特許第5847244号(P5847244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5847244
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】車両内装部品
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20151224BHJP
【FI】
   B60R7/04 T
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-132824(P2014-132824)
(22)【出願日】2014年6月27日
【審査請求日】2015年7月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永田 卓嗣
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−066727(JP,A)
【文献】 特開2009−248886(JP,A)
【文献】 特開2011−207320(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069271(WO,A1)
【文献】 特開2010−062470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構造部材に取り付けられる車両内装部品であって、
前記構造部材に固定されるベース部材と、
前記ベース部材の車室内側に取り付けられて外周部が前記車両の内張り部材に対し車室内側から押し付けられるパネル部材とを備え、
前記パネル部材は、外周縁の周辺部において車室外側に突出するパネル突部であって、 前記ベース部材または前記ベース部材に固定されたベース固定部材に形成された係止突 前記パネル部材の外周縁側から前記車両内装部品の内部に向けて挿入されている挿 入孔と、前記挿入孔より天井側で前記車両内装部品の内部側から前記パネル部材の外周 縁側に突出する補助爪とを有するパネル突部を含み、
前記補助爪は、前記パネル部材の外周部が前記内張り部材から荷重を受ける場合に前記ベース部材における前記係止突部の周辺に位置する天井側面に係合して前記パネル突部の車室内側への変位を阻止する、車両内装部品。
【請求項2】
請求項1に記載の車両内装部品において、
前記パネル突部は、根元側部と、根元側部から車室外側に二股状に分かれて突出する2つの腕部とを含み、前記挿入孔は前記2つの腕部の間に形成され、
前記補助爪は、前記各腕部において前記パネル部材の外周縁側に形成される、車両内装部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両内装部品において、
車両の天井構造部材に取り付けられるオーバーヘッドコンソールである、車両内装部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の構造部材に取り付けられる車両内装部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両の車室内の天井側に車両内装部品としてオーバーヘッドコンソールが設けられる。オーバーヘッドコンソールは、自動車の天井構造部材に取り付けられ、一般的には電気部品操作用の操作部を有する。特許文献1には、ベース部材と、ベース部材にそれぞれ取り付けられる照明部、照明部をオンオフ操作するための操作部、及び小物類の収納部を含むオーバーヘッドコンソールが記載されている。ベース部材は天井側に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−1318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、車両内装部品において、内張り部材に押し付けられるパネル部材が外れて内張り部材のはがれが生じる可能性がある。例えば特許文献1に記載されたオーバーヘッドコンソールにおいて、天井構造部材に取り付けられるベース部材と、車室内側のパネル部材とを組み付けて構成される場合がある。また、パネル部材の挿入孔に、ベース部材に形成された係止部を挿入し係止させてベース部材にパネル部材が組み付けられる場合がある。しかしながら、この構造ではパネル部材の外周縁部が天井内張り部材から反力としての荷重を受け、パネル部材が変形してパネル部材の一部がベース部材から外れる可能性がある。