(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
正負の電極部分を有する電池と、この電池を積層して並列に電気接続した並列ブロックと、この並列ブロック同士を直列に電気接続した多並多直ブロックと、複数の挿入穴を有し、この挿入穴に前記正負の電極部分を挿入して前記電池同士を電気接続するバスバーとを備えた電源装置であって、
前記並列ブロックの前記電池は、前記並列ブロックの一端に前記正の電極部分、他端に前記負の電極部分が並ぶように積層しており、
前記多並多直ブロックの前記並列ブロックは、積層するごとに反転させて積層しており、
前記バスバーは、
前記並列ブロックの前記電池同士を並列に電気接続し、且つ前記並列ブロック同士を直列に電気接続できる一体型のバスバーであり、
さらに、前記複数の挿入穴が前記バスバーに対して一方側に偏在して位置し、他方側には平面部を有しており、
前記電池は、前記正負の電極部分が一面に設けられ、前記正負の電極部分の間にガス排出弁を有する角型電池であり、
前記平面部は、前記ガス排出弁の上方に空間が形成されるように前記ガス排出弁に対して両側に分かれて位置していることを特徴とする電源装置。
複数の並列ブロックであって、それぞれの並列ブロックが、複数の角型電池と一対の端子部とを含んでおり、それぞれの角型電池が一面に設けられる正負の電極部分と前記正負の電極部分の間に位置するガス排出弁を有しており、前記複数の角型電池の正負の電極部分がそれぞれ第1の方向に沿って並んで前記一対の端子部を形成している、該複数の並列ブロックと、
複数の挿通孔を有し、この挿通孔に前記正負の電極部分を挿入して前記角型電池同士を電気接続する複数のバスバーであって、それぞれのバスバーが、前記複数の並列ブロックのうち隣接して配置される並列ブロックを直列に接続すると共に、それぞれの並列ブロックに含まれる前記複数の角型電池を並列に接続している、該複数のバスバーと、を備える電源装置において、
前記複数の並列ブロックは、
第1の並列ブロックと、
前記第1の方向において前記第1の並列ブロックに隣接して配置される第2の並列ブロックであって、該第2の並列ブロックの一対の端子部が前記第1の並列ブロックの一対の端子部に対してそれぞれ前記第1の方向に沿って一列に並んでいる、該第2の並列ブロックと、
前記第1の方向に対して直角な第2の方向において前記第1の並列ブロックに隣接して配置される第3の並列ブロックであって、該第3の並列ブロックの一対の端子部および前記第1の並列ブロックの一対の端子部が前記第2の方向に沿って並んでいる、前記第3の並列ブロックと、
を含んでおり、
前記複数のバスバーは、
前記第1の並列ブロックと前記第2の並列ブロックを接続する第1のバスバーであって、前記複数の挿入穴が該第1のバスバーに対して一方側に偏在して位置する第1の接続部と、他方側に位置する第1の平面部とを有している、該第1のバスバーと、
前記第1の並列ブロックと前記第3の並列ブロックを接続する第2のバスバーであって、前記複数の挿入穴がそれぞれ第1の方向に沿って並ぶ一対の第2の接続部と、該一対の第2の接続部の間に位置する第2の平面部とを有している、該第2のバスバーと、
を含んでおり、
前記第1の平面部および前記第2の平面部は、それぞれのガス排出弁の上方に空間が形成されるように、前記第1の並列ブロックに含まれる角型電池のガス排出弁に対して両側
に分かれて位置していることを特徴とする電源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献1のような直列接続のバッテリーを多並多直接続にするときには、以下の接続方法が考えられる。例えば、20個の電池を5並4直に接続するバッテリーとした場合、まず、電池の電極端子が向く方向を揃えて5個ずつ電池を積層し、4つの電池ブロックを形成する。次に、各電池ブロックにおいて、5個の正極端子は、穴を5つ設けたバスバー1枚で連結して並列接続する。同様にして、5個の負極端子は、穴を5つ設けたバスバー1枚で連結して並列接続する。これらの並列接続した4つの電池ブロックを直列接続する箇所においては、新たに接続部品等を追加する必要があり、部品点数が多くなってしまう。部品点数が多くなると、組立工程が複雑になるとともに、接続不良等の問題が発生し、バッテリー出力が低下するという欠点があった。
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決することを目的として開発されたもので、多並多直接続における電池の電極同士を簡単に接続でき、且つバッテリー出力を向上させることができる車両用の電源装置及びこの電源装置を搭載する車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、正負の電極部分を有する電池と、この電池を積層して並列に電気接続した並列ブロックと、この並列ブロック同士を直列に電気接続した多並多直ブロックと、複数の挿入穴を有し、この挿入穴
に前記正負の電極部分
を挿入して前記電池同士を電気接続するバスバーとを備えた電源装置であって、並列ブロックの電池は、並列ブロックの一端に正の電極部分、他端に負の電極部分が並ぶように積層しており、多並多直ブロックの並列ブロックは、積層するごとに反転させて積層しており、バスバーは、並列ブロックの電池同士を並列に電気接続し、且つ並列ブロック同士を直列に電気接続できる一体型のバスバーであり、さらに、複数の挿入穴はバスバーに対して一方側に偏在して位置し、他方側には平面部を有しており
、電池は
、正負の電極部分が一面に設けられ、正負の電極部分の間にガス排出弁を有する角型電池であり
、平面部は
、ガス排出弁の上方に空間が形成されるよう
にガス排出弁に対して両側に分かれて位置していることを特徴とする電源装置である。
【0012】
請求項2の発明は、前記バスバーの複数の前記挿入穴の大きさを前記電池の積層方向に対して徐々に大きくしていることを特徴とする電源装置である。
【0013】
請求項3の発明は、バスバーは、一端側の挿入穴を最も小さくし、一端側から他端側へ向かって挿入穴を徐々に大きくしていることを特徴とする電源装置である。
【0014】
