特許第5847993号(P5847993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5847993カルド樹脂を含むカラーフィルター用樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5847993
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】カルド樹脂を含むカラーフィルター用樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20160107BHJP
   C08G 63/40 20060101ALI20160107BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160107BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20160107BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20160107BHJP
【FI】
   G03F7/038 501
   C08G63/40
   G02B5/20 101
   G02F1/1335 505
   G03F7/004 501
   G03F7/004 504
   G03F7/004 505
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2009-532279(P2009-532279)
(86)(22)【出願日】2007年6月15日
(65)【公表番号】特表2010-507104(P2010-507104A)
(43)【公表日】2010年3月4日
(86)【国際出願番号】KR2007002908
(87)【国際公開番号】WO2008047992
(87)【国際公開日】20080424
【審査請求日】2010年1月21日
【審判番号】不服2014-9626(P2014-9626/J1)
【審判請求日】2014年5月23日
(31)【優先権主張番号】10-2006-0100167
(32)【優先日】2006年10月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500005066
【氏名又は名称】チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ヘ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チョン ウ
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヒェ キョン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジュ クヮン
(72)【発明者】
【氏名】イ,チョン ソク
【合議体】
【審判長】 藤原 敬士
【審判官】 本田 博幸
【審判官】 鉄 豊郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−251946(JP,A)
【文献】 特開2004−186227(JP,A)
【文献】 特開2001−131241(JP,A)
【文献】 特開2002−145999(JP,A)
【文献】 特開平9−304929(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/123017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜30重量%の式1で表される構造単位を有するカルド樹脂、1〜30重量%の反応性不飽和化合物、0.1〜10重量%の開始剤、および溶媒を含むカラーフィルター用樹脂組成物:
【化1】
式中:
1およびR2はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、またはC1〜C5アルキル基であり、
3はビニル、アクリル、またはメタクリル基であり、
Zは酸無水物または酸二無水物の残基を表し、
Xは、
【化2】
(ここでR4はH、Et、C24Cl、C24OH、CH2CH=CH2またはPhである)、
【化3】
であり、kは1〜40の整数である。
【請求項2】
(a)1〜30重量%のカルド樹脂、(b)1〜30重量%の反応性不飽和化合物、(c)0.1〜10重量%の開始剤、および(d)残部の溶媒からなる、請求項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項3】
前記カルド樹脂は、3,000〜20,000の分子量(Mw)を有する、請求項1または2に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項4】
前記開始剤は、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、およびこれらの混合物から選択される開始剤を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項5】
フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種のエポキシ化合物をさらに含む、請求項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項6】
