【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、独立請求項の特徴を有する本発明によって達成される。個別にまたはあらゆる組み合わせで実現可能な本発明の有利な発展は、従属請求項に表されている。
【0014】
本発明の第1の態様において、移動する担体に結合されたバーコードを取り込むために、バーコードリーダを提案する。ここで、バーコードは、一般的な用語として、光学的な方法またはオプトエレクトロニックな方法によって読み出すことが可能であり、少なくとも2つの異なる光学的に検出可能な状態をとることができる複数の光学的に検出可能なモジュールを有する情報担体のことをいう。ここで、モジュールは、それぞれバーコードの二次元または三次元領域を意味すると理解され、モジュールの光学的に知覚可能な特性は、互いに区別することができる少なくとも2つの状態をとることができる。例として、これは、担体表面の画定された二次元領域、そうでなければ担体物質内の三次元領域に関連し得る。重要な例は、しかしその応用はこれに限定されないが、いわゆる線形コードまたはラインコード、すなわち、モジュールが、少なくとも2つの異なる値(たとえば「白」および「黒」)をとることができる一連の横列から構成される一次元バーコードである。代わりとして、またはそれに追加で、二次元バーコード、たとえば、モジュールが2つの方向に適用され、たとえばマトリクスを形成するように配置される、いわゆるデータマトリクスコードもまた使用できる。この場合に、モジュールは、たとえば正方形または長方形として具現化できる。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。可能なバーコードについては、たとえば、EAN(Europe Article Number)コード、UPC(Universal Product Code)コードまたは同様のコードに従った従来の商業上のバーコードを参照できる。バーコードの他の公知の規格もまた適用可能である。二次元バーコードについては、たとえば、データマトリクスコード、QRコード(登録商標)、PDF規格または同様のコードに従ったコードを参照できる。ここで、直交座標系または、たとえば極座標を有する座標系を用いることが可能であるが、本発明の範囲内では直交座標系を有する二次元コードが好ましい。モジュールは、バーコードの情報の最も小さい単位である。ここで、少なくとも2つの光学的に検出可能な状態をとることができるモジュールは、バーコードの全領域の領域または空間を意味すると理解される。本発明の範囲内で好ましいバイナリバーコードの場合には、これらの少なくとも2つの状態はバイナリであり得る、すなわち第1の状態または第2の状態をとることが可能である。しかし、原則として、他の実施形態、すなわち2つよりも多い状態が可能であり、たとえば、いわゆるグレースケールコードの範囲内で実現可能な実施形態もまた可能である。
【0015】
少なくとも2つの状態をとることができる光学的に知覚可能な特性は、異なる2つタイプの光学特性のうちの1つであり得る。例として、これは、反射率や、色、蛍光、透明性または他の光学特性や、または前述の特性および/または他の特性の結合であり得る。少なくとも2つの状態をとることができるこの光学的に知覚可能な特性は、たとえば担体中に、たとえば材料中に、および/または担体表面上に直接導入可能であり、または追加のマーキング材料として、たとえば担体に適用できる。この例として、担体表面上に色を印刷し、その結果として、たとえば反射率および/または担体表面の透明性および/または担体の蛍光特性が変化する。例として、この任意のマーキング材料は担体上に印刷され、噴射され、または滴下され、そうでなければ別の担体エレメント、たとえば接着フィルムによって担体に適用できる。代わりに、たとえば照射によって、たとえばレーザによる照射によって、担体それ自体を修正することも可能である。レーザによって、バーコードが担体上に直接適用され、または担体中に直接導入され、または、同様に、担体に接続されたマーキング材料上に適用され、またはマーキング材料中に導入される。さまざまな実施形態が可能である。
【0016】
原則として、担体はいかなる担体でもあり得る。今回の場合の担体が、医療消耗品、または医療消耗品の部分、または医療消耗品に結合されている場合、特に好ましい。ここで、原則として、医療消耗品は、医学または医用工学、特に補助手段として、たとえば治療および/または診断のための補助手段として、医学または医用工学の範囲内で要求されるいかなる物品も意味すると理解される。ここで、原則として、これは、たとえば診断補助手段および/または治療補助手段および/またはそれ自身が消耗品としての意味を持つそのような補助手段の包装であり得る。他の可能なタイプの消耗品を排除することなく、ここでは特に診断補助手段、たとえばテストストリップ、テストテープ、ランセットなどのようなテストエレメントを参照されるべきである。例として、これらは、たとえば体液試料のうちの少なくとも1つの検体の定性および/または定量検出を実行するために、試料の少なくとも1つの特性を分析するように構成された個々のテストストリップであり得る。これについては、たとえば、公知の光学的および/または電気化学的テストストリップを参照できる。さまざまな例示の実施形態をより詳細に以下に述べる。
【0017】
本発明の範囲内において、バーコードリーダは、一般に、少なくとも、バーコードからの情報が、バーコードリーダのデータ記憶装置の電気信号または記憶状態に変換される程度に、バーコードを読み出すように構成される装置意味すると理解されるべきである。したがって、バーコードリーダは、少なくとも2つの状態をとることができるバーコードのモジュールの特性を、定性的な、または好ましくは定量的な方式で取り込むように構成される少なくとも1つの装置を有している。例として、以下でより詳細に説明するように、これらの装置は、少なくとも1つの種類の電磁放射線、好ましくは、可視光および/または赤外および/または紫外スペクトル領域の光、および/または電磁放射線を受ける光学検出器、さらに好ましくは、赤外および/または可視および/または紫外スペクトル領域の光を発する発光体を有する装置であり得る。一般に、本発明の範囲内の「光学」特性は、電磁放射線、好ましくは、可視および/または紫外および/または赤外スペクトル領域の光によって知覚され得る特性、またはそのような光に基づく特性を意味すると理解されるべきである。
【0018】
提案されるバーコードリーダは、バーコードの情報モジュールの少なくとも一次元取り込みのための少なくとも1つの光学式バーコード検出器を有している。言い換えれば、バーコードは、バーコードリーダの少なくとも1つの光学式バーコード検出器によって取り込むことができる複数の情報モジュールを備えている。ここで、バーコードの情報モジュールは、バーコードの情報がエンコードされた形式で記憶される、バーコードの実際の情報担体を意味すると理解される。例として、バーコード検出器は、以下に例示により詳細に説明するが、および、任意に、バーコードリーダの他の検出器もまた、より詳細に説明されていないが、少なくとも1つの光学式感知エレメント、たとえばフォトダイオード、光電セル、CCDチップ、フォトトランジスタ、または、たとえば、入射電磁放射線、より詳細には可視および/または赤外および/または紫外スペクトル領域の光の強度や強度変化を検出できる同様の光学式感知エレメントを備え得る。そのプロセスでは、検出器は、1つまたは2つ以上の光学式感知エレメントを備え得る。例として、以下でより詳細に説明するように、複数の光学式感知エレメントまたは横一列に配置された光学的感知表面、たとえばCCD列を有する一次元検出器列を用いることが可能である。原則として、二次元配列もまた可能であり、および、原則として、検出器の他の実施形態も同様である。
【0019】