請求項4の発明は、バスバーは、中央部分の挿入穴を最も小さくし、中央部分から両端側に向かって挿入穴を徐々に大きくしていることを特徴とする電源装置である。
【0015】
請求項5の発明は、一端側の前記挿入穴を最も小さくし、一端側から他端側へ向かって挿入穴を徐々に大きくしているバスバーと、中央部分の挿入穴を最も小さくし、中央部分から両端側に向かって挿入穴を徐々に大きくしているバスバーの両方を備えていることを特徴とする電源装置である。
【0016】
請求項6の発明は、バスバーにおいて、大電流が流れる部分の厚さを他の部分よりも厚くしたことを特徴とする電源装置である。
【0017】
請求項7の発明は、大電流が流れる部分の表面積を他の部分よりも広くしたことを特徴とする電源装置である。
【0018】
請求項8の発明は、バスバーは、全て同素材の材料からなることを特徴とする電源装置である。
【0019】
請求項9の発明は、一体型に形成したバスバーは、異素材からなるクラッド材を用いることを特徴とする電源装置である。
【0020】
請求項10の発明は、バスバーの最も小さい挿入穴に、電池の状態を検出する検出線を接続することを特徴とする電源装置である。
【0021】
請求項11の発明の電源装置は、複数の並列ブロックと複数のバスバーとを備えており、以下の特徴を有している。それぞれの並列ブロックは、複数の角型電池と一対の端子部とを含んでおり、それぞれの角型電池が一面に設けられる正負の電極部分と正負の電極部分の間に位置するガス排出弁を有しており、複数の角型電池の正負の電極部分がそれぞれ第1の方向に沿って並んで一対の端子部を形成している。複数のバスバーは、複数の挿通孔を有し、この挿通孔に正負の電極部分を挿入して角型電池同士を電気接続する。具体的には、それぞれのバスバーは、複数の並列ブロックのうち隣接して配置される並列ブロックを直列に接続すると共に、それぞれの並列ブロックに含まれる複数の角型電池を並列に接続している。複数の並列ブロックは、第1の並列ブロックと第2の並列ブロックと第3の並列ブロックを含んでいる。第2の並列ブロックは、第1の方向において第1の並列ブロックに隣接して配置され、第2の並列ブロックの一対の端子部が第1の並列ブロックの一対の端子部に対してそれぞれ第1の方向に沿って一列に並んでいる。第3の並列ブロックは、第1の方向に対して直角な第2の方向において第1の並列ブロックに隣接して配置され、第3の並列ブロックの一対の端子部および第1の並列ブロックの一対の端子部が第2の方向に沿って並んでいる。複数のバスバーは、第1の並列ブロックと第2の並列ブロックを接続する第1のバスバーと、第1の並列ブロックと第3の並列ブロックを接続する第2のバスバーとを含んでいる。第1のバスバーは、複数の挿入穴が該第1のバスバーに対して一方側に偏在して位置する第1の接続部と、他方側に位置する第1の平面部とを有している。第2のバスバーは、複数の挿入穴がそれぞれ第1の方向に沿って並ぶ一対の第2の接続部と、該一対の第2の接続部の間に位置する第2の平面部とを有している
。第1の平面部およ
び第2の平面部は、それぞれのガス排出弁の上方に空間が形成されるように
、第1の並列ブロックに含まれる角型電池のガス排出弁に対して両側に分かれて位置している。
【0022】
請求項12の発明は、請求項1から請求項11に記載の電源装置を備える車両としている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、多並多直ブロックに用いるバスバーを、並列ブロックの電池同士を並列に電気接続し、且つ並列ブロック同士を直列に電気接続できる一体型のバスバーとしたので、電池同士を接続するバスバーの数が少なくて済み、部品数や製造・組立ての工程数を減らすことができる。このため、全体的にコンパクトなバッテリー構造にできることから、省スペース・小型化が求められる車両用に好適に利用できる。
【0024】
請求項2の発明によれば、多並多直ブロックに用いるバスバーにおいて、バスバーに設けた複数の挿入穴の大きさを電池の積層方向に対して徐々に大きくしているので、バスバーにストレスをかけず、バスバーの挿入穴と電池の電極部分との位置ズレを防止して簡単に接続できる。
また、電池とバスバーとの接続部分の接触面積が広くなり、接触抵抗が下がって電池からバスバーへの通電量が増加するので、バッテリーの出力を大幅にアップすることができる。
【0025】
さらに、バスバーに設ける穴が全体的に小さくなり、バスバー自体の電気抵抗を小さくすることができので、バスバーでの通電量が増加し、バッテリーの出力を大幅にアップすることができる。また、バスバーでの電気抵抗が小さいと、大電流が流れるバスバーの発熱を防止することができる。
【0026】
請求項3の発明によれば、バスバーの一端側の挿入穴を最も小さくし、他端側へ向かって挿入穴を徐々に大きくしているので、並列ブロックにおいて、バスバーで大電流が流れるところの穴を最も小さくすれば、バスバーでの電気抵抗を下げることができるので、バスバーの発熱を最小限に抑えることができ、且つ、バッテリーの出力をアップさせることができる。また、このとき、バスバーに流れる電流量が少なくなるにつれて、徐々にバスバーの電気抵抗が上がるので、バスバー全体の発熱温度をより均一化する効果が期待できる。
【0027】
請求項4の発明によれば、バスバーの中央部分の挿入穴を最も小さくし、両端側へ向かって挿入穴を徐々に大きくしているので、一端側に最も小さい挿入穴を設けたときに比べて、バスバーに設ける穴を全体的に小さくすることができ、電池とバスバーとの接続部分の接触面積を増加させることができるため、バッテリーの出力をよりアップさせることができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、一端側から他端側へ向かって挿入穴を徐々に大きくしているバスバーと、中央部分から両端側に向かって挿入穴を徐々に大きくしているバスバーの両方を備えているので、あらゆるバッテリー構造において、出力を最大にするのに最適なバスバーの配置が可能となる。
【0029】
請求項6の発明によれば、バスバーにおいて、大電流が流れる部分の厚さを他の部分よりも厚くしているので、バスバー自体の電気抵抗を下げることができる。
