(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含むコアを含み、及びコア上に胃耐性コーティング層を含む胃耐性の医薬品剤形又は機能性食品剤形であって、胃耐性コーティング層がコーティング組成物に由来する医薬品剤形又は機能性食品剤形、のコーティングに適したコーティング組成物であって、
該コーティング組成物が、乳化重合プロセスに由来する腸溶性コア/シェルポリマー組成物の少なくとも20質量%を含み、コア/シェルポリマー組成物のコアは水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成され、かつコア/シェルポリマー組成物のシェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆であり、
アニオンポリマー又はコポリマーは、(メタ)アクリレートコポリマー、又はポリビニルポリマー又はコポリマー、又はセルロースの群から選択され、
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
アクリル酸又はメタクリル酸10〜40質量%、エチルアクリレート10〜50質量%、アクリル酸又はメタクリル酸のC4〜C18−アルキルエステル10〜80質量%、及び場合によりメチルメタクリレート0〜20質量%の重合単位、或いは
メタクリル酸40〜60質量%、及びメチルメタクリレート60〜40質量%又はエチルアクリレート60〜40質量%の重合単位、或いは
メタクリル酸20〜40質量%、及びメチルメタクリレート80〜60質量%の重合単位、或いは
メチルメタクリレート10〜30質量%、メチルアクリレート50〜70質量%、及びメタクリル酸5〜15質量%の重合単位
を含む、前記コーティング組成物。
抗酸化剤、増白剤、結合剤、着香剤、流動助剤、フレグランス、滑剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、ポリマー、増孔剤又は安定剤の群から選択される医薬品付形剤又は機能性食品付形剤の、80質量%までを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
前記水不溶性ポリマー又はコポリマーが、(メタ)アクリレートポリマーもしくはコポリマー、又はポリビニルポリマーもしくはコポリマー、又はセルロースの群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載のコーティング組成物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品剤形又は機能性食品剤形のコーティングに適したコーティング組成物に関し、その際、該コーティング組成物は、乳化重合プロセスに由来する腸溶性コア/シェル組成物の少なくとも20質量%を含み、該コアは水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該シェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である。
【0002】
背景技術
アニオン基を有する(メタ)アクリレートコポリマーが、例えばEP0704208号B1、EP0704207号A2、WO03/072087号A1、WO2004/096185号A1において開示されている。
【0003】
中性ビニルポリマー及び付形剤を含むコーティングを使用してエタノールの影響に対する耐性を有する徐放性医薬品組成物はWO2010/105672号A1から公知である。
【0004】
ポリマー混合物及び付形剤を含むコーティングを使用してエタノールの影響に対する耐性を有する徐放性医薬品組成物はWO2010/105673号A1から公知である。
【0005】
活性化合物の放出に対するエタノールの影響への低減させた感受性を有する麻酔薬(オピオイド)についてのPH−依存性徐放性医薬品組成物は、WO2009/036812号A1及びWO2010034342号A1から公知である。
【0006】
活性化合物の放出に対するエタノールの影響への低減させた感受性を有するオピオイドではない薬についてのPH−依存性徐放性医薬品組成物は、WO2009/036811号A1及びWO2010034344号A1から公知である。
【0007】
WO2008/049657号は、in vitro条件下でエタノールの影響による有効成分の放出の促進又は減速の効果を最少化するために含まれる有効成分のためのマトリックス形成剤として遅延口腔内投与型での胃耐性(メタ)アクリレートコポリマーの使用を記載している。
【0008】
一般の定義
明細書において又は特許請求の範囲において使用されている単数形、例えば"1つの(a)"、"1つの(an)"、"その(the)"又は"他の(another)"は、特に明記されていない限り、さらに提供された定義又は限定の範囲内で複数の定義された項目を含むと理解される。
【0009】
例えば"1つの腸溶性コア/シェルポリマー組成物"の用語は、これらの組成物又はコポリマー、例えばそれらの混合物の1つ以上を含む。
【0010】
例えば"1つの(メタ)アクリレートコポリマー"又は"その(メタ)アクリレートコポリマー"の単数形の用語は、モノマー組成物の提供された定義又は限定の範囲内で1つ以上の(メタ)アクリレートコポリマーの意味を有する。したがって、モノマー組成物の提供された定義又は限定の範囲内での種々の(メタ)アクリレートコポリマーの混合物は、本発明の意味に含まれる。"アクリル酸又はメタクリル酸のC4−〜C18−アルキルエステル"又は"他のビニルモノマー"の単数形の用語は、同様に、それらのモノマーの1つ以上を含むと解される。
【0011】
有利には、本発明に開示されているコポリマーのためのモノマー比は、合計100質量%となる。
【0012】
問題及び解決
医薬品組成物又は機能性食品組成物は、再現可能な放出曲線で有効成分を放出するために設計される。これは、最適な治療効果を提供する望ましい及び信頼性のある血液レベル分布をもたらす。血液レベル濃度が低すぎる場合に、有効成分は、著しい治療効果を生じない。血液レベル濃度が高すぎる場合に、有効成分は、毒性効果を生じてよい。双方の場合に、最適でない有効成分の血液レベル濃度は、患者に危険であり、したがって避けられるべきである。医薬品組成物又は機能性食品組成物の設計中の有効成分の放出のために想定された理想比が、一般の生活習慣、不注意によって、又はエタノールもしくはエタノール含有飲料に関して患者の習慣性挙動によって改変されうる問題が存在する。これらの場合に、もっぱら水性媒体のために実際に設計された医薬品形又は機能性食品形は、さらに、より大きい又はより小さい濃度のエタノール含有媒体に曝される。保険局、例えば米国食品医薬品局(FDA)がますます多くのエタノールの問題に焦点を合わせているため、耐エタノール性は、近い将来に重要な登録要求であってよい。
【0013】
全ての患者が、徐放性の医薬品形又は機能性食品形及びエタノール含有飲料を同時に取る危険性を認識しておらず、適切な警告に従わず、又は適切な警告に従うことができないために、徐放性の医薬品組成物又は機能性食品組成物について、特に胃耐性の医薬品組成物又は機能性食品組成物についての要求があり、それらの作用形式は、エタノールの存在によってできるだけ小さく影響する。
【0014】
従来の胃耐性の医薬品組成物又は機能性食品組成物は、被覆される又は被覆されない場合に、通常、全くアルコールに耐性がない。したがって、本発明の1つの問題は、エタノールの影響に対して耐性がある胃耐性の医薬品組成物又は機能性食品組成物を提供することであった。
【0015】
特に、胃耐性の又は腸溶性の調合された組成物について問題がある。これらの種類の調合物は、通常、USPにしたがってそれぞれpH1.2で2時間の胃での医薬品有効成分又は機能性食品の有効成分の放出が、10%、8%又は恐らく5%を超えるべきでない機能を有するコア上に胃耐性コーティング層(腸溶性コーティング層)で被覆される。この機能は、酸感受性の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を不活化に対して保護し、かつ胃粘膜を刺激してよい医薬品有効成分又は機能性食品有効成分が、多すぎる量で自由に設定されないことを保証する。反対に、多くの場合に、通常、USP法にしたがってそれぞれpH6.8で1時間以下の腸での医薬品有効成分又は機能性食品の有効成分の放出は、少なくとも50%、60%、80%を超えて設計される。胃液中で20%、30%又が40%(体積/体積)の濃度でのエタノールの存在は、通常、胃での放出速度に対する増加を導く。分布効果によって、接種されたエタノールの効果は、腸で、胃の場合のように重要でない。したがってエタノールの影響に対する有効的な保護は、第一の場所で胃で医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の所望されない増加を妨げるべきである。さらに、エタノールの影響に対する保護は、エタノールを有さない媒体中でpH6.8での比較的に速い放出速度に少なくとも影響しない。
【0016】
