(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る再生骨材の製造方法及びこの方法により得られる再生骨材の好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2は本発明に係る再生骨材の製造方法を示すフロー図であり、
図1は前工程を示す図、
図2は後工程を示す図である。尚、
図2において、(W)はホイルローダーによる移送を示し、(D)はダンプカーによる移送を示し、(S)はショベルカーによる移送を示す。また、
図1の符号(101)で示した記号と同じ記号は検査工程を示す。
【0020】
先ず、
図1に示す前工程について説明する。
本発明において使用される原料は、コンクリートガラである。
コンクリートガラとしては、具体的には、コンクリート構造物(建物等)の解体に伴って発生するコンクリート塊等の砂岩系原料や、生コンクリート工場で製造されて打設現場から戻ってくる戻り生コンクリート等(レディミクストコンクリート等)の石灰系原料が使用される。本発明においては、砂岩系原料のみを使用してもよいし、石灰系原料のみを使用してもよいし、両方を使用してもよい。但し、後述するように、原料全体に占める石灰系原料の比率(容積比)を30%以上に設定することが好ましい。
【0021】
前工程では、工事現場、生コン工場、コンクリート製品工場等から搬入されたコンクリートガラからなる原料(原コンクリート)の受け入れ検査(101)を行った後、検査に合格した原料をホッパー(102)に収容する。
ホッパー(102)に収容される原料は、上記した砂岩系原料及び/又は石灰系原料である。砂岩系原料と石灰系原料の両方を使用する場合、前工程(
図1)では、砂岩系原料を処理する工程と、石灰系原料を処理する工程が別々に実施される。つまり、前工程が2回実施される。
受け入れ検査(101)においては、原料が「石質、不純物量:限度見本の範囲内であること」、「絶乾密度:2.5g/cm
3以上」、「吸水率:3.0%以下」、「アルカリシリカ反応性:無害(A)」の4項目を満たすかどうかが判断される。
【0022】
ホッパー(102)に貯蔵された原料は、磁石付きの異物除去装置(103)により鉄筋が除去され、除去された鉄筋は鉄筋置き場(104)に保管される。
鉄筋が除去された原料は、原石ホッパー(105)に収容された後、分級機(振動篩)(106)に供給されて篩目を通過した60mm以下の原料のみが破砕装置(107)に供給されて破砕工程が行われる。
破砕装置(107)の種類は特に限定されないが、例えばバルドパクト(商品名:日鉄鉱業社製)が好適に使用される。
破砕工程においては、破砕装置(107)により原料を所定粒径(25mm)以下に破砕する。
【0023】
破砕装置(107)により破砕された原料は、磁気選別機(108)により鉄筋が除去され、除去された鉄筋は鉄筋置き場(109)に保管される。
破砕工程により所定粒径以下に破砕されて、磁気選別機(108)により鉄筋が除去された原料は、分級機(振動篩)(110)に供給される。
分級機(振動篩)(110)では、破砕工程により25mm以下に破砕された原料を、第一基準粒径(10mm)以下の小径成分(111)と、第一基準粒径(10mm)以上の大径成分(112)とに分級する。(第一分級工程) 尚、第一分級工程において25mmを超える原料は分別され、再び破砕装置(107)に供給されて破砕される。
以上の工程により、粒径0〜10mmの小径成分(111)と、粒径10〜25mmの大径成分(112)が得られる。
【0024】
次に、
図2に示す後工程について説明する。
上述した前工程にて得られた小径成分(111)と大径成分(112)は、順次、後工程に供される。
ここで、砂岩系原料と石灰系原料の両方を使用する場合、小径成分(111)と大径成分(112)のそれぞれについて砂岩系原料と石灰系原料が存在するため、合計4種類の原料が後工程に供されることとなる。砂岩系原料と石灰系原料のいずれか一方のみを使用する場合、小径成分(111)と大径成分(112)のそれぞれについて砂岩系原料と石灰系原料のいずれか一方のみが存在するため、2種類の原料が後工程に供されることとなる。
2種類又は4種類の原料は、順次別々に後工程に供される。供される順番は特に限定されない。
【0025】
<<製造方法1(4種類の原料を使用する場合)>>
以下、4種類の原料を使用する場合について説明する。
4種類の原料は、砂岩系原料の10〜25mmの大径成分(112A)、石灰系原料の10〜25mmの大径成分(112B)、砂岩系原料の0〜10mmの小径成分(111A)、石灰系原料の0〜10mmの小径成分(111B)である。これら4種類の原料は、上述した通り、順次別々に後工程に供される。
ここで、後工程に供される各成分の比率は、大径成分の容積が小径成分の容積以上となる比率に設定される。原料全体に占める大径成分の比率(容積)は50%以上であればよいが、50〜70%とすることが好ましい。その理由は、大径成分を50%以上とすると、後述する「大径成分が小径成分の表面に付着したセメントペーストを擦り取る機能」が十分に発揮され、より高品質の再生骨材を回収できるためである。
【0026】
大径成分(112A)、(112B)は、それぞれ仮置き場(134)を経て水洗前処理(135)に供される。小径成分(111A)、(111B)は直接水洗前処理(135)に供される。これら4成分は、順次別々に水洗前処理(135)に供される。
【0027】
水洗前処理(135)が施された4成分は、順次別々に、振動篩(136)にて泥が除去され、スパイラル水洗機(137)にて更に水洗され、原骨材水洗後置き場(138)にて水切りされた後、4つのホッパーに分けて収容される。図示例では、砂岩系原料の小径成分(111A)がホッパー(116)に、砂岩系原料の大径成分(112A)がホッパー(113)に、石灰系原料の小径成分(111B)がホッパー(115)に、石灰系原料の大径成分(112B)がホッパー(114)に、それぞれ収容されている。
【0028】
以下の工程は、大別して3回の工程からなるため、先に行われる工程から順に後工程1、後工程2、後工程3と称する。
【0029】
<後工程1>
上記4種類の成分は、順次別々に、第一投入口(117)又は第二投入口(118)を経て、第一摩砕機(119)に供給される。(この第一摩砕機(119)は、請求項1の摩砕機、請求項2の第一摩砕機に相当する。)
第一摩砕機(119)においては、供給された成分同士が互いに擦りあわされる第一摩砕工程(請求項1の摩砕工程、請求項2の第一摩砕工程に相当)が行われる。
第一摩砕機(119)としては、摩砕媒体(球やロッド)を有さないものが使用される。具体的には、一部から取り入れた被摩砕物を他部から排出することが可能に構成された筒状のドラム体と、前記ドラム体内をその筒長方向に貫く中心軸と、前記中心軸の軸方向に所定間隔で取り付けられて、前記ドラム体の内部空間を複数の摩砕室に区画する複数の摩砕板と、を備え、前記ドラム体および前記摩砕板のうち少なくともいずれか一方が回転し、前記ドラム体内で転動しながら前記被摩砕物に接触することにより前記被摩砕物を摩砕する摩砕媒体(鋼球等)を有していない構造を有するものが好適に使用されるが、この構造を有するものには限定されない。
第一摩砕機(119)の詳細な構成の例については後述する。
【0030】
本発明では、第一摩砕工程(請求項1の摩砕工程、請求項2の第一摩砕工程に相当)において、第一摩砕機(119)として摩砕媒体を有していない摩砕機を使用することから、原料が摩砕媒体(鋼球等)に衝突して粉砕されることが防がれ、原料同士の擦り合わせ作用が摩砕機内で確実に生じることとなり、原料が過粉砕されずに表面に付着したセメントペーストが除去され、高品質のコンクリート用再生骨材を得ることができる。
第一摩砕工程を経ることにより、原料の表面が擦り取られて20mm以上の成分は少なくなる。そのため、以下の説明では大径成分の粒径を5〜20mmと記載しているが、実際には大径成分に20mm以上の成分も若干含まれている場合がある。しかし、この20mm以上の成分は第一摩砕機(119)による処理を複数回経ることにより無くなる。