【0030】
請求項7の発明によれば、バスバーにおいて、大電流が流れる部分の表面積を他の部分よりも広くしているので、バスバー自体の電気抵抗を下げることができる。また、表面積を広くすることで、発熱したバスバーの熱を放熱しやすくできる。
【0031】
請求項8の発明によれば、バスバーを全て同素材の材料としているので、製造が簡単にでき、部品共通化の点においても利点がある。
【0032】
請求項9の発明によれば、並列ブロック同士を直列接続する一体型のバスバーに異素材からなるクラッド材を用いているので、バスバーを異なる素材で形成された正負の電極部分と接続する場合に、正負の電極部分と同素材のバスバーで接続することができるので、電食による腐食を防止することができ、バスバーと電池とを長期にわたって低抵抗な状態で安定的に電気接続することができる。
【0033】
請求項10の発明によれば、バスバーで最も小さい挿入穴に検出線を接続しているので、低抵抗な状態で確実に検出線を電極部分に接続することができ、且つ、正確な電池状態を検出することができる。
【0035】
請求項12の発明によれば、上記電源装置を備える車両を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を
図1乃至
図16に基づいて詳細に説明する。
【0038】
この電源装置1を自動車に搭載する例を
図1及び
図2に基づいて、詳細に説明する。
【0039】
まず、
図1に、エンジン2を主体にしながらモータ3を併用して車輪を駆動させ走行するハイブリッド自動車(車両HV)に電源装置1を搭載する例を示す。この図に示す車両は、2つの動源力が平行して車輪の駆動に関与することからパラレル方式と呼ばれる。
【0040】
電源装置1を搭載する車両HVは、車両HVを走行させるエンジン2及びモータ3と、モータ3に電力を供給するバッテリー4とを備えた電源装置1と、この電源装置1に内蔵するバッテリー4の角型電池21を充電する発電機5とを備えている。電源装置1は、DC/ACインバータ6を介してモータ3と発電機5に接続している。
【0041】
車両HVは、電源装置1のバッテリー4を充放電しながらモータ3とエンジン2を併用して走行する。エンジン2は走行を主体とし、場合により電源装置1に内蔵するバッテリー4の角型電池21を充電する。モータ3は、電源装置1から電力が供給されて駆動し、エンジン2に負担がかかる発進時や加速時に、エンジン2とともに作動して駆動力を補助する。また、低速時にはモータ3、高速時にはエンジン2と、駆動力を使い分けることでエネルギー効率を高める。さらに、車両が止まるブレーキ制動時には、モータ3を発電機5として利用し、電源装置1に内蔵するバッテリー4の角型電池21を充電する。
【0042】
車両HVは、上記で記載したパラレル方式以外に、シリーズ方式とスプリット方式とがある。シリーズ方式は、動源力が1つで、モータのみが車輪を駆動し、エンジンはモータに電気を供給する発電用として搭載される。スプリット方式は、上記のパラレル方式にバッテリー充電専用の発電機を組み合わせたシステムで、パラレル方式よりさらに細かくエンジンの負荷制御をおこない、エネルギー効率を高める。このスプリット方式は、エンジンの動力を車両の駆動と発電機の両方に分割する動力分割機構を備えている。この動力分割機構を用いて、発電機、モータの回転数を制御しながら、効率的に自動車を動かしている。スプリット方式は、シリーズ・パラレル方式とも呼ばれる。
【0043】
次に、
図2に、モータ3のみで走行する電気自動車(車両EV)に電源装置1を搭載する例を示す。この図に示す電源装置1を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ3と、このモータ3に電力を供給するバッテリー4とを備えた電源装置1と、この電源装置1に内蔵するバッテリー4の角型電池21を充電する発電機5とを備えている。電源装置1は、DC/ACインバータ6を介してモータ3と発電機5に接続している。車両EVは、電源装置1のバッテリー4を充放電しながらモータ3のみで走行する。モータ3は、電源装置1から電力が供給されて駆動する。発電機5は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置1に内蔵するバッテリー4の後述する角型電池21を充電する。
【0044】
以上の車両に搭載される本発明の電源装置1の第1実施例を、以下、
図3乃至
図14に基づいて、詳細に説明する。ただし、本発明の電源装置1を搭載する車両は、上記のものに限定せず、プラグインハイブリッド自動車等に搭載しても良い。
【0045】
図3は、車両等に搭載される本発明電源装置1のバッテリー収納ケース10の外観斜視図を示したものであり、この電源装置1のバッテリー収納ケース10には、後述する5並4直ブロック20で構成されるバッテリー4が収納されている。このバッテリー収納ケース10は、上ケース11と下ケース12からなる筺体構造のケースで、アルミ等の金属材を加工して形成される。このバッテリー収納ケース10は、複数の5並4直ブロック20を外部からの衝撃や圧力から保護しており、上ケース11は、複数の5並4直ブロック20が配置された下ケース12を覆被している。
【0046】
また、
図3で示すように、上ケース11の両側面13と下ケース12の両側面14には、その中央に流入口15が設けられる。この流入口15には、角型電池21を冷却する前の冷却風が流入する。そして、この流入口15を中心にその両側に、排出口16がそれぞれ設けられる。この排出口16には、角型電池21を冷却した後の冷却風が流れる。流入口15から流入した冷却風は、バッテリー収納ケース10内を循環した後、排出口16からバッテリー収納ケース10外部へ排出される。
【0047】
図4は、
図3のバッテリー収納ケース10の上ケース11を取り外し、下ケース12を上方から見たバッテリー収納ケース10の内部構造上面図を示したものであり、下ケース12内では、4つの5並4直ブロック20が2行2列に配列している。そして、この5並4直ブロック20同士を直列に電気接続したものが、バッテリー4である。こうして、電源装置1のバッテリー4を高出力、大容量のバッテリー4とすることができ、このバッテリー4は、車両を走行させるモータ3へ電力供給をおこなう。