前記エポキシ化合物は、0.01〜5重量%の量で用いられる、請求項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項7】
アントラキノン顔料、ペリレン顔料を含む縮合多環式顔料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、カーボンブラック、チタン、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の顔料をさらに含む、請求項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項8】
前記顔料は、1〜20重量%の量で添加される、請求項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項9】
ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルのアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミン、およびこれらの混合物から選択される少なくとも1種の分散剤をさらに含む、請求項7または8に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【請求項10】
前記分散剤が、前記顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で用いられる、請求項に記載のカラーフィルター用樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターに有用な感光性樹脂組成物および前記樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ装置にはいくつかの利点がある。液晶ディスプレイ装置は軽量であり、比較的厚みが小さい。このような装置はまた、高価ではなく、低消費電力であり、集積回路に適合しうる。これらの、および他の有利な特性によって、液晶ディスプレイ装置は現在ノートパソコン、携帯情報端末(PDA)、携帯電話およびカラーテレビに用いられている。
【0003】
液晶ディスプレイ装置は、典型的には、カラーフィルターアレイを下部基板として、TFTアレイを上部基板として含む。前記下部基板は、ブラックマトリックス、カラーフィルター、およびITO画素電極を含み、前記上部基板は、液晶層、薄膜トランジスタおよびキャパシタ層から構成される能動回路部分ならびにITO画素電極を含みうる。
【0004】
カラーフィルターは、赤色、緑色、および青色の画素と、ブラックマトリックスとを基板上に形成することによって製造されうる。この際、前記画素および前記ブラックマトリックスは、組成物中に分散した微細な顔料の粒子を含む、感光性樹脂組成物を用いて形成される。前記ブラックマトリックスは、薄膜トランジスタを透過する光によるコントラストの低下を防ぐために、各基板の透明画素電極以外の要素を透過する制御されていない光を遮断する役割を果たす。赤色、緑色、および青色の顔料の層の主要な役割は、白色光から特定の波長の光を透過させ、これによってそれぞれの色を発生させることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、カラーフィルターは、染色、印刷、顔料分散、電着、およびその他の方法によって製造される。
【0006】
染色法において、カラーフィルターは、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成し、天然感光性樹脂(例えばゼラチン)または合成感光性樹脂(例えばアミン変性ポリビニルアルコールまたはアミン変性アクリル酸)を二クロム酸で増感することによって調製した感光性溶液を塗布し、フォトマスクを通して前記感光性溶液に光照射し、次いでマスキングコートおよび酸性色素を用いて現像または染色する。しかしながら、染色法は、1枚の基板に多数の色を用い、これによって色を変更するたびにレジスト染色工程が必要となる。このレジスト染色工程は、作業を複雑にし、作業全体に必要な時間を長くする。さらに、染色法に一般に用いられる色素および樹脂は良好な分散性および高い可視性を有するが、これらは光、水分、および熱に対する耐性が低い。色素および樹脂の耐熱性はカラーフィルターの重要な性質である。
【0007】
大韓民国特許公報第91−4717号および第94−7778号は、それぞれ、アゾ化合物およびアジド化合物の色素としての使用に着目している。しかしながら、これらの色素は、顔料に比べて耐熱性が低く、耐久性が低いという問題がある。
【0008】
印刷法においては、カラーフィルターは、顔料を熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂に分散させて調製したインクを用いて印刷する段階、および印刷されたインクを熱または光で硬化させる段階によって製造される。したがって、印刷法は、他の方法に比べて材料費の観点で経済的に有利でありうる。しかしながら、印刷法はまた、3色のフィルターパターンを正確にアラインする必要があり、これによって正確で微細な像を形成することが困難になり、均一でない薄膜が形成されうる。
【0009】
インクジェット法を用いてカラーフィルターを製造する方法の例は、大韓民国特許出願公開第95−703746号および第96−11513号に記載されている。しかしながら、これらの方法は、微細であり正確な色を印刷するためにノズルを通してスプレーする色素型カラーレジスト組成物を用いる。したがって、これらの方法は、染色法の場合と同様、耐久性が低く、耐熱性が低いという問題がある。