本発明では、このように摩砕処理による粒径の減少を予め考慮し、後工程に供給される大径成分の粒径の上限値(25mm)を、最終製品(再生粗骨材)に要求される上限値(20mm)より若干大きめに設定している。このことは、後述する「製造方法2」についても同様である。
【0031】
第一摩砕機(119)にて摩砕された原料は、除鉄用吊下電磁石(120)により金属が除去された後、分級機(振動篩)(121)に供給される。
分級機(振動篩)(121)では、供給された原料を第二基準粒径(5mm)以下の小径成分と、第二基準粒径(5mm)以上の大径成分とに分級する。(第二分級工程)
上記4種類の原料はこの第二分級工程に順次供される。そして、粒径0〜10mmの小径成分(111A)(111B)は、第二基準粒径(5mm)以下の小径成分(0〜5mm)と、第二基準粒径(5mm)以上の大径成分(5〜10mm)とに分級される。一方、粒径10〜25mmの大径成分(112A)(112B)は、小径成分(0〜5mm)と大径成分(5〜20mm)とに分級される。尚、大径成分(112A)(112B)は、本来は5mm以下の成分を含んでいない筈であるが、セメント粉等の微細成分が混入しているため、5mm以下の成分を僅かに含んでおり、これが小径成分(0〜5mm)として分けられる。
【0032】
第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)に供給される。
第二摩砕機(124)としては、被摩砕物を摩砕する摩砕媒体を有していない摩砕機が使用され、具体的には第一摩砕機(119)と同様の構造を有するものを使用することができる。
【0033】
第二摩砕機(124)においては、小径成分(0〜5mm)が互いに擦りあわされる摩砕工程(第二摩砕工程)が行われた後、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗されることにより、擦り合わせにより発生したセメント粉末が除去される。
セメント粉末が除去された小径成分(0〜5mm)は、ホッパー(126)に収容される。
尚、本発明においては、第二摩砕機(124)を設けずに第二摩砕工程を省略してもよい。この場合、第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(125)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)には供給されずに、ホッパー(126)に収容される。
一方、分級機(振動篩)(121)により分級された大径成分(5〜20mm)は、異物集塵機(127)により異物(不純物、微粉等)が除去された後、ホッパー(128)に収容される。
【0034】
上記した後工程1が、上記4種類の原料について順次行われると、砂岩系原料の5〜20mmの大径成分(112C)、石灰系原料の5〜20mmの大径成分(112D)、砂岩系原料の0〜5mmの小径成分(111C)、石灰系原料の0〜5mmの小径成分(111D)、砂岩系原料の5〜10mmの大径成分(112E)、石灰系原料の5〜10mmの大径成分(112F)が得られる。
ここで、砂岩系原料の0〜5mmの小径成分(111C)には、粒径0〜10mmの小径成分(111A)から得られたもの(111C−1)と、粒径10〜25mmの大径成分(112A)から得られたもの(111C−2)がある。
また、石灰系原料の0〜5mmの小径成分(111D)には、粒径0〜10mmの小径成分(111B)から得られたもの(111D−1)と、粒径10〜25mmの大径成分(112B)から得られたもの(111D−2)がある。
【0035】
<後工程2>
後工程1で得られた4種類の大径成分(112C)(112D)(112E)(112F)(以下、大径成分の組と称す)と、2種類の小径成分(111C)(111D)(以下、小径成分の組と称す)は、順次別々に、以下の工程に供される。例えば、先に大径成分(112C)(112D)(112E)(112F)が供され、後に小径成分(111C)(111D)が供されるが、順序は限定されない。
先に大径成分の組が供された場合を例に挙げて説明する。
砂岩系原料の5〜20mmの大径成分(112C)と、石灰系原料の5〜20mmの大径成分(112D)と、砂岩系原料の5〜10mmの大径成分(112E)と、石灰系原料の5〜10mmの大径成分(112F)は、第一投入口(117)及び第二投入口(118)を介して第一摩砕機(119)に供給される。
【0036】
第一摩砕機(119)に供給される砂岩系原料(第一原料)と石灰系原料(第二原料)の容積比は、原料全体に占める第二原料の比率(容積比)が30%以上、好ましくは50%以上となるように設定することが好ましい。
その理由は、石灰系原料(第二原料)だけの場合又は石灰系原料が30%以上の場合は製造される再生骨材がアルカリシリカ反応を示すものとなるおそれがないが、砂岩系原料(第一原料)を混合して石灰系原料(第二原料)が30%未満となると、ペシマム現象が起こり易くなり、製造される再生骨材がアルカリシリカ反応を示すものとなるおそれがあり、好ましくないからである。
【0037】
第一摩砕機(119)に供給された第一原料及び第二原料(大径成分(112C)(112D)(112E)(112F))は、互いに擦り合わされた後、上述した後工程1と同様に、除鉄用吊下電磁石(120)及び分級機(振動篩)(121)に供給される。
分級機(振動篩)(121)では、供給された原料(大径成分(112C)(112D)(112E)(112F))を、第二基準粒径(5mm)以下の小径成分(0〜5mm)と、第二基準粒径(5mm)以上の大径成分(5〜20mm)とに分級する。尚、大径成分(112C)(112D)(112E)(112F)は、本来は5mm以下の成分を含んでいない筈であるが、セメント粉等の微細成分が混入しているため、5mm以下の成分を僅かに含んでおり、これが小径成分(0〜5mm)として分けられる。
【0038】
第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)に供給される。
第二摩砕機(124)においては、小径成分(0〜5mm)が互いに擦りあわされる摩砕工程(第二摩砕工程)が行われた後、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗されて擦り合わせにより発生したセメント粉末が除去される。セメント粉末が除去された小径成分(0〜5mm)は、ホッパー(126)に収容される。
尚、第二摩砕機(124)を設けずに第二摩砕工程を省略してもよい。この場合、第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)には供給されずに、ホッパー(126)に収容される。
一方、分級機(振動篩)(121)により分級された大径成分(5〜20mm)は、異物集塵機(127)により異物(不純物、微粉等)が除去された後、ホッパー(128)に収容される。
ホッパー(126)に収容された小径成分(0〜5mm)と、ホッパー(128)に収容された大径成分(5〜20mm)は、一旦、別の場所に移されて保管される。
以上により、大径成分の組についての処理は完了する。
【0039】
この処理の結果、砂岩系原料の5〜20mmの大径成分と石灰系原料の5〜20mmの大径成分とが所定の比率(石灰系原料が30%以上)で混合された5〜20mmの成分(以下、混合大径成分αと称す)と、砂岩系原料の0〜5mmの小径成分と石灰系原料の0〜5mmの小径成分とが所定の比率(石灰系原料が30%以上)で混合された0〜5mmの成分(以下、混合小径成分αと称す)が得られる。
但し、これらの混合大径成分αと混合小径成分αは、いずれも大径成分(112C)(112D)(112E)(112F)から得られたものであるため、混合大径成分αが殆どであり、混合小径成分αは少ない。
【0040】
続いて、小径成分の組の処理が行われる。
砂岩系原料の0〜5mmの小径成分(111C)と石灰系原料の0〜5mmの小径成分(111D)が、それぞれ第一投入口(117)及び第二投入口(118)を介して第一摩砕機(119)に供給され、その後、上述した大径成分の組と同様の処理が行われる。
