特許第5847385号(P5847385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5847385圧力センサ装置及び該装置を備える電子機器、並びに該装置の実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847385
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】圧力センサ装置及び該装置を備える電子機器、並びに該装置の実装方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20151224BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20151224BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20151224BHJP
【FI】
   G01L9/00 301H
   B81B3/00
   H01L29/84 B
   H01L29/84 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-194631(P2010-194631)
(22)【出願日】2010年8月31日
(65)【公開番号】特開2012-52874(P2012-52874A)
(43)【公開日】2012年3月15日
【審査請求日】2013年4月24日
【審判番号】不服2014-18954(P2014-18954/J1)
【審判請求日】2014年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】臼井 孝志
【合議体】
【審判長】 中塚 直樹
【審判官】 森 竜介
【審判官】 堀 圭史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−326088(JP,A)
【文献】 特開平9−101219(JP,A)
【文献】 特開2000−105160(JP,A)
【文献】 特開2000−180283(JP,A)
【文献】 特開平11−64140(JP,A)
【文献】 特開2010−182864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 9/00
B81B 3/00
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体圧力センサ素子と、
前記半導体圧力センサ素子が実装される実装基板とを備え、
前記実装基板は、前記半導体圧力センサ素子に流体を導く開口部と、前記実装基板の周縁部に形成され且つ回路基板の被取り付け面にはんだ付けされる端子と、前記開口部が設けられた取り付け面とを有する、圧力センサ装置であって、
前記開口部に連通する連通口が、前記回路基板に設けられ、
前記連通口の投影範囲内に位置し且つ前記連通口の開口縁から離れて前記開口部と前記開口縁との間に位置する2つの段差によって形成された凹部が、前記取り付け面に設けられ、
前記凹部は、前記端子と前記開口縁との間であって前記被取り付け面と前記取り付け面との間に形成される隙間に浸入し前記取り付け面を伝わるフラックスをせき止める、ことを特徴とする、圧力センサ装置。
【請求項2】
前記凹部が、前記取り付け面のレジスト膜に形成された凹部である、請求項1に記載の圧力センサ装置。
【請求項3】
前記凹部が、前記取り付け面に印刷されたシルクである、請求項1に記載の圧力センサ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力センサ装置と、前記回路基板とを備える、電子機器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力センサ装置の前記端子と前記被取り付け面とをはんだ付けする、圧力センサ装置の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体圧力センサ素子を備える圧力センサ装置及び該装置を備える電子機器、並びに該装置の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、回路基板21及び回路基板21に実装された圧力センサ装置1の断面図である。圧力センサ装置1は、実装基板12に実装された半導体圧力センサ素子11がハウジング16によってパッケージされた構造を有している。圧力センサ装置1は、実装基板12に設けられた端子19にはんだ32が付くことによって、回路基板21の被取り付け面21Aに固定される。半導体圧力センサ素子11は、ハウジング16に形成された圧力供給口17から供給される被検出圧を検出するチップである。
