【実施例1】
【0016】
まず、本発明の実施例1に係るプローブカード用ガイド板について
図1A及び
図1Bを参照しつつ説明する。
図1A及び
図1Bに示すプローブカード用ガイド板100は、金属ベース110と、複数の第1絶縁層120と、複数の金属層130とを備えている。以下、ガイド板100の各構成要素について詳しく説明する。
【0017】
金属ベース110は、半導体ウエハ又は半導体デバイスの熱膨張係数と同一又は近い熱膨張係数(熱膨張係数2〜10ppm/℃)を有する金属で構成されている。例えば、金属ベース110は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウムと銅の合金、アルミニウムとニッケルの合金、銅とニッケルの合金、アルミニウム、銅及びニッケルの合金又はNi−Fe合金で構成されている。金属ベース110は、複数の貫通孔111と、当該貫通孔111の内壁面とを有している。貫通孔111は、金属ベース110を厚み方向に貫通しており且つ半導体ウエハ又は半導体デバイスの複数の電極の位置に対応した位置に配置されている。貫通孔111は、円柱状や多角形の柱状(四角柱状))の孔であって、後述するプローブカードのプローブ200(上記
図3B及び
図3C参照)が挿通可能な内形を有している。
【0018】
各第1絶縁層120
(特許請求の範囲の絶縁膜に相当する。)は、金属ベース110の対応する貫通孔111の内壁面112上に設けられたポリイミド、エポキシ樹脂などの有機電着膜や
SiO2、SiNなどのスパッタ膜である。第1絶縁層120は、貫通孔111の内形に応じた筒状(円筒状や多角形の筒状)である。
【0019】
各金属層130は、金属ベース110の対応する貫通孔111内の第1絶縁層120上に設けられている。金属層130は、第1絶縁層120の内形に応じた筒状(円筒状や多角形の筒状)であって、例えば、硬質金属(例えば、Rh、Ni系合金)で構成されている。
【0020】
以下、上記した構成のプローブカード用ガイド板100の製造方法について
図2を参照しつつ説明する。まず、セラミック又はシリコン(Si)で構成された基板10を用意する。この基板10上に電気めっきを行い、銅の犠牲層20を形成する。その後、犠牲層20上にレジスト30を塗布する。その後、レジスト30にマスクを用いて露光・現像を行い、レジスト30に複数の開口31を形成する。
【0021】
その後、レジスト30の開口31に電気めっきを行い、開口31に銅を充填する。その後、レジスト30を除去する。開口31に充填された銅が、円柱状のポスト40となる。その後、スプレー塗布や電着レジストを用いて犠牲層20上にレジスト50を形成する。その後、レジスト50に対して露光・現像を行い、ポスト40を露出させるパターンを形成する。その後、ポスト40の外面上に電気めっきを行い、硬質金属のRh、Ni系合金のめっき層60
(第1めっき層)を形成する。その後、めっき層60に負電圧を印加し、当該めっき層60上に絶縁膜70を電着させる。その後、レジスト50を除去する。
【0022】
その後、犠牲層20上に電気めっきを行い、犠牲層20上にNi−Feめっき層80
(第2めっき層)を形成する。このとき、Ni−Feめっき層80にポスト40、めっき層60及び絶縁膜70が埋め込まれる。その後、Ni−Feめっき層80の図示上面を研磨すると共に、絶縁膜70及びめっき層60の図示上端部を研磨する。これにより、ポスト40の図示上端が絶縁膜70及びめっき層60から露出し、絶縁膜70及びめっき層60が筒状となる。
【0023】
その後、基板10、犠牲層20、ポスト40、めっき層60、絶縁膜70及びNi−Feめっき層80を、銅(Cu)を選択的に溶解させるエッチング液に浸漬させる。これにより、犠牲層20及びポスト40がエッチングされ、基板10が取り外される。以上のようにしてプローブカード用ガイド板100が得られる。研磨されたNi−Feめっき層80が金属ベース110となり、ポスト40が除去されることにより形成された孔が貫通孔111となる。また、筒状の絶縁膜70が第1絶縁層120となり、筒状のめっき層60が金属層130となる。なお、Ni−Feめっき層80は、半導体ウエハ又は半導体デバイスの熱膨張係数と同一又は近い熱膨張係数を有する金属めっき層である限り任意に設計変更することが可能である。
【0024】
以下、本発明の実施例1に係るプローブカードについて
図3A〜
図3Cを参照しつつ説明する。
