(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光部と遮蔽部とは、これらを仕切る区画壁を軸として略対称の形態に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の赤外線温度センサ。
前記フィルムには、赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子が接続される配線パターンが形成されており、この配線パターンに接続された外部引出端子と外部リード線との接続部に微粒子のフィラーが混合された絶縁性を有する加熱硬化物が封入されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の赤外線温度センサ。
前記加熱硬化物がエポキシ樹脂であり、微粒子のフィラーがシリカ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ若しくはグラファイトであることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の赤外線温度センサ。
前記フィルムには、赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子が接続される配線パターンが形成されており、この配線パターンに接続された外部引出端子と外部リード線とは、中継端子を介して接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の赤外線温度センサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような従来の赤外線温度センサにおいては、赤外線温度センサの周囲温度が高くなると、密閉状態とされた空間部の空気が膨張して内圧が上昇し、フィルムが膨らみ変形する問題が発生する。また、過度に空間部の空気が膨張すると、フィルムの変形によりフィルムに配線された配線パターンが切断される等の不具合が発生する場合がある。さらに、フィルムが変形することによって、赤外線の入射量やフィルムからの放熱量が変化し、赤外線温度センサの出力が変動する問題も生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、フィルムの変形を軽減し、高精度化を可能にして、信頼性を確保できる赤外線温度センサ及びこの赤外線温度センサを用いた装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の赤外線温度センサは、赤外線を吸収するフィルムと、このフィルム上に配置された赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子と、前記フィルムを保持するとともに、開口部を有して赤外線を導く導光部及び遮蔽壁を有して赤外線を遮蔽する遮蔽部を備え、前記赤外線検知用感熱素子が前記導光部に対応する位置に配設され、前記温度補償用感熱素子が前記遮蔽部に対応する位置に配設されるケースと、このケースと前記フィルムとの間に形成された密閉的な空間部と、
この密閉的な空間部が前記導光部の開口部と同じ大気圧下となるように通気性を確保する通気部と、を具備することを特徴とする。
通気部は、空間部と外部との通気性を許容する手段であり、その形成位置や形態が格別限定されるものではない
【0009】
赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子としては、薄膜サーミスタやチップサーミスタが好適に用いられるが、これらに限らず、例えば、熱電対や測温抵抗体等を用いることができる。
かかる発明によれば、フィルムの変形を軽減し、高精度化を可能にして、信頼性を確保できる。
請求項2に記載の赤外線温度センサは、請求項1に記載の赤外線温度センサにおいて、前記
通気部は、ケースに形成された貫通孔であることを特徴とする。
ケースは、例えば、第1のケース及び第2のケースから構成される場合、これら第1のケース及び第2のケースの少なくとも一方に貫通孔が形成されればよい。
【0010】
請求項3に記載の赤外線温度センサは、請求項1に記載の赤外線温度センサにおいて、前記
通気部は、ケースとフィルムとの間に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の赤外線温度センサは、請求項1に記載の赤外線温度センサにおいて、前記
通気部は、導光部及び遮蔽部に対応するフィルムに形成された貫通孔であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の赤外線温度センサは、請求項1に記載の赤外線温度センサにおいて、前記