【0010】
大韓民国特許出願公開第93−700858号および第96−29904号は、電着を用いたカラーフィルターの製造方法を開示している。電着は、正確な顔料のネットワークを形成するために採用されうる。電着法は、所望の耐熱性および耐光性を示しうる顔料が用いられるため有利である。しかしながら、画素サイズが小さくなり、電極パターンが微細になるにつれて、電着法は、パターンの両端の電気抵抗による着色したスペックルを生成するか、または着色フィルムの厚みを増加させる場合があり、これによって、高度な正確さが求められるカラーフィルターの製造への電着法の適用が制限される。
【0011】
顔料分散法においては、カラーフィルターは、顔料を含む光重合性組成物を透明基板にコートし、コートされた基板に光を照射して所望のパターンを取得し、溶媒を用いて露光していない部分を除去し、露光した部分を熱硬化させ、そしてこれらの工程を繰り返すことによって製造される。顔料分散法の利点には、カラーフィルターの重要な性質である耐熱性の改善、高い耐久性、および均一な膜厚が挙げられる。
【0012】
これらの利点によって、顔料分散法はブラックマトリックスの製造に広く用いられている。例えば、大韓民国特許出願公開第92−702502号および第95−700359号、ならびに大韓民国特許公報第94−5617号および第95−11163号には、顔料分散を用いたカラーレジストの製造方法が開示されている。
【0013】
顔料分散法によって製造されるブラックマトリックスは、原則的に以下の成分から構成されうる:i)支持体として作用し一定の厚さを維持する高分子化合物(すなわちバインダ樹脂)、およびii)光照射されたときに光に応答してフォトレジスト相を形成する、光重合性モノマー。ブラックマトリックスはまた、高分子化合物、光重合性単量体、顔料分散剤、重合開始剤、エポキシ樹脂、溶媒、および他の添加剤を含む感光性樹脂組成物を用いて製造されうる。ポリイミド樹脂(特開昭60−237403号公報(未審査))、アクリル重合体からなる感光性樹脂(特開平1−200353号公報、平4−7373号公報、および平4−91173号公報(未審査))、アクリレートモノマー、有機高分子バインダ、および光重合開始剤からなるラジカル重合型感光性樹脂(特開平1−152449号公報(未審査))、ならびにフェノール樹脂、N−メチロール構造を有する架橋剤、および光酸発生剤からなる感光性樹脂(特開平4−163552号公報(未審査)および大韓民国特許公報第92−5780号)を含む、様々なバインダ樹脂が顔料分散法に用いられうる。
【0014】
しかしながら、顔料分散法において感光性ポリイミド樹脂またはフェノール樹脂をバインダとして用いることは、耐熱性の点で有利でありうるが、このようなバインダは低感度および有機溶媒での現像といった不利な点がある。さらに、アジド化合物を光増感剤として用いる従来の系は、低い感度、低い耐熱性および露光の際の酸素による攻撃といった問題を与えうる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これらの課題を解決するために、酸素遮断膜の形成および不活性ガスにさらすことが検討された。しかしながら、これらの追加的な段階は、複雑な処理を必要とし、装置の高価格化を招く。露光の際に発生した酸を用いた感光性樹脂の像形成は感度が高く、露光の際に酸素に攻撃されないが、露光段階および現像段階の過程で加熱が必要であり、パターンの形成は加熱時間に大きく依存するため、処理の管理が困難となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明は、本発明のいくつかの実施形態が記載された、しかしながらすべての実施形態が記載されているわけではない、以下の発明の詳細な説明によってより十分に記述されるであろう。実際に、本発明は、多様な形態で実施され、本明細書中に記載の実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本明細書の開示が適切な法的要件を満たすようにするために提供される。
【0017】
本発明で有用な、式1で表される構造単位を有するカルド樹脂は以下の化合物から調製されうる:ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)エーテル、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)フルオレンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0018】
式1中、Zは、酸無水物または酸二無水物の残基を表す。本発明に有用な適当な酸無水物化合物の例としては、特に制限されないが、メチレンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物など、およびこれらの混合物が挙げられる。本発明に有用な適当な酸二無水物化合物の例としては、特に制限されないが、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物などの芳香族ポリカルボン酸無水物など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
式1で表される構造単位を有するカルド樹脂は、他の添加剤と相溶性が高く、したがって、このような添加剤に起因する衝撃の発生を防ぐことができ、さらに接着性および最終的なカラーフィルターの膜強度を向上させることができる。加えて、カルド樹脂は熱および光に対して優れた耐性を有するため、高温で加工することができる。
