特許第5848356号(P5848356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5848356
(24)【登録日】2015年12月4日
(45)【発行日】2016年1月27日
(54)【発明の名称】真珠光沢容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20160107BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160107BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20160107BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20160107BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20160107BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20160107BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20160107BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20160107BHJP
   B29C 49/08 20060101ALI20160107BHJP
   B29K 25/00 20060101ALN20160107BHJP
   B29K 27/06 20060101ALN20160107BHJP
   B29K 67/00 20060101ALN20160107BHJP
   B29K 69/00 20060101ALN20160107BHJP
【FI】
   B65D1/00 110
   C08L101/00
   C08L83/04
   C08K3/22
   C08K3/34
   C08K7/14
   B29C49/04
   B29C49/06
   B29C49/08
   B29K25:00
   B29K27:06
   B29K67:00
   B29K69:00
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-538054(P2013-538054)
(86)(22)【出願日】2011年11月10日
(65)【公表番号】特表2013-544300(P2013-544300A)
(43)【公表日】2013年12月12日
(86)【国際出願番号】CN2011082040
(87)【国際公開番号】WO2012062215
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2013年5月13日
(31)【優先権主張番号】201010544345.5
(32)【優先日】2010年11月11日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン リアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アンドリュー マクダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ギアン アーマンド ジュリアナ デベルダー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガオヤン
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−208964(JP,A)
【文献】 特開昭56−027328(JP,A)
【文献】 特開2002−088237(JP,A)
【文献】 特開2009−235193(JP,A)
【文献】 特開平08−003455(JP,A)
【文献】 特開平05−140392(JP,A)
【文献】 特開平04−018446(JP,A)
【文献】 特開2000−248165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08K 3/22
C08K 3/34− 3/36
C08K 7/14
B29C 49/04− 49/16
B65D 1/00− 1/48
B65D 65/00− 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真珠光沢容器であって、
a)86重量%〜99.99重量%の、少なくとも80%の総視感透過率値を有する熱可塑性材料と、
b)0.01重量%〜5重量%の、1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、
を含み、
前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が不混和性であり、層状構造を形成し、少なくとも0.1の屈折率の差を有し、
前記熱可塑性材料は熱可塑性樹脂を含み、
前記熱可塑性材料および前記シロキサン流体の重量%は前記容器の総重量に基づく、真珠光沢容器。
【請求項2】