図3Aに示すプローブカードは、2枚の上記プローブカード用ガイド板と、複数のプローブ200と、スペーサ300と、配線基板400と、中間基板500と、複数のスプリングプローブ600と、メイン基板700と、補強板800とを備えている。以下、前記プローブカードの各構成要素について詳しく説明する。なお、説明の便宜上、プローブ200の針先側のプローブカード用ガイド板に参照番号100aを付し、プローブ200の針元側のプローブカード用ガイド板に参照番号100bを付し、両者を区別する。
【0025】
メイン基板700はプリント基板である。メイン基板700は、第1面と、前記第1面の裏側の第2面とを有している。メイン基板700の第1面には複数の電極710が、メイン基板700の第2面の外縁部には複数の外部電極720が設けられている。電極710と外部電極720とはメイン基板700の第1、第2面及び/又は内部に設けられた図示しない複数の導電ラインにより接続されている。
【0026】
補強板800はメイン基板700よりも硬い板状の部材(例えばステンレス鋼等の板)である。この補強板800は、メイン基板700の第2面にネジ止めされている。この補強板800によりメイン基板700の撓みが抑止される。
【0027】
中間基板500は、メイン基板700の第1面に固着され且つメイン基板700と配線基板400との間に配置されている。中間基板500には、当該中間基板500を厚み方向に貫通した複数の貫通孔510が設けられている。この貫通孔510は、メイン基板700の電極710の位置に対応した位置に配置されている。
【0028】
配線基板400は、ST(スペーストランスフォーマ)基板である。配線基板400は、図示しない固定用のネジによりメイン基板700及び補強板800に固着され、中間基板500の図示下側にメイン基板700に対して平行に配置されている。配線基板400は、第1面と、第1面の裏側の第2面とを有している。配線基板400の第1面上には、複数の電極410がプローブカード用ガイド板100a、100bの貫通孔111a、111bに対応した位置に配設されている。また、配線基板400の第2面には複数の電極420が間隔をあけて配設されている。電極420は、メイン基板700の電極710の鉛直線上に配置されている。電極410と電極420とは配線基板400の第1、第2面及び/又は内部に設けられた図示しない複数の導電ラインにより接続されている。
【0029】
各スプリングプローブ600は、中間基板500の貫通孔510に挿入され、メイン基板700の電極710と配線基板400の電極420との間に介在している。これにより、スプリングプローブ600が電極710と電極420との間を電気的に接続している。
【0030】
プローブカード用ガイド板100a、100bは、プローブカード用ガイド板100bの外形がプローブカード用ガイド板100aの外形よりも小さい点で相違している。これ以外については、プローブカード用ガイド板100a、100bは、プローブカード用ガイド板100と同一である。
図3Bに示すように、プローブカード用ガイド板100aは、ボルト及びナットを用いて配線基板400に固着され、配線基板400に対して平行に間隔をあけて配置されている。プローブカード用ガイド板100aの両端部と、配線基板400との間には、スペーサ300が介在している。プローブカード用ガイド板100bは、ボルト及びナットを用いて配線基板400に間隔をあけて平行に固定され、配線基板400とプローブカード用ガイド板100aとの間に配置されている。プローブカード用ガイド板100a、100bの
貫通孔111a、111bは、互いに鉛直線方向に間隔をあけて配置されている。
【0031】
各プローブ200は、
図3Bに示すように、第1、第2端部210、220と、弾性変形部230とを有している。第1端部210は、プローブ200の長さ方向の一端部であって、プローブカード用ガイド板100bの対応する貫通孔111bに挿通され、当該貫通孔111b上の金属層130bに接触可能となっている。第1端部210は、配線基板400の対応する電極410に接触し、当該電極410に半田接続されている。すなわち、プローブ200の第1端部210は、電極410に半田固定されている。第2端部220は、プローブ200の長さ方向の他端部(すなわち、第1端部210の反対側の端部)であって、プローブカード用ガイド板100aの対応する貫通孔111aに挿通され、当該貫通孔111a上の金属層130aに接触可能となっている。第2端部220は半導体ウエハ又は半導体デバイスの電極に接触可能な部位である。弾性変形部230は、第1、第2端部210、220の間に設けられており且つ略C字状に湾曲している。
