(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中空管を通る流路が、前記分配末端に近接した断面サイズが減少するように、先細り状の断面積を有することによって更に特徴付けられる、請求項1に記載の分配装置。
前記スリーブが肯定的に非作動状態にされるまで、作動状態の前記スリーブを、該スリーブの作動位置に保持する係合機構によって更に特徴付けられる、請求項1に記載の分配装置。
前記係合機構が、互いに対向する第1及び第2末端を有する柔軟な非弾性伸長部材を備え、前記第1末端は前記スリーブに取り付けられており、前記非弾性伸長部材は、前記接続部材が前記缶の弁棒に取り付けられる際に、前記第2末端が前記缶に到達するのに十分な長さであり、前記第2末端は前記缶に取り付けられるように設計されていることによって更に特徴付けられる、請求項3に記載の分配装置。
前記接続部材が、該接続部材の一側面から延びるトリガー構造体を備え、前記伸長部材が、前記中空管に沿って延びる前記スリーブと、前記トリガーの反対側となる前記接続部材の側面に、取り付けられることによって更に特徴付けられる、請求項5に記載の分配装置。
前記プラグ及び前記中空管の少なくとも一方の少なくとも一部分が、弾性変形可能であり、この弾性変形可能な部分は、前記プラグが密封構造形成位置に押し込まれたときに、前記プラグと前記中空管との接続に関与して密封を形成する、請求項1に記載の分配装置。
圧縮された発泡性配合物の缶及び請求項1の分配装置を備えるフォーム分配システムであって、前記缶が、前記分配装置の接続部材に取り付けることのできる弁棒を有する、前記フォーム分配システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「及び/又は」は、「及び」或いは「又は」を意味し、「複数」は、「2つ以上」を意味する。また、特に断らない限り、すべての範囲はその両方の端点を含む。
【0014】
本出願人は、そのような組み合わせが物理的に不可能でない限り、任意の実施形態の態様は、他の実施形態のいずれかの態様と無制限の様式で組み合わせが可能であると予想している。
【0015】
本発明は、缶の弁棒を介して缶からの圧縮流体を分配するための分配装置である。本発明の最も広い範囲においては、圧縮流体の種類は無制限であり、液体と気体の両方を含み得るが、本発明は、圧縮された液体状の発泡性配合物を分配するのに、特に有用である。
【0016】
発泡性配合物は、通常、マトリックス材料と、発泡させたい時まで膨張が起こらない圧力下で保持される発泡剤との混合物を含む。圧力が解放されると、前記発泡剤はフォームを形成するためのマトリックス材料内で膨張することができる。一般的な発泡性ポリマー組成物としては、膨張及び硬化することのできるポリウレタンポリマーを形成する、マトリックスを有するもの(すなわち、ポリウレタン発泡性ポリマー組成物)が挙げられる。その他の種類の発泡性ポリマー組成物としては、ポリマーフォームを形成するための膨張や結合をしている間に発泡する、ラテックスマトリックス材料が挙げられる。
【0017】
本発明に使用するのに適した圧縮流体の缶は、分配される缶内の内容物が通過するバルブ及び弁棒を備える。缶のバルブは、缶からの流体を分配するために缶を開閉して可逆的に密封及びその解除をする缶の一部分である。弁棒は、前記バルブの密封部から延びるバルブの一部分であって、通常は管状であり、これを介して缶の内容物を排出することができるものである。
【0018】
前記分配装置は、そこを通る流路として規定される中空管を備える。この中空管は、分配管として機能する。この中空管は、互いに対向する入口末端と分配末端とを有する。流体は、前記入口末端を介して中空管の前記流路に入ることができ、該管の流路内を流れ、前記分配末端を介して前記流路から出ることができる。中空管及び流路は、同じ又は異なる断面形状を有することができ、それぞれ考え得る任意の断面形状とすることができる。通常は、前記中空管及び流路は、両方とも円形の断面形状を有する。前記流路の断面積は、前記分配末端に近づくにつれてサイズが先細りしていてもよく、望ましくは先細りしている。或いは、前記流路の断面積は、分配末端に近づくにつれて、段階的に又は急に縮小するようにしてもよい。前記分配末端に近づくにつれて小さい断面積を有することは、後述するように、プラグによる前記流路の密封を促進し易くするために望ましい。前記中空管は直線状が望ましいが、直線状又は曲線状を含む考え得る任意の形状とすることができる。
【0019】