ここで、大径成分の組の場合と同様に、第一摩砕機(119)に供給される砂岩系原料(第一原料)と石灰系原料(第二原料)の容積比は、原料全体に占める第二原料の比率(容積比)が30%以上、好ましくは50%以上となるように設定することが好ましい。
その理由は、石灰系原料(第二原料)だけの場合又は石灰系原料が30%以上の場合は製造される再生骨材がアルカリシリカ反応を示すものとなるおそれがないが、砂岩系原料(第一原料)を混合して石灰系原料(第二原料)が30%未満となると、ペシマム現象が起こり易くなり、製造される再生骨材がアルカリシリカ反応を示すものとなるおそれがあり、好ましくないからである。
【0041】
第一摩砕機(119)に供給された第一原料及び第二原料(小径成分(111C)(111D))は、互いに擦り合わされた後、上述した後工程1と同様に、除鉄用吊下電磁石(120)及び分級機(振動篩)(121)に供給される。
分級機(振動篩)(121)では、供給された原料(小径成分(111C)(111D))を、第二基準粒径(5mm)以下の小径成分(0〜5mm)と、第二基準粒径(5mm)以上の大径成分(5〜10mm)とに分級する。尚、小径成分(111C)(111D)は、本来は5mm以上の成分を含んでいない筈であるが、僅かに含んでいる場合がある。その場合、含まれた5mm以上の成分が大径成分(5〜10mm)として分けられる。
【0042】
第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)に供給される。
第二摩砕機(124)においては、小径成分(0〜5mm)が互いに擦りあわされる摩砕工程(第二摩砕工程)が行われた後、スパイラル水洗機(125)に供給されて水洗されて擦り合わせにより発生したセメント粉末が除去される。セメント粉末が除去された小径成分(0〜5mm)は、ホッパー(126)に収容される。
尚、第二摩砕機(124)を設けずに第二摩砕工程を省略してもよい。この場合、第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)には供給されずに、ホッパー(126)に収容される。
一方、分級機(振動篩)(121)により分級された大径成分(5〜10mm)は、異物集塵機(127)により異物(微粉等)が除去された後、ホッパー(128)に収容される。
以上により、小径成分の組についての処理も完了する。
【0043】
この処理の結果、砂岩系原料の5〜20mmの大径成分と石灰系原料の5〜20mmの大径成分とが所定の比率(石灰系原料が30%以上)で混合された5〜20mmの成分(以下、混合大径成分βと称す)と、砂岩系原料の0〜5mmの小径成分と石灰系原料の0〜5mmの小径成分とが所定の比率(石灰系原料が30%以上)で混合された0〜5mmの成分(以下、混合小径成分βと称す)が得られる。
但し、これらの混合大径成分βと混合小径成分βは、いずれも小径成分(111C)(111D)から得られたものであるため、混合小径成分βが殆どであり、混合大径成分βは少ない。
【0044】
<後工程3>
後工程2で得られた混合大径成分(α,β)と混合小径成分(α,β)は、それぞれ第一投入口(117)及び第二投入口(118)を介して第一摩砕機(119)に供給される。つまり、混合大径成分と混合小径成分の両方が第一摩砕機(119)に供給される。
ここで、第一摩砕機(119)に供給される混合大径成分と混合小径成分の比率(容積比)は、上述した通り、後工程に供される各成分の比率が、大径成分の容積が小径成分の容積以上となる比率に設定されているため、混合大径成分が一定以上の比率で比較的多く存在することとなる。
大径成分が小径成分の表面に付着したセメントペーストを擦り取る機能を果たすことから、混合大径成分が一定以上の比率で存在することで、この機能が十分に発揮され、製造される骨材の表面に付着したセメントペーストが確実に除去される。
尚、第一摩砕機(119)に供給される混合大径成分の容積を、混合小径成分の容積以上となる比率に設定することがより好ましい。これにより、上記したセメントペーストを擦り取る機能がより確実に発揮されることとなる。原料全体に占める大径成分の比率(容積)は50%以上であればよいが、50〜70%とすることが好ましい。
【0045】
第一摩砕機(119)に供給された混合大径成分(α,β)と混合小径成分(α,β)は、互いに擦り合わされてセメントペーストが除去された後、混合された状態(以下、混合物と称す)で排出される。
混合物は、上述した後工程1と同様に、除鉄用吊下電磁石(120)及び分級機(振動篩)(121)に供給される。
分級機(振動篩)(121)では、供給された混合物を、基準粒径(5mm)以下の小径成分(0〜5mm)と、基準粒径(5mm)以上の大径成分(5〜20mm)とに分級する。
【0046】
第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)に供給される。
第二摩砕機(124)においては、小径成分(0〜5mm)が互いに擦りあわされる摩砕工程(第二摩砕工程)が行われた後、スパイラル水洗機(125)に供給されて水洗されて擦り合わせにより発生したセメント粉末が除去される。セメント粉末が除去された小径成分(0〜5mm)は、ホッパー(126)に収容される。
尚、第二摩砕機(124)を設けずに第二摩砕工程を省略してもよい。この場合、第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)には供給されずに、ホッパー(126)に収容される。
一方、分級機(振動篩)(121)により分級された大径成分(5〜20mm)は、異物集塵機(127)により異物(微粉等)が除去された後、ホッパー(128)に収容される。
【0047】
ホッパー(128)に収容された大径成分(5〜20mm)と、ホッパー(126)に収容された小径成分(0〜5mm)は、再び、第一摩砕機(11)に供給されて、上述した第一摩砕工程、第二分級工程、第二摩砕工程に供される(再処理工程)。尚、再処理工程においても第二摩砕工程は省略してもよい。
尚、再処理工程においても、第一摩砕機(119)に供給される大径成分と小径成分の比率(容積比)は、大径成分の容積が小径成分の容積以上となる比率に設定することが好ましい。これにより、上述したセメントペーストを擦り取る機能がより確実に発揮されることとなる。
【0048】
上記再処理工程は、少なくとも1回行われ、好ましくは2回以上繰り返して行われる。
少なくとも1回以上の再処理工程が行われた後、最後の再処理工程(例えば再処理工程を2回繰り返した場合は2回目の再処理工程)における、第二分級工程にて分級された大径成分(5〜20mm)をホッパー(131)に収容して粗再生骨材として回収し、第二摩砕工程にて摩砕された小径成分(0〜5mm)をホッパー(132)に収容して再生細骨材として回収する。
回収される再生骨材は、ホッパー(131)に回収された大径成分(131)がJIS A 5021のRHG2005A(再生粗骨材H2005)に該当し、ホッパー(132)に回収された小径成分がJIS A 5021のRHS A(再生細骨材H)に該当する。
【0049】
<<製造方法2(2種類の原料を使用する場合)>>
次に、2種類の原料を使用する場合について説明する。
この場合、砂岩系原料の2種類(10〜25mmの大径成分(112A)と0〜10mmの小径成分(111A))を使用するか、又は石灰系原料の2種類(10〜25mmの大径成分(112B)と0〜10mmの小径成分(111B))を使用する。
但し、アルカリシリカ反応性試験にて無害と判定される良質なコンクリート用再生骨材を確実に得るためには、石灰系原料の2種類を使用する方が好ましい。
ここで、後工程に供される各成分の比率は、上述した4種類の原料を使用した場合と同様に、大径成分の容積が小径成分の容積以上となる比率に設定される。原料全体に占める大径成分の比率(容積)は50%以上であればよいが、50〜70%とすることが好ましい。