ここで、バーコードの情報モジュールの少なくとも一次元の取り込みは、バーコードリーダに対してバーコードが移動する場合、バーコード検出器の少なくとも1つの検出器が、時間的に連続して、連続的に情報を記録すること、好ましくは、複数の検出器、たとえば、検出器列または、たとえば、バーコード検出器の検出器マトリクスのような検出器配列からの感知エレメントが同時にこれを行なうことを意味すると理解されるべきである。
【0020】
バーコードリーダは、さらに、バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むための少なくとも1つの光学式クロックトラック検出器を備えている。ここで、トラックは、複数の連続モジュールを意味すると理解されるべきであり、連続モジュールは、バーコードにおいて直線の、そうでなければ湾曲したラインに沿って連続的に配置され、好ましくは、同時にバーコードの情報モジュールとして機能することはないが、好ましくは、バーコードがバーコードリーダに対して移動するとき、刻時のためにのみ機能する。ここで、刻時は、バーコードリーダからその時に読み出される情報との同期を意味すると理解され、情報は、バーコード内における空間配置を有する情報モジュール、たとえば、バーコードの特定の横列に横列情報を割り当てるために、たとえば、バーコードリーダの記憶の範囲内で、横列ごとにさらに周期的に繰り返す情報モジュールからその時に読み出される。
【0021】
バーコードリーダは、さらに、少なくとも1つの基準情報をバーコードから取り込むための少なくとも1つの光学式基準検出器を有している。バーコードリーダは、たとえば、適当な評価装置によって、クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および基準検出器からの少なくとも1つの信号から、担体の移動方向を割り出す。例として、クロックトラック検出器からの信号と基準検出器からの信号を比較し、生じ得る可能な場合に応じて、担体の移動方向を割り出す評価装置の提供が可能である。このように、たとえば、移動は、大まかに言えば、クロックトラック検出器からの信号から、より詳細には、クロックトラック検出器からの信号レベルの変化から割り出され、それから、順番に、たとえば、バーコード検出器からその時に読み出される情報のさらなる周期的繰り返しを割り出すことが可能であり、および/または、さらなる周期的繰り返しは、たとえば刻時されたデータ記憶の目的でトリガーされ得る。基準検出器からの追加情報から、さらに、特にクロックトラック検出器からの信号と併せて、さらなる周期的繰り返しが負または正方向で生じたか、または生じるべきかを割り出すことが可能である。例として、この信号評価は、適当な電子機器を用いて実行可能であり、たとえば比較によって、電子機器および/または電子テーブルおよび/または1つまたは2つ以上の識別機を用いて実行可能である。代わりとしてまたはそれに加えて、任意の評価装置もまた、たとえば、クロックトラック検出器および/または基準検出器からの信号、特に電流信号またはこれらの信号から生じる二次信号を処理し、評価するデータ処理装置を備え得る。特に、評価装置は、少なくとも1つのデータ処理アルゴリズムによって、クロックトラック検出器および/または基準検出器からの信号、特に電流信号、またはこれらの信号から生じる二次信号を読み出し、および/または少なくとも部分的に評価するように構成される。
【0022】
バーコードリーダは、特に、クロックトラック検出器からの信号におけるクロックトラック、より詳細には、光学および/または電気信号におけるポジティブまたはネガティブエッジに起因する少なくとも1つの信号変化を取り込むように構成される。例として、これは、クロックトラック検出器からの信号を、たとえば1つまたは2つ以上の閾値と比べ、識別することによりもたらされ得る。そのようなエッジ検出器は、エレクトロニクスの分野でよく知られている。例として、エッジのサインもまたこの方式で識別され得る。例として、バイナリ黒/白バーコードの場合、そのようなエッジは、黒モジュールから白モジュールへの移行部(反射信号におけるポジティブエッジ)において、またはその逆(反射信号におけるネガティブエッジ)に生じる。
【0023】
ここで、そこからの担体の移動方向を割り出すために、クロックトラック検出器からのおよび基準検出器からの同時に発生する信号が互いに比較されることが好ましい。ここで、本発明の範囲内において、同時に発生する信号は、同時に記録される信号を意味すると理解されるべきである。完全同時に加えて、この場合、許容範囲、たとえば、好ましくは200μs以下、好ましくは100μs以下および特に好ましくは50μs以下である完全な時間値のずれもまた認められ得る。
【0024】
バーコードリーダは、より詳細には、クロックトラック検出器により取り込まれる信号変化のサインから、および基準検出器からの信号の絶対値から、より詳細には基準検出器からの同時に発生する信号から、バーコードリーダに対する担体の移動方向を割り出すように構成され得る。例として、バイナリ情報がモジュールに存在する場合、4つの異なるケースが、原則として、生じ得る。このように、たとえば、ポジティブ信号レベル(「白」または「1」)と対になった、またはネガティブ信号レベル(「黒」または「0」)と対になった、基準検出器からの信号の信号レベルのポジティブエッジがあり得る。代わりに、ネガティブエッジもまた、基準検出器からの信号の絶対値におけるポジティブまたはネガティブ信号と対になった、クロックトラック検出器からの信号において生じ得る。例として、これらの4つの可能性のうち、2つのそれぞれが、バーコードリーダに対する担体の第1の移動方向に対応し、他の2つが、第2の移動方向、たとえば反対の移動方向に対応し得る。例として、これは、バーコードがバーコードリーダに対して移動した時に、クロックトラック検出器からの信号の周期性と比較して位相シフトしている周期性を有している信号を記録する基準検出器により実現することができる。例として、この位相シフトは、以下でより詳細に説明するように、クロックトラック検出器が、位置空間において2・Hまたはn・2・Hの位相がシフトしている、クロックトラック自身の信号を記録するという事実により、たとえばクロックトラック検出器と比べて、基準検出器が、対応する距離だけ空間的に(たとえば、移動方向に対して平行に)オフセットしていることにより、および/または、クロックトラック自身と同じ(またはその整数倍の)周期性を有しているが、クロックトラックに対して、移動方向におけるモジュールのモジュール高さに対してn・2・Hずれている位相オフセットにより位相シフトしている、バーコードの別の基準トラックが測定されるという事実により、実現することができる。たとえば、基準トラックおよびクロックトラックの両方が、移動方向に対して平行に配列されていることによるなど、少なくとも1つの任意の基準トラックが、少なくとも1つのクロックトラックに対して平行に配列されていることが好ましい。例を以下でより詳細に説明する。
【0025】
したがって、バーコードリーダは、たとえば、ネガティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第1の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、またはポジティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第2の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、第1の移動方向を割り出し、およびポジティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第1の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、またはネガティブエッジが、クロックトラック検出器からの信号において識別され、第2の信号レベルが、基準検出器からの信号において識別される場合、第1の移動方向に反対の方向の第2の移動方向を割り出すように構成され得る。
