有し得る。バーコードの横列は、同じy座標を有する、バーコードの情報モジュールのセットである。このように、長方形フィールドは、所期の移動方向に対して平行に配列されることが好ましい。以下でより詳細に説明するように、本当の移動方向または実際の移動方向は、所期の移動方向からずれているが、しかし、バーコードリーダは、そのずれが20°以下、特に10°以下、特に好ましくは5°以下になるように構成されることが好ましい。この点で、さらなる可能な実施形態を制限することなく、以下の記載において、所期の移動方向と実際の移動方向の区別はしないし、y軸は、移動方向に対して平行に配向するものとする。移動方向のずれを述べる場合、実際の移動方向と所期の移動方向の角度のずれを意味する。
【0027】
さらに、「移動方向において」という表現は、原則として、移動方向に対して平行な方向を意味すると理解される。しかし、本発明の範囲内において、移動方向についての割り出しは、移動のサインについての割り出し、すなわち移動が正のまたは負のy方向であるかどうかの点についての情報を意味すると特に理解される。例として、以下でより詳細に説明するように、このサインによって、アドレス情報を担うインクリメンタルな増加または減少について推測がなされることを可能にする。
【0028】
光学式クロックトラック検出器は、バーコード検出器とは異なる別のクロックトラック検出器として具現化できる。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、クロックトラック検出器は、バーコード検出器の全体的または部分的な部分でもよく、すなわちバーコード検出器に含まれていてもよい。このように、たとえば、バーコード検出器の一部は、クロックトラック検出器として使用できる。類似の記述は、基準検出器にも適用され、基準検出器は、同様に、別の検出器として具現化できることが好ましい。しかし、代わりに、基準検出器は、同様に、バーコード検出器の全体的または部分的な部分でもよく、たとえばバーコード検出器の部分により、基準検出器として使用されてもよい。しかし、クロックトラック検出器および基準検出器は、互いに対してオフセットして配置される別の検出器であることが好ましい。特に、基準検出器は、移動方向に対して垂直な方向において、クロックトラック検出器の隣に配置できる。
【0029】
この実施形態は、以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つのクロックトラックの隣に、移動方向に対して平行に配列され、方向トラックとして使用可能であり、基準検出器により分離して読み出すことができる少なくとも1つの基準トラックを備えるバーコードを活用すれば、特に好都合である。上述したように、この基準トラックは、たとえば、クロックトラックと同じ周期性を有しているが、クロックトラックと比べて位相オフセットを有している、たとえば、第2のクロックトラックであり得る。ここで、「第2のクロックトラック」は、クロックトラックとして実際に使用される少なくとも1つのトラックと同じ方式で具現化させるトラックを意味すると理解されるべきであるが、しかし、この少なくとも1つの追加のトラックは、クロックトラックとしてではなくむしろ基準トラックとして使用される。結局、バーコードは、この場合に、後者が少なくとも2つのクロックトラックを備えるように具現化可能であり、少なくとも2つのクロックトラックの少なくとも1つが、刻時のための実際のクロックトラックとして使用可能であるか、または使用され、少なくとも2つのクロックトラックのうち、もう一方の少なくとも1つが、基準トラックとして使用可能であるか、または使用される。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。移動方向に対して垂直にオフセットして、クロックトラック検出器の隣にある基準検出器の実施形態の代わりとして、またはそれに加えて、移動方向に対して平行な方向にあるクロックトラック検出器と比べてオフセットして配置される基準検出器の実施形態もまた可能である。特に、正または負の値Δだけのオフセットがあり得る。オフセットΔは、移動方向におけるバーコードのモジュールのモジュール高さの整数倍ずれている。特に、移動方向におけるクロックトラックモジュールおよび/または基準トラックモジュールのモジュール高さの半分の等しくない倍数に対応するオフセットを選択することが可能である。移動方向における基準検出器オフセットの後者の実施形態は選択することができ、特に、単に1つのクロックトラックが使用される場合に選択できる。この場合に、基準検出器は、位相オフセットを有する位置空間にある同じクロックトラックを読み出すことができ、位相オフセットは、2・Hの整数倍からずれていることが好ましい。この場合にも、たとえばクロックトラック検出器からのエッジ信号および基準検出器からの絶対信号レベルから、移動方向を割り出すことは可能である。空間的なオフセットは、モジュール高さの半分の等倍数離れていることが好ましい。
【0030】
この可能な実施形態に従って、基準検出器によって読み出される、バーコードからの光学基準情報は、多くの方法で具現化可能である。このように、たとえば、バーコードの基準トラックからの光学情報は、光学基準情報として選択することができる、すなわち、たとえば、基準検出器の位置(または複数の基準検出器がある場合の基準検出器の位置)に局在する基準トラックの光学特性として選択することができる。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、上述したように、バーコードの少なくとも1つのクロックトラックが読み出されることも可能である。このように、クロックトラック検出器によりその時点で読み出されるクロックトラックからの光学情報に対する所定のオフセット位置にある、バーコードのクロックトラックからの光学情報は、基準トラックからの光学情報として使用できる。特に、その処理において、バーコードリーダに対する担体の移動方向に対して平行な方向にあるオフセット、特にクロックトラックのモジュール高さの整数倍離れているオフセットを選択することができる。
【0031】
上に示したように、担体は、さまざまな方法で具現化できる。例として、この担体はそれ自身が消耗品であり、消耗品の一部であり、または消耗品と結合することができる。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。ここで、多くの場合において、バーコードリーダ自身が、全体的にまたは部分的に担体を受け入れるように構成される受容部を備えていれば、好都合である。特に、これは、全体的にまたは部分的に担体を挿入可能なスロット、全体的にまたは部分的に担体を挿入可能なガイドレール、または他のタイプの受容部であり得る。特に、受容部は、受容部での担体の移動、好ましくは単に移動方向に対して平行な方向での移動を可能にするように構成することができる。しかし、わずかな角度の許容範囲もまたここでは原則として認められるが、たとえば角度の許容範囲は、好ましくは20°以下で、特に10°以下で、特に好ましくは、5°以下または3°またはそれ以下である。そのような許容範囲は、従来のガイドレールまたはスロットを用いて問題なしに達成することができ、特に担体がストリップ形状の方法で、たとえばバーコードを有するテストストリップとして任意に具現化される場合に達成することができる。特に、受容部は、担体が受容部内で移動できるように、好ましくは手で移動できるように構成することができる。したがって、受容部は、たとえば、まったく受動的な実施形態、すなわちバーコードリーダに対する担体の移動を能動的にもたらす作動装置を有さないまったく受動的な実施形態を有し得る。例として、これは、スロットまたはガイドレールの形でもたらすことができ、受容部における担体への手による接近がまだ可能であるような方法で具現化される。しかし、全くの手による可動性の代わりとして、別の実施形態において、まさに同様に、バーコードリーダに対する担体の移動をもたらす1つまたは2つ以上の作動装置が提供される可能性がある。例として、バーコードリーダは、全体的にまたは部分的にスキャナとして具現化することが可能であるが、担体およびバーコードリーダまたはその部分の手動または自動での相対移動は、たとえばバーコード検出器に対してバーコードを移動させることができ、またはその逆も可能で、バーコードが読み出されることを可能にする。
【0032】
このように、原則として、受容部は、バーコードリーダに対する担体の移動が可能なように構成される。この移動は、一次元で生じることが好ましいが、しかし、他の移動もまさに同様に可能である。一直線の移動方向、すなわち所期の移動方向に沿っての直線移動があることが好ましい。しかし、原則として、湾曲した移動もまた可能である。
【0033】
一般に、バーコードリーダに対する担体の移動は、より詳細には、バーコード検出器に対する担体およびこれによるバーコードの移動を備えることができるという事実に関して参照されるべきである。ここで、バーコードリーダに対する担体の相対移動は、少なくとも1つの座標系、たとえば担体および/またはバーコードが停止している座標系、またはバーコードリーダまたはその部分が、たとえばバーコード検出器が停止している座標系、または担体およびバーコードリーダの両方が移動している座標系における移動を意味すると理解されるべきである。このように、相対移動は、バーコードリーダまたはその部分、たとえばバーコード検出器が停止している間、担体および/またはバーコードが移動するように具現化することができる。代わりに、相対移動はまた、バーコードリーダまたはその部分、たとえばバーコード検出器が移動している間、担体および/またはバーコードが停止するように具現化することもできる。別の代わりの実施形態では、相対移動はまた、担体および/またはバーコード、およびバーコードリーダまたはその部分、たとえばバーコード検出器の両方が移動するように具現化することもでき、たとえば、バーコードとバーコードリーダおよび/またはバーコード検出器との間に空間を開けることは移動によって修正できる。
【0034】
バーコードリーダは、担体が受容部の中で移動している間に、バーコードリーダによって、バーコードを読み出すことができるように構成されることが好ましい。
【0035】
読み出しは、たとえばユーザによって、たとえば少なくとも1つのボタンまたはスイッチそうでなければその他のタイプの作動エレメントを作動させることによって開始することができる。代わりに、またはそれに加えて、読み出しはまた、たとえばバーコードを有する担体が受容部に挿入され、たとえば押し込まれ時に、自動で開始することもできる。例として、受容部は、挿入中または挿入後に、担体および/または担体を備えるテストエレメントにより作動される少なくとも1つのスイッチを有し得る。例として、この作動は、相対移動および/またはバーコードの読み出しを開始させることができる。
【0036】
提案されるバーコードリーダのさらなる可能な実施形態は、さまざまな検出器の実施形態に関する。特に、検出器の1つまたは2つ以上、すなわちバーコード検出器、クロックトラック検出器または基準トラック検出器またはこれらの検出器あらゆる組み合わせは、これらが、対でまたはすべて一緒に、1つまたは2つ以上の共通の光学センサエレメントに頼るように具現化することができる。このように、たとえば、バーコードリーダは、少なくとも1つの光学センサエレメント、たとえば横一列のセンサ、特に横一列のCCDを備えることができ、クロックトラック検出器および基準検出器は光学センサエレメントを使用するように構成される。例として、クロックトラック検出器は、横一列のセンサの、たとえば横一列のCCDの第1の区画を使用することができ、基準検出器はさらなる区画を使用することができる。さらに、バーコード検出器は、任意に、この横一列のセンサの区画を使用することもできる。さまざまな実施形態が可能である。バーコードリーダの複数の検出器による光学センサエレメントの共用部分は、たとえば適当な光学反射エレメント、たとえば、1つまたは2つ以上のミラー、プリズムまたは同様の反射エレメントなどによって、たとえば、光学信号を適宜センサエレメントに向けることができるようにもたらされ得る。
【0037】
上述の実施形態の1つまたは2つ以上についてのバーコードリーダに加えて、上述の実施形態の1つまたは2つ以上の通り、少なくとも1つのバーコードリーダを備える装置が、少なくとも1つの情報を伝送するためにさらに提案される。装置は、さらに少なくとも1つのバーコードを有する少なくとも1つの担体を備えており、その担体は、たとえば担体に関連する上述の特徴を有している。例として、このバーコードは、バーコードに関連する上述の特徴を有するバーコードで有り得る。
