【文献】
川口貴弘 外3名,電気自動車用二次電池の連続時間グレーボックスモデリング,計測自動制御学会制御部門大会,日本,2012年 3月,12th
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の連続時間システム同定装置および同定方法には以下に説明するような問題がある。
すなわち、連続時間入力信号u(t)と連続時間出力信号とy(t)の関係は、下記のn次微分方程式で記述され、パラメータ(ai、bi)が未知の単入力単出力システムとされている。
(s
n+a
n-1s
n-1+・・・+a
0)y(t)=(b
nsn+b
n-1s
n-1+・・・b
0)u(t)
なお、i=0〜n、またsはラプラス演算子である。
これを書き換えると、次式のようになる。
y(t)=[N(p,θ)/D(p,θ)]×u(t)
ここで、θは未知のパラメータ・ベクトルであり、(ai、bi)で表される。また、pは微分演算子である。
【0005】
上記従来の連続時間システムのパラメータ同定方法では、N、Dがパラメータθについて線形であると仮定して、上記微分方程式を用いてパラメータを同定するようにしているので、たとえば抵抗やキャパシタなどからなる二次バッテリの等価回路モデルのような非線形のモデルに対しては、上記従来の射影型連続時間システムの同定方法を適用してパラメータを推定することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、非線形モデルに対しても、射影型連続時間システムの同定方法を適用してパラメータを推定することができるようにした連続時間システムのパラメータ同定装置およびその同定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、請求項1に記載の本発明による連続時間システムのパラメータ同定装置は、
対象システムを、複数のパラメータを用いて表した等価モデルと、
対象システムへの入力値を検出する入力検出部と、
所定時間範囲において入力
値を入力したときの対象システムの出力値を検出する出力検出部と、
所定時間範囲においてパラメータと等価モデルをもとに出力
値の予測値を算出する出力予測部と、
出力検出部で検出した出力値と出力予測部で算出した予測値との間の誤差を算出する誤差算出部と、
等価モデルのパラメータに関する感度関数(∂y^(t,θ)/∂θjの偏微分で定義され、y^は推定出力、tは時間、θはパラメータ・ベクトルである)をもとに、誤差算出部で算出した誤差が少なくなるようにパラメータを更新するパラメータ更新部と、
を備え、
出力予測部、誤差算出部、パラメータ更新部におけるそれぞれの算出演算を誤差が最小になるまで算出を繰り返し、誤差が最小のときのパラメータによりパラメータを同定するようにした、
ことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明の連続時間システムのパラメータ同定装置は、
請求項1の連続時間システムのパラメータ同定装置において、
対象システムが、二次バッテリであり、
等価モデルが、バッテリ・モデルであり、
入力検出部が、二次バッテリの充放電電流を検出する電流センサであり、
出力検出部が、二次バッテリの端子電圧を検出する電圧センサであり、
パラメータが、前記二次バッテリの充電率、健全度、前記電流センサのオフセット電流、バッテリ・モデルでの拡散抵抗、バッテリ・モデルでの電解液の抵抗、バッテリ・モデルでの拡散過程の時定数のうちの少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明の連続時間システムのパラメータ同定方法は、
対象システムへの入力値を検出し、
所定時間範囲において前記入力値を入力したときの前記対象システムの出力値を検出し、
所定時間範囲において対象システムの等価モデルで用いるパラメータと等価モデルをもとに出力
値の予測値を算出し、
検出した出力値と算出した予測値との間の誤差を算出し、
等価モデルのパラメータに関する感度関数(∂y^(t,θ)/∂θjの偏微分で定義され、y^は推定出力、tは時間、θはパラメータ・ベクトルである)をもとに、誤差が少なくなるようにパラメータを更新し、