本明細書において議論されているいくつかの問題は、1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含有するコアを含む、医薬品剤形又は機能性食品剤形のコーティングに適したコーティング組成物によって解決され、その際、該コーティング組成物は、乳化重合プロセスに由来する腸溶性コア/シェル組成物の少なくとも20質量%を含み、該コア/シェルポリマー組成物のコアは、水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該コア/シェルポリマー組成物のシェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である:すなわち該コア/シェルポリマー組成物のコアは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該コア/シェルポリマー組成物のシェルは、水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成される。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明は、1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含有するコアを含む、医薬品剤形又は機能性食品剤形のコーティングに適したコーティング組成物に関し、その際、該コーティング組成物は、乳化重合プロセスに由来する腸溶性コア/シェル組成物の少なくとも20質量%、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%又は100質量%を含み、該コア/シェルポリマー組成物のコアは水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該コア/シェルポリマー組成物のシェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である。
【0018】
食品グレード又は医薬品グレードの要求
医薬品剤形又は機能性食品剤形のコーティングに適しているとは、コーディング組成物又は結合組成物が、医薬品剤形又は機能性食品剤形について、規制及び法定の要求を含む、全ての一般の及び特定の食品グレート又は医薬品グレードの要求を満たしているべきであることを意味する。勿論、医薬品剤形又は機能性食品剤形において使用される全ての付形剤も、同様に、医薬品剤形又は機能性食品剤形について、既製の及び法定の要求を含む、全ての一般の及び特定の食品グレート又は医薬品グレードの要求を満たしているべきである。
【0019】
コーティング組成物
本発明は、医薬品剤形又は機能性食品の剤形に適したコーティング組成物に関し、その際、該コーティング組成物又は結合組成物は、乳化重合プロセスに由来する腸溶性コア/シェル組成物の少なくとも20質量%、少なくとも30質量%、少なくとも40質量%、少なくとも50質量%、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、少なくとも90質量%又は100質量%を含み、該コアは水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該シェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である。
【0020】
水性分散液
腸溶性コア/シェルポリマー組成物は、固体含有率1〜60質量%を有する水性分散液の固相の形でコーティング組成物中に存在してよい。これは、コーティング調合物を製造するために使用される水性ポリマー分散液が、固相としてコーティング組成物1〜70質量%及び水性相として30〜99質量%を含んでよいことを意味する。
【0021】
粉末又は顆粒
腸溶性コア/シェルポリマー組成物は、乾燥粉末又は顆粒の形でコーティング組成物中に存在してよい。分散液と比較して、粉末又は顆粒は、より少ない質量及びより少ない体積である利点を有し、かつ凝固又は微生物汚染のリスクなしに長期間、乾燥工程で貯蔵できる。
【0022】
固形、例えば水性分散液を、噴霧乾燥プロセス、凍結乾燥プロセス又は凝固プロセスによって単離して、乾燥粉末又は顆粒を得てよい。粉末又は顆粒を、水中での再分散によって再度水性分散液に変換してよい。
【0023】
乳化重合プロセス
典型的な乳化重合プロセスにおいて、まずコア粒子の形成におけるコアを、コアのポリマー又はコポリマーのためのモノマーの重合によって形成する。続いて、シェルのポリマー又はコポリマーのためのモノマーを、同様の反応混合物中で重合して、コア粒子の表面上を覆ってシェルを提供する。
【0024】
容易に重合されるポリマー粒子、例えばセルロース粒子又はデンプン粒子の重合混合物への添加によって最初に乳化重合プロセスを開始することがさらに可能であってよい。続いて、シェルのポリマー又はコポリマーのためのモノマーを、この反応混合物中で重合して、容易に重合されるポリマーのコア粒子の表面上を覆ってシェルを提供する。
【0025】
乳化重合プロセスにおいて、前記操作を、有利には、それぞれモノマーエマルション供給プロセス又はモノマー供給プロセスによって実施してよい。このために、水を、重合反応器中で反応温度まで加熱する。界面活性剤及び/又は開始剤をこの工程で添加してよい。そして、(操作の形式に依存して)モノマー、モノマー混合物又はいずれのモノマーエマルションを反応器に供給する。この投与された液体は、開始剤及び/又は界面活性剤を含んでよく、又は開始剤及び/又は界面活性剤を並行して投与してよい。
【0026】
代わりに、コアのための全てのモノマーを、開示剤を添加する前に反応基中に装填してよい。この方法は、しばしばバッチプロセスと言われる。
【0027】
連鎖移動剤を、添加して、プロセス安定性及び分子量(M
w)の再現性を改良してよい。通常の連鎖移動剤の量は、0.05〜1質量%であってよい。典型的な連鎖移動剤は、例えばチオグリコール酸2−エチルヘキシルエステル(TGEH)又はn−ドデシルメルカプタン(nDDM)であってよい。しかしながら、連鎖移動剤は、本発明に従った特徴に影響することなく、多くの場合に省かれてよい。
【0028】
バッチプロセスによって一部のモノマーを重合し、その後他の一部を供給することによって、双方のプロセスの組合せを行うことも可能である。
【0029】
この分野における専門家に公知であるように、プロセスのタイプ及び操作の形式を選択して、所望の粒子サイズ、十分な分散安定性、適した製造プロセス等を得ることができる。
【0030】
乳化重合において製造されたポリマー粒子の平均粒子サイズは、10〜1000nm、20〜500nm、又は50〜250nmの範囲であってよい。ポリマー粒子の平均粒子サイズを、当業者によく知られた方法によって、例えばレーザー回折の方法によって測定してよい。粒子サイズを、Mastersizer(登録商標)2000(Malvern社製)を使用して、レーザー回折によって測定してよい。その値を、粒子サイズ分布d(v、50)に基づいた体積の中間値の半分である、粒子半径rMS[nm]として示すことができる。
【0031】
使用されてよい乳化剤は、特にアニオン界面活性剤及び非イオン界面活性剤である。使用される乳化剤の量は、一般に、ポリマーに対して5質量%以下である。
【0032】
典型的な界面活性剤は、例えばアルキルスルフェート(例えばドデシル硫酸ナトリウム)アルキルエーテルスルフェート、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、ポリソルベート(例えばポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、ノニルフェノールエトキシレート(ノノキシノール−9)等である。
【0033】
乳化重合において通常使用される開始剤(例えばペル−化合物、例えばアンモニウムペルオキソジスルフェート(APS))に加えて、酸化還元系、例えばナトリウムジスルフィット−APS−鉄を適用できる。水溶性アゾ開始剤も適用されてよく、かつ/又は開始剤の混合物を使用できる。開始剤の量は、通常、モノマー質量に対して、0.005〜0.5質量%である。
【0034】
重合温度は、一定限度内で開始剤に依存する。例えば、APSを使用する場合に、60〜90℃の範囲で操作することが有利であり、酸化還元系を使用する場合に、低温で、例えば30℃での重合も可能である。
【0035】
腸溶性コア/シェルポリマー組成物
本発明のコア/シェルポリマー組成物は、腸溶性の特性を有する。これは、コア/シェルポリマー組成物が、溶解することなく、しかし酸性H値、例えばpH1〜4で膨張して胃耐性であるが、しかしより高いpH値、例えばpH5.0以上で多かれ少なかれ急速に溶解する。腸溶性であることによって、コア/シェルポリマー組成物は、コーティングとして又は結合剤として適用されて、医薬品剤形又は機能性食品剤形に腸での胃耐性及び急速な有効成分の放出を付与する。他の利点として、コア/シェルポリマー組成物は、胃でのアルコールの存在での胃耐性も付与する。
【0036】
コア/シェルポリマー組成物は、少なくとも2工程での乳化重合プロセスから誘導される。第一のプロセス工程において、コアポリマー粒子は、エマルション中でモノマー重合によって形成される。第二の工程において、シェルは、これらのコア粒子上に、同一のエマルション中で続くモノマー重合によって重合される。まれに、当業者に公知のように、第二ポリマーが、最初に形成された粒子の表面に堆積されず、代わりに粒子の中心に入る。結果として、最初に製造されたポリマーは、粒子の境界に押し入り、シェルを形成する。したがって、シェルポリマーとして最初に製造されたポリマー、及びコアポリマーとして続いて製造されたポリマーを有する逆構造を生じる。これは、特定の場合にのみ起こる;通常二番目に製造されたポリマーは、最初に製造されたポリマーより非常に良好な疎水性である。
【0037】
規則的な及び逆のコア/シェル構造の2つの極値の間で多くの他の構造が可能であり、かつ観察される;文献において、例えば部分的に含み込まれる。
【0038】
かかる構造変化が、実際にポリマー組成物の性質に影響を有する一方で、どの構造が形成されたか正確に測定することは通常出来ない。したがって、本発明において、例えば全ての場合において得られた構造を正確に記載できなくても、最初に製造されたポリマーをコアポリマーと言う。
【0039】
はるかに大部分の場合に、規則正しいコア/シェル構造が形成される。
【0040】
本発明は、医薬品剤形又は機能性食品剤形でのコーティング又は結合剤として適したコア/シェルポリマー組成物に関し、その際、コア/シェルポリマー組成物は、乳化重合プロセスに由来し、該コアは水不溶性のポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該シェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である。
【0041】
