特許第5847791号(P5847791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847791
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】内燃機関用熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20160107BHJP
   F01K 23/10 20060101ALI20160107BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20160107BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20160107BHJP
【FI】
   F01N5/02 B
   F01K23/10 P
   F28D7/10 A
   F28D7/02
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-265992(P2013-265992)
(22)【出願日】2013年12月24日
(65)【公開番号】特開2014-148971(P2014-148971A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2013年12月24日
(31)【優先権主張番号】10 2013 201 465.1
(32)【優先日】2013年1月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513212291
【氏名又は名称】エーバーシュペッヒャー・エグゾースト・テクノロジー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュヴァイツァー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルト ガイザー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ビルグラー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス フォイエルバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ディミトリ ペナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ クリングラー
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング クライン
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−214537(JP,A)
【文献】 特開2009−144606(JP,A)
【文献】 特開2006−105124(JP,A)
【文献】 特公平7−31016(JP,B2)
【文献】 実公昭61−26777(JP,Y2)
【文献】 特開2008−231942(JP,A)
【文献】 特許第4582042(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F01K 23/10
F28D 7/00−7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流(8)と作動媒体流(10)との間で熱伝達を行うための内燃機関(1)に用いる熱交換器であって、
ガス流路(38)を含むハウジング(28)と、
作動媒体路(30)を導通させ、前記ガス流路(38)に設けられ、かつ前記ハウジング(28)の長手方向の中心軸(31)に沿って螺旋状に伸びる、少なくとも1つのコイル管(29)と、
前記ハウジング(28)と前記少なくとも1つのコイル管(29)との間に設けられた外側弾性軸受層(32)と、を備え
前記ハウジング(28)には、前記ハウジング(28)の長手方向の中心軸(31)と同軸上に伸びるコア管(33)が設けられ、
前記ガス流路(38)は、半径方向において前記ハウジング(28)と前記コア管(33)との間に形成され、前記少なくとも1つのコイル管(29)が前記ハウジング(28)と前記コア管(33)との間に設けられ、
前記コア管(33)は、前記少なくとも1つのコイル管(29)の領域における前記ガス流路(38)を迂回するバイパス路(35)を有し、
前記バイパス路(35)は、前記少なくとも1つのコイル管(29)の上流及び下流において前記ガス流路(38)に流体的に接続し、
前記外側弾性軸受層(32)は、円周方向に延びて閉じており、前記コイル管(29)及び前記ハウジング(28)と接触していることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