【0038】
バーコードは、複数の情報モジュールおよび少なくとも1つのクロックトラックを備えている。クロックトラックの可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。以下でより詳細に説明するように、バーコードは、追加で、少なくとも1つの基準トラックを備えることができ、あるいはクロックトラックそれ自身は、上述したように、同時に基準トラックとして使用することができる。ここで、少なくとも1つの「追加の」基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを意味すると理解されるべきである。例として、少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックの隣に延びることができ、基準トラックは、たとえば、少なくとも1つのクロックトラックに直接隣接し、そうでなければ少なくとも1つのクロックトラックとは別に、たとえば空間を開けることの結果として具現化される。特に、少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラック対して平行に延びることができる。例として、少なくとも1つの追加の基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックに対して平行なオフセットを有し得る。さらに、少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックと同じ周期性を有し得ることが好ましい。少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックの周期性と比べて位相シフトしている周期性を有していることが好ましい。
【0039】
装置は、少なくとも1つの移動方向において、バーコードリーダに対して、担体を手で移動させることができるように、任意に構成される。この目的のために、装置は、たとえば、上述したように、担体を受けるための少なくとも1つの受容部を備え得る。受容部の可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。特に、受容部は、バーコードリーダに対する担体の手による移動が可能になるように構成される。しかし、原則として、他の実施形態も可能である。
【0040】
担体は、特に、医療消耗品、医療消耗品の部分または医療消耗品に接続された担体エレメントで有り得る。特に、これは、体液中の少なくとも1つの検体を検出するための分析用テストエレメント、たとえばテストストリップで有り得る。しかし、他の実施形態、特に上述の実施形態も可能である。
【0041】
クロックトラックは、より詳細には、移動方向に、すなわち所期の移動方向に対して平行に配置することができる。クロックトラックは、より詳細には、クロックトラック検出器を通過する時、クロックトラック検出器において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される複数の周期的に交替するクロックトラックモジュールを有し得る。移動方向のクロックトラックモジュールの繰り返し周波数は、特に、移動方向におけるバーコードの情報モジュールの繰り返し周波数に対応し得る。言い換えれば、移動方向におけるモジュール高さおよび/またはモジュール間隔は、たとえばクロックトラックおよびバーコードの情報モジュールについて対応し得る。追加の基準トラックが存在する場合、後者は、クロックトラックおよび/またはバーコードの情報モジュールとして同じ繰り返し周波数も有し得る。しかし、原則として、他の実施形態もまた一般的に可能であり、たとえばバーコードの情報モジュールなどの繰り返し周波数の整数倍である、移動方向における繰り返し周波数を有するクロックトラックにより可能である。
【0042】
特に、バーコードは、バーコードの少なくとも1つの情報フィールドに情報モジュールが配置されるように構成され得る。例として、この情報フィールドは、情報モジュールの横列および縦列、たとえば移動方向に対して平行に配列される縦列を有する長方形フィールドとして具現化することができる。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。クロックトラックは、情報フィールドとは別に、たとえば情報フィールドから分離して、具現化することができ、そうでなければクロックトラックは、情報フィールドに全体的にまたは部分的にも含まれ得る。特に、移動方向に対して平行な、情報フィールドの縦列端縁は、クロックトラックとしても使用できる。
【0043】
クロックトラックおよび/または任意の基準トラックとして、情報フィールドの少なくとも1つの縦列端縁を使用する代わりとして、またはそれに加えて、クロックトラックおよび/または任意の基準トラックはバーコードの内側にも移動できる。このように、たとえば、情報フィールドの情報モジュールを有する少なくとも1つの縦列が、それぞれ移動方向に対して垂直に両側で隣接するように、クロックトラックおよび/または基準トラックは具現化できる。特に、クロックトラックおよび/または基準トラックは、バーコードの中央の縦列に、またはバーコードの中央から好ましくは5モジュール幅以下、特に好ましくは2モジュール幅以下で配置されるバーコードの縦列に配置することができる。以下により詳細に説明するように、バーコード内側におけるクロックトラックおよび/または基準トラックの配置は、バーコードの中央であることが好ましいが、移動方向に対してバーコードの角度オフセットがある場合に、より大きなロバストを有するという利点を提供する。
【0044】
さらに、情報フィールドは、任意に、横列端縁および/または縦列端縁のモジュールが、バーコードリーダにおける均一の信号レベルを生成するために構成されて、後者が少なくとも1つの横列端縁および/または少なくとも1つの縦列端縁を備えるように具現化することができる。例として、全くの白または全くの黒の横列端縁、および全くの白または全くの黒の縦列端縁を用いることが可能である。これらの横列端縁または縦列端縁は、最初に、開始/停止信号として、そうでなければ信号レベルを較正するために使用できる。
【0045】
上述したように、バーコードは、さらに、クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを有し得る。基準トラックは、移動方向に対して平行に配置されることも好ましい。例として、基準トラックは、基準検出器を通過する時に、基準検出器において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される複数の周期的に交替する基準トラックモジュールを有し得る。ここで、基準トラックの周期性は、前者がクロックトラックと同じ繰り返し周波数を有するようで有り得る。しかし、基準トラックの周期性は、クロックトラックの周期性と比べてシフトすべきであり、好ましくはH/2の等しくない倍数だけ位相シフトすべきである。
【0046】
バーコードのモジュール、すなわち情報モジュールおよび/またはクロックトラックのモジュールおよび/または任意の基準トラックのモジュールは、一般に、移動方向におけるモジュール高さおよび移動方向に対して垂直なモジュール幅を有し得る。例として、バーコードのモジュールおよび/または任意の基準トラックのモジュールおよび/またはクロックトラックのモジュールは、移動方向における長方形の辺長がモジュール高さであり、移動方向に対して垂直な方向における長方形の辺長がモジュール幅である長方形状を有し得る。長方形は、正方形であり得るが、そうでなければ正方形でなくてもよい。
【0047】
バーコードのモジュールのモジュール高さ、すなわち、情報モジュール、クロックトラックのモジュールおよび基準トラックのモジュールからなる群から選ばれるモジュールのうちの1つまたは2つ以上のモジュールのモジュール高さは、モジュール幅と同じであり得るが、しかし、より詳細には、モジュール幅を超過してもよく、好ましくは少なくとも1.2倍、より詳細には少なくとも1.5倍、または2倍であってもよい。以下により詳細に説明するように、モジュールのこの細長い実施形態は、実際の移動方向に対する所期の移動方向の傾き、たとえばバーコードが傾きを有して担体上に適用される結果として、および/または、バーコードの縦列に対する、またはクロックトラックおよび/または基準トラックに対する、担体とバーコードリーダの間の相対移動の移動方向における傾きの結果としての傾きを許容することを可能にもする。それは、傾きに関らず、横一列づつの読み出しの場合、傾きに関らず同じ横列の読み込み処理もあることを確実にすることもできるからである。
【0048】
上述のバーコードリーダおよび示された任意の実施形態のうち1つまたは2つ以上における上述の装置に加えて、バーコードをさらに提案する。バーコードは、より詳細には消耗品の部分、より詳細には医療消耗品の部分であり得る。したがって、本発明による少なくとも1つの担体および少なくとも1つのバーコードを有するそのような消耗品は、それ自身が本発明の主題であり得る。特に、消耗品は、体液の少なくとも1つの検体を検出するための分析用テストエレメントであり得る。例として、分析用テストエレメントは、検体を検出するための少なくとも1つの試験薬を備えている。ここで、試験薬は、検出されるべき少なくとも1つの検体が存在する場合、少なくとも1つの検出可能な特性、たとえば物理的におよび/または化学的に検出可能な特性、より詳細には、電気化学的におよび/または光学的に検出可能な特性を明確に変化させる物質を意味すると理解されるべきである。分析用テストエレメントは、より詳細には、少なくとも1つの担体、たとえばストリップ形状またはテープ形状の担体、および担体に接続された少なくとも1つのバーコードを備えている。分析用テストエレメントは、上述の実施形態の1つまたは2つ以上の通りの装置において使用されるように構成されることが好ましい。
【0049】
バーコードは、複数の情報モジュールを備えている。バーコードは、さらに、少なくとも1つのバーコードリーダによって、情報モジュールの読み出しを刻時するための少なくとも1つのクロックトラックを備えている。移動方向において、バーコードとバーコードリーダの間の相対移動が存在する。この相対移動は、原則として、バーコードエレメントおよびバーコードリーダエレメントのうちの1つまたは両方、すなわちバーコード、バーコードリーダまたはバーコードおよびバーコードリーダが移動できるような方法で実行される。ここで、刻時は、少なくとも1つのその時に読み出される情報モジュールによる信号、たとえばバーコード検出器からの信号を、移動方向における空間情報に、たとえばアドレスカウンタの形で割り当てることを意味すると理解されるべきである。バーコードは、さらに、クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを備えている。基準トラックは、クロックトラックと比べて位相オフセットを有している。本発明によるバーコードのさらに可能な実施形態については、上述の記載が参照できる。したがって、バーコードは、たとえば上述の特徴を有する少なくとも1つのクロックトラックを有し、任意に、追加で、少なくとも1つの基準トラックを有し得る。さらに可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。
【0050】
したがって、消耗品は、消耗品が、特に、医療消耗品として具現化される、本発明のさらなる態様において提案される。特に、これは、上述の記載の通りの医療消耗品であり得る。したがって、消耗品は、原則として、バーコードによってマーキングされ得るあらゆる物品を備え得る。消耗品は、少なくとも1つの担体および少なくとも1つのバーコード、たとえば、上述の記載の通りに、担体に接続された少なくとも1つのバーコードを備えている。バーコードは、複数の情報モジュールを備えている。バーコードは、さらに、バーコードに対して移動方向で移動するバーコードリーダによって、情報モジュールの読み出しを刻時するための少なくとも1つのクロックトラックを備えている。例として、これは、上述の実施形態のうちの1つまたは2つ以上の通りのバーコードリーダであり得る。バーコードは、さらに、クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを備えており、基準トラックは、クロックトラックと比べて位相オフセットを有している。クロックトラック、基準トラックまたはさらなるバーコードの部分のさらに可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。
