特許第5847400号(P5847400)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イリソ電子工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5847400-コネクタ 図000002
  • 特許5847400-コネクタ 図000003
  • 特許5847400-コネクタ 図000004
  • 特許5847400-コネクタ 図000005
  • 特許5847400-コネクタ 図000006
  • 特許5847400-コネクタ 図000007
  • 特許5847400-コネクタ 図000008
  • 特許5847400-コネクタ 図000009
  • 特許5847400-コネクタ 図000010
  • 特許5847400-コネクタ 図000011
  • 特許5847400-コネクタ 図000012
  • 特許5847400-コネクタ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847400
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20151224BHJP
【FI】
   H01R12/79
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-15260(P2011-15260)
(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公開番号】特開2012-156053(P2012-156053A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100069981
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 精孝
(74)【代理人】
【識別番号】100087860
【弁理士】
【氏名又は名称】長内 行雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166224
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 成夫
(72)【発明者】
【氏名】高根 徹
(72)【発明者】
【氏名】吉開 靖芳
【審査官】 佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−158055(JP,A)
【文献】 実開昭63−171985(JP,U)
【文献】 実開平06−031088(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/77−12/79
H01R 12/88−12/89
H01R 13/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向両側にそれぞれ幅方向外側に向かって突出する凸部が設けられた扁平状の接続対象物を所定位置に挿入可能なコネクタ本体と、コネクタ本体内に互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の端子とを備え、接続対象物を厚さ方向が上下方向となるようにコネクタ本体内に挿入するようにしたコネクタにおいて、
前記コネクタ本体内に挿入される接続対象物が上方から載置される平面状の第1のガイド部と、
第1のガイド部の幅方向両側にそれぞれ設けられ、第1のガイド部の上面に沿ってコネクタ本体内に挿入される接続対象物の各凸部の幅方向への移動を規制する一対の第2のガイド部と、
第1のガイド部の幅方向両側にそれぞれ設けられ、第1のガイド部の上面に沿ってコネクタ本体内に挿入される接続対象物の各凸部の上方への移動を規制する一対の第3のガイド部と、
コネクタ本体に対して接続対象物の挿入方向に移動自在に設けられ、コネクタ本体側に移動することにより接続対象物と各端子とを圧接させるスライド部材とを備え、
前記第1、第2及び第3のガイド部をスライド部材に設けるとともに、
各第3のガイド部を、接続対象物の各凸部よりも先端側の部分が上下方向に挿通可能な間隔をおいて互いに第1のガイド部の幅方向に対向するように設け、
接続対象物を第1、第2及び第3のガイド部に沿ってコネクタ本体の前記所定位置に挿入した後、スライド部材をコネクタ本体側に移動することにより接続対象物と各端子とを圧接させるように構成した
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記各第2のガイド部は、接続対象物の幅方向両側に位置するように第1のガイド部の上面よりも上方に突出している