請求項1の熱交換器において、前記バイパス路(35)は、前記コイル管(29)の上流及び下流において前記ガス流路(38)と流体的に接続し、それらの接続のうち一方は前記コア管(33)に形成された貫通部(36)により成され、他方は前記コア管(33)の中断により成されることを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2の熱交換器において、前記コア管(33)と前記少なくとも1つのコイル管(29)との間に設けられた内側弾性軸受層(37)を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の熱交換器において、前記コア管(33)は、前記バイパス路(35)の貫流可能断面を制御するための制御装置(39)を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の熱交換器において、前記コア管(33)は前記ハウジング(28)の長手方向の両端において前記ハウジング(28)から突出し、前記ハウジング(28)のガス吸気口(43)及びガス排気口(44)を構成する、ことを特徴とする熱交換器。
【請求項6】
請求項4又は5の熱交換器において、前記コア管(33)は、前記ガス吸気口(43)を有する吸気部(48)と、前記ガス排気口(44)を有する排気部(49)と、前記制御装置(39)を有する制御部(50)の、3つの管部によって軸方向に組み立てられることを特徴とする熱交換器。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の熱交換器において、前記少なくとも1つのコイル管(29)は、前記ガス流路(38)内へ突出する複数のフィン(52)を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の熱交換器において、前記弾性軸受層(32、37)はそれぞれ、セラミック繊維マット、編込ワイヤーメッシュ、編込金属メッシュ、金属発泡体、セラミック発泡体構造、耐熱材料、合成構造、又は吸収マットであることを特徴とする熱交換器。
【請求項9】
請求項1からのいずれかに記載の熱交換器において、前記軸受層(32、37)はそれぞれ、前記ガス流に対して露出する側に少なくとも設けられている取付用支え(53)を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項10】
請求項の熱交換器において、前記取付用支え(53)は、ワイヤーメッシュ、金属箔、グラファイト箔、グラファイト層、耐熱織物構造、耐熱性の繊維、金属製組みひも、ワイヤ編地、または金属発泡体であることを特徴とする熱交換器。
【請求項11】
請求項9又は10の熱交換器において、前記軸受層(32、37)は繊維材料を備え、前記取付用支え(53)は前記繊維材料の繊維を通さないように構成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の熱交換器において、前記軸受層(32、37)のそれぞれは円周方向に伸びて閉じた軸受マットとして構成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の熱交換器において、前記軸受層(32、37)のそれぞれは、半径方向内側及び半径方向外側で隣接する各要素(28、29、33)に接触することを特徴とする熱交換器。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の熱交換器において、前記軸受層(32、37)のそれぞれは半径方向に圧縮されることを特徴とする熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス流と作動媒体流との間で熱伝達を行う内燃機関に用いる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特に自動車の内燃機関において、熱交換器は広範囲の用途に用いることができる。例えば、周囲空気を通過させる熱交換器は、エンジン冷却回路に組み込まれてこの冷却回路から周囲へ放熱する。また、エンジン冷却回路に熱的に結合した熱交換器は、車内の空気流にさらされて車内の空気流を加熱する。さらに、熱交換器を内燃機関の排気システムに組み込んで排気ガスから熱を取り出し、それにより、例えば車内を暖めたり、廃熱回収回路内の作動媒体を蒸発させたりすることも可能である。同様に、作動媒体流を用いてガス流を冷却する、給気冷却器や排気ガス再循環冷却器も知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱交換器がそれぞれの適用範囲内で高温及び/又は大きな温度変動に晒されると、熱的及び機械的に高い負荷が熱交換器にかかる。特に、熱交換器がガス側の排気ガス流又は排気ガス再循環流に晒された場合、熱交換器は高い疲労強度が求められる。車両に用いる場合も、振動や衝撃によって高い負荷に晒される。
【0004】
本発明は、上述した種類の熱交換器を改善した、特に高い疲労強度を有することを特徴とする実施形態を示す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上述の問題は独立請求項の主題を通じて解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題として記載する。
【0006】