【0051】
上で示したバーコードリーダ、述べた装置および分析用テストエレメントに加えて、消耗品特有の情報を、少なくとも1つの医療消耗品から、医療消耗品と相互作用する医療機器へ、より詳細には、医療測定機器および/または治療機器へ伝送するために、上述の実施形態の1つの通りの装置を使用することを、さらに提案する。ここで、消耗品特有の情報は、医療消耗品の少なくとも1つの特性を特徴付ける情報を意味すると理解されるべきである。特に、これは、たとえば、医療消耗品によって実行される測定を評価するために用いられ、および/または予期される消耗品の使用に関するバッチ−特定情報であり得る。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、消耗品特有の情報は、消耗品のタイプまたは少なくとも1つの他の特性、たとえば製作者、用量、有効期限、医療消耗品のタイプまたは他のタイプの情報または前述の組み合わせおよび/または他の情報に関する情報を備え得る。医療測定機器は、特に、ユーザの少なくとも1つの身体の状態および/または試料の少なくとも1つの状態を定性的におよび/または定量的に取り込むように構成される診断測定機器であり得る。特に、これは、試料、より詳細には、体液の試料における少なくとも1つの検体を定性的にまたは定量的に検出するように構成される診断測定機器であり得る。例として、少なくとも1つの検体は、少なくとも1つの代謝物質であり得る。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、医療機器は、少なくとも1つの投薬装置を備え、または投薬装置として具現化することができる。本発明のこの態様において、そうでなければ他の態様において、医療消耗品は、たとえば薬剤または治療薬であり、またはそのような薬剤または治療薬を備え、またはたとえばそのような薬剤または治療薬の包装であり、またはそのような包装の部分であり得る。消耗品特有の情報は、たとえば用量、利用情報、有効期限または同様の情報を備え得る。
【0052】
本発明のさらなる態様において、移動する担体に接続される光学式バーコードを取り込む方法を提案する。特に、この方法は、バーコードリーダおよび/または上述の実施形態の1つまたは2つ以上による装置を用いて実行することができる。したがって、方法の可能な実施形態については上述の記載を参照できる。提案される方法において、移動するバーコードの情報モジュールは、少なくとも一次元的に取り込まれる。さらに、少なくとも1つのクロックトラック検出器は、バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むために使用される。さらに、バーコードからの少なくとも1つの基準情報は、少なくとも1つの基準検出器によって取り込まれる。担体の移動方向は、クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および基準検出器からの少なくとも1つの信号から割り出される。
【0053】
方法のさらに可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。特に、基準検出器は、以下の光学信号から選択される光学信号を受けるように構成され得る。クロックトラック検出器からの所定の空間オフセット、より詳細には、移動方向に対して平行なオフセット位置でのクロックトラックからの光学信号。クロックトラックとは別であり、クロックトラックに対してモジュールオフセットを有する基準トラック、すなわち、たとえば、クロックトラックに対して位相シフトしている基準トラックからの光学信号。
【0054】
結論として、以下の実施形態は、本発明の範囲内において特に好ましい。
【0055】
実施形態1:移動する担体に結合されたバーコードを取り込むためのバーコードリーダであって、前記バーコードリーダが、前記バーコードの情報モジュールの少なくとも一次元取り込みのための少なくとも1つの光学式バーコード検出器を備え、前記バーコードリーダが、さらに、前記バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むための少なくとも1つの光学式クロックトラック検出器および前記バーコードから少なくとも1つの基準情報を取り込むための少なくとも1つの光学式基準検出器を備え、前記バーコードリーダが、前記クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および前記基準検出器からの少なくとも1つの信号から、前記担体の移動方向を割り出すように構成されるバーコードリーダ。
【0056】
実施形態2:前記バーコードリーダが、前記クロックトラック検出器からの信号における前記クロックトラックに起因する少なくとも1つの信号変化、より詳細にはポジティブまたはネガティブエッジを取り込むように構成される実施形態1記載のバーコードリーダ。
【0057】
実施形態3:前記バーコードリーダが、前記クロックトラック検出器により取り込まれる信号変化のサイン、および前記基準検出器からの信号の絶対値、より詳細には前記基準検出器からの同時に発生する信号の絶対値、から前記移動方向を割り出すように構成される実施形態1または2記載のバーコードリーダ。
【0058】
実施形態4:前記バーコードリーダが、
前記クロックトラック検出器からの信号においてネガティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において第1の信号レベルが識別される場合、または前記クロックトラック検出器からの信号においてポジティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において第2の信号レベルが識別される場合、第1の移動方向を割り出すように、および
前記クロックトラック検出器からの信号においてポジティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において第1の信号レベルが識別される場合、または前記クロックトラック検出器からの信号においてネガティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において前記第2の信号レベルが識別される場合、前記第1の移動方向とは反対の方向の第2の移動方向を割り出すように構成される実施形態3記載のバーコードリーダ。
【0059】
実施形態5:さらにデータ記憶装置を備え、前記バーコードリーダが、前記バーコードの横列に含まれる情報を読み出し、それぞれ、横列に対応するアドレスカウンタとともに、前記データ記憶装置に保存するように構成され、前記バーコードリーダが、識別された移動方向に従って、前記アドレスカウンタをインクリメンタルに増加または減少させるように構成される実施形態1〜4のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0060】
実施形態6:前記光学式クロックトラック検出器が、前記バーコード検出器の一部である実施形態1〜5のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0061】
実施形態7:前記基準検出器が、前記クロックトラック検出器に対して、
前記基準検出器が、前記移動方向に対して垂直な方向において、前記クロックトラック検出器の隣に配置されるか、および/または
前記基準検出器が、前記移動方向に対して平行な方向において、前記クロックトラック検出器に対して、オフセットだけオフセットして配置され、前記オフセットが、好ましくは、前記バーコードの前記モジュールのモジュール高さの等倍数からずれて配置される実施形態1〜6のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0062】
実施形態8:少なくとも1つの光学センサエレメント、より詳細には横一列のセンサを備え、前記クロックトラック検出器および前記基準検出器が、前記光学センサエレメントを使用するように構成される実施形態1〜7のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0063】
実施形態9:光学的な前記基準情報が、
前記バーコードの基準トラックからの光学情報、および
前記クロックトラック検出器により読み出される前記クロックトラックからの現在の光学情報から所定のオフセットの位置にある、より詳細には、前記クロックトラックのモジュール高さの等倍数からずれるオフセットの位置にある、前記バーコードの前記クロックトラックからの光学情報から選択される実施形態1〜8のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0064】
実施形態10:さらに担体を受けるための受容部を備え、前記受容部が、前記バーコードリーダに対して前記担体が移動できるように構成され、前記バーコードリーダが、前記受容部内で前記担体が移動する間、前記バーコードリーダによって前記バーコードを読み出すことができるように構成される実施形態1〜9のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0065】
実施形態11:実施形態1〜10のいずれか1つに記載の少なくとも1つのバーコードリーダを備え、さらに少なくとも1つのバーコードを有する少なくとも1つの担体を備えた、少なくとも1つの情報を伝送する装置であって、前記バーコードが、複数の情報モジュールおよび少なくとも1つのクロックトラックを備えている装置。
【0066】
実施形態12:前記クロックトラックが、複数の周期的に交替するクロックトラックモジュールを有し、前記交替するクロックトラックモジュールが、前記クロックトラック検出器を通過する時に、前記クロックトラック検出器において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される実施形態11記載の装置。
【0067】
実施形態13:前記クロックトラックが、複数の連続クロックトラックモジュールを有し、連続クロックトラックモジュールが、前記バーコードにおいて直線のライン、または湾曲したラインに沿って連続的に配置され、前記バーコードの情報モジュールとして同時に機能しないが、前記バーコードが前記バーコードリーダに対して移動する時に、クロックとしてだけ機能する実施形態11または12記載の装置。
【0068】
実施形態14:前記バーコードが、二次元バーコードである実施形態11〜13のいずれか1つに記載の装置。
【0069】
実施形態15:前記バーコードが、さらに少なくとも1つの基準トラックを有している実施形態11〜14のいずれか1つに記載の装置。
【0070】
実施形態16:前記基準トラックが、第2のクロックトラックとして具現化され、前記基準トラックが、前記クロックトラックと同じ周期性を有し、前記クロックトラックと比べて位相シフトを有している実施形態15記載の装置。
【0071】
実施形態17:前記基準トラックが、前記移動方向に対して平行に配置されている実施形態15または16記載の装置。
【0072】
実施形態18:前記基準トラックが、複数の周期的に交替する基準トラックモジュールを有し、前記交替する基準トラックモジュールが、前記基準検出器を通過する時に、前記基準検出器において少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成され、前記基準トラックの周期性が、前記クロックトラックの周期性と比べて位相シフトしている実施形態15〜17のいずれか1つに記載の装置。
【0073】
実施形態19:前記基準トラックが、前記クロックトラックと同じ周期性を有している実施形態15〜18のいずれか1つに記載の装置。
【0074】
実施形態20:前記基準トラックが、前記クロックトラックに対して平行に配列されている実施形態15〜19のいずれか1つに記載の装置。
【0075】
実施形態21:前記バーコードのモジュールが、前記移動方向のモジュール高さ、および前記移動方向に対して垂直のモジュール幅を有し、前記モジュール高さが、前記モジュール幅を超過し、好ましくは少なくとも1.2倍、より詳細には少なくとも1.5倍である実施形態11〜20のいずれか1つに記載の装置。
