【実施例】
【0037】
以下、本発明を表1〜3を用いて説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。表1は、光重合開始剤を有するウレタンアクリレート(D)に用いる化合物の配合を表したものであり、表2及び表3は、組成物の配合及びその評価をまとめたものである。
【0038】
<実験材料の調製>
実施例に係る接着剤乃至ハードコート剤は下記の処方で製造した。
【0039】
表1中に記載した各化合物は、以下のものである。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)−イ:2−ヒドロキシエチルメタクリレート;
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)−ロ:ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学社製、製品名V#300);
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)−ハ:グリセリンジメタクリレート(共栄社化学社製、製品名ライトエステルG−101P);
水酸基を有する光重合開始剤(B)−イ:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・ジャパン社製、製品名Irgacure184);
水酸基を有する光重合開始剤(B)−ロ:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン社製、製品名Irgacure127);
水酸基を有する光重合開始剤(B)−ハ:1−[4−(ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オン(チバ・ジャパン社製、製品名Irgacure2959);
2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート(C)−イ:ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(旭化成ケミカルズ社製、製品名デュネラート TPA−100);
2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート(C)−ロ:トリレンジイソシアネート;
重合可能な(メタ)アクリレート(E)−イ:ジシクロペンテニルジアクリレート;
重合可能な(メタ)アクリレート(E)−ロ:トリメチロールプロパントリアクリレート;
シランカップリング剤(F)−イ:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;
シランカップリング剤(F)−ロ:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0040】
光重合開始剤を有するウレタンアクリレート(D)は、遮光条件下で、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体(A)と水酸基を有する光重合開始剤(B)とを酢酸エチル中で攪拌しながら40℃に加温した後、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート(C)を2時間かけて連続的に添加し、更に6時間攪拌することにより得たものである。
【0041】
(実施例及び比較例)
各実施例及び比較例に対応する接着剤乃至ハードコート剤の主な成分とその配合量は、表1〜3に示す通りである。調製にあたっては、これらの表1に示した成分に加えて、上述の(E)成分及び(F)成分を配合したものである。
比較例1〜2においては、光重合開始剤を有するウレタンアクリレート(D)の代わりに、ウレタンアクリレートオリゴマ(根上工業社製、製品名UN−3320HS)50〜100質量部と光重合開始剤(チバ・ジャパン社製、製品名Irugacure651)3質量部を配合したものを用いて組成物を調製した。
【0042】
各種物性は、次のように測定した。
【0043】
〔光硬化性〕
温度23℃で測定した。光硬化性に関しては、テンパックスガラス(25mm×25mm×2mm)の表面に硬化性樹脂組成物を厚み0.1mmになるように塗布した。その後、無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置を用い、波長365nmのUV光を積算光量2000mJ/cm
2の条件にて照射し、硬化させた。光硬化性として、硬化率を記載した。硬化率は、FT−IRを使用し、以下の式により算出した。
(硬化率)=[100−((硬化後の、炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルの強度)/(硬化前の、炭素と炭素の二重結合の吸収スペクトルの強度))]×100(%)
光硬化性の評価は次の通り。
○:表面にタック無し(FT−IRから算出した硬化率:90%以上)、△:表面の一部にタック有り(FT−IRから算出した硬化率:50%−89%)、×:表面全体にタック有り(FT−IRから算出した硬化率:0−49%)。
【0044】
(評価用部材製造方法:実施例比較例共通)
得られた組成物を、膜厚が10μmとなる様に、バーコーターにてテンパックスガラス(25mm×25mm×2mmt)上に塗布し、〔光硬化性〕に従い硬化後、組成物の皮膜を形成した。
【0045】
得られた各フィルムの全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度の結果及び耐光性試験の結果の値を表1〜3に一括して示す。
【0046】
性能試験方法は下記の通りである。
【0047】
(全光線透過率及びヘーズ)
ヘーズメーター(スガ試験機社製)を使用し、JIS K7361及びJIS K7136に準拠して測定した。
【0048】
(鉛筆硬度)
スクラッチ試験機(KASAI社製)を使用し、JIS K5600−5−4に準拠し、荷重1kgで測定した。
【0049】
(耐光性試験)
サンシャインウエザーメーター(スガ試験機社製)を用い、サンプルのコーティング面側に紫外線を照射し、200時間暴露した(水噴霧なし)。暴露後のサンプルについて、鉛筆硬度を測定した。
【0050】
(ガラスへの引張せん断接着強さ(接着強さ、ガラス))
JIS K 6850に従い測定した。被着材としてテンパックスガラス(25mm×25mm×2mm)を用いた。接着部位を8mmφ(接着部位を8mmφとは、接着部位が直径8mmの円であることをいう)として、樹脂組成物を用い、2枚のテンパックスガラスを貼り合わせた。無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm
2の条件にて硬化させ、引張せん断接着強さ試験片を作製した。試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張せん断接着強さを測定した。
【0051】
(ポリエステルへの接着強さ(接着強さ、ポリエステル))
被着材としてPETフィルム(10mm×50mm×185μm)を用いた。接着部位を10mm×30mmとして、樹脂組成物を用い、2枚のPETフィルムを貼り合わせた。無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm
2の条件にて硬化させ、剥離接着強さ試験片を作製した。試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度50mm/minで剥離接着強さを測定した。
【0052】
(ポリカーボネートへの引張せん断接着強さ(接着強さ、ポリカーボネート))
JIS K 6850に従い測定した。被着材としてポリカーボネート板(25mm×25mm×2mm)を用いた。接着部位を8mmφ(接着部位を8mmφとは、接着部位が直径8mmの円であることをいう)として、樹脂組成物を用い、2枚のポリカーボネート板を貼り合わせた。無電極放電ランプを使用したフュージョン社製硬化装置により、365nmの波長の積算光量2000mJ/cm
2の条件にて硬化させ、引張せん断接着強さ試験片を作製した。試験片は、万能試験機を使用して、温度23℃、湿度50%の環境下、引張速度10mm/minで引張せん断接着強さを測定した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
表より、本発明の樹脂組成物は、以下の特徴を有することが判る。
(1)本発明の樹脂組成物は、気泡を含まずに貼り合わせることができ、透明性が大きい。本発明の樹脂組成物は、透明基板の保護基材となる。
(2)本発明の樹脂組成物は、鉛筆硬度、特に耐光性試験後の鉛筆硬度が大きい。本発明の樹脂組成物は、光暴露の環境下で使用しても傷が付きにくいハードコート剤を提供できる。
(3)本発明の樹脂組成物は、十分な接着性を確保する。本発明の樹脂組成物は、接着剤として使用できる。