特許第5847327号(P5847327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5847327立体パターンを示すインモールド射出用転写フィルム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847327
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】立体パターンを示すインモールド射出用転写フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20151224BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20151224BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20151224BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20151224BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20151224BHJP
   B44C 1/17 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   B29C45/16
   B05D3/06 102Z
   B05D5/06 104D
   B05D5/06 104B
   B32B3/30
   B32B27/16 101
   B44C1/17 E
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-544664(P2014-544664)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-505746(P2015-505746A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】KR2012010215
(87)【国際公開番号】WO2013081384
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年5月28日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0128113
(32)【優先日】2011年12月2日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509286787
【氏名又は名称】エルジー・ハウシス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LG HAUSYS,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】イ・ミョンジン
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ジェポン
【審査官】 宮本 靖史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−071799(JP,A)
【文献】 特開2010−137494(JP,A)
【文献】 特開2008−202022(JP,A)
【文献】 特開2013−094998(JP,A)
【文献】 特開平09−030197(JP,A)
【文献】 特開平08−039994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 − 33/76
B29C 39/26 − 39/36
B29C 41/38 − 41/44
B29C 43/36 − 43/42
B29C 43/50
B29C 45/00 − 45/84
B29C 49/48 − 49/56
B29C 49/70
B29C 51/30 − 51/40
B29C 51/44
B29K 105/20
B32B 1/00 − 43/00
B44C 1/16 − 1/175
B05D 1/00 − 7/26
C08C 19/00 − 19/44
C08F 6/00 −246/00
C08F 301/00
H01L 21/027− 21/30
H01L 21/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、UV硬化層、ハードコーティング層、印刷層及び接着層を含み、
前記UV硬化層が立体パターン及び離型剤組成物を含み、
前記離型剤組成物は、シリコンアクリレートオリゴマーを5重量%ないし15重量%含み、前記立体パターンは、ヘアラインパターン、陽刻または陰刻パターンを含むことを特徴とするインモールド射出用転写フィルム。
【請求項2】
前記離型剤組成物は、エポキシ化合物、エポキシ―メラミン系化合物、アミノアルキド系化合物、アクリル系化合物、メラミン系化合物、シリコン系化合物、フッ素系化合物、セルロース系化合物、尿素樹脂系化合物、ポリオレフィン系化合物及びパラフィン系化合物より選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のインモールド射出用転写フィルム。