前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が、少なくとも0.5cal1/2cm-3/2の溶解度パラメーターの差を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記熱可塑性材料が、少なくとも85%の総視感透過率値を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記熱可塑性材料が、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記シロキサン流体が、ジオルガノポリシロキサンである、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記シロキサン流体が、0.05重量%〜1.5重量%の量で存在する、請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記シロキサン流体が、少なくとも20cstの粘度を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項8】
前記シロキサン流体が、少なくとも50cstの粘度を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記ジオルガノポリシロキサンが、ポリジメチルシロキサンである、請求項5に記載の容器。
【請求項10】
前記ジオルガノポリシロキサンが、ヒドロキシル、ビニル、アミン、フェニル、及びエチルからなる群から選択される1つ以上のペンダント基又は末端基を有する、請求項5に記載の容器。
【請求項11】
前記熱可塑性材料がポリエチレンテレフタレートであり、前記シロキサン流体が1,000cstの粘度を有するポリジメチルシロキサンである、請求項1に記載の容器。
【請求項12】
前記熱可塑性材料が、一般廃棄物再生ポリエチレンテレフタレート(PCRPET)、産業廃棄物再生ポリエチレンテレフタレート(PIR−PET)、粉砕再生ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項13】
前記熱可塑性材料が、バイオ由来ポリマー、又はバイオ由来モノマーから製造されるポリマーを含む、請求項1に記載の容器。
【請求項14】
9重量%未満の、充填剤、硬化剤、帯電防止剤、潤滑剤、UV安定剤、酸化防止剤、粘着防止剤、触媒安定剤、着色剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項15】
1重量%未満の、雲母、SiO2、Al23、ガラス繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択される着色剤を含む、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
ボトル、トトル、キャップ、広口瓶、又はカップである、請求項1に記載の容器。
【請求項17】
再生可能である、請求項1に記載の容器。
【請求項18】
2つ以上の材料層からなり、少なくとも1つの層が前記シロキサン流体を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項19】
真珠光沢容器であって、
a)86重量%〜99.99重量%の、少なくとも80%の総視感透過率値を有する熱可塑性材料と、
b)0.01重量%〜5重量%の、1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、
を含み、
前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が不混和性であり、少なくとも0.1の屈折率の差を有し、前記容器が吹込み成形され、
前記熱可塑性材料は熱可塑性樹脂を含み
前記熱可塑性材料および前記シロキサン流体の重量%は前記容器の総重量に基づく、容器。
【請求項20】
前記容器が、射出延伸吹込み成形、射出吹込み成形、又は押出し吹込み成形される、請求項19に記載の容器。
【請求項21】
真珠光沢容器であって、
a)86重量%〜99.99重量%の、少なくとも80%の総視感透過率値を有する熱可塑性材料と、
b)0.01重量%〜5重量%の、1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、
c)9重量%未満の添加剤と、
を含み、
前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が不混和性であり、層状構造を形成し、少なくとも0.1の屈折率の差を有し、
前記熱可塑性材料は熱可塑性樹脂を含み