【0020】
前記カルド樹脂は、組成物中、樹脂組成物の総重量に対して約1〜約30重量%、例えば、約2〜約10重量%の量で存在しうる。カルド樹脂が約1重量%未満の量で存在する場合、パターンの接着において問題が生じうる。一方、カルド樹脂が約30重量%を超える量で存在する場合、感度の点で問題が生じうる。
【0021】
前記カルド樹脂は、約3,000〜約20,000、例えば、約5,000〜約10,000の重量平均分子量(M)を有しうる。
【0022】
反応性不飽和化合物は、熱硬化性または光硬化性の樹脂組成物に一般的に用いられるモノマーまたはオリゴマーであってよく、本発明に適したものの例としては、特に制限されないが、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ノボラックエポキシアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートなどが挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよくこれらの混合物として用いてもよい。
【0023】
前記反応性不飽和化合物は、組成物中、樹脂組成物の総重量に対して約1〜約30重量%の量で存在しうる。反応性不飽和化合物が約1重量%未満の量で存在する場合、パターンの形成後十分な硬化が起こらない場合があり、信頼性の低下につながる。一方、前記反応性不飽和化合物が約30重量%を超える量で存在すると、分解能および接着性の点で問題が生じうる。前記反応性不飽和化合物は、アルカリ性水溶液に容易に溶解するように、酸無水物で処理してもよい。
【0024】
本発明で用いられる開始剤は、光重合開始剤、ラジカル重合開始剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される1種でありうる。
【0025】
本発明に有用な光重合開始剤の例としては、特に制限されないが、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、ベンゾイン化合物、トリアジン化合物など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
適当なアセトフェノン化合物の例としては、特に制限されないが、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2’−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、4−クロロアセトフェノン、2,2’−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
適当なベンゾフェノン化合物の例としては、特に制限されないが、ベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−2−メトキシベンゾフェノン、ベンゾイルベンゾエート、メチルベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
適当なチオキサントン化合物の例としては、特に制限されないが、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0029】
適当なベンゾイン化合物の例としては、特に制限されないが、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
適当なトリアジン化合物の例としては、特に制限されないが、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−(4’−エチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−n−ブチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−p−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−4−トリクロロメチル(ピペロニル)−6−トリアジン、2−4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジンなど、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0031】
これらの化合物に加えて、カルバゾール化合物、ジケトン化合物、ホウ酸スルホニウム化合物、ジアゾ化合物、イミダゾール化合物、およびビイミダゾール化合物が本発明に用いられうる。
【0032】
本発明に有用なラジカル重合開始剤の例としては、特に制限されないが、公知の過酸化物型およびアゾビス型の開始剤が挙げられる。
【0033】
