(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847401
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月20日
(54)【発明の名称】段ボール製パレットの桁部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 19/34 20060101AFI20151224BHJP
【FI】
B65D19/34 Z
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-15433(P2011-15433)
(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公開番号】特開2012-153411(P2012-153411A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019493
【氏名又は名称】中央紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068663
【弁理士】
【氏名又は名称】松波 祥文
(72)【発明者】
【氏名】呂 鋒
(72)【発明者】
【氏名】伊東 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】榊 敏伸
【審査官】
長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−285214(JP,A)
【文献】
特開2009−249022(JP,A)
【文献】
特開2003−237781(JP,A)
【文献】
特開2008−285218(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/103837(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に縦方向の空洞を有する四角柱状の脚体を帯状の梁片の両端に備え、天板と底板との間に挟着される段ボール製パレットの桁部材において、該桁部材は、矩形状の段ボールに左右方向の切れ目A,B,Aを設けて一段目と四段目の脚部材10と、二段目と三段目の脚部材20に四分割され、脚部材10を脚部材20へそれぞれ重ねて、一端側の端部から切れ目Bに対して直角方向に設けた脚片の折り目を順次折り曲げて脚体Vを形成し、他端側を該脚部材10,20の略中央部に設けた直角方向の折り目a、bから一端側へ折り曲げて該脚体Vの上面に固設して2個の半桁部材に組み上げ、該半桁部材の一つを該切れ目B上で折り目a,bの内側に設けた二重折り目xx、yyを中心として180度回転させて直列に形成して作ることを特徴とする段ボール製パレットの桁部材の製造方法。
【請求項2】
前記脚体Vの固設は、脚体Vの折り曲げ終端部における脚部材10に設けた切り起こした係止片を対向する脚部材20に設けた係止穴に嵌合することによるものとし、前記他端側の脚体Vの上面への固設は、前記他端側の梁片に切れ目Bに直角方向の切欠き溝W2を設け、これを前記脚体Vに設けた同方向の切欠き溝W1に嵌着することを特徴とする請求項1記載の段ボール製パレットの桁部材の製造方法。
【請求項3】
前記脚部材10,20の一端側端部に脚片18,28を設け、前記脚体Vの空洞に対角線上に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の段ボール製パレットの桁部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貨物などを搬送する時に使用する段ボール製パレットの桁部材に関する。詳しくは、二方差しの段ボール製パレットの天板と底板との間に貼着する桁部材に関し、特に、段ボール紙を一方向から折り曲げ可能にして折り畳み作業を能率化した段ボール製パレットの桁部材
の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物等を搬送・運搬する場合、フォークリフト、ハンドリフト等が使用される。これらの場合、フォークリフトの爪を直接、貨物等に接触させることは、貨物等の破損につながり好ましくない。そこで、貨物等を載置させるとともに、フォークリフトのアームの挿入空間を有したパレット が利用されている。
【0003】
このようなパレットが段ボール製である場合、通常、桁部材の両面に接着剤を塗りつけ、底板と天板とを接着する等して段ボール製パレットは製造されている。そして、このような段ボール製パレットは重量の重い貨物等を載置させるため、段ボール製パレットのポイントは、底板、天板、脚部材等各部材の強度を向上させることである。