前記熱可塑性材料、前記シロキサン流体、および前記添加剤の重量%は前記容器の総重量に基づく、真珠光沢容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性材料とシロキサン流体とを含む、真珠光沢容器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)製の容器は、化粧品、洗濯、及び食品業界などの様々な業界で広く使用されている。真珠光沢がある外観を有する容器は、消費者に対する訴求力がある。このような容器は、高品質の製品が内部に含まれていると思わせる傾向があるため、消費者は、真珠光沢容器内に充填された製品を購入する可能性が高い。例えばFujitsu Limitedによる特開2004−018629号において、真珠光沢雲母、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素及びガラス繊維を含む一部の粒子を熱可塑性材料と混合し、真珠光沢容器が製造されていると報告されている。本明細書に開示される容器表面の真珠光沢効果は、このような粒子における光干渉効果によって得られる。しかし、このような粒子の使用は、いくつかの理由で好ましくない。
【0003】
理由の1つは、このような粒子を組み込むことで、容器の表面平滑度に悪影響を及ぼし得ることである。別の理由としては、容器表面が、好ましくないウェルドライン及び流れすじを有する可能性が高いことである。反対方向に運ばれる融解した熱可塑性材料のそれぞれの融解前面が合流すると、ウェルドラインが形成される。流れすじは、発生する2つの融解前面の流れが互いに平行に流れ、これらの間に結合部を形成する場合に起こる。審美的観点及び容器強度の観点の両方から、これらの線は好ましくない。その上、このような粒子はボトルのリサイクル性にも影響する場合がある。
【0004】
容器に真珠光沢がある外観をもたらす別の方法が提案されている。熱可塑性樹脂物品にパールグレー、つまりいわゆる真珠様の外観をもたらす、様々な熱可塑性材料の組み合わせが報告されている。このような混合物としては、Mitsubishi Rayon Co.Ltdによる特開昭56−056831A号、Toppan Printing Co.Ltdによる特開2004−292037A号、及びShiseido Co.Ltdによる欧州特許出願公開第0456929A号に開示されるもののような、ポリエステル及びメタクリル酸、ポリプロピレン及びナイロン、ポリエステル及びポリメチルペンテンの組み合わせが挙げられる。このような熱可塑性材料の組み合わせを使用すると、2つ以上の熱可塑性材料の融点が一致しないことに起因するものなど、加工上の問題が起こる場合があり、その結果、この問題を克服するために相溶剤の添加を必要とする。これとは別に、組み合わせ中の熱可塑性材料の一部、例えばメタクリル酸は化学的に活性であり、製造される容器の安定性を損なう場合がある。
【0005】
シリコーンは、機械的強度の改善、熱可塑性樹脂物品の潤滑性の改善を目的に、様々な熱可塑性樹脂物品の製造に用いられていると報告されており、加工助剤として有用である。例えば、Dow Corningによる米国特許第5,708,084号、Playtex Products,Incによる米国特許出願公開第2008/0167597A1号、及びFujitsuによる特開2004−018629A号に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−018629号
【特許文献2】特開昭56−056831A号
【特許文献3】特開2004−292037A号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0456929A号
【特許文献5】米国特許第5,708,084号
【特許文献6】米国特許出願公開第2008/0167597A1号
【特許文献7】特開2004−018629A号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、真珠光沢がある外観を有するが、先行技術の欠点を有しない容器開発の必要性が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
a)約86%〜約99.99%の、少なくとも約80%の総視感透過率値を有する熱可塑性材料と、
b)約0.01%〜約5%の、約1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、
を含み、
前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が不混和性であり、層状構造を形成し、少なくとも約0.1の屈折率の差を有する、真珠光沢容器に関する。
【0009】
本発明の第2の態様は、
a)約86%〜約99.99%の、少なくとも80%の総視感透過率値を有する熱可塑性樹脂と、
b)約0.01%〜約5%の、約1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、
を含み、
前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が不混和性であり、少なくとも約0.1の屈折率の差を有し、容器が吹込み成形される、真珠光沢容器に関する。
【0010】
本発明の第3の態様は、シロキサン流体を熱可塑性樹脂に添加して、約10%〜約30%の前記シロキサン流体を含むマスターバッチが形成され、
前記樹脂が、少なくとも80%の総視感透過率値を有し、
前記シロキサン流体が、約1,000,000cst以下の粘度を有し、
前記熱可塑性樹脂及び前記シロキサン流体が不混和性であり、少なくとも約0.1の屈折率の差を有する、熱可塑性樹脂の加工方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、本発明を詳細に示し、かつ明確に請求することによって結論付けられるが、本発明は次の記述によって更によく理解されるものと考えられる。