通気部は、遮蔽部に対応するフィルムに形成された貫通孔及びケースに形成された貫通孔であることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の赤外線温度センサは、請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の赤外線温度センサにおいて、前記導光部と遮蔽部とは、これらを仕切る区画壁を軸として略対称の形態に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の赤外線温度センサは、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の赤外線温度センサにおいて、前記フィルムには、赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子が接続される配線パターンが形成されており、この配線パターンに接続された外部引出端子と外部リード線との接続部に微粒子のフィラーが混合された絶縁性を有する加熱硬化物が封入されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の赤外線温度センサは、請求項7に記載の赤外線温度センサにおいて、前記微粒子のフィラーの一次粒径が5nm〜80nmであることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の赤外線温度センサは、請求項7又は請求項8に記載の赤外線温度センサにおいて、前記加熱硬化物がエポキシ樹脂であり、微粒子のフィラーがシリカ、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ若しくはグラファイトであることを特徴とする。
【0017】
請求項10に記載の赤外線温度センサは、請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の赤外線温度センサにおいて、前記フィルムには、赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子が接続される配線パターンが形成されており、この配線パターンに接続された外部引出端子と外部リード線とは、中継端子を介して接続されることを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の赤外線温度センサを用いた装置は、請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載された赤外線温度センサが備えられていることを特徴とする。
【0019】
赤外線温度センサは、例えば、複写機の定着装置、バッテリーユニット、IHクッキングヒータ等の各種装置に用いることができる。適用される装置が格別限定されるものではない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、フィルムの変形を軽減し、高精度化を可能にして、信頼性を確保できる赤外線温度センサ及びこの赤外線温度センサを用いた装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る赤外線温度センサを示す斜視図である。
【
図2】同赤外線温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【
図3】
図3(a)は
図2(a)中、X−X線に沿った断面図、(b)はY−Y線に沿った断面図である。
【
図4】同赤外線温度センサの配線接続関係を示す平面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る赤外線温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【
図6】
図6(a)は
図5(a)中、X−X線に沿った断面図、(b)はY−Y線に沿った断面図である。
【
図7】同赤外線温度センサの配線接続関係を示す平面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る赤外線温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【
図9】
図9(a)は
図8(a)中、X−X線に沿った断面図、(b)はY−Y線に沿った断面図である。
【
図10】同赤外線温度センサの配線接続関係を示す平面図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係る赤外線温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【
図12】
図12(a)は
図11(a)中、X−X線に沿った断面図、(b)はY−Y線に沿った断面図である。
【
図13】同赤外線温度センサの配線接続関係を示す平面図である。
【
図14】本発明の第5の実施形態に係る赤外線温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【
図15】
図15(a)は
図14(a)中、X−X線に沿った断面図、(b)はY−Y線に沿った断面図である。
【
図16】同赤外線温度センサの配線接続関係を示す平面図である。
【
図17】本発明の第6の実施形態に係る赤外線温度センサを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図である。
【
図18】
図18(a)は
図17(a)中、X−X線に沿った断面図、(b)はY−Y線に沿った断面図である。
【
図19】同赤外線温度センサの配線接続関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施形態に係る赤外線温度センサについて
図1乃至
図4を参照して説明する。
図1は、赤外線温度センサの斜視図を示し、
図2(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図を示している。また、
図3(a)及び(b)は、断面図を示し、
図4は、フィルム上の配線接続関係を示す平面図である。なお、各図では、各部材及び部分を認識可能な大きさとするために、各部材及び部材の縮尺を適宜変更している。
【0023】
図1及び