【0076】
実施形態22:複数の情報モジュールを備えたバーコードであって、前記バーコードが、さらに、少なくとも1つのバーコードリーダにより、情報モジュールの読み出しを刻時するクロックトラックを備え、移動方向において、前記バーコードと前記バーコードリーダの間に相対移動が存在し、前記バーコードがさらに、前記クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを備え、前記基準トラックが、前記クロックトラックと比べて位相オフセットを有している、バーコード。
【0077】
実施形態23:少なくとも1つの医療消耗品から、医療消耗品と相互作用する医療機器へ、より詳細には、医療測定機器および/または治療機器へ、消耗品特有の情報を伝送する実施形態11〜21のいずれか1つに記載の装置の使用。
【0078】
実施形態24:移動する担体に結合された光学式バーコードを取り込む方法であって、前記バーコードの情報モジュールが、少なくとも一次元的に取り込まれ、少なくとも1つのクロックトラック検出器が、前記バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むために使用され、さらに、前記バーコードからの少なくとも1つの基準情報が、少なくとも1つの基準検出器によって取り込まれ、前記担体の移動方向が、前記クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および前記基準検出器からの少なくとも1つの信号から割り出される方法。
【0079】
上述のバーコードリーダ、装置、バーコード、使用および方法が、一定の引抜速度および協調した移動プロセス、特に、データの読み出しの単一指向性を前提とする、手動で操作されるプル型リーダおよび/または特に、二次元バーコードのためのスワイプリーダ、または長手リーダを実現することを可能にする。示された解決策は、特に、協調移動プロセスを主として省略することができる、一次元および二次元バーコードの双方のための、手動で操作されるプル型またはプッシュ型リーダを実現することを可能にする。本発明は、限定されるものではないが、たとえば、分析用テストストリップの場合のように、1つの寸法が他の寸法よりも著しく長い物品に、特に有利に適用される。しかし、本発明は、異なる方法で実現されたバーコードスキャナシステムの信頼性を向上させるためにも適用することができる。
【0080】
特に二次元バーコードについて、本発明にしたがって、簡単に実行することができ、費用効果のある二次元バーコードリーダシステムを提供することができる。この場合に、上述の任意の特徴は、代わりにまたは追加的に使用することができる。このように、たとえば、第2の、追加のクロックトラックが、基準トラックとして使用できる。後者は、実際のクロックトラックと相互作用することができる。例として、基準トラックの幾何学的形状は、実際のクロックトラックと完全に同じである実施形態を有することが可能であるが、それと比較して位相オフセットを有して配置され得る。
【0081】
第1の信号レベルを有するモジュールおよび第2の信号レベルを有するモジュールが交互に繰り返すクロックトラック(バイナリクロックトラック)が使用される場合、たとえば、クロックトラックの周期性における90°の位相シフトに対応するモジュールの半分の位相オフセットが存在し得る。この場合に、特に、クロックトラック検出器および基準検出器からの信号が比較される同時性識別によって、2つのトラックにおけるそれぞれの状態の変化、またはこれら2つのトラックの状態の変化のうち少なくともいくつかが、空間分解能を決定すること、および移動方向を決定することの双方のために使用されことが実現できる。原則として、そのような方法は、機械計測学からの変位エンコーダまたは回転センサ技術によって公知である。対照的に、この原理の使用は、本発明に従って提案されるように、一次元そうでなければ多次元のバーコードをデコードする場合には、公知ではない。本願の場合、この原理は、特に、バーコードデコーダアルゴリズムにおける部分的なアルゴリズムとして使用することができる。
【0082】
さらに、光学式スキャナシステムにおける幾何学的配置において変更があり得るが、さらなる過程において、導入される基準トラック、たとえば方向トラックの移動があり得る。先行技術による二次元バーコードは、すでに大抵クロックトラックを備えており、多くの場合、少なくとも複数の感光エレメント(ピクセル)を有する光学列センサによってスキャンされるので、追加の基準トラックまたは方向トラックは、本発明に従って、第2の、追加のセンサが、クロックトラック検出器に対する位置空間において、空間的なオフセットまたは位相オフセット、たとえばすでに存在するクロックトラックに対して90°の位相オフセットを伴って配置されるという1つの選択的な条件に限って、省略することができる。バーコード検出器および/またはクロックトラック検出器および/または基準検出器またはこれらの検出器のいくつかまたはすべては、任意にいわゆる密着イメージセンサ(CIS)として具現化される。これは、検出器が、実用上、バーコード上で直接停止することができ、または、バーコードから多くても5mmの距離で配置することができることを意味している。例として、そのようなCISセンサは、任意に、1つまたは2つ以上の反射エレメント、たとえば1つまたは2つ以上のスプリットミラーおよび/またはプリズムを組み合わせて、CCD列の形で達成することができる。
【0083】
クロックトラックが存在するが、しかし、クロックトラック自身が、(実際のクロックトラックとしておよび基準トラックとして)2回使用されるような追加の基準トラックは存在しない従来のバーコードに使用される場合、これは、さらに、市販のカメラスキャナが使用できるという利点を有しており、本発明に従って、適合させる必要があるのは、評価アルゴリズムだけである。特に、バーコードを設計するための特定の規則を、たとえばいわゆるクワイエットゾーン、すなわちモジュールを全く含まないゾーンの使用に付着させなければならない場合に、これは生じ得る。
【0084】
クロックトラックが、追加で基準トラックとしても使用することができる結果として、クロック検出器と比べて空間的にオフセットしている基準検出器、より詳細には、モジュール高さの半分の等しくない倍数だけ移動方向でオフセットしている基準検出器が使用される上述の実施形態は、さまざまなさらなる利点を有している。このように、たとえば、二次元検出器、たとえば複数の光学列センサを有するシンプルな光学式フィールドセンサを使用することができる。さらに、二次元CCDアレイを有するCCDカメラを使用することができる。この場合に、たとえば横列センサまたはこの横列センサの部分をクロック検出器として使用することができ、および検出器の他の横列または他の横列の部分を基準検出器として使用することができるが、たとえば位相距離(n・360°)+90°、すなわち結果として相間中心距離90°を有する横列、および/または、位置空間に対して、たとえば相間中心距離(n・2・H)+1/2Hを有する横列を使用することができる。利用されるバーコード、より詳細には二次元バーコードの幅に応じて、その分解能については、利用される光学式フィールドセンサに対して低い要求のみがなされる。例として、二次元バーコード(ここでたとえば全領域)が全体長さに対して分配されている場合、光学式コンピュータマウスにおいて通常使用されているように、シンプルなマウスセンサをすでに使用することができる。
【0085】
本発明によると、さらに、角度オフセットエラーに対して安定させることができる。プル型および/またはプッシュ型リーダのそれぞれは、一般的に、スキャンされる消耗品のガイドを備えているので、このガイドが十分な頭上スペースを有していることも必要である。しかし、これは、一般的に、移動方向と縦列方向または移動方向に対するバーコードのクロックトラックの方向の間の角度オフセットにつながる。バーコードを担体に適用した時のエラー、たとえば印刷エラーは、そのような角度オフセットをもたらす。個々のモジュールを長手方向に、すなわち所期の移動方向に対して平行に引き延ばすように、バーコードの幾何学的形状を変更した結果として、角度オフセットのある値に対して調整可能な安定性を達成することができる。モジュールが長いほど(モジュール高さが大きいほど)、角度オフセットが大きくなる可能性がある。
【0086】
さらに、本発明によると、シンプルなフラットスキャニングシステムを実現することができる。特に、これは、密着イメージセンサ(CIS)、たとえば1つまたは2つ以上のCCD列の形で密着イメージセンサを使用することにより達成することができ、密着イメージセンサのイメージングは、たとえば0.5から0.7mmの領域で実現することができる。
【0087】
本発明のさらなる詳細および特徴は、好ましい例示の実施形態の以下の記載、特に従属請求項と併せた記載から明らかになる。ここで、それぞれの特徴は、それら自身でまたは、それらのいくつかが一緒に、互いに組み合わせて、実現することができる。本発明は例示の実施形態に限定されることはない。例示の実施形態は、図において模式的に示されている。ここで、個々の図における同じ参照符号は、同等のまたは機能的に同等のエレメント、または機能の点から対応するエレメントを示している。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】クロックトラックおよび方向トラックとして具現化される基準トラックを有する二次元バーコードの本発明による改良の第1の例示的実施形態を示す。
図2】クロックトラックおよび追加の基準トラックの形の方向トラックを有する一次元バーコードの本発明による改良の第2の例示的実施形態を示す。
図3a】信号レベルのグラフ表示および信号レベルの変化を示す。
図3b】信号レベルのグラフ表示および信号レベルの変化を示す。
図3c】信号レベルのグラフ表示および信号レベルの変化を示す。
図4】クロックトラックに対する、クロックトラックおよび基準トラックにおける状態の変化を示す。
図5a】クロックトラックおよび基準トラックにおける信号のさまざまな一致およびアドレスカウンタのインクリメンタルな増加または減少への信号の変換を示す。
図5b】クロックトラックおよび基準トラックにおける信号のさまざまな一致およびアドレスカウンタのインクリメンタルな増加または減少への信号の変換を示す。
図5c】クロックトラックおよび基準トラックにおける信号のさまざまな一致およびアドレスカウンタのインクリメンタルな増加または減少への信号の変換を示す。
図5d】クロックトラックおよび基準トラックにおける信号のさまざまな一致およびアドレスカウンタのインクリメンタルな増加または減少への信号の変換を示す。
図6】二次元バーコードからの情報の読み取りの概略図を示す。
図7a】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7b】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7c】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7d】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7e】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7f】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7g】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7h】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7i】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7j】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7k】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7l】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7m】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7n】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図7o】読み取り処理およびデータ記憶装置への対応する情報伝送の間の二次元バーコードにおける一連の状態の変化を示す。