【請求項3】
前記UV硬化層は3μmないし20μmの厚さであることを特徴とする、請求項1に記載のインモールド射出用転写フィルム。
【請求項4】
前記立体パターンは3μmないし20μmの厚さであることを特徴とする、請求項1に記載のインモールド射出用転写フィルム。
【請求項5】
前記立体パターンのうちヘアラインパターンは1μmないし3μmの厚さで形成し、
前記立体パターンのうち陽刻または陰刻パターンは3μmないし20μmの厚さで形成することを特徴とする、請求項に記載のインモールド射出用転写フィルム。
【請求項6】
基材を形成する段階;
前記基材の上部に離型剤組成物が含まれたUV硬化層を形成する段階;
前記UV硬化層の上部に立体パターンを形成した後、UVランプを使用して硬化する段階;
前記離型層の上部にハードコーティング層を形成する段階;
前記ハードコーティング層の上部に印刷層を形成する段階;及び
前記印刷層の上部に接着層を形成する段階;を含むことを特徴とする請求項1記載のインモールド射出用転写フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記立体パターンはグラビアコーティング法で形成されたことを特徴とする、 請求項に記載のインモールド射出用転写フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記硬化する段階で使用するUVランプは、メタルハライド、水銀、ブラックライトより選ばれることを特徴とする、請求項に記載のインモールド射出用転写フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記UVランプは、メタルハライドであって、
300mJないし500mJのランプ電力、1分当たり3mないし8mの硬化速度で硬化が行われることを特徴とする、請求項に記載のインモールド射出用転写フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インモールド射出用転写フィルム及びその製造方法に関し、より詳細には、前記UV硬化層が立体パターン及び離型剤組成物を含むことを特徴とするインモールド射出用転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
インモールド射出用転写フィルムは、それぞれ固有の特性を有する複数の層からなるラミネートフィルムであって、金属感やパターンを表現するために金属蒸着層を含んだり、各種パターンを印刷した印刷層を含む。しかし、前記のような金属蒸着層及び印刷層を含むラミネートフィルムは、単純に金属感を示したり、平面的なパターンを表現することはできるが、パターンを立体的に表現したり、見る角度によって色相やパターンが異なって見えるホログラム効果または光学的グラデーション効果を示すことはできない。
【0003】
韓国特許公開公報第2010―0048181号では、UV硬化層は、紫外線硬化樹脂、光安定剤及び開始剤を含む組成物を紫外線照射過程を通じて硬化させて形成できると記載されているだけで、エンボスパターンの形成有無に対しては開示されていない。しかるに、外観デザインにおいて立体的なパターン表現、ホログラム効果、光学的グラデーション効果を示すことができるインモールド転写フィルムの必要性が大きくなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、離型剤組成物を含むUV硬化層の上部に立体パターンを形成した後、UVランプを使用して硬化することによって立体パターンを射出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、基材、UV硬化層、ハードコーティング層、印刷層及び接着層を含み、前記UV硬化層が立体パターン及び離型剤組成物を含むことを特徴とするインモールド射出用転写フィルムを提供する。
【0006】
他の目的を達成するために、本発明は、基材を形成する段階;前記基材の上部に離型剤組成物が含まれたUV硬化層を形成する段階;前記UV硬化層の上部に立体パターンを形成した後、UVランプを使用して硬化する段階;前記離型層の上部にハードコーティング層を形成する段階;前記ハードコーティング層の上部に印刷層を形成する段階;及び前記印刷層の上部に接着層を形成する段階;を含むことを特徴とするインモールド射出用転写フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のインモールド射出用転写フィルムによると、インモールド射出用転写フィルムは、離型層を含まず、離型剤組成物をUV硬化層に含ませることによって、射出物の表面強度強化、電磁波遮蔽機能はもちろん、外観デザインにおいて立体的なパターン表現、ホログラム効果、光学的グラデーション効果を奏することができる。特に、射出物の曲面にも前記効果を奏することができる。
【0008】