【0004】
そこで、段ボールを縦筋と直交させて同巾の細長帯状に裁断し、これを同じ長さに裁断した短冊状の段ボールとし、この短冊状の段ボールを複数枚重ねて接着剤で接着し、これをブロック状に形成したものを段ボールで作った角筒内に、適宜間隔で配置して包み込む製法により桁部材を作り、この桁部材を複数本平行に並べて、その上に段ボール平板を貼り付けて作っていた。また、他の方法による桁部材の製法として、幅広の段ボールを複数枚重ねて接着し、これを、3mm厚程度のカッターを使用して細長帯状に切断して短冊状のブロックにした。
【0005】
その他、本出願人は以下のような提案をした。即ち、平面が矩形状の段ボール製パレットにおける天板と底板との間に挟着される桁部材であって、該桁部材は一枚又は二枚の段ボールから直方体状に折り上げられるとともに、前記桁部材を構成する段ボールの中芯方向が天板および底板に対して垂直に構成され、かつ、前記桁部材の全長はパレットの一辺の長さに相当するとともに、前記桁部材の全長に亘って側方が封緘された段ボール製パレットの桁部材である。また、上記発明の特徴に加えて、前記桁部材は帯状複数の梁部材と断面矩形状複数の脚体とから構成され、前記梁部材および前記脚体を構成する各段ボールの中芯方向が天板および底板に対して垂直に構成され、かつ、前記梁部材に前記脚体を当接した段ボール製パレットの桁部材である。また、上記発明の特徴に加えて、前記桁部材は前記複数の脚体を直列に連接することにより構成され、前記脚体を構成する段ボールの中芯方向が天板および底板に対して垂直に構成され、かつ、隣接する脚体同士を当接した段ボール製パレットの桁部材である。他に、上記発明の特徴に加えて、前記一枚又は二枚の段ボールは、梁部材と脚部材とが半切れ目によって連接され、また、前記一枚の段ボールは、脚部材同士が半切れ目によって連接された段ボール製パレットの桁部材である(特許文献1参照)。
【0006】
更に、この提案の段ボール製パレットの桁部材を以下に具体的に
図20を参照しながら説明する。内梁部材70を脚片18に当接させた状態を同図(a)に示し、断面矩形状に折り曲げられた脚体V10を上に、内梁部材70、この下方に外梁部材80が重なって桁部材の一方の半桁部材210が完成する。この半桁部材210は、内梁部材70と脚体V10とにより数字の6の字状に構成される。ここで、半切れ目A’の部位からこの切れ目を外側にして断面矩形状の脚体V10を内梁部材70側へほぼ180度まで折り曲げることにより脚体V10と内梁部材70とが対面した状態になる。また、断面矩形状の脚体V10を構成する脚片18と内梁部材70とが当接する部位が接着剤によって貼着される。同様にして、逆6の字状の半桁部材を折り曲げて他方の半桁部材210を完成する。そして、前記半桁部材210の脚体V10と他方の半桁部材210の脚体V10を左右長手方向反対側に位置させ、双方の梁部材によって挟むようにして双方の半桁部材210と半桁部材210とを対面させることにより、長尺直方体状に形成された桁部材310が完成し、同図(b)に示す。ここで、夫々の梁部材に夫々の脚体V10を当接して貼着する際に各部材を構成する段ボール紙の中芯方向がパレットの上下方向Z−Zに揃う。
【0007】
【特許文献1】特開2008−285214号公報
【0008】
ところで、上記の製法で桁部材を作る作業は、まず、段ボールを細長状に裁断する作業と、裁断した細長状の段ボールを短冊型の段ボールとして裁断する作業と、これを接着してブロック状に形成する作業に手間がかかり、これを段ボールで作った角筒に収容するのには更に手間がかかり、その結果製造費も嵩むという不都合がある。この不都合を解消するため種々提案がなされている。また、この桁部材の上に敷設する段ボールについても、これまでは特に配慮がなされていなかった。また、幅広の積層した段ボールから肉厚のカッターを使用して帯状に切断する場合、切断粉の浮遊による環境問題を生じた。また、例えば3mm程度の肉厚カッターによる切り代の分、段ボールの歩留まりが悪くなる等の支障があった。その他、上記特許文献による提案のものでは、複数枚の段ボールを折り曲げ、一方の6の字状の半桁部材と他方の逆6の字状の半桁部材を夫々別個に折り曲げて完成する。次いで、これらを合体して桁部材とするものである。しかも、これらの段ボールを折り曲げる際に、長手方向の左右両方から折り曲げる作業をせざるをえず、作業がやり難く能率が悪かった。特に、一方の数字の6の字状の半桁部材と他方の逆6の字状の半桁部材とを合体する際に長手方向の左右両方から作業をしなければならない。