【0050】
上記2種類の原料は、上述した4種類の原料を使用した場合と同様に、順次別々に後工程に供される。後工程については、後工程2が不要となる以外は、4種類の原料を使用した場合と同様である。そのため、4種類の原料を使用した場合と共通する工程の説明は、一部省略する。
【0051】
後工程1が2種類の原料について順次行われると、砂岩系原料の5〜20mmの大径成分(112C)と砂岩系原料の5〜10mmの大径成分(112E)と砂岩系原料の0〜5mmの小径成分(111C)、又は、石灰系原料の5〜20mmの大径成分(112D)と石灰系原料の5〜10mmの大径成分(112F)と石灰系原料の0〜5mmの小径成分(111D)が得られる。
【0052】
2種類の原料を使用する場合、砂岩系原料と石灰系原料のいずれか一方しか使用しないため、4種類の原料を使用した場合のように砂岩系原料(第一原料)と石灰系原料(第二原料)とを混合する後工程2は行われない。
【0053】
そのため、後工程1により得られた、砂岩系原料の5〜20mmの大径成分(112C)と砂岩系原料の5〜10mmの大径成分(112E)と砂岩系原料の0〜5mmの小径成分(111C)、又は、石灰系原料の5〜20mmの大径成分(112D)と石灰系原料の5〜10mmの大径成分(112F)と石灰系原料の0〜5mmの小径成分(111D)は、後工程3に供される。
【0054】
後工程2で得られた砂岩系原料の5〜20mmの大径成分(112C)と砂岩系原料の5〜10mmの大径成分(112E)と砂岩系原料の0〜5mmの小径成分(111C)、又は、石灰系原料の5〜20mmの大径成分(112D)と石灰系原料の5〜10mmの大径成分(112F)と石灰系原料の0〜5mmの小径成分(111D)は、第一投入口(117)及び第二投入口(118)を介して第一摩砕機(119)に供給される。つまり、大径成分と小径成分の両方が第一摩砕機(119)に供給される。
ここで、第一摩砕機(119)に供給される大径成分と小径成分の比率(容積比)は、上述した通り、後工程に供される各成分の比率が、大径成分の容積が小径成分の容積以上となる比率に設定されているため、大径成分が一定以上の比率で比較的多く存在することとなる。
大径成分が小径成分の表面に付着したセメントペーストを擦り取る機能を果たすことから、大径成分が一定以上の比率で存在することで、この機能が十分に発揮され、製造される骨材の表面に付着したセメントペーストが確実に除去される。
尚、第一摩砕機(119)に供給される大径成分の容積を、小径成分の容積以上となる比率に設定することがより好ましい。これにより、上記したセメントペーストを擦り取る機能がより確実に発揮されることとなる。
【0055】
第一摩砕機(119)に供給された大径成分(112C)(112E)と小径成分(111C)、又は、大径成分(112D)(112F)と小径成分(111D)は、互いに擦り合わされてセメントペーストが除去された後、混合された状態(以下、混合物と称す)で排出される。
混合物は、上述した後工程1と同様に、除鉄用吊下電磁石(120)及び分級機(振動篩)(121)に供給される。
分級機(振動篩)(121)では、供給された混合物を、基準粒径(5mm)以下の小径成分(0〜5mm)と、基準粒径(5mm)以上の大径成分(5〜20mm)とに分級する。
【0056】
第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)に供給される。
第二摩砕機(124)においては、小径成分(0〜5mm)が互いに擦りあわされる摩砕工程(第二摩砕工程)が行われた後、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗されて擦り合わせにより発生したセメント粉末が除去される。セメント粉末が除去された小径成分(0〜5mm)は、ホッパー(126)に収容される。
尚、第二摩砕機(124)を設けずに第二摩砕工程を省略してもよい。この場合、第二分級工程にて分級された小径成分(0〜5mm)は、スパイラル水洗機(123)に供給されて水洗された後、第二摩砕機(124)には供給されずに、ホッパー(126)に収容される。
一方、分級機(振動篩)(121)により分級された大径成分(5〜20mm)は、異物集塵機(127)により異物(不純物、微粉等)が除去された後、ホッパー(128)に収容される。
【0057】
ホッパー(128)に収容された大径成分(5〜20mm)と、ホッパー(126)に収容された小径成分(5〜20mm)は、再び、第一摩砕機(11)に供給されて、上述した第一摩砕工程、第二分級工程、第二摩砕工程に供される(再処理工程)。尚、再処理工程においても第二摩砕工程は省略してもよい。
尚、再処理工程においても、第一摩砕機(119)に供給される大径成分と小径成分の比率(容積比)は、大径成分の容積が小径成分の容積以上となる比率に設定することが好ましい。これにより、上述したセメントペーストを擦り取る機能がより確実に発揮されることとなる。
【0058】
上記再処理工程は、少なくとも1回行われ、好ましくは2回以上繰り返して行われる。
少なくとも1回以上の再処理工程が行われた後、最後の再処理工程(例えば再処理工程を2回繰り返した場合は2回目の再処理工程)における、第二分級工程にて分級された大径成分(5〜20mm)をホッパー(131)に収容して再生粗骨材として回収し、第二摩砕工程にて摩砕された小径成分(0〜5mm)をホッパー(132)に収容して再生細骨材として回収する。
回収される再生骨材は、ホッパー(131)に回収された大径成分(131)がJIS A 5021のRHG2005A(再生粗骨材H2005)に該当し、ホッパー(132)に回収された小径成分がJIS A 5021のRHS A(再生細骨材H)に該当する。
【0059】
上記した本発明に係る製造方法(製造方法1又は2)により得られる再生骨材は、後述する実施例に示す如く、絶乾密度が2.5g/cm
3以上、吸水率が3.0%以下であり、JIS A 5021での品質区分Hに該当するものとなる。
【0060】
本発明においては、上記した製造方法1,2において、
図2に示す混合機(133)を使用した混合工程を実施することもできる。
混合機(133)は、前工程から供給される0〜10mmの成分から得られた小径成分(111C−1)(111D−1)と、前工程から供給される10〜25mmの成分から得られた小径成分(111C−2)(111D−2)を混合する。また、前工程から供給される10〜25mmの成分から得られた大径成分(112C)(112D)と、前工程から供給される0〜10mmの成分から得られた大径成分(112E)(112F)を混合する。混合された大径成分はホッパー(131)に供給され、混合された小径成分はホッパー(132)に供給される。
この混合工程を実施することにより、再生骨材の規定の粒度範囲と粗粒率の管理を的確に行うことができる。
【0061】
以下、本発明に係る製造方法(製造方法1又は2)において使用される摩砕機(第一摩砕機(119)及び第二摩砕機(124))の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、本発明に係る製造方法において使用される摩砕機は、後述する構造を持つものには限定されず、公知のボールミルやロッドミルにおいて摩砕媒体(ボールやロッド)を無くしたものを使用してもよい。
【0062】
図3は本発明において使用される摩砕機の第一実施形態の部分断面正面図である。
第一実施形態に係る摩砕機は、被摩砕物(原料)を一部(ホッパー(71))から内部に取り入れ、他部(排出用ホッパー(21))から排出することが可能に構成された円筒状のドラム体(1)と、ドラム体(1)内を筒長方向に貫く中心軸(2)と、中心軸(2)の長さ方向に所定間隔で取り付けられて、ドラム体(1)の内部空間を複数の摩砕室(6)に区画する複数の摩砕板(4)と、ドラム体(1)に取り付けられて、摩砕板(4)に対向する受圧部材(5)とを備えている。
また、排出用ホッパー(21)の下流側には、中心軸(2)と共に回転するふるい部材(22)が取り付けられている。