また、前記中空管は、単一の部材又は複数の部材により構成することができる。例えば、前記中空管は、該中空管に取り付けられて該中空管の前記分配末端をなす、着脱可能な先端部を備えることができる。この着脱可能な先端部は、前記中空管の流路から分配末端を通過する流体の流れの方向や形状を、圧縮及び/又は再規定するように設計することができる。例えば、前記先端部は、広い表面領域に対する流体の塗布を容易にするために、流体の流れを扇状(fan pattern)に分配することができる。また、前記先端部は、前記流路の分配末端の断面積を減少させることによって流体の流れを圧縮することもでき、そしてそれは、前記プラグ(後述する)が、前記着脱可能な先端部に押しつけられたときに密封を形成するように前記着脱可能な先端部と組み合わせられる場合でも、有用となり得る。
【0020】
前記中空管は、プラスチック製が望ましいが、実質的に任意の材料で製造することができる。例えば、金属やプラスチックと金属成分との組み合わせを用いて製造することもできる。前記中空管は、使用中に中空管が劣化又は分解しないように、これを介して分配される圧縮流体に対して相対的に不活性である材料で形成されることが望ましい。
【0021】
前記中空管は、該中空管と前記圧縮流体の缶の弁棒との間のインターフェース又は連携装置となる接続部材に接続する。この接続部材は、これを通る導管(又は、流路)として規定される。前記導管は、後述する密封された開口以外の開口や末端を、前記接続部材の外側に少なくとも2つ、好ましくは2つのみ備えるものである。このような開口の一つは、前記中空管の流路と前記接続部材の導管とを接続するものである。前記導管の他の開口は、缶の弁棒に取り付けられて、接続されるものである。ここで、前記中空管が前記接続部材と「接続する」又は「接続された」とは、前記中空管を通る流路が、前記導管の一末端を介して前記接続部材を通る導管と流体連通するように、中空管の前記入口末端を前記接続部材に接続することを意味する。前記中空管の流路は、基本的に接続部材を通る導管の延長となる。
【0022】
前記中空管及び接続部材は、単一の部材又は複数の部材により構成することができる。単一の部材の場合は、前記中空管及び接続部材が、単一の部材として永久に接続され又は一体形成され(例えば、一体成形され)る。複数の部材の場合は、前記中空管は、前記接続部材から分離することができる。例えば、前記中空管は、継手に適合される入口末端を備えたストローによって構成することができ、ここで、前記継手は、一旦その上に前記ストローが配置されると、前記ストローの流路と前記接続部材の導管とを流体連通させる接続部材として規定されるものである。例えば、
図3(b)を参照されたい。
【0023】
前記接続部材は、中空管と同じ材料又は異なる材料で製造することができるが、通常は、前記中空管に適した材料と同じ種類の材料から製造する。
【0024】
缶の弁棒に取り付けられる前記導管の開口は、分配装置が缶に取り付けられるときに、前記弁棒に接続され、そして、その接続は、前記弁棒と前記接続部材の導管とが流体連通するように、前記接続部材の導管が缶の弁棒と密封状態で接続することを意味する。したがって、分配装置を缶に取り付けると、前記弁棒と前記接続部材の導管と前記中空管の流路とが流体連通する。例えば、前記弁棒の外側の(露出した)壁及び前記接続部材の導管の内側の壁が、前記接続部材を前記弁棒の上にネジ止めすることにより、前記弁棒を介して分配装置を缶に取り付けることができるように、ネジ接合することができる(例えば、
図3(b)を参照)。
【0025】
また、前記接続部材は、前記弁棒を介して接続部材の導管と流体連通させることが可能な任意の手段によって、前記弁棒に取り付けることができる。接続部材を弁棒に取り付けることができる他の手段としては、摩擦嵌合(frictional mating; その位置の摩擦力を保持しつつ、接続部材を弁棒上に摺動させる手段)、それぞれ可逆的又は非可逆的に一緒にロックするように形成された前記弁棒と前記接続部材とのスナッピング(snapping)が挙げられる。また、ロック手段としては、一方の部材の隆起部(ridge)が他方の部材の係合溝部(groove)に嵌ってロックされるような、隆起部及び係合溝部による接合手段が挙げられる。
【0026】
接続部材は、トリガー構造体を含むことができる。望ましくは、前記トリガー構造体は、前記接続部材が缶の弁棒に取り付けられているときに前記トリガーの先端を引くと、前記接続部材及び前記バルブの弁棒が、圧縮流体を、バルブ及び弁棒を介して前記接続部材の導管内へと放出させるように、前記接続部材の片側から延出している。別のトリガー設計としては、下にある弁棒及び該弁棒に取り付けられた缶のバルブに、直接、圧力を加えることを容易にするトリガー構造を含む。例えば、トリガー構造体に圧力をかけることで、前記弁棒が傾くことなくバルブ内に押し込まれ、それによってバルブが開いて缶内の圧縮流体を解放し、前記圧縮流体が前記バルブ及び弁棒を介して前記接続部材の導管内へと流れ込むように、前記接続部材と対称的に配置されるトリガー構造体が挙げられる。