また、貨物等をパレットに積層する場合、荷崩れを防止するために四隅にテープ貼りしたアングル部材が天板を突き破ることがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は前記実情に鑑み、上記した不都合を解消するため、段ボール紙を型抜きして桁部材用の段ボールを作り、これに切れ目、半切れ目あるいは折り目を施すことにより、容易に桁部材へと組み立てることができ、かつ、段ボールの中芯方向を垂直にしてパレットの天板と底板との間に挟まれるように桁部材が固着されるので、パレットに積載される貨物等の荷重を支えるに足る耐圧強度を確保することができる。しかも、段ボールを折り曲げ・折り畳む際に、一方向からの作業を可能とするために段ボールの折り目或いは切れの構成を工夫することによって折り曲げの作業能率を向上させ、また、貨物等をパレットに段積みする際、荷崩れ防止のために四隅において使用するアングル部材に重量が掛かっても、天板を突き破るようなことのない程度の耐圧強度を確保した段ボール製パレットの桁部材
の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者等は段ボールの中芯方向の耐圧強度が高いことに着目し、積層した段ボールをカッターを使って切断することなく、広幅の段ボールから桁部材用の段ボールを型抜きすることを着想し、この着想に基づき一枚の段ボールから桁部材を試作してパレットの天板と底板との間に挟着したところ、パレットの耐圧性が高いという知見を得た。
本発明の桁部材
の製造方法は、かかる知見を基に具現化したもので、請求項1の発明は、中に縦方向の空洞を有する四角柱状の脚体を帯状の梁片の両端に備え、天板と底板との間に挟着される段ボール製パレットの桁部材において、該桁部材は、矩形状の段ボールに左右方向の切れ目A,B,Aを設けて一段目と四段目の脚部材10と、二段目と三段目の脚部材20に四分割され、脚部材10を脚部材20へそれぞれ重ねて、一端側の端部から切れ目Bに対して直角方向に設けた脚片の折り目を順次折り曲げて脚体Vを形成し、他端側を該脚部材10,20の略中央部に設けた直角方向の折り目a、bから一端側へ折り曲げて該脚体Vの上面に固設して2個の半桁部材に組み上げ、該半桁部材の一つを該切れ目B上で折り目a,bの内側に設けた二重折り目xx、yyを中心として180度回転させて直列に形成したことを特徴としている。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明の上記特徴に加えて、前記脚体Vの固設は、脚体Vの折り曲げ終端部における脚部材10に設けた切り起こした係止片を対向する脚部材20に設けた係止穴に嵌合することによるものとし、前記他端側の脚体Vの上面への固設は、前記他端側の梁片に切れ目Bに直角方向の切欠き溝W2を設け、これを前記脚体Vに設けた同方向の切欠き溝W1に嵌着することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明の上記特徴に加えて、前記脚部材10,20の一端側端部に脚片18,28を設け、前記脚体Vの空洞に対角線上に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
段ボールを折り曲げて桁部材へと組み立てる際に、一方向から折り曲げ、折り畳む作業をすることができるので作業能率が向上する。しかも、本発明の折り曲げ・折り畳まれた桁部材によると、貨物等をパレットに段積みする際、荷崩れ防止のために四隅において使用するアングル部材に重量が掛かっても、天板を突き破るようなことがない程度の耐圧強度を確保することができる。
その他、脚体および梁部材における段ボール紙の中芯方向を垂直にしてパレットの天板と底板との間に挟まれるように桁部材が固着されるので、パレットに積載される貨物等の荷重を支えるに足る耐圧強度を確保することができる。また、脚体を形成する多重の脚片同士が係止片と係止穴の嵌合によって強固に係止されるので、パレットに上下方向の荷重が掛かっても脚体の積層部が開いて座屈する恐れがない。かつ、桁部材の全長はパレットの一辺の長さに相当し、梁部材により側方が桁部材の全長に亘って封緘されるので耐圧強度を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を、添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【実施例1】
【0013】
先ず、本発明の実施例1について、
図1〜
図10を参照しながら説明する。
図1は、代表的な二方差しのパレットを示す斜視図であり、図(a)にその全体図を示し、図(b)に桁部材を示す。
図2は、桁部材301の展開図である段ボール101である。
図3は、段ボール101から脚片を折畳む途中の状態を示す斜視図である。
図4は、更に脚片を折畳んだ状態を示す斜視図である。