【0026】
移動方向は、特に、バーコードの情報モジュールから読み出された情報を保存する時に、さらに周期的な繰り返しをもたらすために使用され得る。このように、バーコードリーダは、たとえば、データ記憶装置を備え得るが、バーコードリーダは、それぞれバーコードの横列に含まれる情報を読み出し、データ記憶装置に情報を保存するように構成される。特に、バーコードリーダは、識別された移動方向に従って、アドレスカウンタをインクリメンタルに増加または減少させるように構成される。そのような実施形態は、一次元バーコード(この場合、データ記憶装置の横列は、正確に1つの値を含む)の場合、または二次元で、長方形のバーコード(この場合、データ記憶装置の横列は、バーコードの1つの列のモジュールの数に対応する複数の情報を含む)の場合、特に好ましい。例として、バーコードは、たとえば、y方向を規定する。バーコードリーダに対する、バーコードまたは担体の所期の移動方向と、x方向を規定する、この所期の移動方向に対して垂直な方向とを有するマトリクス形状モジュールの長方形フィールドを有し得る。バーコードの横列は、同じy座標を有する、バーコードの情報モジュールのセットである。このように、長方形フィールドは、所期の移動方向に対して平行に配列されることが好ましい。以下でより詳細に説明するように、本当の移動方向または実際の移動方向は、所期の移動方向からずれているが、しかし、バーコードリーダは、そのずれが20°以下、特に10°以下、特に好ましくは5°以下になるように構成されることが好ましい。この点で、さらなる可能な実施形態を制限することなく、以下の記載において、所期の移動方向と実際の移動方向の区別はしないし、y軸は、移動方向に対して平行に配向するものとする。移動方向のずれを述べる場合、実際の移動方向と所期の移動方向の角度のずれを意味する。
【0027】
さらに、「移動方向において」という表現は、原則として、移動方向に対して平行な方向を意味すると理解される。しかし、本発明の範囲内において、移動方向についての割り出しは、移動のサインについての割り出し、すなわち移動が正のまたは負のy方向であるかどうかの点についての情報を意味すると特に理解される。例として、以下でより詳細に説明するように、このサインによって、アドレス情報を担うインクリメンタルな増加または減少について推測がなされることを可能にする。
【0028】
光学式クロックトラック検出器は、バーコード検出器とは異なる別のクロックトラック検出器として具現化できる。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、クロックトラック検出器は、バーコード検出器の全体的または部分的な部分でもよく、すなわちバーコード検出器に含まれていてもよい。このように、たとえば、バーコード検出器の一部は、クロックトラック検出器として使用できる。類似の記述は、基準検出器にも適用され、基準検出器は、同様に、別の検出器として具現化できることが好ましい。しかし、代わりに、基準検出器は、同様に、バーコード検出器の全体的または部分的な部分でもよく、たとえばバーコード検出器の部分により、基準検出器として使用されてもよい。しかし、クロックトラック検出器および基準検出器は、互いに対してオフセットして配置される別の検出器であることが好ましい。特に、基準検出器は、移動方向に対して垂直な方向において、クロックトラック検出器の隣に配置できる。
【0029】
この実施形態は、以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つのクロックトラックの隣に、移動方向に対して平行に配列され、方向トラックとして使用可能であり、基準検出器により分離して読み出すことができる少なくとも1つの基準トラックを備えるバーコードを活用すれば、特に好都合である。上述したように、この基準トラックは、たとえば、クロックトラックと同じ周期性を有しているが、クロックトラックと比べて位相オフセットを有している、たとえば、第2のクロックトラックであり得る。ここで、「第2のクロックトラック」は、クロックトラックとして実際に使用される少なくとも1つのトラックと同じ方式で具現化させるトラックを意味すると理解されるべきであるが、しかし、この少なくとも1つの追加のトラックは、クロックトラックとしてではなくむしろ基準トラックとして使用される。結局、バーコードは、この場合に、後者が少なくとも2つのクロックトラックを備えるように具現化可能であり、少なくとも2つのクロックトラックの少なくとも1つが、刻時のための実際のクロックトラックとして使用可能であるか、または使用され、少なくとも2つのクロックトラックのうち、もう一方の少なくとも1つが、基準トラックとして使用可能であるか、または使用される。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。移動方向に対して垂直にオフセットして、クロックトラック検出器の隣にある基準検出器の実施形態の代わりとして、またはそれに加えて、移動方向に対して平行な方向にあるクロックトラック検出器と比べてオフセットして配置される基準検出器の実施形態もまた可能である。特に、正または負の値Δだけのオフセットがあり得る。オフセットΔは、移動方向におけるバーコードのモジュールのモジュール高さの整数倍ずれている。特に、移動方向におけるクロックトラックモジュールおよび/または基準トラックモジュールのモジュール高さの半分の等しくない倍数に対応するオフセットを選択することが可能である。移動方向における基準検出器オフセットの後者の実施形態は選択することができ、特に、単に1つのクロックトラックが使用される場合に選択できる。この場合に、基準検出器は、位相オフセットを有する位置空間にある同じクロックトラックを読み出すことができ、位相オフセットは、2・Hの整数倍からずれていることが好ましい。この場合にも、たとえばクロックトラック検出器からのエッジ信号および基準検出器からの絶対信号レベルから、移動方向を割り出すことは可能である。空間的なオフセットは、モジュール高さの半分の等倍数離れていることが好ましい。
【0030】
この可能な実施形態に従って、基準検出器によって読み出される、バーコードからの光学基準情報は、多くの方法で具現化可能である。このように、たとえば、バーコードの基準トラックからの光学情報は、光学基準情報として選択することができる、すなわち、たとえば、基準検出器の位置(または複数の基準検出器がある場合の基準検出器の位置)に局在する基準トラックの光学特性として選択することができる。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、上述したように、バーコードの少なくとも1つのクロックトラックが読み出されることも可能である。このように、クロックトラック検出器によりその時点で読み出されるクロックトラックからの光学情報に対する所定のオフセット位置にある、バーコードのクロックトラックからの光学情報は、基準トラックからの光学情報として使用できる。特に、その処理において、バーコードリーダに対する担体の移動方向に対して平行な方向にあるオフセット、特にクロックトラックのモジュール高さの整数倍離れているオフセットを選択することができる。
【0031】