中心軸(2)の両端部は、一対の軸受け部材(16)、(17)により支持されている。
中心軸(2)の一端部(上流側)には、中心軸(2)を回転させるための駆動源となるモータ(M)が連結され、他端部(下流側)にはふるい部材(22)が取り付けられている。ふるい部材(22)は、ドラム体(1)から離れるにつれて次第に大径となるテーパをもつ円筒形状である。
【0063】
ドラム体(1)は、上下2つの半円筒状部材を組み合わせることにより、ほぼ円筒状の形になる。
複数の摩砕板(4)は、中心軸の軸方向に一定間隔で設けられており、ドラム体(1)の内部を軸長方向に複数の摩砕室(6)に区画している。各摩砕板(4)は、中心軸(2)に直交する面に対して傾いており、且つ、互いにほぼ平行である。各摩砕室(6)には、ドラム体内で転動しながら被摩砕物に接触することにより被摩砕物を摩砕する摩砕媒体(ボールやロッド等)が無い。
複数の受圧部材(5)は、各摩砕室(6)に配置され、それぞれ中心軸(2)に対して直交している。
本実施形態の摩砕機においては、被摩砕物(a)は、水(b)と共にホッパー(71)から供給され、各摩砕室(6)を順次通過した後、ドラム体(1)の最下流側にある排出用ホッパー(21)から排出され、ふるい部材(22)に送り込まれる。
ただし、このような湿式構造ではなく、ブロワーにより或いはブロワー無しで摩砕板の回転等の作用により被摩砕物(a)を送る乾式構造を採用してもよい。尚、後述する第二実施形態についても、湿式構造と乾式構造のいずれを使用してもよい。
【0064】
図5は、本実施形態に係る摩砕板を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はIIIc-IIIc線における断面図である。
摩砕板(4)は、2つの半円状曲板を合わせたほぼ円形の構造を有し、その中心孔(41)に中心軸(2)が挿通される。摩砕板(4)は、中心軸(2)に直交する面から時計回りに傾いて取り付けられている。
なお、摩砕板(4)の傾き方向が本実施形態と逆の場合でも、被摩砕物(a)の移動は、水流(湿式の場合)や空気流(乾式の場合)によってなされるので、摩砕処理に不具合が生じることはない。
摩砕板(4)には、同心円状に配置された複数の部分円弧状の貫通孔(42)が設けられている。貫通孔(42)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。貫通孔(42)の大きさ(円弧幅)は、ドラム体(1)の上流側の摩砕板(4)から下流側の摩砕板(4)に向けて次第に小さくなっていてもよい。例えば、0〜25mmの最終被摩砕物を得る場合には、上流側から下流側に向けて50mm、40mm、35mm、30mm、25mmと順に小さくすることができる。これは後述する第二実施形態の摩砕板についても同様である。
【0065】
さらに、
図5(b)、(c)に示すように、摩砕板(4)の表面には、半球状の凸部(43)が設けられ、大きな凹凸パターンが形成されている。このような大きな凹凸パターンが存在することにより、被摩砕物(a)が摩砕板(4)に斜め方向から衝突したとき、摩砕板(4)の表面を少し滑った後、凸部(43)で擦られるなどの作用が得られ、被摩砕物(a)の摩砕効率が高くなる。
また、摩砕板(4)の凸部(43)だけを特に硬い材料(例えば、超硬合金)で構成して、摩砕板(4)の摩耗を低減し、耐用期間を延長させることもできる。
なお、凸部(43)に代えて、比較的大きな凹部を設けた凹凸パターンを形成してもよい。その場合にも凸部(43)を設けた凹凸パターンと同様の作用効果が得られる。
【0066】
なお、
図3においては、見やすいように、摩砕板(4)を平板状に表示しているが、
図5に示すように、本実施形態における摩砕板(4)は円周方向に一定間隔で山と谷が繰り返されるように波打った曲面構造を有している。尚、波打った曲面構造とは、表面側の山部は裏面側では谷部となっていることを意味する。ただし、摩砕板(4)が平面構造を有していてもよい。また、摩砕板(4)が、全体として円板ではなく、楕円板であってもよい。また、後述する受圧部材(5)に対して、同様の曲面構造を採用してもよい。
【0067】
図4は、本実施形態に係る受圧部材を示す図であって、(a)は平面図、(b)はIIb-IIb線における断面図である。
受圧部材(5)は、半円筒状のドラム体(1)に対応して、2つの部品に分けられており、ほぼ半円板状の半円板部(50)と、半円板部(50)の外周側を囲むフランジ部(54)とを有している。
半円板部(50)において、2つの受圧部材(5)が組み合わされたものの中心部に相当する位置には、半円状の内縁周部(51)が形成され、内縁周部(51)が中心軸(2)と所定の間隙を隔てて対向する。
受圧部材(5)は、半円筒状のフランジ部(54)の外周部(53)をドラム体(1)の内壁に接触させた状態で、ネジ(図示せず)によりドラム体(1)に取り付けられている。フランジ部(54)には、ネジ用の挿通孔(55)が設けられている。
【0068】
見やすくするために、
図3の受圧部材(5)の断面における表示を省略しているが、受圧部材(5)の半円板部(50)には、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52)が形成されている。貫通孔(52)の円弧幅は摩砕室(6)内で所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。貫通孔(52)の円弧幅は、ドラム体(1)の上流側の受圧部材(5)から下流側の受圧部材(5)に向けて次第に小さくなっていてもよい。
加えて、受圧部材(5)の半円板部(50)やフランジ部(54)には、
図4(b)の部分拡大図に示すように、鋳造、プレス成形などで形成された微細な凹凸パターン(57)が設けられている。
なお、本実施形態における受圧部材(5)は平板構造を有しているが、後で説明する如く、受圧部材(5)が任意の曲面構造を有していてもよい。例えば、正面視コーンの重ね体状、正面視そろばん玉状等の任意の正面視膨出形状とすることができる。また、受圧部材(5)が、側面視にて全体として円板ではなく、楕円板であってもよい。尚、ここでの正面視及び側面視とは、摩砕機の正面視及び側面視を意味する。
【0069】
摩砕板(4)、受圧部材(5)は、少なくともいずれか一方が回転すればよいが、本実施形態では、ドラム体(1)が固定され、中心軸(2)が回転するように構成されている。したがって、本実施形態では、中心軸(2)が回転し、中心軸(2)に取り付けられた摩砕板(4)が回転する一方、ドラム体(1)に取り付けられた受圧部材(5)は静止している。
【0070】
図8は、受圧部材と摩砕板とによる摩砕作用を説明するための断面図である。
同図に示すように、摩砕板(4)は、
図8に示す実線位置から180°回転したときには、
図8の破線に示す位置にあり、その後、再び実線位置まで戻るように、回転を繰り返す。その間、摩砕板(4)と受圧部材(5)とが接近した狭い領域(Rm)において、被摩砕物(a)が、摩砕板(4)と受圧部材(5)との間で強く押しつけられるとともに、摩砕板(4)の回転力による摩擦力を受ける。その結果、被摩砕物(a)が受圧部材(5)や摩砕板(4)に擦られ、あるいは、被摩砕物(a)同士で擦り合うことにより、被摩砕物(a)の表面に付着したセメント等の異物が効率よく除去される。
被摩砕物(a)は、摩砕板(4)および受圧部材(5)の貫通孔(42)、(52)や、受圧部材(5)と中心軸(2)との間のすき間(Sp1)、摩砕板(4)とドラム体(1)との間のすき間(Sp2)を通過して、水(b)と共に下流側に送られる。
このとき、摩砕板(4)や受圧部材(5)に設けられた多数の貫通孔(42)、(52)のエッジによっても、異物を削り落とす作用が得られるため、異物をより効果的に除去することができる。
【0071】
摩砕機の構造は、
図3に示す構造に限定されるものではない。
例えば、受圧部材(5)のみを回転させ、摩砕板(4)を固定してもよい。