図8】すでにクロックトラックを含むが、追加の基準トラックが追加された二次元データマトリクスコードを示す。
図9図8の実施形態と比べて180°だけ回転したバーコードで、クワイエットゾーンおよびバーコードのL−ファインダが、白値基準および黒値基準として使用することができるバーコードを示す。
図10図9の通りのバーコードの修正で、クロックトラックが1モジュールだけ伸び、クロックトラック自身が、追加の基準検出器によって、基準トラックとして使用することができる修正を示す。
図11図10の通りのバーコードの選択的な実施形態で、クロックトラックが、読み取り方向に対して横方向に伸びた実施形態を示す。
図12a】光学式接触リーダの形のバーコードリーダの例示の実施形態で、基準検出器として、追加の、位相シフトしたセンサを有する実施形態を示す。
図12b】光学式接触リーダの形のバーコードリーダの例示の実施形態で、基準検出器として、追加の、位相シフトしたセンサを有する実施形態を示す。
図13】2つの位相シフトした列が使用されるバーコードおよび光学二次元センサの形のバーコードリーダを示す。
図14】バーコードおよびその担体が、角度オフセットをもってバーコードリーダに挿入された場合の読み取りエラーの問題の説明を示す。
図15】押しまたは引き方向でバーコードのコードモジュールを伸ばすことによる、図14の通りの角度オフセットの問題の解決策を示す。
図16】テストストリップの形の消耗品を有する医療測定機器の形の、本発明による装置の例示の実施形態を示す。
図17図15の代わりとして、クロックトラックおよび追加の基準トラックを内部に有するバーコードの例示の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
上に示したように、本発明の1つのアイデアは、2つの互いの位相オフセット、および好ましくはクロックトラック検出器および基準検出器からの同時発生の信号が比較されるようにバーコードを読み出すことから成る。ここで、これらは、同じクロックトラックによって記録された信号であるが、互いに対して空間位相オフセットを有するものか、またはクロックトラックからの信号および別の、位相シフトしたバーコードの基準トラックからの信号であり得る。位相オフセット信号が生成される、これらの選択肢の組み合わせ、または他の実施形態もまた実施可能である。
【0090】
図1および2は、例示的に、光学式バーコード110の2つの異なる実施形態の例示の実施形態を示している。例として、バーコード110はそれぞれ担体112に適用することができ、または別の方法で担体112に接続する、たとえば担体112に導入することができる。例として、担体は、テストストリップの担体、たとえば紙、ラミネート、プラスティックまたは他の材料の担体であり得る。
【0091】
情報担体として、バーコード110は、それぞれ、いわゆるモジュール114を有している。原則として、モジュール114は、バーコード110のあらゆる領域であり、たとえば所定の長方形、正方形、または、(原則として可能である)三次元バーコードの場合、空間においてあらかじめ定めることが可能な領域であり、これらの領域は、それぞれ、少なくとも2つの光学的に測定可能な状態を前提とする。その状態が、たとえばバーコード110の表面の反射率に関連する図示されたバイナリコードの場合、これらは、「黒」、すなわち低反射率、および「白」、すなわち高反射率の状態である。これらの2つの状態は、任意に、数値情報「0」および「1」を割り当てることができる。
【0092】
バーコード110は、それぞれ、バーコード110の情報フィールド118に配置される複数の情報モジュール116を備えている。図1および2に示されるバーコード110において、情報フィールド118は、x方向に沿う幅およびy方向に沿う長さを有する長方形フィールドとして具現化され、y方向は、理想的には、図2において単に指し示されているだけであり、図1には描かれていないバーコードリーダ124の検出器122に対する担体112の移動方向120に対して平行に配列されている。y方向は、このように、所期の移動方向を構成することが好ましいが、以下でより詳細に説明するように、本当の移動方向または実際の移動方向からずれることもできる。
【0093】
図2のような一次元バーコードは、単に、y座標ごとに、すなわち横列ごとに1つの情報モジュール116を有しているだけであるが、図1の通りの二次元バーコードは、情報フィールド118におけるそれぞれのy座標について、互いの隣に配置された複数の情報モジュール116を、すなわち横列126ごとに複数の情報モジュール116を有している。以下の本文において、同じy座標を有するモジュール114は、「横列」と呼ばれ、同じx座標を有するモジュールは、「縦列」と呼ばれる。
【0094】
さらに、図1および2のような例示の実施形態におけるバーコード110は、それぞれクロックトラック128を有している。このクロックトラック128は、y方向における情報モジュール116として、y方向に対して平行に配列されており、同じ周期性、すなわちモジュール114の同じ繰り返し周期を有していることが好ましい。したがって、示された例示の実施形態におけるクロックトラック128は、同様に、順番に少なくとも2つの状態を前提とするクロックトラックモジュール130を備えている。示された、バイナリの例示の実施形態において、これらは、同様に「黒」および「白」の状態である。示された例示の実施形態においては、クロックトラックは、同様にy方向において周期的な実施形態を有し、それで、それぞれ周期的なクロックトラックモジュール130は、同じ情報とともに繰り返す、すなわちこの例示の実施形態においては、黒および白クロックトラックモジュール130が交互に繰り返す。
【0095】
ここで、クロックトラック128は、情報モジュール116の横列126と比べて位相シフトしていないことが好ましい。これは、クロックトラックモジュール130が、それぞれ、対応する横列126の対応する情報モジュール116と同じy座標を有していることを意味している。
【0096】
さらに、図1および2の例示の実施形態の通りのバーコード110は、任意に、方向トラックとも呼ぶことができる基準トラック132も有している。なぜならば、たとえば、この基準トラック132に含まれる情報を用いて、現在の移動の方向を決定することができるからである。基準トラック132は、順番にy方向に対して平行に配置され、順番に基準トラックモジュール134を有し、順番に少なくとも2つの状態をとることができる。図示されたバイナリの例において、これらは、同様にはっきりした2つの状態、すなわち「黒」および「白」の状態である。ここで、基準トラックモジュール134の周期性は、順番に、y方向において、情報モジュール116および/またはクロックトラックモジュール130の周期性と同じであることが好ましく、基準トラックモジュール134は、y方向において、クロックトラックモジュール130および/または情報モジュール116と同じモジュール高さ(図1においてHで示される)を有していることが好ましい。しかし、基準トラック132は、クロックトラック128と比べて、および情報モジュール116と比べて位相シフトしている。これは、そのy座標について、基準トラックモジュール134の中央が、クロックトラックモジュール130の中央から、たとえばモジュール高さHの半分だけ離れていることを意味している。例として、図1および2に示される例示の実施形態において、黒い基準トラックモジュール134の中央は、それぞれ、より小さいy座標の方向に、モジュール高さHの半分だけ移されている。これは、以下でより詳細に説明する。
【0097】
図2は、バーコード110を有する担体112がそれに対して移動するバーコードリーダ124の部分として、検出器122を象徴的に示している。示された例示の実施形態において、検出器122は全体として、例示的に、横列検出器136として具現化され、たとえば、個々の光学センサ138を有する横一列の光学センサを備え得る。しかし、原則として、たとえば、二次元に配置された光学センサ138を有する二次元検出器として具現化される検出器124によって、たとえばコンピュータマウスに通常使用される検出器の形で、他の実施形態も可能である。光学センサ138は、たとえば、CCDセンサとして具現化することができ、それで横列検出器136は、たとえば、横一列のCCDセンサを備え得る。しかし、原則として、他の実施形態も可能である。
【0098】
示された例示の実施形態において、担体112が移動方向120で移動する時に情報モジュール116がガイドされて通り過ぎる横列検出器136のそれらの光学センサ138は、バーコード検出器140と呼ばれる。担体112が移動する時にクロックトラック128を取り込むそれらの光学センサ138は、クロックトラック検出器142と呼ばれ、基準トラック132を取り込むそれらの光学センサ138は、基準検出器144と呼ばれる。図2に示されるように、これらの検出器140、142、144は、例示的に、別の検出器として具現化することができる。しかし、代わりとして、これらの検出器の2つが、たとえば、以下でより詳細に説明するように、クロックトラック検出器142が、バーコード検出器140の中に統合されるように、組み合わされて具現化することも可能である。
【0099】
図3a〜3cを用いて、バーコード110およびモジュール114における情報の蓄積および情報の再生を議論する時に以下の本文で使用する異なる用語を説明する。上に示したように、バーコード110は、例示では、バイナリバーコードである。したがって、たとえば、低反射率を有し、図3a〜3cにおいて「低」モジュール146と呼ばれるモジュール114、および高反射率を有し、したがって、図3a〜3cにおいて「高」モジュール148と呼ばれるモジュール114が存在し得る。例として、低モジュール146が、「0」として解釈され、高モジュール148が、「1」として解釈され得る。これは、図3aに例示的に示される。
【0100】
図3bおよび3cは、低モジュール146から高モジュール148に移行する場合(図3b)、および高モジュール148から低モジュールに移行する場合における(図3c)クロックトラック検出器142からの信号を示している。ここで、状態の変化は、図3aおよび3bにおいて、参照符号150によって象徴的に示している。そのような状態の変化は、クロックトラック検出器142が、クロックトラック128における2つのモジュール130間の移行部を通過する時に、担体112が移動方向120で移動する場合、必ず生じる。この例示の実施形態において、クロックトラック検出器142は、他の検出器140、144と同様に、バーコード110からの反射光を検出することが好ましい。しかし、上述したように、原則として、他の光学信号を検出することも可能である。状態の変化150に従って、その移行の間に反射光の強度に変化が生じ、その結果、クロックトラック検出器142からの信号において移行エッジ152を生じさせる。この移行エッジは、図3bの通りの移行の場合、ポジティブエッジ154として、図3cの通りの移行の場合、ネガティブエッジ156として具現化される。
【0101】
図4は、クロックトラック128について、横列検出器136(図4には示されていない)に対して担体112が移動する場合の、一連の状態の変化150を示している。ここで、状態の変化150は、それぞれ低モジュール146から高モジュール148への移行、またはその逆である。
【0102】
図5a〜5dは、本発明による方法の例示の実施形態を、クロックトラック検出器142および基準検出器144からの信号によりどのように移動方向120を割り出すことを可能にするのか、すなわちバーコードリーダ124に対する担体112の移動のサイン、より詳細には検出器122に対する、たとえば横列検出器136に対する担体112の移動のサインをどのように割り出すことを可能にするかについて説明する。この方法の目的は、バーコード110の横列126から、より詳細には情報フィールド118の横列126から情報を連続して読み出すこと、およびこの情報を正しいアドレスに割り当てること、すなわち、たとえば、情報フィールド118の内容が、その後、データ記憶装置に、横列カウンタに応じて正確に記憶することができるように、正しい横列カウンタアドレスを有するデータ記憶装置の記憶領域に割り当てることである。ここで、横列カウンタは、たとえば横列126のy軸上の絶対座標、またはこの値と同等であるカウンタを特定する。しかし、原則として、他の実施形態も可能である。