本発明は、ガス流路を内部に含むハウジングを備えた熱交換器において、外側弾性軸受層を介して少なくとも1つのコイル管をハウジングに搭載する一般的な概念に基づいている。この場合、そのようなコイル管はガス流路に配置され、ハウジングの長手方向の中心軸に対して螺旋状に延びる。作動媒体路はコイル管を通り、それによって、ガス流と作動媒体流との間の熱伝達がガス流路に配置されたコイル管を経由して最終的に行われる。この場合の外側軸受層は、半径方向において前記ハウジングと前記少なくとも1つのコイル管との間に設けられる。実際は、この外側軸受層は円周方向の全周囲に亘って設けられている。コイル管を用いることで、コイル管内の熱膨張効果を比較的容易に吸収することができる。その理由は、コイル管の長さが可変であることに加えて、熱膨張効果は実質的に軸方向にのみ影響するためである。さらに、外側軸受層によって、半径方向の膨張効果を弾性的に確実に吸収することができる。そのため、熱交換器の疲労強度を高めることができる。
【0007】
有利な実施形態による外側軸受層が前記ハウジングと前記少なくとも1つの管内とにおいて組み立てられた状態で半径方向に圧縮されると、外側軸受層をハウジングに対してコイル管を軸方向に固定するのに用いることができ、それにより固定手段を減らす、さらには省略することができる。
【0008】
別の有利な実施形態によると、ハウジングの長手方向の中心軸と同軸上に延びる好ましくは管状のハウジング内にコア管を設けることができる。その場合、前記ガス流路は、半径方向において前記ハウジングと前記コア管との間に形成される。従って、前記少なくとも1つのコイル管は、半径方向において前記ハウジングと前記コア管との間にも延びることができる。同様に、前記コア管は、前記少なくとも1つのコイル管の領域において前記ガス流路を迂回するバイパス路を有している。このようにして、互いに平行に延びる2つのガス流路、つまり作動媒体と熱結合する実際のガス流路とこの熱結合を迂回するバイパス路、が熱交換器に形成される。ガス流と作動媒体流との熱結合が好ましくない運転状態に対して、前記ガス流はバイパス路を流れ、それにより各コイル管の熱負荷が最終的に低減される。ある有利な実施形態においては、前記バイパス路は前記少なくとも1つのコイル管の上流及び下流で前記ガス流路に流体的に接続する。したがって、ガス流路とバイパス路との間の流体結合は熱交換器のハウジング内で起こる。例えば、前記コア管は、前記ガス流路への流体結合において、中断部又貫通部を有してもよい。
【0009】
別の有利な実施形態では、半径方向において前記コア管と前記少なくとも1つのコイル管との間に設けられた内側弾性軸受層を設ける。この内側軸受層は特に円周方向の全周囲に亘って設けられていてもよい。この内側軸受層により各コイル管をさらにコア管によって支持することができ、この場合、内側軸受層の弾性によって熱膨張効果を補償できる。ある有利な実施形態において、前記内側軸受層は前記コア管と前記少なくとも1つのコイル管との間で半径方向に圧縮され、これによりコイル管をコア管に対して、さらにそれによりハウジングに、位置決めするために内側軸受層を利用することができる。
【0010】
別の有利な実施形態において、前記コア管は、バイパス路の貫流可能断面を制御するための制御装置を有してもよい。このような制御装置によって、前記ガス流はハウジングとコア管との間の環状空間におけるガス流路及びバイパス路に亘ってほぼ任意に分散することができる。ある簡単な実施形態では、前記制御装置は、前記バイパス路の貫流可能断面を少なくとも開閉することができる。しかし、好ましい実施形態では、少なくとも1つの中間位置が可能である。特に、コア管及び環状空間に亘ってほぼ任意に流れを分散させるために、任意の数の複数の中間位置を特に無段階かつ調整可能に設けてもよい。
【0011】
別の有利な実施形態では、前記コア管は前記ハウジングの長手方向の両端においてハウジングから突出し、前記ハウジングのガス吸気口及びガス排気口を構成する。このようにして、ガス吸気口及びガス排気口、つまりコア管、を介してガス流を通すラインに熱交換器を組み込むことができる。この場合、前記ハウジングは前記コア管に支持される。
【0012】
別の有利な実施形態によると、前記コア管は、記ガス吸気口を有する吸気部と、前記ガス排気口を有する排気部と、前記制御装置を有する制御部の、3つの管部によって軸方向に組み立てられる。このため、特に簡単な方法で実現する構造が得られ、熱交換器の組み立てが容易になる。
【0013】
別の有利な実施形態によると、前記少なくとも1つのコイル管は、前記ガス流路内へ突出する複数のフィンを有する。そのようなフィンは、例えば、コイル管の中心の管本体に取付けた複数の円盤状であってもよい。または同様に、中心の管本体に沿って螺旋状に延びる網目構造によって前記フィンを実現してもよい。これらのフィンによって、ガスと作動媒体との熱伝達が大きく向上する。
【0014】
別の有利な実施形態によると、各弾性軸受層は、セラミック繊維マット、編込ワイヤーメッシュ、編込金属メッシュ、金属発泡体、セラミック発泡体構造、又は吸収マットである。同様に、合成構造であってもよい。各軸受マットは単層又は複層からなってもよい。各軸受マットは、一体であってもよいし、複数の部材で構成されてもよい。
【0015】
実際には、各軸受層は耐熱性を有するように構成される。
【0016】
別の実施形態によると、各軸受層はバネ要素及び/又は波形の金属板で形成され、及び/又は弾力性のある板状金属層を用いて形成される。