図5は、脚片を折り曲げ、脚体を形成する途中の状態を示す斜視図である。
図6は、脚体へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
図7は、脚体へと折り曲げた状態を示す斜視図である。
図8は、半桁部材へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
図9は、半桁部材201を示す斜視図である。
図10は、桁部材301を示す斜視図である。
【0014】
代表的な二方差しのパレットを
図1(a)に示すように、パレット400では左右方向X−Xの二方からフォークリフトの爪を差し込む。パレット400は底板S、天板Tおよびこれらの間に挟まれる複数の桁部材300から構成される。そして、このパレット400の天板Tは耐圧強度をあげるために複数の段ボールを夫々積層、接着した骨板T1と更にこの上に積層し貨物等を載せるための段ボールからなる載置板T2から構成される。そして、複数の図(b)に示す桁部材300が底板Sと天板Tとの間に挟まれるように夫々に貼着、固定される。ここでは、二方差しのパレットなので左右方向X−Xからフォークリフトの爪を差し込むことができるように桁部材300と桁部材300との間に隙間が形成される。以下に、これら桁部材300の形成について述べる。一方、パレット400における左右方向X−Xに平行な両端部は桁部材300の全長に亘って側方が塞がれ、封緘されている。
【0015】
桁部材301の展開図である矩形状の段ボール101には、所定の箇所に切れ目又は折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。
図2に示すように、段ボール101は、左右方向の切れ目によって上下方向に四分割される。左右方向の切れ目に沿って、上下方向に一段目の脚部材10、二段目の脚部材20、三段目の脚部材20および四段目の脚部材10に四分割される。段ボール101の上下および左右の方向は、上記の通りとし、他の実施例についても同様である。上下方向に脚部材が四分割されるように、上方から切れ目Aを左右方向に備え、これと夫々平行に下方に切れ目B、Aを備え、この段ボール101は切れ目Bを軸として上下対称である。また、切れ目A上に半切れ目A’、A’を二箇所不連続に備える。
一方、四段の脚部材を横断するように上下方向に折り目a、bを備え、切れ目B上で折り目a、bの内側に夫々二重折り目xx、yyを離れて備える。そして、これらの右方において、一段目および四段目の脚部材10、10を横断するように上下方向に左方から折り目c、d、e、fを平行に備える。これらの折り目によって分割されて左方から梁片11、12、13および脚片14、15、16および17が帯状に繋がる。また、二段目および三段目の脚部材20、20を横断するように上下方向に折り目g、h、j、kを平行に備える。
これらの折り目によって分割されて左方から梁片21、22、23および脚片24、25、26、27が帯状に繋がる。なお、折り目g、h、j、kは、段ボール紙の厚みによる折り代分づつ右方へ、上段の折り目c、d、e、fより右方へずれるように備える。
一段目および四段目の脚部材10、10には、折り目cの左方に係止片19を折り目mを介して備え、この右に指孔191を備える。二段目および三段目の脚部材20、20には、折り目kにほぼ沿って前記係止片19と同形状の係止穴29を備える。なお係止片19を係止穴29に係止する際に指孔191に指穴を入れ、係止片19を折り目mの部位から起立させることは、他の実施例についても同様である。
【0016】
段ボール101は以上の構成であり、以下に折り曲げ・折り畳む手順について説明する。
図3に示すように、段ボール101の四段目の脚部材10を段ボール紙の裏側から厚みの半分程度切った半切れ目A’を介して手前側から三段目の脚部材20へ被せる。同様に、一段目の脚部材10を半切れ目A’を介して奥側から二段目の脚部材20へ被せるために立てる。このようにして脚部材10、10を半切れ目A’、A’を介して脚部材20、20へ夫々被せた状態を
図4に示す。
次に、脚部材20に脚部材10を重ねた状態で右側から左側へ折り曲げる。奥側の重ねた脚部材を折り曲げる状態を
図5に示し、上面の脚片対比下面の脚片の折り目を段ボール紙の厚み分ずつ順次ずらした(
図2参照)ので脚部材を重ねたまま折り曲げることができる。
そのまま奥側の脚部材を折り曲げ続けると、中に空洞を有する四角柱状の脚体V1が形成され、
図6に示す。
この脚体V1を四角柱に保持するために、脚片13の係止片19を折り目mの部位から折り曲げて、係止片19を折り曲げ終端の脚片26に備える同形状の係止穴29に嵌合する。ここで、一度係止したら外れ難くするために係止片19は段差を有する先太の形状である。 同様にして、手前側の脚部材を重ねたまま折り曲げ続けると、中に空洞を有する四角柱状の脚体V1が形成され、奥と手前側の脚体V1、V1が並んだ状態を