【0032】
以下、上記プローブカードは、テスターのプローバに取り付けられ、半導体ウエハ又は半導体デバイスである測定対象1(
図3C参照)の電気的諸特性を測定するのに使用される。具体的には、プローバが、プローブカードと測定対象1とを対向配置し、この状態で同プローブカードと測定対象1とを相対的に接近させる。すると、同プローブカードのプローブ200の第2端部220が測定対象1の電極1aに各々接触し、当該プローブ200の第2端部220が測定対象1の電極1aに各々押圧される(すなわち、第2端部220に荷重が加えられる)。すると、プローブ200の弾性変形部230が各々屈曲するように弾性変形し、当該プローブ200が各々屈曲する。これにより、プローブ200の第1、第2端部210、220が傾斜し、プローブカード用ガイド板100b、100aの金属層130b、130aの図示上端、下端に接触する。この状態で、測定対象1の電気的諸特性が前記テスターにより測定される。
【0033】
以上のようなプローブカードによる場合、プローブカード用ガイド板100a、100bが、金属ベース110a、110bを母材としているので、当該ガイド板100a、100bの強度低下を抑制しつつ、当該ガイド板100a、100bの厚み寸法を低減することができる。よって、微細な貫通孔111a、111bを金属ベース110a、110bに狭ピッチ間隔で容易に開設することができる。
【0034】
しかも、金属ベース110b、110aの貫通孔111b、111aの内壁面上に、第1絶縁層120b、120a及び金属層130b、130aがこの順で積層されている。すなわち、貫通孔111bの内壁面と金属層130bとの間に第1絶縁層120bが存在し、貫通孔111aの内壁面と金属層130aとの間に第1絶縁層120aが存在するため、プローブ200の第1、第2端部210、220が金属層130b、130aに接触しても、プローブ200同士が金属ベース110b、110aにより互いに導通するのを防ぐことができる。また、プローブ200の第2端部220が測定対象1の電極1aに各々接触することにより、当該プローブ200に各々高周波電流が流れ、ジュール熱が各々発生する。このジュール熱発生時に、プローブ200の第1、第2端部210、220は金属ベース110b、110aの貫通孔111b、111a内の金属層130b、130aに接触するので、当該金属ベース110b、110aを通じてプローブ200のジュール熱を放熱することができる。よって、微細化されたプローブ200がジュール熱により溶融破断又は脆性破断されるのを抑止することができる。また、ジュール熱が放熱されることにより、プローブ200に流れる電流値を上昇させることが可能になる。
【0035】
更に、金属ベース110a、110bが半導体ウエハ又は半導体デバイスの熱膨張係数
と同一又は近い熱膨張係数を有する金属で構成されている。よって、プローブカードが高温環境下で半導体ウエハ又は半導体デバイスの
電気的諸特性の測定に使用されたとしても、プローブカード用ガイド板100a、100bが半導体ウエハ又は半導体デバイスと同じ又は同様に熱膨張する。よって、プローブカード用ガイド板100a、100bが半導体ウエハ又は半導体デバイスと大きく異なる熱膨張をすることにより、プローブカード用ガイド板100aの貫通孔111aにガイドされたプローブ200の第2端部220と、半導体ウエハ又は半導体デバイスの電極との位置が相違し、プローブ200と半導体ウエハ又は半導体デバイスの電極とが接触不良になるのを抑制することができる。また、金属ベース110’をグランド接続することにより、ノイズ除去が可能になる。
【実施例2】
【0036】
次に、本発明の実施例2に係るプローブカード用ガイド板について
図4A及び
図4Bを参照しつつ説明する。
図4A及び
図4Bに示すプローブカード用ガイド板100’は、金属ベース110’と、複数の第1絶縁層120’と、第2絶縁層130’とを備えている。以下、ガイド板100’の各構成要素について詳しく説明する。
【0037】
金属ベース110’は、半導体ウエハ(図示なし)又は半導体デバイス(図示なし)の熱膨張係数と同一又は近い熱膨張係数