出力
値の予測値の算出、誤差の算出、パラメータの更新を誤差が最小になるまで算出を繰り返し、この誤差が最小のときのパラメータによりパラメータを同定するようにした、
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明の連続時間システムのパラメータ同定方法は、
請求項3の連続時間システムのパラメータ同定方法において、
対象システムが、二次バッテリであり、
等価モデルが、バッテリ・モデルであり、
入力
値の検出部が、二次バッテリの充放電電流を検出する電流センサであり、
出力
値の検出部が、二次バッテリの端子電圧を検出する電圧センサであり、
パラメータが、前記二次バッテリの充電率、健全度、前記電流センサのオフセット電流、バッテリ・モデルでの拡散抵抗、バッテリ・モデルでの電解液の抵抗、バッテリ・モデルでの拡散過程の時定数のうちの少なくともいずれかを含む、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の本発明の連続時間システム同定装置にあっては、バッテリのような非線形モデルに対しても、射影型連続時間システムの同定方法を適用してパラメータを推定することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の本発明の連続時間システム同定装置にあっては、バッテリの充電率、健全度、前記電流センサのオフセット電流、バッテリ・モデルでの拡散抵抗、バッテリ・モデルでの電解液の抵抗、バッテリ・モデルでの拡散過程の時定数のうちの少なくともいずれか推定することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の本発明の連続時間システム同定方法にあっては、バッテリのような非線形モデルに対しても、射影型連続時間システムの同定方法を適用してパラメータを推定することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の本発明の連続時間システム同定方法にあっては、バッテリの充電率、健全度、前記電流センサのオフセット電流、等価モデルでの拡散抵抗、等価モデルでの電解液の抵抗、等価モデルの拡散過程の時定数のうちの少なくともいずれか推定することができる。
【実施例1】
【0017】
まず、実施例1の連続時間システムの同定装置の全体構成を説明する。
この実施例1の連続時間システム同定装置および同定方法は、
図1に示すように、たとえば、対象システムである二次バッテリ1に接続され、この充放電電流を検出する電流センサ2と、電流を入力したときのバッテリ1の端子電圧を検出する電圧センサ3と、マイクロコンピュータ4とを備えている。
なお、電流センサ2は本発明の入力検出部に、また、電圧センサ3は本発明の出力検出部にそれぞれ相当する。
【0018】
マイクロコンピュータ4は、複数のパラメータを用いて表したバッテリ1の等価モデル(バッテリ・モデル)5と、所定時間範囲においてパラメータをもとに出力の予測値を算出する出力予測部6と、電圧センサ3で検出した出力値と出力予測部6で算出した出力の予測値との間の誤差を算出する誤差算出部7と、等価モデル5のパラメータに関する感度関数をもとに、誤差算出部7で算出した誤差が少なくなるようにパラメータを更新するパラメータ更新部8と、を備える。
なお、感度関数については、後で説明する。
出力予測部6、誤差算出部7、パラメータ更新部8におけるそれぞれの算出演算は、誤差が最小になるまで算出を繰り返し、この誤差が最小のときの感度関数を同定することで、パラメータを推定する。
【0019】
次に、上記連続時間システム同定装置で実施する射影型連続時間システム同定法のアルゴリズムについて、以下に説明する。
今、pを微分演算子として、次式のような線形時不変システムを考える。
【数1】
ただし、θは、m次元数ベクトルの集合R
mの要素である未知パラメータ・ベクトルであり、N(p, θ)、D(p, θ)はパラメータに関して線形であること、すなわち
【数2】
と書き表せることを仮定する。なお、Tは転置行列を意味する。
【0020】
推定誤差信号e(t)を
【数3】
であると定義する。なお、文字の上の「^」は、推定値であることを意味する。