図7に示す。次いで、奥側左方の脚部材を重ねたまま、重なった脚片を順次折り目a、bの部位から脚体V1の方へ直角に折り曲げ、この状態を
図8に示す。
続けて、奥側の重なった梁片11、21を脚体V1の脚片25の上に重ね、水平の梁片21と垂直の脚片24とで形成されるコーナー部にテープを使って貼着すると奥側の半桁部材201が折り上がる。同様にして、手前側の重なった梁片11、21を脚体V1の脚片25の上に重ね、コーナー部にテープを使って貼着することにより手前側の半桁部材201が折り上がり、この状態を
図9に示す。次いで、左端の脚片22、22の間の切れ目Bを軸にして、奥と手前側の半桁部材201、201を上下の二重折り目xx、yyを介して、V字から180度まで開き続けると、半桁部材201、201が直列に繋がった桁部材301が完成し、この状態を
図10に示す。この桁部材301の長手方向両端部に脚部材V1、V1が位置し、これらの桁部材V1は段ボール紙の中芯方向を上下Z―Z方向に揃えてある。
【0017】
以上のように桁部材301が構成され、次に作用について説明する。
図10に示す様に、桁部材301は半桁部材201、201が直列に繋がり、桁部材301の両端部に脚部材V1、V1が位置する。本実施例の段ボールから桁部材へと折り上げる際に、作業者は手前側から左右方向に短い半桁部材を平行に並べて夫々を折り曲げ、最後にこれらを開いて直列に繋いで長く形成するので、左右に移動して作業するようなことがないので、一方側からのみの作業となり、折り曲げ・折り畳み作業の能率がよい。
このことは、他の実施例についても同様である。二方差しのパレット400として
図1に示すように、3列の桁部材300(本実施例の301)の長手方向を左右方向X―Xに揃え、かつ、両端部の脚体V、V(本実施例のV1、V1)および脚片(本実施例の11、21、13、23)は、段ボール紙の中芯方向を垂直にして天板Tと底板Sとの間に挟まれるように桁部材300(本実施例の301)が固着される。
従って、段ボール紙の中芯方向が荷重方向に揃うように構成されるので、パレット400に積載される貨物等の荷重を支えるに足る強度を確保することができる。また、
図10の断面直方体状に二重に巻かれた脚体V1、V1における対面する脚片同士が係止片19によって密着して係止されている。そして、長手方向で両端の脚体V1、V1を繋ぐ梁の機能を有する梁片11、13および梁片21、23同士が密着して両端においてテープ又は接着剤によって帖着されている。従って、
図1の上下方向Z−Zの荷重が掛かっても二重の脚片が開いて座屈する恐れがない。かつ、桁部材301の桁部材長Lはパレットの一辺の長さに相当し、外観が長尺直方体状に形成されたパレットの左右側方は桁部材によって封緘され、しかも、桁部材の段ボールの中芯方向がパレットの上下方向Z−Zに揃う。同様に、夫々の脚体Vの段ボールの中芯方向も上下方向Z−Zに揃うので、パレット400に積載される貨物等の荷重を支えるに足る耐圧強度を確保することができる。従って、フォークリフトの爪を複数の桁部材の間に差し込んで二方差しのパレットとして使用することができる。
【実施例2】
【0018】
次に、本発明の実施例2ついて、
図11を参照しながら説明する。
図11は、桁部材の展開図で段ボール102である。
【0019】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、脚片同士をテープを使って貼着するのではなく、脚片同士を係止片を使ってロックするところにあり、後述する実施例4と同じである。以下、実施例1と相違する箇所について主に説明する。
【0020】
本実施例の桁部材の展開図である矩形状の段ボール102には、所定の箇所に切れ目又は折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。
図11に示すように、段ボール102は、左右方向の切れ目によって上下方向に四分割される。左右方向の切れ目に沿って、上下方向に一段目の脚部材10、二段目の脚部材20、三段目の脚部材20および四段目の脚部材10に四分割される。上下方向に脚部材が四分割されるように、上方から切れ目Aを左右方向に備え、これと夫々平行に下方に切れ目B、Aを備え、この段ボール101は切れ目Bを軸として上下対称である。また、上段および下段の切れ目A、A上に左方から二重折り目pp、qq、rr、ss、ttおよびuu不連続に備える。
一方、四段の脚部材を横断するように上下方向に左方から折り目a、bを備え、これらの右方において、一段目および四段目の脚部材10、10を横断するように上下方向に折り目c、d、e、fおよびf2を平行に備え、これらの折り目によって分割されて左方から梁片11、12、13および脚片14、15、16、17および18が帯状に繋がる。