(熱膨張係数4〜10ppm/℃)を有する金属で構成されている。例えば、金属ベース110’は、Ni−Fe合金で構成されている。金属ベース110’は、複数の貫通孔111’と、当該貫通孔111’の内壁面とを有している。貫通孔111’は、金属ベース110’を厚み方向に貫通しており且つ半導体ウエハ又は半導体デバイスの複数の電極の位置に対応した位置に配置されている。貫通孔111’は、円柱状や多角形の柱状(四角柱状))の孔であって、上記プローブカードのプローブ200(上記
図3B及び
図3C参照)が挿通可能な内形を有している。
【0038】
金属ベース110’の外面(上下面(主面および裏面)及び外周面)と貫通孔111’の内壁面は熱酸化され、酸化膜絶縁層が形成されている。金属ベース110’の外面に形成された酸化膜絶縁層(厚さ0.5〜2μm)が第2絶縁層130’であり、貫通孔111’の内壁面に形成された酸化膜絶縁層が第1絶縁層120’である。第1、第2絶縁層120’、130’は互いに連続している。各第1絶縁層120’は、貫通孔111’の内形に応じた筒状(円筒状や多角形の筒状)である。
【0039】
以下、上記した構成のプローブカード用ガイド板100’の製造方法について
図5を参照しつつ説明する。まず、セラミック又はシリコン(Si)で構成された基板10’を用意する。この基板10’上に電気めっきを行い、銅の犠牲層20’を形成する。その後、犠牲層20’上にレジスト30’を塗布する。その後、レジスト30’にマスクを用いて露光・現像を行い、犠牲層20’上に複数のレジストポスト31’を形成する(すなわち、レジスト30’のレジストポスト31’以外の部分を除去する。)。
【0040】
その後、犠牲層20’上に電気めっきを行い、Ni−Feめっき層40’を形成する。このとき、Ni−Feめっき層40’にレジストポスト31’が埋め込まれる。その後、Ni−Feめっき層40’の図示上面を研磨し、レジストポスト31’の図示上端をNi−Feめっき層40’から露出させる。その後、レジストポスト31’を除去する。これにより、Ni−Feめっき層40’に貫通孔41’が開設される。
【0041】
基板10’、犠牲層20’及びNi−Feめっき層40’を銅(Cu)を選択的に溶解させるエッチング液に浸漬させる。これにより、犠牲層20’がエッチングされ、基板10’が取り外される。なお、基板10’を犠牲層20’から物理的に取り外し、犠牲層20’をNi−Feめっき層40’から物理的に取り外しても良い。その後、Ni−Feめっき層40’を、酸素ガスを有する不活性ガス下で400〜800℃で加熱し、Ni−Feめっき層40’の外面(上下面(主面および裏面)及び外周面)及び貫通孔41’の内壁面を熱酸化させる。以上のようにしてプローブカード用ガイド板100’が得られる。Ni−Feめっき層40’が金属ベース110’となり、貫通孔41’が貫通孔111’となる。熱酸化によって、Ni−Feめっき層40’の外面に形成された酸化膜絶縁層が第2絶縁層130’となり、貫通孔41’の内壁面に形成された酸化膜絶縁層が第1絶縁層120’となる。なお、Ni−Feめっき層40’は、半導体ウエハ又は半導体デバイスの熱膨張係数と同一又は近い熱膨張係数を有する金属めっき層である限り任意に設計変更することが可能である。
【0042】
以下、本発明の実施例2に係るプローブカードについて
図3A〜
図3Cを借りて参照しつつ説明する。このプローブカードは、プローブカード用ガイド板100a、100bの代りに、2枚のプローブカード用ガイド板100’が用いられている点で、実施例1のプローブカードと相違している。これ以外については、本実施例2のプローブカードは、実施例1のプローブカードと同じ構成である。以下、前述の相違点についてのみ詳しく説明し、実施例1と重複する説明は省略する。
【0043】
2枚のプローブカード用ガイド板100’は、一方の外形が他方の外形よりも小さい点で相違している。一方のプローブカード用ガイド板100’はプローブカード用ガイド板100bの代りに、他方のプローブカード用ガイド板100’はプローブカード用ガイド板100aの代りに用いられている。すなわち、他方のプローブカード用ガイド板100’は、ボルト及びナットを用いて配線基板400に固着され、配線基板400に対して平行に間隔をあけて配置されている。他方のプローブカード用ガイド板100’の両端部と、配線基板400との間には、スペーサ300が介在している。一方のプローブカード用ガイド板100’は、ボルト及びナットを用いて配線基板400に間隔をあけて平行に固定され、配線基板400と他方のプローブカード用ガイド板100’との間に配置されている。両プローブカード用ガイド板100’の