【0003】
また、半導体圧力センサ素子11が、その機能上、大気と通じている必要がある場合、実装基板12には、大気と通ずる孔(圧力導入口18)が設けられている。圧力導入口18は、回路基板21に形成された大気と通ずる孔(圧力導入口22)に同軸的に連通している。
【0004】
なお、半導体圧力センサ素子を備える圧力センサ装置に関する先行技術文献として、例えば特許文献1,2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−326088号公報
【特許文献2】特開2010−8434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1に示されるような構成において、圧力センサ装置1を回路基板21にはんだ付けするとき、はんだ中のフラックスの含有量が多すぎると、実装基板12の取り付け面12Bと回路基板21の被取り付け面21Aとの間に形成された隙間33に液状化したフラックスが入り込む毛細管現象が発生しやすい。この毛細管現象が発生すると、取り付け面12B及び/又は被取り付け面21Aの表面の濡れ性によってその表面を伝わって進行した液状化したフラックスが、圧力導入口18及び/又は圧力導入口22を塞ぐことによって、圧力センサ装置1が正常に機能しなくなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、圧力導入口がフラックスで塞がるのを防ぐことができる、圧力センサ装置及び該装置を備える電子機器、並びに該装置の実装方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る圧力センサ装置は、
半導体圧力センサ素子と、
前記半導体圧力センサ素子が実装される実装基板とを備え、
前記実装基板は、前記半導体圧力センサ素子に流体を導く開口部と、前記実装基板の周縁部に形成され且つ回路基板の被取り付け面にはんだ付けされる端子と、前記開口部が設けられた取り付け面とを有する、圧力センサ装置であって、
前記開口部に連通する連通口が、前記回路基板に設けられ、
前記連通口の投影範囲内に位置し且つ前記連通口の開口縁から離れて前記開口部と前記開口縁との間に位置する2つの段差によって形成された凹部が、前記取り付け面に設けられ、
前記凹部は、前記端子と前記開口縁との間であって前記被取り付け面と前記取り付け面との間に形成される隙間に浸入し前記取り付け面を伝わるフラックスをせき止める、ことを特徴とするものである。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、
該圧力センサ装置と、前記回路基板とを備えるものである。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る実装方法は、
該圧力センサ装置の前記端子と前記被取り付け面とをはんだ付けするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、圧力導入口がフラックスで塞がるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】回路基板21及び回路基板21に実装された圧力センサ装置1の断面図である。
図2】回路基板21及び回路基板21に実装された圧力センサ装置2の断面図である。
図3】圧力センサ装置2が実装された回路基板21を裏面21B側から見た裏面図である。
図4】実装基板12の具体例を示した外形図である。
図5】段部41A,41Bが形成された実装基板12を取り付け面12B側から見た裏面図である。
図6】段部41Cが形成された実装基板12を取り付け面12B側から見た裏面図である。
図7】方形状の圧力導入口22が形成された回路基板21を裏面21B側から見た裏面図である。
図8】圧力導入口18の塞がり試験を実施したときの、段部41の各形態を示した図である。
図9図8の各形態について実施した塞がり試験の試験結果である。
図10】圧力導入口18の塞がり試験を実施したときの、回路基板21の圧力導入口22の各形態を示した図である。
図11図10の各形態について実施した塞がり試験の試験結果である。
図12】端子19が取り付け面12Bの縁部のみに設けられたときの断面図である。
図13】実装基板12の外側に向けて伸びた端子19が取り付け面12Bに設けられたときの断面図である。