【0012】
真珠光沢容器は、意外にも、比較的透明な熱可塑性樹脂と、約1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、を含む高分子組成物を吹込み成形することで得られることが明らかになっている。本発明の容器の真珠光沢は、特定の作用機序に制限されないが、シロキサン流体層と熱可塑性材料層からなる層状構造の形成によるものであると考えられる。熱可塑性樹脂層の厚さは、数ナノメートルから数百ナノメートルの範囲であってよい。各熱可塑性樹脂層間の空隙は、シロキサン流体層で占められ、可視光波長範囲、すなわち380〜900ナノメートルに相当するか、又はそれより小さい。この層状構造は、入射光と反射光との間に光干渉効果を与えることができ、それによって容器表面の真珠光沢がある外観をもたらすと考えられる。興味深く、また予想外なことに、この層状構造は、炭酸カルシウム結晶片とコンキオリン(concliolin)膜が交互層で含まれる天然真珠にあるものと類似することが明らかになっている。真珠光沢を呈する他に、本発明の容器は、改善された光沢度及び表面平滑度もまた有し、ウェルドライン及び流れすじの数を減らす。
【0013】
百分率、部及び比はすべて、特に記述しない限り、本発明の容器の総重量に基づく。特に記述することなく、測定は、温度約25℃、湿度50±5%で実施される。
【0014】
本明細書で用いるとき、用語「真珠光沢容器」は、容器表面が真珠様の艶効果を示すことを意味する。本発明の容器は、ボトル、トトル、キャップ、広口瓶、カップなどであってよい。外部から眺めると、トトルは、キャップ端部を下にして置けるボトルの1種である。
【0015】
本明細書で用いるとき、用語「熱可塑性材料」及び「熱可塑性樹脂」は、熱及び/又は圧力をかけると、繰り返し成形又は型成形することができるポリマー性原材料と本明細書で定義される。通常は、「熱可塑性樹脂」は樹脂状の原材料を表し、一方「熱可塑性材料」は、熱可塑性樹脂から製造された熱可塑性樹脂物品の最終材料を表すと理解される。
【0016】
本明細書で用いるとき、用語「シロキサン流体」は、室温で流体状のシロキサンを指す。
【0017】
本明細書で用いるとき、用語「層状構造」は、シロキサン流体と熱可塑性材料が、層状の微細な交互層を形成することを意味する。層状構造は、熱可塑性材料の断面図において、顕微鏡的に、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察され得る。熱可塑性材料層間に分配されるシロキサン流体層は、完全な凝集片状であってよく、又は複数の非連続片状であってよい。
【0018】
本明細書で用いるとき、用語「総視感透過率(Tt)」は、入射光に対する透過光の割合と定義される。視感透過率は、ASTM D−1003「Standard Test Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」に従って試験される。2.5mmのサンプル厚さとタングステンランプ光源を、本明細書におけるTt測定に用いる。
【0019】
本明細書で用いるとき、「前記熱可塑性材料及び前記シロキサン流体が不混和性である」とは、シロキサン流体と熱可塑性材料との間に境界面があることを意味する。不混和性は、樹脂とシロキサン流体との間の溶解度パラメーター(δ)の違いによって特徴付けることができる。
【0020】
本明細書で用いるとき、用語「溶解度パラメーター(δ)」は、材料間の相互作用の程度の数値予測を提供し、ポリマー間の溶解度の良い目安となり得る。類似のδ値を有する材料は、相溶性である可能性が高い。本発明においては、ヒルデブランド溶解度パラメーターを本明細書で用いる。
【0021】
本明細書で用いるとき、用語「屈折率()」は、真空中の光速度対別の媒質中の光速度の比として表される。RI(nD25)データを本明細書で用いるが、このときnD25は25℃で試験したときのRIを指し、Dはナトリウム灯のD線を指す。様々な熱可塑性材料及びシロキサン流体のRIデータは、成書及び/又はオンラインRIデータベースから容易に入手できる。
【0022】
本明細書で用いるとき、用語「吹込み成形」は、中空のプラスチック粒子が成形される製造プロセスを指す。吹込み成形プロセスは、プラスチックを融解、又は少なくとも部分的に融解、又は熱によって軟化し、パリソン、つまりプリフォームに成形することから始まるが、ここで前記パリソン、つまりプリフォームを、射出成形などの成形又は造形工程により成形してよい。パリソン、つまりプリフォームは、一方の末端部に圧縮空気が通過できる穴を有するプラスチックの管状片である。続いて、パリソン、つまりプリフォームを成形型内に固定し、空気を入れる。空気圧により、プラスチックが押し出され、成形型の形状にぴったり一致する。プラスチックが冷却され硬くなったら、成形型を開いてパーツを取り出す。一般には、吹込み成形には、押出し吹込み成形、射出吹込み成形、及び射出延伸吹込み成形の主に3種類がある。
【0023】
本明細書で用いるとき、用語「2つ以上の材料層」は、上記層状構造のナノスケール交互層の対語として、容器の2つ以上のマクロスケール層を意味する。