上に示したように、担体は、さまざまな方法で具現化できる。例として、この担体はそれ自身が消耗品であり、消耗品の一部であり、または消耗品と結合することができる。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。ここで、多くの場合において、バーコードリーダ自身が、全体的にまたは部分的に担体を受け入れるように構成される受容部を備えていれば、好都合である。特に、これは、全体的にまたは部分的に担体を挿入可能なスロット、全体的にまたは部分的に担体を挿入可能なガイドレール、または他のタイプの受容部であり得る。特に、受容部は、受容部での担体の移動、好ましくは単に移動方向に対して平行な方向での移動を可能にするように構成することができる。しかし、わずかな角度の許容範囲もまたここでは原則として認められるが、たとえば角度の許容範囲は、好ましくは20°以下で、特に10°以下で、特に好ましくは、5°以下または3°またはそれ以下である。そのような許容範囲は、従来のガイドレールまたはスロットを用いて問題なしに達成することができ、特に担体がストリップ形状の方法で、たとえばバーコードを有するテストストリップとして任意に具現化される場合に達成することができる。特に、受容部は、担体が受容部内で移動できるように、好ましくは手で移動できるように構成することができる。したがって、受容部は、たとえば、まったく受動的な実施形態、すなわちバーコードリーダに対する担体の移動を能動的にもたらす作動装置を有さないまったく受動的な実施形態を有し得る。例として、これは、スロットまたはガイドレールの形でもたらすことができ、受容部における担体への手による接近がまだ可能であるような方法で具現化される。しかし、全くの手による可動性の代わりとして、別の実施形態において、まさに同様に、バーコードリーダに対する担体の移動をもたらす1つまたは2つ以上の作動装置が提供される可能性がある。例として、バーコードリーダは、全体的にまたは部分的にスキャナとして具現化することが可能であるが、担体およびバーコードリーダまたはその部分の手動または自動での相対移動は、たとえばバーコード検出器に対してバーコードを移動させることができ、またはその逆も可能で、バーコードが読み出されることを可能にする。
【0032】
このように、原則として、受容部は、バーコードリーダに対する担体の移動が可能なように構成される。この移動は、一次元で生じることが好ましいが、しかし、他の移動もまさに同様に可能である。一直線の移動方向、すなわち所期の移動方向に沿っての直線移動があることが好ましい。しかし、原則として、湾曲した移動もまた可能である。
【0033】
一般に、バーコードリーダに対する担体の移動は、より詳細には、バーコード検出器に対する担体およびこれによるバーコードの移動を備えることができるという事実に関して参照されるべきである。ここで、バーコードリーダに対する担体の相対移動は、少なくとも1つの座標系、たとえば担体および/またはバーコードが停止している座標系、またはバーコードリーダまたはその部分が、たとえばバーコード検出器が停止している座標系、または担体およびバーコードリーダの両方が移動している座標系における移動を意味すると理解されるべきである。このように、相対移動は、バーコードリーダまたはその部分、たとえばバーコード検出器が停止している間、担体および/またはバーコードが移動するように具現化することができる。代わりに、相対移動はまた、バーコードリーダまたはその部分、たとえばバーコード検出器が移動している間、担体および/またはバーコードが停止するように具現化することもできる。別の代わりの実施形態では、相対移動はまた、担体および/またはバーコード、およびバーコードリーダまたはその部分、たとえばバーコード検出器の両方が移動するように具現化することもでき、たとえば、バーコードとバーコードリーダおよび/またはバーコード検出器との間に空間を開けることは移動によって修正できる。
【0034】
バーコードリーダは、担体が受容部の中で移動している間に、バーコードリーダによって、バーコードを読み出すことができるように構成されることが好ましい。
【0035】
読み出しは、たとえばユーザによって、たとえば少なくとも1つのボタンまたはスイッチそうでなければその他のタイプの作動エレメントを作動させることによって開始することができる。代わりに、またはそれに加えて、読み出しはまた、たとえばバーコードを有する担体が受容部に挿入され、たとえば押し込まれ時に、自動で開始することもできる。例として、受容部は、挿入中または挿入後に、担体および/または担体を備えるテストエレメントにより作動される少なくとも1つのスイッチを有し得る。例として、この作動は、相対移動および/またはバーコードの読み出しを開始させることができる。
【0036】
提案されるバーコードリーダのさらなる可能な実施形態は、さまざまな検出器の実施形態に関する。特に、検出器の1つまたは2つ以上、すなわちバーコード検出器、クロックトラック検出器または基準トラック検出器またはこれらの検出器あらゆる組み合わせは、これらが、対でまたはすべて一緒に、1つまたは2つ以上の共通の光学センサエレメントに頼るように具現化することができる。このように、たとえば、バーコードリーダは、少なくとも1つの光学センサエレメント、たとえば横一列のセンサ、特に横一列のCCDを備えることができ、クロックトラック検出器および基準検出器は光学センサエレメントを使用するように構成される。例として、クロックトラック検出器は、横一列のセンサの、たとえば横一列のCCDの第1の区画を使用することができ、基準検出器はさらなる区画を使用することができる。さらに、バーコード検出器は、任意に、この横一列のセンサの区画を使用することもできる。さまざまな実施形態が可能である。バーコードリーダの複数の検出器による光学センサエレメントの共用部分は、たとえば適当な光学反射エレメント、たとえば、1つまたは2つ以上のミラー、プリズムまたは同様の反射エレメントなどによって、たとえば、光学信号を適宜センサエレメントに向けることができるようにもたらされ得る。
【0037】
上述の実施形態の1つまたは2つ以上についてのバーコードリーダに加えて、上述の実施形態の1つまたは2つ以上の通り、少なくとも1つのバーコードリーダを備える装置が、少なくとも1つの情報を伝送するためにさらに提案される。装置は、さらに少なくとも1つのバーコードを有する少なくとも1つの担体を備えており、その担体は、たとえば担体に関連する上述の特徴を有している。例として、このバーコードは、バーコードに関連する上述の特徴を有するバーコードで有り得る。
【0038】
バーコードは、複数の情報モジュールおよび少なくとも1つのクロックトラックを備えている。クロックトラックの可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。以下でより詳細に説明するように、バーコードは、追加で、少なくとも1つの基準トラックを備えることができ、あるいはクロックトラックそれ自身は、上述したように、同時に基準トラックとして使用することができる。ここで、少なくとも1つの「追加の」基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを意味すると理解されるべきである。例として、少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックの隣に延びることができ、基準トラックは、たとえば、少なくとも1つのクロックトラックに直接隣接し、そうでなければ少なくとも1つのクロックトラックとは別に、たとえば空間を開けることの結果として具現化される。特に、少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラック対して平行に延びることができる。例として、少なくとも1つの追加の基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックに対して平行なオフセットを有し得る。さらに、少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックと同じ周期性を有し得ることが好ましい。少なくとも1つの基準トラックは、少なくとも1つのクロックトラックの周期性と比べて位相シフトしている周期性を有していることが好ましい。
【0039】