【0027】
プラグは、前記中空管の流路内に設置する。プラグは、前記中空管内に該プラグに対して圧力を加える流体がないときは、前記中空管の流路内を動くことができる。プラグは、前記中空管の分配末端に向って押圧されたときに(例えば、中空管流路の壁又はO−リング等の挿入物に対する押圧によって)、前記中空管と密封状態で嵌合するように設計されている。前記プラグと前記中空管とが密封構造を形成して嵌合しているとき、前記プラグは、例えば、前記中空管の壁(例えば、中空管の流路周囲の部分など)又は前記中空管内の1若しくは複数の構成要素(例えば、前記中空管の壁内の凹部に設置され、前記流路内に露出するO−リングやガスケットなど)と接触することができる。そのようなプラグ及び中空管を設計するための多くの選択肢があり、また、そのような設計は、当業者であれば容易に想到し得るものである。
【0028】
例えば、プラグが前記分配末端に向けて押圧され、該プラグが前記流路の壁を押圧すると、プラグ越しの流体連通を密封するように、前記中空管の流路を、前記中空管の分配末端に近づくにつれて先細りさせることができる。加えて又はその代わりに、手前の断面積よりも小さい断面積を有する前記流路を通る開口として規定される分配末端又は該分配末端の最も近いところで、単調な段階的圧縮により圧縮してもよく、そして、前記プラグは、前記分配末端に向けて押圧されたときに前記開口を密封するように、前記開口内に嵌まり込むことができる。前述のように、前記分配末端は、着脱可能な先端部を含むことができ、この着脱可能な先端部は、前記プラグが該着脱可能な先端部内に押圧されたときに前記プラグと嵌合して密封構造を形成するように設計される。前記中空管は、押圧された前記プラグと接触して前記密封構造を形成するように、前記流路内、望ましくは、前記流路を規定する前記中空管壁の凹部内に差し込まれたO−リングを含むことができる。
【0029】
前記プラグは、前記中空管の分配末端に向けて押圧されたときに密封構造を形成し得る大きさの寸法であるが、同時に、該寸法は、密封構造を形成しないときは、前記流路及び前記プラグの周囲を介して流体を流通させることができる程度の寸法でもある。例えば、前記流路は、前記分配末端で減少した径となるように縮径する主直径を有する円形断面とする一方、前記プラグは、前記主直径よりも小さく、かつ、前記中空管流路の前記減少した直径よりも大きい直径を有する円形断面とすることができる。このような例では、前記プラグは、前記分配末端における流路よりも大きい直径を有するため、前記分配末端に向けて押圧されたときに前記流路と密封構造を形成する。しかし、前記プラグが、前記分配末端から退避して前記主直径を有する流路部分に入ると、前記流路内における前記プラグの周囲が流体連通する。そして、この例を、例えば、前記プラグと前記中空管流路の所定部分との断面形状の寸法関係に関する同様の構想を採用することによって、円形以外の他の断面形状にも拡張することは容易である。
【0030】
最も広い範囲においては、前記プラグは、球状形状(すなわち、ボール状)とすることができ、また、その断面寸法を超える長さを有するものとすることもできる。望ましくは、前記プラグは、該プラグ自体の断面寸法を超える長さを有するものである。更に好ましくは、前記プラグは、分配末端に最も近接したプラグの端部が、常に前記分配末端に最も近接したプラグの端部となるように、前記流路の断面寸法を超える長さを有するものである。そのように、前記プラグは、常に、前記プラグの同じ端部で流路内の密封を形成するのである。ここで、疑義を避けるために、前記プラグの長さとは、前記プラグ及び中空管の断面に垂直な方向であり、かつ、前記入口末端から前記分配末端まで流れるときの前記中空管内における流体の流れ方向と平行な方向に延びるものである。
【0031】
前記中空管内で膨張する流体が、最も効率よく前記プラグに対して圧力を加えて、前記プラグを密封構造形成位置へと押し込むようにするために、前記中空管の分配末端から最も離れた側のプラグの末端は、できるだけ大きい断面積を有することが望ましい。したがって、1つの望ましいプラグは、密封する面の反対側に、流体が前記流路を通って流れることにより生じる、前記流体の圧力を受ける平面を有する。