【0103】
クロックトラック検出器142からの信号は、それぞれ図5a〜5dの左手側に示している。ここで、例として、それは、示されるアルゴリズムによって評価されるこの信号の絶対値ではなく、むしろ、ここで移行エッジ152によって示されるこの信号の変化である。この隣には、基準トラックの状態132が、それぞれ大文字「L」または「H」で表されており、その状態は、図5a〜5dにおいては参照符号158として示されている。特に、これは、基準検出器144からの信号またはそこから引き出される信号の絶対値であり得る。この場合に、それは、特に考慮される、基準検出器144およびクロックトラック検出器142からの同時発生の信号、すなわち、上述の定義の意味の範囲内においてほぼ同時に生じる信号である。
【0104】
ここで、図5a〜5dのような、別の同時発生する信号が処理の中で生じ得る。状態の変化150が、クロックトラック128上に存在すれば、すなわち、クロックトラック検出器142が、2つのクロックトラックモジュール130の境界を通れば、以下のことが同時発生する。
【0105】
図5a:高から低への移行(すなわちネガティブエッジ)および基準トラック132の状態が低または0。これは、図1に基づいて容易に説明できるように、基準トラックモジュール134が、図1および2のように示された例示の実施形態において、クロックトラックモジュール130と比べて上側に変位された、たとえば、1モジュール高さ以下、好ましくはモジュール高さHの半分の値だけ、担体112が、検出器122に対して上側に移動することを意味している。この点において、バーコード110の情報部分が記憶されるデータ記憶装置のアドレス、すなわち、それぞれのクロックトラックモジュール130に関連する横列の情報モジュール116の内容、すなわち横列カウンタがインクリメンタルに増加し、そこで、関連する横列のバーコード110の情報部分が、この記憶装置に書き込まれ得る。ここで、インクリメンタルな増加は、それぞれ、図5a〜5dにおいて、小文字のiで示されており、横列カウンタの段階的な減少はdにより示されている。
【0106】
図5b:低から高への移行(すなわちポジティブエッジ)および基準トラック132の状態が高または1。この場合に、横列カウンタがインクリメンタルに増加して(i)、そこで、バーコード110の情報部分が、記憶装置に書き込まれ得る。
【0107】
図5c:高から低への移行(すなわちネガティブエッジ)および基準トラック132の状態が高または1。この場合に、横列カウンタがインクリメンタルに減少して(d)、そこで、バーコード110の情報部分が、記憶装置に書き込まれ得る。
【0108】
図5d:低から高への移行(すなわちポジティブエッジ)および基準トラック132の状態が低または0。この場合に、横列カウンタがインクリメンタルに増加して(d)、そこで、バーコード110の情報部分が、記憶装置に書き込まれ得る。
【0109】
この機能的原理は、もう一度図6における例示的な図に基づいて説明されるべきである。担体112は、バーコード110が取り付けられ、例示的に、図1と同様に具現化されて、ここでもう一度図示される。ここで、担体112は、バーコードリーダ124の検出器122に対して、送り方向とも呼ぶことができる移動方向120において変位させられる。データ記憶装置160もまた図示されているが、そのデータ記憶装置160においては、検出器122によって読み出される、バーコード110の情報フィールド118の情報モジュール116に含まれる情報が、それぞれの横列126に対応し、それゆえに横列カウンタとも呼ぶことができるアドレス162において正確に記憶されるべきである。したがって、データ記憶装置160は、図示された例示の実施形態において、アドレス162のそれぞれの値について、5つの記憶領域を有している。なぜならば、5つの情報モジュール116は、図示された例示の実施形態において、例示的に、それぞれの横列126に提供されるからである。例示的に、図6のような例示の実施形態におけるアドレス162は、初期値−1から始まる。しかし、他の実施形態も可能であることは自明である。
【0110】
例として、担体112上のバーコード110は、横列検出器136によって読み出すことができる。他の実施形態も可能であり、上述の記載を参照できる。クロックトラック128は、移行エッジ152の記号により表される必要な状態の変化150を確実にする。クロックトラック128における状態の変化の後、または同時に読み取られる基準トラック132の状態158は、バーコード110の情報部分が読み込まれるデータ記憶装置160のアドレス162の状態と同じく、図6に同様に示される。
【0111】
図7a〜7oにおける状態の変化のシーケンスは、読み取りプログラムのシーケンスを説明するために使用される。ここで、図7a〜7hにおいて、バーコード110の担体112は、検出器122に対して図中上側に移送される。対照的に、図7i〜7oにおいて、担体112は下側に移送される。すなわち図7hと7iの間において方向の変化が存在した。
【0112】
例として、図7aに示されるように、出発点は、アドレス162の、すなわち横列カウンタのプリセット(プリセット値)−1値である。図7bにおいて、基準トラック132の同時低値とともに、ネガティブエッジが生じ、その結果として、横列カウンタ162は1だけ0値まで増加し、現在の横列の対応する情報は、この0値に関連するデータ記憶装置160の横列に読み込まれる。図7cにおいて、状態の変化が生じることなく、担体112は移動する。図7dにおいて、新しい状態の変化が生じる。この場合においては、基準検出器144からの信号の高値を伴った、クロックトラック検出器142からの信号におけるポジティブエッジである。もう一度、横列カウンタは、対応してインクリメンタルに1値まで増加して、その後、別の状態の変化まで読み取られるバーコード検出器140からの情報は、この1値に関連するデータ記憶装置160の横列に記憶される。図7eは、もう一度、クロックトラック検出器142からの信号において状態の変化150がない状態を図示している。それから、図7fにおいて、低状態を伴い、順番に、インクリメンタルな増加および対応する横列の読み取りにつながるネガティブエッジが存在する図7gにおいては、さらなる状態の変化はない。図7hにおいて、基準検出器144の「高」状態を伴い、順番に、横列カウンタ162のインクリメンタルな増加およびデータ記憶装置160の対応する横列に読み込まれるバーコード検出器140からの情報につながるポジティブエッジがもう一度生じる。
【0113】
上述したように、クロックトラック検出器142からの信号におけるネガティブエッジは、基準検出器144からの信号において高(H)状態を伴い、シーケンスの図示された例示の実施形態における図7hと7iの間で突然もう一度生じる。上述したように、これは、方向変化、すなわち、送りまたは移動方向120の反転の識別につながる。したがって、横列カウンタ162は、継続してインクリメンタルに増加するのではなく、インクリメンタルに減少する。バーコード検出器140から読み取れられる情報は、処分することができるか、またはデータ記憶装置160にすでに読み取られた横列(図7iにおいて斜体文字で表されている)の正確性の処理につなげることができる。このようにして、試験を行なうことができる。図7jにおいて、クロックトラック検出器142からの信号における状態の変化は、もう一度記録されることはなく、横列カウンタのアドレス162は変わらずに残る。図7kにおいて、低値を伴い、横列カウンタ162におけるさらなるインクリメンタルな減少につながるポジティブエッジがもう一度生じ、処理中またはその後、次の状態の変化150までに読み取られるバーコード検出器140からの情報内容は、データ記憶装置160におけるこの横列のすでに記憶されたデータをチェックするためにもう一度使用される。図7lにおいては、もう一度の状態の変化はない。図7mにおいて、高値を伴い、横列カウンタ162におけるさらなるインクリメンタルな減少につながるネガティブエッジがもう一度生じる。図7nにおいて、さらなる状態の変化はなく、図7oにおいて、低値を伴い、アドレス162のさらなるインクリメンタルなプリセット値−1への減少につながるポジティブエッジがもう一度存在する。横列カウンタ162のプリセット値にもう一度到達する時、たとえば、バーコード110の開始位置に到達したことを推測することができる。
【0114】
図1および2の通りの例示の実施形態において、情報フィールド118とクロックトラック128および/または基準トラック132とは、例示的に、クワイエットゾーン164によって互いに分離している。ここで、クワイエットゾーン164は、一般的に、クロックトラック128および/または基準トラック132が、情報フィールド118内の情報モジュール116に直接隣接しないような間隔を意味すると理解される。しかし、これは必ずしもそうではなく、クロックトラック128および/または基準トラック132は、全体的にまたは部分的に、情報フィールド118に統合することもできる。しかし、クロックトラック128および、任意に、基準トラック132も同様に、移動方向120に、クロックトラックモジュール130および、任意に、基準トラックモジュール134を有しており、それらのモジュールは、交互の情報内容、たとえば交互の黒および白モジュールまたは低および高モジュールを有し、好ましくは情報フィールド118の情報モジュール116と同じ周期性を有している。
【0115】
好ましくは、クロックトラック128に対して平行に配列されている、1つまたは2つ以上の追加の基準トラック132がこれまで開示されてなくても、クロックトラック128は、いくつかの従来の二次元バーコードにすでに含まれている。図8〜11は、クロックトラック128が、バーコード110の情報フィールド118に統合されているバーコード110のさまざまな例示の実施形態を示している。これは、いわゆる「データマトリクス」バーコードの例を用いて例示的に図示することができる。
【0116】
このように、図8は、クロックトラック128が、たとえば、図1の通りの例示の実施形態におけるクロックトラック128と同じ特性を有し、最も外側の縦列としてすでに情報フィールド118に含まれている例示の実施形態を示す。さらに、これは、本発明の範囲内で詳細に考慮されるべきではないが、x方向に追加のクロックトラック166が任意で存在する。さらに、最も外側の縦列は、任意で、長手方向バー168が作られるように、クロックトラック128に対向して横たわる長手方向側部に、y方向が低値で完全に満たされている。同様に、情報フィールド118の最後の横列は、横方向バー170が作られるように、追加のクロックトラック166に対向して横たわる情報フィールド118の端部において、低値で完全に満たすことができる。長手方向バー168および横方向バー170は、ともに「L」を形成する。クワイエットゾーン164およびLまたはLの部分、たとえば単に長手方向バー168または横方向バー170は、黒/白バランスのために、および/または検出器122の配置のために使用することができる。
【0117】
単に基準トラック132は、図8のような例示の実施形態において、この情報フィールド118に追加される。例として、この基準トラックは、原則として、図1のような例示の実施形態に示されるように具現化され、好ましくは、クロックトラック128のモジュールとy方向で同じ周期性を有している。しかし、基準トラックは、このクロックトラック128と比べて、たとえばモジュール高さHの半分の等しくない倍数だけ位相シフトしている。例として、これは、順番に、モジュール高さHの半分、またはモジュール高さの半分の奇数倍の位相シフトであり得る。y方向、すなわち最適な移動方向120に対して平行に伸び、方向トラックとしての働きをする基準トラック132は、クロックトラック128を有する情報フィールド118と基準トラック132の間のクワイエットゾーン164が維持されるように、順番に、この例示の実施形態におけるバーコード110に追加された。特に、これは、任意に、提案された方法を用いることさえなく、市販のリーダによっても読み取ることができる図示されたバーコード110の利点を提供する。
【0118】