また、本発明のインモールド射出用転写フィルムの製造方法において、離型剤組成物が含まれたUV硬化層の上部に立体パターンを形成してUV硬化することによって、インモールド射出物に多様で且つ明確な立体パターンを具現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係るインモールド射出用転写フィルムの構造を示した断面図である。
図2】本発明の実施例に係るインモールド射出用転写フィルムの製造工程を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述している各実施例を参照すれば明確になるだろう。しかし、本発明は、以下で開示する各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態に具現可能である。但し、本実施例は、本発明の開示を完全にし、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義されるものに過ぎない。明細書全体にわたって同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。
【0011】
以下、添付の図面を参照して、多様なパターンの立体質感を具現できるインモールド射出用転写フィルム及びその製造方法について説明する。
【0012】
インモールド射出用転写フィルム
図1は、本発明の実施例に係るインモールド射出用転写フィルムの構造を示した断面図である。
【0013】
図1を参照すると、本発明の実施例に係るインモールド射出用転写フィルム100は、基材110、UV硬化層120、ハードコーティング層130、印刷層140及び接着層150を含む。
【0014】
前記基材110は、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、PC(Poly Carbonate)、PP(Poly Propylene)、PETG(Poly Ethylene Terephthalate Glycol)及びアクリルより選ばれた一つ以上の材質で形成することができる。前記PETまたはPETGは、一般的な基材層の素材よりも優れた加温伸び率を有しているので、成形性を極大化させ得るという面で望ましい。
【0015】
前記UV硬化層120は、立体パターン及び離型剤組成物121を含むことを特徴とする。このとき、前記UV硬化層の厚さは3μmないし20μmにすることが望ましい。前記UV硬化層120の厚さが3μm未満である場合は、その厚さが過度に薄いので、ハードコーティング層130の上部に形成される下記の印刷層140に立体的な質感を具現し難くなり、射出物のUV硬化層にクラックが発生し得る。その一方、UV硬化層120の厚さが20μmを超える場合は、UV硬化層120の未硬化による経時変化によって射出時にクラックが発生しながら、未剥離を誘発するという問題がある。
【0016】
また、前記UV硬化層120は、紫外線硬化樹脂、光開始剤及び添加剤を含む組成物を含むことができる。前記紫外線硬化樹脂は、物性制御が容易な汎用屈折率のシリコンアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのオリゴマーを含むことができる。
【0017】
前記光開始剤の例としては、ベンゾインメチルエーテル、2,4,6―トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、α,α―メトキシ―α―ヒドロキシアセトフェノン、2―ベンゾイル―2―(ジメチルアミノ)―1―[4―(4―モルホニル)フェニル]―1―ブタノン及び2,2―ジメトキシ―2―フェニルアセトフェノンからなる群より選ばれた一つ以上を挙げることができる。前記光開始剤は、前記紫外線硬化樹脂100重量部に対して0.01重量部ないし5重量部で添加することが望ましい。光開始剤が0.01重量部未満で添加される場合は、架橋が十分にされないだけでなく、凝集力の改善効果が得られないこともあり、光開始剤が5重量部を超えて添加される場合は、初期しわ(Tuck)及び粘着力が著しく低下するおそれがある。
【0018】
前記光開始剤の他に添加され得るその他添加剤としては、多孔性フィラー、カップリング剤、帯電防止剤、界面活性剤、粘着付与剤及び加工油などを挙げることができ、このような添加剤は、この分野で通常のものであって、本発明の目的を害しない範囲で適宜添加することができる。
【0019】
前記UV硬化層120が含む離型剤組成物121は、エポキシ化合物、エポキシ―メラミン系化合物、アミノアルキド系化合物、アクリル系化合物、メラミン系化合物、シリコン系化合物、フッ素系化合物、セルロース系化合物、尿素樹脂系化合物、ポリオレフィン系化合物及びパラフィン系化合物より選ばれた一つ以上で形成することができる。
【0020】
望ましくは、前記離型剤組成物121は、離型特性に最も適したシリコン系化合物を含む。メラミン系化合物、パラフィンワックス系化合物またはフッ素系化合物は、離型力が高いので、ハードコーティング層130の巻き取り時に半径化されたハードコーティング層130が基材層110の下面に部分的に転写され、不均一なコーティング層が形成されるなどの問題が発生し得る。