【0032】
プラグの少なくとも一部分は、前記中空管と接触して密封構造を形成するものであり、前記一部分は、密封構造のときに前記中空管に押し付けられるため、前記流路断面の形状に適合できるように弾性変形可能であることが望ましい。或いは、又は、追加的に、前記中空管の一部分(前記プラグが押圧して密封を形成可能なO−リングのような任意の構成要素を含む)が、望ましくは押圧する前記プラグの形状に適合するように弾性変形可能である。前記弾性変形可能なプラグ及び/若しくは中空管、又はその少なくとも一部分に好適な弾性変形可能な材料としては、ゴム、シリコーン及びプラスチックが挙げられる。
【0033】
前記プラグは、前記中空管の入口末端よりも、前記中空管の分配末端に相対的に近い方が望ましい。したがって、前記中空管は、前記プラグと前記中空管の入口末端との間の前記流路内に延在する1又は複数の隆起部を備えることができる。前記隆起部と前記流路の分配末端との間の距離は、前記プラグが前記隆起部と密封構造形成位置との間を移動する余地を有するように、前記プラグの長さよりも大きい。前記プラグの長さは、前記プラグが流路内にあるとき、該流路の断面に垂直に延びるプラグ寸法を指す。前記隆起部は、前記プラグが前記中空管の流路内の隆起部を通過するのを妨げる任意の形状又は形態とすることができる。例えば、隆起部は、前記流路内に突出する、任意寸法の単一の突起、任意寸法の複数の突起の組み合わせ又は前記中空管の内周の刻み目(indentation)とすることができる。
【0034】
スリーブは、前記中空管の外側の周囲を少なくとも部分的に包囲する。いかなる疑義も避けるために、前記流路は中空管の内側であり、前記中空管の露出面は前記中空管の外側表面である。望ましくは、前記スリーブは、該スリーブが前記中空管から離れて落下しないように保持するために、前記中空管の周囲を十分に包囲する。好ましくは、前記スリーブは、前記中空管の周囲を完全に包囲する。しかしながら、前記中空管の周囲を部分的に又は完全に包み込んでも、前記スリーブは、依然として、前記中空管の外表面に沿って摺動可能である。
【0035】
前記スリーブは、前記中空管から該中空管の分配末端を介して出る一部分を備え、さらに、前記スリーブが作動状態とされたとき、及び任意に前記スリーブが非作動状態とされたときにも、前記中空管の流路内に前記分配末端を介して延びる突起(「スリーブ突起」という。)を備える。前記スリーブ突起は、前記中空管の分配末端を介して挿入されたときでさえも、依然として、前記流体が、前記分配末端を介して前記中空管から流出することのできる程度に小さい。前記スリーブ突起は、例えば、前記スリーブの断面寸法に対して部分的に、好ましくは全体的に延びる単一の支持バーによって、前記スリーブに取り付けることができる。例えば、以下で更に説明する
図1(a)〜(e)を参照されたい。
【0036】
図1(a)は、分配装置10の前記分配末端内の斜視図を示すものであり、
図1(b)〜(e)は、分配装置10の切断断面図であり、
図1(b)及び(c)は、線Aに沿った切断断面図を示し、
図1(d)及び(e)は、線Bに沿った切断断面図を示すものである。
【0037】
分配装置10は、中空管20及びスリーブ30を備える。スリーブ30は、支持バー34によってスリーブ30に取り付けられた突起32を備える。支持バー34は、図l(a)〜(e)におけるスリーブ30の断面寸法全体に延びる。
【0038】
前記スリーブの内側に前記支持バーを備えることが望ましい。すなわち、流体の流れの方向に、前記支持バーの両側に延びる前記スリーブの少なくとも一部分を有することが望ましい。これは、前記支持バーの下流(流体の流れに関し、前記支持バーの中空管とは反対側)のスリーブの一部分を、少なくとも1箇所、好ましくは各断面寸法を先細りさせるためにも望ましい。前記支持バー以降の断面寸法が先細りしていくことによって、前記支持バー及び突起の周囲で偏向させられた流体が方向修正されて、前記分配された流体の流れの中にボイドが形成されるのを回避することができる。
図1(b)〜(e)における先細り先端部31は、スリーブ30の支持バー34から下流側の前記スリーブのそのような先細り部分の例を示すものである。
【0039】
前記突起が、前記中空管の分配末端を介して、前記プラグを密封構造形成位置から移動させる及び/又は前記プラグによる密閉構造の形成を妨げるのに十分な距離で延在するとき、このスリーブは「作動状態」にある。作動した前記スリーブによって、前記プラグを通過して前記中空管の分配末端に通じる前記中空管の流体連通が、形成され及び/又は確保される。前記突起が、前記中空管の流路内において前記プラグによる密封構造の形成又は維持を妨げない位置にあるとき、このスリーブは「非作動状態」にある。