図2に示すように、赤外線温度センサ1は、ケース2と、フィルム3と、このフィルム3上に配設された赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5とを備えている。
【0024】
ケース2は、第1のケース21と第2のケース22とから構成されている。具体的には、第1のケース21は、保持体であり、第2のケース22は、蓋部材である。また、ケース2は、例えば、ナイロン、PBT、PPSやABS等の樹脂材料によって形成されている。
【0025】
なお、ケース2を形成する材料は、格別限定されるものではなく、樹脂にカーボン、金属、セラミック等のフィラーを含有させた材料、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル等の金属材料、金属材料に黒体塗装を施した材料などを用いることができる。
【0026】
第1のケース21は、前面側(
図2(b)における上側)へ突出する略直方体形状の本体部21aと、この本体部21aの周囲に形成された略長方形状のフランジ部21bとを備えている。本体部21aには、赤外線を導く導光部23及び赤外線を遮蔽する遮蔽部24が形成されている。
【0027】
図3に示すように導光部23は、前面側に開口部23a有して側壁21c及び区画壁21dによって略直方体形状の筒状に形成されている。区画壁21dは、導光部23と遮蔽部24との境界部に位置して導光部23と遮蔽部24とを仕切る役目をなしている。なお、導光部23の内周面には、必要に応じて例えば、黒色塗装やアルマイト処理等を施して赤外線吸収層を形成するようにしてもよい。また、導光部23の内周面を金属研磨したり、内周面に金属めっきを施したりして反射面を形成するようにしてもよい。
【0028】
遮蔽部24は、導光部23に隣接して配置されており、区画壁21dを軸として導光部23と略対称の形態に形成されている。遮蔽部24は、遮蔽壁24aを前面側に有して側壁21c及び区画壁21dによって略直方体形状の空間部24bが形成されている。また、遮蔽壁24aと対向する背面側は開口されている。
【0029】
第2のケース22は、背面側(
図2(b)における下側)へ突出する略直方体形状の本体部22aと、この本体部22aの周囲に形成された略長方形状のフランジ部22bとを備えている。本体部22aは、第1のケース21における本体部21aの背面側の形状と略合致する形態に形成されていて、内側には前記導光部23と遮蔽部24に対応して連続するような空間部22cが形成されるようになっている。
本実施形態においては、後述するように、この空間部22c及び前記遮蔽部24の空間部24bと外部との通気性を許容する通気手段
、すなわち、通気部が設けられている。
【0030】
フィルム3は、略長方形状に形成された樹脂フィルムであり、
図4に示すように一表面
に配線パターン7が形成され、この配線パターン7に赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5が接続され配置されている。配線パターン7の終端には、外部引出端子8が形成されていて、この外部引出端子8には、外部リード線6がはんだ付けや溶接等の手段によって電気的に接続されている。
【0031】
フィルム3は、フッ素、シリコン、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、PPS(ポリフェニレンスルフィド)等の高分子材料からなる樹脂を用いることができる。赤外線を吸収する材料であれば他の材料を使用してもよい。さらに、これらの樹脂にカーボンブラック又は無機顔料(クロムイエロ、弁柄、チタンホワイト、群青の1種以上)を混合分散させて略全波長の赤外線を吸収し得るような材料を用いてもよい。
【0032】
このフィルム3は、第1のケース21と第2のケース22とが組合わされ結合されることによって、第1のケース21のフランジ部21bと第2のケース22のフランジ部22bとの間に介在され固定されるようになっている。また、この場合、赤外線検知用感熱素子4は、導光部23に対応する位置に配設され、温度補償用感熱素子5は、遮蔽部24に対応する位置に配設され、ともに第2のケース22の空間部22c側に位置されるようになる。
【0033】
さらに、第1のケース21と第2のケース22とが結合されることによって、フィルム3は、ケース1に覆われ保持されるとともに、ケース1とフィルム3との間には、前記のような空間部22c及び空間部24bが密閉的に形成される。
【0034】
ここで、
図2(b)及び
図3(b)に示すように、第1のケース21における本体部21a(側壁21c)であって、遮蔽部24に対応するフィルム3寄りには、空間部24bと外部との通気性を許容する通気手段として、貫通孔11が形成されている。また、第2のケース22における本体部22aのフィルム3寄りには、同様に、空間部22cと外部との通気性を許容する通気手段として、貫通孔12が形成されている。
【0035】
これら貫通孔11、12は、空間部22c及び空間部24bに熱気、風等の侵入を防ぐため、格別限定されるものではないが、φ1μm〜φ800μm程度に形成するのが好ましい。
【0036】
なお、貫通孔は、第1のケース21側と第2のケース22側との双方に形成するのが望ましいが、少なくとも一方のケース、すなわち、第1のケース21側又は第2のケース22側に形成されていればよい場合がある。
【0037】
赤外線検知用感熱素子4は、検知対象物からの赤外線を検知して、検知対象物の温度を測定する。温度補償用感熱素子5は、周囲温度を検知して、周囲温度を測定する。これら赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5は、少なくとも略等しい温度特性を有する感熱素子で構成されており、前記フィルム3上に配置されている。