本発明は、それぞれコアとして本明細書において記載された任意の水不溶性ポリマー又はコポリマーとシェルとして本明細書において記載された任意のアニオンポリマー又はコポリマーとの可能な組合せ、並びにそれぞれコアとして本明細書において記載されたそれぞれ任意のアニオンポリマー又はコポリマーとシェルとして本明細書において記載された任意の水不溶性ポリマー又はコポリマーとの可能な組合せを明確に開示している。
【0042】
コアは水不溶性ポリマー又はコポリマーによって形成されてよく、かつシェルはアニオンポリマー又はコポリマーによって形成されてよく、又はその逆である。
【0043】
最も好ましくは、コアは、水不溶性ポリマー又はコポリマーによって形成され、かつシェルはアニオンポリマー又はコポリマーによって形成される。
【0044】
ある場合において、シェルは、水不溶性ポリマー又はコポリマーによって形成されてよく、かつコアはアニオンポリマー又はコポリマーによって形成される。ある場合において、これは、乳化重合プロセス中の相の反転の結果であってよい。
【0045】
コアのポリマー又はコポリマーは、有利には水不溶性ポリマーであり架橋していない。架橋していないとは、水不溶性ポリマー又はコポリマーを、直鎖ポリマー鎖を架橋できるモノマー含有反応側基から重合していないことを意味する。直鎖ポリマー鎖を架橋できるかかる反応側基は、は、ビニル側基又はアリル側基であってよい。例えば1つ以上のビニル基を有する又は1つのビニル基及び1以上のアリル基を有するモノマーは避けられる。例えばモノマー、例えばエチレングリコール−ジ−メタクリレート(EGDMA)は含まれない。
【0046】
架橋してないポリマーについて多くの場合に、ポリマーを溶解できる溶剤が見出されてよい。
【0047】
コア/シェル比
コアの質量は、合計のコア/シェルポリマー組成物の質量の10〜95質量%であってよい。
【0048】
コア/シェルポリマー組成物は、コアのポリマー又はコポリマーの10〜95質量%又は20〜90質量%、有利には30〜80質量%を含んでよく、実質的に含んでよく、又はそれらからなってよい。コア/シェルポリマー組成物は、シェルのポリマー又はコポリマーの5〜90質量%又は10〜80質量%、有利には20〜70質量%を含んでよく、実質的に含んでよく、又はそれらからなってよい。コア及びシェルは合計100%である。通常、コア/シェルポリマー組成物において1つのコア及び1つのシェルがある。しかしながら、1つより多くのシェル、すなわち2以上の異なるシェルポリマー又はコポリマーが、1つのコアポリマー又はコポリマーに適用されてよいこともかのうである。
【0049】
驚くべきことに、標準の、非コア/シェル腸溶性ポリマーコーティングは、腸溶性を付与していない開示されているコア/シェルポリマー組成物に対して、同一の厚さのコーティングによって置き換えられてよい。さらに、エタノールに対する耐性は改良されている。同時に、コーティングにおけるアニオン基の合計量は低減される。これは、アニオン基の量が通常制限されるため最大の1日摂取量を増加することができる理由からさらなる利点である。
【0050】
種々のミクロ構造及び物理的挙動
製造のこれらの形式によって、本発明によるコア/シェルポリマー組成物は、同一の質量比で同一の2つのポリマー又はコポリマーの単純な混合物と比較して、種々のミクロ構造及び種々の物理的挙動も示す。コア/シェル分散液のそれぞれのポリマー粒子が双方のコア及びシェルポリマーを含むために、2つのポリマーは均一に分散される。対照的に、2つのポリマー分散液の物理的混合物について、1つの及び他のポリマーの粒子はランダムに分布され、同一のポリマーの隣接粒子はより大きいドメインを形成する。
【0051】
ミクロ構造における差は、ある場合に、光学顕微鏡下で視角化されてよく、コア/シェルポリマー組成物は、認識できる相分離なしにより均一な構造を示してよい。物理的挙動における差は、単純混合物における2つのガラス転移温度と比較して、多かれ少なかれ特有の中間体ガラス転移温度を示してよい。したがって、本発明のコア/シェルポリマー組成物は、純粋な物理的混合物又は単純混合物で得られうる組成物よりも、2つのポリマーのより均一な混合物をもたらす。これは、仮のより良いミクロ構造を有するより均一なコーティングをもたらす。2つのポリマー間のより少ない不相容性が生じる。被覆された医薬又は機能性食品薬は、それらの有効成分放出挙動においてより確実になり、貯蔵条件下でより安定になる。引張強度及びフィルム形成温度における差に対するポジティブな効果も観察されてよい。
【0052】
同様の場合に、本明細書において記載されているコア/シェルポリマー組成物を使用するコーティング組成物の放出挙動は、対応する本発明でない腸溶性コーティングの放出挙動とは異なる。例えば、同様の場合に、あるコア/シェルポリマー組成物においてEUDRAGIT(登録商標)FSタイプのポリマーを使用した場合に、有効成分の放出は、既にpH6.8で開始し、かつ速い一方で、対応するポリマー混合物での放出の開始は約pH7.0であり、かつ遅いことが観察された。したがって、本明細書において記載されているコア/シェルポリマー組成物を使用する本発明のコーティング組成物は、あるポリマーの組合せの放出挙動を改質するために使用されてもよい。これは、医薬品剤形又は機能性食品剤形の放出設計における当業者の自主性を広げる理由でさらに有利である。
【0053】
好ましいコアのポリマー又はコポリマー
水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマー
有利にはコア/シェル組成物のコアとして使用されてよい水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーは、(メタ)アクリレートポリマー又はコポリマーの群から、又はポリビニルポリマー又はコポリマーの群から、又はセルロースの群から選択されてよい。
【0054】
本発明の意味での水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーは、pH1〜14の全範囲にわたって水中で溶解せず、又は水中で膨張するのみであるポリマーである。水不溶性ポリマーは、同時に、イオン側基を有するモノマー残基の12%以下を含むポリマー、例えばEUDRAGIT(登録商標)NE/NM又はEUDRAGIT(登録商標)RL/RSポリマーであってよい。
【0055】
水不溶性ポリマーは、イオン側基を有する任意のモノマー残基の10質量%未満、5質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、有利にはカチオン側基を有する任意のモノマー残基の12質量%以下、6質量%以下を含んでよい。
【0056】
1つ以上の水不溶性ポリマー又は1つ以上のセルロースポリマーは、アニオン側基を有するモノマー残基の、有利には5質量%未満、有利には2質量%以下、より有リンは1質量%以下、又は0.005〜1質量%を含んでよい。
【0057】
本発明の意味での他の種類の水不溶性の架橋していないポリマーは、ポリビニルアセテートの誘導体を含むビニルコポリマー、例えばポリビニルアセテートであってよい。ポリビニルアセテートは、分散液の形で存在してよい。1つの例は、Kollicoat(登録商標)SR 30 D(BASF社製)のタイプ、ポビドン及びNa−ラウリルスルフェートで安定化したポリビニルアセテート分散液である。
【0058】
適した水不溶性の架橋していないセルロースは、例えばメチルセルロース又はエチルセルロースであってよい。
【0059】
水不溶性の架橋していないポリマーは、有利には(メタ)アクリレートコポリマーの群に属してよい。
【0060】
EUDRAGIT(登録商標)NE 30 D/EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dタイプのポリマー
有利にはコア/シェル組成物のコアとして使用されてよい水不溶性コポリマーは、天然成分、特にC
1〜C
4−アルキル成分を有する(メタ)アクリレートモノマーの95質量%より多く、特に少なくとも98質量%の範囲まで、有利には少なくとも99質量%の範囲まで、特に少なくとも99質量%の範囲まで、より有利には100質量%の範囲までのラジカル重合単位から構成されたコポリマーであってよい。これらの種類のポリマーは、pH1〜14の全範囲にわたって水中で溶解せず、又は水中で膨張するのみである。
【0061】
天然成分を有する適した(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートである。メチルメタクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートが好ましい。
【0062】
アニオン官能基を有するメタクリレートモノマー、例えばアクリル酸及び/又はメタクリル酸は、5質量%未満、有利には2質量%以下、より有利には1質量%以下、又は0.05〜1質量%の少量で存在してよい。
【0063】
適した例は、エチルアクリレート20〜40質量%、メチルメタクリレート60〜80質量%、及びメタクリル酸又は任意のメタクリル酸0〜5質量%未満、有利には0〜2質量%又は0.05〜1質量%から構成される天然又は実質的に天然の(メタ)アクリレートコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)NE 30D又はEUDRAGIT(登録商標)NM 30Dタイプ)。
【0064】
EUDRAGIT(登録商標)NE 30D及びEudragit(登録商標)NM 30Dは、エチルアクリレート30質量%及びメチルメタクリレート70質量%のラジカル重合単位から構成されるコポリマー30質量%を含む分散液である。
【0065】
WO 01/68767号に従ってHLB値15.2〜17.3を有する非イオン乳化剤1〜10質量%を使用する分散液として製造されている、天然又は実質的に天然のメチルアクリレートコポリマーが好ましい。後者は、乳化剤によって結晶構造の形成での相分離がない利点を提供する(Eudragit(登録商標)NM 30Dタイプ)。
【0066】