【0040】
作動状態にあるスリーブ(すなわち、作動位置に移動したスリーブ)を、非作動位置に移動させるときは、前記スリーブを、前記中空管に沿って前記中空管の入口末端方向に向かってスライドさせる。非作動状態にある前記スリーブ(すなわち、非作動位置に移動したスリーブ)を、作動位置に移動させるときは、前記スリーブを、前記中空管に沿って前記中空管の入口末端から離れる方向にスライドさせる。
【0041】
前記スリーブ突起は、前記スリーブが作動状態にあるときに前記プラグを密封構造形成位置から移動させ、非作動状態にあるときに前記プラグを密封構造形成位置に積極的に移動させるように、前記プラグに接続することができる。この実施形態においては、非作動状態にあるスリーブは、前記プラグを密封構造形成位置に実際に引っ張る。この種の実施形態は、中空管の流路内の流体が積極的に膨張して、前記プラグを密封構造形成位置に押圧することのないような、非膨張性流体の缶と共に使用する際に、特に望ましい。
【0042】
或いは、前記スリーブ突起が接続されず、前記プラグとは異なるものとすることができる。すなわち、前記プラグは、前記スリーブ突起から離れて自由に移動することができる。前記スリーブ突起が接続されずに、前記プラグと異なる場合は、これら2つが接続されている場合よりも、分配装置の構成を簡略化することができ、また、前記流路内の密封構造形成位置に前記プラグが入り込むように、前記プラグに対して自由に微小な位置調整を行うことができ、前記流路に適合させることができる。前記スリーブ突起がプラグに接続されていない場合には、前記プラグは、前記スリーブが作動状態になるように、前記スリーブ突起を収容するための刻み目(indentation)又は窪み(dimple)を有することが望ましい。
【0043】
前記スリーブ突起が接続されず、前記プラグと異なる場合、作動状態にあるスリーブは、前記プラグを密封構造形成位置から積極的に移動させることができる一方、非作動状態にあるスリーブは、前記プラグを密封構造形成位置に積極的に移動させることはしない。非作動状態にあるスリーブの場合は、前記中空管の流路内における圧縮流体からの圧力が、プラグを前記分配末端へと押圧して密封構造を形成し、それにより前記流路を密封する。
【0044】
例えば、発泡性ポリマー組成物は中空管内で膨張しやすいため、前記中空管内の発泡性ポリマー組成物は、前記プラグを、前記中空管の流路内における密封構造形成位置に押圧することができる。このように、前記プラグは、使用者が前記スリーブを作動状態としない限り、前記膨張する発泡性ポリマー組成物が前記管から外に放出されるのを防止する。
【0045】
前記スリーブは、中空管と同じ材料又は異なる材料で形成することができるが、通常、前記中空管に適した材料と同種の材料から選択される。前記スリーブ及びその構成要素は、すべて同一の材料で形成することができ、又は、複数の材料を含むこともできる。例えば、前記スリーブ自体をプラスチックにより形成する一方、前記スリーブ突起を金属により形成することができる(又は、その逆も可能である)。
【0046】
本発明の分配装置を介して圧縮流体を分配しながら、前記圧縮流体が、プラグを前記中空管の分配末端方向に導くように、前記プラグに対して圧力を加える。したがって、前記分配装置を介して流体を分配させるためには、前記スリーブを作動位置に維持する必要がある。圧縮流体を分配しながら、使用者が積極的に作動位置に前記スリーブを保持することができる。また、前記スリーブは、作動位置から前記スリーブを移動させる際の摩擦力が、前記中空管の流路内を移動する流体によってプラグに作用する圧力よりも大きくなるように、前記中空管の周囲に十分に堅く固定することができる。これらのオプションは、本発明の最も広い範囲では許容可能であるものの、前記分配装置は、使用者によってスリーブを肯定的に非作動状態とするまで、前記スリーブを作動位置に保持する係合機構を更に備えることが望ましい。すなわち、使用者が、前記分配装置を介しての流体分配を中止するために、肯定的に前記スリーブを非作動状態とするまで、前記係合機構が前記スリーブを作動位置に保持する。複数の好適な係合機構を明示することができるが、以下の説明では、そのオプションのうちのほんの一部を例示する。
【0047】