【0038】
具体的には、赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5は、Mn、Co、Ni、Ti、Al、Zn、Cu及びFeの金属酸化物を含有するサーミスタ等のセラミックス半導体から構成されている。このセラミックス半導体は、温度係数であるB定数が高いため、赤外線を吸収するフィルム3の温度変化を感度よく検出することができる。
【0039】
前記セラミックス半導体は、立方晶スピネル相を主相とする結晶構造を有していることが望ましく、この場合、異方性もなく、また、不純物層がないので、セラミックス焼結体内で電気特性のばらつきが小さく、複数の赤外線温度センサを用いる際に高精度な測定が可能になる。さらに、安定した結晶構造のため、耐環境に対する信頼性も高い。なお、セラミックス半導体としては、立方晶スピネル相からなる単相の結晶構造が最も望ましい。
【0040】
また、赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5とが、セラミックス半導体で形成された同一のウエハから得たサーミスタ素子、薄膜サーミスタの中から所定の許容誤差内の抵抗値で選別したものであることが好ましい。
【0041】
この場合、対となる赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5とでB定数の相対誤差が小さくなり、同時に温度を検出する両者の温度差分を高精度に検出することができる。また、赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5とについて、B定数の選別作業や抵抗値の調整工程が不要になり、生産性を向上させることができる。
【0042】
なお、赤外線検知用感熱素子4及び温度補償用感熱素子5に用いるサーミスタ素子の構成は、例えば、バルク、積層、厚膜、薄膜のいずれの構成であってもよい。
【0043】
次に、上記赤外線温度センサ1の動作について説明する。検知対象物の表面から放射された赤外線は、赤外線温度センサ1の導光部23における開口部23aから入射し、導光部23に導かれて導光部23を通過しフィルム3に到達する。このフィルム3に到達した赤外線は、フィルム3に吸収されて熱エネルギーに変換される。
【0044】
変換された熱エネルギーは、赤外線検知用感熱素子4に伝達され、赤外線検知用感熱素子4の温度を上昇させる。赤外線検知用感熱素子4と温度補償用感熱素子5とは、少なくともほぼ等しい温度特性を有するセラミックス半導体であり、検知対象物からの赤外線によって赤外線検知用感熱素子4の抵抗値が変化する。
【0045】
同時に、赤外線は遮蔽部24の遮蔽壁24aによって遮られるが、検知対象物からの輻射熱や周囲雰囲気温度によってケース2の温度が上昇するため、温度補償用感熱素子5の抵抗値もケース2の温度上昇に相当する抵抗値の変化を受ける。
【0046】
この場合、導光部23と遮蔽部24とは、区画壁21dを軸として略対称の形態に形成されているため、赤外線検知用感熱素子4と温度補償用感熱素子5とは、周囲の温度変化に対して同じように変化し、熱的外乱に対する影響を防ぐことができ、検知対象物からの赤外線による温度変化を確実に検出することが可能となる。
【0047】
なお、ケース2が金属等の熱伝導性を有する材料で形成されている場合には、周囲の温度変化に追従して赤外線温度センサ1の温度変化が全体として均一化することができる。
【0048】
以上のような動作において、従来の赤外線温度センサでは、赤外線温度センサの周囲温度が高くなると、密閉状態とされた空間部の空気が膨張して内圧が上昇し、フィルムが膨らみ変形し、また、過度に空間部の空気が膨張すると、フィルムに配線された配線パターンが切断される等の不具合が発生する場合がある。さらに、空間部の内圧の上昇、低下の繰り返しでフィルムの変形を助長することとなる。
【0049】
しかしながら、本実施形態においては、第1のケース21には、貫通孔11が形成され、第2のケース22には、貫通孔12が形成されている。このため、空間部24b及び空間部22cの内圧が上昇するような温度環境にあっても、貫通孔11及び貫通孔12によって外部との通気性が確保され、内圧の上昇を抑制し、フィルム3の変形を軽減することが可能となる。具体的には、空間部24bは、貫通孔11によって外部と連通し、空間部22cは、貫通孔12によって外部と連通する。
以上のように本実施形態によれば、フィルムの変形を軽減し、高精度化を可能にして、信頼性を確保できる赤外線温度センサ1を提供することができる。
【0050】
次に、本発明の第2の実施形態に係る赤外線温度センサについて
図5乃至
図7を参照して説明する。
図5(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図を示している。また、
図6(a)及び(b)は、断面図を示し、
図7は、フィルム上の配線接続関係を示す平面図である。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0051】
本実施形態は、赤外線温度センサの基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。空間部24b及び空間部22cと外部との通気性を許容する通気手段の形成態様が異なっている。通気手段は、ケース2とフィルム3との間に形成されるようになっている。
【0052】
図5(a)及び(c)並びに