【0024】
本発明の真珠光沢容器の要素を以下に詳細に述べる。
【0025】
熱可塑性材料
本発明の真珠光沢容器は、約86重量%、約90、及び約95重量%〜約98重量%、約99重量%、約99.99重量%の、少なくとも約80%、又は少なくとも約85%の総視感透過率値を有する熱可塑性材料を含む。
【0026】
本発明では、有用な熱可塑性材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ(エチレンテレフタレート)グリコール(PETG)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルが挙げられる。
【0027】
また、有用な熱可塑性材料としては、PETと、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン(PC/ABS)、スチレンブタジエンコポリマー(SBS)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)などを含むその他ポリマーとのブレンドも挙げることができる。
【0028】
また、有用な熱可塑性材料としては、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS)、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー(SBC)などを含むスチレンコポリマーも挙げることができる。
【0029】
また、有用な熱可塑性材料は、ポリカーボネート/ポリメチルメタクリレートブレンド(PC/PMMA)及びポリカーボネート/ポリアミドブレンド(PC/PA)など、ポリカーボネートと他のポリマーとのブレンドであってもよい。
【0030】
また、有用な熱可塑性材料は、塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC)、又はポリ塩化ビニルとメチルメタクリレート−ブタジエン−スチレンコポリマー(PVC/MBS)とのブレンドであってもよい。
【0031】
一実施形態では、熱可塑性材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
本発明の容器の製造に上記熱可塑性材料を2つ以上用いるとき、本発明の容器の製造に用いられる2つ以上の熱可塑性材料の混合物の総重量の少なくとも約86重量%、約91重量%、約95重量%、又は約98重量%を構成する、一方の主となる熱可塑性材料が用いられることが好ましい。
【0033】
再生熱可塑性材料を本発明で用いてよい。一実施形態では、熱可塑性材料としては、一般廃棄物再生ポリエチレンテレフタレート(PCRPET)、産業廃棄物再生ポリエチレンテレフタレート(PIR−PET)、粉砕再生ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマーが挙げられる。熱可塑性材料から製造された容器も再生可能であり得る。
【0034】
再生可能資源由来のモノマーと、再生不能資源(例えば石油)由来のモノマーとの組み合わせを用いて、任意の熱可塑性材料を形成してよい。例えば、熱可塑性材料は、バイオ由来(一部又は全体)ポリマー、又はバイオ由来モノマーから製造されたバイオ由来ポリマーを含んでよい。
【0035】
別の実施形態では、本発明の容器は、少なくとも約10%、約25%、約50%、約75%、約90%、又は約100%の、バイオ由来含量が少なくとも約90%、約93%、約95%、又は約100%であるポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
【0036】
シロキサン流体
本発明の真珠光沢容器は、約0.01%、約0.05%、及び約0.1%〜約0.5%、約1.5%、及び約5%の、1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体を含む。本発明の一実施形態では、シロキサン流体は、少なくとも約20cst、少なくとも約50cst、又は少なくとも350cstの粘度を有する。
【0037】
シロキサン流体は、直鎖又は分枝鎖ポリマー又はコポリマーであってよい。有用なシロキサン流体は、ジオルガノポリシロキサンであってよい。一実施形態では、ジオルガノシロキサンは、ヒドロキシル、ビニル、アミン、フェニル、及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上のペンダント基又は末端基を有する。好適なシロキサン流体としては、ポリジメチルシロキサンホモポリマー、ジメチルシロキサン単位及びメチルフェニルシロキサン単位から本質的になるコポリマー、ジフェニルシロキサン単位及びメチルフェニルシロキサン単位から本質的になるコポリマーが挙げられる。このようなシロキサン流体ポリマー及びコポリマーの2種類以上の混合物を使用することができ、まず混合してから熱可塑性樹脂と組み合わせても、あるいは、同時又は異なるタイミングのいずれかで、熱可塑性樹脂に別々に加えてもよい。
【0038】