前記係合機構は、前記スリーブの内側表面と前記中空管の外側表面との間に、隆起部及び係合溝部の構造を備えることができる。前記スリーブの内側表面は、前記中空管に隣接するスリーブの一部分である。前記中空管の外側表面は、前記スリーブが前記中空管上をスライドするように、前記スリーブに隣接する前記中空管の一部分である。前記スリーブの内側表面は、内周面に少なくとも部分的に延在する前記係合溝部又は隆起部の一方を規定し、前記中空管の外側表面は、前記中空管の外周面に少なくとも部分に延在する前記係合溝部又は隆起部の他方を規定する。前記スリーブが作動状態になると前記隆起部が前記係合溝部内に入ることによって、中空管流路に流れる流体から生じる圧力よりも大きな力が作用しない限り、前記スリーブが前記中空管の外側表面上をスライドすることを防止する。一度作動状態にされたスリーブを非作動状態にするためには、使用者が、前記係合溝部及び隆起部の嵌合を外すことができる力を加えて、前記スリーブを前記中空管の入口末端から離れる方向にスライドさせる。前記スリーブが作動状態にあり、前記プラグが密封構造を形成しているとき、前記スリーブの係合溝部又は隆起部の構成要素(member)は、前記中空管の前記隆起部又は係合溝部の構成要素間に配置される。また、前記スリーブが非作動位置に確実に保持されているとき、前記スリーブにおける隆起部又は係合溝部は、前記中空管外側の係合溝部又は隆起部と嵌合することができる。
【0048】
図1(a)〜
図1(e)は、隆起部と係合溝部が嵌合した係合機構を示す。
図1(a)は、分配装置10の分配末端内の斜視図を示す。分配装置10は、中空管20及びスリーブ30を備える。スリーブ30は、支持バー34によってスリーブ30に取り付けられた突起32を備える。
図1(b)及び
図1(c)は、
図1(a)において示した線Aに沿った分配装置10の切断断面図を示すものである。
図1(d)及び
図1(e)は、
図1(a)において示した線Bに沿った分配装置10の切断断面図を示すものである。
図1(b)及び
図1(d)は、スリーブ30が非作動位置にあり、プラグ40が中空管20の流路22内の密封構造形成位置にあり、それによって分配末端24における中空管開口部を密封していることを示すものである。係合溝部50は、中空管30の内側表面36の内周面に円周方向に延在する。隆起部60は、中空管20の外側表面26の外周面に円周方向に延在する。スリーブ30が
図1(b)のような非作動位置にあるときは、係合溝部50と隆起部60は離れ、係合が解かれたままである。
図1(c)及び
図1(e)は、突起32によってプラグ40が密封構造形成位置から外れ、係合溝部50と隆起部60によってロック位置で係合された状態となる、作動位置のスリーブ30を示すものである。
【0049】
前記係合機構は、前記中空管の外側表面から外側に延出する突起と、スリーブが前記突起上をスライドするように、前記突起を受け入れるものとして規定されるスリーブにおける主要溝部と、を有するツイストロック機構を備えることができる。例えば、
図2(a)〜(c)におけるスリーブ及び中空管の構造を参照されたい。スリーブ30は、前記中空管20の表面から外側に突出し、スリーブ30の溝部34に嵌め込むための突起21を有する中空管20の上をスライドする。前記スリーブを作動位置(
図2(c)参照)にロックするために、前記スリーブを捩じって、前記突起を主要溝部からサイド溝部に移動させることができる。前記スリーブを非作動状態にし、前記プラグを密封構造形成位置に配置するためには、前記主要溝部の前記突起と、前記主要溝部に沿って進行する前記突起を有する前記中空管の入口末端から離れた前記スリーブの溝部とが一列となるように、前記スリーブを捩じらなければならない(
図2(b)参照)。任意に、サイド溝部も、スリーブを非作動位置(
図2(a)参照)にロックするために利用することができる。
【0050】
前記係合機構は、柔軟(屈曲可能)であるが非弾性(容易に延伸されない)の伸長部材であって、前記分配装置の接続部材が前記缶の弁棒に取り付けられる際に、前記スリーブに取り付けられる第1末端と、該第1末端に対向し、前記缶に取り付け可能な第2末端とを有する前記伸長部材を備えることができる。例えば、前記第2末端は、缶の弁スカートに固定する(好ましくは、除去することができるように可逆的に固定する)クリップを備えることができる。前記伸長部材は、前記スリーブが非作動位置にあるときに缶に到達するのに十分な長さを有している。前記伸長部材は、前記分配装置が缶の弁棒に取り付けられ、前記伸長部材の第2末端が前記缶に取り付けられると、前記分配装置が傾けられ、バルブが前記缶に対して前記伸長部材から離れて、前記スリーブを作動位置に引っ張るのに十分な程度の短さとされている。
【0051】