その場合、ドラム体(1)のみを回転させることになるが、被摩砕物(a)がドラム体(1)の回転から受ける遠心力でドラム体(1)、摩砕板(4)、受圧部材(5)と強く衝突しても、ドラム体(1)と摩砕媒体との間の衝突のような大きな騒音は生じない。また、ドラム体(1)の回転によって、被摩砕物(a)に大きな遠心力を与えることができるので、被摩砕物(a)と受圧部材(5)のフランジ部(54)との衝突によって摩砕効率が高められる。
また、摩砕板(4)、受圧部材(5)の双方を相対的に逆方向に回転させてもよい。
その場合、摩砕板(4)と受圧部材(5)との間に挟み込まれた被摩砕物(a)に作用する摩擦力がより高められるので、摩砕効率を向上させることができる。
【0072】
図7は、受圧部材(5)の第1変形例を示す断面図である。
第1変形例に係る受圧部材(5)においては、フランジ部(54)が
図4(b)に示すよりも広幅に設けられており、たとえば、各摩砕室(6)の中間点まで延びている。このように、フランジ部(54)を広幅にすることにより、被摩砕物(a)が衝突するフランジ部(54)の内側面の面積が広くなるので、摩砕効率を高めることが可能になる。
【0073】
また、
図7の部分拡大図に示すように、受圧部材(5)の半円板部(50)やフランジ部(54)の表面には、サンドブラストなどにより形成された微細な凹凸パターン(57)が形成されていてもよい。
図4(b)や
図7に示す微細な凹凸パターン(57)により、被摩砕物(a)が受圧部材(5)の表面に斜め方向から衝突したときに、受圧部材(5)の表面を滑らずに強く擦られる確率が高くなる。したがって、受圧部材(5)に、微細な凹凸パターン(57)を設けたことにより、被摩砕物(a)の摩砕効率をより高めることができる。
図5には図示されていないが、摩砕板(4)にも、微細な凹凸パターンを設けて、被摩砕物(a)の摩砕効率をより高めるようにしてもよい。
ただし、摩砕板(4),受圧部材(5)のいずれにおいても、必ずしも微細な凹凸パターンを設ける必要はない。
また、
図4(b)や
図7には示されていないが、受圧部材(5)にも、摩砕板(4)のような凸部や、凹部による大きな凹凸パターンを形成してもよい(後述する変形例参照)。その場合にも、上述の作用効果が得られる。
【0074】
摩砕板(4),受圧部材(5)の構成材料としては、制限されるものではないが、汎用の鋼材、合金鋼などの高硬度の鉄鋼材料、超硬合金、セラミックス、金属−セラミックスの複合材料、などがある。摩砕効率を高めたり、耐用期間を延長したりするためには、より高硬度の材料が好ましい。汎用の鋼材によって構成される摩砕板(4)、受圧部材(5)の表面を、高硬度の材料でコーティングするなど、一部だけを高硬度の材料で構成してもよい。このことは、後述する第二実施形態においても同様である。
【0075】
図6は、本実施形態に係るふるい部材およびコンベア装置の部分断面正面図である。
ふるい部材(22)の下方には、ふるい部材(22)の網目をくぐった比較的小径の被摩砕物(a1)を受ける案内部材(82)と、案内部材(82)の下方に配置された第1送り装置(8)が配置されている。第1送り装置(8)には、被摩砕物(a1)を
図6の紙面の後方に送る第1コンベア装置(81)が取り付けられている。
また、ふるい部材(22)の下流側には、ふるい部材(22)の網目をくぐらずに送られてきた比較的大径の被摩砕物(a2)を受ける第2送り装置(9)が配置されている。第2送り装置(9)には、被摩砕物(a1)を
図6の紙面の前方に送る第2コンベア装置(91)が取り付けられている。
【0076】
本実施形態のように、摩砕機の下流側端部にふるい部材(22)を設け、摩砕された被摩砕物を用途に応じた大きさに分別することにより、摩砕工程と連続的して分別工程を実施することができ、全体的な能率を向上させることができる。
ふるい部材(22)の網目の大きさは、最終的に得ようとする骨材の種類に応じて任意に選択することができる。例えば、砂利と砂とに分別する場合には、例えば5mm程度の大きさの網目を採用することができる。
ふるい部材(22)の材質は、特に限定されないが、一般的には、パンチングメタル(鋼板)が用いられる。
【0077】
また、本実施形態のように、被摩砕物(a1),(a2)をそれぞれ運ぶコンベア装置(81)、(91)を配置することにより、分別された被摩砕物(a1),(a2)を用途に分けて収納する大型容器を摩砕機と干渉することなく配置することができる。
なお、ふるい部材の個数は、2個以上でもよく、それに応じて、3個以上のコンベア装置(送り装置)を配置してもよい。
【0078】
次に、受圧部材(5)の更なる変形例について説明する。
図9は、受圧部材の第2変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
第2変形例に係る受圧部材(5)は、
図5に示す摩砕板(4)と類似形状の半円板部(50)を有している。すなわち、半円板部(50)は中心軸(2)に直交する面に対して傾いた曲面からなり、半円板部(50)には、同心円状に配置された多数の凸部(56)(凹凸パターン)と、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52)とが設けられ、内縁周部(51)が中心軸(2)と所定の間隙を隔てて対向する。
貫通孔(52)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。
フランジ部(54)は、第1変形例と同様に、広幅に設けられており、フランジ部(54)の外周部(53)がドラム体(1)に接触した状態で、受圧部材(5)がドラム体(1)に取り付けられる。
【0079】
このように半円板部(50)が中心軸(2)に直交する面に対して傾いている受圧部材(5)を用いる場合、摩砕板(4)は中心軸(2)に直交していることが好ましい。摩砕板(4)が平面構造でも曲面構造でも構わないが、例えば、
図4に示す受圧部材(5)の半円板部(50)とほぼ同じ形状の摩砕板(4)を用いることができる。
【0080】
図10は、受圧部材の第3変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
第3変形例に係る受圧部材(5)は、中心軸(2)に直交する半円板部(50)を有している。半円板部(50)には、同心円状に配置された多数の凸部(56)(凹凸パターン)と、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52)とが設けられ、内縁周部(51)が中心軸(2)と所定の間隙を隔てて対向する。
貫通孔(52)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。
フランジ部(54)は、第1変形例と同様に、広幅に設けられており、フランジ部(54)の外周部(53)がドラム体(1)に接触した状態で、受圧部材(5)がドラム体(1)に取り付けられる。
【0081】
このように半円板部(50)が中心軸(2)から傾いている受圧部材(5)を用いる場合、摩砕板(4)は中心軸(2)に対して傾いていることが好ましい。摩砕板(4)が平面構造でも曲面構造でも構わない。
【0082】
図11は、受圧部材の第4変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
第4変形例に係る受圧部材(5)は、
図9に示す第2変形例に係る受圧部材(5)とほぼ同形状の半円板部(50)およびフランジ部(54)を有している。
第4変形例に係る受圧部材(5)が第2変形例に係る受圧部材(5)と異なる点は、中心軸(2)に直交する面に対して半円板部(50)が傾いている方向が逆であることである。
すなわち、第2変形例に係る受圧部材(5)が中心軸(2)に直交する面から時計回りに傾いているのに対し、第4変形例に係る受圧部材(5)は中心軸(2)に直交する面から反時計回りに傾いている。
受圧部材(5)の傾き方向が、第2変形例、第4変形例のいずれであっても、被摩砕物(a)の移動は円滑に行われ、摩砕処理に不具合が生じることはない。
第4変形例に係る受圧部材(5)を用いる場合にも、摩砕板(4)は中心軸(2)に直交していることが好ましい。摩砕板(4)が平面構造でも曲面構造でも構わないが、例えば、