また、二段目および三段目の脚部材20、20を横断するように上下方向に折り目g、h、j、kおよびk2を平行に備え、これらの折り目によって分割されて左方から梁片21、22、23、24、25、26、27および28が帯状に繋がる。なお、折り目g、h、j、kおよびk2は、段ボール紙厚みによる折り代分づつ右方へ、上段の折り目c、d、e、fおよびf2より右方へずれるように備える。
一段目および四段目の脚部材10、10には、折り目cの左方に係止片19を折り目mを介して備え、この右に指孔191を備える。二段目および三段目の脚部材20、20には、折り目kにほぼ沿って前記係止片19と同形状の係止穴29を備える。
【0021】
以上のように桁部材が構成され、次に作用について説明する。後述する実施例4と同様に、四角柱状の脚体Vにおける空洞の対角線上に脚片18、28が重なって挿着されるので、パレットの方向Z―Zの座屈強度が向上する。その結果、積荷をパレットに段積みする際、荷崩れ防止のために四隅において使用するアングル部材に重量が掛かっても天板を貫通するような恐れが無い。
【実施例3】
【0022】
次に、本発明の実施例3ついて、
図12〜
図15を参照しながら説明する。
図12は、桁部材303の展開図である段ボール103である。
図13は、脚体へと折り曲げた状態を示す斜視図である。
図14は、半桁部材へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
図15は、桁部材303を示す斜視図である。
【0023】
本実施例の実施例1との主たる相違点は、梁片を脚体に係止・ロックするところにある。
【0024】
桁部材303の展開図である矩形状の段ボール103には、所定の箇所に切れ目又は折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。
図12に示すように、段ボール103は、左右方向の切れ目によって上下方向に四分割される。左右方向の切れ目に沿って、上下方向に一段目の脚部材10、二段目の脚部材20、三段目の脚部材20および四段目の脚部材10に四分割される。
上下方向に脚部材が四分割されるように、上方から切れ目Aを左右方向に備え、これと夫々平行に下方に切れ目B、Aを備え、この段ボール101は切れ目Bを軸として上下対称である。また、上段および下段の切れ目A、A上に半切れ目A’、A’を二箇所不連続に備える。
一方、四段の脚部材を横断するように上下方向に折り目a、bを備え、切れ目B上で折り目a、bから内側に夫々二重折り目xx、yyを離れて備える。そして、これらの左方において、一段目および四段目の脚部材10、10を横断するように上下方向に左方から折り目c、d、e、fを平行に備え、これらの折り目によって分割されて左方から梁片11、12、13および脚片14、15、16および17が帯状に繋がる。
また、二段目および三段目の脚部材20、20を横断するように上下方向に折り目g、h、j、kを平行に備え、これらの折り目によって分割されて左方から梁片21、22、23および脚片24、25、26、27が帯状に繋がる。なお、折り目g、h、j、kは、段ボール紙厚みによる重ね折り代分づつ右方へ、上段の折り目c、d、e、fより右方へずれるように備える。
一段目および四段目の脚部材10、10には、折り目cの左方に係止片19を折り目mを介して備え、この右に指孔191を備える。二段目および三段目の脚部材20、20には、折り目kにほぼ沿って前記係止片19と同形状の係止穴29を備える。
その他に本実施例の特徴である溝を各所に設けている。梁片11の左端部近傍に上方向に切り欠いたスリット111、梁片21の左端部近傍に切れ目B方に開いたスリット211、脚片16の折り目eに沿って切れ目A方向に開いたスリット161および脚片26の折り目jに沿って切れ目A方向に開いたスリット261を設けている。
【0025】
段ボール103は以上の構成であり、以下に折り上げる手順について説明する。実施例1の
図3〜
図6に示すのと同様な折り曲げ・折り畳み工程を経て、脚部材を重ねたまま折り曲げ続けると、中に空洞を有する四角柱状の脚体V3が形成され、奥と手前側の脚体V3、V3が並んだ状態を
図13に示す。これらの脚体V3の側面を構成する折り曲げ終端の脚片26には係止穴29を備え、これに係止片19を嵌合して脚体V3を角柱に保持する。
また、脚片26の上辺隅に穴161と穴261(
図12参照)とが重なって形成され、外側に向けて開いた切欠き溝W1を示す。それとともに、左方に梁片11のスリット111と梁片21のスリット211(