図14】端子19が取り付け面12Bの縁部内側のみに設けられたときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。図2は、回路基板21及び回路基板21に実装された圧力センサ装置2の断面図である。本発明の一実施形態である圧力センサ装置2は、図1と同様、実装基板12の搭載面12Aにシリコン樹脂等の接着剤15で接着された半導体圧力センサ素子11がハウジング16によってパッケージされた構造を有している。圧力センサ装置2は、実装基板12の取り付け面12Bに設けられた端子19と回路基板21の被取り付け面21Aに設けられた不図示のランドとがはんだ付けされることによって、回路基板21の被取り付け面21Aに固定されている。回路基板21は、圧力センサ装置2によって検出された圧力情報を使用する圧力計等の電子機器の基板である。
【0014】
実装基板12は、半導体圧力センサ11を固定するための基部である。実装基板12は、半導体圧力センサ11が実装される搭載面12Aを有する。半導体圧力センサ素子11は、ボンディングワイヤ13によって、搭載面12Aに形成されたボンディングパッド14に、ワイヤボンディングされている。半導体圧力センサ素子11は、実装基板12の搭載面12Aにエポキシ樹脂等の接着剤31で接着されたハウジング16に収容されている。
【0015】
半導体圧力センサ素子11は、ハウジング16に筒状に形成された圧力供給口17から供給される気体等の流体の圧力を被測定圧として検出する。半導体圧力センサ素子11は、圧力を検出するダイヤフラムが形成された素子であり、ダイヤフラムの歪みを抵抗値の変化として検出する半導体歪みゲージ方式の素子でもよいし、ダイヤフラムの変位を静電容量の変化として検出する静電容量方式の素子でもよいし、他の検出方式で被測定圧を検出する素子でもよい。半導体圧力センサ素子11は、ダイヤフラムがハウジング16の圧力供給口17と実装基板12の圧力導入口18との間に挟まれるように、圧力供給口17の下方且つ圧力導入口18の上方に設置される。ダイヤフラムの歪み(又は、変位)は、圧力供給口17から印加される被測定圧と圧力導入口18から印加される大気圧との圧力差に応じて変化するので、その歪み量(又は、変位量)を抵抗値(又は、静電容量値)の変化量として検出することによって、被測定圧を測定することができる。
【0016】
圧力導入口18は、実装基板12の搭載面12Aと取り付け面12Bとの間に形成された第1の貫通孔であり、圧力導入口22は、回路基板21の被取り付け面21Aと裏面21Bとの間に形成された第2の貫通孔である。圧力導入口22の口径は、圧力導入口18の口径よりも大きい。圧力センサ装置2は、実装基板12の圧力導入口18と回路基板21の圧力導入口22とが連通するように、実装基板12の取り付け面12Bと回路基板21の被取り付け面21Aとが対向した状態で、端子19にはんだ32が付くことによって回路基板21に表面実装される。これにより、ハウジング16外部の大気圧を半導体圧力センサ11のダイヤフラムに導くことができる。
【0017】
圧力導入口18は、実装基板12の搭載面12Aと取り付け面12Bとを貫通するように、半導体圧力センサ11のダイヤフラムの下方に形成されている。18Aは、圧力導入口18の搭載面12A側の開口部であり、18Bは、圧力導入口18の取り付け面12B側の開口部である。
【0018】
取り付け面12Bには、開口部18Bと端子19との間に、開口部18B及び端子19に接しないように形成された段部41が設けられている。段部41は、取り付け面12Bに対する段差であって、図2の場合、取り付け面12Bに対して凹んだ凹部である。段部41は、図3に示されるように、圧力導入口18の開口部18Bの周囲に円状に形成されている。図3は、圧力センサ装置2が実装された回路基板21を裏面21B側から見た裏面図である。また、図3に示されるように、圧力導入口18の開口部18B及び段部41が、圧力導入口22の軸方向に圧力導入口22の外形を投影した範囲内に露出して位置するように、圧力センサ装置2は回路基板21に実装される。つまり、回路基板21の裏面21B側から圧力導入口22を見たときに、圧力導入口18の開口部18B及び段部41の全部が視認可能なように、圧力センサ装置2は回路基板21に実装される。
【0019】