図4に示す受圧部材(5)の半円板部(50)とほぼ同じ形状の摩砕板(4)を用いることができる。
【0083】
以上説明した各変形例から容易に理解できるように、摩砕板(4)と、受圧部材(5)の半円板部(50)との構造や材料は、互いに同じであってもよい。また、摩砕板(4)と、受圧部材(5)の半円板部(50)とが、中心軸(2)に直交するか、あるいは直交面から傾いているかは、交替的に採用してもよいし、両者共に傾いていてもよい。
また、両者共に傾いていなくてもよいが、少なくとも摩砕板(4)と受圧部材(5)との間に、被摩砕物(a)を挟み込む狭い領域(Rm)が存在していることが好ましい。
【0084】
上記した全ての摩砕板及び受圧部材は、後述する第二実施形態においても採用することができる。
【0085】
次に、摩砕機の全体構造の変形例について説明する。
図12は、全体構造の変形例に係る摩砕機の部分断面正面図である。
同図に示すように、本変形例に係る摩砕機は、被摩砕物(原料)を投入するホッパー(71)をドラム体(1)の中央部に備え、ドラム体(1)の左右に、排出用ホッパー(21)と、ふるい部材(22)と、モータ(M)とを備えている。
また、一方(図中右側)のふるい部材(22)を回転するために、中心軸(2)とは切り離されたふるい回転軸(2a)を備えており、中心軸(2)とふるい回転軸(2a)とは、軸受け部材(18)により相対的に回転自在に支持されている。
尚、モータ(M)を中心軸(2)の両端部にそれぞれ連結し、左右のモータ(M)を同期させて回転することにより、左右のふるい部材(22)を中心軸(2)と共に回転させる構造としてもよい。この場合は、中心軸(2)とふるい回転軸(2a)は一体とする。
この変形例の構造によれば、原料をドラム体(1)の中央から投入して、左右のふるい部材(22)から排出することにより、処理能力を大幅(約2倍)に向上させることができる。
【0086】
図13は本発明で使用される摩砕機の第二実施形態の断面正面図であり、
図14は
図13の要部拡大図である。
以下、第二実施形態に係る摩砕機が、上記第一実施形態の摩砕機と異なる構成について説明する。尚、上記第一実施形態の摩砕機と同じ構成については、同じ符号を付している。
【0087】
摩砕機は、被摩砕物(原料)を投入するホッパー(71)をドラム体(1)の中央部に備え、ドラム体(1)の左右に、排出用ホッパー(21)と、ふるい部材(22)と、モータ(M)とを備えている。
ふるい部材(22)の下流側には、ふるい部材(22)の網目をくぐらずに送られてきた比較的大径の被摩砕物を受ける第2送り装置(9)が配置されている。第2送り装置(9)には、被摩砕物を
図13の紙面の前方に送る第2コンベア装置(91)が取り付けられている。尚、図示を省略しているが、ふるい部材(22)の下方には、ふるい部材(22)の網目をくぐった比較的小径の被摩砕物を受ける案内部材と、案内部材の下方に配置された第1送り装置を配置することができる。
【0088】
複数の摩砕板(4)は、中心軸の軸方向に一定間隔で設けられており、ドラム体(1)の内部を軸長方向に複数の摩砕室(6)に区画している。各摩砕板(4)は、中心軸(2)に直交する面に対して角度(β)(
図15参照)をもって傾いており、中心軸(2)と共に回転する。
図13に示す実施例では各摩砕板(4)は互いにほぼ平行に設けられているが、これに限定されない。
図13に示す実施例では、摩砕板(4)の傾斜方向は、ドラム体(1)の右半分と左半分において逆方向となっているが、同方向としてもよい。
各摩砕室(6)には、被摩砕物を摩砕する摩砕媒体(ボール等)が無い。
【0089】
複数の受圧部材(5)は、各摩砕室(6)に配置され、それぞれ中心軸(2)に対して直交している。
受圧部材(5)は、摩砕板(4)と対向する面が略円錐台状となるように、中心軸(2)に直交する面に対して傾いた傾斜面(51B)を有している。受圧部材(5)の形状について別の表現をすれば、受圧部材(5)はコーンの重ね体(2つのコーン(円錐台)の底面同士を合わせた形状)、或いはそろばん玉の形状を有している。
傾斜面(51B)の中心軸(2)に対する傾き角(α)の大きさは、摩砕板(4)の中心軸(2)に対する傾き角(β)の大きさとほぼ同じである。
【0090】
摩砕板(4)は、中心軸(2)に直交する面に対して傾いており、中心軸(2)と共に回転するため、摩砕板の回転運動の軌跡は8の字状となる。即ち、摩砕板(4)は、
図14の実線位置から180°回転したときには仮想線(二点鎖線)の位置となり、その後、再び実線位置に戻るように、実線位置と仮想線位置とを交互に繰り返しながら回転する。
ここで、傾斜面(51B)の中心軸(2)に直交する面に対する傾き角(α)の大きさと、摩砕板(4)の中心軸(2)に直交する面に対する傾き角(β)の大きさとが等しいことから、摩砕板(4)が8の字状の軌跡を描いて回転したとき、摩砕板(4)の表面と受圧部材(5)の傾斜面(51B)が常に平行に対向するようになる。具体的には、摩砕板(4)が
図14の実線の位置にあるとき、摩砕板(4)の表面(44)と傾斜面(51B)が平行に対向し、
図14の仮想線の位置にあるとき、摩砕板(4)の表面(45)と傾斜面(51B)が平行に対向する。
【0091】
これにより、摩砕板(4)が回転している間、被摩砕物は摩砕板(4)の表面(44)又は(45)と受圧部材(5)の表面(傾斜面)との間で擦られる。受圧部材(5)の表面との間では、摩砕板(4)は扇風機の羽根の如く8の字状に回転するので、摩砕板(4)が1回転すると、受圧部材(5)と摩砕板(4)との間で被摩砕物に対し4回の擦り合わせ作用が生じることとなり、摩砕効率が大きく向上する。
また、摩砕板(4)は、回転時において、あたかも扇風機のように風を生じさせる。
図15は、摩砕板(4)を扇風機に例えて描いたイメージ図である。摩砕板(4)が回転時に扇風機のように風を生じさせるため(
図15中の右向き矢印参照)、被摩砕物をドラム体内で円滑に移送することが可能となる。特に、被摩砕物が受圧部材(5)に設けられた貫通孔を通過し易くなる。
【0092】
図16は、受圧部材(5)を示す図であって、(a)は断面図、(b)は右半分が(a)図のA−A線断面図、左半分が(a)図のB−B線断面図である。
図16に示す受圧部材(5)は、(a)図に示す通り、正面視コーンの重ね体状、或いは正面視そろばん玉状である。尚、ここでの正面視及び側面視とは、摩砕機の正面視及び側面視を意味する。
受圧部材(5)は、ドラム体(1)の内面に固定された取付部材(20)に対して取り付けられることにより、ドラム体(1)に対して固定されている。
取付部材(20)は、ドラム体(1)の内壁下面にボルト止めされた固定部(20a)と、この固定部(20a)から上方に且つ中心軸(2)に直交する方向に延びる板状の延出部(20b)とからなる。延出部(20b)の上端部は、ドラム体(1)の内壁上面の近傍まで達している。
【0093】
受圧部材(5)は、中心軸(2)方向から見てほぼ半円形である2つの部材(上半分の半円形の部材と、下半分の半円形の部材)を組み合わせて円形となっている。この円形の中心部に相当する位置には、中心軸(2)を挿通するための中心孔(57)が形成されている。
受圧部材(5)には、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52B)が形成されている。貫通孔(52B)の円弧幅は摩砕室(6)内で所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみが通過できる大きさに設定されている。貫通孔(52B)の円弧幅は、ドラム体(1)の上流側の受圧部材(5)から下流側の受圧部材(5)に向けて次第に小さくなっていてもよい。延出部(20b)にも貫通孔及び中心孔が設けられており、この貫通孔の形状及び配置は、貫通孔(52B)及び中心孔(57)の形状及び配置とそれぞれ一致している。
【0094】
受圧部材(5)には、ボルト挿通孔(58)が設けられている。受圧部材(5)の内部に設けられた溝に取付部材(20)を嵌め込んだ状態で、ボルト挿通孔(58)にボルトを挿通してナットで締め付けることにより、取付部材(20)に対して受圧部材(5)が固定される。