貫通孔111’は、互いに鉛直線方向に間隔をあけて配置されている。
【0044】
各プローブ200の第1端部210は、一方のプローブカード用ガイド板100’の対応する貫通孔111’に挿通され、当該貫通孔111’の第1絶縁層120’に接触可能となっている。各プローブ200の第2端部220は、他方のプローブカード用ガイド板100’の対応する貫通孔111’に挿通され、当該貫通孔111’の第1絶縁層120’に接触可能となっている。
【0045】
以下、上記プローブカードは、テスターのプローバに取り付けられ、半導体ウエハ又は半導体デバイスである測定対象1(
図3Cを借りて参照)の電気的諸特性を測定するのに使用される。具体的には、プローバが、プローブカードと測定対象1とを対向配置し、この状態で同プローブカードと測定対象1とを相対的に接近させる。すると、同プローブカードのプローブ200の第2端部220が測定対象1の電極1aに各々接触し、当該プローブ200の第2端部220が測定対象1の電極1aに各々押圧される(すなわち、第2端部220に荷重が加えられる)。すると、プローブ200の弾性変形部230が各々屈曲するように弾性変形し、当該プローブ200が各々屈曲する。これにより、プローブ200の第1、第2端部210、220が一方、他方のプローブカード用ガイド板100’の第1絶縁層120’の図示上端、下端に接触する。この状態で、測定対象1の電気的諸特性が前記テスターにより測定される。
【0046】
以上のようなプローブカードによる場合、プローブカード用ガイド板100’が金属ベース110’を母材としているので、当該ガイド板100’の強度低下を抑制しつつ、当該ガイド板100’の厚み寸法を低減することができる。よって、微細な貫通孔111’を金属ベース110’に狭ピッチ間隔で容易に開設することができる。
【0047】
しかも、金属ベース110’の貫通孔111’の内壁面に第1絶縁層120’が形成されているので、プローブ200の第1、第2端部210、220が第1絶縁層120’に接触しても、プローブ200同士が金属ベース110’により互いに導通するのを防ぐことができる。また、プローブ200の第2端部220が測定対象1の電極1aに各々接触することにより、当該プローブ200に各々高周波電流が流れ、ジュール熱が各々発生する。このジュール熱発生時に、プローブ200の第1、第2端部210、220が金属ベース110’の貫通孔111’内の第1絶縁層120’に接触するので、当該金属ベース110’を通じてプローブ200のジュール熱を放熱することができる。よって、微細化されたプローブ200がジュール熱により溶融破断又は脆性破断されるのを抑止することができる。また、ジュール熱が放熱されることにより、プローブ200に流れる電流値を上昇させることが可能になる。
【0048】
更に、金属ベース110’が半導体ウエハ又は半導体デバイスの熱膨張係数と同一又は近い熱膨張係数を有する金属で構成されている。よって、プローブカードが高温環境下で半導体ウエハ又は半導体デバイスの電気的所得性の測定に使用されたとしても、プローブカード用ガイド板100’が半導体ウエハ又は半導体デバイスと同じ又は同様に熱膨張する。よって、プローブカード用ガイド板100’が半導体ウエハ又は半導体デバイスと大きく異なる熱膨張をすることにより、プローブカード用ガイド板100’の貫通孔111’にガイドされたプローブ200の第2端部220と、半導体ウエハ又は半導体デバイスの電極との位置が相違し、プローブ200と半導体ウエハ又は半導体デバイスの電極とが接触不良になるのを抑制することができる。また、金属ベース110’をグランド接続することにより、ノイズ除去が可能になる。
【0049】
なお、上述したプローブカード用ガイド板及びプローブカードは、上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載範囲において任意に設計変更することが可能である。以下、詳しく述べる。
【0050】