図6(a)に示すように、通気手段として、第1のケース2のフランジ部21bに凹溝13が形成され、第2のケース22のフランジ部22bに凹溝14が形成されている。これらケース2に形成された凹溝13、14は、フィルム3を介在して対向するようになってので、通気手段(凹溝13、14)は、ケース2とフィルム3との間に形成されるようになる。空間部22c及び空間部24bに熱気、風等の侵入を防ぐため、格別限定されるものではないが、通気手段(凹溝13、14)の間隔は1μm〜500μmに形成するのが好ましい。
【0053】
したがって、空間部24bは、凹溝13によって外部と連通し、空間部22cは、凹溝14によって外部と連通する。このため、空間部24b及び空間部22cの内圧の上昇を抑制し、フィルム3の変形を軽減することができる。
【0054】
なお、第1のケース2におけるフランジ部21bの略全周とフィルム3との間、第2のケース22におけるフランジ部22bの略全周とフィルム3との間に僅かな隙間が形成されるように通気手段を構成してもよい。この場合は、例えば、第1のケース21と第2のケース22とを結合する緊密度を緩和する等の方法によって構成できる。
【0055】
以上のように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、フィルムの変形を軽減し、高精度化を可能にして、信頼性を確保できる赤外線温度センサ1を提供することができる。
【0056】
次に、本発明の第3の実施形態に係る赤外線温度センサについて
図8乃至
図10を参照して説明する。
図8(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図を示している。また、
図9(a)及び(b)は、断面図を示し、
図7は、フィルム上の配線接続関係を示す平面図である。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0057】
本実施形態は、赤外線温度センサの基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるが、空間部24b及び空間部22cと外部との通気性を許容する通気手段の形成態様が異なっている。
【0058】
図8(a)、
図9(a)及び
図10に示すように、通気手段として、フィルム3における導光部23及び遮蔽部24に対応する位置に、表裏に貫通する貫通孔15、16が配線パターン7を避けるように形成されている。貫通孔15、16は空間部22c及び空間部24bに熱気、風等の侵入を防ぐため、格別限定されるものではないが、1μm〜500μmに形成するのが好ましい。
したがって、空間部22cは、貫通孔15によって外部と連通し、空間部24bは、貫通孔16から空間部22cを介して貫通孔15を経て外部と連通する。
【0059】
したがって、上記各実施形態と同様に、空間部24b及び空間部22cの内圧の上昇を抑制し、フィルム3の変形を軽減することができ、高精度化を可能にして、信頼性を確保することができる。
【0060】
続いて、本発明の第4の実施形態に係る赤外線温度センサについて
図11乃至
図13を参照して説明する。
図11(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図を示している。また、
図12(a)及び(b)は、断面図を示し、
図13は、フィルム上の配線接続関係を示す平面図である。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0061】
本実施形態は、赤外線温度センサの基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるが、空間部24b及び空間部22cと外部との通気性を許容する通気手段の形成態様が異なっている。
【0062】
図11(a)、
図12(a)及び(b)並びに
図13に示すように、通気手段として、フィルム3における遮蔽部24に対応する位置に、表裏に貫通する貫通孔16が配線パターン7を避けるように形成されている。また、第1のケース21における本体部21a(側壁21c)であって、遮蔽部24に対応するフィルム3寄りには、通気手段として、貫通孔17が形成されている。
したがって、空間部24bは、貫通孔17によって外部と連通し、空間部22cは、貫通孔16から空間部24bを介して貫通孔17を経て外部と連通する。
なお、前記第1のケース21における本体部21aに形成された貫通孔17は、第2のケース22における本体部22aに形成するようにしてもよい。
したがって、上記各実施形態と同様に、空間部24b及び空間部22cの内圧の上昇を抑制し、フィルム3の変形を軽減することが可能となる。
【0063】
次に、本発明の第5の実施形態に係る赤外線温度センサについて
図14乃至
図16を参照して説明する。
図14(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図を示している。また、
図15(a)及び(b)は、断面図を示し、
図16は、フィルム上の配線接続関係を示す平面図である。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0064】
本実施形態は、赤外線温度センサの基本的な構成は、第1の実施形態と同様であるが、空間部24b及び空間部22cと外部との通気性を許容する通気手段の形成態様が異なっている。また、外部リード線6の接続構成を示している。
【0065】
図14(a)、
図15(a)及び(b)並びに