【0021】
前記シリコン化合物において、シリコンアクリレート系化合物を含むことが望ましい。シリコンアクリレート系化合物は、低い表面エネルギー及び優れた粘性維持力を有しており、離型剤組成物としての役割をすることができる。これによって、本発明のシリコンアクリレート系化合物を含んで離型層としての役割を代替するUV硬化層の除去時にも表面損傷または汚染をさせず、付着時にも優れた粘着力を示すことができる。また、シリコンアクリレート系化合物は、伸び率が良いので、インモールド転写フィルムの射出時に外観へのクラック発生を最小化することができ、離型剤組成物の形成時にも良好に配合されるという長所を有する。
【0022】
また、前記離型剤組成物は、シリコンアクリレートオリゴマーを5重量%ないし15重量%含むことを特徴とする。前記シリコンアクリレートオリゴマーが5重量%未満である場合は、インモールド転写フィルムの射出時にクラックが発生するおそれがあり、シリコンアクリレートオリゴマーの含量が減少するほど粘度が過度に低くなり得る。また、前記シリコンアクリレートオリゴマーが15重量%を超える場合は、粘度が高くなり、射出時に不均一なインモールド転写フィルムが形成されるおそれがある。また、UV硬化層は、基材との付着力が減少し、基材に転移される代わりにロール及び転写物にくっ付く現象が発生し得る。
【0023】
併せて、前記UV硬化層120には立体パターンが形成されたことを特徴とするが、前記立体パターンは3μmないし20μmの厚さを含むことができる。すなわち、立体パターンの厚さが3μm未満である場合は、十分な立体感を得ることができなく、後続して形成される印刷層の結合効果も確保できなくなる。その一方、立体パターンの厚さが20μmを超える場合は、全体のインモールド射出用転写フィルムの厚さを増加させ、成形性を低下させるため正常なインモールド射出用転写工程が行われなくなる。また、インモールド転写フィルムの射出時、UV硬化層の外観にクラックが発生し得る。
【0024】
前記立体パターンは、ヘアラインパターン、陽刻または陰刻パターンを含むことができる。併せて、前記立体パターンのうちヘアラインパターンは1μmないし3μmの厚さで形成し、前記立体パターンのうち陽刻または陰刻パターンは3μmないし20μmの厚さで形成することができる。前記立体パターンがヘアラインパターンを形成し、前記の範囲を逸脱する場合は、射出後にUV硬化層の伸び率が不足し、クラックが発生するおそれがある一方、陽刻または陰刻パターンを形成し、前記の範囲を逸脱する場合は、粘度が高くなり、UV硬化層が厚くなってクラックが発生するおそれがある。
【0025】
前記ハードコーティング層130は、射出成形時、後述する印刷層140にスクラッチが発生することを防止するために形成される。このようなハードコーティング層130は、アクリル系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物及びシロキサン系ポリマー材質のうち1種以上を含むことができ、また、オリゴマーなどの紫外線硬化樹脂を含むことができる。また、前記ハードコーティング層130は、強度向上のためにシリカ系のフィラーをさらに含むこともできる。
【0026】
このとき、前記ハードコーティング層130は、1μmないし3μmの厚さで形成する方がよい。ハードコーティング層130の厚さが1μm未満である場合は、スクラッチ防止効果が微々たるものになる一方、ハードコーティング層130の厚さが3μmを超える場合は、フィルムの伸び率の低下によって射出時にクラックが発生し、ブリットル(Brittle)によって粉が発生することによって射出不良を誘発するという問題が発生し得る。
【0027】
前記印刷層140は、グラビア印刷及びフレキソ印刷のうちいずれか一つを用いて形成することができる。印刷層140は、互いに同一であるか異なる模様を有しており、人物写真、パターン、多様なカラー、多様な模様などを所望の形態に自由に具現することができる。
【0028】
プライマー層(図示せず)は、印刷層140と後述する接着層150との間に介在し、接着層150の接着力を補強する。このようなプライマー層(図示せず)は、ウレタン樹脂または変性アクリル樹脂を主成分として含んだり、ポリイソシアネート及びポリオールを主成分として含むことができ、より具体的には、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、変性アクリル、酸化金属微粒子及び硬化触媒より選ばれた1種以上で形成することが望ましい。
【0029】
前記接着層150は、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、EVA(ethylene co―vinyl acetate)、PVAc(polyvinyl acetate)などの接着剤をグラビア印刷、フレキソ印刷、マイクログラビアコーティング、コンマコーティング、ロールコティングより選ばれた一つ以上の方式を用いて適正な厚さで塗布した後、一定温度で硬化することによって形成することができる。
【0030】
インモールド射出用転写フィルムの製造方法