このような位置関係で段部41を実装基板12の取り付け面12Bに設けることによって、圧力センサ装置2を回路基板21にリフロー工程ではんだ付け実装する際に、リフロー炉内の高温によって液状化したフラックスの流れを段部41でせき止めることができる。つまり、取り付け面12Bと被取り付け面21Aとの間に形成された隙間33に液状化したフラックスが浸入する毛細管現象が発生しても、そのフラックスの進行が圧力導入口18の手前で止まるので、圧力導入口18がフラックスで塞がることを防止できる。また、圧力導入口22の開口縁が段部41の外側に位置するので、圧力導入口22もフラックスで塞がることを防止できる。
【0020】
なお、圧力導入口18,22がフラックスで塞がらないように、段部41の開口部18Bからの距離、段部41の実装基板12の板厚方向での深さ、段部41の実装基板12の基板平面方向での幅は、フラックスの量に応じて調整すればよい。例えば、フラックスの量が多いほど、これらの少なくとも一つ以上の寸法を大きくすればよい。
【0021】
次に、段部41の具体例について説明する。図4は、実装基板12の具体例を示した外形図である。図4(a)は、実装基板12の搭載面12A側から見た平面図である。図4(b)は、実装基板12の側面12C側から見た側面図である。図4(c)は、実装基板12の取り付け面12B側から見た下面図である。この実装基板12の材質は、FR4等のガラスエポキシ基板である。図4において、梨地模様部は、レジスト膜が無く、金めっき処理を施した部位である。また、格子部は、レジスト膜が無く、銅箔も無い部位である。12A1,12B1,12B2は、実装基板12の基材表面に形成されたレジスト膜である。実装基板12の周縁部に形成された複数の端子19(19a〜19n)は、不図示の配線パターンによって、ボンディングパッド14に電気的に接続されている。端子19は、搭載面12Aと側面12Cと取り付け面12Bに沿って設けられている。
【0022】
レジストスペーサ52は、半導体圧力センサ素子11を載せるための台座である。レジストスペーサ52は、搭載面12A側のレジスト膜12A1を除去することによって、圧力導入口18の開口部18Aと端子19との間に形成された凸部である。Bは、レジスト膜12A1を除去することによって露出したレジスト膜除去面である。つまり、レジストスペーサ52は、レジスト膜除去面Bに対して突き出ていて、圧力導入口18の開口部18Aの周りに、開口部18Aと間隔を空けて形成されている。開口部18Aと間隔を空けてレジストスペーサ52を設けることによって、半導体圧力センサ素子11をレジストスペーサ52に接着させるためにレジストスペーサ52に塗布されたダイボンド樹脂が、開口部18Aに流れて到達しにくくなる。その結果、圧力導入口18がそのダイボンド樹脂によって塞がりにくくすることができる。
【0023】
図4において、段部41は、取り付け面12B側のレジスト膜12B1を除去することによって、開口部18Bのレジスト膜除去部42(圧力導入口18に接する部位)と端子19との間に形成された円環状凹部である。このように形成された段部41によって、圧力センサ装置2が回路基板21にはんだ付けされるときに、取り付け面12Bの端子19に付いたはんだ内の液状化したフラックスが、レジスト膜12B1の表面上を伝わって圧力導入口18の開口部18Bを塞ぐことを防止できる。
【0024】
基板外周を囲うように形成されたレジスト膜除去部Aは、基板をダイシングによって分割する際にレジスト膜12B1、12A1にクラックが入らないようにするため、レジスト膜12B1,12A1を除去することによって形成される。段部41は、レジスト膜除去面Bを形成する際に同時に形成することができる。
【0025】
また、段部41は、図5に示されるように、複数形成されてもよい。段部41A,41Bは、取り付け面12B側のレジスト膜を除去することによって、圧力導入口18の開口部18Bに対して同心円状に形成された円環状凹部である。段部41を複数形成することによって、液化したフラックスを溜めることができる量を増やすことができる。
【0026】
また、段部41は、図6に示されるように、シルク印刷によって形成されてもよい。段部41Cは、取り付け面12B側のレジスト膜上にシルクを印刷することによって、圧力導入口18の開口部18Bの周囲に形成された円環状凸部である。すなわち、段部41Cは、取り付け面12Bのレジスト膜12B1に対して突き出た形状である。したがって、レジスト膜12B1の面よりも高い段差が形成されるので、液化したフラックスが圧力導入口18の開口部18Bまで流れることを防ぐことができる。
【0027】
また、回路基板21の圧力導入口22の開口部の形状は、図3に示したように円状に限る必要は無く、他の形状でもよい。例えば図7に示されるように、方形状でもよい。また、実装基板12の圧力導入口18の開口部の形状も、円状に限らず、方形状などの円状以外の形状でもよい。
