特許第5847689号(P5847689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847689
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】密閉容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 39/04 20060101AFI20160107BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20160107BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20160107BHJP
   B65D 51/16 20060101ALI20160107BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20160107BHJP
【FI】
   B65D39/04 G
   B65D47/20 Y
   B65D47/32 Z
   B65D51/16
   A47J41/02 104B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-249283(P2012-249283)
(22)【出願日】2012年11月13日
(65)【公開番号】特開2014-97804(P2014-97804A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(72)【発明者】
【氏名】江木 功平
【審査官】 神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−235033(JP,A)
【文献】 実開昭60−143537(JP,U)
【文献】 特開2005−278855(JP,A)
【文献】 特開2013−124116(JP,A)
【文献】 米国特許第05947343(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/04
A47J 41/02
B65D 47/20
B65D 47/32
B65D 51/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)と、この容器本体(1)の口部(2)を密封する蓋(3)とを備えている密閉容器において、
前記蓋(3)に組み込んだフック部材(13)が前記容器本体(1)のフック受部(37)から外れるロック解除動作によって、前記蓋(3)を直線移動で前記容器本体(1)から引き抜くことが可能になり、
前記蓋(3)が、前記容器本体(1)内と大気間に亘る連通路(40)を開閉する弁と、前記ロック解除動作を前記弁の開弁動作に変換する連動機構とを有し、
前記ロック解除動作が始まると、前記フック部材(13)が前記フック受部(37)から外れる前に前記弁が前記連動機構の変換によって開き、前記容器本体(1)の内圧が大気圧を上回る状態では当該内圧が前記連通路(40)から大気に逃げることを特徴とする密閉容器。
【請求項2】
前記連通路(40)が前記容器本体(1)内の内容物を注ぐための流路からなる請求項1に記載の密閉容器。
【請求項3】
前記蓋(3)が、前記容器本体(1)内の内容物を注ぐときに使う操作レバー(12)を有し、前記弁が、前記操作レバー(12)で弁軸(17)を軸方向へ押すことによって開き、前記連動機構が、前記フック受部(37)から外れる方向に移動している前記フック部材(13)で直接に前記操作レバー(12)を軸方向に押すことによって、ロック解除動作を開弁動作に変換する請求項2に記載の密閉容器。
【請求項4】
前記容器本体(1)がポットからなる請求項1から3のいずれか1項に記載の密閉容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内容物を密閉空間に蓄える密閉容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、密閉容器は、容器本体と、この容器本体の口部を密封する蓋とを備えている。蓋は、容器本体への収容を容易にするため、着脱可能となっている。その着脱構造として、ねじが採用されている。蓋を付けたまま、容器本体内から内容物をカップ等に注ぐことができるようにするため、内容物を注ぐための流路が、蓋の中に通されている。この流路を閉じて密閉容器内の密閉性を高めるため、蓋に弁と、弁を開くための操作機構とが設けられている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−179071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ねじ式の蓋を採用すると、ねじ部の清掃性が良くない。また、何度も蓋を回して外す必要があるため、面倒であった。この問題は、蓋を直線的な動きで着脱可能な構造にすれば回避できる。
【0005】