ことを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記各第3のガイド部は、接続対象物の上方に位置するように第2のガイド部から第1のガイド部の幅方向内側に向かって突出している
ことを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記各第2のガイド部は、第3のガイド部の存在しない部分を有し、第3のガイド部の存在しない部分を介して接続対象物を上方から第1のガイド部に載置可能に形成されている
ことを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記各第2のガイド部は、第3のガイド部の存在しない部分を第1のガイド部の前端側に有する
ことを特徴とする請求項4記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばフレキシブルプリント回路(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)等を基板に接続するためのコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコネクタとしては、厚さ方向に可撓性を有する扁平状の接続対象物を所定位置に挿入可能なコネクタ本体と、コネクタ本体内に互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の端子と、コネクタ本体に対して接続対象物の挿入方向に移動自在に設けられたスライド部材とを備え、接続対象物を厚さ方向が上下方向となるようにスライド部材の上面に沿ってコネクタ本体内に挿入し、スライド部材をコネクタ本体側に移動させることにより、スライド部材によって接続対象物と各端子とを圧接させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−348974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のコネクタでは、スライド部材をコネクタ本体から引き出し、接続対象物をスライド部材の上面に沿ってコネクタ本体内に挿入するようにしているが、FPCのような扁平状の接続対象物をコネクタ本体の横長の挿入口に挿入する場合、挿入時に接続対象物が幅方向や上下方向に位置ずれを生じやすく、接続対象物を常にコネクタ本体の適正な挿入位置に確実に挿入することが困難であった。特に、FPCやFFCには各端子に接触する多数の電極が幅方向に高密度で配列されているため、例えば挿入時の位置ずれにより接続対象物がコネクタ本体の挿入口に対して斜めに挿入されると、接続対象物の電極によって端子同士が短絡し、通電状態ではショートを起こすおそれがあった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、接続対象物を常にコネクタ本体の適正な挿入位置に確実に挿入することのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、幅方向両側にそれぞれ幅方向外側に向かって突出する凸部が設けられた扁平状の接続対象物を所定位置に挿入可能なコネクタ本体と、コネクタ本体内に互いに幅方向に間隔をおいて配置された複数の端子とを備え、接続対象物を厚さ方向が上下方向となるようにコネクタ本体内に挿入するようにしたコネクタにおいて、前記コネクタ本体内に挿入される接続対象物が上方から載置される平面状の第1のガイド部と、第1のガイド部の幅方向両側にそれぞれ設けられ、第1のガイド部の上面に沿ってコネクタ本体内に挿入される接続対象物の各凸部の幅方向への移動を規制する一対の第2のガイド部と、第1のガイド部の幅方向両側にそれぞれ設けられ、第1のガイド部の上面に沿ってコネクタ本体内に挿入される接続対象物の各凸部の上方への移動を規制する一対の第3のガイド部と、コネクタ本体に対して接続対象物の挿入方向に移動自在に設けられ、コネクタ本体側に移動することにより接続対象物と各端子とを圧接させるスライド部材とを備え、前記第1、第2及び第3のガイド部をスライド部材に設けるとともに、各第3のガイド部を、接続対象物の各凸部よりも先端側の部分が上下方向に挿通可能な間隔をおいて互いに第1のガイド部の幅方向に対向するように設け、接続対象物を第1、第2及び第3のガイド部に沿ってコネクタ本体の前記所定位置に挿入した後、スライド部材をコネクタ本体側に移動することにより接続対象物と各端子とを圧接させるように構成している。
【0007】