装置は、少なくとも1つの移動方向において、バーコードリーダに対して、担体を手で移動させることができるように、任意に構成される。この目的のために、装置は、たとえば、上述したように、担体を受けるための少なくとも1つの受容部を備え得る。受容部の可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。特に、受容部は、バーコードリーダに対する担体の手による移動が可能になるように構成される。しかし、原則として、他の実施形態も可能である。
【0040】
担体は、特に、医療消耗品、医療消耗品の部分または医療消耗品に接続された担体エレメントで有り得る。特に、これは、体液中の少なくとも1つの検体を検出するための分析用テストエレメント、たとえばテストストリップで有り得る。しかし、他の実施形態、特に上述の実施形態も可能である。
【0041】
クロックトラックは、より詳細には、移動方向に、すなわち所期の移動方向に対して平行に配置することができる。クロックトラックは、より詳細には、クロックトラック検出器を通過する時、クロックトラック検出器において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される複数の周期的に交替するクロックトラックモジュールを有し得る。移動方向のクロックトラックモジュールの繰り返し周波数は、特に、移動方向におけるバーコードの情報モジュールの繰り返し周波数に対応し得る。言い換えれば、移動方向におけるモジュール高さおよび/またはモジュール間隔は、たとえばクロックトラックおよびバーコードの情報モジュールについて対応し得る。追加の基準トラックが存在する場合、後者は、クロックトラックおよび/またはバーコードの情報モジュールとして同じ繰り返し周波数も有し得る。しかし、原則として、他の実施形態もまた一般的に可能であり、たとえばバーコードの情報モジュールなどの繰り返し周波数の整数倍である、移動方向における繰り返し周波数を有するクロックトラックにより可能である。
【0042】
特に、バーコードは、バーコードの少なくとも1つの情報フィールドに情報モジュールが配置されるように構成され得る。例として、この情報フィールドは、情報モジュールの横列および縦列、たとえば移動方向に対して平行に配列される縦列を有する長方形フィールドとして具現化することができる。しかし、原則として、他の実施形態もまた可能である。クロックトラックは、情報フィールドとは別に、たとえば情報フィールドから分離して、具現化することができ、そうでなければクロックトラックは、情報フィールドに全体的にまたは部分的にも含まれ得る。特に、移動方向に対して平行な、情報フィールドの縦列端縁は、クロックトラックとしても使用できる。
【0043】
クロックトラックおよび/または任意の基準トラックとして、情報フィールドの少なくとも1つの縦列端縁を使用する代わりとして、またはそれに加えて、クロックトラックおよび/または任意の基準トラックはバーコードの内側にも移動できる。このように、たとえば、情報フィールドの情報モジュールを有する少なくとも1つの縦列が、それぞれ移動方向に対して垂直に両側で隣接するように、クロックトラックおよび/または基準トラックは具現化できる。特に、クロックトラックおよび/または基準トラックは、バーコードの中央の縦列に、またはバーコードの中央から好ましくは5モジュール幅以下、特に好ましくは2モジュール幅以下で配置されるバーコードの縦列に配置することができる。以下により詳細に説明するように、バーコード内側におけるクロックトラックおよび/または基準トラックの配置は、バーコードの中央であることが好ましいが、移動方向に対してバーコードの角度オフセットがある場合に、より大きなロバストを有するという利点を提供する。
【0044】
さらに、情報フィールドは、任意に、横列端縁および/または縦列端縁のモジュールが、バーコードリーダにおける均一の信号レベルを生成するために構成されて、後者が少なくとも1つの横列端縁および/または少なくとも1つの縦列端縁を備えるように具現化することができる。例として、全くの白または全くの黒の横列端縁、および全くの白または全くの黒の縦列端縁を用いることが可能である。これらの横列端縁または縦列端縁は、最初に、開始/停止信号として、そうでなければ信号レベルを較正するために使用できる。
【0045】
上述したように、バーコードは、さらに、クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを有し得る。基準トラックは、移動方向に対して平行に配置されることも好ましい。例として、基準トラックは、基準検出器を通過する時に、基準検出器において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される複数の周期的に交替する基準トラックモジュールを有し得る。ここで、基準トラックの周期性は、前者がクロックトラックと同じ繰り返し周波数を有するようで有り得る。しかし、基準トラックの周期性は、クロックトラックの周期性と比べてシフトすべきであり、好ましくはH/2の等しくない倍数だけ位相シフトすべきである。
【0046】
バーコードのモジュール、すなわち情報モジュールおよび/またはクロックトラックのモジュールおよび/または任意の基準トラックのモジュールは、一般に、移動方向におけるモジュール高さおよび移動方向に対して垂直なモジュール幅を有し得る。例として、バーコードのモジュールおよび/または任意の基準トラックのモジュールおよび/またはクロックトラックのモジュールは、移動方向における長方形の辺長がモジュール高さであり、移動方向に対して垂直な方向における長方形の辺長がモジュール幅である長方形状を有し得る。長方形は、正方形であり得るが、そうでなければ正方形でなくてもよい。
【0047】
バーコードのモジュールのモジュール高さ、すなわち、情報モジュール、クロックトラックのモジュールおよび基準トラックのモジュールからなる群から選ばれるモジュールのうちの1つまたは2つ以上のモジュールのモジュール高さは、モジュール幅と同じであり得るが、しかし、より詳細には、モジュール幅を超過してもよく、好ましくは少なくとも1.2倍、より詳細には少なくとも1.5倍、または2倍であってもよい。以下により詳細に説明するように、モジュールのこの細長い実施形態は、実際の移動方向に対する所期の移動方向の傾き、たとえばバーコードが傾きを有して担体上に適用される結果として、および/または、バーコードの縦列に対する、またはクロックトラックおよび/または基準トラックに対する、担体とバーコードリーダの間の相対移動の移動方向における傾きの結果としての傾きを許容することを可能にもする。それは、傾きに関らず、横一列づつの読み出しの場合、傾きに関らず同じ横列の読み込み処理もあることを確実にすることもできるからである。
【0048】
上述のバーコードリーダおよび示された任意の実施形態のうち1つまたは2つ以上における上述の装置に加えて、バーコードをさらに提案する。バーコードは、より詳細には消耗品の部分、より詳細には医療消耗品の部分であり得る。したがって、本発明による少なくとも1つの担体および少なくとも1つのバーコードを有するそのような消耗品は、それ自身が本発明の主題であり得る。特に、消耗品は、体液の少なくとも1つの検体を検出するための分析用テストエレメントであり得る。例として、分析用テストエレメントは、検体を検出するための少なくとも1つの試験薬を備えている。ここで、試験薬は、検出されるべき少なくとも1つの検体が存在する場合、少なくとも1つの検出可能な特性、たとえば物理的におよび/または化学的に検出可能な特性、より詳細には、電気化学的におよび/または光学的に検出可能な特性を明確に変化させる物質を意味すると理解されるべきである。分析用テストエレメントは、より詳細には、少なくとも1つの担体、たとえばストリップ形状またはテープ形状の担体、および担体に接続された少なくとも1つのバーコードを備えている。分析用テストエレメントは、上述の実施形態の1つまたは2つ以上の通りの装置において使用されるように構成されることが好ましい。