真のパラメータθ
0が存在するとき、
【数4】
となる。
【0021】
ここで、上記式(2)、式(3)の関係を用いれば、
【数5】
が導かれる。
【0022】
したがって、基底(べクトルV)
【数6】
の張る部分空間へe(t)を射影したベクトル表現εは、
【数7】
を満たす。
【0023】
しかし、基底Vは、真の対象システムG(p, θ
0)を含むので、これを推定値G(p、θ^)で置き換える必要がある。
なお、推定値を表す「^」は、明細書中では、数式での表記とは異なって表記している。すなわち、「^」は、文字上に配置すべきところ、表記制約上、「^」を付けるべき文字(ここではθ)の後にずらして記載している。
このとき得られる射影のベクトル表現εはGの誤差に起因する項Δを用いて、
【数8】
となる。そこで、
【数9】
にしたがってθ^
kを反復更新して、推定値を決定する。
【0024】
このとき、
【数10】
となり、これを変形して
【数11】
と書くことができる。
【0025】
したがって、このシステムの平衡点は、θ^
k=θ
0であり、その安定性は事変の不確かさΔを持つノミナル安定なシステムとして考察することができる。
式(14)は
図2の閉ループと等価である。
なお、αは、アルゴリズムの安定性を決めるステップ幅パラメータであり、0<α<1の間で決定する。αが1に近いほど収束のスピードは速くなるが、安定性は低下する。そのため、αを適切に決定する必要がある。
言い換えると、0<α<1とするとき、システム[?α/{z?(1?α)}]×Iは安定であり、その∞ノルムは1である。したがって、スモール・ゲイン定理から、Δの最大特異値が時間によらず1以下であることが、アルゴリズムが安定となる十分条件となる。
【0026】
次に、射影の実装では、時刻t
k(k=0,1,2,…,N)における入出力データが得られているとき、基底V
Dおよび推定誤差信号e
Dを、
【数12】
のように構成し、
【数13】
とすればよい。
【0027】
ここでは、対象システムの例として、二次バッテリを取り上げる。二次バッテリを使用する場合、その時々の充電率(SOC: State of Charge)や健全度(State of Health)を知ることで、電気車両の走行条件を制御したり、警報を発したりすることが可能となる。
しかしながら、これらの値は直接検知することができないので、上記射影型連続時間システム同定法を利用する。
【0028】
充電率を推定するための一般的なバッテリの等価回路モデルでは、開回路電圧(OCV: Open Circuit Voltage)と過電圧(Overpotential)の2つの要素を考える。
開回路電圧は電気化学的平衡状態における電極の電位差であり、過電圧はバッテリに電流が流れたときのバッテリ内部での反応のダイナミックスによる電圧降下である。
【0029】
OCVとSOCとの間には電極の材料などによって決まる1対1の対応関係があり、この関係は温度やバッテリの劣化にほとんど依存しないことが知られている。
OCVとSOCの関係の一例を
図3に示す。
SOCは、
【数14】
で求められる。
ただし、i(t)は充放電時の電流であり、充電時を正、放電時を負とする。
また、FCC
0は新品時のバッテリの満充電容量(Full Charge Capacity)、SOHはバッテリの劣化の度合いを表す健全度である。さらに、dは電流センサのオフセット誤差である。
【0030】
過電圧は電解液などの抵抗、電極と電解質の界面の電荷移動過程、バッテリ内部のイオンの拡散過程の3つの要素に分けることができる。
電荷移動過程は時定数が数ミリ秒の早い応答であり、拡散過程は時定数が数百秒に及ぶ遅い応答である。
【0031】
ここでは、データのサンプリング周期などの関係から電荷移動過程は無視できるとし、過電圧部分のインピーダンスを
【数15】
と表現する。
ここで、sはラプラス演算子である。R
0は電解液などの抵抗を表しており、Z
ω(s)はワールブルグ・インピーダンスと呼ばれている拡散過程のインピーダンスである。
【0032】
このワールブルグ・インピーダンスは
【数16】
と表される。ここで、R
dは直流電流に対する拡散抵抗である。また、τ