これにより、接続対象物をコネクタ本体内に挿入する際、接続対象物が第1のガイド部に載置されるとともに、各第2のガイド部によって接続対象物の幅方向への移動が規制され、各第3のガイド部によって接続対象物の上方への移動が規制されることから、接続対象物がコネクタ本体の挿入位置に対して幅方向及び上下方向の何れの方向にも位置ずれを生ずることがない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、接続対象物をコネクタ本体に挿入する際、接続対象物がコネクタ本体の挿入位置に対して幅方向及び上下方向の何れの方向にも位置ずれを生ずることがないので、接続対象物を常にコネクタ本体の適正な挿入位置に確実に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態を示すコネクタの斜視図
図2】フレキシブル回路の部分平面図
図3】コネクタの正面図
図4】コネクタの平面図
図5】A−A線矢視方向断面図
図6】B−B線矢視方向部分断面図
図7】コネクタの要部斜視図
図8】フレキシブル回路の接続工程を示すコネクタの斜視図
図9】フレキシブル回路の接続工程を示すコネクタの斜視図
図10】フレキシブル回路の接続工程を示すコネクタの斜視図
図11】フレキシブル回路の接続工程を示すコネクタの斜視図
図12】フレキシブル回路の接続工程を示すコネクタの側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図12は本発明の一実施形態を示すものである。同図に示すコネクタは、接続対象物としてのフレキシブル回路を基板に接続するためのものである。
【0011】
このコネクタは、フレキシブル回路1が挿入されるコネクタ本体10と、コネクタ本体10内に互いに幅方向に等間隔で配置された複数の端子20と、コネクタ本体10に対してフレキシブル回路1の挿入方向に移動自在に設けられたスライド部材30とを備えている。
【0012】
フレキシブル回路1は、いわゆるフレキシブルプリント回路(FPC)からなり、その先端側の上面には複数の電極1aが互いに幅方向に間隔をおいて設けられている。また、フレキシブル回路1の先端側の幅方向両側には、凹部1b及び凸1cが先端側から順に幅方向一対ずつ設けられている。尚、接続対象物としては、フレキシブルフラットケーブル(FFC)であってもよい。
【0013】
コネクタ本体10は合成樹脂の成型品からなり、前面側を開口した横長の箱状に形成されている。コネクタ本体10は、上面部11、底面部12及び側面部13からなり、その前面開口部はフレキシブル回路1が挿入される挿入口10aをなす。コネクタ本体10の背面側には複数の端子孔14が互いに幅方向に等間隔で設けられ、各端子孔14には各端子20がそれぞれ保持されるようになっている。各側面部13にはそれぞれ前後方向に延びる長孔13aが設けられ、各長孔13aに押圧部材30を係合するようになっている。
【0014】
各端子20は導電性の金属板からなり、コネクタ本体10の各端子孔14にそれぞれ保持されている。各端子20は、互いに上下方向に間隔をおいて前方に二股状に延びる弾性片部21及び固定片部22を有し、各端子20の後端には基板(図示せず)に接続される基板接続部23が設けられている。
【0015】
スライド部材30は合成樹脂の成型品からなり、コネクタ本体10に前後方向に移動自在に係合している。スライド部材30は、コネクタ本体10の前方に配置される本体部31と、フレキシブル回路1を各端子20の弾性片部21に押圧するための押圧部32と、コネクタ本体10の各長孔13aに係合する幅方向一対の係合部33と、コネクタ本体10内に挿入されるフレキシブル回路1を載置する平面状の第1のガイド部34と、第1のガイド部34の上面に沿ってコネクタ本体10内に挿入されるフレキシブル回路1の幅方向への移動を規制する幅方向一対の第2のガイド部35と、第1のガイド部34の上面に沿ってコネクタ本体10内に挿入されるフレキシブル回路1の上方への移動を規制する幅方向一対の第3のガイド部36とから構成されている。
【0016】
本体部31は横長扁平状に形成され、その幅方向両端を把持して前後方向に移動可能になっている。押圧部32は本体部31からコネクタ本体10内に向かって延設され、先端側に向かって厚さ寸法が徐々に小さくなるように形成されている。各係合部33は本体部31の幅方向両側からコネクタ本体10側に向かって延設され、それぞれコネクタ本体10の各長孔13aに前後方向に移動自在に係合している。第1のガイド部34は本体部31の上面に設けられ、押圧部32の上面と連続した平面をなすように形成されている。各第2のガイド部35はそれぞれ本体部31の幅方向両側に本体部31の前端から後端に亘って設けられ、第1のガイド部34の上面よりも上方に突出するように形成されている。各第3のガイド部36は各第2のガイド部35の対向面にそれぞれ設けられ、第2のガイド部35の側面上部から第1のガイド部34の幅方向内側に向かって突出するように形成されている。この場合、第3のガイド部36は、第1のガイド部34の上面との間にフレキシブル回路1の厚さ寸法よりも大きい間隔Hをおいた高さ位置に設けられ、フレキシブル回路1の凸1cの幅寸法W1 よりも長い幅寸法W2 に形成されている。各第3のガイド部36は、第2のガイド部35の前後方向(フレキシブル回路1の挿入方向)の長さL1 よりも短い長さL2 に形成されている。これにより、第2のガイド部35は、第3のガイド部36の存在しない部分としての切り欠き部37を第1のガイド部34の前端側に有し、切り欠き部37を介してフレキシブル回路1を上方から第1のガイド部34に載置可能になっている。