しかしながら、例えばポットのように、容器本体に熱い内容物を蓄える場合、大気と遮断されている容器本体の内圧が上昇する。蓋を直線的な動きで着脱可能な構造にする場合、蓋が内圧で押されても外れないようにすることが必要になる。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、密閉容器の容器本体に対して蓋を直線的な動きで着脱可能でありながら、蓋が容器本体の内圧で外れないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本願発明者は、容器本体と、この容器本体の口部を密封する蓋とを備えている密閉容器において、前記蓋に組み込んだフック部材が前記容器本体のフック受部から外れるロック解除動作によって、前記蓋を直線移動で前記容器本体から引き抜くことが可能になる構造の採用を検討した。この蓋の着脱・ロック構造によれば、容器本体に対して蓋を直線的な動きで着脱可能でありながら、蓋が容器本体の内圧で押されても、ロック解除操作をしない限り蓋が容器本体から外れないようにすることができる。
【0008】
ところが、試作を行うと、密閉容器に熱い内容物を蓄えて時間が経過した後で蓋を外す際、フック部材がフック受部から抜けた直後、大気圧を上回る容器本体の内圧で蓋が急に押し出されたり、さらに、容器本体の内壁面に付着している内容物が減圧の吹き出し流に運ばれて飛び出したりする可能性が見い出された。内圧が高いということは、飛び出す内容物も熱いということであり、これを防止しないと、安全上、前述の構造を採用することは好ましくない。なお、従来のねじ式の場合を検討すると、蓋を回して螺合を解除するのに時間を要し、この間にねじ山と谷底の隙間から減圧が進行した後に蓋が外れるため、前述の可能性を見い出せなかった。
【0009】
そこで、この発明は、前記蓋の着脱・ロック構造と共に、前記蓋が、前記容器本体内と大気間に亘る連通路を開閉する弁と、前記ロック解除動作を前記弁の開弁動作に変換する連動機構とを有し、前記ロック解除動作が始まると、前記フック部材が前記フック受部から外れる前に前記弁が前記連動機構の変換によって開き、前記容器本体の内圧が大気圧を上回る状態では当該内圧が前記連通路から大気に逃げる構成の採用により、容器本体に対して蓋を直線的な動きで着脱可能でありながら、フック部材とフック受部で蓋が容器本体の内圧で外れないようにしつつ、内圧上昇状態で蓋のロックを解除した際の急な蓋押し出しや内容物の飛び出しを防ぐことができるようにした。
【0010】
前記連通路が前記容器本体内の内容物を注ぐための流路からなることが好ましい。この場合、内圧逃し用の前記連通路及び弁と、内容物を注ぎ用の流路及び弁を兼用化しているので、蓋の構造複雑化を防止することができる。
【0011】
特に、前記蓋が、容器本体内の内容物を注ぐときに使う操作レバーを有し、前記連動機構が、前記フック受部から外れる方向に移動している前記フック部材で直接に前記操作レバーを軸方向に押すことによって、ロック解除動作を開弁動作に変換することが好ましい。この場合、連動機構を蓋のロックに必要なフック部材と、内容物を注ぐのに必要な操作レバーとで構成しているので、変換専用の他部材を蓋に組み込むことがなく、蓋の構造複雑化を防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、フック部材とフック受部で蓋が容器本体の内圧で外れないようにすることができ、このようにしても、内圧上昇状態で蓋のロックを解除した際の急な蓋押し出しや内容物の飛び出しを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は、この発明の実施形態に係る密閉容器の蓋ロック解除動作と開弁動作の連動機構を示す作用図、(b)は、前記(a)からさらにロック解除動作が進んで蓋のロックが解除された状態を示す作用図
図2図1の密閉容器の全体構成を蓋がロックされた状態で示す縦断側面図
図3図2と同じ状態の縦断正面図
図4図1の密閉容器の分解斜視図
図5図2の蓋のトップカバーを外した状態の分解斜視図
図6図2の蓋の栓ユニットの分解斜視図
図7】(a)は図2のときのラック部とピニオンの関係を示す平面図、(b)は図1(b)のときのラック部とピニオンの関係を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施形態に係る密閉容器を添付図面に基いて説明する。図2図3に示すように、この密閉容器は、容器本体1と、この容器本体1の口部2を密封する蓋3とを備えている。
【0015】
容器本体1は、少なくとも内容物を入れる容器を含み、密閉容器の蓋を除いた部分のことをいう。例えば、容器本体1として、図示のようなポットの他、マグボトル、ランチボックスの汁容器等が挙げられる。容器本体1は、図2図4に示すように、内容物の給水口となる口部2をもった断熱容器4と、断熱容器4の肩部に被さる肩カバー部材5とをもっている。断熱容器4に代えて、真空層、断熱部材等の断熱手段をもたない剛性容器を採用してもよい。肩カバー部材5は、内容物の注ぎ口6と、ハンドル7とをもっている。断熱容器4として、例えば、ステンレス製の真空二重容器、魔法瓶等を用いることができる。
【0016】