dは拡散過程の時定数を表す量であり、lを拡散層の厚み、Dを拡散定数とすると、τ
d=l
2/Dを満たす。
このワールブルグ・インピーダンスは、45度の位相遅れを持つことが大きな特徴である。
【0033】
式(21)のインピーダンスはそのままでは扱いにくいが、等価回路を用いて近似することができる。
【数17】
のように双曲線関数の展開であるtanh(・)の連分数展開に対応する
図4に示すようなキャパシタCと抵抗Rとからなるカウエル型の等価回路を扱う。ただし、
【数18】
である。
【0034】
実用上は無次元のモデルを扱うことができないので、適切な次数nで打ち切ることになる。
式(22)のモデルは、等価回路の抵抗やキャパシタが2つの物理パラメータR
d、τ
dのみで決定される点で、R
1〜R
nとC
1〜C
nのすべてを未知数とする従来の等価回路モデルと異なっている。
【0035】
図2のようなSOC−OCV特性の関数をf
OCV(・)と表し、
【数19】
とすると、バッテリの端子電圧v(t)は
【数20】
と表すことができる。ただし、pは微分演算子である。
この式(26)を、電流i(t)が入力、電圧v(t)が出力であるバッテリのモデルとする。
【0036】
バッテリのモデルのうち、関数f
OCVは事前の実験によって得ておく。また、FCC
0は既知の量である。
したがって、バッテリのモデルの未知パラメータθは、
【数21】
となる。
【0037】
上記バッテリのモデルは、式(1)〜式(5)のような形式ではないので、射影型連続時間システム同定法をバッテリのモデルのパラメータ推定に直接適用することはできない。
そこで、射影型連続時間システム同定法を上記バッテリ・モデルのパラメータ推定に適用できるように上記アルゴリズムを変更する。
式(1)の両辺をθ
jで偏微分すると、
【数22】
が成り立つ。
【0038】
したがって、射影型連続時間システム同定法における基底は
【数23】
であると解釈しなおすことで、バッテリのモデルのパラメータを推定することができる。式(29)を基底の「感度関数」と定義する。なお、感度関数の定義は式(29)の右辺の?をとったもので定義するようにしてもよい。感度関数は、勾配や傾きの一種と考えることができる。
【0039】
実際に基底、すなわち感度関数を計算して行くと、
【数24】
となる。
【0040】
上記v
1(t)、v
2(t)、v
3(t)はバッテリのモデルのパラメータ推定を行うための感度関数であり、それぞれSOC、SOH、電流センサのオフセットに関する感度関数である。
ただし、u
s(t)は以下のような単位ステップ信号である。
【数25】
【0041】
次に、R
dとτ
d。による微分を考える。
【数26】
を状態空間によって表現し直すと、
【数27】
となる。
【0042】
ここで、状態方程式(式(38))と観測方程式(式(39))の両辺をθjで偏微分すると、
【数28】
となる。
【0043】
したがって、
【数29】
の応答を計算すれば、基底
【数30】
が得られる。最後に、
【数31】
である。これらの基底を用いて、式(16)を構成することでパラメータを推定することができる。
【0044】
以上の手順を、
図1のマイクロコンピュータで実行されるパラメータ推定処理のための
図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップS0では、事前に実験を行って、バッテリから電流および電圧の波形をサンプリングする。
次いで、ステップS1へ進む。
【0045】
ステップS1では、初期化を行う。すなわち、パラメータの初期推定値θ^
0を適当に決定する。ガウス・ニュートン法は、勾配法の一種であり、反復の初期値θ
0の選び方によっては局所最適解に陥ってしまうことがある。
そのため、適切なθ
0を選ぶことが大切である。連続時間システム同定法においては、未知パラメータ・ベクトルθに対して物理的な意味付けをすることが容易である場合が多いので、対象のシステムに関する事前情報を活かして反復の初期値を決定することが重要である。
次いで、ステップS2へ進む。
【0046】
ステップS2では、ステップS2で得たパラメータの推定値θ^
kを用いて基底V
Dと推定誤差信号e
Dを構築する。