図12参照)が重なって形成され、切れ目Bに向けて開いた切欠き溝W2を示す。
次いでこの状態から90度回転し、重なった上段の梁片11、12を順次折り目a、bの部位から脚体V3の方へ折り曲げ・捩じりながら、幅のある切欠き溝W2を上方から脚体V3の幅のある切欠き溝W1へ嵌着し、この状態を
図14に示す。同様にして、下段の重なった梁片11、21を折り曲げながら上方へ上げながら捩じり、左方の切欠き溝W2を右方の切欠き溝W1へ係止する。
次いで、左端の脚片22、22の間の切れ目Bを軸にして、奥と手前側の半桁部材203、203を上下の二重折り目xx、yyを介して、V字状から180度まで開き続けると、半桁部材203、203が直列に繋がった桁部材303が完成し、この状態を
図15に示す。この桁部材303の長手方向両端部に脚部材V3、V3が位置し、これらの桁部材V3は段ボール紙の中芯方向を上下Z―Z方向に揃えてある。
【0026】
以上のように桁部材303が構成され、次に作用について説明する。
図15に示す様に、桁部材303は半桁部材203、203が直列に繋がり、桁部材303の両端部に脚部材V3、V3が位置する。本実施例の段ボールから桁部材へと折り上げる際に、作業者は手前側から左右方向に短い半桁部材を平行に並べて夫々を折り曲げ・折り畳み、最後にこれらを開いて直列に繋いで長く形成するので、桁部材の左右に移動して作業する必要もなく、一方側からのみの作業となり、作業の能率がよい。しかも、桁部材303へと折り上げる過程で、梁片の切欠き溝W2を脚体V3の切欠き溝W1へ嵌着・ロックするのでテープ或いは接着剤を使用することなく、作業工程が短縮され作業能率が向上する。
【実施例4】
【0027】
次に、本発明の実施例4ついて、
図16〜
図19を参照しながら説明する。
図16は、桁部材の展開図である段ボール104である。
図17は、脚体へと折り曲げた状態を示す斜視図である。
図18は、半桁部材へと折り曲げ、折り畳む途中の状態を示す斜視図である。
図19は、桁部材304を示す斜視図である。
【0028】
本実施例の実施例3との主たる相違点は、脚体の空洞に対角片を設け、このことによってパレットの方向Z―Zの座屈強度を向上させるところにある。
【0029】
本実施例の桁部材の展開図である矩形状の段ボール104には、所定の箇所に切れ目又は折り目を設けてあるので、それらの設け方について以下に説明する。
図16に示すように、段ボール104は、左右方向の切れ目によって上下方向に四分割される。左右方向の切れ目に沿って、上下方向に一段目の脚部材10、二段目の脚部材20、三段目の脚部材20および四段目の脚部材10に四分割される。
上下方向に脚部材が四分割されるように、上方から切れ目Aを左右方向に備え、これと夫々平行に下方に切れ目B、Aを備え、この段ボール101は切れ目Bを軸として上下対称である。また、上段および下段の切れ目A、A上に左方から二重折り目pp、qq、rr、ss、ttおよびuu不連続に備える。
一方、四段の脚部材を横断するように上下方向に左方から折り目a、bを備え、切れ目B上で折り目a、bから内側に夫々二重折り目xx、yyを離れて備え、また、これらの右方において、一段目および四段目の脚部材10、10を横断するように上下方向に折り目c、d、e、fおよびf2を平行に備え、これらの折り目によって分割されて左方から梁片11、12、13および脚片14、15、16、17、18が帯状に繋がる。
また、二段目および三段目の脚部材20、20を横断するように上下方向に折り目g、h、j、kおよびk2を平行に備え、これらの折り目によって分割されて左方から梁片21、22、23および脚片24、25、26、27、28が帯状に繋がる。なお、折り目g、h、j、kおよびk2は、段ボール紙厚みによる折り代分づつ右方へ、上段の折り目c、d、e、fおよびf2より右方へずれるように備える。
一段目および四段目の脚部材10、10には、折り目cの左方に係止片19を折り目mを介して備え、この右に指孔191を備える。二段目および三段目の脚部材20、20には、折り目kにほぼ沿って前記係止片19と同形状の係止穴29を備える。
【0030】
段ボール104は以上の構成であり、以下に折り上げる手順について説明する。実施例1の
図3〜
図6と同様な折り曲げ・折り畳み工程を経て、脚部材を重ねたまま折り曲げ続けると、中に空洞を有する四角柱状の脚体V4が形成され、奥と手前側の脚体V4、V4が並んだ状態を
図17に示す。中が空洞の四角柱状の脚体V4には、図示のように脚片18、28が重なって対角線上に挿着される。これらの脚体V4の側面を構成する折り曲げ終端の脚片26には係止穴29を備え、これに係止片19を係止して脚体V4を角柱に保持する。