これによって、天井内張り部材がパネル部材によって抑えられず、天井内張り部材の垂れ下がりなどのはがれが生じる可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、車両内装部品において、内張り部材に押し付けられるパネル部材の外れを防止して内張り部材のはがれを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両内装部品は、車両の構造部材に取り付けられる車両内装部品であって、前記構造部材に固定されるベース部材と、前記ベース部材の車室内側に取り付けられて外周部が前記車両の内張り部材に対し車室内側から押し付けられるパネル部材とを備え、前記パネル部材は、外周縁の周辺部において車室外側に突出するパネル突部であって、前記ベース部材または前記ベース部材に固定されたベース固定部材に形成された係止突部前記パネル部材の外周縁側から前記車両内装部品の内部に向けて挿入されている挿入孔と、前記挿入孔より天井側で前記車両内装部品の内部側から前記パネル部材の外周縁側に突出する補助爪とを有するパネル突部を含み、前記補助爪は、前記パネル部材の外周部が前記内張り部材から荷重を受ける場合に前記ベース部材における前記係止突部の周辺に位置する天井側面に係合して前記パネル突部の車室内側への変位を阻止する。

【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両内装部品によれば、内張り部材に押し付けられるパネル部材の外れを防止して内張り部材のはがれを防止できる。また、ベース部材にパネル部材をビスなどの締結部材で結合する必要がないので、組み付け作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る実施形態の車両内装部品であるオーバーヘッドコンソールを車室内から見た斜視図である。
図2図1に示すオーバーヘッドコンソールを車室内から天井側に見た図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2に示すオーバーヘッドコンソールを構成するベース部材を車室内側から見た斜視図である。
図5図4のB―B断面図である。
図6図4のC部拡大図である。
図7図2に示すオーバーヘッドコンソールを構成するパネル部材を天井側から見た図である。
図8図7に示すパネル部材を右側から見た図である。
図9A図8のD部拡大図である。
図9B図9Aの左側から見た図である。
図9C図9Bの上方から見た図である。
図10図2に示すオーバーヘッドコンソールの分解斜視図である。
図11図3のE部の斜視図である。
図12】本発明に係る実施形態において、天井内張り部材からパネル部材に荷重が加わる場合にパネル部材の変形が抑制される状態を示す図である。
図13A】比較例のオーバーヘッドコンソールにおいて、図9Aに対応する図である。
図13B図13Aの左側から見た図である。
図13C】比較例において、パネル突部の挿入孔にベース部材の係止突部が挿入される状態を示す斜視図である。
図14】比較例において、天井内張り部材からパネル部材に荷重が加わる場合にパネル部材が変形する状態を示す図である。
図15】比較例の別例において、天井内張り部材からパネル部材に荷重が加わる場合にパネル部材が変形する状態を示す図である。
図16】本発明に係る実施形態の別例において、図9Aに対応する図である。
図17図16の左側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下では、車両内装部品が蓋付収納部を持たないオーバーヘッドコンソールである場合を説明するが、眼鏡用の小物入れなどの蓋付収納部を持つオーバーヘッドコンソールとしてもよい。以下で説明する材質、数量などは説明のための例示であって、車両内装部品の仕様により変更が可能である。以下ではすべての図面において同様の要素には同一の符号を付して説明する。
【0010】
図1は、実施形態のオーバーヘッドコンソール10を車両11の車室内から見た斜視図であり、図2はオーバーヘッドコンソール10を車室内から天井側に見た図である。図3は、図2のA−A断面図である。
【0011】
オーバーヘッドコンソール10は、車両11の補強パネルなどの天井構造部材12(図10)に取り付けられる。オーバーヘッドコンソール10は、一般的には天井13において前席の左右方向中央部に取り付けられるが、後席の左右方向中央部に取り付けられてもよい。オーバーヘッドコンソール10は以下、単に「コンソール10」と記載する。
【0012】
図2図3に示すようにコンソール10は、天井構造部材12に固定されるベース部材20(図3)、ベース部材20の車室内側に取り付けられるパネル部材40、ベゼル、レンズ、及び照明ユニット64を含む。
【0013】