【0048】
図5は、
図4に示す4つの5並4直ブロック20のうち、1つの5並4直ブロック20に関する外観斜視図であり、この5並4直ブロック20を分解した分解外観斜視図を
図6に示す。以下に、5並4直ブロック20に関して、詳細に説明する。
【0049】
5並4直ブロック20は、角型電池21を20個積層しており、角型電池21は、
図7に示すように側面22幅を薄くした角型の外形をしている。角型電池21の外装缶は金属製で、角型電池21同士は絶縁して積層される。また、この角型電池21はリチウムイオン二次電池で、ニッケル水素電池等に比べて重量と容積に対する容量が大きいため、小型・軽量化が求められる車両等において、モータ3に電力を供給するバッテリー4で好適に利用できる。
【0050】
角型電池21は、
図7に示すように、上面23の両端部分に、正負の電極端面24A、24Bと、正負の電極端子24a、24bからなる電極部24を有する。電極端面24A、24Bは、角型電池21の上面23と電極端面24A、24Bとが鋭角をなすように一部が傾斜している。また、電極端子24a、24bは円柱状に形成されており、電極端面24A、24Bの傾斜部分から垂直方向に突出している。また、この電極端子24a、24bには、ナット50をねじ込んで螺着固定するための溝を設けている。さらに、角型電池21の上面23の中央部分にはガス排出弁と電解液注入口とを設けている。そして、角型電池21の積層は、
図7に示すように、セパレータ25を介しておこなわれる。
【0051】
セパレータ25は、樹脂等の絶縁材を加工して製造され、ほぼ角型電池21と大きさを等しくしているが、さらに角型電池21の側面22幅を薄くした形状をしている。このセパレータ25は、積層する角型電池21表面を覆って角型電池21同士を絶縁しており、隣接するセパレータ25同士は接触している。また、セパレータ25は、後述するバスバー30、40、42の位置ズレを防止する形状に形成されており、さらに、角型電池21の位置決めをおこなって、角型電池21同士を等間隔に積層する役割も果たしている。このセパレータ25には、角型電池21を冷却するための冷却風通路等(図示せず)を設けている。
【0052】
第1実施例では、4種類のセパレータ25を使用する。まず、
図7で奥側に位置するセパレータ25は、絶縁板26を有する第1セパレータ25Aで、絶縁板26は、第1セパレータ25A上面の一端にのみ設ける。この絶縁板26を設けることにより、後述するバスバー30、40、42において、隣接するバスバー同士を絶縁することができ、振動等により接触してショートしてしまうのを防止できる。第1セパレータ25Aの上面の他端には、凸部27を設けている。
【0053】
次に、
図7で手前側に位置するセパレータ25は、凸部27を有する第2セパレータ25Bで、凸部27は、第2セパレータ25B上面の両端にそれぞれ設けられている。この第2セパレータ25Bの凸部27を上面の一端にのみ設けたのが、第3セパレータ25Cである。そして、後述するエンドプレート51に隣接し、セパレータ25の上面の両端にそれぞれ絶縁板26を有するのが第4セパレータ25Dで、5並4直ブロック20の両端に配設される。
【0054】
第2セパレータ25Bと第3セパレータ25Cを、バスバー30、40、42の形状に合わせて並べて配置することにより、バスバー30、40、42の位置決めをおこなうことができ、バスバー30、40、42をしっかりと接続固定することができる。このため、振動等によりバスバー30、40、42や電極端子24a、24b等にストレスがかかるのを軽減できる。また、バスバー30、40、42を接続固定するナット50がずれにくくなるので、バッテリー4内でのショートを防止することができ、且つ、長期にわたってバッテリー4の性能を最大限発揮できる効果がある。
【0055】
5並4直ブロック20を構成する並列ブロック28は、5個の角型電池21がセパレータ25を介して積層し、並列に電気接続したものである。この並列ブロック28では、並列ブロック28上面の一端に正の電極端子24aが、並列ブロック28上面の他端に負の電極端子24bがそれぞれ整列して並ぶように角型電池21を積層している。そして、積層した5個の角型電池21は、正の電極端子24a同士を第1バスバー30で、負の電極端子24b同士を第2バスバー40で連結し、並列に電気接続する。第1バスバー30と第2バスバー40の詳細は、後述にて説明する。
【0056】
5並4直ブロック20は、
図5及び
図6に示すように、4つの並列ブロック28で構成され、並列ブロック28は積層するごとに180°横回転させて積層したもので、並列ブロック28同士を直列に電気接続している。5並4直ブロック20上面において、正の電極端子24aと負の電極端子24bとが、並列ブロック28ごとに点対称の位置関係となるように積層する。つまり、隣接する2つの並列ブロック28において、5個の正の電極端子24aと5個の負の電極端子24bとが1列に並ぶように積層する。そして、4つの並列ブロック28を直列に電気接続する箇所では、1列に並ぶ5個の正の電極端子24aと5個の負の電極端子24bの、計10個の正負の電極端子24a、24bを第3バスバー42でまとめて連結する。
【0057】
以下に、第1バスバー30、第2バスバー40、第3バスバー42の詳細を、
図5乃至
図16に基づいて説明する。
【0058】
まず、第1バスバー30の上面図を
図8に示し、E−E線、C−C線、A−A線で切断したときの断面図を
図9乃至
図11に示す。この第1バスバー30は、
図6で奥側左に配設するバスバーで、角型電池21の上面23の中央から第1バスバー30を見たときの側面図を
図12に示す。
【0059】
図8に示す第1バスバー30は、純銅等の金属材からなり、長方形を基本とする薄板形状で、電極端面24A、24Bの傾斜部分及び角型電池21を覆うセパレータ25に沿う形状にプレス加工され、傾斜部31、屈曲部32、平面部33を形成する。第1バスバー30に屈曲部32を設けたことにより、セパレータ25で第1バスバー30の位置決めをおこなうことができる。第1バスバー30の傾斜部31には、5個の正の電極端子24aを挿入するための挿入穴36を直線状に5個設けている。また、傾斜部31では、挿入穴36周囲の表面積を、挿入穴36を設けていないところに比べて広くして、挿入穴36周囲で第1バスバーの断面積が大きくなるようにしている。