【0017】
別の有利な実施形態によると、各軸受層は、少なくともガス流に露出した側に取付用支えを有している。特に、外側軸受層が、コイル管に面した内側にそのような取付用支えを備えている。それに加えて、又はその代わりに、前記内側軸受層がコイル管に面した外側に上述のような取付用支えを備えてもよい。同様に、各軸受層が内側及び外側に上述のような取付用支えを備えてもよい。さらに、各軸受層が上述のような取付用支えで完全に覆われていてもよい。この取付用支えにより、軸受層の機械的強度を向上できる。特に、前記取付用支えは各軸受層を機械的摩耗から保護できる。
【0018】
別の有利な更なる実施形態によると、各取付用支えは、例えば、特に圧延された、ワイヤーメッシュ、金属箔、グラファイト箔、グラファイト層、耐熱織物構造、耐熱性の繊維、金属製組みひも、ワイヤ編地、又は金属発泡体である。また、上述の実施形態を組み合わせてもよい。
【0019】
別の有利な実施形態によると、前記軸受層は、繊維材料を含むか、またはそのような繊維材料のみからなる。そして、前記取付用支えは、前記繊維材料の繊維を実質的に通さないように構成されている。この設計により、繊維が軸受層から現れることを防ぎ、それにより設置における耐久性が向上する。
【0020】
別の有利な実施形態では、各軸受層は、円周方向に伸びて閉じた軸受マットである。そのような軸受マットは、例えばハウジング又はコア管に対して各コイル管の位置を固定するための半径方向の押圧が可能になる。そのような押圧は、上述のような軸受マットによって高温下においても永久的に保持され、同時に、熱膨張効果を可逆的に補償するために適切な弾性を備えている。このような軸受マットは、例えば触媒コンバーターの円筒状の金属性ハウジングにおけるセラミックモノリス又は粒子フィルターを位置決めするのに用いることができる。
【0021】
別の有利な実施形態では、各軸受層は半径方向内側及び半径方向外側に隣接する各要素と接触してもよい。さらに、各軸受層は半径方向に圧縮されてもよい。
【0022】
各軸受層は、同時に断熱性を有するようにさらに構成されてもよい。この場合、外側軸受層はガス流に対してハウジングを断熱する。内側軸受層はコア管を断熱し、迂回することによって外部への放熱が低減される。
【0023】
さらに、本発明の重要な特徴及び効果を、図面を参照しながら、従属クレーム、図面、及びそれに対応する図面の説明により述べる。
【0024】
上述し、以下にさらに説明する特徴は、ここで述べた組み合わせ以外にも、本発明の適用範囲を離れることなく別の組み合わせで用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の好ましい例示的な実施形態を図示し、以下に詳細に説明する。同じ参照符号は同一又は同様の機能を有する構成要素を示す。
図1図1は、内燃機関を示す、非常に簡略化した回路図である。
図2図2は、熱交換器の長手方向の断面図である。
図3図3は、熱交換器の等角拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示すように、内燃機関1は、通常、複数の燃焼室3を備えたエンジンブロック2と、燃焼室3へ外気を供給するための外気システム4と、燃焼室3からの排気ガスを排出するための排気システム5と、排気ガスの熱を活用するための廃熱回収システム6とを備えている。外気システム4における外気流7を矢印で示す。排気システム5における排気ガス流8を矢印で示す。廃熱回収システム6は、作動媒体が循環する廃熱回収回路9を備え、ここにおける作動媒体流10を矢印で示す。廃熱回収回路9において、作動媒体を駆動する搬送装置11と、作動媒体を蒸発させる蒸発器12と、作動媒体を膨脹させる膨張器13と、作動媒体を凝縮する凝縮器14とが、作動媒体10が流れる方向に沿って順番に並んでいる。
【0027】
膨張器13は、例えば動力を発生させる発電機15を駆動することが可能である。凝縮器14は、エンジンブロック2を冷却するエンジン冷却回路17に流体的に及び/又は熱的に結合可能な冷却回路16に組み込むことができる。特に、冷却回路16はエンジン冷却回路17の支流で構成されてもよい。蒸発器12は、排気システム5に適宜設置される熱交換器18で構成される。それにより、熱交換器18は、排気システム5における排気ガス流8と作動媒体流10との熱伝達を行う。廃熱回収システム6は、クラウジウス・ランキンサイクル工程の原理に従って動作することが好ましい。通常、排気システム5は、例えば触媒コンバーター又は粒子フィルター等の少なくとも1つの排気ガス再処理装置19と、少なくとも1つのサイレンサ20とを有してもよい。触媒コンバーター19には酸化触媒コンバーターが設けられ、図1に簡略化して示す構造とは異なるが、触媒コンバーター19の下流に熱交換器18を配置することが好ましい。
【0028】
例示として図1に示す内燃機関1は排気ガス再循環システム21をさらに備え、これにより排気システム5から外気システム4へ排気ガスを再循環させることができる。図1において、対応する排気ガス再循環流を矢印で示し、22の符号を付している。この目的で設けられた、排気ライン24を外気ライン25に流体的に接続する排気ガス再循環ライン23には、排気ガス再循環冷却器26を配置することができ、これにより再循環した排気ガスが冷却される。この目的の排気ガス再循環冷却器26は、エンジン冷却回路17の支流又は別の冷却回路で同様に構成される冷却回路27に組み込まれてもよい。同様に、排気ガス再循環冷却器26は熱交換器18である。