図4は、コンソール10を構成するベース部材20を車室内側から見た斜視図である。 図5は、図4のB―B断面図である。ベース部材20は、概略断面矩形状のベース壁部 である周壁部21と、周壁部21の車室外側である天井側の端部を塞ぐ底板部22とを 有し、箱状に形成される。ベース部材20は、図4の上下方向を逆にした状態で天井側 に取り付けられる。ベース部材20は樹脂により一体成形される。ベース部材20の車 室内側端部の左右方向両端縁部は少し車室内側に凸となるように湾曲している。周壁部 21の天井側端部には全周にわたって外側フランジ23が形成される。
【0014】
ベース部材20において、周壁部21の内側周辺部の複数個所には挿入壁部24が一体形成されている。図6図4のC部拡大図である。挿入壁部24は、周壁部21の側面から突出する平行な2つの第1壁部24aと、各第1壁部24aの一端に直角方向に結合された第2壁部24bとを含み、断面矩形状に形成される。挿入壁部24の車室内側端部は開口し、挿入壁部24の天井側端部はベース部材20の天井側に貫通している。図3に戻って、周壁部21のうち、挿入壁部24が配置される部分では、第2壁部24bの天井側端部が底板部22に鉛直方向に連結される。
【0015】
周壁部21のうち、第1壁部24a及び第2壁部24bに囲まれた部分において、第2壁部24bと対向する内側面には、図9Aに示すように係止部である断面三角形の柱状の係止突部25が挿入壁部24内に向けて突出形成される。係止突部25の断面形状は矩形などの多角形または円形でもよい。
【0016】
また、後述する図11を参照して周壁部21において挿入壁部24の天井側端部の周辺部には開口部26が形成される。係止突部25は、開口部26よりも車室内側に形成される。各挿入壁部24の内側には後述するパネル部材40のパネル突部41が挿入される。
【0017】
図7は、パネル部材40を天井側から見た図である。パネル部材40は、内側に窓部42を有する矩形枠の板状に形成される本体部43と、複数のパネル突部41とを含む。本体部43は、図4に示したベース部材20の車室内側端の形状に合わせて全体的に少し車室内側が凸となるように湾曲している。この湾曲部分の内側(図7の上側)がベース部材20の車室内側端に押し付けられる。本体部43は湾曲したものに限定せず、単に平板の枠状に形成されてもよい。
【0018】
複数のパネル突部41は、本体部43の天井側面においてベース部材20との組み付け時に各挿入壁部24と対向する複数位置から天井側に突出する。複数のパネル突部41は、パネル部材40の外周縁の周辺部において、車両の前後方向両端部と左右方向両端部とにおける複数位置に形成される。図7にP1,P2・・・P6で示す左右方向両端部に位置するパネル突部41は、左右方向中央を前後方向に延びる軸Oを含む鉛直平面S(図8)に対し対称に配置される。パネル部材40もベース部材20と同様に、樹脂により一体に形成される。
【0019】
図8図7に示すパネル部材40を右側から見た図である。図9A図8のD部拡大図であり、図9B図9Aの左側から見た図であり、図9C図9Bの上方から見た図である。
【0020】
各パネル突部41は、本体部43の天井側面の外周縁の周辺部から外周縁に沿うように突出する。各パネル突部41は、パネル部材40の外周縁に平行に配置された板状の根元側部41a、2つの腕部41b、挿入孔41c及び2つの補助爪41dを含む。各腕部41bは、根元側部41aから天井側に二股状に分かれて突出する。挿入孔41cは、2つの腕部41bの間に形成される。具体的には、各腕部41bの互いに対向する内側端縁の長さ方向中間部に凹部41eが形成され、凹部41eよりも先端側で互いの間隔が小さくなっている。これによって各腕部41bの間にT字形の挿入孔41cが形成される。挿入孔41cの形状はこれに限定せず、例えば円形または矩形の断面を有する形状としてもよい。挿入孔41cには後述するように、ベース部材20の係止突部25が挿入されて係止される。
【0021】
補助爪41dは、各腕部41bにおいて挿入孔41cよりも天井側である先端側の端部でパネル部材40の外周縁側(図9Aの表側、図9B図9Cの右側)の側面において、互いに幅方向(図9Aの左右方向)に離れた位置から外周縁側に突出している。補助爪41dは、先端側の厚さが小さくなるように傾斜する傾斜面Rを有する断面台形状である。補助爪41dの形状はこれに限定せず、例えば先端側の厚さが小さくなるように傾斜する傾斜面を有する断面三角形状としてもよい。補助爪41dは、後で詳しく説明するように、パネル部材40の本体部43の外周縁部が天井内張り部材65から反力としての荷重を受ける場合にベース部材20の周壁部21に係合してパネル突部41の車室内側への変位を阻止する。天井内張り部材65は天井トリムと呼ばれる。
【0022】
図3で示しているように、各挿入壁部24の内側にパネル突部41が挿入された状態で、パネル突部41において外周縁側(図3の右側)にベース部材20の周壁部21が対向する。
【0023】