【0060】
図9は、第1バスバー30で挿入穴36を設けていない箇所をE−E線で切断したときの断面図で、
図10は、第1バスバーで挿入穴36を設けた箇所をC−C線で切断したときの断面図である。上記で記載したように、第1バスバー30の傾斜部31の表面積を挿入穴36の有無に合わせて変更することで、
図9と
図10で示す断面図の断面積をほぼ同じとすることができるので、第1バスバー30自体の電気抵抗を均一化することができる。これにより、第1バスバー30では電流がスムーズに通電するので、バッテリー4の出力をアップさせることができ、バッテリー4の性能を最大限発揮することができる。
【0061】
第1バスバー30に設ける挿入穴36は、第1バスバー30の一端34側に最も近い挿入穴36を、穴径が5.1mmの第1挿入穴36aとする。第1挿入穴36aの大きさは、挿入する正の電極端子24aの大きさよりわずかに大きい大きさに設定している。そして、第1バスバー30の一端34側に設けた第1挿入穴36aを基準として、他端35側へ向かうにつれて挿入穴36の穴径を0.1mmずつ大きくしている。具体的には、第1バスバー30の一端34側から順番に、穴径が5.1mmの第1挿入穴36a、5.2mmの第2挿入穴36b、5.3mmの第3挿入穴36c、5.4mmの第4挿入穴36d、5.5mmの第5挿入穴36eを設けている。
【0062】
第1バスバー30に使用した純銅は、一般銅等の他の金属材に比べて電気抵抗が低いので、第1バスバー30自体の電気抵抗を下げることができる。また、第1バスバー30において、挿入穴36ごとに穴径の大きさを変更することにより、全ての穴径を同じ大きさに統一していた従来と比べて、全体的に穴径を小さくすることができる。穴径が小さくなると、正の電極端面24Aと第1バスバー30との接触面積が大きくなるので、接触抵抗が下がって角型電池21から第1バスバー30へ流れる電流の通電量がアップする。これにより、バッテリー4の出力アップも図れ、大容量のバッテリー4とすることができる。
【0063】
そして、全体的に穴径を小さくしながらも、穴径を徐々に大きくしたことで、積層した角型電池21の膨張、あるいは角型電池21や組立工程のバラツキ等によって生じる正の電極端子24aとの位置ズレに対応することができる。これにより、正の電極端子24aへの第1バスバー30の挿入が簡単にでき、衝撃や振動等により第1バスバー30がストレスを受けることがない。
【0064】
第1実施例では、5個の角型電池21を並列接続しており、従来において同数の角型電池21を直列接続した場合と比べて、第1バスバー30自体に最大5倍の大電流が流れる。このため、第1バスバー30は、従来、直列接続に用いたバスバーを単に連結するだけでなく、通電量をアップさせるために、従来よりも第1バスバー30の表面積を広げ、さらに、厚さを厚くして第1バスバーを切断したときの断面積を大きくした形状としている。この表面積を広げた箇所にあたるのが、第1バスバーの平面部33で、この平面部33は、セパレータ25の上面に面している。
【0065】
第1バスバーに平面部33を設けて表面積を広くし、また、第1バスバー30の厚さを厚くすることによる断面積の増加により、第1バスバー30自体の電気抵抗を相乗的に下げることができ、並列接続によって大電流が流れる第1バスバー30での通電量を増加させることができる。さらに、第1バスバー30自体の電気抵抗の低下に伴って、大電流が流れる第1バスバーの発熱を抑制することができ、角型電池21やセパレータ25への熱影響を防ぐことができる。さらにまた、第1バスバーの表面積を広くしたことで、発熱する第1バスバーの熱が放熱されやすくなるので、発熱しすぎるのを防止できる。
【0066】
図8に示す第1バスバー30の平面部33には、DC/ACインバータ6と接続する正極棒37が設けられ、第1バスバー30の平面部33の他端35側に配置される。正極棒37は、円柱状に形成され、平面部33から垂直に突出している。そして、正極棒37を配置した平面部33周囲の表面積は、正極棒37を配置していない平面部33周囲の表面積よりも外側に広くなるようにして、第1バスバー30の断面積が大きくなるようにしている。
図11は、第1バスバー30に正極棒37を設けている箇所をA−A線で切断したときの断面図である。
【0067】
第1バスバー30は、正極棒37を介してDC/ACインバータ6と接続しているため、正極棒37周囲の第1バスバー30には大電流が流れるが、正極棒37を設けた平面部33周囲の表面積を広くし、断面積を大きくすることで、第1バスバー30自体の電気抵抗が下がり、第1バスバー30で大電流が流れることにより第1バスバー30が発熱するのを抑制できる。また、表面積を広くしたことで、発熱する第1バスバーの熱が放熱されやすくなるので、発熱しすぎるのを防止できる。
【0068】
次に、第2バスバー40の上面図を
図13に示す。この第2バスバー40は、
図6で奥側右に配設されているバスバーで、角型電池21の上面23の中央から第2バスバー40を見たときの側面図を
図14に示す。第2バスバー40は、第1バスバー30と異なる箇所についてのみ説明する。
【0069】
図13の第2バスバーの傾斜部31には、5個の負の電極端子24bを挿入するための挿入穴36を直線状に5個設ける。第2バスバーで基準となる5.1mmの第1挿入穴36aは、第1バスバー30で一端34側に設けたのに対し、第2バスバー40では、最も他端35側に近いところに設けている。そして、第2バスバー40の第1挿入穴36aを基準として、一端34側へ向かって0.1mmずつ挿入穴36の穴径を大きくしている。具体的には、第1バスバー30の他端35側から順番に、穴径が5.1mmの第1挿入穴36a、5.2mmの第2挿入穴36b、5.3mmの第3挿入穴36c、5.4mmの第4挿入穴36d、5.5mmの第5挿入穴36eを設けている。また、第1バスバー30では、正極棒37を他端35側に配置していたのに対し、第2バスバーでは、負極棒41を一端34側に配置している。