蓋3は、図2図4図5に示すように、直線移動で口部2から断熱容器4に対して抜き差しされる栓ユニット8と、栓ユニット8に被さるトップカバー9とを組み合わせた構造になっている。直線移動方向を図中に一点鎖線で描いた。一点鎖線は、断熱容器4の断面円形状の内周面と同一軸線上にある。栓ユニット8は、図2図3図5に示すように、断熱容器4の内周に密着する栓パッキン10と、断熱容器4内から注ぎ口6まで連通する流路11と、流路11を開閉する弁と、内容物を注ぐときに使う操作レバー12と、フック部材13、13と、ピニオン14、フック復帰ばね15、15、レバー復帰ばね16とをもっている。
【0017】
前記弁は、図2図3図6に示すように、弁軸17と、弁軸17を軸方向に案内する弁軸ガイド18と、弁体19と、弁座20と、弁ばね21と、弁軸ばね22と、弁ばね押さえ23、弁軸ばね押さえ24とからなる。弁軸ガイド18、弁座20、流路11は、一体の下筒部材25に形成されている。弁ばね押さえ23と、下筒部材25の上面との間に弁ばね21が介在している。下筒部材25の下面と弁体19との間に弁軸ばね押さえ24と、弁軸ばね22が介在している。弁ばね21、弁軸ばね22が自然長のとき、弁軸17は待ち受け位置にあり、弁体19が弁座20に密着し、前記弁は閉じた状態になっている。使用者が操作レバー12のハンドル7側を押すと、傾いた操作レバー12で弁軸17の頭部を押すことができる。これにより、頭部を押された弁軸17が軸方向に下降する。この下降中、弁軸17に係止している弁ばね押さえ23が一緒に下降し、弁ばね21を圧縮し、また、弁軸17に係止している弁軸ばね押さえ24、これに押された弁軸ばね22、弁体19も一緒に下降する。弁体19が下降すると弁座20から浮き、前記弁が開いた状態になる。使用者が操作レバー12を離すと、レバー復帰ばね16によって操作レバー12が待ち受け位置に戻り、弁軸17が弁ばね押さえ23から弁ばね21の弾性回復力を受けて上昇し、待ち受け位置に復帰し、これにより、前記弁が閉じた状態になる。
【0018】
図2図5図6に示すように、操作レバー12の揺動軸を支持する軸受部26、フック部材13を弁軸ガイド18と直角な進退方向に案内するフックガイド部27、フック部材13と共にフック復帰ばね15、15を保持するばね受部28、ピニオン14の旋回支持部29は、一体の栓カバー部材30の上面に形成されている。図5に示すように、フック部材13は、プッシュ面31と、ラック部32とをもっている。図6に示す栓カバー部材30と下筒部材25を図5に示すように係合し、さらに栓カバー部材30にトップカバー9を被せてねじ止めすると、図2図4に示すように、フック部材13等が組み込まれた蓋3になる。図3図4に示すように、トップカバー9の上面には、フック部材13のプッシュ面31を押すロック解除操作を実施するための凹み孔33が形成されている。
【0019】
図3図4に示すように、肩カバー部材5は、トップカバー9の後方突出部34が嵌る切欠き部35と、フック部材13のフック部36が前記直線方向に引っ掛かるフック受部37とをもっている。蓋3の直線方向回りの向きを後方突出部34と切欠き部35とが合う方向にして、蓋3の栓ユニット8側を口部2から前記直線方向に差し込むと、トップカバー9が肩カバー部材5に載る前に、フック部材13のテーパ状の滑り面38がフック受部37に当たり、この際の進退方向の分力でフック復帰ばね15が圧縮される。さらに差し込みが進んで、フック部材13がフック受部37よりも低くなると、フック復帰ばね15の弾性回復によってフック部材13が進出し、フック部36がフック受部37の下方に位置する。これにより、フック部36とフック受部37とによって蓋3が容器本体1にロックされた状態になる。この差し込みの間、図7(a)、(b)に示すように、ラック部32、32とピニオン14によって両フック部材13、13の同期した進退運動が成される。
【0020】
図3の状態から使用者が図1(a)に示すようにフック部材13のプッシュ面31を押すロック解除操作によって、フック復帰ばね15が負けて圧縮され、図1(b)に示すようにフック部36がフック受部37から外れるまでフック部材13が後退する。これにより、蓋3を前記直線方向に沿った直線移動で容器本体1から引き抜くことが可能になる。なお、このロック解除動作の間も両フック部材13、13の同期運動が成されることは勿論である。
【0021】
図3に示すように蓋3が容器本体1にロックされた状態で、図2に示すように流路11の出口路39が注ぎ口6と一連になっている。すなわち、流路11と注ぎ口6が連なることにより、容器本体1内と大気間に亘る全長の連通路40が形成されている。操作レバー12を押さない限り、前記弁は流路11の入り口で連通路40を閉じている。連通路40は、操作レバー12を押して前記弁を開いた状態のまま、この密閉容器全体を注ぎ口6の方へ傾けて容器本体1内から内容物をカップ等の外部へ注ぐための流路になる。
【0022】