図10はコンソール10の分解斜視図である。ベゼル60及びレンズ62は、パネル部材40の窓部42の内側から車室内側に露出されるように、前後方向(図10の上下方向)に並んで配置される。照明ユニット64は、ケース64aと、ケース64aの左右方向両側に支持された照明本体64bとを有する。照明ユニット64は、レンズ62の内側面(図10の裏側面)に対向してベース部材20の内部に配置される。照明ユニット64はレンズ62を支持するレンズガイドとしての機能も有する。ベゼル60、レンズ62及び照明ユニット64は、ベース部材20またはパネル部材40にビスまたは凹凸係合により結合される。ベース部材20の内部には図示しない照明操作スイッチなどの電気部品操作用の操作スイッチ、ドアの開閉に連動して動作するドア連動ノブ、基板なども配置される。ベゼル60は複数の孔を有し、複数の孔から操作スイッチ及びドア連動ノブなどの部品が車室内側に露出される。
【0024】
このようなコンソール10の各構成部品は、図10に示すように組み合わされて結合される。各構成部品の組み付け作業において、ベース部材20の各挿入壁部24にパネル部材40の各パネル突部41が補助爪41d及び腕部41bの側を先にして挿入される。図11は、図3のE部の斜視図である。パネル突部41の挿入作業に伴って、パネル突部41はベース部材20の周壁部21の内側面に沿って底板部22側(図11の上側)に移動し、補助爪41dが周壁部21の内側面に傾斜面Rで押されて内側に弾性変形する。そして周壁部21に形成された開口部26の車室内側端縁Gよりも底板部22側に補助爪41dが突出した後、開口部26内側に弾性復帰するのでこの車室内側端縁Gに係止される。また、この補助爪41dの変形時には、各腕部41bの間隔が弾性的に広がって各腕部41bの先端部の間を通じて挿入孔41cに係止突部25が挿入される。
【0025】
また、図10に戻って、ベース部材20の底板部22には複数位置に孔27が形成されており、各孔27を天井構造部材12に形成された複数の孔66と対向させる。この状態で各孔66に図示しない複数のクリップ要素からなるクリップの一部が挿入されて装着され、天井構造部材12にベース部材20が固定される。これによって、天井構造部材12にコンソール10が取り付けられる。
【0026】
なお、ベース部材20の底板部22の車室内側面には、補強リブ及び各種の部品を取り付けるための中間壁部が突出形成されてもよい。
【0027】
このようなコンソール10の天井側への取付状態において、図12に示すように、パネル部材40の本体部43の外周縁部が、天井構造部材12の車室内側に取り付けられた天井内張り部材65に対し車室内側(下側)から押し付けられる。これによって天井内張り部材65がパネル部材40の外周縁部に上側から乗る状態となる。そして図12(a)に矢印αで示すように本体部43の外周縁部は、天井内張り部材65から押し付けに対する反力として荷重を受ける。このため、本体部43の外周縁部が下方に変形する。また、図12(b)に示すように本体部43の外周縁部の周辺部に位置するパネル突部41が周壁部21の側面に対して傾斜するように曲げモーメントが発生する。しかしながら、補助爪41dがベース部材20の開口部26の車室内側端縁Gに係合してパネル突部41の車室内側への変位を阻止するので、パネル突部41が大きく傾斜しながら下方にずれることが防止される。このため、係止突部25が挿入孔41cから抜け出ることを防止できる。したがって、パネル部材40がベース部材20から外れることを防止できるので天井内張り部材65のはがれによる垂れ下がりを防止できる。この結果、天井内張り部材65の振動による騒音の発生を防止できる。
【0028】
また、係止突部25と挿入孔41cとの嵌合強度を高くするように寸法公差を過度に小さくして挿入孔41cから係止突部25が抜け出ることを防止する必要がないので、部品の製造作業性を向上できる。また、ベース部材20にパネル部材40をビスなどの締結部材で結合する必要がないので、組み付け作業性が良好である。
【0029】
また、パネル突部41は二股の腕部41bを含み、挿入孔41cは各腕部41bの間に形成され、補助爪41dは各腕部41bの外周縁側(図12の右側)に形成される。これによって、パネル突部41が樹脂の射出成形で形成される際に樹脂のウェルドラインが発生することを防止できるので、各補助爪41dの強度を長期にわたって高く維持できる。このため、補助爪41dの機能を長期にわたって維持できる。また、パネル突部41の先端部を二股形状とすることでパネル部材40をベース部材20に組み付けるときに、二股の腕部41bが弾性的に開いて挿入孔41cに係止突部25を挿入できる。このため、パネル突部41の上部が周壁部21の側面から離れるようにパネル突部41を係止部25で押すことで周壁部21に対し弾性的に傾斜させながらパネル突部41をベース部材20の内側に組み付ける必要がない。したがって、パネル突部41と、パネル突部41に対し係止突部25と反対側に対向する部材との間の隙間dを、パネル突部41の傾斜を可能とするために大きく設定する必要がないか、またはその隙間dをなくすことができる。例えばパネル突部41とベゼル60との隙間dを十分に小さくできる。したがって、コンソール10の車室内側に形成される意匠の自由度向上を図れる。