【0070】
上記の構成により、第1バスバーと同等の効果が期待でき、負の電極端面24Bと第2バスバー40との接触面積が大きくなるので、接触抵抗が下がって角型電池21から第2バスバー40へ流れる電流の通電量がアップする。これにより、バッテリー4の出力アップも図れ、大容量のバッテリー4とすることができる。そして、全体的に穴径を小さくしながらも、穴径を徐々に大きくしたことで、積層した角型電池21の膨張、あるいは角型電池21や組立工程のバラツキ等によって生じる負の電極端子24bとの位置ズレに対応することができる。これにより、負の電極端子24bへの第2バスバー40の挿入が簡単にでき、衝撃や振動等により第2バスバー30がストレスを受けることがないようにできる。
【0071】
そして、第2バスバー40は、負極棒41を介してDC/ACインバータ6と接続しているため、負極棒41周囲の第2バスバー40には大電流が流れるが、負極棒41を設けた平面部33周囲の表面積を広くし、断面積を大きくすることで、第2バスバー40自体の電気抵抗が下がり、第2バスバー40で大電流が流れることにより第2バスバー40が発熱するのを抑制できる。また、表面積を広くしたことで、発熱する第2バスバーの熱が放熱されやすくなるので、発熱しすぎるのを防止できる。
【0072】
次に、第3バスバー42の上面図を
図15に示す。この第3バスバー42は、
図6で奥側中央に1枚、手前側に2枚配設するバスバーで、後述するバインドプレート52の側面53から見た第3バスバー42の側面図を
図14に示す。第3バスバー42は、第1バスバー30と異なる箇所についてのみ説明する。
【0073】
第3バスバー42の傾斜部31には、5個の正の電極端子24aと5個の負の電極端子24bとを挿入するための挿入穴36を直線状に10個設けている。このため、第3バスバー42の角型電池21積層方向への長さは、第1バスバー30のほぼ2倍の長さとしている。以下、
図6に示す第1バスバー30に隣接して配設する第3バスバー42を例に上げて説明する。第3バスバー42で基準となる5.1mmの第1挿入穴36aは、中央部分に位置する2つの挿入穴36のうち、第2バスバー40に近い方、つまり、他端35側よりの挿入穴36を第1挿入穴36aとしている。そして、この第1挿入穴36aから両端34、35側へ向かって、挿入穴36の穴径を0.1mmずつ大きくしている。
【0074】
具体的には、第3バスバー42の第1挿入穴36aから他端35側へ向かって順番に、穴径が5.2mmの第2挿入穴36b、5.3mmの第3挿入穴36c、5.4mmの第4挿入穴36d、5.5mmの第5挿入穴36eを設けており、第3バスバー42の第1挿入穴36aから一端34側へ向かって順番に、5.2mmの第2挿入穴36b、5.3mmの第3挿入穴36c、5.4mmの第4挿入穴36d、5.5mmの第5挿入穴36e、穴径が5.6mmの第6挿入穴36fを設けている。また、第1バスバー30で正極棒37を設けた箇所には何も設けておらず、このため、第3バスバー42の平面部33はフラットな形状をしている。そして、この第3バスバー42を180℃横回転したものが、
図6の手前側に配設する2枚の第3バスバー42である。
【0075】
第3バスバー42の中央部分に設ける挿入穴36を、最も穴径の小さい第1挿入穴36aにすることで、第3バスバー42に設ける挿入穴36の穴径を全体的に小さくすることができる。第3バスバー42で最も一端34側に近いところに位置する挿入穴36を最も穴径の小さい第1挿入穴36aにすることもできるが、この場合、最も他端35側に近いところに位置する挿入穴36の大きさは、6.0mmと大きくなって接触面積が狭くなり、接触抵抗が増加してしまうという問題が生じることから、好ましくはない。
【0076】
上記により、正負の電極端面24A、24Bと第3バスバー42との接触面積が大きくなるので、接触抵抗が下がって角型電池21から第3バスバー42へ流れる電流の通電量がアップする。これにより、バッテリー4の出力アップが図れ、大容量のバッテリー4とすることができる。そして、全体的に穴径を小さくしながらも、穴径を徐々に大きくしたことで、積層した角型電池21の膨張、あるいは角型電池21や組立工程のバラツキ等によって生じる正負の電極端子24a、24bとの位置ズレに対応することができる。これにより、正負の電極端子24a、24bへの第3バスバー42の挿入が簡単にでき、衝撃や振動等により第3バスバー42がストレスを受けることがないようにできる。
【0077】
また、第3バスバー42は、並列ブロック28の並列接続及び並列ブロック28同士の直列接続の機能を兼ね備えており、一体型に形成されているので、第1バスバー30と第2バスバー40を他の部品を用いて直列接続させるよりも、部品点数を減らすことができる。また、第3バスバー42を一体型に形成したことにより、製造や組立ての工程数を減らすことができるので、量産用に好適に使用できる。
【0078】
上述した第1乃至第3バスバー30、40、42は、
図6で示すように正負の電極端子24a、24bへ挿入され、この正負の電極端子24a、24bにナット50がねじ込まれ、
図5で示すように強固に接続固定される。こうして電気接続した5並4直ブロック20の両端には、一対の第4セパレータ25Dを介して一対のエンドプレート51が配設される。このエンドプレート51はアルミ等の金属材で、樹脂材等からなる第4セパレータ25Dにより角型電池21と絶縁される。また、第4セパレータ25Dに設けた絶縁板26により、エンドプレート51と第1乃至第3バスバー30、40、42とが接触しないので、ショートを防止できる。
【0079】
バインドプレート52は、5並4直ブロック20と5並4直ブロック20の両端に設けた一対のエンドプレート51に圧をかけ、角型電池21の積層方向を強い拘束力で拘束する固定部材である。このバインドプレート52は、5並4直ブロック20の両端部分を覆うように形成され、5並4直ブロック20の両側面からはめ込まれる。そして、バインドプレート52とエンドプレート51は、ネジ止めにより螺着固定される。また、第1バスバー30及び第2バスバー40を拘束するバインドプレート52には切欠部53が設けてある。この切欠部53は、第1バスバー30の正極棒37及び第2バスバー40の負極棒41が、バインドプレート52上面54から突出できるように設けている。さらに、バインドプレート52の側面55には、冷却風が流入するための切欠部(図示しない)を設けている。