図9は、二次元バーコード110が、原則として、図8の通りのバーコード110に対応する例示の実施形態を図示しているが、しかし、バーコード110を有する担体112は、図8の例示の実施形態と比べて180°だけ回転している。送り方向、すなわち移動方向120は、対照的に同じにとどまる。これは、バーコード110が逆順で読み取られることをこの意味する。この場合に、クワイエットゾーン164は、特に白値基準172として使用することができる。代わりとしてまたはそれに加えて、横方向バー170の上のさらなるクワイエットゾーン174は、白値基準172として使用することができる。横方向バー170自身は、黒値基準176として使用することができる。代わりとしてまたはそれに加えて、長手方向バー168も、黒値基準176として使用することができる。白値基準172および黒値基準176は、これらの基準から発生する光学信号(たとえば、これらの領域で反射された光線からの反射信号)の較正および/または調整のための評価の間に使用することができる。これは、たとえば、「高」信号および「低」信号の絶対値レベル、またはこれらの比を定めることを可能にする。例として、これは、適当な閾値を定めるのに使用することができ、その閾値によって、信号レベルをこれらの閾値と比較する適当な測定において、低モジュール146および高モジュール148を識別することができる。バーコード110は、図9のような例示の実施形態において、市販のリーダによって読み取ることもできる。
【0119】
図10は、バーコード110のさらなる例示の実施形態を図示している。この例示の実施形態において、バーコード110は、例示的に、市販の二次元バーコードにほぼ対応している。もう一度、例示方式で、図9における例示の実施形態の通りの情報フィールド118と類似している実施形態を有している情報フィールド118が提供される。しかし、原則として、他の実施形態も可能である。
【0120】
バーコード110は、もう一度、情報フィールド118を有している。クロックトラック128は、例示的に、この情報フィールド118に統合される。しかし、原則として、たとえば図1の例示の実施形態と類似し、情報フィールド118とクロックトラック128の間にクワイエットゾーン164を有するクロックトラック128の別の実施形態も可能である。
【0121】
しかし、前の実施形態と対照的に、図10のようなバーコード110は、別の基準トラック132を有していない。むしろ、位相オフセットしたクロックトラック信号および基準信号を生成する第2の前述の選択肢、すなわち、クロックトラック検出器142と比べて、y方向で空間的にオフセットしている基準検出器144を用いることにより、クロックトラック128自身を基準トラック132として使用する選択肢が使用される。したがって、少なくとも1つの情報を伝送する装置178は、バーコードリーダ124およびバーコード110を有する担体112を備え、図10において、例示的および非常に概略的に、図2または図6ですでに先で示されたのと同じような図で、図示されている。
【0122】
上述したように、別の基準トラック132は、バーコード110に提供されない;むしろ、クロックトラック128が、基準トラック132として同時に使用される。ここで、クロックトラック信号および基準トラック信号の間の位相シフトは、基準検出器144が、y方向において、クロックトラック検出器142と比べて、オフセット180だけ空間的にオフセットしているという事実によって達成される。これは、位置空間における位相シフトと同等である。例として、位相シフトは、モジュール高さHの等しくない倍数、たとえばオフセットΔ=n・2・H+1/2・Hであり得る。したがって、これは、位相シフト、たとえば、周期に対して90°の位相シフトをもたらす。ここで、nは整数である。
【0123】
従来のバーコード110の場合に生じる問題は、バーコード110の端部、すなわち図10の下側端部に到達する時、非常に長さが短い実施形態を有するクロックトラック128である。これらの理由により、好ましくは、クロックトラック128は、本発明によるバーコード110のこの例示の実施形態、そうでなければ他の例示の実施形態において、クロックトラック検出器142に対して空間的にオフセットしている基準検出器144をともなって、移動方向120で情報フィールド118を越えて伸びており、その実施形態では、クロックトラック128が、基準トラック132として同時に使用される。これは、y方向において、情報フィールド118の空間限界を越えて伸びる1つまたは2つ以上の追加クロックモジュール182が提供されることによってもたらされる。これは、クワイエットゾーン164に対する情報フィールド118周辺の少なくとも1つのモジュールの要求が合致できるように実現することもできる。これは、バーコード110が、図10のような実施形態において、原則として、市販の検出器122によって読み取ることもできるからである。
【0124】
原則として、基準検出器144とクロックトラック検出器142の間のy方向での空間的なオフセットは、さまざまな方法で実現することができる。これは図10に示されている。ここで、たとえば、もう一度横列検出器136を使用することができる。例として(他の例示の実施形態にもあるように)これは、二次元に配置された光学センサ138を有する二次元検出器フィールドが使用され、そのうちの単に1つの横列が横列検出器136として使用されるという事実によって実現することができる。しかし、原則として、純粋に単一の横列検出器を使用することも可能である。y方向における基準検出器144オフセットを実現するために、さらなる検出器、たとえば単一で、空間的にオフセットした検出器を使用することもできる。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、横列検出器136の横列とは異なる二次元センサ配置の1つまたは2つ以上の光学センサ138を使用することもできる。
【0125】
図10の通り例示の実施形態において、基準検出器144は、例示的に、クロックトラック検出器142と比べてy方向で単にオフセットしている。しかし、図11に基づいて例示的に示されるように、これは必ずしもそうではない。ここで、少なくとも1つの基準検出器は、オフセット180だけy方向でオフセットしているだけでなく、例示的に、1モジュールだけx方向でオフセットしている。ここで、クロックトラック128は、図11に示されるように、任意でx方向に、たとえば追加のモジュールだけ広げることもできる。
【0126】
図12aおよび12bは、平面図(図12a)または側面図(図12b)において、たとえば、図11の通りの装置178で使用することができるバーコードリーダ124の例示の実施形態を示している。この例示の実施形態において、バーコードリーダ124は、より詳細には、バーコード110を有する担体112およびバーコードリーダ124(図12b参照)がともに高さh、たとえば、10mm以下、好ましくは5mm以下の高さhを有することができるように、光学式接触リーダ184として具現化することができる。
【0127】
図12aおよび12bにおいて示された例示の実施形態において示されるものは、すべての検出器140、142および144が、適した光学ユニットを使用することによって、全体的にまたは部分的に同じ設計で具現化することもできる。この例示の実施形態において、検出器140、142および144は、例示的に、検出器122の1つおよび同じ横一列のセンサ186を使用する。この横一列のセンサ186は、順番に、たとえば図11と同様に、複数の光学センサ138(図12aおよび12bには示されていない)、たとえばバーコード110のモジュール116または130または134ごとの少なくとも1つの光学センサ138を備えている。x方向におけるモジュールのモジュール幅は、好ましくは、光学センサ138の幅の整数倍である;原則として、これは、他の例示の実施形態のすべてに適用することもできる。
【0128】
図12aおよび12bに示される例示の実施形態において、光学式接触リーダ184として具現化されるバーコードリーダ124は、1つまたは2つ以上の照明ユニット188を有し、それによってバーコード110を照らすことができる。例として、1つまたは2つ以上の発光ダイオード、発光ダイオードの横列、白熱灯または他のタイプの照明器具によって、照明188を実現することができる。特に、図12aおよび12bにおいて示されるように、横列形状の照明、または1つまたは2つ以上の横列に配置することができる複数の個々の光源を使用することができる。
【0129】
この例示の実施形態において、照明188は、コード照明190と比べて、y方向でのオフセットによって、オフセットして配置され、コード照明190および基準照明192に細分される。コード照明は、任意にクロックトラック128を含んでいる情報フィールド118を照らすために役立つが、基準照明192は、基準トラック132を照らすために役立つ。しかし、他の実施形態も可能であり、それで、たとえば、追加でクロック照明を提供することができ、または基準照明192を他にコード照明190に統合することができる。
【0130】
照明188によって発せられる光は、モジュール116、130、134の反射特性に従って、バーコード110上で反射される。反射光は、バーコードリーダ124で再び受けられる。これは、直接、または、反射光がバーコードリーダ124に再び入ることができる「窓」を通してもたらされ得る。図12aおよび12bにおいて、そのようなウィンドウは、追加で、コード照明190からの反射光のためのコードウィンドウ194の形で、および基準照明192からの反射光のための基準ウィンドウ196の形で、追加で図示される。例として、これらのウィンドウ194、196は、バーコード110に面するバーコードリーダ124の表面における現実の開口部として具現化することができ、または単純な仮想の入口領域でもあり得る。同時に、これらの基準ウィンドウ196またはコードウィンドウ194は、それぞれの検出器の仮想のまたは現実の位置を表すことができ、すなわち、たとえば、コードウィンドウ194は、バーコード検出器140および/またはクロックトラック検出器142のそれぞれの位置を表すことができ、基準ウィンドウ196の位置は、基準検出器144の位置を表すことができる。したがって、コードウィンドウ194と基準ウィンドウ196の間のy方向での距離は、たとえば図10および11の実施形態の通りのオフセット180に対応し得る。代わりに、基準照明192からコード照明190のy方向での間隔は、オフセット180として考慮される可能性もある。
【0131】
図示された12aおよび12bのような例示の実施形態において、画像光学ユニット198が、さらに任意のエレメントとして提供される。この画像光学ユニット198は、横一列のセンサ186のそれぞれの区画上のそれぞれのウィンドウ194、196の上に位置するバーコード110の領域からの反射光をガイドするおよび/または撮像するように具現化することができる。この目的のために、画像光学ユニット198は、たとえば1つまたは2つ以上の反射エレメント200を備えている。図12bにおいて、これらの反射エレメント200は、例示方式で、プリズムとして具現化される。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、反射エレメント200のうち1つまたは2つ以上は、別の形で、たとえばミラーまたは当業者に知られたのと同様の反射エレメントの形で具現化することができる。図示された例示の実施形態において、コード照明190から生じる反射光線を偏向させるためのコード反射エレメント202が提供され、基準照明192から水平方向で生じる反射光線を偏向させるための基準反射エレメント204が提供される。さらに、センサ反射エレメント206は、横一列のセンサ186上への光線をガイドするための横一列のセンサ186の上に提供される。
【0132】
さらに、画像光学ユニット198は、1つまたは2つ以上の光導波路エレメントおよび/または画像形成エレメントを備え得る。例として、これは、光導波路/レンズエレメントを、たとえば図12および12bで参照符号208によって示されるいわゆるロッドレンズの形で組み合わせることができる。例として、検出されるべきモジュール114ごとに、x方向でそのロッドレンズ208のそれぞれ1つまたは2つ以上を提供することができる。例として、ロッドレンズ208は、いわゆる屈折率分布レンズとして具現化することができる。
【0133】