【0030】
また、パネル部材40の外周縁の周辺部において、前後方向両端部及び左右方向両端部の複数位置に補助爪41dが形成される。このため、補助爪41dを組み付け基準として、ベース部材20にパネル部材40を「センタリング」と呼ばれる中心位置を合わせた状態での組み付けを行いやすい。また、左右方向両端部に位置するパネル突部41を鉛直平面Sに対し対称に配置するので、この組み付け状態をより精度よく実現しやすい。なお、左右方向両端部に位置するパネル突部41を鉛直平面Sに対し対称に配置するとともに、またはこれに代えて前後方向両端部に位置するパネル突部41が、パネル突部41の前後方向中央を左右方向に延びる軸を含む鉛直平面に対し対称に配置されてもよい。これによってもセンタリング状態での組み付けを行いやすい。
【0031】
また、組み付け時に補助爪41dが正規の組み付け位置と異なる状態で組み付けられようとしても、ベース部材20と補助爪41dとが大きく干渉することで、作業者が不適正な組み付けを途中で判断してその作業を停止することができる。例えば最初の組み付け部位をパネル部材40の前後方向または左右方向の端部付近または中央部付近のいずれとするかを選択しやすい。また、組み付け時には補助爪41dが周壁部21の側面に傾斜面Rで押されて厚さの小さい側から比較的小さい力で押し込むことができる。このため、組み付け及び位置決めの作業性を高くできる。
【0032】
図13Aは、比較例のコンソールにおいて、図9Aに対応する図である。図13Bは、図13Aの左側から見た図である。図13Cは、比較例において、パネル突部41の挿入孔41fにベース部材20に形成された係止突部25が挿入される状態を示す斜視図である。図14は、比較例において、天井内張り部材65からパネル部材40に荷重が加わる場合にパネル部材40が変形する状態を示す図である。
【0033】
比較例では、パネル突部41の先端部を二股状に形成せず、パネル突部41は板状に形成される。パネル突部41の先端部には断面矩形の挿入孔41cが形成される。図13Cに示すように、ベース部材20に形成された係止突部25が挿入孔41cに挿入されて係止される。このような比較例では図14(a)に示すように、パネル部材40の本体部43の外周縁部に天井内張り部材65から矢印α方向に反力としての荷重が加わる場合に図14(b)に示すようにパネル部材40の外周縁周辺部に矢印β方向の曲げモーメントが加わる。これによってパネル突部41が大きく傾斜しながら下方に大きく変形するので、パネル突部41の挿入孔41cが係止突部25から外れる可能性がある。これによって、パネル部材40の一部がベース部材20から外れてその部分で天井内張り部材65を抑えることができなくなる。この場合、天井内張り部材65のはがれが生じて垂れ下がりが生じる可能性がある。
【0034】
図15は、比較例の別例において、天井内張り部材65からパネル部材40に荷重が加わる場合にパネル部材40が変形する状態を示す図である。比較例の別例では、図14の場合と異なりベース部材20において、パネル突部41の外周縁側に対向する部分に係止突部28が形成され、パネル突部41の挿入孔41cに係止突部28が挿入される。このような構成において、図15(a)に示すように天井内張り部材65から矢印α方向の荷重が加わった場合には、図15(b)に示すように係止突部25に近づく側にパネル突部41が傾斜するが矢印γ方向にパネル突部41がずれ落ちる方向に変形してやはりパネル突部41がベース部材20から外れる可能性がある。本実施形態によれば、図14図15で説明したいずれの不都合も解消できる。
【0035】
上記の実施形態では、パネル突部41の外周縁側に対向するベース部材20に係止突部25が形成される場合を説明したが、パネル突部41においてベース部材20の内側空間側に対向する部材、例えば図3で第2壁部24bにおいてパネル突部41側に突出する係止突部25が形成されてもよい。また、図3において、第2壁部24bと第2壁部24bの外周縁側に対向するベース部材20とに掛け渡して連結される係止部である柱部が形成されてもよい。この場合でもパネル突部41には二股状の腕部41bが形成されるので、腕部41bを弾性的に広げながらベース部材20の内側に押し込んで挿入孔41cに柱部を挿入して係止することができる。
【0036】