図16に示すように、通気手段として、フィルム3における遮蔽部24に対応する位置に、表裏に貫通する貫通孔16が配線パターン7を避けるように形成されている。また、第2のケース22のフランジ部22bに凹溝14が形成されている。したがって、空間部24bは、貫通孔16から空間部22cを介して凹溝14を経て外部と連通し、空間部22cは、凹溝14によって外部と連通する。このため、空間部24b及び空間部22cの内圧の上昇を抑制することができる。
図14(d)及び
図16に示すように、外部引出端子8に外部リード線6がはんだ付け等によって電気的に接続される。
【0066】
この場合、はんだ付け等の接続部をエポキシ樹脂等の絶縁性の加熱硬化物Rhを封入して保護し、接続部の強度と信頼性を向上させる方法がとられる。しかしながら、エポキシ樹脂は流動性が高いので封入に際して前記フイルム3とケース1の合わせ目やフィルム3を伝わって反対側まで回り込む可能性がある。これにより、通気手段としての例えば、凹溝14がエポキシ樹脂によって閉塞され、空間部24b及び空間部22cが密閉状態になってしまう問題が生じる。
【0067】
本実施形態では、加熱硬化物Rhであるエポキシ樹脂に、微粒子のフィラーを混合しエポキシ樹脂の液体の増粘やチキソトロピー性を付与することで回り込みを抑制している。したがって、空間部24b及び空間部22cが密閉状態になってしまうことを回避することができる。
【0068】
微粒子のフィラーの材質はシリカが最適で、一次粒径が5nm〜80nmの微粒子をエポキシ樹脂に混合することで流動性を低く抑えることができる。したがって、エポキシ樹脂が回り込む現象がなくなり、空間部24b及び空間部22cが密閉状態となることを回避できる。なお、微粒子のフィラーの材質はシリカが好ましいが、カーボンナノチューブ、グラファイト及び炭酸カルシウム等であってもよい。炭酸カルシウムの場合、増粘やチキソトロピー性を付与する一次粒径は最大で80μm程度である。
【0069】
次に、本発明の第6の実施形態に係る赤外線温度センサについて
図17乃至
図19を参照して説明する。
図17(a)は、平面図、(b)は正面図、(c)は側面図、(d)は背面図を示している。また、
図18(a)及び(b)は、断面図を示し、
図19は、フィルム上の配線接続関係を示す平面図である。なお、第5の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し重複する説明を省略する。
【0070】
本実施形態は、赤外線温度センサの構成は、第5の実施形態と同様であり、通気手段の形成態様も同様であるが、外部リード線6の接続構成について中継端子9が用いられている。
【0071】
すなわち、この外部引出端子8は、中継端子9を介して外部リード線6と接続されるようになっている。中継端子9は、やや幅広の接続端子部91と、この接続端子部91から延出されたリード部92とを備えている。また、この中継端子9は、樹脂材料で形成された保持部材93にインサート成形されて一体化されている。
【0072】
このような中継端子9は、リード部92が外部引出端子8にはんだ付けや溶接等の手段によって電気的に接続され、その後、第1のケースに第2のケースが結合されるようになる。なお、保持部材93は第2のケース22側に図示しない固定手段によって固定される。
【0073】
このような構成によれば、中継端子9の接続端子部91は、ケース2の背面側において外部に露出している状態になるので(
図17(d)及び
図18(a)参照)、第1のケースと第2のケースとが結合された後に、この接続端子91に任意の外部リード線6をはんだ付けや溶接等の手段によって接続することができる。
【0074】
したがって、外部リード線6をフィルム3に形成された外部引出端子8に直接接続せずに、中継端子9を介在して接続するため、接続強度を高くすることができ、はんだ付け等の接続部にエポキシ樹脂等の絶縁性の加熱硬化物Rhを封入する必要がなくなる。よって、流動性が高いエポキシ樹脂等の加熱硬化物Rhを用いた場合に発生する通気手段を閉塞するという問題を回避することができる。
【0075】
また、中継端子9を用いることにより、外部リード線6の長さ等が異なる多様な品種に対応することができ、量産性を向上することが可能となる。つまり、外部リード線6が接続されていない状態で赤外線温度センサ1を管理することができ、このような赤外線温度センサ1に外部リード線6の長さ等が異なる品種に応じて、外部リード線6を接続することができる。
【0076】
以上のように本実施形態によれば、通気手段を閉塞するという問題を回避することができるとともに、外部リード線6の長さ等が異なる品種が増加し、少量多品種になった場合にも量産性を確保することができる。
【0077】
以上説明してきた各実施形態における赤外線温度センサ1は、複写機の定着装置、バッテリーユニット、IHクッキングヒータ等の各種装置に備えられ適用することができる。格別適用される装置が限定されるものではない。
【0078】
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記各実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。
例えば、通気手段は、密閉的な空間部と外部とが連通するように形成されていればよく、形成位置、形状や個数等、格別限定されるものではない。
【0079】
また、赤外線検知用感熱素子及び温度補償用感熱素子としては、セラミックス半導体で形成された薄膜サーミスタやチップサーミスタが好適に用いられるが、これらに限らず、熱電対や測温抵抗体等を用いることができる。