一実施形態では、シロキサン流体はポリジメチルシロキサンである。別の実施形態において、本発明の真珠光沢容器は、熱可塑性材料はポリエチレンテレフタレート(PET)であり、シロキサン流体は1000cstの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。
【0039】
別の実施形態では、シロキサン流体は、アミン修飾シリコーンエラストマーを非限定的に含むシリコーンエラストマーである。
【0040】
シロキサン流体及び熱可塑性材料は不混和性であり、十分に異なる屈折率を有する。この不混和性と屈折率の違いにより、光干渉を起こさせ、熱可塑性材料及びシロキサン流体からなる層状構造間をはっきりさせることを可能にする。一実施形態では、シロキサン流体及び熱可塑性材料は、少なくとも約0.5cal1/2cm-3/2である溶解度パラメーターの差を有する。別の実施形態では、熱可塑性材料及びシロキサン流体は、少なくとも約0.1、約0.15である屈折率の差を有する。
【0041】
添加剤
本発明の真珠光沢容器は更に、約9%未満、約5%未満、又は約1%未満の、充填剤、硬化剤、帯電防止剤、潤滑剤、UV安定剤、酸化防止剤、粘着防止剤、触媒安定剤、着色剤、及びその他一般的に使用される加工助剤などの成分を含んでもよい。
【0042】
本発明の一実施形態では、本発明の容器は、1%未満、又は更に約0.1%未満の、雲母、SiO2、Al23、ガラス繊維、及びこれらの混合物からなる群から選択される着色剤を含む。
【0043】
製造方法
本発明の容器は、約86%〜約99.99%の、少なくとも約80%の総視感透過率値を有する熱可塑性樹脂と、約0.01%〜約5%の、約1,000,000cst以下の粘度を有するシロキサン流体と、を含み、このとき樹脂及びシロキサン流体は不混和性であり、少なくとも約0.1である屈折率の差を有し、容器は吹込み成形される。吹込み成形としては、射出延伸吹込み成形(ISBM)、射出吹込み成形(IBM)及び押出し吹込み成形(EBM)が挙げられる。
【0044】
本発明の容器の製造方法は、熱可塑性樹脂を加工しマスターバッチを製造する方法で開始し、次にマスターバッチを追加量の同種の又は異なる種類の熱可塑性材料で希釈して均一なブレンドを作製してよい。熱可塑性樹脂の加工中に、着色剤などの添加剤をマスターバッチに混和してよい。次に、均一なブレンドを、射出延伸吹込み成形、射出吹込み成形、又は押出し吹込み成形の更なる工程にかけてよい。
【0045】
ISBMプロセス又はIBMプロセスを用いる容器の成形では、上記加工済み熱可塑性材料を融解してプリフォーム(すなわち、半融解状の中空プラスチック管)に射出し、続いてパリソンに加圧空気を充填することによって管を外向きに膨張させ、所望の容器形状の成形型表面に接触させる。成形後にプリフォームを冷却した後、加圧空気の充填前に再加熱する任意の中間工程があってもよい。EBMプロセスを用いるプラスチック容器の成形では、上記加工済み熱可塑性材料を融解し、パリソンに押し出し、その後上述の吹込み成形工程が続く。
【0046】
また、本発明の容器の製造に用いられる方法は、シロキサン流体を熱可塑性樹脂と混合して、マスターバッチを形成せずに均一なブレンドにするプロセスから開始し、続いて、射出延伸吹込み成形、射出吹込み成形、又は押出し吹込み成形にこのブレンドを直接かけてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態では、本発明の容器は、2つ以上の材料層を含む層状容器である。本発明の別の実施形態では、本発明の容器は、外側熱可塑性材料層と内側熱可塑性材料層との間にバリア材層又は再生材料層を有する。このような層状容器を、熱可塑性樹脂製造業で用いられる一般的な技術に従って、多層パリソン、つまりプリフォームから製造してよい。層状容器内では、すべての材料層がシロキサン流体を含む必要はないが、少なくとも1つの層で含まなくてはならない。
【0048】
別の実施形態では、小売店の商品棚上の容器を見ると認められ得る外向き材料層、又は容器の中を見ると認められ得る内向き材料層などの、容器の1つ以上の表面材料層は、シロキサン流体を含み、真珠光沢をもたらす。
【0049】
本発明の一態様では、シロキサン流体を熱可塑性樹脂に添加して、ブレンドの約10重量%〜約30重量%のシロキサン流体を含むマスターバッチを形成する工程を含む、熱可塑性樹脂を加工する方法に関し、このとき樹脂は、少なくとも80%の総視感透過率値を有し、シロキサン流体は、約1,000,000cst以下の粘度を有し、樹脂及びシロキサン流体は不混和性であり、少なくとも約0.1の屈折率の差を有する。
【0050】
測定方法
真珠光沢スコア
同形状で真珠光沢がある容器外観を、30人の官能試験員グループ(男性15人、女性15人、平均年齢28歳)に観察させ、一群の容器の真珠光沢順のランキングを尋ねる。
【0051】
次に、PETのみの容器を含む容器群における特定の容器の真珠光沢スコアを、以下の式に従って算出する。PETのみのボトルの真珠光沢スコアを算出の際の対照として用いる。
【0052】
【数1】
式中、
nは、試験した容器群のサンプルサイズである。
iは、特定の容器XのランキングスコアをIi(i=1、2、...n)と指定した官能試験員の割合を指す。
iは、I1=n、I2=n−1、...、In=1のとき、真珠光沢スコア順に対応するランキングスコアを指す。
【0053】