【0028】
次に、実際の圧力センサ装置を回路基板にリフロー工程ではんだ実装した後の圧力導入口18の液状化したフラックスによる塞がり状態を確認した試験結果について説明する。
【0029】
図8は、圧力導入口18の塞がり試験を実施したときの、段部41の各形態を示した図である。図8(a)〜図8(e)に示される段部41(41A,41B)は、実装基板12の基材12D上に形成されたソルダーレジスト膜12B1を除去することによって形成されたものである。図8(f)に示される段部41Cは、実装基板12の基材12D上に形成されたソルダーレジスト膜12B1上にシルク印刷することによって形成されたものである。図8(a)〜図8(d)に示した形態は、図4に示したものに相当し、図8(e)に示した形態は、図5に示したものに相当し、図8(f)に示した形態は、図6に示したものに相当する。実装基板12の圧力導入口18の直径Eをφ0.5mmとし、回路基板21の圧力導入口22の直径Fをφ2.5mmとし、図8(f)の円環状段部41Cの直径Gをφ1.6mmとし、レジスト膜除去部42の幅を0.15mmとした。
【0030】
図9は、図8の各形態について実施した塞がり試験の試験結果である。図9に示したNG率は、図8の各形態について、フラックスを含有するはんだを多量に供給したときに圧力導入口18が塞がった不良率を示している。図9から明らかなように、段部41によって形成される液状化フラックスの溜まり部の総容積を増やすにつれて、圧力導入口18のフラックスによる塞がりを効果的に抑えることができる。
【0031】
図10は、圧力導入口18の塞がり試験を実施したときの、回路基板21の圧力導入口22の各形態を示した図である。図10に示される圧力導入口22の直径Fは、互いに異なっている。レジスト膜12B2の幅Aを0.3mmとし、段部41の幅Bを0.3mmとし、実装基板12の圧力導入口18の直径Eをφ0.5mmとし、レジスト膜除去部42の幅を0.15mmとした。
【0032】
図11は、図10の各形態について実施した塞がり試験の試験結果である。図11に示したNG率は、図9の各形態について、フラックスを含有するはんだを多量に供給したときに圧力導入口18が塞がった不良率を示している。図11から明らかなように、実装基板12の圧力導入口18及び段部41が、回路基板21の圧力導入口22の投影範囲内に位置するように、実装基板12と回路基板21とをはんだ付けすることによって、圧力導入口18のフラックスによる塞がりを効果的に抑えることができる。特に、回路基板21の圧力導入口22の開口縁は、段部41からできるだけ離すことが好ましい。例えば、0.1mm以上(より好ましくは、0.15mm以上)離すとよい。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0034】
例えば、はんだ付け部である端子19を取り付け面12Bに設けた形態は、図12,13,14に示されるようなものでもよい。図12は、端子19を取り付け面12Bの縁部のみに設けた形態を示している。図13は、実装基板12の外側に向けて伸びた端子19を取り付け面12Bに設けた形態を示している。図14は、例えばBGA(Ball Grid Array)のように、端子19を取り付け面12Bの縁部内側のみに設けた形態を示している。
【0035】
また、段部41は、圧力導入口18の開口部18Bの全周を囲むように形成されることが好ましいが、液状化フラックスの浸入方向によっては、開口部18の一部を囲むように形成してもよい。すなわち、段部41は、圧力導入口18への液状化フラックスの浸入を妨げる位置に形成されていればよい。
【0036】
また、圧力導入口18から供給される気体等の流体は、大気に限らなくてもよい。また、図2等に示した上述の実施形態の圧力センサ装置は、圧力供給口17から供給される気体等の流体の圧力を被測定圧として測定するものであるが、圧力導入口18,22から供給される気体等の流体の圧力を被測定圧として測定するものでもよい。
【符号の説明】
【0037】
1,2,3,4,5 圧力センサ装置
11 半導体圧力センサ素子
12 実装基板
12B 取り付け面
12B1,12B2,12B3 レジスト膜
13 ボンディングワイヤ
14 ボンディングパッド
15 接着剤
16 ハウジング
17 圧力供給口
18 圧力導入口
19 端子
21 回路基板
22 圧力導入口
31 接着剤
32 はんだ
41 段部
41A,41B 凹部
41C 凸部(シルク)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14