適当な過酸化物型の開始剤の例としては、特に制限されないが、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシドなどのケトン過酸化物;イソブチリルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、o−メチルベンゾイルペルオキシド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシドなどのジアシル過酸化物;2,4,4,−トリメチルペンチル−2−ヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;過酸化ジクミル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキサン、1,3−ビス(t−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルペルオキシn−ブチルバレレートなどのジアルキルペルオキシド;2,4,4−トリメチルペンチルペルオキシフェノキシアセテート、α−クミルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエートジ−t−ブチルペルαオキシトリメチルアジペートなどのアルキル過酸エステル;ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス−4−t−ブチルシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアリールカーボネートなどの過炭酸塩など、およびこれらの混合物が挙げられる。適当なアゾビス型の開始剤の例としては、特に制限されないが、1,1’−アゾビスシクロへキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、α,α−アゾビス(イソブチルニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)などが挙げられる。これらの開始剤は単独で用いてもよくこれらの混合物として用いてもよい。
【0034】
前記開始剤は、光増感剤と組み合わせて用いてもよい。
【0035】
前記開始剤は、組成物中、約0.1〜約10重量%の量で存在しうる。開始剤が約0.1重量%未満の量で存在する場合、パターンの形成後十分な硬化が起こらない場合があり、信頼性の低下につながる。一方、開始剤が約10重量%を超える量で存在すると、分解能および接着性の点で問題が生じうる。
【0036】
本発明に有用な溶媒の例としては、特に制限されないが、エチレングリコールアセテート、エチルセルソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよくこれらの混合物として用いてもよい。本発明に用いられる溶媒の量は、感光性樹脂組成物の用途を含めて、当業者により理解されるさまざまな因子に依存して変動しうる。一般に、前記溶媒は、樹脂溶液が基板に塗布するのに十分な粘度を有するように選択された量で用いられうる。
【0037】
本発明の樹脂組成物は、接着性および最終的なカラーフィルターの他の特性を改善するために少なくとも1種のエポキシ化合物をさらに含んでもよい。本発明に有用なエポキシ化合物の例としては、特に制限されないが、フェノールノボラックエポキシ樹脂、テトラメチルビフェニルエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂など、およびこれらの混合物が挙げられる。前記エポキシ化合物は、約0.01〜約5重量%の量で用いられうる。エポキシ化合物の使用量が約0.01重量%未満であれば、その添加効果は実質的に無視できる。一方、エポキシ化合物の使用量が約5重量%を超えると、貯蔵特性およびプロセスマージンの点で問題が生じうる。
【0038】
本発明の樹脂組成物は顔料をさらに含んでもよい。前記顔料は有機顔料であっても無機顔料であってもよい。本発明に有用な有機顔料の例としては、特に制限されないが、アントラキノン顔料、縮合多環式顔料(例えばペリレン顔料)、フタロシアニン顔料、アゾ顔料などが挙げられる。本発明に有用な無機顔料の例としては、特に制限されないが、カーボンブラック、チタンなどが挙げられる。前記有機顔料および前記無機顔料は単独で用いてもよくこれらの混合物として用いてもよい。前記顔料は、約1〜約20重量%、例えば、約5〜約10重量%の量で添加されうる。
【0039】
本発明の樹脂組成物は、顔料の分散性を向上させるために分散剤をさらに含んでもよい。前記分散剤は、非イオン性分散剤であっても、アニオン性分散剤であっても、カチオン性分散剤であってもよい。本発明に有用な分散剤の例としては、特に制限されないが、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルのアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられる。これらの分散剤は単独で用いてもよく、これらの任意の組み合わせで用いてもよい。前記分散剤は、前記顔料100重量部に対して、約0.1〜約10重量部の量で用いられうる。
【0040】
本発明による組成物の物性が損なわれないかぎり、界面活性剤、酸化防止剤、および安定剤から選択される少なくとも1種の添加剤が本発明の組成物に添加されうる。
【0041】
本発明の樹脂組成物は、以下の手順に従って、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルターの製造に用いられうる。
【0042】
塗布
本発明の感光性樹脂組成物は、スピンコーティング、ロールコーティングまたは噴霧などの適当な手法によってガラス基板に0.5〜10μmの厚さで塗布される。
【0043】
光照射
塗布された樹脂組成物に化学線を照射してカラーフィルターに必要なパターンを形成する。照射光源としては、200〜400nmのUV光を用いる。照射には電子線およびX線が用いられうる。
【0044】
現像