【0049】
バーコードは、複数の情報モジュールを備えている。バーコードは、さらに、少なくとも1つのバーコードリーダによって、情報モジュールの読み出しを刻時するための少なくとも1つのクロックトラックを備えている。移動方向において、バーコードとバーコードリーダの間の相対移動が存在する。この相対移動は、原則として、バーコードエレメントおよびバーコードリーダエレメントのうちの1つまたは両方、すなわちバーコード、バーコードリーダまたはバーコードおよびバーコードリーダが移動できるような方法で実行される。ここで、刻時は、少なくとも1つのその時に読み出される情報モジュールによる信号、たとえばバーコード検出器からの信号を、移動方向における空間情報に、たとえばアドレスカウンタの形で割り当てることを意味すると理解されるべきである。バーコードは、さらに、クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを備えている。基準トラックは、クロックトラックと比べて位相オフセットを有している。本発明によるバーコードのさらに可能な実施形態については、上述の記載が参照できる。したがって、バーコードは、たとえば上述の特徴を有する少なくとも1つのクロックトラックを有し、任意に、追加で、少なくとも1つの基準トラックを有し得る。さらに可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。
【0050】
したがって、消耗品は、消耗品が、特に、医療消耗品として具現化される、本発明のさらなる態様において提案される。特に、これは、上述の記載の通りの医療消耗品であり得る。したがって、消耗品は、原則として、バーコードによってマーキングされ得るあらゆる物品を備え得る。消耗品は、少なくとも1つの担体および少なくとも1つのバーコード、たとえば、上述の記載の通りに、担体に接続された少なくとも1つのバーコードを備えている。バーコードは、複数の情報モジュールを備えている。バーコードは、さらに、バーコードに対して移動方向で移動するバーコードリーダによって、情報モジュールの読み出しを刻時するための少なくとも1つのクロックトラックを備えている。例として、これは、上述の実施形態のうちの1つまたは2つ以上の通りのバーコードリーダであり得る。バーコードは、さらに、クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを備えており、基準トラックは、クロックトラックと比べて位相オフセットを有している。クロックトラック、基準トラックまたはさらなるバーコードの部分のさらに可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。
【0051】
上で示したバーコードリーダ、述べた装置および分析用テストエレメントに加えて、消耗品特有の情報を、少なくとも1つの医療消耗品から、医療消耗品と相互作用する医療機器へ、より詳細には、医療測定機器および/または治療機器へ伝送するために、上述の実施形態の1つの通りの装置を使用することを、さらに提案する。ここで、消耗品特有の情報は、医療消耗品の少なくとも1つの特性を特徴付ける情報を意味すると理解されるべきである。特に、これは、たとえば、医療消耗品によって実行される測定を評価するために用いられ、および/または予期される消耗品の使用に関するバッチ−特定情報であり得る。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、消耗品特有の情報は、消耗品のタイプまたは少なくとも1つの他の特性、たとえば製作者、用量、有効期限、医療消耗品のタイプまたは他のタイプの情報または前述の組み合わせおよび/または他の情報に関する情報を備え得る。医療測定機器は、特に、ユーザの少なくとも1つの身体の状態および/または試料の少なくとも1つの状態を定性的におよび/または定量的に取り込むように構成される診断測定機器であり得る。特に、これは、試料、より詳細には、体液の試料における少なくとも1つの検体を定性的にまたは定量的に検出するように構成される診断測定機器であり得る。例として、少なくとも1つの検体は、少なくとも1つの代謝物質であり得る。しかし、代わりとしてまたはそれに加えて、医療機器は、少なくとも1つの投薬装置を備え、または投薬装置として具現化することができる。本発明のこの態様において、そうでなければ他の態様において、医療消耗品は、たとえば薬剤または治療薬であり、またはそのような薬剤または治療薬を備え、またはたとえばそのような薬剤または治療薬の包装であり、またはそのような包装の部分であり得る。消耗品特有の情報は、たとえば用量、利用情報、有効期限または同様の情報を備え得る。
【0052】
本発明のさらなる態様において、移動する担体に接続される光学式バーコードを取り込む方法を提案する。特に、この方法は、バーコードリーダおよび/または上述の実施形態の1つまたは2つ以上による装置を用いて実行することができる。したがって、方法の可能な実施形態については上述の記載を参照できる。提案される方法において、移動するバーコードの情報モジュールは、少なくとも一次元的に取り込まれる。さらに、少なくとも1つのクロックトラック検出器は、バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むために使用される。さらに、バーコードからの少なくとも1つの基準情報は、少なくとも1つの基準検出器によって取り込まれる。担体の移動方向は、クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および基準検出器からの少なくとも1つの信号から割り出される。
【0053】
方法のさらに可能な実施形態については、上述の記載を参照できる。特に、基準検出器は、以下の光学信号から選択される光学信号を受けるように構成され得る。クロックトラック検出器からの所定の空間オフセット、より詳細には、移動方向に対して平行なオフセット位置でのクロックトラックからの光学信号。クロックトラックとは別であり、クロックトラックに対してモジュールオフセットを有する基準トラック、すなわち、たとえば、クロックトラックに対して位相シフトしている基準トラックからの光学信号。
【0054】
結論として、以下の実施形態は、本発明の範囲内において特に好ましい。
【0055】
実施形態1:移動する担体に結合されたバーコードを取り込むためのバーコードリーダであって、前記バーコードリーダが、前記バーコードの情報モジュールの少なくとも一次元取り込みのための少なくとも1つの光学式バーコード検出器を備え、前記バーコードリーダが、さらに、前記バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むための少なくとも1つの光学式クロックトラック検出器および前記バーコードから少なくとも1つの基準情報を取り込むための少なくとも1つの光学式基準検出器を備え、前記バーコードリーダが、前記クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および前記基準検出器からの少なくとも1つの信号から、前記担体の移動方向を割り出すように構成されるバーコードリーダ。
【0056】
実施形態2:前記バーコードリーダが、前記クロックトラック検出器からの信号における前記クロックトラックに起因する少なくとも1つの信号変化、より詳細にはポジティブまたはネガティブエッジを取り込むように構成される実施形態1記載のバーコードリーダ。
【0057】
実施形態3:前記バーコードリーダが、前記クロックトラック検出器により取り込まれる信号変化のサイン、および前記基準検出器からの信号の絶対値、より詳細には前記基準検出器からの同時に発生する信号の絶対値、から前記移動方向を割り出すように構成される実施形態1または2記載のバーコードリーダ。
【0058】
実施形態4:前記バーコードリーダが、