柔軟な非弾性伸長部材は、プラスチック又は金属リボン、ワイヤ及び/又はストリップを含むことができる。缶(例えば、弁スカート)に固定する前記クリップは、前記柔軟な非弾性伸長部材に取り付けられる、分離した部材とすることができ、又は、前記非弾性伸長部材の一部として成形又は直接形成することができる。また、前記クリップは、前記非弾性伸長部材と同じ材料又は異なる材料とすることができる。
【0052】
柔軟な非弾性伸長部材を使用する場合にも、前記接続部材に柔軟に接続された伸長部材を備えることにより、前記接続部材に対する伸長部材の位置を安定させることが望ましい。前記伸長部材と接続部材との柔軟な接続は、前記接続部材に対する伸長部材の位置を保持し、さらに、前記伸長部材が前記缶に取り付けられていても、前記接続部材をバルブにおいて曲げたり、傾けたりすることを可能とする。前記接続部材に伸長部材を柔軟に接続するための一つの望ましい方法は、湾曲状、波形状、螺旋状又は任意のその他の形状を有し、伸長して屈曲することのできる柔軟なプラスチック部材を用いることである。
【0053】
また、前記分配装置は、使用中に、前記伸長部材を前記中空管及び接続部材に対して整列させる及び整列状態を維持させるガイドを備えることが望ましい。例えば、前記伸長部材がリボンやワイヤである場合は、前記伸長部材が延在している部分に亘る又は該部分を通る中空管及び/又は接続部材の外側にガイド溝を備えることが有益である。加えて、又は前記溝に代えて、前記伸長部材は、前記中空管との整列状態を維持するために、前記中空管の周囲に安定化ラップ(stabilizing wrap)を備えることができる。
【0054】
図3(a)〜(d)は、缶100の弁棒110に取り付けられた典型的な分配装置10(必ずしも、
図1又は2の分配装置10と同じである必要はない。)を示すものである。
図3(a)及び
図3(b)は、非作動状態にある分配装置10及び缶100の説明図であり、
図3(b)は、
図3(a)の構成要素の内側を示すための切断断面図である。
図3(c)は、作動状態にある分配装置10及び缶100を示すものであり、分配装置10及び弁棒110を缶100に対して傾けて、缶100から圧縮流体を解放するものである。
【0055】
分配装置10は、中空管20、スリーブ突起32(
図3(b)参照)を有するスリーブ30、プラグ40(
図3(b)参照)、接続部材70及び柔軟な非弾性伸長部材80を備えるものである。中空管20は、中空管20の入口末端28から出口末端24まで延在する流路22(
図3(b)参照)を規定する。接続部材70は、これを貫通するものとして規定される導管78(
図3(b)参照)を備える。導管78は、継手79(
図3(b)参照)を介して流路22と流体連通するものであり、中空管20の入口末端28上に適合するものである。接続部材70は、接続部材70を弁棒110に取り付けるための弁棒110のネジ山112と組み合わせられ、導管78壁上に螺旋状に形成されるねじ山76を備える。伸長部材80は、スリーブ30に取り付けられ、中空管20の外側において、中空管20に沿って、スリーブ30から缶100の弁スカート120まで延在する。伸長部材80は、弁スカート120に固定するクリップ82を備える。柔軟な接続部材90はプラスチック製の湾曲したリボンであり、前記伸長部材を接続部材70に対して安定させるために、分配装置10の接続部材70とクリップ82の両方に取り付けられる。
【0056】
図2の実施形態では、柔軟な接続部材90は、クリップ82に可逆的に取り付け可能である。接続部材70は、柔軟な接続部材90及び伸長部材70と反対の方向に、接続部材70から延びるトリガー74を備える。伸長部材80は、円周方向に延在し、伸長部材80の位置を維持するために中空管20に沿ってスライドすることができる安定化ラップ84を備える。接続部材70は、伸長部材80が内部に延在し、スライドすることのできるガイド溝(guide slots)72を更に備える。ガイド溝72は、中空管20及び接続部材70に対して伸長部材80の整列状態を維持するのに有益である。
図3(d)は、別の視点におけるガイド溝72を示す。
【0057】
前記接続部材が、前記接続部材の一側面のみにトリガーを備える場合、前記伸長部材は、前記トリガーの反対側に沿って缶まで延在する。このような構成において、前記接続部材が缶の弁棒に取り付けられている場合に前記トリガーを引くと、前記接続部材と弁棒が傾斜して、缶に接続された伸長部材から離れる結果、前記伸長部材が前記スリーブを引っ張って、前記管の分配末端から離れ、それにより前記スリーブが作動状態となる。
図3(a)は、缶100に取り付けられ、非作動状態又は非作動位置に位置決めされた分配装置10を示す。