また、上記の実施形態では、パネル突部41の補助爪41dがベース部材20の周壁部21に係止される場合を説明したが、ベース部材20において周壁部21よりも内側に形成される部分に設けられた孔部の車室内側端縁に補助爪41dが係止される構成としてもよい。
【0037】
また、ベース部材20に固定されたベゼル60をベース固定部材として、ベゼル60に係止部である係止突部25が形成されてもよい。例えば、ベゼル60において天井側に突出するベゼル突部が形成される場合にベゼル突部のパネル突部41に対向する側に、パネル突部41の挿入孔41cに係止される係止突部25が形成されてもよい。挿入孔41cに係止される係止突部は、ベゼル60以外で、ベース部材20の内側で固定される樹脂製の部品としてもよい。
【0038】
図16は、実施形態の別例において、図9Aに対応する図である。図17は、図16の左側から見た図である。本例では、パネル突部41は二股の腕部41b(図9A)を持っていない。その代わりに、パネル突部41は、図13Aの比較例の場合と同様に、断面矩形の挿入孔41cを有する板状に形成される。また、パネル突部41の外周縁側面(図16の表側面、図17の右側面)の先端部の2個所位置に補助爪41dが幅方向(図16の左右方向)に離れて外周縁側に突出している。挿入孔41cにはベース部材20の係止突部25が挿入される。さらに各補助爪41dがベース部材20の開口部26の車室内側端縁Gに係止される。このような構成では、二股の腕部41bを有しない。これによって、ベース部材20にパネル突部41を挿入してパネル部材40を組み付ける際にパネル突部41が係止突部25によって図17の左側に弾性変形されながら挿入孔41fに係止突部25が係止される必要はある。ただし、この構成でも係止突部25が挿入孔41fに係止され、さらに補助爪41dがベース部材20に係止されることで天井内張り部材65(図3)のはがれを防止できるという効果を得られる。その他の構成及び作用は、図1から図12の構成と同様である。
【0039】
また、上記では、車両内装部品がオーバーヘッドコンソールである場合を説明したが、本発明は他の種類の車両内装部品、例えば車両の前席前側に設けられるセンターコンソール67(図1)の一部、またはグローブボックス68(図1)に適用されてもよい。例えば、センターコンソール67を構成するヒータコントロールユニットまたはコンソールボックスに本発明は適用可能である。このようなオーバーヘッドコンソール以外の車両内装部品の場合も、車両の構造部材に固定されるベース部材と、ベース部材の車室内側に取り付けられて外周部が車両の内張り部材であるトリム、または樹脂カバーに対し押し付けられるパネル部材を含む構成としてもよい。内張り部材はクッション材を含んでもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 オーバーヘッドコンソール、11 車両、12 天井構造部材、13 天井、20 ベース部材、21 周壁部、22 底板部、23 外側フランジ、24 挿入壁部、24a 第1壁部、24b 第2壁部、25 係止突部、26 開口部、27 孔、28 係止突部、40 パネル部材、41 パネル突部、41a 根元側部、41b 腕部、41c 挿入孔、41d 補助爪、41e 凹部、41f 挿入孔、42 窓部、43 本体部、60 ベゼル、62 レンズ、64 照明ユニット、65 天井内張り部材、66 孔、67 センターコンソール、68 グローブボックス。
【要約】
【課題】車両内装部品において、内張り部材に押し付けられるパネル部材の外れを防止して内張り部材のはがれを防止することである。
【解決手段】車両内装部品であるオーバーヘッドコンソール10は、構造部材に固定されるベース部材20と、ベース部材20の車室内側に取り付けられて外周部が内張り部材65に対し車室内側から押し付けられるパネル部材40とを含む。パネル部材40は、外周縁の周辺部において車室外側に突出するパネル突部41であって、ベース部材20またはベース部材20に固定されたベース固定部材に形成された係止部である係止突部25が挿入される挿入孔41cと、外周縁側に突出する補助爪41dとを有するパネル突部41を含む。補助爪41dは、パネル部材40の外周部が内張り部材65から荷重を受ける場合にベース部材20に係合してパネル突部41の車室内側への変位を阻止する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
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図9A
図9B
図9C
図10
図11
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図13A
図13B
図13C
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図16
図17