前記クロックトラック検出器からの信号においてネガティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において第1の信号レベルが識別される場合、または前記クロックトラック検出器からの信号においてポジティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において第2の信号レベルが識別される場合、第1の移動方向を割り出すように、および
前記クロックトラック検出器からの信号においてポジティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において第1の信号レベルが識別される場合、または前記クロックトラック検出器からの信号においてネガティブエッジが識別され、前記基準検出器からの信号において前記第2の信号レベルが識別される場合、前記第1の移動方向とは反対の方向の第2の移動方向を割り出すように構成される実施形態3記載のバーコードリーダ。
【0059】
実施形態5:さらにデータ記憶装置を備え、前記バーコードリーダが、前記バーコードの横列に含まれる情報を読み出し、それぞれ、横列に対応するアドレスカウンタとともに、前記データ記憶装置に保存するように構成され、前記バーコードリーダが、識別された移動方向に従って、前記アドレスカウンタをインクリメンタルに増加または減少させるように構成される実施形態1〜4のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0060】
実施形態6:前記光学式クロックトラック検出器が、前記バーコード検出器の一部である実施形態1〜5のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0061】
実施形態7:前記基準検出器が、前記クロックトラック検出器に対して、
前記基準検出器が、前記移動方向に対して垂直な方向において、前記クロックトラック検出器の隣に配置されるか、および/または
前記基準検出器が、前記移動方向に対して平行な方向において、前記クロックトラック検出器に対して、オフセットだけオフセットして配置され、前記オフセットが、好ましくは、前記バーコードの前記モジュールのモジュール高さの等倍数からずれて配置される実施形態1〜6のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0062】
実施形態8:少なくとも1つの光学センサエレメント、より詳細には横一列のセンサを備え、前記クロックトラック検出器および前記基準検出器が、前記光学センサエレメントを使用するように構成される実施形態1〜7のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0063】
実施形態9:光学的な前記基準情報が、
前記バーコードの基準トラックからの光学情報、および
前記クロックトラック検出器により読み出される前記クロックトラックからの現在の光学情報から所定のオフセットの位置にある、より詳細には、前記クロックトラックのモジュール高さの等倍数からずれるオフセットの位置にある、前記バーコードの前記クロックトラックからの光学情報から選択される実施形態1〜8のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0064】
実施形態10:さらに担体を受けるための受容部を備え、前記受容部が、前記バーコードリーダに対して前記担体が移動できるように構成され、前記バーコードリーダが、前記受容部内で前記担体が移動する間、前記バーコードリーダによって前記バーコードを読み出すことができるように構成される実施形態1〜9のいずれか1つに記載のバーコードリーダ。
【0065】
実施形態11:実施形態1〜10のいずれか1つに記載の少なくとも1つのバーコードリーダを備え、さらに少なくとも1つのバーコードを有する少なくとも1つの担体を備えた、少なくとも1つの情報を伝送する装置であって、前記バーコードが、複数の情報モジュールおよび少なくとも1つのクロックトラックを備えている装置。
【0066】
実施形態12:前記クロックトラックが、複数の周期的に交替するクロックトラックモジュールを有し、前記交替するクロックトラックモジュールが、前記クロックトラック検出器を通過する時に、前記クロックトラック検出器において、少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成される実施形態11記載の装置。
【0067】
実施形態13:前記クロックトラックが、複数の連続クロックトラックモジュールを有し、連続クロックトラックモジュールが、前記バーコードにおいて直線のライン、または湾曲したラインに沿って連続的に配置され、前記バーコードの情報モジュールとして同時に機能しないが、前記バーコードが前記バーコードリーダに対して移動する時に、クロックとしてだけ機能する実施形態11または12記載の装置。
【0068】
実施形態14:前記バーコードが、二次元バーコードである実施形態11〜13のいずれか1つに記載の装置。
【0069】
実施形態15:前記バーコードが、さらに少なくとも1つの基準トラックを有している実施形態11〜14のいずれか1つに記載の装置。
【0070】
実施形態16:前記基準トラックが、第2のクロックトラックとして具現化され、前記基準トラックが、前記クロックトラックと同じ周期性を有し、前記クロックトラックと比べて位相シフトを有している実施形態15記載の装置。
【0071】
実施形態17:前記基準トラックが、前記移動方向に対して平行に配置されている実施形態15または16記載の装置。
【0072】
実施形態18:前記基準トラックが、複数の周期的に交替する基準トラックモジュールを有し、前記交替する基準トラックモジュールが、前記基準検出器を通過する時に、前記基準検出器において少なくとも2つの異なる信号レベルを交互に生成するように構成され、前記基準トラックの周期性が、前記クロックトラックの周期性と比べて位相シフトしている実施形態15〜17のいずれか1つに記載の装置。
【0073】
実施形態19:前記基準トラックが、前記クロックトラックと同じ周期性を有している実施形態15〜18のいずれか1つに記載の装置。
【0074】
実施形態20:前記基準トラックが、前記クロックトラックに対して平行に配列されている実施形態15〜19のいずれか1つに記載の装置。
【0075】
実施形態21:前記バーコードのモジュールが、前記移動方向のモジュール高さ、および前記移動方向に対して垂直のモジュール幅を有し、前記モジュール高さが、前記モジュール幅を超過し、好ましくは少なくとも1.2倍、より詳細には少なくとも1.5倍である実施形態11〜20のいずれか1つに記載の装置。
【0076】
実施形態22:複数の情報モジュールを備えたバーコードであって、前記バーコードが、さらに、少なくとも1つのバーコードリーダにより、情報モジュールの読み出しを刻時するクロックトラックを備え、移動方向において、前記バーコードと前記バーコードリーダの間に相対移動が存在し、前記バーコードがさらに、前記クロックトラックとは別に具現化される少なくとも1つの基準トラックを備え、前記基準トラックが、前記クロックトラックと比べて位相オフセットを有している、バーコード。
【0077】
実施形態23:少なくとも1つの医療消耗品から、医療消耗品と相互作用する医療機器へ、より詳細には、医療測定機器および/または治療機器へ、消耗品特有の情報を伝送する実施形態11〜21のいずれか1つに記載の装置の使用。
【0078】
実施形態24:移動する担体に結合された光学式バーコードを取り込む方法であって、前記バーコードの情報モジュールが、少なくとも一次元的に取り込まれ、少なくとも1つのクロックトラック検出器が、前記バーコードのクロックトラックのクロックトラックモジュールを取り込むために使用され、さらに、前記バーコードからの少なくとも1つの基準情報が、少なくとも1つの基準検出器によって取り込まれ、前記担体の移動方向が、前記クロックトラック検出器からの少なくとも1つの信号および前記基準検出器からの少なくとも1つの信号から割り出される方法。