光沢度
SAMBAという能動偏光カメラシステムを用いて、本発明の真珠光沢(pearlecent)容器の鏡面光沢度を測定する。このシステムはBossa Nova Technologiesから供給されており、VAS(Visual Appearance Studyソフトウェア、バージョン3.5)という名称の偏光イメージングソフトウェアを解析に用いる。容器の前面ラベルパネル部分を、入射光に対して試験する。露出時間55ミリ秒を用いる。
【0054】
入射光は、ボトルによって反射し、散乱する。鏡面反射光は、入射光と同じ偏光を保ち、体積散乱光は非偏光となる。SAMBAは、反射光及び散乱光の両方によってもたらされる平行画像強度(P)、及び散乱光のみによってもたらされる画像の交差画像強度(C)の偏光状態を取得する。これによって、G=P−Cで得られる光沢度Gの算出が可能となる。
【0055】
平滑度
本発明の容器の表面平滑度は、Atomic Force Microscope(AFM)で測定することができる。表面平滑度情報を、機械的プローブを用いて表面を「触る」ことによって収集する。本明細書では、Veecoから供給されるAFMを用いる。平滑度測定には、接触モードに設定する。検出領域は、ボトルの前側ラベルパネル領域の中央部とする。580nm×580nmの領域を用いて、検出領域内の10個の点の平均値としてデータを収集する。
【0056】
AFM測定からnmの単位で測定される粗さは、特定の位置iにおける縦方向の絶対高さyiの相加平均値(Ra)で表すことができる。
【0057】
aは、
【0058】
【数2】
で表される。
【0059】
a値は、粗さに伴い増加する。
【0060】
ウェルドライン、流れすじ
ウェルドライン及び流れすじは、裸眼観測によって外観検査を行ってよい。
【0061】
熱可塑性材料の小板構造
シロキサン流体が内部に分布される本発明の熱可塑性材料の層状構造は、SEM(走査型電子顕微鏡)によって、熱可塑性材料の断面図を走査して観察できる。本明細書では、HITACHI S−4800というSEMシステムを用いる。
【実施例】
【0062】
以下の実施例は、本発明の範囲に含まれる実施形態を更に説明及び実証するものである。これらの実施例はあくまで例示を目的として与えられるものであって、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。実施例には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく多くの変形例が可能である。
【0063】
実施例1〜10は、本発明によって製造されるボトルの代表例である。比較実施例1〜6は、本発明の範囲外であるボトルの代表例である。
【0064】
以下の材料を、実施例及び比較実施例で用いる。
1.PET、Far Eastern Industries(Shanghai)LtdからCB−602の名称で市販。Tt 90%、RI(nD25)1.57。
2.LDPE(低密度ポリエチレン)、Sinopec MPCCからLDPE 868の名称で市販。Tt 40%、RI(nD25)1.51。
3.ポリジメチルシロキサン(10cst、1,000cst、及び60,000cst、1,000,000cstの4つの粘度)、Dow CorningからXIAMETER PMX−200シロキサン流体として市販。
4.エチルメチル,メチル(2−フェニルプロピル)シロキサン、Dow CorningからDow Corning(登録商標)230シロキサン流体として市販、粘度1350cSt。
5.ヒドロキシル末端ジメチルシロキサン、Dow CorningからXIAMETER PMX−0156シラノール流体で市販、粘度72cst。
6.ビニルトリメトキシシラン、Momentive Performance MaterialsのSilquest(登録商標)A−171(商標)。
7.アミン修飾ポリシロキサンエラストマー、Foshan Yingzhi Organic Silicon Materials Co.LtdのJ−40。
8.ゴールデンレッド及びゴールデングリーンは、シリコーン、PET、染料、及び分散剤に加えて、Merckの真珠光沢雲母Iriodin(登録商標)32を含む着色剤混合物である。
9.雲母、MerckのTaizhu Silver white 1000。
【0065】
実施例1〜10及び比較実施例1〜5のボトルは、以下のプロセスに従って製造できる。
【0066】
第1に、熱可塑性樹脂と、シロキサン流体及び着色剤(使用する場合)の混合物を調製する。十分量のシロキサン流体を熱可塑性樹脂に加え、シロキサン流体の全濃度が、ブレンドの重量でPET樹脂の約10%であるようにする。続いてブレンドを、押し出し機長さ/直径(L/D)43、直径35.6mmの2軸押し出し機にかけて、水浴中で冷却すると、マスターバッチペレットが形成される。異なる粘度のシリコーン流体を用いると、熱可塑性樹脂を含む均一な混合物に達するのに要する時間が変わり得る。この条件は、当業者にとって常識を利用して決定できる。
【0067】
第2に、先に調製したマスターバッチを熱可塑性樹脂と約0.8%〜8%のレットダウン比で再びブレンドし、使用前に、得られる混合物を、約4〜6時間、160〜170℃で乾燥する。続いて、乾燥した混合物を、バレル温度260〜270℃、射出圧力70〜80MPa、及び射出速度60〜70mm/sで管状プリフォームに射出成形する。冷却後、プリフォームを成形型から取り出す。