基底は
【数32】
である。ここで、基底ベクトルを
【数33】
のように、感度関数へと定義し直す。
【0047】
また推定誤差信号は
【数34】
であり、推定電圧y^と観測した電圧yを用いると、
【数35】
である。
次いで、ステップS3へ進む。
【0048】
ステップS3では、上記基底V
Dと推定誤差信号e
Dの構築が成功した否かを判定する。判定結果がYESであれば、ステップS4に進み、NOであればステップS1に戻って、初期化からやり直す。
【0049】
ステップS4では、パラメータ推定値の更新を行う。すなわち、
【数36】
を用いて射影を計算する。次に、
【数37】
によってパラメータ推定値を反復更新する。
このとき、基底の一次独立性が弱まって失敗することがある。その場合には、ステップS1に戻り、別のパラメータ初期推定値θ^
0を用いて同様の処理を行う。
成功したら、ステップS5へ進む。
【0050】
ステップS5では、パラメータ推定値の更新が成功したか否かを判定する。判定結果がYESであれば、ステップS6へ進み、NOであればステップS1に戻って、初期化からやり直す。
【0051】
ステップS6では、最終基準、すなわち収束の判定を行う。判定結果がYESすなわち、パラメータ推定値が収束していれば、更新を終了する。
ただし、収束の条件としては、たとえば以下の式を用いることができる。
【数38】
ここで、εはユーザの設定する十分に小さな数である。
一方、判定結果がNOでパラメータ推定値が収束していなければ、ステップS2に戻り、基底V
Dと推定誤差信号e
Dの構築からやり直す。
以上で、パラメータ推定処理を終える。
【0052】
ここで、電気自動車の走行実験により得られた
図6のような入出力データ(同図(a)が入力としての入力電流、同図(b)が出力としての出力電圧)を用いてシミュレーションでパラメータを推定した。
データのサンプリング周期は0.1秒であり、バッテリのモデルのZ
W(s)の次数は4とした。このときのパラメータの推定結果を表にして
図7に示す。この表から物理的にこれらのパラメータの値は妥当であると考えられる。
【0053】
また、観測された出力と実施例1のモデル出力との比較結果を、
図8(測定結果を実線で、推定結果を破線で示す)に示し、またクーロン・カウント法により得たSOCと実施例1で推測したSOCとの比較結果を
図9(クーロン・カウント法による結果を実線で、推定結果を破線で示す)に示した。
これらの結果をみると、慨形は捉えられているものの前半部分で誤差が生じていることが分かる。これは実験の間にバッテリの特性が変化してしまった可能性が考えられ、これを考慮するようにすれば、推定精度をより高くすることが可能となる。
【0054】
ここで、パラメータ推定値の反復更新回数の様子を、出力電圧(下記各図中の(a))とSOC(下記各図中の(b))について、測定結果を実線で、推定結果を破線でそれぞれに示す。
図10は反復0回のとき、
図11は反復3回のとき、
図12は反復6回のとき、
図13は反復9回のとき、
図14は反復15回のときの結果を示す。
これらの図から分かるように、推定の反復更新を繰り返すことで推定精度が次第に高まっていく。したがって、実施例1における推定の反復更新は、推定精度の向上に効果があることが分かる。
【0055】
以上、説明したように、実施例1の連続時間システムのパラメータ同定装置およびその推定方法は、バッテリのような非線形モデルに対しても、射影型連続時間システムの同定方法を適用してパラメータを推定することができる。
【0056】
また、バッテリ1に適用すると、バッテリ1の充電率、健全度、前記電流センサのオフセット電流、バッテリ・モデル5での拡散抵抗、バッテリ・モデル5での電解液の抵抗R
0、バッテリ・モデルでの拡散過程の時定数のうちの少なくともいずれかを一挙に同時推定することができる。
【0057】
以上、本発明を上記実施例に基づき説明してきたが、本発明は上記実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
【0058】
たとえば、本発明の連続時間システムのパラメータ同定装置およびその推定方法は、バッテリ以外の非線形モデルにも適用することができる。