【0079】
上述のバーコードリーダ、装置、バーコード、使用および方法が、一定の引抜速度および協調した移動プロセス、特に、データの読み出しの単一指向性を前提とする、手動で操作されるプル型リーダおよび/または特に、二次元バーコードのためのスワイプリーダ、または長手リーダを実現することを可能にする。示された解決策は、特に、協調移動プロセスを主として省略することができる、一次元および二次元バーコードの双方のための、手動で操作されるプル型またはプッシュ型リーダを実現することを可能にする。本発明は、限定されるものではないが、たとえば、分析用テストストリップの場合のように、1つの寸法が他の寸法よりも著しく長い物品に、特に有利に適用される。しかし、本発明は、異なる方法で実現されたバーコードスキャナシステムの信頼性を向上させるためにも適用することができる。
【0080】
特に二次元バーコードについて、本発明にしたがって、簡単に実行することができ、費用効果のある二次元バーコードリーダシステムを提供することができる。この場合に、上述の任意の特徴は、代わりにまたは追加的に使用することができる。このように、たとえば、第2の、追加のクロックトラックが、基準トラックとして使用できる。後者は、実際のクロックトラックと相互作用することができる。例として、基準トラックの幾何学的形状は、実際のクロックトラックと完全に同じである実施形態を有することが可能であるが、それと比較して位相オフセットを有して配置され得る。
【0081】
第1の信号レベルを有するモジュールおよび第2の信号レベルを有するモジュールが交互に繰り返すクロックトラック(バイナリクロックトラック)が使用される場合、たとえば、クロックトラックの周期性における90°の位相シフトに対応するモジュールの半分の位相オフセットが存在し得る。この場合に、特に、クロックトラック検出器および基準検出器からの信号が比較される同時性識別によって、2つのトラックにおけるそれぞれの状態の変化、またはこれら2つのトラックの状態の変化のうち少なくともいくつかが、空間分解能を決定すること、および移動方向を決定することの双方のために使用されことが実現できる。原則として、そのような方法は、機械計測学からの変位エンコーダまたは回転センサ技術によって公知である。対照的に、この原理の使用は、本発明に従って提案されるように、一次元そうでなければ多次元のバーコードをデコードする場合には、公知ではない。本願の場合、この原理は、特に、バーコードデコーダアルゴリズムにおける部分的なアルゴリズムとして使用することができる。
【0082】
さらに、光学式スキャナシステムにおける幾何学的配置において変更があり得るが、さらなる過程において、導入される基準トラック、たとえば方向トラックの移動があり得る。先行技術による二次元バーコードは、すでに大抵クロックトラックを備えており、多くの場合、少なくとも複数の感光エレメント(ピクセル)を有する光学列センサによってスキャンされるので、追加の基準トラックまたは方向トラックは、本発明に従って、第2の、追加のセンサが、クロックトラック検出器に対する位置空間において、空間的なオフセットまたは位相オフセット、たとえばすでに存在するクロックトラックに対して90°の位相オフセットを伴って配置されるという1つの選択的な条件に限って、省略することができる。バーコード検出器および/またはクロックトラック検出器および/または基準検出器またはこれらの検出器のいくつかまたはすべては、任意にいわゆる密着イメージセンサ(CIS)として具現化される。これは、検出器が、実用上、バーコード上で直接停止することができ、または、バーコードから多くても5mmの距離で配置することができることを意味している。例として、そのようなCISセンサは、任意に、1つまたは2つ以上の反射エレメント、たとえば1つまたは2つ以上のスプリットミラーおよび/またはプリズムを組み合わせて、CCD列の形で達成することができる。
【0083】
クロックトラックが存在するが、しかし、クロックトラック自身が、(実際のクロックトラックとしておよび基準トラックとして)2回使用されるような追加の基準トラックは存在しない従来のバーコードに使用される場合、これは、さらに、市販のカメラスキャナが使用できるという利点を有しており、本発明に従って、適合させる必要があるのは、評価アルゴリズムだけである。特に、バーコードを設計するための特定の規則を、たとえばいわゆるクワイエットゾーン、すなわちモジュールを全く含まないゾーンの使用に付着させなければならない場合に、これは生じ得る。
【0084】
クロックトラックが、追加で基準トラックとしても使用することができる結果として、クロック検出器と比べて空間的にオフセットしている基準検出器、より詳細には、モジュール高さの半分の等しくない倍数だけ移動方向でオフセットしている基準検出器が使用される上述の実施形態は、さまざまなさらなる利点を有している。このように、たとえば、二次元検出器、たとえば複数の光学列センサを有するシンプルな光学式フィールドセンサを使用することができる。さらに、二次元CCDアレイを有するCCDカメラを使用することができる。この場合に、たとえば横列センサまたはこの横列センサの部分をクロック検出器として使用することができ、および検出器の他の横列または他の横列の部分を基準検出器として使用することができるが、たとえば位相距離(n・360°)+90°、すなわち結果として相間中心距離90°を有する横列、および/または、位置空間に対して、たとえば相間中心距離(n・2・H)+1/2Hを有する横列を使用することができる。利用されるバーコード、より詳細には二次元バーコードの幅に応じて、その分解能については、利用される光学式フィールドセンサに対して低い要求のみがなされる。例として、二次元バーコード(ここでたとえば全領域)が全体長さに対して分配されている場合、光学式コンピュータマウスにおいて通常使用されているように、シンプルなマウスセンサをすでに使用することができる。
【0085】
本発明によると、さらに、角度オフセットエラーに対して安定させることができる。プル型および/またはプッシュ型リーダのそれぞれは、一般的に、スキャンされる消耗品のガイドを備えているので、このガイドが十分な頭上スペースを有していることも必要である。しかし、これは、一般的に、移動方向と縦列方向または移動方向に対するバーコードのクロックトラックの方向の間の角度オフセットにつながる。バーコードを担体に適用した時のエラー、たとえば印刷エラーは、そのような角度オフセットをもたらす。個々のモジュールを長手方向に、すなわち所期の移動方向に対して平行に引き延ばすように、バーコードの幾何学的形状を変更した結果として、角度オフセットのある値に対して調整可能な安定性を達成することができる。モジュールが長いほど(モジュール高さが大きいほど)、角度オフセットが大きくなる可能性がある。
【0086】
さらに、本発明によると、シンプルなフラットスキャニングシステムを実現することができる。特に、これは、密着イメージセンサ(CIS)、たとえば1つまたは2つ以上のCCD列の形で密着イメージセンサを使用することにより達成することができ、密着イメージセンサのイメージングは、たとえば0.5から0.7mmの領域で実現することができる。
【0087】
本発明のさらなる詳細および特徴は、好ましい例示の実施形態の以下の記載、特に従属請求項と併せた記載から明らかになる。ここで、それぞれの特徴は、それら自身でまたは、それらのいくつかが一緒に、互いに組み合わせて、実現することができる。本発明は例示の実施形態に限定されることはない。例示の実施形態は、図において模式的に示されている。ここで、個々の図における同じ参照符号は、同等のまたは機能的に同等のエレメント、または機能の点から対応するエレメントを示している。