EP 1 571 164号A2に従って、モノオレフィン性不飽和C3〜C8−カルボン酸0.005〜1質量%の少ない割合を有する対応する実質的に天然の(メタ)アクリレートコポリマーは、しかしながら、比較的少量の、例えば0.001〜1質量%のアニオン乳化剤の存在で乳化重合によって製造されてもよい。
【0067】
EUDRAGIT(登録商標)RL/RS−タイプのポリマー
有利にはコア/シェル組成物のコアとして使用されてよい他の水不溶性コポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合させたC
1〜C
4アルキルエステル85〜98質量%及びアルキル成分中で第四級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマー15〜2質量%のラジカル重合単位から構成されるコポリマーであってよい。これらの種類のポリマーは、pH1〜14の全範囲にわたって水中で溶解せず、又は水中で膨張するのみである。
【0068】
アルキル(メタ)アクリレートコポリマー
コア/シェル組成物のコアとして使用されてよい水不溶性コポリマーは、エステルモノマーのアルコール部分において任意の官能基を有さないアルキル(メタ)アクリレートコポリマーであってよい。ポリマーを、例えばn−ブチルメタクリレート(n−BNA)100質量%から重合させてよい。
【0069】
好ましいシェルのポリマー又はコポリマー
アニオンポリマー又はコポリマー
有利にはコア/シェル組成物のシェルとして使用されてよいアニオンポリマー又はコポリマーは、(メタ)アクリレートポリマーもしくはコポリマー、又はポリビニルポリマーもしくはコポリマー、又はセルロースの群から選択されてよい。アニオンポリマー又はコポリマーは、有利には架橋していない。
【0070】
アニオンセルロース
適したアニオンポリマー又はコポリマーは、カルボキシメチルセルロース及びその塩(CMC、Na−CMC、Blanose(登録商標)、Tylopur(登録商標))、カルボキシメチルエチルセルロース及びその塩、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートスクシネート(CAS)、セルロースアセテートトリメリエート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP、HP50、HP55)又はヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS−LF、−MF、−HF)であってよい。
【0071】
アニオンポリビニルポリマー
適したポリビニルポリマー又はコポリマーは、ポリビニルアセテートフタレート又はビニルアセテートとクロトン酸の9:1のコポリマーによって例示されているアクリル酸又はメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸に由来する構造単位を含んでよい。
【0072】
アニオン(メタ)アクリレートコポリマー
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸又はメタクリル酸のラジカル重合させたC
1〜C
18−アルキルエステル、有利にはC
1〜C
8−アルキルエステル又はC
1〜C
4−アルキルエステル25〜95質量%、有利には40〜95質量%、特に60〜40質量%、及びアニオン基を有する(メタ)アクリレートモノマー75〜5質量%、有利には60〜5質量%、特に40〜60質量%を含有してよい。
【0073】
前記割合は、通常、合計100質量%である。しかしながら、さらに、本質的な性質の減損又は改変を導かずに、ビニル共重合可能な他のモノマー、例えばヒドロキシエチルメタクリレート又はヒドロキシエチルアクリレート0〜10質量%、例えば1〜5質量%の範囲での少量について存在することも可能である。ビニル共重合可能な他のモノマーを含まないことが好ましい。
【0074】
アクリル酸又はメタクリル酸のC
1〜C
4−アルキルエステルは、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルアクリレートである。アニオン基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えばアクリル酸であり、メタクリル酸が好ましい。
【0075】
適したアニオン(メタ)アクリレートコポリマーの例
適したアニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
アクリル酸又はメタクリル酸10〜40質量%
アクリル酸又はメタクリル酸のC
4〜C
18−アルキルエステル10〜80質量%、及び場合により
架橋側鎖を有さない他のビニルモノマー0〜60質量%
の重合単位を含んでよく、実質的に含み、含有し、又はそれらからなってよい。
【0076】
アクリル酸又はメタクリル酸のC
4〜C
18−アルキルエステルは、有利には、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート及びラウリルメタクリレートから選択される。
【0077】
他のビニルモノマーは、アクリル酸又はメタクリル酸、又はアクリル酸又はメタクリル酸のC
4〜C
18−アルキルエステルではないビニルモノマーである。他のビニルモノマーは、有利には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート又はプロピルメタクリレートである、アクリル酸又はメタクリル酸のC
1〜C
3−アルキルエステルであってよい。他のビニルモノマーは、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート又はスチレンであってよい。
【0078】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
アクリル酸又はメタクリル酸10〜40質量%
エチルアクリレート10〜50質量%
アクリル酸又はメタクリル酸のC
4〜C
18−アルキルエステル10〜80質量%、及び場合により
メチルメタクリレート0〜20質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0079】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸20〜40質量%
n−ブチルメタクリレート20〜40質量%、及び
エチルアクリレート30〜50質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0080】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸20〜40質量%
2−エチルヘキシルアクリレート30〜50質量%
エチルアクリレート15〜40質量%、及び場合により
メチルメタクリレート0〜20質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0081】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸10〜40質量%
2−エチルヘキシルメタクリレート20〜70質量%、及び
エチルアクリレート10〜50質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0082】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸20〜40質量%
2−エチルヘキシルメタクリレート20〜50質量%、及び
エチルアクリレート20〜50質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0083】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸10〜35質量%
2−エチルヘキシルメタクリレート40〜70質量%、及び
エチルアクリレート10〜30質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0084】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸20〜40質量%
イソデシルメタクリレート20〜40質量%、及び
エチルアクリレート40〜50質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0085】
有利には、アニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、
メタクリル酸20〜40質量%
ラウリルメタクリレート20〜40質量%、及び
エチルアクリレート30〜50質量%
の重合単位を含み、実質的に含み、含有する。
【0086】
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーの他の特徴
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーの、特に前記のアニオン(メタ)アクリレートコポリマーの他の特徴を以下に要約する。
【0087】
有利には、(メタ)アクリレートコポリマーは、平均ガラス転移温度25〜120℃又は40〜80℃によって特徴付けられてよい(DIN EN ISO 11357に従ったDSCによって測定される)。
【0088】
有利には、(メタ)アクリレートコポリマーは、50℃以下の最小フィルム形成温度によって特徴付けられてよい(DIN EN ISO 2115に従って測定される)。
【0089】
有利には、(メタ)アクリレートコポリマーは、80000以上である平均分子量M
wによって特徴付けられてよい(ゲル浸透クロマトグラフィー、GPCによって測定される)。
【0090】
他の適したアニオン(メタ)アクリレートコポリマー
適したアニオン(メタ)アクリレートコポリマーは、メタクリル酸40〜60質量%、及びメチルメタクリレート60〜40質量%又はエチルアクリレート60〜40質量%から構成されるものである(EUDRAGIT(登録商標)L又はEUDRAGIT(登録商標)L100−55のタイプ)。