図2は、本発明の実施例に係るインモールド射出用転写フィルムの製造工程を示したフローチャートである。
【0031】
図2を参照すると、本発明のインモールド射出用転写フィルムの製造工程は、基材を形成する段階(S110)、前記基材の上部に離型剤組成物を含むUV硬化層を形成する段階(S120)、前記UV硬化層の上部にハードコーティング層を形成する段階(S130)、前記ハードコーティング層の上部に印刷層を形成する段階(S140)、及び前記印刷層の上部に接着層を形成する段階(S150)を含む。
【0032】
前記基材の上部に離型剤組成物を含むUV硬化層を形成する段階(S120)は、前記UV硬化層の上部に立体パターンを形成した後、UVランプを使用して硬化する段階を含む。
【0033】
また、前記UV硬化層の上部に立体パターンが形成されるが、前記立体パターンはグラビアコーティング法で形成することができる。前記グラビアコーティング法は、被塗布材とグラビアロールの進行方向を互いに反対にすることによって、被塗布材をグラビアロールの反対側から別途にゴムロールなどで加圧する必要なく、グラビアロールによって大きく折り曲げず、グラビアロール上のコーティング液でコーティングする方法である。前記方法は、塗工量の調整が容易であり、縦じわの模様が発生することなく均一なコーティングが可能であるという長所を有しており、多様に応用されている。
【0034】
前記硬化段階ではUVランプを使用できるが、このとき、UVランプは、メタルハライド、水銀、ブラックライトより選択することができ、これに制限されることはない。特に、前記硬化段階では、メタルハライドUVランプを使用することが、速い硬化が可能であるという点で最も望ましい。
【0035】
併せて、前記硬化工程を行う段階は、前記メタルハライドランプを用いてランプ電力を300mJないし500mJにし、硬化速度を3m/分ないし8m/分にして実施することができる。前記ランプ電力を逸脱する場合は、生産性が低下するおそれがあり、UV硬化層が硬くなるのでクラックが発生し得る。また、前記硬化速度が3m/分未満である場合は、生産性が低下し、UV硬化層のクラックが発生し得る一方、前記硬化速度が8m/分を超える場合は、UV硬化層の形成においてUV硬化層が少なく硬化されることによって、製品の不良が発生するおそれがある。
【0036】
図2を参照すると、ハードコーティング層の形成段階(S130)では、UVコーティング層120の上部にハードコーティング物質を1μmないし3μmの厚さで塗布してハードコーティング物質層(図示せず)を形成した後、前記ハードコーティング物質層を乾燥炉で140℃ないし170℃の温度で硬化させることによってハードコーティング層130を形成する。
【0037】
印刷層の形成段階(S140)では、ハードコーティング層130の上部にグラビア印刷またはフレキソ印刷のうちいずれか一つを用いて印刷層140を形成する。このような印刷層140は、互いに同一であるか異なる模様を有しており、人物写真、パターン、多様なカラー、多様な模様などを所望の形態に自由に具現することができる。
【0038】
プライマー層の形成段階(図示せず)では、ハードコーティング層130及び印刷層140の上部に蒸着またはコーティング方式でプライマー層(図示せず)を形成する。このようなプライマー層(図示せず)は、ウレタン樹脂または変性アクリル樹脂を主成分として含んだり、ポリイソシアネート及びポリオールを主成分として含むことができ、より具体的には、ポリエステルポリオール、ポリイソシアネート、変性アクリル、酸化金属微粒子、硬化触媒より選ばれた1種以上で形成することが望ましい。
【0039】
接着層の形成段階(S150)では、グラビア印刷、フレキソ印刷、マイクログラビアコーティング及びロールコーティングより選ばれた一つ以上の方式を用いてプライマー層(図示せず)の上部に1μmないし3μmの厚さで接着層150を形成する。前記接着層150は、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、EVA(ethylene co―vinyl acetate)、PVAc(polyvinylacetate)などの接着剤を含むことができる。
【0040】
以上説明した本発明を通して、離型層を含まないことによって、多様なパターンの立体質感を具現できるインモールド射出用転写フィルムを製造することができる。
【0041】
以上検討したように、前記のような製造方法によって製造される本発明の実施例に係るインモールド射出用転写フィルムは、UV硬化層が離型剤組成物及び立体パターンを含むので、離型層を別途に製作しないことによって原価低減の効果を有し、多様な立体パターンの具現が容易になる。また、立体パターンにより、真空金型の設計変更がなくても、ハードコーティング層の上側に形成される印刷層の印刷模様を立体的に生かすことができる。
【0042】
1.インモールド転写シートの製造
実施例