【0080】
第1実施例において、各角型電池21の状態を検出するための電圧検出線(図示せず)は、第1乃至第3バスバー30、40、42の第1挿入穴36aに挿入される正負の電極端子24a、24bにそれぞれ接続している。第1挿入穴36aは、穴径が5.1mmと最も小さく、各バスバー30、40、42と電極端面24A、24Bとの接触面積が最も大きくなるので、低抵抗な状態で正確に角型電池21の電池状態を検出することができる。また、接触面積が大きくなると、ナット50を各バスバー30、40、42に強く固定することができる。これにより、長期にわたって安定した角型電池*の電池状態の検出が可能となり、角型電池21の制御等を有効におこなうことができるので、バッテリー4を最適な状態で維持することができる。
【0081】
以上により構成された5並4直ブロック20は、
図4のように配列している。
図4では、バッテリー収納ケース10の中心に第1バスバー30と第2バスバー40が位置するように配置され、接続部材でもって4つの5並4直ブロック20が直列に電気接続している。このとき、バッテリー収納ケース10の中心に位置する2枚の第1バスバー30と2枚の第2バスバー40を、2枚の第3バスバー42に変更し、接続部材をなくすこともできる。また、右側に位置する2つの5並4直ブロック20を直列接続する接続部材を、第1バスバー30と第2バスバー40と一体型に形成して、部品点数を減らすこともできる。
【0082】
第1バスバー30に設ける正極棒37及び第2バスバー40に設ける負極棒41は、
図1の5並4直ブロック20で、正極棒37及び負極棒41が5並4直ブロック20の中央よりに位置するように設けてある。こうすることで、バインドプレート52上面54に設ける切欠部53を5並4直ブロック20の中心部に近づけて設けることができ、バインドプレート52上面54の隅(エンドプレート51側)に切欠部53を設けるのに比べ、バインドプレート52の強度を強く維持することができる。
【0083】
また、
図1の5並4直ブロック20では、同じ角型電池21と接続して向かい合うバスバーにおいて、最も穴径の大きな挿入穴36には、最も穴径の小さな挿入穴36が向き合っており、二番目に穴径の大きな挿入穴36には、二番目に穴径の小さな挿入穴36が向き合っている。同じ角型電池21と接続するバスバーで向かい合う2つの挿入穴36をたした合計は、10.6mm、10.7mm、10.8mmのいずれかで、10.6mm〜10.8mmの小さな範囲内で平均化されている。このため、5並4直ブロックで積層する全角型電池間の接触抵抗のバラツキを小さく抑えることができるので、角型電池21の制御を有効におこなうことができる。
【0084】
さらに、各並列ブロック28で積層する角型電池21においては、同じ角型電池21と接続して向かい合うバスバーの穴径の合計が、全角型電池21で等しくなるため、各角型電池21間の接触抵抗を平均化することができる。並列ブロック28では、並列に電気接続する角型電池21の状態は全て同一として考え、1つの角型電池21の状態だけを検出して制御をおこなっているので、各角型電池21間における接触抵抗のバラツキが少なければ少ないほど、全角型電池21の制御を有効におこなうことができ、バッテリー4を最適な状態で維持することができる。
【0085】
次に、本発明の第2実施例を説明する。尚、第1実施例と同一部品については、同一番号を付して説明を省略する。
【0086】
第1バスバー30と第2バスバー40は、第1実施例において設けた挿入穴36を変更している。まず、第1バスバー30の中央部分に位置する挿入穴36を、5.1mmの第1挿入穴36aとしている。そして、第1挿入穴36aを基準にして両端34、35側へ向かって、挿入穴36の穴径を0.1mmずつ大きくしている。具体的には、第1挿入穴36aから一端34側へ向かって順番に、5.2mmの第2挿入穴36b、5.3mmの第3挿入穴36cを設けており、第1挿入穴36aから他端35側へ向かって順番に、5.2mmの第2挿入穴36b、5.3mmの第3挿入穴36cを設けている。第2実施例の第2バスバー40は、第2実施例の第1バスバー30と同様の挿入穴36を設けている。
【0087】
第2実施例では、第1実施例の効果に加え、最も穴径の小さい第1挿入穴36aをバスバー30、40の中心に設けることにより、バスバー30、40に設ける挿入穴36の穴径を全体的に小さくすることができる。第1実施例では、バスバーに設ける穴径が5.1〜5.5mmであったのに対して、第2実施例では、穴径を5.1〜5.3mmとより小さくすることができる。これにより、バスバー30、40と電極端面24A、24Bとの接触面積がより大きくなって接触抵抗を下げることができるので、角型電池21からバスバー30、40へ流れる電流の通電量を増加させることができ、バッテリー4の出力をアップさせることができる。
【0088】
次に、本発明の第3実施例を説明する。尚、第1実施例と同一部品については、同一番号を付して説明を省略する。第3実施例では、第1実施例で均一にしていたバスバー30、40、42の厚さを流れる電流の大きさに合わせて変更している。バスバー30、40、42で大電流が流れる部分の厚さを厚くして断面積を大きくしているので、バスバー30、40、42自体の電気抵抗を下げて電流の通電量を増加させることができる。電流の大きさに合わせて厚さを変更することにより、バスバー30、40、42での通電がより均一化でき、バッテリーの出力をアップすることができる、また、バスバー30、40、42での通電がより均一化できることで、バスバー30、40、42の発熱も均一化することができる。
【0089】