【0091】
EUDRAGIT(登録商標)Lは、メチルメタクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。腸液又は擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH6.0であってよい。
【0092】
EUDRAGIT(登録商標)L 100−55は、エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L30 D−55は、EUDRAGIT(登録商標)L 100−55を30質量%含む分散液である。腸液又は擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH5.5であってよい。
【0093】
同様に、メタクリル酸20〜40質量%、及びメチルメタクリレート80〜60質量%から構成されるアニオン(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)Sタイプ)が適している。腸液又は擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH7.0であってよい。
【0094】
適した(メタ)アクリレートコポリマーは、メチルメタクリレート10〜30質量%、メチルアクリレート50〜70質量%、及びメタクリル酸5〜15質量%から構成されるものである(EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。腸液又は擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始のpHは、pH7.0であってよい。
【0095】
EUDRAGIT(登録商標)FSは、メチルメタクリレート25質量%と、メチルアクリレート65質量%とメタクリル酸10質量%とのコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)FS D−30は、EUDRAGIT(登録商標)FSを30質量%含む分散液である。
【0096】
さらに、
メタクリル酸及び/又はアクリル酸20〜34質量%、
メチルアクリレート20〜69質量%、及び
エチルアクリレート0〜40質量%、及び/又は適宜
ビニル共重合可能な架橋側鎖を有さない他のモノマー0〜10質量%
から構成されるコポリマーが好ましく、但し、ISO 11357−2、小区分3.3.3に従ったコポリマーのガラス転移温度が60℃以下である。ペレットをタブレットに圧縮するための破壊特性での良好な延長のために、この(メタ)アクリレートコポリマーが特に好ましい。
【0097】
さらに、
メタクリル酸及び/又はアクリル酸20〜33質量%、
メチルアクリレート5〜30質量%、及び
エチルアクリレート20〜40質量%、及び
ブチルメタクリレート10質量%より多く30質量%まで、及び適宜
ビニル共重合可能な架橋側鎖を有さない他のモノマー0〜10質量%
から構成されるコポリマーが好ましく、その際モノマーの割合は、合計100質量%であり、但し、ISO 11357−2、小区分3.3.3に従ったコポリマーのガラス転移温度(中点温度T
mg)が55〜70℃である。このタイプのコポリマーは、ペレットをタブレットに圧縮するための良好な機械特性のために、特に適している。
【0098】
前記コポリマーは、特に、
20〜33質量%、有利には25〜32質量%、特に有利には28〜31質量%のメタクリル酸又はアクリル酸、好ましくはメタクリル酸、
5〜30質量%、有リンは10〜28質量%、特に有利には15〜25質量%のメチルアクリレート、
20〜40質量%、有利には25〜35質量%。特に有リンは18〜22質量%のエチルアクリレート、及び
10質量%より多く30質量%まで、有利には15〜25質量%、特に有利には18〜22質量%のブチルメタクリレート
のラジカル重合単位から構成され、
その際モノマー組成物は、コポリマーのガラス転移温度が55〜70℃、有利には59〜66℃、特に有利には60〜65℃であるように選択される。
【0099】
ガラス転移温度は、これに関して、特にISO 11357−2、小区分3.3.3に従った中点温度T
mgを意味する。測定は、可塑剤の添加なしに、100ppm未満の残留モノマー含有率(REMO)で、加熱速度10℃/分で、及び窒素雰囲気下で実施する。
【0100】
コポリマーは、有利には、実質的に、もっぱら、前記出示した量の範囲で、90質量%、95質量%、又は99〜100質量%のモノマーメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びブチルメタクリレートからなる。
【0101】
しかしながら、必ずしも必須の特性の付与を導かずに、0〜10質量%、例えば1〜5質量%の範囲で少量のビニル共重合可能な他のモノマー、例えばメチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル及び/又はそれらの誘導体が存在することも可能である。
【0102】
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーの製造
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーを、それ自体公知の方法で、モノマーのラジカル重合(例えばEP 0 704 207号A2及びEP 0 704 208号A2を参照)によって、重合開始剤、及び場合により分子量調整剤の存在でモノマーのラジカル重合によって製造してよい。本発明によるコポリマーを、有利にはアニオン乳化剤の存在で水性相でラジカル乳化重合によって製造する。乳化重合のプロセスは、当業者に公知であり、例えばDE−C 2 135 073号に記載されている。
【0103】
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーの平均分子量M
w(質量平均、例えば溶液粘度を測定することによって決定される)は、例えば80000〜1000000(g/mol)の範囲であってよい。
【0104】
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーの製造のためのプロセス
アニオン(メタ)アクリレートコポリマーを、重合開始剤の存在でモノマーのラジカル重合によって製造してよい。分子量調整剤を添加してよい。好ましい重合方法は乳化重合である。
【0105】
適したコア/シェル組合せ
可能なコアポリマーとして本明細書において記載されているあらゆるポリマー又はコポリマーのタイプと、可能なシェルポリマーとして本明細書において記載されているあらゆるポリマー又はコポリマーとのあらゆる可能な組合せは、本明細書において明確に開示されている。しかしながら、ある組合せが好ましい。
【0106】
コア又はシェルポリマーとしてのEUDRAGIT(登録商標)L100−55タイプのコポリマー
EUDRAGIT(登録商標)L100−55タイプのコポリマーは、
エチルアクリレート(EA)40〜60質量%、有利には45〜55質量%、特に50質量%、及び
メタクリル酸(MAS)40〜60質量%、有利には45〜55質量%、特に50質量%
から重合されたコポリマーである。
エチルアクリレート50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標)L100−55が好ましい(EUDRAGIT(登録商標)L30 D−55は、30質量%のEUDRAGIT(登録商標)L100−55を含む分散液である)。
【0107】
コア又はシェルポリマーとしてのEUDRAGIT(登録商標)Lタイプのコポリマー
EUDRAGIT(登録商標)Lタイプのコポリマーは、
メチルメタクリレート(MMA)40〜60質量%、有利には45〜55質量%、特に50質量%、及び
メタクリル酸(MAS)40〜60質量%、有利には45〜55質量%、特に50質量%
から重合されたコポリマーである。
メチルメタクリレート(MMA)50質量%とメタクリル酸50質量%とのコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標)Lが好ましい(EUDRAGIT(登録商標)L30Dは、30質量%のEUDRAGIT(登録商標)Lを含む分散液である)。
【0108】
コア又はシェルポリマーとしてのEUDRAGIT(登録商標)Sタイプのコポリマー
EUDRAGIT(登録商標)Sタイプのコポリマーは、
メチルメタクリレート(MMA)60〜80質量%、有利には65〜75質量%、特に70質量%、及び
メタクリル酸(MAS)20〜40質量%、有利には25〜35質量%、特に30質量%
から重合されたコポリマーである。
メチルメタクリレート(MMA)70質量%とメタクリル酸30質量%とのコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標)S100が好ましい。
【0109】
コア又はシェルポリマーとしてのEUDRAGIT(登録商標)NE/NMタイプのコポリマー
EUDRAGIT(登録商標)NE/NMタイプのコポリマーは、エチルアクリレート20〜40質量%、メチルメタクリレート60〜80質量%、及びメタクリル酸又は任意のメタクリル酸0〜5質量%未満、有利には0〜2質量%又は0.05〜1質量%から重合されたコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)NE 30D又はEUDRAGIT(登録商標)NM 30Dタイプ)。エチルアクリレート30質量%とメチルメタクリレート70質量%とのラジカル重合単位から構成されるコポリマーが好ましい(EUDRAGIT(登録商標)NE 30D及びEudragit(登録商標)NM 30Dは、エチルアクリレート30質量%及びメチルメタクリレート70質量%のラジカル重合単位から構成されるコポリマー30質量%を含む分散液である)。
【0110】
コア又はシェルポリマーとしてのEUDRAGIT(登録商標)FSタイプのコポリマー