【0029】
図2及び図3を参照して、そのような熱交換器18の構造を以下にさらに詳しく説明する。熱交換器18は、原則的に任意に用いることができるが、蒸発器12又は排気ガス再循環冷却器26として用いることが好ましい。
【0030】
図2及び図3に示すように、熱交換器18は円周方向にガス流路38を含むハウジング28を備えている。ハウジング28は、例えば円筒形に形成され、図3に示すように2つの半殻部からなってもよい。さらに、熱交換器18は作動媒体路30を内部に有する少なくとも1つのコイル管29を備え、このコイル管29内を作動媒体が通る。コイル管29はガス流路38内に設けられ、ハウジング28の長手方向の中心軸31に対して螺旋状に延びる。
【0031】
半径方向において、ハウジング28とコイル管29との間に外側弾性軸受層32が設けられている。
【0032】
ハウジング28において、管状のハウジング28の長手方向の中心軸31と同軸上に延びるコア管33がさらに設けられている。それにより、半径方向におけるコア管33とハウジング28との間には、環状空間34が形成される。この環状空間34にはガス流路38が配置されている。同様に、コイル管29も環状空間34、つまり、半径方向においてハウジング28とコア管33との間に設けられている。コア管33は、コイル管29の領域において、ガス流路38を迂回するバイパス路35を含んでいる。コア管33は、コイル管29の上流及び下流においてガス流路38と流体的に接続している。これは、図2及び図3の例では、コア管33に形成される貫通部36によって実現される。例えば、貫通部36は、円周方向に分散して軸方向に配置された複数の細長い孔又はスロットを備えている。このような貫通部により、バイパス路35と排気ガス路38とが流体的に接続している領域でコア管33を中断する必要がなくなる。したがって、特に図2及び図3の例において、コア管33を連続した管状に形成することができる。または、そのような貫通部36に対して、ガス流路38とバイパス路35とを流体的に接続するために、コア管33を中断することも可能である。
【0033】
半径方向において、コア管33とコイル管29との間には内側弾性軸受層37が形成されている。
【0034】
コア管33には制御装置39がさらに設けられ、これによりバイパス路35の貫流可能断面が制御可能になる。ここで、制御装置39は、駆動軸41によって回転可能に作動するバタフライフラップ40として設計される。この場合、駆動軸41はコア管33のほぼ中心を通る長手方向の中心軸31に対して横方向に延び、コア管33の外部、好ましくはハウジング28の外側で、アクチュエーター42に駆動接続することができる。
【0035】
図2及び図3に示す例では、ハウジング28の両端においてコア管33をハウジング28から突出するように配置することにより、コア管33がハウジング28のガス吸気口43とガス排気口44とを構成する。円筒形の管本体45に加えて、ハウジング28は、吸気筒46と排気筒47とをさらに備える。吸気筒46は、ガス吸気口43の領域において、コア管33を管本体45に接続する。流入側の貫通部36は、吸気筒46の領域内に位置している。排気筒47は、ガス排気口44の領域において、管本体45をコア管33に接続する。流出側の貫通部36は、排気筒47の領域内に位置している。本例においては、コア管33は3つの軸方向の管部、すなわち、吸気部48と排気部49と制御部50、で構成される。吸気部48は、ガス吸気口43と貫通部36とを流入側に備える。排気部49は、ガス排気口44と貫通部36とを流出側に備える。制御部50は制御装置39を備え、吸気部48と排気部49との間に軸方向に設けられている。
【0036】
コイル管29は、外側に複数のフィン52を備えた螺旋状のコイル状管本体51を備える。したがって、フィン52はガス流路38内へ突出している。
【0037】
各軸受層32、37は、耐熱性と耐久性を備えた弾性材料からなる。この目的の場合、別の材料、特に繊維材料、を用いてもよい。各軸受層32、37は特に、円周方向に伸びて閉じた軸受マットであってもよい。図3は、そのような円周方向に伸びて閉じた軸受マット等の2つの軸受層32、37を示す。図2に示す組み立てた状態では、コイル管29又はそのフィン52と2つの軸受層32、37とが接続している。さらに、外側の軸受層32はハウジング28に接触する一方、内側の軸受層37はコア管33に接触している。また、軸受マット32、37が半径方向に圧縮される、つまり、半径方向においてコイル管29とコア管33と又はハウジング28との間にある程度の予荷重がかかるように組み立てることが好ましい。
【0038】
有利な実施形態によれば、図3に示す内側軸受層37は、少なくともコイル管29に面した外側に取付用支え53を備えてもよい。この構成に加えて、またはその代わりに、外側軸受層32は、少なくともコイル管29に面した内側に取付用支え53を備えてもよい。各取付用支え53は、それを備える軸受層32、37よりも高い機械的強度を有することを特徴とする。
図1
図2
図3