図示例では、受圧部材(5)の複数箇所に深孔を設けて、各深孔にボルト挿通孔を有し且つ深孔に合致する形状のスペーサ(59)を嵌め込んでいる。取付部材(20)を一対のスペーサ(59)で挟みつけた状態でボルトを挿通してナットで締め付けることにより、取付部材(20)に対して受圧部材(5)を固定している。これにより、ボルトやナットが受圧部材(5)の表面から突出することがなく、被摩砕物によるボルト、ナットの摩耗が防止される。
【0095】
受圧部材(5)は、上述した如く正面視コーンの重ね体状、或いは正面視そろばん玉状であり、外周縁から中心孔(57)に向かうにつれて厚みを増している。これにより、受圧部材(5)は、摩砕板(4)と対向する面が略円錐台状となるように、中心軸(2)に直交する面に対して傾いた傾斜面(51B)を有することとなる。
【0096】
図17は、摩砕板の一例を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
摩砕板(4)は、2つの半円状曲板を合わせたほぼ円形の構造を有し、その中心には中心軸(2)が挿通される穴を有する円筒体(46)が固定されている。円筒体(46)は摩砕板(4)に対して傾いて固定されており、これにより、円筒体(46)を中心軸(2)に対して取り付けた時、摩砕板(4)は中心軸(2)に直交する面から傾いて取り付けられる。
摩砕板(4)には、同心円状に配置された複数の部分円弧状の貫通孔(42)が設けられている。貫通孔(42)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物のみが通過できる大きさに設定されている。貫通孔(42)の円弧幅は、ドラム体(1)の上流側の摩砕板(4)から下流側の摩砕板(4)に向けて次第に小さくなっていてもよい。
【0097】
本実施形態における摩砕板(4)は円周方向に一定間隔で山と谷が繰り返されるように波打った曲面構造を有している。尚、波打った曲面構造とは、表面側の山部は裏面側では谷部となっていることを意味する。図示例では、山と谷が夫々4つずつ現れるように波打っている。言い換えると、周方向に沿って4面のSの字状面が連続して形成されている。これにより、摩砕板(4)が1回転すると、受圧部材(5)の表面との間で4回の擦り合わせ作用が生じることとなる。
ただし、摩砕板(4)は平面構造を有していてもよい。また、摩砕板(4)が、全体として円板ではなく、楕円板であってもよい。
摩砕板(4)の外縁部には、外縁部に沿うように円環状部材(47)が取り付けられている。
【0098】
図18は、排出口面積可変機構の構成を示す図であって、(a)は排出口の面積を大きくした状態、(b)は排出口の面積を小さくした状態である。
排出口面積可変機構(10)は、ドラム体(1)から被摩砕物を排出する排出口(11)の大きさを変更するための機構である。
排出口(11)はドラム体(1)の両端部の下方寄り位置に設けられており、排出口(11)から排出された被摩砕物はふるい部材(22)へと送られる。
排出口面積可変機構(10)は、油圧シリンダ(12)と、この油圧シリンダ(12)のロッドの伸縮に伴って往復移動する蓋板(13)とを備えている。
油圧シリンダ(12)のロッドが短縮すると、蓋板(13)は下方へと移動し、
図18(a)に示すように排出口(11)の面積(蓋体(13)により覆われていない部分の面積)が大きくなる。一方、油圧シリンダ(12)のロッドが伸長すると、蓋板(13)は上方へと移動し、
図18(b)に示すように排出口(11)の面積(蓋体(13)により覆われていない部分の面積)が小さくなる。
このように、排出口(11)の面積を調整することにより、被摩砕物のドラム体内での滞留時間(摩砕処理時間)が調整され、被摩砕物の種類に応じて適切な摩砕処理を行うことが可能となる。
【0099】
本発明においては、上記摩砕機における受圧部材(5)を無くすることもできる。
受圧部材を無くした場合、受圧部材がある場合に比べると摩砕効率が低下する可能性があるが、被摩砕物はドラム体の内面や摩砕板の表面に擦られて、或いは被摩砕物同士で擦られて摩砕されることとなる。
この場合、摩砕効率を高めるために、受圧部材がある場合に比べて摩砕板の配設間隔(ピッチ)を狭くすることが好ましい。
【実施例】
【0100】
以下、本発明の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。但し、本発明は以下の実施例には何ら限定されない。
【0101】
<コンクリート用再生骨材の製造>
コンクリート構造物の解体によって生じた第一原料(砂岩系原料)と、戻り生コンクリートからなる第二原料(石灰系原料)とからなるコンクリートガラを原料とし、上記製造方法1(
図1,2参照)を用いてコンクリート用再生骨材を製造した。
後工程に供される大径成分(10〜25mm)と小径成分(0〜10mm)の容積比は、100:0、50:50、70:30、30:70、0:100の5種類に設定した。
後工程2において第一摩砕機(119)に供給される第一原料と第二原料の容積比は50:50に設定し、最終的に、大径成分(5〜20mm)からなる再生粗骨材(RHG 2005)と、小径成分(0〜5mm)からなる再生細骨材(RHS)を回収した。
第一摩砕機(119)及び第二摩砕機(124)としては、
図3に示す構造を有する摩砕機(第一実施形態の摩砕機)を使用した。具体的には、第一摩砕機(119)として「スーパーガオス1300」(商品名:有限会社大東土木製)を使用し、第一摩砕機(124)として「スーパーガオス500」(商品名:有限会社大東土木製)を使用した。各摩砕機の条件を表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
<再生骨材の品質評価試験1>
先ず、後工程(
図2)の後工程3における再処理工程の回数を1回とした場合において、回収された大径成分の再生粗骨材(RHG 2005)及び小径成分の再生細骨材(RHS)について、JIS A 5021に基づく品質評価試験を行った。大径成分についての結果を表2に示し、小径成分についての結果を表3に示す。
尚、大径成分(10〜25mm)と小径成分(0〜10mm)の容積比が100:0の場合と0:100の場合については、表2に示していないが、いずれもJIS A 5021での品質区分Hには該当しなかった。前者の場合は回収された再生骨材は、砂利が多く砂が少なくて粒度が粗く、JIS A 5021での品質区分はMであった。後者の場合は、砂が多くてセメントペーストが再生骨材表面に多く付着していることが目視で確認できた。
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
<再生骨材の品質評価試験2>
次に、後工程(
図2)の後工程3における再処理工程の回数を2回とした場合において、回収された大径成分の再生粗骨材(RHG 2005)及び小径成分の再生細骨材(RHS)について、JIS A 5021に基づく品質評価試験を行った。大径成分についての結果を表4に示し、小径成分についての結果を表5に示す。
尚、後工程に供給される大径成分(10〜25mm)と小径成分(0〜10mm)の容積比は、50:50に設定した。
【0107】
【表4】
【0108】
【表5】
【0109】
上記品質評価試験1,2により、摩砕媒体を有さない摩砕機を使用した摩砕工程を実施し、更に再処理工程を少なくとも1回以上行い、後工程に供される大径成分の容積を小径成分の容積以上に設定することにより、絶乾密度が2.5g/cm
3以上、吸水率が3.0%以下であり、JIS A 5021での品質区分Hに該当する良質な再生骨材を回収できることが確認された。また、再処理工程を2回以上繰り返すことにより、更に高品質な再生骨材を回収できることが確認された。
【0110】
尚、第一摩砕機(119)及び第二摩砕機(124)として、
図13に示す構造を有する摩砕機(第二実施形態の摩砕機)を使用した場合、骨材に付着したセメントペーストをより確実に除去できるため、更に高品質の再生骨材を回収できると考えられる。