次に、本発明の第4実施例を説明する。尚、第1実施例と同一部品については、同一番号を付して説明を省略する。第4実施例では、第1実施例のバスバー30、40、42の表面積を流れる電流の大きさに合わせて変更している。バスバー30、40、42で大電流が流れる部分の表面積を広くして断面積を大きくしている。これにより、第3実施例と同等の効果が期待できる。また、表面積を広くすることで、発熱するバスバー30、40、42の熱を放熱し易くなるので、バスバー30、40、42の温度を均一化することができる。
【0090】
次に、本発明の第5実施例を説明する。尚、第1実施例と同一部品については、同一番号を付して説明を省略する。まず、第1実施例では、正負の電極端子24a、24bに連結するバスバー30、40、42を全て同素材にしていたのに対して、第5実施例では、バスバー30、40、42を連結する正負の電極端子24a、24bの素材と同素材のバスバー30、40、42を用いる。
【0091】
例えば、アルミニウムからなる正の電極端子24aに接続する第1バスバー30の素材をアルミニウムにし、銅からなる負の電極端子24bに接続する第2バスバー40の素材を銅にし、第3バスバー42には、アルミニウムと銅からなるクラッド材を用いる。このクラッド材は、単に異種金属を積層したものでなく、その接合面において、異種金属が互いに合金状態となって強く結合している。このため、クラッド材の接合面における電食は発生しない。
【0092】
各々の電極端子24a、24bに、同じ素材からなるバスバー30、40、42を接続することにより、電食による腐食を防止することができるので、第1実施例に比べて、バスバー30、40、42と電極端子24a、24bを長期にわたって低抵抗な状態で安定して電気接続できる。
【0093】
次に、本発明の第6実施例を説明する。尚、第1実施例と同一部品については、同一番号を付して説明を省略する。第6実施例では、第1バスバー30に設ける正極棒37を、第1バスバー30の平面部33の一端34側に最も近い挿入穴36に設け、第2バスバー40に設ける負極棒41を、第2バスバー40の平面部の他端35側に最も近い挿入穴36に設ける。これにより、第1バスバー30自体の電気抵抗が最も小さくなる箇所に、大電流が流れる正極棒37を設けることができるので、バッテリーの出力をアップすることができる。また、第2バスバー40自体の電気抵抗が最も小さくなる箇所に、大電流が流れる負極棒41を設けることができるので、バッテリーの出力をアップすることができる。
【0094】
また、第6実施例では、
図1の5並4直ブロックのバスバー30、40、42において、大電流が流れる挿入穴36の穴径が最も小さく、この箇所ではバスバー30、40、42自体の電気抵抗が小さくなっている。また、電流が小さくなるにつれて挿入穴36の穴径が徐々に大きくなる。さらに、小電流しか流れない挿入穴36の穴径を最も大きく、この箇所ではバスバー自体30、40、42の電気抵抗が大きくなっている。このため、
バスバー30、40、42での通電がスムーズにでき、バッテリー4の出力をアップすることができるので、バッテリー4の性能を最大限発揮することができる。
【0095】
本発明の実施例では、電池を冷却する冷却機構として、空冷式の強制送風冷却機構(送風機等)を用いているが、冷却機構はこの空冷式に限定しない。例えば、空冷式の強制吸風冷却機構、水冷式、冷媒式等、あらゆる冷却機構を用いることができる。また、本発明の電源装置は、実施形態の冷却構造に限定せず、あらゆる冷却構造を備える電源装置に対応することができ、流入口や排出口の有無、数や位置関係等を自由に変更することができる。
【0096】
バッテリーの構成は、実施形態の構成に限定せず、電池を並列に電気接続した1個の並列ブロックだけで構成しても良いし、電池を多直多並接続した多直多並ブロック等で構成しても良い。あらゆる構成のバッテリーを用いることができ、電池の種類や積層数、積層方法や接続方法等は自由に変更することができる。
【0097】
実施形態では、電池に角型のリチウムイオン電池を用いたが、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池、燃料電池等あらゆる種類の電池を使用することができ、電池の形状も円筒等あらゆる形状のものが使用できる。また、電池の外装缶自体を絶縁材料にし、隣接する電池同士を絶縁して積層することもできる。
【0098】
バスバーの固定は、電極端子にナットをねじ込んで固定する方法に限らず、溶接等の方法でおこなうこともできる。また、バスバーは純銅よりさらに低抵抗なものに変更しても良く、特に材質は限定しない。また、バスバーの形状は、実施例のものに限定せず、あらゆる形状のバスバーの形状が考えられる。電極棒等の有無や設ける箇所等、様々な接続部品の構成等も実施例のものに限定せず、電源装置の構成により最適なバスバーへ変更することができる。
【0099】
バスバーに設ける挿入穴の数や大きさ組み合わせ等は、最適なものに変更することができる。例えば、第2バスバーに設ける挿入穴は、各角型電池間の抵抗を均一に平均化するため、第1挿入穴乃至第5挿入穴のものを第2挿入穴乃至第6挿入穴の大きさへ変更しても良いし、第3バスバーに設ける第1挿入穴は、中央に位置する2つの挿入穴のうちどちらに設けても良いし、隣接する挿入穴を同じ大きさにして連続させても良い。バスバーに設ける挿入穴は、あらゆる設計変更をすることができる。
【0100】
セパレータやエンドプレート、固定部材等は、電源装置の構成や冷却方法等により変更することができ、実施例のものに限定しない。数や種類、材質や形状等あらゆる変更が考えられる。また、固定部材の固定方法等も螺着による固定以外に、溶着による固定等あらゆる固定方法が考えられる。
【0101】
第1実施例では、電圧検出線を第1挿入穴に接続したが、温度検出線等の他の検出線を合わせて配置して接続してもよい。検出線に限らず、ヒーターなど、他の部品を取り付けることもできる。また、電圧検出線を接続する箇所は、第1挿入穴に限定せず、最適な箇所に接続しても良い。
【0102】
さらに、実施例では、バスバーの穴径の大きさを変更したが、逆に、バスバーに設ける穴径を全て同じ大きさで統一し、電極端子の突出部の大きさを変更することもできる。さらにまた、セパレータに絶縁板を設けるのではなく、絶縁板とバスバーを一体型に形成することもできる。本実施例に用いた部品は、電源装置のあらゆる設計変更に対応して変更することができる。