EUDRAGIT(登録商標)FSタイプのコポリマーは、メチルメタクリレート10〜30質量%、メチルアクリレート50〜70質量%及びメタクリル酸5〜15質量%から重合されたコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。メチルメタクリレート25質量%とメチルアクリレート65質量%とメタクリル酸10質量%とのコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標)FSが好ましい(EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30質量%のEUDRAGIT(登録商標)FSを含む分散液である)。
【0111】
コアポリマーとしてのブチルメタクリレートホモポリマー
n−ブチルメタクリレートホモポリマーは、n−ブチルアクリレート(n−BMA)100質量%から重合されたポリマーである。
【0112】
【表1】
【0113】
コーティング組成物のための医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分のUSPに従った放出は、エタノール20%、30%又は40%(v/v)を添加して及び添加なしに、0.1モル濃度のHCl中で2時間後にpH1.2でin vitro条件下で10%以下、8%以下、又は5%以下である。
【0114】
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分のUSPに従った放出は、緩衝液媒体(リン酸緩衝食塩水、pH6.8、European Pharmacopoeia 4003200)中で60分後又は45分後にpH6.8でin vitro条件下で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%である。
【0115】
代わりに、医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出は、USPに従って、例えばEUDRAGIT(登録商標)FSタイプをコア又はシェルポリマーとして使用する場合に、緩衝液媒体中で60分後又は45分後にpH7.2でin vitro条件下で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%である。EUDRAGIT(登録商標)FSタイプは、約pH7.0の腸液又は擬似腸液中での特定の有効成分放出の開始を示す。
【0116】
したがって、医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出は、USPに従って、緩衝液媒体中で60分後又は45分後に、pH6.8で又はpH7.2で、in vitro条件下で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%である。
【0117】
有利には使用されてよいUSP(USP=United States Pharmacopoeia(米国薬局方))は、USP32/NF27(NF=National Formulary(国民医薬品集))、機構II、パドル法、タブレット又はパドルについて50rpm、バスケット法50〜100rpm、モノグラフに依存、ペレットについて、である。
【0118】
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含むコア
コアは、コアとして又はコアの一部として1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含む。1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分は、コア構造内でマトリックス構造中で多かれ少なかれ均一に分布されてよい。1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分は、代わりに、キャリヤーペレット上に層の形でコアの一部として存在してよい。したがって、コアは、未完成であり、被覆され、又は未被覆であるが、しかしさらに被覆された医薬品剤形又は機能性食品剤形であるべきである。
【0119】
コア、それぞれコーティング組成物によって被覆されるべき医薬品剤形又は機能性食品剤形は、中性のキャリヤーペレット、例えば糖球体又はノンパレイル(non−pareilles)を、バインダー、例えばラクトース又はポリビニルピロリドン中で結合している有効成分の頂部上で含んでよく、又は含有してよい。
【0120】
コアは、代わりに、有効成分が結合しているポリマーマトリックスの形でペレットを含んでよい。コアは、結晶化有効成分からなる未被覆のペレットを含んでよい。コアは、その独自のコーティング、例えば持続放出コーティングを含んでもよい。そして、かかる既に被覆されたコアは、本明細書において記載されたコーティング組成物によって被覆されてよい。
【0121】
コアは、未被覆であってよく、又は本明細書に記載されたコーティング組成物に由来するコーティングとは異なるコーティングを含んでよい。コアは、例えば持続放出コーティングで被覆されたペレット、未被覆又は被覆されたタブレット、未被覆又は被覆されたミニタブレット、又は未被覆又は被覆されたカプセルであってよい。コアは、外層としていわゆる"サブコート"を含んでもよい。
【0122】
コアは、胃耐性の医薬品剤形又は機能性食品剤形に存在する1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の合計量の少なくとも80%より多く、90%より多く、95%より多く、98%より多く、有利には100%を含む。
【0123】
ある場合に、コーティング組成物が、コアに存在する有効成分に加えて、例えば有効成分の初期投与量を提供するために、1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の部分量、有利には20質量%未満、10質量%未満、5質量%未満、2質量%未満を含んでよい。この場合、コーティング組成物は、追加の有効成分のための結合剤として又はバインダーとしての機能を有する。有利には、コーティング組成物は、あらゆる有効成分を含む。
【0124】
コーティング
コーティング懸濁液を、公知のプロセスに続いて噴霧又は粉末コーティングプロセスによって適用してよい。一般に、被覆された組成物は、高温で、例えば24時間、40℃又は60℃で、噴霧コーティング後に硬化して、再生できる及び安定な機能性を提供してよい。
【0125】
コーティング層のポリマー乾燥質量増加は、少なくとも2.5mg/cm
2、少なくとも3.5mg/cm
2、少なくとも4mg/cm
2、有利には4〜30mg/cm
2、有利には4〜20mg/cm
2、より有利には5〜18mg/cm
2、又は最も有利には10〜18mg/cm
2であってよい。これは、コアの質量に対して2〜60%のポリマー乾燥質量増加に関連してよい。被覆されたタブレットの場合に、コアの質量に対するポリマー乾燥質量増加(タブレットコア:直径又は長さ約1〜25mm又は1〜10mm)は2〜30%であってよい。被覆されたペレットの場合に、コアの質量に対するポリマー乾燥質量増加(ペレットコア:直径0.1〜1.5mm)は10〜60%であってよい。
【0126】
ペレットは、典型的に、未被覆のペレットの質量に対して、少なくとも4質量%のポリマーで被覆される(すなわち4%のポリマー質量増加)。有効成分の良好な保護は、ポリマー質量増加6%、8%又は10%の厚いコーティングで達せられる。通常40%以下のコーティングのポリマー質量増加が、ペレットに適用され、そしてコーティング層の溶解のための時間はかなり長くなり始める。多くの場合に、30%未満、25%未満又は20%未満のポリマー質量増加で十分である。
【0127】
タブレット及びカプセルに関して、典型的に表面の1cm
2あたり2mgのポリマーでのコーティングが適用される。殆どの場合に、表面の1cm
2あたり少なくとも3mg、4mg又は6mgのポリマーが適用される。表面の1cm
2あたり40mgより多くのコーティング量は、滅多に使用されず、典型的に、表面の1cm
2あたり30mg未満、25mg未満又は20mg未満のポリマーが適用される。一般に、より多くのコーティングの厚さが、カプセル及び長方形の形状のタブレットに要求される一方で、より球状の剤形は、より少ないコーティングを要求する。
【0128】
トップコート及びサブコート
本発明による胃耐性の医薬品剤形又は機能性食品剤形は、さらに、いわゆる"サブコート"又はいわゆる"トップコート"又は双方を含んでよい。サブコート及びトップコートの表現は、当業者によく知られている。
【0129】
サブコートは、コアと胃耐性(腸溶性)コーティング層との間に位置してよい。サブコートは、互いに相容性であってよい調整層の物質からコアの物質を分離する機能を有してよい。サブコートは、実質的に有効成分放出特性に影響を有さない。サブコートは、有利には、実質的に、水溶性であり、例えばフィルム形成剤としてヒドロキシプロピルメチル−セルロース(HPMC)のような物質からなってよい。サブコート層の平均厚さは、非常に薄く、例えば15μm以下、有利には10μm以下である。
【0130】
トップコートも、有利には実質的に水溶性であってよい。トップコートは、医薬品形又は機能性食品形を着色し、又は環境影響から例えば貯蔵中の湿分から保護する機能を有してよい。トップコートは、バインダー、例えば水溶性ポリマー、例えば多糖もしくはHPMC、又は糖化合物、例えばサッカロースからなってよい。トップコートは、さらに、医薬品付形剤又は機能性食品付形剤、例えば顔料又は滑剤を多量に含んでよい。トップコートは、実質的に放出特性に影響を有さない。
【0131】
サブコート及びトップコートの表現は、当業者によく知られている。
【0132】
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分
コーティング組成物は、あらゆる又は1つ以上の医薬品有効成分及び/又は機能性食品有効成分を含んでよい。
【0133】
機能性食品有効成分