図3(c)は、作動状態にされたこれと同じ分配装置10と同じ缶100であって、圧縮流体を缶100から解放し、弁棒110、接続部材70、中空管20を経て分配末端24から放出させるために、弁棒110及び分配装置10が缶100に対して傾けられた前記分配装置と前記缶を示すものである。分配装置10及び弁棒110を傾けると、更にスリーブ30と安定化ラップ84が、中空管20に沿って入口末端28に向かってスライドし、次に、突起32(
図3(b)参照)がプラグ40を中空管20内の密封構造形成位置から移動させる。このように傾けることは、伸長部材80のクリップ82からの離間を生じさせる。クリップ82によって弁スカート120に保持された伸長部材80は、傾けることにより、スリーブ30と安定化ラップ84を中空管20に沿って引っ張る。分配装置10と弁棒110が、
図3(a)に示すように非作動位置に戻ると、伸長部材80の緊張状態が緩み、スリーブ30と安定化ラップ84が分配末端24に向かって戻り、プラグ40が中空管20内の密封構造形成位置に戻る。
【0058】
前記管から圧縮流体を解放するために、前記缶及び伸長部材間の接続箇所から離れた前記接続部材と、前記缶バルブ内の缶の弁棒とを傾けるに当たり、自動的に前記スリーブを作動状態にすることができ、それにより、自動的に前記中空管の流路を開放することができるので、前記缶に取り付けられた伸長部材を用いることが望ましい。
【0059】
前記接続部材及び弁棒が、前記缶バルブの閉位置に戻されると、自動的に前記スリーブが非作動状態となって、前記プラグを密封構造形成位置に積極的に引っ張るか(前記スリーブ突起が前記プラグに取り付けられている場合)、又は、前記中空管流路内で膨張する流体が前記プラグを密封構造形成位置に押し込む。したがって、前記プラグ及び中空管流路の密封の開閉は、前記缶バルブの開閉と自動的に相関している。
【0060】
別の実施形態では、前記スリーブは、トリガー(スリーブトリガー)が直接スリーブに取り付けられるか、又は、伸長部材を介して前記スリーブに接続されるかのいずれかを備える。望ましくは、前記スリーブトリガーは、接続部材上のトリガーに近接している。缶に向かって又は接続部材のトリガーに向かって前記スリーブトリガーを引くと、前記スリーブが前記中空管の入口末端に向かって引っ張られて、前記スリーブを作動状態にする。前記トリガーを引いた位置に保持すると、前記スリーブは作動位置に保持される。引っ張られたトリガーを解放すると、前記中空管の流路内で膨張する流体が、前記プラグを密封構造形成位置に押し込み、そして、その工程において、前記プラグが前記スリーブ突起を押すことにより、前記スリーブを非作動位置にスライドさせる。
【0061】
図4は、本発明の実施形態のこのタイプの一例を示すものである。
図4において、スリーブ30は、中空管20のほぼ全長に延在し、さらに、スリーブトリガー36とクリップ/フィンガープル38を備えている。スリーブトリガー36は、接続部材70のトリガー74の上に取り付けられる。スリーブトリガー36及びクリップ/フィンガープル38を引いて中空管20の前記分配末端から引き離すと、スリーブ30が作動位置に配置される。
【0062】
図1(c)、
図1(e)及び
図3(c)に示すように、スリーブ30が作動位置にあると、スリーブ突起32(図示せず)が、プラグ30(図示せず)を中空管20の流路内の密封された位置から移動させる。トリガー36とクリップ/フィンガープル38を解放すると、中空管20の流路内の膨張する流体が、プラグ40を前記流路内の密封構造形成位置に押し戻し、同時に、スリーブ30を中空管20に沿ってスライドさせる。スリーブ30を作動位置にしたまま、トリガー24に更なる圧力を適用することにより、分配装置10及び弁棒110(図示せず)が、缶100(図示せず)に対して傾けられて、圧縮流体が缶100から解放され、分配装置10を介して誘導される。
【0063】
本発明の分配装置は、圧縮された発泡性配合物の缶及び分配装置を備えたフォーム分配システムの一部として有用である。圧縮された発泡性配合物の缶は、分配装置の接続部材と接続して分配装置を前記缶に取り付けるための弁棒を備える。
【0064】
好適な発泡性配合物としては、ポリウレタン系の発泡性配合物も、ラテックス系のフォーム配合物も含む。
【0065】
従来技術に対する本発明の利点の1つは、バネ、特に、中空管、特にその分配末端を密封するように力を加えるためのバネを必要とせずに、前記管を開閉することができることである。本発明は、中空管、特にその分配末端を密封するように力を加えるためのバネを不要とすることができ、さらには、完全にバネを不要とすることができる。