50μm厚のPETフィルムの上部にウレタンアクリレート50重量%、光開始剤(ベンゾインメチルエーテル)5重量%、添加物(ラウレス硫酸ナトリウム)35重量%及びシリコンアクリレートオリゴマー10重量%を含み、20μmの厚さを有するUV硬化層を形成しながら、UV硬化層の上部にマイクログラビアコーティングで5μmの厚さを有する立体パターンを形成した。その後、メタルハライドUVランプ(400mJのランプ電力、1分当たり5mの硬化速度)を使用して硬化した。
【0043】
その後、ハードコーティング層を形成し、前記ハードコーティング層の上部に変性アクリルポリオール系の蒸着プライマー組成物を1μmの厚さでコーティングした後、120℃で20秒間硬化して蒸着プライマー層を形成した。
【0044】
その後、蒸着プライマー層の上部にグラビアコーティングで3μm厚の印刷層を形成した後、前記印刷層の上部にアルミニウムの真空蒸着法で8nm厚の蒸着層を形成し、変性アクリルポリオール系の蒸着プライマー組成物を1μmの厚さでコーティングした後、80℃で20秒間硬化してプライマー層を形成した。
【0045】
その後、1.5μm厚の接着層を形成することによってインモールド転写フィルムを製造した。
【0046】
比較例1
50μm厚のPETフィルムの上部にウレタンアクリレート50重量%、ベンゾインメチルエーテル5重量%、ラウレス硫酸ナトリウム35重量%及びシリコンアクリレートオリゴマー3重量%を含み、20μmの厚さを有するUV硬化層を形成した後、UV硬化層の上部にマイクログラビアコーティングで5μmの厚さを有する立体パターンを形成した。その後、メタルハライドUVランプ(400mJのランプ電力、1分当たり5mの硬化速度)を使用して硬化した。
【0047】
その後、ハードコーティング層を形成し、前記ハードコーティング層の上部に変性アクリルポリオール系の蒸着プライマー組成物を1μmの厚さでコーティングした後、120℃で20秒間硬化して蒸着プライマー層を形成した。
【0048】
その後、蒸着プライマー層の上部にグラビアコーティングで3μm厚の印刷層を形成した後、前記印刷層の上部にアルミニウムの真空蒸着法で8nm厚の蒸着層を形成し、変性アクリルポリオール系の蒸着プライマー組成物を1μmの厚さでコーティングした後、80℃で20秒間硬化してプライマー層を形成した。
【0049】
その後、1.5μm厚の接着層を形成することによってインモールド転写フィルムを製造した。
【0050】
比較例2
シリコンアクリレートオリゴマーを20重量%含むUV硬化層を形成することを除いては、実施例と同一の方法でインモールド転写フィルムを製造した。
【0051】
2.物性評価
(1)剥離性
射出製品に適用する前に、実施例及び比較例1、2のインモールド転写フィルム剥離性をCross―Cut方法で測定した。
【0052】
(2)立体質感維持力
実施例及び比較例1、2のインモールド転写フィルムを射出製品に適用した後、すなわち、射出製品に適用して射出した後の立体質感維持力に関して、断面カッティング後の断層測定及び外観の鮮影性(Distinctness Of Image:DOI)測定を通じてエリクセン測定機で測定した。
【0053】
(3)成形性
実施例及び比較例1、2のインモールド転写フィルムを射出製品に適用した後、すなわち、射出製品に適用して射出した後のクラックの発生有無(深絞り(Deep Drawing)部分)、すなわち、2Rないし10Rの深絞り部分のクラック発生を肉眼判定で測定した。
【0054】
下記の[表1]は、実施例及び比較例1、2に係るインモールド射出用転写フィルムに対する物性評価の結果を示したものである。このとき、下記の[表1]において、○は優秀、△は良好、Xは悪い、XXは非常に悪いことを示す。
【0055】
【表1】
【0056】
前記表1を参照すると、実施例の場合、剥離性は良好で、立体質感維持力及び成形性に優れた特性を示すことを確認することができる。
【0057】
一方、比較例1の場合、立体質感の維持力面では普通程度の水準を示したが、離型剤組成物であるシリコンアクリレートオリゴマー含量を5重量%以下にしたので、剥離性評価では悪い水準を示した。また、成形性において、クラック発生と関連した問題があることが分かった。
【0058】
一方、シリコンアクリレートオリゴマーを相対的に過多に含む比較例2の場合、剥離性の水準が低くなって未剥離現象を示し、クラックの問題によって成形性でも非常に低い水準を示した。このように、転写フィルムは、シリコンアクリレートオリゴマーの含量が多くなるにつれて粘度が高くなり、生産性が低下し、基材に転移されないことによって基材との接着も弱くなることが分かった。
【0059】
前記の実験結果に基づいて、離型層を別途に含まなくても、一定範囲以内の離型剤組成物を含むUV硬化層を形成する場合、剥離性は普通以上の水準を維持し、立体質感効果を審美的に生かすことを確認することができた。
以上では、本発明の実施例を中心に説明したが、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する技術者の水準で多様な変更や変形が可能である。このような変更と変形は、本発明が提供する技術思想の範囲を逸脱しない限り、本発明に属するものと言える。したがって、本発明の権利範囲は、以下で記載する特許請求の範囲によって判断しなければならないだろう。
図1
図2