本発明は、有利には機能性食品剤形のために有用である。機能性食品は、人の健康に対して医療効果を有することを求めた食品の抽出物として定義されうる。機能性食品は、通常、処方された投与量での医療形態、例えばカプセル、タブレット又は粉末で含まれる。機能性食品有効成分の例は、抗酸化剤としてグレープ製品からのレスベラトロール、高コレステロール血症を減少するための可溶性食物繊維製品、例えばサイリウム種皮、癌保存薬としてのブロッコリー(スルファン)、及び動脈の健康を改良するための大豆又はクローバ(イソフラボノイド)である。他の機能性食品の例は、フラボノイド、抗酸化剤、アマニからのアルファ−リノール酸、マリーゴールドの花弁からのベータ−カロテン、又はベリーからのアントシアニンである。時に、機能性食品の表現は、機能性食品のための同義語として使用される。
【0134】
胃耐性の医薬品組成物又は機能性食品組成物は、コアを含み、医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含む。医薬品有効成分又は機能性食品有効成分は、pH1.2で胃液の影響下で不活性であってよい医薬品有効成分又は機能性食品有効成分、又は胃中で自由に設定する場合に胃粘膜を刺激してよい医薬品有効成分又は機能性食品有効成分であってよい。
【0135】
医薬品有効成分
本発明は、有利には腸溶性の被覆された医薬品剤形のために有用でもある。
【0136】
好ましい医薬品種は、非経口から経口へのスイッチ考慮を生じるもの(制限されることなく含む)、及び/又は高濃度医薬品(例えば細胞増殖抑制剤、ホルモン、ホルモン受容体作用薬、ホルモン受容体拮抗薬)、及び/又は高い副作用及び毒性の問題を有する医薬品(プロドラッグ代謝を含む、例えばペプチド、ペプチド模倣、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、タキソイド)である。
【0137】
次の医薬品、
並びに、それらのそれぞれの化合物種の医薬品、及び/又は前記例によって包含される作用のそれぞれの形式(後者は、有効医薬品成分(API)の物理化学だけでなく物理学的挙動及び医薬特性のデスクリプターである)が特に好ましい。
【0138】
腸溶性の被覆された医薬品剤形において使用される医薬品の治療及び化学種は、例えば鎮痛薬、抗生物質または抗感染薬(抗体、抗てんかん薬、植物からの抗原、抗リウマチ薬、ベータブロッカー、ベンゾイミダゾール誘導体、ベータ受容体遮断薬、心血管薬、化学療法剤、CNS薬、ジギタリス配糖体、胃腸薬、例えばプロトンポンプ抑制剤、酵素、ホルモン、液体又は固体の天然抽出物)オリゴヌクレオチド、ペプチドホルモンタンパク質、治療的なバクテリア、ペプチド、タンパク質、プロトンポンプ阻害剤、(金属)塩、例えばアスパラギン酸塩、塩化物、オルテート(orthate)、泌尿器科薬、ワクチンである。
【0139】
酸に不安定、刺激又は調整された放出である医薬品の例は、以下であってよい:
アカンプロセート、エスチン、アミラーゼ、アセチルサルチル酸、アドレナリン、5−アミノサリチル酸、オーレオマイシン、バシトラシン、バルサラジド、ベータカロテン、ビカルタミドビサコジル、ブロメライン、ブロメライン、ブデソニド、カルシトニン、カルバマゼピン、カルボプラチン、セファロスポリン、セトロレリクス、クラリスロマイシン、クロロマイセチン、シメチジン、シサプリド、クラドリビン、クロラゼペート、クロマリン、1−デアミノシステイン−8−D−アルギニン−バソプレシン、デラムシクラン、デチレリックス、デクスランソプラゾール、ジクロフェナク、ジダノシン、ジギトキシン及び他のジギタリスグリコシド、ジヒドロストレプトマイシン、ジメチコン、ジバルプロエックス、ドロスピレノン、デュロキセチン、酵素、エリスロマイシン、エゾメプラゾール、エストロゲン、エトポシド、ファモチジン、フッ化物、ニンニク油、グルカゴン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、ヒト成長ホルモン(hGH)、イブプロフェン、イラプラゾール、インシュリン、インターフェロン、インターロイキン、イントロンA、ケトプロフェン、ランソプラゾール、ロイプロリダセタット(leuprolidacetat)リパーゼ、リポ酸、リチウム、キニン、メマンチン、メサラジン、メテナミン、ミラメリン、鉱物、ミノプラゾール、ナプロキセン、ナタマイシン、ニトロフラン動作、ノボビオシン、そのオルサラジン、オメプラゾール、オロテート、パンクレアチン、パントプラゾール、副甲状腺ホルモン、パロキセチン、ペニシリン、ペルプラゾール、ピンドロール、ポリミキシン、カリウム、プラバスタチン、プレドニゾン、プログルメタシンプロガビド、プロ−ソマトスタチン、プロテアーゼ、キナプリル、ラベプラゾール、ラニチジン、ラノラジン、レボキセチン、ルトシド、ソマトスタチン・ストレプトマイシン、サブチリン、スルファサラジン、スルファニルアミド、タムスロシン、テナトプラゾール、チリプシン(thrypsine)、バルプロ酸、バソプレシン、ビタミン、それらの塩、誘導体、多形体、異種同形体、又はそれらのあらゆる種類の混合物又は組合せを含むもの。
【0140】
医薬品付形剤又は機能性食品付形剤(コーティング組成物)
コーティング組成物は、任意の医薬品付形剤又は機能性食品付形剤の80質量%まで、70質量%まで、60質量%まで、50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%までを含んでよく、実質的に含み、又は含有する。したがって、腸溶性コア/シェルポリマー及び医薬品付形剤又は機能性食品付形剤の量は、コーティング組成物の合計100%まで添加してよい。
【0141】
ある場合に、コーティング組成物が、コアに存在する有効成分に加えて、急速に放出された初期投与を提供するために、1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の部分量、有利には10質量%未満、5質量%未満、2質量%未満を含んでもよい。この場合、コーティング組成物は、有効成分の追加部のための結合剤として又はバインダーとしての機能を有する。したがって、この場合、腸溶性コア/シェルポリマー、医薬品付形剤又は機能性食品付形剤、及び1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の量は、コーティング組成物の合計100%まで添加してよい。
【0142】
コーティング組成物は、抗酸化剤、増白剤、結合剤、着香剤、流動助剤、フレグランス、滑剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、本明細書に記載されたコア/シェルポリマーとは異なるポリマー、増孔剤又は安定剤の群から選択される任意の医薬品付形剤又は機能性食品付形剤の、80質量%まで、70質量%まで、60質量%まで、50質量%まで、40質量%まで、30質量%まで、20質量%を含んでよい。
【0143】
胃耐性の医薬品剤形又は機能性食品剤形
本発明は、コアを含み、医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含み、及びコア上に胃耐性コーティング層を含む胃耐性の医薬品剤形又は機能性食品剤形に関し、その際胃耐性コーティング層は、本明細書に記載されたコーティング組成物に由来する。
【0144】
本発明による胃耐性の医薬品剤形又は機能性食品剤形は、20%(v/v)エタノールを添加して及び添加なしに、1モル濃度のHCl中で2時間後にpH1.2でin vitro条件下で10%以下、8%以下、又は5%以下である、USPに従った医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出によって特徴付けられる。
【0145】
本発明による胃耐性の医薬品組成物又は機能性食品組成物は、緩衝液媒体(リン酸緩衝食塩水、pH6.8、European Pharmacopoeia 4003200)中で45分後にpH6.8でin vitro条件下で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%である、USPに従った、医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出によってさらに特徴付けられてよい。
【0146】
USP32/NF27(NF=National Formulary(国民医薬品集))、機構II、パドル法、タブレット又はパドルについて50rpm、バスケット法50〜100rpm、モノグラフに依存、ペレットについて、を参照できる。
【0147】
コーティング組成物の使用
本発明は、医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含む、コアのコーティングのための本明細書に記載されたコーティング組成物の使用に関し、その際得られた被覆された医薬品剤形又は機能性食品剤形は、20%(v/v)エタノールを添加して及び添加なしに、USPに従って、媒体中で2時間後にpH1.2でin vitro条件下で10%以下の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出を示す。
【0148】
結合組成物の使用
本明細書に記載されたコーティング組成物は、さらに、医薬品剤形又は機能性食品剤形のコーティング又はコアにおける医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の結合のための結合剤として使用されてよい。コーティング組成物がコーティング中で使用されず、しかし医薬品剤形又は機能性食品剤形のコアにおける結合剤として、バインダーとして又はマトリックス形成剤として使用される場合に、むしろ結合組成物と言われてよい。
【0149】
結合組成物のための医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出は、20%、30%又は40%(v/v)エタノールを添加して及び添加なしに、USPに従って媒体中で2時間後にpH1.2でin vitro条件下で10%以下、8%以下、又は5%以下である。
【0150】