光照射された塗膜を現像液で処理し、塗膜の光照射されていない部分を溶解させて、カラーフィルターに必要なパターンを得る。
【0045】
反復
所望の色数に応じて上記の手順を繰り返し、所望のパターンを形成することができる。
【0046】
追加的な段階
現像後得られた像のパターンは、加熱または化学線の照射などの任意の処理によって硬化され、耐光性、接着性、耐クラック性、耐薬品性、高い強度、90°までの高い傾斜角、および保存安定性の点で有利なパターンが形成される。
【0047】
以下、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は説明の目的のみに提示されるものであって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0048】
実施例1
以下の式2のカルド樹脂および表1に示す各成分を用いて樹脂組成物を調製した。
【0049】
【化1】
【0050】
ここでRはメタクリル基であり、Zは3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の残基である(kは25である)。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例2
実施例1で用いた式2のカルド樹脂および表2に示す各成分を用いて樹脂組成物を調製した。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例3
ジケト−ピロロ−ピロールレッドに代えて、C.I.Pigment Green 36とC.I.Pigment Yellow 150との混合物(75/25)を用いたことを除いては、実施例2と同様の手順で樹脂組成物を調製した。
【0055】
実施例4
ジケト−ピロロ−ピロールレッドに代えて、C.I.Pigment Blue 15:6とC.I.Pigment Purple 23との混合物(90/10)を用いたことを除いては、実施例2と同様の手順で樹脂組成物を調製した。
【0056】
実施例5
実施例1で用いた式2のカルド樹脂、および表3に示す各成分を用いて樹脂組成物を調製した。
【0057】
【表3】
【0058】
比較例1
式2のカルド樹脂に代えて、アクリル樹脂(ベンジルメタクリレート:メタクリル酸=30:70)を用いたことを除いては、実施例1と同様の手順で樹脂組成物を調製した。
【0059】
比較例2
式2のカルド樹脂に代えて、カルド共重合体樹脂(V259ME、新日鐵化学社製)を用いたことを除いては、実施例1と同様の手順で樹脂組成物を調製した。
【0060】
実施例1〜5ならびに比較例1および2で調製した樹脂組成物を用いてそれぞれパターンを形成した。パターンの物性を以下の手順にしたがって評価した。結果を表4に示す。
【0061】
[パターンの物性の評価]
1)現像性(Developability)
はじめに、1.2mm厚さのガラス基板を脱脂し、洗浄する。実施例1〜5ならびに比較例1および2で調製した樹脂組成物をそれぞれ洗浄したガラス基板に1〜2μmの厚さで塗布し、次いで80℃のホットプレート上で1分間乾燥させて塗膜を形成する。続いて、塗膜をフォトマスクに接触させて設置し、365nmの波長の高圧水銀灯を用いてフォトマスクを通して光照射し、1%KOH水溶液で常圧下、30℃で100秒間現像し、次いで220℃の熱風循環乾燥機で40分間乾燥してパターンを形成する。以下の基準に基づいて、パターンのパターン形成可能性を光学顕微鏡を用いて評価する:
○:パターンおよび光照射されていないガラス基板上に残留膜が観察されない;
△:パターン上に残留膜がわずかに観察されるが、光照射されていないガラス基板上には残留膜が観察されない;
×:パターンおよび光照射されていないガラス基板の両方に残留膜が観察される。
【0062】
2)耐熱性
はじめに、1mm厚さのガラス基板を脱脂し、洗浄する。実施例1〜5ならびに比較例1および2で調製した樹脂組成物をそれぞれ洗浄したガラス基板に1〜2μmの厚さで塗布し、次いで80℃のホットプレート上で1分間乾燥させて塗膜を形成する。続いて、塗膜をフォトマスクに接触させて設置し、365nmの波長の高圧水銀灯を用いてフォトマスクを通して光照射し、1%KOH水溶液で常圧下、30℃で100秒間現像し、次いで220℃の熱風循環乾燥機で40分間乾燥してパターンを形成する。パターンのパターン形成可能性を光学顕微鏡を用いて評価する。
【0063】
パターンを220℃で3時間加熱した後、パターンの変化を観察し、パターンの厚さの差を測定する。以下の基準に基づいてパターンの耐熱性を評価する:
○:変化が観察されず、厚さの差(ΔT)が0.30μm未満である;
△:わずかな変化が観察され、厚さの差(ΔT)が0.30μm〜0.50μmである;
×:相当の変化が観察され、厚さの差(ΔT)が0.50μmを超える。
【0064】
*パターンの変化はパターンのスウェリングおよびパターンの表面の再結晶の発生を示す。
【0065】
3)均一性
はじめに、1mm厚さのクロムコートしたガラス基板を脱脂し、洗浄する。実施例1〜5ならびに比較例1および2で調製した樹脂組成物をそれぞれ洗浄したガラス基板に1〜2μmの厚さで塗布し、次いで80℃のホットプレート上で1分間乾燥させて塗膜を形成する。続いて、塗膜をフォトマスクに接触させて設置し、365nmの波長の高圧水銀灯を用いてフォトマスクを通して光照射し、1%KOH水溶液で常圧下、30℃で100秒間現像し、次いで220℃の熱風循環乾燥機で40分間乾燥してパターンを形成する。基板上のパターンの高さの差を測定する。以下の基準に基づいてパターンの均一性を評価する:
○:高さの差(ΔH)が0.2μm未満である;
△:高さの差(ΔH)が0.2〜0.3μmである;
×:高さの差(ΔH)が0.3μm超である。
【0066】
4)接着性
はじめに、1mm厚さのクロムコートしたガラス基板を脱脂し、洗浄する。実施例1〜5ならびに比較例1および2で調製した樹脂組成物をそれぞれ洗浄したガラス基板に1〜2μmの厚さで塗布し、次いで60℃のホットプレート上で1分間乾燥させて塗膜を形成する。続いて、塗膜をフォトマスクに接触させて設置し、365nmの波長の高圧水銀灯を用いてフォトマスクを通して光照射し、1%KOH水溶液で常圧下、30℃で100秒間現像し、次いで220℃の熱風循環乾燥機で40分間乾燥してパターンを形成する。水洗圧が5Kgf/cm以上まで変化するようにしてパターンを水洗した後のパターンの変化を観察する。以下の基準に基づいてパターンの接着性を評価する:
○:5kgf/cm以上の水洗圧でパターンの剥離が観察されない;
△:5kgf/cm以上の水洗圧でパターンの剥離がわずかに観察される;
×:5kgf/cm以上の水洗圧で相当のパターンの剥離が観察される。
【0067】
【表4】
【0068】
表4の実験結果からわかるように、実施例1〜5で調製した樹脂組成物は、すべての評価基準でより優れた結果を示す。一方、式2のカルド樹脂の代わりにアクリル樹脂(ベンジルメタクリレート:メタクリル酸=30:70)を用いて調製した比較例1の樹脂組成物、および式2のカルド樹脂の代わりにカルド共重合体樹脂(V259ME、新日鐵化学社製)を用いた比較例2の樹脂組成物は、接着性が低いことがわかった。比較例1の樹脂組成物は、4つの物性の評価において、結果が不良であった。特に、比較例1の樹脂組成物を用いて形成したパターンは、相当の変化および大きな厚さの差を示し、耐熱性が低いことを示唆する。
【0069】
上述のように、本発明は、カルド樹脂を含む樹脂組成物、および前記樹脂組成物を用いたカラーフィルター用部材の製造方法を提供する。本発明によれば、前記樹脂組成物は、優れた物性(例えば高分解能、良好な接着性および高い膜強度)ならびに耐熱性、耐光性、耐薬品性、透明性、および経時安定性の点で高い信頼性を有する、ディスプレイカラーフィルターの製造に用いられうる。
【0070】
本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、前述の説明に記載された教示の利益を得て、本発明の様々な修正および他の実施形態を想起するであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるべきではなく、様々な修正および他の実施形態は添付の特許請求の範囲に含まれることを意図するものであることを理解すべきである。固有の用語が本明細書中に用いられているが、これらの用語は、一般的な、および説明的な意味のみで用いられ、特許請求の範囲に定義される本発明の技術的範囲を制限する目的で用いられるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、カラーフィルターの製造に有用な、カルド樹脂を含む樹脂組成物に関する。本発明の樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルターは、優れた物性(例えば、高分解能、良好な接着性、および高い膜強度)を示し、耐熱性、耐光性、耐薬品性、透明性、および経時安定性の点で高い信頼性を示しうる。
【0072】
本発明は、カルド樹脂、光重合性または熱重合性の不飽和化合物、光重合開始剤、光増感剤またはラジカル重合開始剤、溶媒、および任意で顔料および/または少なくとも1種の添加剤を所定の比率で含みうる、カラーフィルターに有用な樹脂組成物、前記樹脂組成物を用いたカラーフィルター用部材の製造方法、ならびに前記方法によって製造された部材を含むカラーフィルターをさらに提供しうる。本発明の樹脂組成物は、アルカリによって現像可能な感光性組成物または熱硬化性組成物でありうる。
【0073】
本発明の樹脂組成物は、式1で表される構造単位を有するカルド樹脂;
【0074】
【化2】
【0075】
式中:
およびRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、またはC〜Cアルキル基であり、Rはビニル、アクリル、またはメタクリル基であり、Zは酸無水物または酸二無水物の残基を表し、Xは−CO−、−SO−、−C(CF−、−Si(CH−、−CH−、−C(CH−、−O−、
【0076】
【化3】
【0077】
(ここでRはH、Et、CCl、COH、CHCH=CHまたはPhである)、
【0078】
【化4】
【0079】
であり、kは1〜40の整数である。
【0080】
前記カルド樹脂は、約3,000〜約20,000の分子量(M)を有しうる。
【0081】
前記樹脂組成物は、(a)約1〜約30重量%のカルド樹脂、(b)約1〜約30重量%の反応性不飽和化合物、(c)約0.1〜約10重量%の開始剤、および(d)残部の溶媒を含みうる。
【0082】
本発明はまた、カラーフィルター用部材の製造方法を提供する。本発明の方法は、
(a)前記樹脂組成物を約0.5〜10μmの厚さで基板に塗布する段階:
(b)前記樹脂組成物に約190〜約450nmの紫外線またはX線を照射して塗膜を形成する段階;および
(c)前記塗膜を現像液で処理してパターンを形成する段階;
を含みうる。
【0083】
本発明はまた、前記樹脂組成物を用いて調製されたパターンを含むカラーフィルターを提供する。