蓋3は、図1(a)、(b)に示すように、前記ロック解除動作を前記弁の開弁動作に変換する連動機構を有する。この連動機構は、操作レバー12と、フック部材13とからなる。図1(a)に示すように、ロック解除操作によってフック受部37から外れる方向に移動しているフック部材13のテーパ状の当り面41が、操作レバー12の角部42に接触して下向きの分力が発生する。この分力が操作レバー12を軸方向に押し下げ、操作レバー12を介して弁軸17に伝わった分力が弁ばね21を圧縮し、これに伴って弁軸17が軸方向に下降し、弁体19が弁座20から浮いて前記弁が開く。さらにロック解除動作が進むと、図1(b)に示すように、角部42が当り面41よりも低くなり、フック部材13が操作レバー12の上を進退方向に進み、前記弁が最も開いた状態になる。このように、この連動機構は、フック受部37から外れる方向に移動しているフック部材13で直接に操作レバー12を軸方向に押すことによって、ロック解除動作を開弁動作に変換することができる。なお、弁体19に作用する断熱容器4の内圧が弁軸ばね22の弾性力よりも強い場合、弁軸17のみが下降し、弁体19と弁軸17間に生じた隙間から内圧が抜け、弁体19に作用する内圧が弁軸ばね22の弾性力よりも弱くなってくると、弁体19が下降し、弁体19と弁座20間に生じた隙間からも内圧が抜ける。
【0023】
図3に示すように、蓋3がロックされ、前記弁が閉じているとき、当り面41は、操作レバー12の角部42の直近に待機している。この待機時、当り面41と角部42間の進退方向の距離は、フック受部37とフック部36の進退方向の掛かり代よりも明らかに小さい。使用者がフック部材13のプッシュ面31を押してロック解除操作を開始すると、図1(a)に示すように当り面41が速やかに操作レバー12を押し始め、フック部材13のフック部36がフック受部37の下方から外れる前に、前記弁が前記連動機構の変換によって開く。
【0024】
容器本体1の断熱容器4内に熱い内容物を蓄えて時間が経過すると、外部からの加熱がなくとも、断熱容器4の内圧が大気圧を上回る。この状態で使用者が蓋3を容器本体1から外す際、ロック解除操作を開始すると、フック部36がフック受部37の下方から外れる前に、前記弁が開き、断熱容器4の内圧が図2に示す連通路40から大気に逃げる。
【0025】
したがって、この密閉容器は、容器本体1に対して蓋3を直線的な動きで着脱可能でありながら、蓋3が容器本体1の断熱容器4の内圧で外れないようにすることができる。また、容器本体1の内圧が大気圧を上回る状態では、図1(b)に示すようにフック部36がフック受部37から外れた蓋3のロック解除時点で既に断熱容器4の内圧が減圧されているので、蓋3が急に押し出されたり、断熱容器4の内壁面に付着している内容物が飛び出したりする現象を防ぐこともできる。さらに、この密閉容器は、図2に示す連通路40及び前記弁が内圧逃し用と、内容物注ぎ用を兼ねているので、蓋3の構造複雑化を防止することができる。さらに、この密閉容器は、連動機構を図1(a)、(b)に示すように蓋3のロックに必要なフック部材13と、内容物を注ぐのに必要な操作レバー12とで構成しているので、変換専用の他部材を蓋に組み込むことがなく、これによっても蓋3の構造複雑化を防止することができる。
【0026】
なお、ポットのように熱い飲食物を内容物とする場合、その温度は、65℃〜100℃である。一般的な断熱容器4の断熱性能からすると、6時間を越えると、内容物の温度が下がるので、内圧が問題になることはない。したがって、100℃の内容物を断熱容器4に満たして標準大気圧、20℃の雰囲気下での放置時間が6時間以内の条件下で断熱容器4の内圧が最も高いときに蓋3を外す際、フック部36がフック受部37から外れた時点で前述の減圧性能を達成できることが好ましく、理想的には大気圧まで減圧できることが好ましい。
【0027】
連通路40の前記弁よりも大気側に付着していた内容物は、大気に熱を奪われて冷めているので、減圧中に飛び出しても危険性はない。断熱容器4の内壁面に付着している内容物は、連通路40に入り込んだとしても、連通路40は大気に出るまでに複雑に曲がっているので、連通路40の壁面で捕捉でき、減圧中に連通路40から飛び出す心配はない。
【0028】
実施形態では、弁軸と弁体が独立した例を示したが、弁軸と弁体が一体になっているものでもよい。また、この実施形態ではフック部材が操作レバーを介して弁軸を押すようにしたが、兼用例にする場合、フック部材が直接に弁軸を押すようにすることもできる。例えば、操作レバー12の揺動軸の高さをより上に設定できる場合、弁軸17をさらに上方へ延長し、当り面41で押す角部42相当箇所を弁軸17に設ければ、フック部材13が直接に弁軸17を押すようにすることができる。この発明の技術的範囲は、上述の態様に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0029】
1 容器本体
2 口部
3 蓋
4 断熱容器
6 注ぎ口
11 流路
12 操作レバー
13 フック部材
17 弁軸
18 弁軸ガイド
19 弁体
20 弁座
21 弁ばね
23 弁ばね押さえ
27 フックガイド部
28 ばね受部
31 プッシュ面
32 ラック部
36 フック部
37 フック受部
39 出口路
40 連通路
41 当り面
42 角部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7