ここで、係止片19は先広がりの形状なので同形状の係止穴29に係止されて強固にロックされる。また、脚片26の上辺隅に穴161と穴261(
図16参照)とが重なって形成され、外側に向けて開いた切欠き溝W1を示す。それとともに、左方に梁片11のスリット111と脚片21のスリット211(
図16参照)が重なって形成され、切れ目Bに向けて開いた切欠き溝W2を示す。
次いでこの状態から90度回転し、重なった上段の梁片11、12を順次折り目a、bの部位から脚体V4の方へ折り曲げ・捩じりながら、脚片18、28を重ねて空洞の対角線上に揃えながら幅のある切欠き溝W2を脚体V4の幅のある切欠き溝W1へ嵌着し、この状態を
図18に示す。同様にして、下段の重なった梁片11、21を下方へ折り曲げながら、切欠き溝W2を右方の切欠き溝W1へ係止する。
次いで、左端の脚片22、22の間の切れ目Bを軸にして、奥と手前側の半桁部材204、204を上下の二重折り目xx、yyを介して、V字から180度まで開き続けると、半桁部材204、204が直列に繋がった桁部材304が完成し、この状態を
図19に示す。この桁部材304の両端部に脚部材V4、V4が位置し、これらの桁部材V4は段ボール紙の中芯方向を上下Z―Z方向に揃えてある。そして、脚体V4には図示のように脚片18、28が重なって四角の空洞の対角線上に挿着される。
【0031】
以上のように桁部材が構成され、次に作用について説明する。
図19に示す様に、四角柱状の脚体V4の空洞の対角線上に脚片18、28が重なって挿着されるので、パレットの方向Z―Zの座屈強度が向上する。その結果、貨物等をパレットに段積みする際、荷崩れ防止のために四隅において使用するアングル部材に重量が掛かっても、天板を突き破るようなことがない程度の耐圧強度を確保することができる。しかも、桁部材304へと折り上げる過程で、梁片の切欠き溝W2を脚体V3の切欠き溝W1へ嵌着・ロックするのでテープ或いは接着剤を使用することなく、作業工程が短縮され作業能率が向上する。その他、パレットの桁部材として用済み後、廃棄処理をする際に段ボールの中からテープまたは接着剤の選別をする必要が無い等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施例1に係わる代表的な二方差しのパレットを示す斜視図である。
【
図2】同上、桁部材301の展開図である段ボール101である。
【
図3】同上、段ボール101から脚片を折畳む途中の状態を示す斜視図である。
【
図4】同上、更に脚片を折畳んだ状態を示す斜視図である。
【
図5】同上、脚片を折り曲げ、脚体を形成する途中の状態を示す斜視図である。
【
図6】同上、脚体へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
【
図7】同上、脚体へと折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図8】同上、半桁部材へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の実施例2に係わる桁部材の展開図である段ボール102である。
【
図12】本発明の実施例3に係わる桁部材303の展開図である段ボール103である。
【
図13】同上、脚体へと折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図14】同上、半桁部材へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
【
図16】本発明の実施例4に係わる桁部材の展開図である段ボール104である。
【
図17】同上、脚体へと折り曲げた状態を示す斜視図である。
【
図18】同上、半桁部材へと折り曲げる途中の状態を示す斜視図である。
【
図20】従来梁部材における半桁部材および一方の半桁部材と他方の半桁部材とを合体した桁部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
桁部材段ボール 101、102、103、104
半桁部材 201、203、204
桁部材 300、301、303、304、310
パレット 400
桁部材長 L
左右方向 X
上下方向 Z
脚体 V、V1、V2、V3、V4、V10
切欠き溝 W1、W2
切れ目 A、B
折り目 a、b、c、d、e、f、f2、g、h、j、
k、k2、m
二重折り目 xx、yy、pp、qq、rr、ss、
tt、uu
半切れ目 A’
天板 T
骨板 T1
載置板 T2
底板 S
脚部材 10、20
脚片 14、15、16、17、18
梁片 11、12、13
脚片 24、25、26、27、28
梁片 21、22、23
係止片 19、指穴 191
係止穴 29
スリット 111、211、161、261