【0068】
第3に、冷却したプリフォームを、赤外線加熱機を用いて70〜90℃で約2分間、再び加熱して軟化する。続いて、軟化したプリフォームをボトル成形型に入れ、次にプリフォームを、Guangzhou RiJing Incの吹込機、型CP03−220を用いて、吹込圧約2.5〜3.5Mpa、成形型温度20〜30℃、及び延伸比6:1でボトル状に吹き込む。冷却後、ボトルを成形型から取り出す。
【0069】
実施例1〜8及び比較実施例1〜4
実施例1〜8は、本発明に従って製造される真珠光沢ボトルを示し、比較実施例1〜4は、本発明に従って製造されないボトルを示す。ΔRIは、屈折率の差を指す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
結果
実施例1〜8のボトル、及び比較実施例1〜2のボトルの真珠光沢スコアは、前段落に記載した真珠光沢スコア測定法に従ってスコア化する。上記表中の真珠光沢スコアは、本実施例1〜8のボトルのすべてが、比較実施例1のシロキサン流体を含まないPETのみのボトルよりも、顕著に高いスコアを有することを示す。シロキサン流体の代わりにビニルトリメトキシシランを含む比較実施例2のボトルは、PETのみのボトルに対する真珠光沢の顕著な改善を示さない。
【0073】
LDPE及びポリジメチルシロキサンを含む比較実施例3のボトルの真珠光沢スコアは、単独で比較実施例4のLDPEのみのボトルと比較する。この理由としては、LDPEボトルの形状が、実施例1〜8及び比較実施例1〜2のPETボトルと異なるため、これらのボトルと同一試験群に含めることが不適切になることである。比較実施例4のボトルに対して、比較実施例3のボトルは、真珠光沢スコアの改善がみられない。この結果は、LDPEのTtが40%と低く、本発明で必須である最低Ttの約80%よりはるかに小さいためと考えられる。
【0074】
実施例3、9〜10、及び比較実施例1、5〜6
実施例3及び実施例9〜10は、本発明の真珠光沢ボトルを示し、比較実施例1及び5は、本発明によらないこれらボトルを示す。
【0075】
【表3】
【0076】
結果
表2より、ポリジメチルシロキサンを含む実施例1のボトルが、比較実施例1のPETのみのボトルに対して光沢度の改善を示すことがわかる。
【0077】
表2からはまた、ポリジメチルシロキサンに加えて、ゴールデンレッド及びゴールデングリーン着色剤を含む実施例9〜10のボトルも、ポリジメチルシロキサンを含まない比較実施例5及び6のボトルと比較するとき、光沢度の改善を示すこともわかる。着色剤粒子を含む真珠光沢容器の光沢度は、ポリジメチルシロキサンの添加により顕著に改善される。
【0078】
実施例3及び比較実施例1、6
実施例3は、本発明の真珠光沢ボトルを示し、比較実施例1及び6は、本発明によらないこれらボトルを示す。
【0079】
【表4】
【0080】
結果
表3より、ポリジメチルシロキサンを含む実施例3のボトルは、PETのみのボトルである比較実施例1のボトル、及び雲母を含めて製造された真珠光沢ボトルである比較実施例6のボトルと比較して、Ra値が最も低く(すなわち、平滑度が最も高い)ことがわかる。
【0081】
表3より、実施例3のボトルは、ウェルドライン又は流れすじを示す比較実施例6の従来の雲母の真珠光沢ボトルと比較すると、ウェルドライン又は流れすじを示さないことがわかる。
【0082】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきでない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法はそれぞれ、記載された値及びその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0083】
相互参照されるか又は関連するすべての特許又は特許出願を含む、本願に引用されるすべての文書を、特に除外又は限定することを明言しない限りにおいて、その全容にわたって本願に援用するものである。いずれの文献の引用も、こうした文献が本願で開示又は特許請求されるすべての発明に対する先行技術であることを容認するものではなく、あるいは、こうした文献が、単独で、又は他のすべての参照文献とのあらゆる組み合わせにおいて、こうした発明のいずれかを参照、教示、示唆又は開示していることを容認するものでもない。更に、本文書において、ある用語の任意の意味又は定義の範囲が、援用文献中の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合には、本文書中でその用語に与えられる意味又は定義が優先するものとする。
【0084】
以上、本発明の特定の実施形態を例示、記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変を行いうる点は、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の範囲に含まれるそのようなすべての変更及び改変を添付の特許請求の範囲において網羅するものとする。