【0017】
以上のように構成されたコネクタにおいて、フレキシブル回路1をコネクタに接続する場合は、図8に示すように押圧部材30を前方に引き出し、図9及び図12(a) に示すようにフレキシブル回路1をスライド部材30の第1のガイド部34の上面に載置する。その際、フレキシブル回路1の凸1cを切り欠き部37の上方に位置させ、凸1cが切り欠き部37を通過するようにフレキシブル回路1を上方から第1のガイド部34に載置する。次に、図10及び図12(b) に示すように、フレキシブル回路1を第1のガイド部34の上面に沿ってコネクタ本体10の挿入口10aに挿入する。その際、各第2のガイド部35によってフレキシブル回路1の幅方向への移動が規制されることから、フレキシブル回路1がコネクタ本体10への挿入位置に対して幅方向に位置ずれを生ずることがない。また、フレキシブル回路1を第1のガイド部34の上面に沿ってコネクタ本体10側に挿入する際、図12(b) に示すように、フレキシブル回路1の凸1cが第3のガイド部36の下方を移動することにより、各第3のガイド部36によってフレキシブル回路1の凸1cの上方への移動が規制されることから、フレキシブル回路1がコネクタ本体10の挿入位置に対して上下方向に位置ずれを生ずることがない。
【0018】
次に、フレキシブル回路1をコネクタ本体10内に挿入した後は、図11及び図12(c) に示すように、スライド部材30をコネクタ本体10側に向かって移動させると、各端子20の固定片部22とフレキシブル回路1との間にスライド部材30の押圧部32が圧入され、押圧部32によってフレキシブル回路1が各端子20の弾性片部21側に押圧される。これにより、フレキシブル回路1の各電極1aと各端子20の弾性片部21が互いに圧接し、フレキシブル回路1が各端子20に接続される。
【0019】
このように、本実施形態のコネクタによれば、スライド部材30の上面に、コネクタ本体10内に挿入されるフレキシブル回路1を載置する平面状の第1のガイド部34を設けるとともに、第1のガイド部34の幅方向両側には、第1のガイド部34の上面に沿ってコネクタ本体10内に挿入されるフレキシブル回路1の幅方向への移動を規制する幅方向一対の第2のガイド部35と、フレキシブル回路1の上方への移動を規制する幅方向一対の第3のガイド部36とを設けたので、フレキシブル回路1がコネクタ本体10への挿入位置に対して幅方向及び上下方向の何れの方向にも位置ずれを生ずることがなく、フレキシブル回路1を常にコネクタ本体10の適正な挿入位置に確実に挿入することができる。
【0020】
この場合、各第2のガイド部35は、フレキシブル回路1の幅方向両側に位置するように第1のガイド部34の上面よりも上方に突出しているので、フレキシブル回路1の幅方向への移動を確実に規制することができる。
【0021】
また、各第3のガイド部36は、フレキシブル回路1の上方に位置するように第2のガイド部35から第1のガイド部34の幅方向内側に向かって突出しているので、フレキシブル回路1の上方への移動を確実に規制することができる。
【0022】
更に、各第2のガイド部35は、第3のガイド部36の存在しない部分としての切り欠き部37を有し、切り欠き部37を介してフレキシブル回路1の凸1cを上方から第1のガイド部34に載置可能に形成されているので、フレキシブル回路1を第3のガイド部36に妨げられることなく上方から第1のガイド部34に容易に載置することができる。
【0023】
この場合、各第2のガイド部35は、切り欠き部37を第1のガイド部34の前端側に有しているので、フレキシブル回路1の先端から凸1cまでの間を長くすることができる。これにより、切り欠き部37にフレキシブル回路1の凸1cを上方から挿通する際、フレキシブル回路1と第1のガイド部34との接触面を大きくすることができ、第1のガイド部34へのフレキシブル回路1の載置をより一層容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0025】
1…フレキシブル回路、10…コネクタ本体、20…端子、30…スライド部材、34…第1のガイド部、35…第2のガイド部、36…第3のガイド部、37…切り欠き部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12