医薬品有効成分又は機能性食品有効成分の放出は、USPに従って、緩衝液媒体中で60分後又は45分後に、pH6.8で、in vitro条件下で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも80%であってよい。
【0151】
有利には使用されてよいUSP(USP=United States Pharmacopoeia(米国薬局方))は、USP32/NF27(NF=National Formulary(国民医薬品集))、機構II、パドル法、タブレット又はパドルについて50rpm、バスケット法50〜100rpm、モノグラフに依存、ペレットについて、である。
【0152】
コア/シェルポリマー組成物
本発明は、医薬品剤形又は機能性食品剤形におけるコーティング又は結合剤としての使用のための本明細書に記載されたコア/シェルポリマー組成物にも関する。
【0153】
コア/シェルポリマー組成物は、乳化重合プロセスに由来し、該コアは水不溶性のポリマー又はコポリマーによって形成され、かつ該シェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である。
【0154】
コア/シェルポリマー組成物は、コアが、水不溶性ポリマー又はコポリマーによって形成され、かつシェルはアニオンポリマー又はコポリマーによって形成される場合に好ましい。
【0155】
本発明は、したがって、コア及び外側コーティングを含む、医薬品剤形又は機能性食品剤形のためのコーティング又は結合剤として適したコア/シェルポリマー組成物に関し、その際、コアは、1つ以上の医薬品有効成分又は機能性食品有効成分を含み、かつコーティングは、乳化重合プロセスに由来するコア/シェルポリマー組成物を含み、コア/シェルポリマー組成物のコアは、水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーによって形成され、かつシェルは、アニオンポリマー又はコポリマーによって形成され、又はその逆である。したがって、コア/シェルポリマー組成物は、医薬品剤形又は機能性食品剤形の一部である。
【0156】
水不溶性の架橋していないポリマー又はコポリマーのためのモノマーは、有利には乳化重合工程で最初に供給されてコア/シェル組成物のコアを形成し、そしてその後アニオンポリマー又はコポリマーのためのモノマーが供給されてシェルを形成するが、本発明は、コア及びシェルを、プロセス中にそれらの位置を交換して実施してよい。
【0157】
同様に、WO2008/049657号において記載されているように、in vitro条件下でエタノールの影響による有効成分の放出の促進又は減速の効果を最少化するために、遅延放出又は持続放出の経口剤形において含まれる有効成分のための結合剤又はマトリックス形成剤として有用であってよい。
【0158】
実施例
本発明によるポリマー分散液の製造
ポリマーを、蓋、固定撹拌機、バッフル、還流凝縮器、窒素のための供給パイプ及び反応器内部の温度を観察するための温度プローブを備えた1リットルの丸底フラスコ中で製造した。サーモスタットを有する水浴を使用して、反応温度を調整した。
【0159】
脱イオン水653g、ナトリウムドデシルスルフェート溶液(水中で15%;Disponil SDS 15)13.2g及びポリソルベート80(TEGO SMO 80V)6.5gを、フラスコ中に装填した。反応器を窒素で洗い流し、そして混合物を撹拌機で撹拌し、そして82℃の撹拌温度まで加熱した。
【0160】
2つの安定なモノマーエマルションを、それぞれコアポリマー及びシェルポリマーのために製造した。合計280.0gのモノマーを使用し、コアポリマーとシェルポリマーとの所望の割合に従って2つのフラスコ中で分けた。それぞれの2つのエマルションのモノマー組成物を、実施例の表(以下を参照)に従って選択した。それぞれのエマルションについて、モノマーの質量に対して、脱イオン水3質量%を使用した。
【0161】
実施例の表における"コアシェルポリマー組成物A"についての実施例として、コアモノマーエマルションを、メタクリル酸70.0g、エチルアクリレート70.0g及び脱イオン水4.2gで製造した。シェルモノマーエマルションを、メチルメタクリレート98.0g、エチルアクリレート42.0g及び脱イオン水4.2gで製造した。
【0162】
2つの開始剤溶液(それぞれコアポリマー及びシェルポリマーの製造のための)を、脱イオン水5.0g中で、0.12mol%過硫酸アンモニウム(それぞれコアモノマーエマルション及びシェルモノマーエマルションの使用したモノマーの合計に関する)を溶解することによって製造した。
【0163】
反応器の内部の温度が82℃に達した場合に、コアポリマーのための開始剤溶液を反応器に添加する。2分後に、コアモノマーエマルションの投与を、投与速度2g/分で開始した。水浴の温度を調整することによって、反応器の内部の温度を82℃で維持した。全てのコアモノマー溶液を添加した後に、シェルのための開始剤溶液を反応器に添加する前に、温度を10分間82℃で維持した。2分後に、シェルモノマーエマルションの投与を、投与速度2g/分で開始した。全てのシェルモノマーエマルションを添加した後に、温度をさらに30分82℃で維持し、そして反応器含有物を20℃まで冷却させ、そして250μmガーゼを通して濾過した。
【0164】
噴霧懸濁液の製造
クエン酸トリエチル8.8g、微粉化タルク210.0g及び脱イオン水1057gを、容器中に装填し、そして15分間ULTRA TURRAX高性能分散装置で均質化した。ポリマー分散液350.0g(固体含有率30%)を、磁気攪拌機で撹拌する。タルク分散液をゆっくりとポリマー分散液中に注いだ後に、撹拌を60分間続け、その混合物を240μmガーゼを通して濾過した。
【0165】
コーティングプロセス
MicroLabコーター(Oystar Huettlin)を使用して、コーティングを製造した。コハク酸メトプロロールペレット350g(直径0.7〜1.0mm、20%活性含有率)をMicroLab装置中に装填し、そして低い空気供給で撹拌した。一例として、ジプロフィリンペレット350g(直径0.8〜1.0mm、活性含有率50%)を代わりに使用した。流動床温度を23〜26℃まであげ、そしてペレットを1.5〜2.5時間、ポリマー質量増加10.5〜17.5%まで(開始ペレット質量に対するコーティング中のポリマーによる追加質量)被覆した。噴霧速度を、ゆっくりと最大2g/分まで上げた。コーティングプロセス後に、ペレットをさらに5分、追加の乾燥及び硬化のために装置中で撹拌した。そして、被覆したペレットを、装置中で低い空気供給で冷却させた。
【0166】
【表2】
【0167】
【表3】
【0168】
分析方法
粒子サイズ rMS[nm]
粒子サイズを、Mastersizer(登録商標)2000(Malvern社製)を使用して、レーザー回折によって測定した。その値を、粒子サイズ分布d(v、50)に基づいた体積の中間値の半分である、粒子半径rMS[nm]として示す。
【0169】
粘度数 Vz[mL/g]
粘度数Vzを、通常分子量についての測定として使用する。DIN EN ISO 1628−1に従って決定した。Ubbelohdeキャピラリー(タイプOc)でのプロセス制御粘度測定システム(PVS、Lauda GmbH & Co. KG)を使用した。ポリマーをTHF中で、溶剤100mLあたり0.5gの濃度で溶解した。測定温度は25℃であった。
【0170】
分子量 Mw[g/mol]
分子量を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。モル質量較正はポリ(メチルメタクリレート)を基礎とした。測定の条件を、Martina Adler et.al.(e−Polymers 2004、055)の文献に従って選択した。酢酸6g/L、LiBr 3g/L及びH
2O 10g/Lを有するN,N−ジメチルアセトアミドを、流量速度1.0ml/分で移動相として使用した。4つのGRAM 10μmカラム(プレカラム、2×10000Å及び30Åカラム−Polymer Standards Service社製、Mainz、Germany)のカラムセットを固定床として使用した。
【0171】
ガラス転移温度 Tg[℃]
ガラス転移温度Tgを、DIN EN ISO 11357に従ってDSCによって測定した。典型的に、10〜12mg試料、及び加熱速度20K/分を使用した;温度範囲は−40℃〜140℃であった。測定を窒素雰囲気下で実施する。評価は、第二の加熱サイクルに基づき、示された値は、ガラス転移間隔における平均値である。
【0172】
最小フィルム形成温度 MFT[℃]
ポリマー分散液が水の蒸発に対してポリマーフィルムを形成する最も低い温度が、最小フィルム形成温度(MFT)である。MFTは、分散の特徴であり、かつ特に、ガラス転移温度及び分散粒子の粒子サイズに影響する。最小フィルム形成温度は、DIN ISO 2115に従って、定義された温度勾配でバンドヒーター上でのドクターナイフでの分散を適用することによって測定される。MFTは、亀裂を有さないフィルムが形成され、白化点(フィルムが完全に形成されていない理由でポリマーがまだやや白っぽく見える温度である)よりわずかに高い、最も低い温度に対応する。
【0173】
有効成分放出
放出特性を、溶解装置(USP 32<711>溶解;タイプ1:バスケット)中で、100rpmの回転速度で、溶解媒体900mLで測定した。温度は37℃±0.5℃であった。溶解媒体は、2時間0.1N塩酸(0.1N HCl)であり、そしてpH6.8 EP緩衝液4003200(=リン酸塩緩衝食塩水:H
2O 1L中でNaCl 8.5g、KH
2PO
4 1g、K
2HPO
4 2g)への溶解媒体の完全な変更を行った。放出されたAPI(それぞれジプロフィリン又はコハク酸メトプロロール)の量を、UV測定によって測定した。
【0174】
エタノールの効果を、塩酸の一部をエタノールに置き変えることによって研究した。20%エタノール(堆積%)での測定を実施した。pH6.8への完全な変更後の溶解媒体はあらゆるエタノールを含まなかった(全ての場合)。