光学式接触リーダ184は、特に、図12aおよび12bの通りのバーコードリーダ124の追加の実施形態によって、表すことができる。例として、光学式接触リーダは、ウィンドウ194および196、および基準検出器144の形の追加の光学センサエレメントをそれぞれ有し、オフセットした光入射(offset beam input)によって説明される。コードウィンドウ194は、コード照明190によって、そして関連する画像光学ユニット196を介して光学式の横一列のセンサ186上に撮像される。基準ウィンドウ196は、基準照明192によって順番に照らされ、同様に、関連する画像光学ユニット198を介して同じ光学式の横一列のセンサ186の他の部分上に撮像される。
【0134】
図13は、本発明による装置178、バーコードリーダ124および担体112上のバーコード110のさらなる例示の実施形態を示しており、その実施形態においては、バーコードリーダ124が、図10に示された例示の実施形態の代わりの実施形態を有している。この例示の実施形態において、検出器122は、二次元に(x軸に対して平行におよびy軸に対して平行に)配列された複数の光学センサ138を有する光学式フィールドセンサ210を備えている。このフィールドセンサ210の2つの横一列のセンサ(すなわち、同じy座標を有するそれぞれのセンサ)は、y方向で互いに対してオフセット180を有していて、横列検出器136として使用することができる。例として、光学式フィールドセンサ210は、CCDカメラチップおよび/または費用効果のあるマウスセンサであり得る。上側横列検出器136は、たとえば、図10の記載と同様に、バーコード検出器140およびクロックトラック検出器142を設けることができるが、図13における横列検出器136の下側の検出器は、基準検出器144を設けている。この2つの横列の実施形態の代わりとして、さらなる横列を使用することも可能である。横列検出器136のオフセット180は、たとえば、もう一度、図10のようなオフセット180と同様に、選択することができる。例として、n・H+1/2・Hの条件を満足するオフセットを選択することが可能である。ここで、nは、順番に変わる整数であり得る。例として、このオフセットは、2Hの周期に対して90°の位相シフト、または周期Hに対して180°の位相シフトに対応し得る。
【0135】
プッシュ型またはプル型リーダとして、すなわち、担体112が検出器122に対して移動するバーコードリーダ124として具現化されるバーコードリーダ124は、典型的には、担体112が移動するという観点から、ある程度の頭上スペースを要求する。これは、図14に例示的に図示される。この頭上スペースを設けた結果として、横列126と、移動方向120に対して垂直に配列されたx軸との間に角度オフセットが生じ得る。これは、コードモジュール意図値212、すなわち実際に読み出されるべきモジュール114が、コードモジュール実績値214から離れているという事実によって表現される。例として、図14において、白または高表示の形のコードモジュール意図値212が、誤って、横列検出器136によって、黒または低表示の形のコードモジュール実績値214として再現される。
【0136】
このエラーは、モジュール114が、高さ対幅比の点から、完全にまたは部分的に修正されるという事実によって低減することができる。このように、モジュール高さHは、モジュール幅Bと比べて増加し得る。これは、図15に例示的に図示される。図15に基づいて識別することが可能なように、コードモジュール意図値212は、少なくともモジュール114のほぼ中央を読み出す場合において、コードモジュール実績値214に対応する。
【0137】
図17は、図15の実施形態に代わる、バーコード110および装置178の例示の実施形態を図示している。原則として、バーコード110は、たとえば、図15と類似の実施形態を有し得る。しかし、代わりに、他の例示の実施形態は、図17に示された概念の通りに修正することもできる。図17のバーコード110は、図14に基づいて記載された角度オフセットによるエラーによる影響が、自然に、移動方向120に垂直な方向におけるバーコード110の中央において最も小さくなるという発見を考慮している。したがって、図17のような例示の実施形態において、クロックトラック128および/または追加の基準トラック132をバーコード110の中央に移動させることを提案する。これは、1つの方向が移動方向120に対して垂直であれば、クロックトラック128および、任意には、基準トラック132が、その両側で、情報モジュール116および情報フィールド118に囲まれる、すなわち、情報モジュール116のそれぞれ少なくとも1つの縦列が、その両側で、クロックトラック128および、任意には、基準トラック132に隣接することを意味している。クロックトラック128および、任意には、基準トラック132は、モジュール情報の取り込み時間に関与するので、トラック128および、任意には、132をコード中央に移動させる工程を有する図17のような例示の実施形態は、正確な基準となるという利点を提供する。角度オフセットの影響は、自然に、コードの中央で最も小さくなることが期待される。
【0138】
原則として、図17のような例示の実施形態は、本発明の他の例示の実施形態に転換することができる。このように、モジュール114が、移動方向120で細長い、すなわちモジュール幅Bを超えるモジュール高さHを有している図15の概念は、例示的に図17で実行される。しかし、代わりに、他の実施形態、たとえば正方形モジュールを有する実施形態も可能である。さらに、たとえば図11と同様に、位相オフセットを、代わりにまたは追加で、検出器122によって作ることもできるので、基準トラック132は必ずしも必要とされない。さらに、クロックトラック128および基準トラック132が互いに隣に配置されることは必須ではない。むしろ、情報モジュール116が、たとえば、これらのトラック128、132の間に位置することもできる。さまざまな他の実施形態が可能である。
【0139】
図16は、最後に、概略断面図において、本発明による装置178の例示の実施形態を図示する。この例示の実施形態216において、装置は、例示的に、たとえば、血糖測定機器として具現化することができ、医療消耗品218、たとえば液体試料220を分析するテストストリップと相互作用するように構成される医療測定機器を備えている。テストストリップ自身は、たとえば、1つまたは2つ以上のテストフィールドが適用されるストリップ形状の担体212を備えている。テストフィールドは、図16には示されておらず、たとえば、試料220内の少なくとも1つの検体を定性および/または定量検出のための1つまたは2つ以上の試験化学物質を備えている。
【0140】
例として、装置178は、担体212または医療消耗品218を受けるための少なくとも1つの受容部224が提供されるハウジング222を備え得る。例として、この受容部224は、受容部スロットを備え得る。例として、医療消耗品218を1つまたは2つ以上の接触表面228に電気的に接触させるための少なくとも1つの電気接点226をこの受容部224に提供することができる。この実施形態は、特に、医療消耗品218として電気化学テストストリップを使用する時に、実施可能である。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、これらは、たとえば、光学的に読み出すことができるテストストリップでもあり得る。例として、この場合に、電気接点226は、光学式リーダ、たとえば、1つまたは2つ以上のテストフィールドにおける、検体を突き止めることが可能な色変化を読み出すように構成される光学式リーダと置き換えることができる。
【0141】
さらに、図16に示される例示の実施形態における装置178は、移動方向120において受容部224に挿入されるバーコード110を読み出すために構成される1つまたは2つ以上のバーコードリーダ124を備えている。バーコードリーダ124の可能な実施形態については、上述の実施形態または本発明の範囲内の他の可能な実施形態を参照できる。例として、バーコードリーダ124は、中央制御装置230に接続することができる。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、バーコードリーダ124の部品は、中央制御装置230および/または装置178の他の部分に実装することもできる。このように、たとえば、単にバーコードリーダ124の光学部品は、受容部224の領域に配置することができるだけであるが、バーコードリーダ124のデータ記憶装置および/または評価装置は、全体的にまたは部分的に、中央制御装置230に実装することができる。このように、たとえば、バーコードリーダ124の1つまたは2つ以上の評価装置は、ソフトウェアまたはハードウェア部品として、中央制御装置230に実装することができる。例として、中央制御装置230は、任意で1つまたは2つ以上の揮発性または不揮発性記憶素子を有するデータ処理装置を備え得る。さらに、装置178は、さらなる部品、たとえば評価装置232、たとえば装置178の実際の測定、たとえば検体検出を実行するように構成される評価装置232を備え得る。しかし、この評価装置232は、全体的にまたは部分的に、中央制御装置230に実装することもできる。中央制御装置230は、単一部品として具現化することができ、そうでなければ、多くの部分に具現化することができ、任意には装置178のさまざまな領域に分配することもできる。さらに、装置178は、1つまたは2つ以上の操作エレメント234、たとえばコマンドおよび/または制御データおよび/または他の情報の入力のための1つまたは2つ以上の操作エレメント234、および/または1つまたは2つ以上の表示装置236、たとえば1つまたは2つ以上のディスプレイを備え得る。原則として、他のタイプのユーザインターフェイスを使用することもできる。
【0142】
図16に例示方式で示される、医療測定機器216および医療消耗品218、たとえば分析用テストエレメント238を有する装置において、バーコード110を有する医療消耗品218は、好ましくは、まったくの手による送りがなされるように手で受容部224に挿入される。この場合に、特に、本発明により具現化されたバーコードリーダ124を使用することが好都合である。上に示したように、バーコードリーダ124は、特に、移動方向120においてまたは移動方向120に対して担体112が移動する間、バーコード110が、1つまたは2つ以上の横列検出器136の形の1つまたは2つ以上の検出器122によって、一列づつ読み出されるように具現化することができる。この場合に、送りの間、特に手での送りの間において起こりうる異常に関して、上述の方法および上述の装置178が安定しているため、上で提案された方法は、特に有利なように認められる。
【符号の説明】
【0143】
110 バーコード
112 担体
114 モジュール
116 情報モジュール
118 情報フィールド
120 移動方向
122 検出器
124 バーコードリーダ
126 横列
128 クロックトラック
130 クロックトラックモジュール
132 基準トラック
134 基準トラックモジュール
136 横列検出器
138 光学センサ
140 バーコード検出器
142 クロックトラック検出器
144 基準検出器
146 低モジュール
148 高モジュール
150 状態の変化
152 移行エッジ
154 ポジティブエッジ
156 ネガティブエッジ
158 基準トラックの状態
160 データ記憶装置
162 アドレス
164 クワイエットゾーン
166 x方向の追加クロックトラック
168 長手方向バー
170 横方向バー
172 白値基準
174 さらなるクワイエットゾーン
176 黒値基準
178 情報伝送用装置
180 オフセット
182 追加クロックモジュール
184 光学式接触リーダ
186 横一列のセンサ
188 照明
190 コード照明
192 基準照明
194 コードウィンドウ
196 基準ウィンドウ
198 画像光学ユニット
200 反射エレメント
202 コード反射エレメント
204 基準反射エレメント
206 センサ反射エレメント
208 ロッドレンズ
210 光学式フィールドセンサ
212 コードモジュール意図値
214 コードモジュール実績値
216 医療測定機器
218 医療消耗品
220 試料
222 ハウジング
224 受容部
226 電気接点
228 接触表面
230 中央制御装置
232 評価装置
234 操作エレメント
236 表示装置
238 分析用テストエレメント
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図7h
図7i
図7j
図7k
図7L
図7m
図7n
図7o
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15
図16
図17