上記実施例1及び2では、プローブカード用ガイド板の金属ベースは、半導体ウエハ又は半導体デバイスの熱膨張係数と同一又は近い熱膨張係数を有する金属で構成されているとした。しかし、金属ベースを構成する金属は、上記実施例1及び2に限定されず、他の金属を用いることが可能である。また、金属ベースの貫通孔の内壁面には、少なくとも筒状の第1絶縁層が設けられている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、第1絶縁層上に一又複数の他の層(金属層や絶縁層等)を積層することが可能である。また、実施例1の第1絶縁層120を、金属ベース110の貫通孔111の内壁面を熱酸化させた酸化膜絶縁層に設計変更することが可能である。実施例2の第1絶縁層120’を、金属ベース110’の貫通孔111’の内壁面上に積層されたポリイミド、エポキシ樹脂などの有機電着膜や
SiO2、SiNなどのスパッタ膜に設計変更することが可能である。
【0051】
上記実施例2では、金属ベース110’の上下面及び外周面は、酸化膜絶縁層である第2絶縁層130’が形成されているとした。しかし、金属ベース110’の上面(主面)、下面(裏面)及び外周面の少なくとも一つに第2絶縁層が設けられている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、金属ベースの外周面をマスキングして熱酸化させることにより、上下面のみに酸化膜絶縁層である第2絶縁層を設けることが可能である。また、金属ベース110’の上面、下面及び外周面の少なくとも一つの上に第2絶縁層が積層された構成とすることが可能である。
【0052】
上記実施例1では、金属層130は、第1絶縁層120の内形に応じた筒状であるとした。しかし、金属層は、省略可能である。また、金属層は、第1絶縁層上に設けられている限り任意に設計変更することが可能である。例えば、第1絶縁層の一部(プローブが接触し得る部分)のみに設けることが可能である。なお、金属層は、硬質金属(例えば、Rh、Ni系合金)以外の金属で構成することが可能である。
【0053】
上記実施例1及び2では、プローブ200は、第1、第2端部210、220と、弾性変形部230とを有するとした。しかし、プローブは、上記実施例1、実施例2又は上述した設計変形例のプローブカード用ガイド板の貫通孔に挿通可能である限り任意に設計変更することが可能である。例えば、プローブは、直線状又は片持ち梁状の針とすることが可能である。この場合においても、プローブの長さ方向の第1、第2端部の少なくとも一方が、上記実施例1、実施例2又は上述した設計変形例のプローブカード用ガイド板の貫通孔に挿通される。
【0054】
上記実施例1及び2では、プローブ200は、プローブカード用ガイド板の貫通孔の内壁面に設けられた第1絶縁層、第1絶縁層上に設けられた金属層に接触可能であるとした。しかし、プローブは、プローブカード用ガイド板の貫通孔の内壁面に設けられた第1絶縁層又は第1絶縁層上に設けられた金属層に接触しない構成とすることが可能である。また、プローブはプローブカード用ガイド板の貫通孔の内壁面に設けられた第1絶縁層又は前記第1絶縁層上に設けられた金属層に常時接触した構成(すなわち、ガイド板に常時接触した)とすることが可能である。
【0055】
弾性変形部は省略可能である。また、上記実施例1及び2では、プローブ200の弾性変形部230は、略C字状であるとした。しかし、弾性変形部の形状は、プローブの第2端部に荷重が加えられることにより、当該弾性変形部が弾性変形し、前記プローブが上記実施例1、実施例2又は上述した設計変形例のプローブカード用ガイド板の貫通孔の第1絶縁層又は金属層に接触し得る限りする任意に設計変更することが可能である。例えば、弾性変形部は略く字状又は傾斜形状等に設計変更することが可能である。
【0056】
プローブカードの中間基板500、スプリングプローブ600、メイン基板700及び補強板800は、省略可能である。また、配線基板を他の基板(メイン基板を含む。)に接続するか否かについては適宜設計変更することが可能である。配線基板自体をメイン基板として用いることが可能である。配線基板と他の基板との電気的な接続は、スプリングプローブ600に限定されることはなく、一般的なプローブやケーブル等の周知の接続部材を用いることが可能である。なお、プローブカードは、プローブがガイド板に常時接触する場合も、本段落の記載事項と同様に設計変更することが可能である。
【0057】
なお、上記実施例では、プローブカード用ガイド板及びプローブカードの各部を構成する素材、形状、寸法、数及び配置等はその一例を説明したものであって、同様の機能を実現し得る限り任意に設計変更することが可能である。